(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071042
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】バイタルサイン取得装置、コンピュータプログラム、およびバイタルサイン取得システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240517BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20240517BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181760
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松沢 航
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB04
4C117XB06
4C117XB09
4C117XB12
4C117XC11
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE24
4C117XE43
4C117XE48
4C117XG17
4C117XG19
4C117XJ13
4C117XJ34
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】スポットチェック業務に係る医療従事者の負担を軽減する。
【解決手段】入力インタフェース121は、対象者Sのバイタルサインを取得する第一センサ111から当該バイタルサインに対応する第一検出信号DS1を受け付ける。推論モデル122は、第一検出信号DS1が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する。プロセッサ123は、前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である第一検出信号DS1に関連付けられたバイタルサインに対応するバイタルサインデータVDを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者のバイタルサインを取得する第一センサから当該バイタルサインに対応する第一検出信号を受け付けるインタフェースと、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力するプロセッサと、
を備えている、
バイタルサイン取得装置。
【請求項2】
前記複数のクラスの一つは、前記バイタルサインに重畳するアーチファクトに関連している、
請求項1に記載のバイタルサイン取得装置。
【請求項3】
前記複数のクラスの一つは、前記バイタルサインが取得されてからの経過時間に関連している、
請求項1に記載のバイタルサイン取得装置。
【請求項4】
前記バイタルサインは呼吸情報を含んでいる、
請求項1に記載のバイタルサイン取得装置。
【請求項5】
前記データは、前記対象者の疾病兆候を評価する指標を含んでいる、
請求項1に記載のバイタルサイン取得装置。
【請求項6】
前記インタフェースは、前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を第二センサから受け付け、
前記プロセッサは、前記第二検出信号に基づいて前記データを出力するかを判断する、
請求項1に記載のバイタルサイン取得装置。
【請求項7】
バイタルサイン取得装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記バイタルサイン取得装置は、
対象者のバイタルサインを取得するセンサから当該バイタルサインに対応する検出信号を受け付け、
前記検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルに前記検出信号を入力し、
前記推論モデルから出力された前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力する、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
対象者のバイタルサインに対応する第一検出信号を出力する第一センサと、
前記対象者の属性情報を管理する管理装置と、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを、前記管理装置へ出力する処理装置と
を備えており、
前記管理装置は、前記データを前記属性情報に関連付けて保存する、
バイタルサイン取得システム。
【請求項9】
前記第一センサは、非稼働期間よりも稼働期間の方が長い、
請求項8に記載のバイタルサイン取得システム。
【請求項10】
前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を出力する第二センサを備えており、
前記処理装置は、前記第二検出信号に基づいて前記データを前記管理装置へ出力するかを判断する、
請求項8に記載のバイタルサイン取得システム。
【請求項11】
前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を出力する第二センサを備えており、
前記管理装置は、前記第二検出信号に基づいて前記データを保存するかを判断する、
請求項8に記載のバイタルサイン取得システム。
【請求項12】
前記管理装置は、前記データに対し前記対象者の疾病兆候を評価する指標を付与する、
請求項8に記載のバイタルサイン取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者からバイタルサインを取得する装置、および当該装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムに関連する。本開示は、当該装置、および当該対象者の属性情報を管理する管理装置を含むバイタルサイン取得システムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
対象者の容体を把握するために各種のバイタルサインが取得される。医療従事者は、対象者のもとを定期的に訪れ、適宜の装置を通じて所定のバイタルサインを取得する。この業務は、スポットチェックと称されている。特許文献1は、バイタルサインの一例である呼吸数を取得するスポットチェック業務を支援する装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポットチェック業務に係る医療従事者の負担を軽減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供されうる一態様例は、バイタルサイン取得装置であって、
対象者のバイタルサインを取得する第一センサから当該バイタルサインに対応する第一検出信号を受け付けるインタフェースと、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力するプロセッサと、
を備えている。
【0006】
本開示により提供されうる一態様例は、バイタルサイン取得装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記バイタルサイン取得装置は、
対象者のバイタルサインを取得するセンサから当該バイタルサインに対応する検出信号を受け付け、
前記検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルに前記検出信号を入力し、
前記推論モデルから出力された前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力する。
【0007】
本開示により提供されうる一態様例は、バイタルサイン取得システムであって、
対象者のバイタルサインに対応する第一検出信号を出力する第一センサと、
前記対象者の属性情報を管理する管理装置と、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを、前記管理装置へ出力する処理装置と、
を備えており、
前記管理装置は、前記データを前記属性情報に関連付けて保存する。
【0008】
スポットチェック業務は、一日に数回、医療従事者が対象者の病床を訪れ、所定のバイタルサインを取得することが一般的である。取得されたバイタルサインは、手作業またはスポットチェッカと称される機器を通じて電子カルテなどの管理データベースに記録される。この業務は、定期的な拘束が強いられる一方で、訪問時に必ずしも対象者がバイタルサインを良好に取得できる状態であるとは限らず、医療従事者にとって負担増の一因となっている。
【0009】
上記の各態様例に係る構成によれば、第一センサを通じて取得された対象者のバイタルサインに対応するデータを、バイタルサイン取得装置に随時入力させることができる。加えて、予め設定された複数のクラスの一つに該当する確率が高いバイタルサインに対応するデータを選択的に取得し、対象者の属性情報と関連付けて保存できる。換言すると、医療従事者が対象者の病床を訪れなくとも、電子カルテなどの管理データベースへの記録に供されるバイタルサインの取得を自動化できる。加えて、推論モデルの介在によって所望する条件に該当するバイタルサインが選別されるので、対象者の状態や取得環境の影響が抑制された状態で記録に供されるデータを取得できる。よって、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るバイタルサイン取得システムの機能構成を例示している。
【
図2】別例に係るバイタルサイン取得システムの機能構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係るバイタルサイン取得システム10の機能構成を例示している。バイタルサイン取得システム10は、対象者Sのバイタルサインを取得して管理するためのシステムである。
【0013】
本明細書で用いられる「バイタルサイン」という語は、脈拍、呼吸、体温、血圧、および意識レベルの少なくとも一つの数値、または当該数値の経時変化を意味する。数値の経時変化は、波形やグラフとして可視化されうる。
【0014】
バイタルサイン取得システム10は、第一センサ111を含んでいる。第一センサ111は、対象者Sのバイタルサインに対応する第一検出信号DS1を出力するように構成されている。第一検出信号DS1は、第一センサ111の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0015】
第一センサ111は、取得されるバイタルサインに応じた周知の構成を備えうる。一例として、第一センサ111は、病床に設置された非拘束センサでありうる。別例として、第一センサ111は、対象者Sの身体に装着されるウェアラブル装置や、対象者Sによる携帯が可能なモバイル装置に搭載されうる。別例として、第一センサ111は、医療施設に設置されるモニタ装置、医用テレメータ、カメラ、サーマルカメラ、スマートスピーカなどに搭載されうる。
【0016】
第一センサ111が病床に設置された非拘束センサである場合、バイタルサインとして呼吸数や心拍数が取得されうる。第一センサ111がカメラやスマートスピーカに搭載される場合、バイタルサインとして意識レベルが取得されうる。第一センサ111がサーマルカメラに搭載される場合、バイタルサインとして体温が取得されうる。第一センサ111がウェアラブル装置やモバイル装置に搭載される場合、バイタルサインとして心拍数、呼吸数、血圧、体温が取得されうる。
【0017】
バイタルサイン取得システム10は、処理装置12を含んでいる。処理装置12は、入力インタフェース121、推論モデル122、プロセッサ123、および出力インタフェース124を備えている。処理装置12は、バイタルサイン取得装置の一例である。
【0018】
入力インタフェース121は、第一検出信号DS1を受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。第一検出信号DS1がアナログ信号である場合、入力インタフェース121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される入力インタフェース121が受け付け可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0019】
推論モデル122は、第一検出信号DS1が複数のクラスの各々に分類される確率を推論結果として出力するように構成されたアルゴリズムである。複数のクラスの一例としては、「アーチファクトあり」と「アーチファクトなし」が挙げられる。「アーチファクトあり」クラスは、第一検出信号DS1に無視できないアーチファクトが重畳している状態に対応している。「アーチファクトなし」クラスは、第一検出信号DS1に重畳しているアーチファクトが皆無または無視できる程度である状態に対応している。複数のクラスの別例としては、対象者Sが睡眠状態であるか否か、対象者Sにチェーンストークス呼吸、閉塞性無呼吸、中枢性無呼吸などが発生しているか否か、などが挙げられる。確率は、0から1の間の値をとる。値0は、0%に対応している。値1は、100%に対応している。推論結果は、推論された確率に対応するスコア(例えば1から5までの値のいずれか)であってもよい。
【0020】
推論モデル122は、教師データを用いた機械学習を行なうことにより生成されうる。教師データは、取得されるバイタルサインの種別と設定される複数のクラスに応じて適宜に構成されうる。機械学習に用いられるアルゴリズムの例としては、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシンなどが挙げられる。
【0021】
プロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられた第一検出信号DS1を推論モデル122に入力し、推論モデル122から出力された確率に対応するデータを取得するように構成されている。プロセッサ123は、第一検出信号DS1が特定のクラスに分類される確率が閾値以上であるかを判断するように構成されている。例えば、第一検出信号DS1が「アーチファクトなし」クラスに分類される確率が閾値以上であるかが判断される。
【0022】
プロセッサ123は、当該確率が閾値以上であると判断された第一検出信号DS1に関連付けられたバイタルサインに対応するバイタルサインデータVDを、出力インタフェース124から出力するように構成されている。バイタルサインデータVDは、当該データを受け付ける装置の仕様に応じて、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。
【0023】
出力インタフェース124は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。バイタルサインデータVDがアナログデータの形態である場合、出力インタフェース124は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される出力インタフェース124が出力可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0024】
バイタルサイン取得システム10は、管理装置13を含んでいる。管理装置13は、対象者Sの属性情報を管理するように構成されている。属性情報の例としては、対象者Sの氏名、年齢、性別、既往歴などが挙げられる。すなわち、管理装置13は、電子カルテなどの管理データベースシステムの一部でありうる。
【0025】
管理装置13は、半導体メモリ、ハードディスク装置、磁気テープ装置などのストレージを備えうる。管理装置13は、処理装置12から出力された対象者SのバイタルサインデータVDを、対象者Sの属性情報と関連付けて当該ストレージに保存するように構成されている。
【0026】
スポットチェック業務は、一日に数回、医療従事者が対象者の病床を訪れ、所定のバイタルサインを取得することが一般的である。取得されたバイタルサインは、手作業またはスポットチェッカと称される機器を通じて電子カルテなどの管理データベースに記録される。この業務は、定期的な拘束が強いられる一方で、訪問時に必ずしも対象者がバイタルサインを良好に取得できる状態であるとは限らず、医療従事者にとって負担増の一因となっている。
【0027】
上記のような構成によれば、第一センサ111を通じて取得された対象者Sのバイタルサインに対応するデータを、処理装置12に随時入力させることができる。加えて、予め設定された複数のクラスの一つに該当する確率が高いバイタルサインに対応するデータを選択的に取得し、対象者Sの属性情報と関連付けて保存できる。換言すると、医療従事者が対象者Sの病床を訪れなくとも、電子カルテなどの管理データベースへの記録に供されるバイタルサインの取得を自動化できる。加えて、推論モデル122の介在によって所望する条件に該当するバイタルサインが選別されるので、対象者Sの状態や取得環境の影響が抑制された状態で記録に供されるバイタルサインデータVDを取得できる。よって、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担を軽減できる。
【0028】
特にバイタルサインに重畳するアーチファクトが関連するように上記の複数のクラスが設定されることにより、例えば、対象者Sの体動などに起因するアーチファクトの重畳が無視できるバイタルサインに対応するバイタルサインデータVDを選択的に取得できる。このような選別が自動的になされることによって品質の高いバイタルサインデータVDの取得が容易化され、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担軽減効果を高めることができる。
【0029】
別例として、バイタルサインが取得されてからの経過時間が関連するように上記の複数のクラスが設定されうる。例えば、取得されてからの経過時間が所定値未満である(比較的新しい)バイタルサインに対応するバイタルサインデータVDを選択的に取得できる。このような選別が自動的になされることによって第一センサ111からの入力の随時性によらず所望のタイミングでのバイタルサインデータVDの取得が容易化され、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担軽減効果を高めることができる。
【0030】
バイタルサインの入力の随時性という観点からは、第一センサ111の稼働期間は、非稼働期間よりも長いことが好ましい。なお、ここで用いられる「稼働期間」という語は、必ずしもセンサがバイタルサインを取得している状態のみを指すことを意味しない。例えばセンサが所定の条件で待機状態から復帰してバイタルサインの取得を開始するように構成されている場合において、当該所定の条件を検出するためにバックグラウンド処理が実行されている状態は、バイタルサインの取得動作がなされていなくても上記の「稼働期間」に該当する。
【0031】
目視によるスポットチェックの場合、呼吸状態の正確な取得が比較的難しいことが知られている。したがって、第一センサ111により取得される対象者Sのバイタルサインは、呼吸状態を含むことが好ましい。この場合、正確性が高められた呼吸状態の取得を容易に自動化できる。これにより、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担軽減効果を高めることができる。
【0032】
プロセッサ123は、推論モデル122により出力された確率に基づいて選別されたバイタルサインに基づいて、対象者Sの傷病兆候を評価する指標を取得するように構成されうる。当該指標の例としては、NEWS(National Early Warning Score)などが挙げられる。NEWSは、複数種のバイタルサインに基づいて取得される。この場合、出力インタフェース124から出力されるバイタルサインデータVDは、当該指標に対応する情報を含むように構成される。
【0033】
前述の訪問を通じたスポットチェックの場合、その頻度の少なさゆえに、対象者の容体の急変またはその兆候を把握できない可能性を排除できなかった。第一センサ111を通じたバイタルサインの入力の随時性に加えて上記のような指標をバイタルサインデータVDに含めることにより、対象者Sの容体の急変またはその兆候を適時に把握することを容易化できる。これにより、スポットチェック業務に係る医療従事者の負担軽減効果を高めることができる。
【0034】
図1に例示されるように、バイタルサイン取得システム10は、第二センサ112を含みうる。第二センサ112は、対象者Sの意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号DS2を出力するように構成される。第二検出信号DS2は、第二センサ112の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。処理装置12の入力インタフェース121は、第二検出信号DS2も受け付けるように構成されうる。プロセッサ123は、第二検出信号DS2に基づいてバイタルサインデータVDを出力するかを判断するように構成されうる。
【0035】
一例として、第二センサ112は、対象者Sが映り込んだ画像を取得するカメラでありうる。この場合、第二検出信号DS2は、当該画像に対応する信号でありうる。プロセッサ123は、適宜の画像処理技術を用いて対象者Sの意識レベルと安静状態の少なくとも一方を判断する。例えば、対象者Sの意識レベルがバイタルサインの取得に適していないと判断された場合(覚醒している必要があるのに睡眠している場合など)、プロセッサ123は、バイタルサインデータVDの出力インタフェース124からの出力を禁止するように構成されうる。これに加えてあるいは代えて、対象者Sが安静状態にないと判断された場合、プロセッサ123は、バイタルサインデータVDの出力インタフェース124からの出力を禁止するように構成されうる。
【0036】
プロセッサ123は、第二センサ112により取得された画像に基づいて、対象者Sに酸素投与が適切に行なわれているかを判断してもよい。
【0037】
別例として、第二センサ112は、対象者Sの病床に設置された体動センサでありうる。この場合、第二検出信号DS2は、対象者Sの体動に対応する信号でありうる。プロセッサ123は、当該信号に基づいて対象者Sの安静状態を判断する。対象者Sが安静状態にないと判断された場合、プロセッサ123は、バイタルサインデータVDの出力インタフェース124からの出力を禁止するように構成されうる。
【0038】
このような構成によれば、不適当な状況下で取得されたバイタルサインに対応するバイタルサインデータVDの出力を制限できる。これにより、不適当なバイタルサインに基づくデータが管理データベースに記録される事態の発生が抑制されるので、スポットチェック業務に係るデータ管理の負担を軽減できる。
【0039】
図1に破線で例示されるように、第二センサ112から出力された第二検出信号DS2は、処理装置12に代えて管理装置13に入力されうる。この場合、管理装置13は、処理装置12の入力インタフェース121およびプロセッサ123と同様のインタフェースとプロセッサを備える。管理装置13のプロセッサは、インタフェースにより受け付けられた第二検出信号DS2に基づいて、処理装置12から出力されたバイタルサインデータVDを保存するかを判断するように構成されうる。
【0040】
例えば、第二検出信号DS2に基づいて対象者Sの意識レベルがバイタルサインの取得に適していないと判断された場合(覚醒している必要があるのに睡眠している場合など)、管理装置13は、処理装置12から受け付けたバイタルサインデータVDの保存を禁止するように構成されうる。これに加えてあるいは代えて、対象者Sが安静状態にないと判断された場合、管理装置13は、処理装置12から受け付けたバイタルサインデータVDの保存を禁止するように構成されうる。
【0041】
このような構成によっても、不適当な状況下で取得されたバイタルサインに対応するバイタルサインデータVDの管理データベースへの記録を制限できるので、スポットチェック業務に係るデータ管理の負担を軽減できる。
【0042】
上述した様々な機能を有する処理装置12のプロセッサ123は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した様々な機能を実現するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされてから汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0043】
プロセッサ123は、上記のコンピュータプログラムを実行可能なマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体の一例である。プロセッサ123は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0044】
これまで説明した様々な構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨の範囲内で適宜に変更や相互の組合せがなされうる。
【0045】
推論モデル122は、必ずしも処理装置12に搭載されることを要しない。
図2に例示されるように、バイタルサイン取得システム10は、第一センサ111、第二センサ112、処理装置12、管理装置13、およびサーバ装置14が通信ネットワークNを介して通信可能に接続された構成をとりうる。この場合、処理装置12のプロセッサ123とのデータの授受が可能であれば、推論モデル122は、管理装置13またはサーバ装置14に搭載されうる。
【0046】
以下に各項目に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。
項目1:
対象者のバイタルサインを取得する第一センサから当該バイタルサインに対応する第一検出信号を受け付けるインタフェースと、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力するプロセッサと、
を備えている、
バイタルサイン取得装置。
項目2:
前記複数のクラスの一つは、前記バイタルサインに重畳するアーチファクトに関連している、
項目1に記載のバイタルサイン取得装置。
項目3:
前記複数のクラスの一つは、前記バイタルサインが取得されてからの経過時間に関連している、
項目1または2に記載のバイタルサイン取得装置。
項目4:
前記バイタルサインは呼吸情報を含んでいる、
項目1から3のいずれか一項に記載のバイタルサイン取得装置。
項目5:
前記データは、前記対象者の疾病兆候を評価する指標を含んでいる、
項目1から4のいずれか一項に記載のバイタルサイン取得装置。
項目6:
前記インタフェースは、前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を第二センサから受け付け、
前記プロセッサは、前記第二検出信号に基づいて前記データを出力するかを判断する、
項目1から5のいずれか一項に記載のバイタルサイン取得装置。
項目7:
バイタルサイン取得装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記バイタルサイン取得装置は、
対象者のバイタルサインを取得するセンサから当該バイタルサインに対応する検出信号を受け付け、
前記検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルに前記検出信号を入力し、
前記推論モデルから出力された前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを出力する
コンピュータプログラム。
項目8:
対象者のバイタルサインに対応する第一検出信号を出力する第一センサと、
前記対象者の属性情報を管理する管理装置と、
前記第一検出信号が複数のクラスの各々に分類される確率を出力する推論モデルと、
前記複数のクラスの一つに分類される前記確率が閾値以上である前記第一検出信号に関連付けられたバイタルサインに対応するデータを、前記管理装置へ出力する処理装置と
を備えており、
前記管理装置は、前記データを前記属性情報に関連付けて保存する、
バイタルサイン取得システム。
項目9:
前記第一センサは、非稼働期間よりも稼働期間の方が長い、
項目8に記載のバイタルサイン取得システム。
項目10:
前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を出力する第二センサを備えており、
前記処理装置は、前記第二検出信号に基づいて前記データを前記管理装置へ出力するかを判断する、
項目8または9に記載のバイタルサイン取得システム。
項目11:
前記対象者の意識レベルと安静状態の少なくとも一方に対応する第二検出信号を出力する第二センサを備えており、
前記管理装置は、前記第二検出信号に基づいて前記データを保存するかを判断する、
項目8または9に記載のバイタルサイン取得システム。
項目12:
前記管理装置は、前記データに対し前記対象者の疾病兆候を評価する指標を付与する、
項目8から11のいずれか一項に記載のバイタルサイン取得システム。
【符号の説明】
【0047】
111:第一センサ、112:第二センサ、12:処理装置、121:入力インタフェース、122:推論モデル、13:管理装置、DS1:第一検出信号、DS2:第二検出信号、S:対象者、VD:バイタルサインデータ