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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071041
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】洗濯方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 11/11 20060101AFI20240517BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20240517BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240517BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20240517BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20240517BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20240517BHJP
   D06M 13/152 20060101ALI20240517BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20240517BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20240517BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20240517BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
D06M11/11
C11D1/29
C11D1/14
C11D3/48
C11D1/74
C11D1/722
D06M13/152
D06M13/256
D06M13/224
D06M13/17
D06M15/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181759
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 健太
(72)【発明者】
【氏名】廣島 理文
【テーマコード(参考)】
4H003
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AB17
4H003AB31
4H003AC12
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003DC02
4H003ED02
4H003FA21
4H003FA28
4H003FA34
4L031AB31
4L031BA12
4L033AB04
4L033AC10
4L033BA13
4L033BA14
4L033BA21
4L033BA28
4L033CA48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗菌効果を有するフェノール系抗菌性化合物の繊維製品への残存量を向上できる洗濯方法を提供する。
【解決手段】繊維製品の洗浄と洗浄後の繊維製品のすすぎとを行う洗濯方法であって、すすぎを、下記の(a)成分及び(b)成分の存在下、水を含むpH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させて行う、洗濯方法。
(a)フェノール系抗菌性化合物
(b)成分:特定成分のアニオン界面活性剤またはノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品の洗浄と洗浄後の繊維製品のすすぎとを行う洗濯方法であって、すすぎを、下記の(a)成分及び(b)成分の存在下、水を含むpH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させて行う、洗濯方法。
(a)フェノール系抗菌性化合物
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:下記の(b1-1)成分及び(b1-2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤
(b1-1)成分:一般式(b1-1)で示されるアニオン界面活性剤
-O-[(PO)(EO)]-SOM (b1-1)
〔一般式(b1-1)中、Rは炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POとEOはブロック結合又はランダム結合であり、qはPOの平均付加モル数であり、1以上5以下の数であり、rはEOの平均付加モル数であり、0.1以上10以下の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
(b1-2)成分:炭素数14以上20以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(b2)成分:下記の(b2-1)成分及び(b2-2)成分から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
(b2-1)成分:一般式(b2-1)で示されるノニオン界面活性剤
COO-(AO)-R (b2-1)
〔一般式(b2-1)中、Rは炭素数9以上24以下の炭化水素基であり、AOはアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
(b2-2)成分:一般式(b2-2)で示されるノニオン界面活性剤
-O-(PO)-(EO)-R (b2-2)
〔一般式(b2-4)中、Rは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、POとEOはこの順でブロック結合をしており、sはPOの平均付加モル数であり、0.1以上20以下の数であり、tはEOの平均付加モル数であり、4以上25以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
【請求項2】
すすぎ液のpHが5.5以下である、請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項3】
(a)成分が、ダイクロサンである、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項4】
繊維製品が、化学繊維を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の洗濯方法。
【請求項5】
(a)成分及び(b)成分を含む洗浄液で繊維製品を洗浄した後、(a)成分及び(b)成分を含んだ状態の繊維製品をすすぎに供する、請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維製品の洗浄について、例えば、水媒体を用いた洗浄、すすぎを行う洗濯が知られている。近年、消費者の衛生意識の高まりから、身の周りの物を清潔に保つことに関心が高まっている。特に衣類やリネン類や布巾などのキッチン周りの繊維製品は菌が付着していると人体に影響を及ぼす可能性もあるため、繊維製品の殺菌、除菌、抗菌などを行うことが望まれている。また不快な悪臭と微生物の繁殖を関連づけた情報の流布に伴い、繊維製品の殺菌、除菌、抗菌などを行うことで悪臭を除くことにも関心が高くなっている。衣類等の繊維製品に付着している菌の増殖を抑制する手段として、第4級アンモニウム界面活性剤、フェノール系抗菌剤、ビグアニド化合物などを使用することが知られている。また、ダイクロサンなどの芳香族塩素系化合物も抗菌性や殺菌性を有する化合物として知られている。これらの化合物は、例えば、洗浄剤に配合して繊維製品の洗浄時に適用できる。
【0003】
例えば、特許文献1には、(A)成分:ヒドロキシカルボン酸、(B)成分:(b-1)特定の第4級アンモニウム塩、(b-2)フェノール系抗菌剤及び(b-3)ビグアニド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の抗菌剤、及び(C)成分:ノニオン界面活性剤、を含有し、前記(A)成分の含有量が、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対し5質量%以上であり、25℃におけるpHが2~6である、衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、a)布地を、少なくとも1つの洗浄性界面活性剤を含有する水性洗浄液と接触させる工程であって、前記水性洗浄液が、7.0~9.0の範囲の第1のpHを特徴とする、工程と、b)前記水性洗浄液の前記pHを10.0~13.0の範囲の第2のpHまで上昇させ、その間、5分間~30分間の範囲の持続時間にわたって前記布地をこのような水性洗浄液と接触させ続ける、工程と、c)前記布地を、3.0~6.0の範囲の第3のpHを特徴とする水性すすぎ液と接触させる工程と、を含み、工程(b)の後かつ工程(c)の前に、前記水性洗浄液の前記pHを低下させて7.0~9.0の範囲の第4のpHに戻す工程(b1)を更に含み、前記工程(b1)において、1分間~60分間の範囲の持続時間にわたって前記布地を前記水性洗浄液と接触させる、布地を処理する方法が開示されており、更に、工程(c)中に5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノールを前記水性すすぎ液中に投入できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-188641号公報
【特許文献2】特表2022-511731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、抗菌効果を有するフェノール系抗菌性化合物の繊維製品への残存量を向上できる洗濯方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、繊維製品の洗浄と洗浄後の繊維製品のすすぎとを行う洗濯方法であって、すすぎを、下記の(a)成分及び(b)成分の存在下、水を含むpH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させて行う、洗濯方法に関する。
(a)フェノール系抗菌性化合物
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:下記の(b1-1)成分及び(b1-2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤
(b1-1)成分:一般式(b1-1)で示されるアニオン界面活性剤
-O-[(PO)(EO)]-SOM (b1-1)
〔一般式(b1-1)中、Rは炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POとEOはブロック結合又はランダム結合であり、qはPOの平均付加モル数であり、1以上5以下の数であり、rはEOの平均付加モル数であり、0.1以上10以下の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
(b1-2)成分:炭素数14以上20以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(b2)成分:下記の(b2-1)成分及び(b2-2)成分から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
(b2-1)成分:一般式(b2-1)で示されるノニオン界面活性剤
COO-(AO)-R (b2-1)
〔一般式(b2-1)中、Rは炭素数9以上24以下の炭化水素基であり、AOはアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
(b2-2)成分:一般式(b2-2)で示されるノニオン界面活性剤
-O-(PO)-(EO)-R (b2-2)
〔一般式(b2-2)中、Rは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、POとEOはこの順でブロック結合をしており、sはPOの平均付加モル数であり、0.1以上20以下の数であり、tはEOの平均付加モル数であり、4以上25以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、抗菌効果を有するフェノール系抗菌性化合物の繊維製品への残存量を向上できる洗濯方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の洗濯方法では、繊維製品の洗浄と洗浄後の繊維製品のすすぎとを所定条件で行う。
繊維製品の洗浄は、公知の洗濯方法に準ずることができる。
例えば、界面活性剤、ビルダーなどを含有する洗浄剤から調製した洗浄液を繊維製品に接触させて洗浄することができる。
より詳細には、例えば、界面活性剤、ビルダーなどを含有する洗浄剤と繊維製品と水とを混合し、好ましくは繊維製品に外力を加えて、洗浄する方法が挙げられる。また、洗浄剤を予め水に溶解した洗浄液に繊維製品を浸漬する、洗浄剤を繊維製品へ直接塗布する、などの方法で洗浄剤と繊維製品とを接触させて、好ましくは一定時間放置し、その後、通常の洗濯を行うこともできる。
洗浄、好ましくは外力を負荷した洗浄は、通常1回行う。
繊維製品に外力を加える方法は、例えば洗濯機により機械力を加える方法でもよく、もみ洗い、押し洗い、たたき洗い、つかみ洗い、つまみ洗い、又は振り洗い等の手洗いによる方法でもよい。
通常、洗濯処理は、洗浄処理を行った後にすすぎ処理を含む。一般に、すすぎ処理は、洗浄剤を含まない液体媒体、好ましくは水を供給し、好ましくは繊維製品に外力を加えて、繊維製品に残留している界面活性剤などの洗浄剤成分を取り除く。すすぎに用いる液体媒体には柔軟剤などが含まれても良い。本発明でもすすぎは、pH6.5以下のすすぎ液を用いる以外は、公知のすすぎ方法に準じて行うことができる。また、すすぎ処理は1回でもよく、2回以上行ってもよい。
本発明において、以下「繊維残留性」とは、特記しない限り、(a)成分のフェノール系抗菌性化合物の繊維への残留性の向上を意味する。
【0010】
本発明の洗濯方法では、洗浄後の繊維製品のすすぎは、下記の(a)成分及び(b)成分の存在下、水を含むpH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させて行う。
(a)フェノール系抗菌性化合物
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:下記の(b1-1)成分及び(b1-2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤
(b1-1)成分:一般式(b1-1)で示されるアニオン界面活性剤
-O-(PO)q(EO)r-SOM (b1-1)
〔一般式(b1-1)中、Rは炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOはエチレンオキシ基であり、EOとPOはブロック又はランダム結合であってもよく、qはPOの平均付加モル数であり、1以上5以下の数であり、rはEOの平均付加モル数であり、0.1以上10以下の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
(b1-2)成分:炭素数14以上20以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(b2)成分:下記の(b2-1)成分及び(b2-2)成分から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
(b2-1)成分:一般式(b2-1)で示されるノニオン界面活性剤
COO-(AO)-R (b2-1)
〔一般式(b2-1)中、Rは炭素数9以上24以下の炭化水素基であり、AOはアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
(b2-2)成分:一般式(b2-2)で示されるノニオン界面活性剤
-O-(PO)-(EO)-R (b2-2)
〔一般式(b2-4)中、Rは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOとPOはこの順でブロック結合をしており、sはPOの平均付加モル数であり、0.1以上20以下の数であり、tはEOの平均付加モル数であり、4以上25以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
【0011】
(a)成分としては、繊維残留性の観点から、フェノール系抗菌性化合物が用いられる。フェノール系抗菌性化合物は、フェノール構造を有する抗菌性化合物である。
(a)成分としては、具体的にはフェノール、クレゾール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、パラベン、イソプロピルメチルフェノール(慣用名:IPMP)、クロロキシレノール(慣用名:PCMX)o-ベンジル-p-クロロフェノール(慣用名:クロロフェン)、4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、ベンジルクロロフェノールなどが挙げられる。
【0012】
(a)成分は、繊維残留性の観点から、ハロゲン原子を有する化合物が好ましく、ダイクロサン、トリクロサン等のクロロジフェニルエーテル系抗菌性化合物がより好ましく、ダイクロサンが更に好ましい。
【0013】
(a)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0014】
(b)成分は、下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤である。
(b1)成分:下記の(b1-1)成分及び(b1-2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤
(b1-1)成分:一般式(b1-1)で示されるアニオン界面活性剤
-O-[(PO)(EO)]-SOM (b1-1)
〔一般式(b1-1)中、Rは炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POとEOはブロック結合又はランダム結合であり、qはPOの平均付加モル数であり、1以上5以下の数であり、rはEOの平均付加モル数であり、0.1以上10以下の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
(b1-2)成分:炭素数14以上20以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(b2)成分:下記の(b2-1)成分及び(b2-2)成分から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
(b2-1)成分:一般式(b2-1)で示されるノニオン界面活性剤
COO-(AO)-R (b2-1)
〔一般式(b2-1)中、Rは炭素数9以上24以下の炭化水素基であり、AOはアルキレンオキシ基であり、mはAOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
(b2-2)成分:一般式(b2-2)で示されるノニオン界面活性剤
-O-(PO)-(EO)-R (b2-2)
〔一般式(b2-4)中、Rは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、POとEOはこの順でブロック結合をしており、sはPOの平均付加モル数であり、0.1以上20以下の数であり、tはEOの平均付加モル数であり、4以上25以下の数であり、Rは水素原子又はメチル基である。〕
【0015】
(b1-1)成分について、一般式(b1-1)中、Rは、繊維残留性の観点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b1-1)中、POとEOは、ブロック結合及びランダム結合のいずれでもよいが、繊維残留性の観点から、好ましくはR-Oに、PO、EOの順に結合したブロック結合である。
一般式(b1-1)中、qは、繊維残留性の観点から、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、そして、5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下の数である。
一般式(b1-1)中、rは、繊維残留性の観点から、0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下の数である。
一般式(b1-1)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはモノエタノールアンモニウムである。
なお、本発明における(b1-1)成分の含有量は、モノエタノールアンモニウム塩に換算した化合物の量に基づく。
【0016】
(b1-2)成分の炭素数14以上20以下の内部オレフィンスルホン酸塩は、炭素数14以上16以下の内部オレフィンをスルホン化して得ることができる。前記内部オレフィンとは二重結合が2位より内部に存在するオレフィンを表す。内部オレフィンは、例えば1-アルコールを脱水して得られた1-オレフィンを異性化して得ることができる。内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992)) 。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するα-オレフィンスルホン酸が微量に含まれる場合もある。本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸を内部オレフィンスルホン酸のヒドロキシ体(以下、HASともいう。)、オレフィンスルホン酸を内部オレフィンスルホン酸のオレフィン体(以下、IOSともいう。)という。
【0017】
内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、繊維残留性の観点から、14以上、好ましくは16以上、そして、20以下、好ましくは18以下である。なお、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、スルホン酸が共有結合した内部オレフィンの炭素数を表す。
塩は、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩(1/2原子)又は有機アンモニウム塩である。塩は、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウム塩であり、更に好ましくはカリウム塩である。
なお、本発明における(b1-2)成分の含有量は、カリウム塩に換算した化合物の量に基づく。
【0018】
内部オレフィンスルホン酸塩には、スルホン酸の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるアルファオレフィンスルホン酸塩(以下、α-オレフィンスルホン酸塩ともいう。)を微量に含有するものも含まれる。該内部オレフィンスルホン酸中のα-オレフィンスルホン酸塩の含有量は、繊維残留性の観点から、含有量の上限として好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、そして、好ましくは0.01質量%以上である。
【0019】
(b1-2)成分の内部オレフィンスルホン酸塩は、主たる成分として二重結合が2位以上に存在する炭素数14以上20以下のオレフィンをスルホン化して得ることが出来る。該内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸と、オレフィンスルホン酸へと転換する(例えば、J. Am.Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸が微量に含まれる場合もある。
【0020】
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(HAS)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(IOS)という。
なお、内部オレフィンスルホン酸塩中の化合物の質量比は、HPLC-MSにより測定できる。具体的には、例えば、後述の実施例の方法で、内部オレフィンスルホン酸塩のHPLC-MSピーク面積から質量比を求めることができる。
【0021】
前記の内部オレフィンスルホン酸塩は、ヒドロキシ体とオレフィン体とを含んでいてよい。内部オレフィンスルホン酸塩中の内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量との質量比(オレフィン体/ヒドロキシ体)は、0/100以上、更に5/95以上、そして、50/50以下、更に40/60以下、更に30/70以下、更に25/75以下であることが出来る。
【0022】
(b2-1)成分について、一般式(b2-1)中、Rは、繊維残留性の観点から、炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、24以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b2-1)中、AOはアルキレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、より好ましくはエチレンオキシ基である。
一般式(b2-1)中、mは、繊維残留性の観点から、3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下の数である。
一般式(b2-1)中、R2-6は、好ましくはメチル基である。
【0023】
(b2-2)成分について、一般式(b2-2)中、Rは、繊維残留性の観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、24以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b2-2)中、sは、POの平均付加モル数であり、繊維残留性の観点から、0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、20以下、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下、より更に好ましくは4以下の数である。
一般式(b2-2)中、tは、EOの平均付加モル数であり、繊維残留性の観点から、4以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、そして、25以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは17以下の数である。
一般式(b2-2)中、Rは、好ましくは水素原子である。
【0024】
(b)成分は、繊維残留性の観点から、(b1-1)成分及び(b2-1)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
【0025】
本発明では、すすぎは、水を含むpH6.5以下のすすぎ液を、(a)成分及び(b)成分を含む繊維製品に接触させて行う。すすぎ液の原料には、イオン交換水を用いても良く、水道水等の硬度成分を含む水を用いても良い。硬度成分を含む水を用いる場合の水の硬度は、繊維残留性の観点から、例えば0.5°dH以上、より好ましくは1°dH以上、更に好ましくは2°dH以上、より更に好ましくは3°dH以上、そして、好ましくは20°dH以下、より好ましくは10°dH以下、更に好ましくは8°dH以下、より更に好ましくは6°dH以下である。すすぎ液がこの範囲の硬度を有することも好ましい。ドイツ硬度の測定は、以下の方法で行う。
【0026】
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/L EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/L水溶液(滴定用溶液、0.01MEDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定方法〕
まず、試料(原料の水又はすすぎ液)20mLをホールピペットでコニカルビーカーに採取し、硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。更に、UniversalBT指示薬を0.5mL添加し、添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/L EDTA・2Na溶液を滴下し、試料が青色に変色した時点を滴定の終点とする。EDTA・2Na溶液の滴定量T(mL)より、試料中の全硬度を下記の算出式で求める。
硬度(°DH)=(T×0.01×F×56.0774×100)/A
T:0.01mol/L EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料の容量)
F:0.01mol/L EDTA・2Na溶液のファクター
【0027】
本発明では、繊維製品との接触時のすすぎ液のpHは、繊維残留性の観点から、6.5以下であり、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下、そして、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上である。すすぎ液は、繊維残留性の観点から、繊維製品との接触時にpHが6.5以下であればよく、すすぎ中にpHが変動してもよい。なお、このpHは、すすぎを行う際の温度におけるpHである。pHの測定は、以下の方法で行う。
【0028】
〔pHの測定方法〕
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプル(すすぎ液)はすすぎを行う際の温度に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0029】
すすぎ液のpHは、水に後述するpH調整剤を配合して調整してもよい。
【0030】
本発明は、(a)成分と(b)成分の存在下、pH6.5以下ですすぎを行うことで、繊維製品に付着した(a)成分が繊維製品から流失しにくくなり、繊維製品での(a)成分の残存量を増やせることを見いだしたものである。(a)成分及び(b)成分は、少なくともすすぎの際に繊維製品と共存して所定のすすぎ液が適用されればよい。本発明では、繊維残留性の観点から、(a)成分及び(b)成分を含有する洗浄液(以下、本発明の洗浄液ともいう)で繊維製品を洗浄した後、(a)成分及び(b)成分を含んだ状態の繊維製品に水を供給してpH6.5以下のすすぎ液が繊維製品に接触するようにしてすすぐことが好ましい。通常、洗浄後の繊維製品は、脱水して洗浄液を分離するが、脱水後、すすぎを行う前の繊維製品には(a)成分及び(b)成分を含む洗浄液が保持されており、本発明では、そのような状態の繊維製品をすすぎに供することができる。従って、本発明では、(a)成分及び(b)成分を含有する洗浄液で繊維製品を洗浄することが好ましい。
【0031】
以下、本発明の洗浄液について説明する。
本発明の洗浄液中の(a)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、更に好ましくは0.1ppm以上、より更に好ましくは0.25ppm以上、そして、好ましくは10ppm以下、より好ましくは2.5ppm以下、更に好ましくは1ppm以下であってよい。なお、本発明では、ppmは、質量の割合を表す単位である(以下のppmに関しても同様である)。
【0032】
本発明の洗濯方法では、本発明の洗浄液中の(a)成分の量(mg/kg)は、繊維残留性の観点から、乾燥状態の繊維製品の質量(kg)を基準にして、好ましくは0.2以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは200以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下である。
【0033】
本発明の洗浄液中の(b)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは30ppm以上、更に好ましくは50ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、そして、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下、更に好ましくは750ppm以下、より更に好ましくは300ppm以下であってよい。
【0034】
本発明の洗浄液が(b1)成分を含有する場合、該洗浄液中の(b1)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは5ppm以上、より好ましくは15ppm以上、更に好ましくは25ppm以上、より更に好ましくは50ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは300ppm以下であってよい。
【0035】
本発明の洗浄液が(b2)成分を含有する場合、該洗浄液中の(b2)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは5ppm以上、より好ましくは15ppm以上、更に好ましくは30ppm以上、より更に好ましくは50ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは750ppm以下、より更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは300ppm以下であってよい。
【0036】
本発明の洗浄液において、(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比である(b)/(a)は、繊維残留性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上、より更に好ましくは100以上、そして、好ましくは8000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは2000以下、より更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは500以下である。ここで(b)成分の含有量は、(b)成分の含有量の合計、すなわち、(b1)成分と(b2)成分の含有量の合計である。
【0037】
本発明の洗浄液が(b1)成分を含む場合、該洗浄液中の(a)成分の含有量と(b1)成分の含有量との質量比(b1)/(a)は、繊維残留性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上、より更に好ましくは100以上、そして、好ましくは4000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは600以下、より更に好ましくは500以下である。前記の(b)/(a)が上記範囲を満たしたうえで、(b1)/(a)が前記範囲を満たすことが好ましい。
【0038】
本発明の洗浄液が(b2)成分を含む場合、該洗浄液中の(a)成分の含有量と(b2)成分の含有量との質量比(b2)/(a)は、繊維残留性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは60以上、より更に好ましくは100以上、そして、好ましくは4000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1500以下、より更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは500以下である。前記の(b)/(a)が上記範囲を満たしたうえで、(b2)/(a)が前記範囲を満たすことが好ましい。
【0039】
本発明の洗浄液が(b1)成分と(b2)成分とを含む場合、該洗浄液中の(b1)成分の含有量と(b2)成分の含有量の質量比である(b1)/(b2)は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.35以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1以下である。
【0040】
本発明の洗浄液は水を含有する。すなわち、前記(a)成分及び(b)成分、並びに任意成分以外の残部が水であってよい。水は、イオン交換水、水道水、地下水、河川水などが挙げられる。
【0041】
本発明の洗浄液は、(b)成分以外の界面活性剤〔以下、(b’)成分という〕を含有することができる。
(b’)成分としては、下記の(b’1)成分及び(b’2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
(b’1)成分:(b1)成分以外のアニオン界面活性剤
(b’2)成分:(b2)成分以外のノニオン界面活性剤
【0042】
(b’1)成分としては、繊維残留性の観点から、アルキル硫酸エステル、アルケニル硫酸エステル、(b1-1)成分以外のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、(b1-1)成分以外のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、アルケニルベンゼンスルホン酸、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、(b1-2)成分以外の内部オレフィンスルホン酸、アルキル又はジアルキルスルホコハク酸、アルケニル又はジアルケニルスルホコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキル又はポリオキシアルキレンジアルキルスルホコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキル又はポリオキシアルキレンジアルキルスルホコハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、脂肪酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0043】
これらの中でも、繊維残留性の観点から、下記一般式(b’1-1)で示される化合物〔以下、(b’1-1)成分という〕、一般式(b’1-2)で示される化合物〔以下、(b’1-2)成分という〕、及び一般式(b’1-3)で示される化合物〔以下、(b’1-3)成分という〕から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0044】
1-1-B-SOM (b’1-1)
〔一般式(b’1-1)中、R1-1は炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、Bはベンゼン環であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。Bに結合するR1-1aに対して、スルホン酸基はパラ位に結合している。〕
【0045】
一般式(b’1-1)中、R1-1は、繊維残留性の観点から、炭素数8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b’1-1)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
なお、本発明における(b’1-1)成分の含有量は、ナトリウム塩に換算した化合物の量に基づく。
【0046】
1-2-O-(EO)-SOM (b’1-2)
〔一般式(b’1-2)中、R1-2は炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、pはEOの平均付加モル数であり、0.1以上10以下の数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
【0047】
一般式(b’1-2)中、R1-2は、繊維残留性の観点から、炭素数8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b’1-2)中、EOはエチレンオキシ基である。
一般式(b’1-2)中、pは、繊維残留性の観点から、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、そして、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下の数である。
一般式(b’1-2)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
なお、本発明における(b’1-2)成分の含有量は、ナトリウム塩に換算した化合物の量に基づく。
【0048】
1-3-COOM (b’1-3)
〔一般式(b’1-3)中、R1-3は炭素数8以上22以下の炭化水素基であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムである。〕
【0049】
一般式(b’1-3)中、R1-3は、繊維残留性の観点から、炭素数8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b’1-3)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
なお、本発明における(b’1-3)成分の含有量は、ナトリウム塩に換算した化合物の量に基づく。
【0050】
(b’2)成分としては、繊維残留性の観点から、アルキルモノグリセリルエーテル、(b2-2)成分以外のポリオキシアルキレンモノアルキル又はアルケニルエーテル、(b2-1)成分以外のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ソルビタン系非イオン性界面活性剤、脂肪族アルカノールアミド、脂肪酸モノグリセライド、及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、繊維残留性の観点から、下記一般式(b’2-1)で示される化合物〔以下、(b’2-1)成分という〕、及び一般式(b’2-2)で示される化合物〔以下、(b’2-2)成分という〕から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0052】
2-1-O-(EO)-R2-2 (b’2-1)
〔一般式(b’2-1)中、R2-1は炭素数9以上18以下の炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、R2-2は水素原子又はメチル基である。〕
【0053】
一般式(b’2-1)中、R2-1は、繊維残留性の観点から、炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b’2-1)中、EOはエチレンオキシ基である。
一般式(b’2-1)中、nは、繊維残留性の観点から、3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下の数である。
一般式(b’2-1)中、R2-2は、好ましくは水素原子である。
【0054】
2-3-O-(EO)-(PO)-(EO)-R2-4 (b’2-2)
〔一般式(b’2-2)中、R2-3は炭素数10以上24以下の炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、EOとPOはこの順でブロック結合をしており、yはPOの平均付加モル数であり、1以上6以下の数であり、x、zはEOの平均付加モル数であり、x+zは3以上50以下の数であり、R2-4は水素原子又はメチル基である。〕
【0055】
一般式(b’2-2)中、R2-3は、繊維残留性の観点から、炭素数10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、そして、24以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
一般式(b’2-2)中、yは、繊維残留性の観点から、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上、そして、6以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下の数である。
一般式(b’2-2)中、x+zは、繊維残留性の観点から、3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下の数である。
一般式(b’2-2)中、R2-4は、好ましくは水素原子である。
【0056】
本発明の洗浄液は、更なる任意成分として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、洗剤や柔軟剤などに使用することが知られている成分、例えば、下記の(1)~(16)の成分を含有することができる。
【0057】
(1)その他の界面活性剤
その他の界面活性剤としては、繊維残留性の観点から、特に限定されないが(c)陽イオン界面活性剤、及び(d)両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0058】
(c)陽イオン界面活性剤としては、繊維残留性の観点から、例えば、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
【0059】
【化1】
【0060】
〔式中、R1cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基であり、R2cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、Xは炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲン化物イオンである。〕
【0061】
一般式(c1)中、R1cの鎖状炭化水素基の炭素数は、繊維残留性の観点から、9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
【0062】
2cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、R2cの鎖状炭化水素基の炭素数は、繊維残留性の観点から、9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
2cの鎖式炭化水素基は、繊維残留性の観点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0063】
3c、R4cは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基などの炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。
【0064】
1c、R2cの鎖状炭化水素基の具体例は、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基であり、繊維残留性の観点から、ノニル基、デシル基が好ましく、デシル基が好ましい。
【0065】
炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基の具体例は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。XはCHSO 、CHCHSO 、又はハロゲン化物イオンである。
【0066】
前記一般式(c1)で表される化合物のより具体的な化合物は、繊維残留性の観点から、N-エチル-N,N-ジメチルテトラデシルアンモニウム塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジデシル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、及びN,N-ジデシル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられ、モノ長鎖型アンモニウム塩とジ長鎖型アンモニウム塩を併用することもできる。これらの塩となる対イオンは、CHSO 、CHCHSO 、又はクロルイオン等のハロゲン化物イオンである。
【0067】
陽イオン界面活性剤としては、繊維残留性の観点から、ビスピリジニウム化合物も挙げられる。
ビスピリジニウム化合物としては、例えば、英国特許第1533952号明細書、特開昭52-105228号公報、国際公開第2014/100807号に記載されているものなどが挙げられる。ビスピリジニウム化合物としては、具体的には、繊維残留性の観点から、下記一般式(c3)で表される化合物、下記一般式(c4)で表される化合物が好ましい。
【0068】
【化2】
【0069】
〔式中、Yは、4~18個の炭素原子を有するアルキレンまたはアルケニレン基であり、R5cは、それぞれ、6~18個の炭素原子を有するアルキル基または5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはハロゲン置換の有無にかかわらずフェニル基を表し、Aは、陰イオンである。qは1又は2、rは1又は2であり、q×r=2である。〕
【0070】
Aは、一価又は二価の陰イオンであり、例えば、塩化物、臭化物、リン酸塩、オルトケイ酸塩、有機酸、例えば式R6c-COO-を有する有機酸やアルキル(炭素数1以上40以下)スルホン酸、などの化合物からの陰イオンであり得る。ここで、R6cは、水素、ヒドロキシル、または炭素数1以上40以下のアルキル基である。Aは、後述のpH調整剤である酸剤からの陰イオンであってよい。
【0071】
繊維残留性の観点から、Aの陰イオンに相当する有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、リン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グリシルリジン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ホスホン酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、4-シアノ安息香酸、2-クロロ安息香酸、2-ニトロ安息香酸、フェノキシ酢酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0072】
繊維残留性の観点から、好ましいビスピリジニウム化合物は、一般式(c4)の化合物、更にオクテニジン二塩酸塩(一般式(c4)中、R5cがそれぞれn-オクチル基、Yがn-デセニル基、AがCl、qが1、rが2の化合物、CAS番号70775-75-6)である。
本発明の繊維製品用洗浄剤組成物では、陽イオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0073】
(d)両性界面活性剤としては、繊維残留性の観点から、ベタイン型界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。(d)両性界面活性剤は、具体的には、繊維残留性の観点から、スルホベタイン、カルボベタイン及びアミンオキサイドから選ばれる1種以上の両性界面活性剤が挙げられる。
【0074】
スルホベタインとしては、繊維残留性の観点から、アルキル基の炭素数が好ましくは10以上18以下、のN-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、アルキル基の炭素数が10以上18以下のN-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、アルカノイル基の炭素数が10以上18以下のN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、アルカノイル基の炭素数が10以上18以下のN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタインが挙げられる。
【0075】
カルボベタインとしては、繊維残留性の観点から、アルキル基の炭素数が10以上18以下のN-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタインや下記一般式で表される化合物が挙げられる。
【0076】
【化3】
【0077】
〔式中、R1dは炭素数7以上21以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2dはプロピレン基を示し、R1d及びR4dは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。〕
【0078】
アミンオキサイドとしては、繊維残留性の観点から、下記一般式の化合物が好適である。
【0079】
【化4】
【0080】
〔式中、R5dは炭素数7以上22以下の炭化水素基、繊維残留性の観点から、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を示し、R6d及びR7dは、同一又は異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。m及びpは、m=0かつp=0又はm=1かつp=1を示す。〕
【0081】
(2)pH調整剤
繊維残留性の観点から、pH調整剤として酸剤又はアルカリ剤を含有することができる。
酸剤は、有機酸、及び無機酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
有機酸としては、繊維残留性の観点から、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、及びアコニット酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
無機酸としては、繊維残留性の観点から、塩酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、及び炭酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
アルカリ剤は、繊維残留性の観点から、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの無機アルカリ剤、窒素原子に結合する基のうち、1つ以上、3つ以下が炭素数2以上、4以下のアルカノール基であり、残りが炭素数1以上、4以下のアルキル基又は水素原子であるアルカノールアミンを挙げることができる。繊維残留性の観点から、このうちアルカノール基はヒドロキシアルキル基、更にヒドロキシエチル基であるものが好ましい。繊維残留性の観点から、アルカノール基以外は水素原子、又はメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。アルカノールアミンとしては、繊維残留性の観点から、2-アミノエタノール、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。
【0082】
(3)キレート剤
繊維残留性の観点から、キレート剤の具体例として、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はこれらの塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属又は低級アミン塩等が挙げられる。
【0083】
(4)再汚染防止剤及び/又はポリマー系分散剤
繊維残留性の観点から、再汚染防止剤及び/又はポリマー系分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0084】
(5)漂白剤
繊維残留性の観点から、漂白剤としては、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム等が挙げられる。
【0085】
(6)漂白活性化剤
繊維残留性の観点から、漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等が挙げられる。
【0086】
(7)酵素
繊維残留性の観点から、酵素としては、アミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、プルラナーゼ、フラクトフラノシダーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素が挙げられる。
【0087】
(8)蛍光染料
繊維残留性の観点から、蛍光染料としては、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料が挙げられる。
【0088】
(9)酸化防止剤
繊維残留性の観点から、酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(慣用名:BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(慣用名;BHA)、ジスチレン化クレゾール、アスコルビン酸(慣用名:ビタミンC)、トコフェノール(慣用名:ビタミンE)、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)等の公知の抗酸化化合物又は亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の公知の無機塩が挙げられる。
【0089】
(10)繊維残留性の観点から、色素、香料、(a)成分以外の抗菌防腐剤、紫外線防止剤、シリコーン等の消泡剤
【0090】
(11)水酸基を有する有機溶剤
繊維残留性の観点から、水酸基を有する有機溶剤としては、以下の(11-1)成分~(11-6)成分から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。
(11-1)成分:炭素数2以上6以下の脂肪族炭化水素基を有する1価のアルコール
(11-1)成分として、繊維残留性の観点から、例えばエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール及び1-ブタノールから選ばれる1価のアルコールが挙げられる。
【0091】
(11-2)成分:炭素数2以上6以下の2価以上6価以下のアルコール
(11-2)成分として、繊維残留性の観点から、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びグリセリンから選ばれる2価又は3価のアルコールが挙げられる。2-メチル-2,4-ペンタンジオールは、ヘキシレングリコールとも称される。
【0092】
(11-3)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位を含有するポリアルキレングリコール
(11-3)成分として、繊維残留性の観点から、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量400以上4000以下のポリエチレングリコール及び重量平均分子量400以上4000以下のポリプロピレングリコールから選ばれるポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0093】
(11-4)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位と、炭素数1以上4以下のアルキル基とを有する、(モノ又はポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル
(11-4)成分として、繊維残留性の観点から、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール及び1-エトキシ-2-プロパノールから選ばれる化合物が挙げられる。
【0094】
(11-5)成分:炭素数1以上8以下のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル
(11-5)成分として、繊維残留性の観点から、例えば1-メチルグリセリルエーテル、2-メチルグリセリルエーテル、1,3-ジメチルグリセリルエーテル、1-エチルグリセリルエーテル、1,3-ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1-ペンチルグリセリルエーテル、2-ペンチルグリセリルエーテル、1-オクチルグリセリルエーテル及び2-エチルヘキシルグリセリルエーテルから選ばれるアルキルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0095】
(11-6)成分:炭素数2又は3のアルキレングリコール単位を有する(モノ又はポリ)アルキレングリコールの芳香族アルキルエーテル
(11-6)成分として、繊維残留性の観点から、例えば2-フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2-ベンジルオキシエタノール及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる化合物が挙げられる。
【0096】
前記(11-4)成分、(11-6)成分において「(モノ又はポリ)アルキレングリコール」なる用語は、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。また、「ポリアルキレングリコール」とは、アルキレングリコール単位を2個以上9個以下の量で含有することを意味する。
【0097】
(12)ハイドロトロープ剤
繊維残留性の観点から、ハイドロトロープ剤は、陰イオン性基を有する有機化合物であり、更にはメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれるアルキル基を1つ又は2つ含み、スルホン酸基又はカルボン酸基を1つ有するアルキルベンゼンカルボン酸又はアルキルベンゼンスルホン酸又はそれらの塩、並びに安息香酸又はその塩を挙げることができる。繊維残留性の観点から、より具体的にはパラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸であり、塩はアルカリ金属塩が好ましい。
【0098】
(13)香料
繊維残留性の観点から、香料は、マスキング効果を有し、場合によっては、それ自体が消臭性能を有する基材であることもある。
香料としては、繊維残留性の観点から、例えば「香料と調香の基礎知識、中島基貴 編著、産業図書株式会社発行、2005年4月20日 第4刷」に記載の香料及び特表平10-507793号公報記載の香料を使用することができる。また、特開2014-213072号公報に記載の賦香剤の技術を用いることができ、ケイ酸エステル香料やマイクロカプセル香料も使用することができる。
【0099】
(14)消臭基材
繊維残留性の観点から、消臭基材としては、特開2018-29836号公報に記載のポリヒドロキシアミン化合物が挙げられる。
ポリヒドロキシアミン化合物としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシエチル-1,3-プロパンジオール、及びこれらと塩酸等の無機酸等が挙げられる。
【0100】
(15)柔軟基剤
繊維残留性の観点から、柔軟剤基剤は、下記一般式の4級アンモニウム塩化合物が好適である。
【0101】
【化5】
【0102】
〔式中、R1e、R2e、R3eは、それぞれ独立して、炭素数16以上22以下の脂肪酸からOHを除いた残基(アシル基)、又は水素原子である。但し、R1e、R2e、R3eの少なくとも1つはアシル基である。R4eは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、Zは陰イオンである。〕
【0103】
柔軟基剤は、前記一般式の4級アンモニウム塩化合物の混合物であってよい。そのような混合物としては、例えば、前記一般式中のR4eが炭素数1以上、3以下のアルキル基であり、Zが有機又は無機の陰イオンである4級アンモニウム塩の混合物であって、R1eが炭素数16以上22以下の脂肪酸からOHを除いた脂肪酸残基(x)であり、R2e及びR3eが水素原子である化合物(e1)と、R1e及びR2eが前記脂肪酸残基(x)であり、R3eが水素原子である化合物(e2)と、R1e、R2e及びR3eが前記脂肪酸残基(x)である化合物(e3)の混合物が挙げられる。
【0104】
1e、R2e、R3e、更に前記脂肪酸残基(x)としては、繊維残留性の観点から、炭素数16以上、22以下、好ましくは炭素数16以上、18以下の脂肪酸からOH(水酸基)を除いた残基が好ましい。脂肪酸の具体例としては、繊維残留性の観点から、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
繊維残留性の観点から、一般式中、R4eはメチル基又はエチル基が好ましい。
繊維残留性の観点から、一般式中、Zは、有機又は無機の陰イオンであり、クロロイオン等のハロゲンイオン、炭素数1以上、3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数12以上、18以下の脂肪酸イオン、及び炭素数1以上、3以下のアルキル基が1個以上、3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンから選ばれる陰イオンが好ましい。繊維残留性の観点から、本発明においては、より好ましくは炭素数1以上、3以下のアルキル硫酸エステルイオンであり、更に好ましくはメチル硫酸エステルイオン又はエチル硫酸エステルイオンである。
一般式の4級アンモニウム塩化合物は、脂肪酸とトリエタノールアミンとを脱水エステル化反応させる方法、又は脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とトリエタノールアミンとをエステル交換反応させる方法により得られたエステル化反応物を、アルキル化剤で4級化反応させることにより得ることができる。
【0105】
(16)柔軟補助剤
繊維残留性の観点から、柔軟補助剤としては、グリセリン、ソルビトール及びペンタエリスルトール等の多価アルコール脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0106】
繊維製品としては、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた、織物(布帛)、編物、不織布等の布地及び前布地を用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット衣服、靴下、下着、タイツ、マスク等の製品が挙げられる。
繊維製品を構成する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。また、繊維は、天然繊維、化学繊維、これらの混合のいずれでもよい。繊維製品は、繊維残留性の観点から、化学繊維を含むことが好ましい。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
【0107】
本発明の洗濯方法では、すすぎに用いる水の全量に対する(a)成分の量(mg/L)は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、より更に好ましくは0.025以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.2以下であってよい。
【0108】
すすぎ液の温度は、繊維残留性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、更に好ましくは5℃以上、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、より更に好ましくは40℃以下である。
【0109】
すすぎの時間は、繊維残留性の観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上、そして、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下、更に好ましくは8分以下、より更に好ましくは5分以下である。
【0110】
すすぎは、ためすすぎ、流水すすぎ、これらの組み合わせなどにより行うことができる。
すすぎ液と繊維製品との接触は、例えば、予め調製した、(a)成分及び(b)成分を含有し、pH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に供給して行うことができる。
また、(a)成分及び(b)成分を含有する繊維製品に、pH6.5以下の水を供給して(a)成分及び(b)成分を含有しpHが6.5以下のすすぎ液が繊維製品と接触するようにして、本発明のすすぎを行ってもよい。
また、(a)成分、(b)成分及びpH調整剤を洗浄剤に配合して、洗浄後の繊維製品中に(a)成分、(b)成分及びpH調整剤が残留するように処理し、洗浄後の繊維製品に水(pHは6.5以下でもよいし、6.5より大きくてもよい)を供給してそのpHを6.5以下にして、(a)成分と(b)成分の存在下で、pHが6.5以下のすすぎ液が繊維製品と接触するようにして、本発明のすすぎを行ってもよい。一般に、すすぎに水道水などの生活用水を用いる場合は、pHは中性近傍であるので、繊維製品がpH調整剤として酸剤を含有すると、酸剤がpH低下剤として機能するので、pH6.5以下のすすぎ液を簡易に得ることができる。すなわち、洗浄液が酸性で、(a)成分を含んだ状態の繊維製品にpH6.5を超える水を供給してpHが6.5以下になるのであれば、事前にpH6.5以下のすすぎ水を調製する手順を省いて本発明のすすぎを行うことができる。
【0111】
本発明の洗濯方法は、例えば、家庭用、業務用などの洗濯機で行うことができる。洗濯機での洗浄では、洗浄剤で繊維製品を洗浄した後、必要により脱水を行った後、すすぎが行われる。その際に、(a)成分及び(b)成分の存在下、pH6.5以下のすすぎ液で繊維製品をすすぐことで本発明の洗濯方法を行うことができる。(a)成分及び(b)成分は、(a)成分及び(b)成分を洗浄剤又は洗浄液に配合する、すすぎ前の繊維製品に(a)成分及び(b)成分を供給する、すすぎ液に(a)成分及び(b)成分を配合する、これらを組み合わせる、などの方法ですすぎ時に繊維製品と共存させることができる。
【0112】
本発明の洗濯方法では、すすぎ液中の(a)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.001ppm以上、より好ましくは0.005ppm以上、更に好ましくは0.01ppm以上、より更に好ましくは0.025ppm以上、そして、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.25ppm以下、更に好ましくは0.1ppm以下であってよい。
【0113】
本発明の洗濯方法では、すすぎ液中の(a)成分の量(mg/kg)は、繊維残留性の観点から、乾燥状態の繊維製品の質量(kg)を基準にして、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.2以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下であってよい。
【0114】
本発明の洗濯方法では、すすぎ液中の(b)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは1ppm以上、より好ましくは3ppm以上、更に好ましくは5ppm以上、より更に好ましくは10ppm以上、そして、好ましくは300ppm以下、より好ましくは150ppm以下、更に好ましくは75ppm以下、より更に好ましくは30ppm以下であってよい。
【0115】
本発明の洗濯方法では、すすぎ液が(b1)成分を含有する場合、すすぎ液中の(b1)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1.5ppm以上、更に好ましくは2.5ppm以上、より更に好ましくは5ppm以上、より更に好ましくは10ppm以上、そして、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、より更に好ましくは30ppm以下であってよい。
【0116】
本発明の洗濯方法では、すすぎ液が(b2)成分を含有する場合、すすぎ液中の(b2)成分の濃度は、繊維残留性の観点から、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1.5ppm以上、更に好ましくは3ppm以上、より更に好ましくは5ppm以上、より更に好ましくは10ppm以上、そして、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは75ppm以下、より更に好ましくは50ppm以下、より更に好ましくは30ppm以下であってよい。
【0117】
本発明では、すすぎ液における(b)/(a)、(b1)/(a)、(b2)/(a)、(b1)/(b2)の質量比は、それぞれ、本発明の洗浄液で述べた範囲であってよい。
また、本発明では、すすぎ液が、本発明の洗浄液で述べた任意成分を含有していてもよい。
【0118】
本発明の洗濯方法は、繊維残留性の観点から、すすぎの際に、回転式洗濯機を用いることも可能である。回転式の洗濯機としては、繊維残留性の観点から、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。本発明では、1回の洗濯に使用する水の量がより低減できる点で、ドラム式洗濯機を用いることが好ましい。
【0119】
本発明の態様として、例えば、繊維製品の洗浄と洗浄後の繊維製品のすすぎとを行う洗濯方法であって、
(a)成分及び(b)成分を含有する洗浄液を用いて繊維製品の洗浄を行い、
(a)成分及び(b)成分を含んだ状態の洗浄後の繊維製品に、pH6.5以下のすすぎ液を接触させてすすぎを行う、
洗濯方法が挙げられる。この洗濯方法には、前述の本発明の洗濯方法で述べた事項を適宜適用することができる。
【実施例0120】
<(a)成分>
・a-1:ダイクロサン
【0121】
<(b)成分>
・b-1:(b1-1)成分、一般式(b1-1)中、Rが炭素数12~14のアルキル基、POとEOはR-O-にPO、EOの順に結合したブロック結合、qが2、rが2、Mがモノエタノールアンモニウムである化合物
・b-2:(b1-2)成分、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩(以下、C16IOSともいう)
【0122】
C16IOSは、炭素数16の内部オレフィンを用いて、特開2014-76988号の製造例に記載の方法を参考にして得た。得られたC16IOSの内部オレフィンスルホン酸カリウム塩中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸カリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸カリウム)の質量比は17/83である。C16IOS中のヒドロキシ体のスルホン酸基の位置分布の質量割合は、1位/2位/3位/4位/5位/6位/7位/8位/9位=2.3%/23.6%/18.9%/17.5%/13.7%/11.2%/6.4%/6.4%/0%(合計100質量%)であった。また、(IO-1S)/(IO-2S)≒1.6(質量比)である。なお、(IO-1S)は、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量であり、(IO-2S)は、スルホン酸基が5位以上に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量である。
【0123】
内部オレフィンスルホン酸塩におけるスルホン酸基の位置分布の質量割合は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(HPLC-MS)により測定した。具体的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりスルホン酸基が結合しているヒドロキシ体を分離し、それぞれを質量分析計(MS)にかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。本明細書においては、ピーク面積から求めた各々の割合を質量割合として算出した。
尚、測定に使用した装置及び条件は次の通りであった。HPLC装置「LC-20ASXR」((株)島津製作所製)、カラム「ODS Hypersil(登録商標)」(4.6×250mm、粒子サイズ:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加 メタクリロニトリル/水=95/5(v/v)溶液)、グラジェント(0分(A/B=60/40)→15.1~20分(30/70)→20.1~30分(60/40)、MS装置「LCMS-2020」((株)島津製作所製)、ESI検出(陰イオン検出m/z:321.10(炭素数16の成分)、カラム温度(40℃)、流速(0.5mL/min)、インジェクション容量(5μL)
【0124】
内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC-MSにより測定した。具体的には、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。
尚、測定に使用した装置および条件は次の通りであった。HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:L-columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、グラジェント(0分(A/B=30/70%)→10分(30/70%)→55分(0/100%)→65分(0/100%)→66分(30/70%)→75分(30/70%))、MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D)),MS検出(陰イオン検出 m/z60-1600、UV240nm)
また、炭素数の脂肪族炭化水素基を有するα-オレフィンスルホ酸塩を規定量外部標準としてC16IOSに添加し、α-オレフィンスルホン酸塩のピーク面積と、C16IOSのピーク面積を対比してC16IOSの質量を算出した。C16IOSの分子量からC16IOSのモル数を算出した。C16IOSの分子量は酸型で算出した。内部オレィンスルホン酸塩のオレフィン体の分子量は304.5、HAS体の分子量は322.6である。
【0125】
・b-3:(b2-1)成分、一般式(b2-1)中、Rが炭素数16~18のアルキル基、AOがエチレンオキシ基、mが15、Rがメチル基である化合物
・b-4:(b2-2)成分、一般式(b2-2)中、Rが炭素数12~14のアルキル基、sが3.7、tが16.5、Rが水素原子である化合物
【0126】
<(b’)成分>
・b’-1:(b’1-1)成分、一般式(b’1-1)中、R1-1が炭素数10~14のアルキル基、Mがナトリウムである化合物
・b’-2:(b’1-2)成分、一般式(b’1-2)中、R1-2が炭素数10~16のアルキル基、pが2、Mがナトリウムである化合物
・b’-3:(b’2-1)成分、一般式(b’2-1)中、R2-1が炭素数12~14のアルキル基、nが10、R2-2が水素原子である化合物
【0127】
(1)pHの異なるすすぎ液の調製
和歌山市水道水(pH7.5)に0.1M塩酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)を加え、pHを25℃で6.5、6.0、5.5、5.0に調整し、すすぎ液とした。
pH測定にはpHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター D-71)を、あらかじめpH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)で校正し使用した。
【0128】
(2)試験布の調製
木綿布1.7kg(木綿2003(谷頭商店製))を、全自動洗濯機(National製 NA-F702P)の標準コースで2回累積洗濯(洗浄時にエマルゲン108(花王(株)製)4.7g、水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)後、水のみで3回累積洗濯(水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)を行い、25℃で24時間乾燥させた。その後、6cm×6cmの大きさに裁断し、試験布とした。
【0129】
(3)ダイクロサンの残留試験
試験布5枚(2g)と表1に記載の洗浄液40gをスクリュー管No.8(株式会社マルエム製)に投入し、往復振とう機(TAITEC社製、STORONGSHAKER SA-2DW)を用いて、300rpm10分間洗浄処理を行った。洗浄処理終了後、シリンジ50mL(テルモ株式会社製)を使用し脱水処理し、脱水した試験布とすすぎ液40gをスクリュー管No.8(株式会社マルエム製)に投入し、往復振とう機(TAITEC社製、STORONGSHAKER SA-2DW)を用いて、25℃で300rpm5分間すすぎ処理を行った。すすぎ処理終了後、シリンジ50mL(テルモ株式会社製)を使用し脱水処理し24時間乾燥させた。
任意に選択した乾燥後の試験布2枚を、スクリュー管No.8に封入しながら布の質量を測定した。そこに50mLのメタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を加え、超音波洗浄機で30分間、超音波処理した。その後、上清をPTFEフィルター(Pall社製、孔径:0.45μm)によりフィルター処理することで測定用溶液を得た。次に、TinosanHP100をメタノールで希釈しダイクロサン濃度が0.015μg/mL、0.03μg/mL、0.15μg/mL、0.3μg/mL、1.5μg/mLの検量線用溶液を調製した。測定用溶液中のダイクロサン量を液体クロマトグラフ質量分析装置(以下、LCMS装置と省略)で定量し、検量線用溶液から試験布へのダイクロサン残留量を求めた。結果を表1に示す。
・LCMS装置:(株)島津製作所製 LCMS2020
・溶離液A:10mmol/L 酢酸アンモニウムの蒸留水を用いた水溶液
溶離液B:10mmol/L 酢酸アンモニウムのメタノール溶液
・グラジエント条件: 溶離液A/B=1:1(0分)→溶離液B(2-5分)→溶離液A/溶離液B=1/1(5.1分-8分)、流量:0.6mL/min、サンプル注入量5μL、カラム温度40℃
【0130】
【表1】
【0131】
表1の結果から、(a)成分及び(b)成分の存在下、実施例のようにpH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させてすすぎを行う方が、(a)成分の残留量が向上することがわかる。表1の結果から(a)成分及び(b)成分を洗浄剤に配合して洗浄した後にすすぐ場合も、(a)成分及び(b)成分が共存する状態ですすぎが行われるため、(a)成分及び(b)成分を洗浄剤に配合して行う洗濯方法でも、pH6.5以下のすすぎ液を繊維製品に接触させてすすぎを行うことで本発明の効果が得られることがわかる。繊維製品への(a)成分の残留量が向上することは、抗菌効果の向上につながるものと考えられる。