IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-生産システム 図1
  • 特開-生産システム 図2
  • 特開-生産システム 図3
  • 特開-生産システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071048
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】生産システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240517BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240517BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
B23P21/00 307P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181775
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 草太
【テーマコード(参考)】
3C030
5E353
【Fターム(参考)】
3C030DA10
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC04
5E353CC25
5E353EE34
5E353EE90
5E353GG01
5E353HH01
5E353HH13
5E353HH30
5E353HH40
5E353HH71
5E353HH80
5E353JJ21
5E353LL02
5E353QQ01
5E353QQ22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業者が補給ロボットの進行方向周辺の領域を認識し易くすると共に補給ロボットの動作時間を延長できるようにする。
【解決手段】生産システムは、生産施設の床面に沿って並ぶ複数のモジュールを含む生産ラインと、生産ラインに沿って移動し、各モジュールに対して生産に必要な部材を補給する補給ロボットと、複数のモジュールにそれぞれに設けられ、移動している補給ロボットの進行方向周辺の領域における床面に光を照射する光源部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産施設の床面に沿って並ぶ複数のモジュールを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って移動し、各モジュールに対して生産に必要な部材を補給する補給ロボットと、
前記複数のモジュールにそれぞれに設けられ、移動している前記補給ロボットの進行方向周辺の領域における前記床面に光を照射する光源部と、
を備える生産システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産システムであって、
前記生産ラインに対する前記補給ロボットの位置と、前記補給ロボットの進行方向とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記補給ロボットの位置に基づいて前記補給ロボットに対向するモジュールを認識し、前記補給ロボットに対向するモジュールから、当該モジュールよりも所定数だけ前記補給ロボットの進行方向前方にあるモジュールまでの各モジュールの前記光源部を発光させる光源制御部と、
を備える生産システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生産システムであって、
前記補給ロボットが前記進行方向に移動するにしたがって、前記進行方向前方に位置するモジュールの前記光源部を順次追加で点灯すると共に前記進行方向後方に位置するモジュールの前記光源部を順次消灯する光源制御部
を備える生産システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の生産システムであって、
前記光源部は、前記補給ロボットに対して前記モジュールとは反対側に、前記複数のモジュールの並び方向に沿った直線状の光を前記床面に照射する、
生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、生産システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の部品実装機が並べて配置された部品実装ラインと移動ロボットとを備える部品実装システムであって、作業者に対して移動ロボットの移動範囲を報知する部品実装システムが知られている。例えば、特許文献1には、それぞれの部品実装機に発光部が設けられており、それぞれの発光部を、移動ロボットの現在位置からの距離と、進行方向とに基づいて定められた異なる色で発光させることにより、作業者に移動阻害領域を報知するものが開示されている。移動阻害領域は、内側に障害物(例えば、作業者)があると移動ロボットの動作を妨げる可能性のある領域である。また、特許文献2には、移動ロボットに設けられた発光部で移動ロボットの進行方向を照射することで、作業者に対して警告領域を報知するものが開示されている。警告領域は、内部に障害物があると警告を発する領域である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/173204号
【特許文献2】特開2018-32279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている部品実装システムでは、作業者自身が動作阻害領域に接近しているか否かを認識するためには、発光部の色を認識すると共に色に応じた距離を認識する必要があり、作業者が動作阻害領域を直感的に認識し難い場合も多い。そのため、経験の浅い作業者は、誤って移動阻害領域内に侵入するおそれがある。また、特許文献2に開示されている部品実装システムでは、作業者は警告領域を認識し易いものの、発光部は移動ロボットが備えるバッテリから電力供給を受けて発光する。そのため、移動ロボットの動作時間が短くなるおそれがある。
【0005】
本開示は、作業者が補給ロボットの進行方向周辺の領域を認識し易くすると共に補給ロボットの電力消費を抑制することを主目的とする。
【0006】
本開示では、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の生産システムは、
生産施設の床面に沿って並ぶ複数のモジュールを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って移動し、各モジュールに対して生産に必要な部材を補給する補給ロボットと、
前記複数のモジュールにそれぞれに設けられ、移動している前記補給ロボットの進行方向周辺の領域における前記床面に光を照射する光源部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この生産システムでは、複数のモジュールのそれぞれに、補給ロボットの進行方向周辺の領域を床面に光を照射する光源部が設けられている。これにより、作業者は、補給ロボットの進行方向周辺の領域を認識し易くなる。また、光源部は、補給ロボットから電力供給を受けて発光するものではないため、補給ロボットに光源部を設けた場合と比べて補給ロボットの電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10の概略構成図である。
図2】実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図である。
図3】発光制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】発光部Lが床面Fに光Rを照射する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実装システムの実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、実装システム10の概略構成図である。図2は、実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図である。図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
【0011】
実装システム10は、複数(本実施形態では5台)の実装機30を有する実装ライン20のそれぞれにおいて、フィーダ100から部品の供給を受けて、基板に対して部品を順次実装していき、部品が実装された基板を製造するものである。実装システム10は、図1に示すように、実装ライン20と、発光部38,48と、移動ロボット50と、システム制御装置60と、を備えている。ここで、実装ライン20、発光部38,48およびシステム制御装置60は、商用電源から電力供給を受けて動作する。一方、移動ロボット50は、実装ライン20からの無線給電により動作する。なお、本実施形態では、発光部38および発光部48をまとめて発光部Lと称することがある。
【0012】
実装ライン20は、フィーダ100から供給された部品を基板に実装する複数の実装機30と、複数のフィーダ100を保管可能なフィーダ保管庫40とを有する。実装ライン20では、フィーダ保管庫40及び複数の実装機30が、この順番で所定の配列方向(ここではX方向すなわち左右方向)に沿って生産設備の床面Fに並べられている。配列方向は、実装ライン20における基板の搬送方向(X方向)と平行である。X方向(左右方向)のうち、左側が搬送方向上流側であり、右側が搬送方向下流側である。なお、本実施形態では、実装機30とフィーダ保管庫40との各本体部分をまとめてモジュールMと称することがある。
【0013】
実装機30は、図2に示すように、基板搬送装置31と、ヘッド32と、ヘッド移動機構33と、複数のコネクタ34と、X軸ガイドレール35と、ロボット検出センサ36と、実装制御装置37と、を備える。また、実装機30は、筐体の前面にX方向に沿って配置された図示しない非接触給電コイルを備える。基板搬送装置31は、基板をX方向に搬送する。ヘッド32は、フィーダ100が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有する。ヘッド移動機構33は、例えばスライダとモータとを備えており、ヘッド32をXY方向に移動させる。
【0014】
実装機30は、図1に示すように、前方に供給エリア30Aを有する。供給エリア30Aは、複数のコネクタ34に対応して、フィーダ100を取り付け可能なスロットを複数有している。この供給エリア30Aの各スロットに搬入されたフィーダ100は、対応するコネクタ34に接続される。
【0015】
X軸ガイドレール35は、移動ロボット50が、実装ライン20に沿ってX軸方向に移動するように、移動ロボット50をガイドするための部材である。実装機30のX軸ガイドレール35の長さは、実装機30の幅(X軸方向の長さ)に対応する幅である。モジュールMのX軸ガイドレール35は、隣接するモジュールMのX軸ガイドレール35と着脱可能に連結されている。
【0016】
ロボット検出センサ36は、実装ライン20に対する移動ロボット50の位置を検出するセンサである。ロボット検出センサ36は、実装機30の前方に移動ロボット50が存在するか否かを検出可能なセンサである。ロボット検出センサ36は、例えばX軸ガイドレール35に配設された接触式のセンサとしてもよいし、赤外線センサなどの非接触センサとしてもよい。実装機30の前方に移動ロボット50が存在するならば、ロボット検出センサ36は、実装制御装置37にON信号を出力する。実装機30の前方に移動ロボット50が存在しないならば、ロボット検出センサ36は、実装制御装置37にOFF信号を出力する。
【0017】
実装制御装置37は、CPUやROM、RAM、ストレージ(例えば、SSDやHDD)などを備えており、実装機30全体を制御する。実装制御装置37は、基板搬送装置31、ヘッド32、ヘッド移動機構33などへの駆動信号や、発光部38への発光信号を出力する。実装制御装置37は、ロボット検出センサ36からの検出信号を入力する。
【0018】
発光部38は、図1に示すように、対象に対して直線状の光Rを照射可能なラインライトである。発光部38は、実装機30の前面上部に設けられ、X軸方向の幅が実装機30のX軸方向の幅に応じた幅を有する。発光部38は、前斜め下側に向けて発光し、X軸方向に延びる直線状の光Rを床面Fに照射する。また、発光部38は、対応する実装機30に向かい合う移動ロボット50に対して、実装機30とは反対側(例えば、移動ロボット50よりも数十[cm]から1[m]程度Y軸方向前方)の床面Fに光Rを照射する。
【0019】
フィーダ保管庫40は、次の生産に使用する部品を収容したフィーダ100や、実装機30から回収したフィーダ100を保管するための装置である。フィーダ保管庫40は、図1に示すように、筐体の前側に保管エリア40Aと、X軸ガイドレール35と、ロボット検出センサ46(図2参照)と、を有する。また、フィーダ保管庫40は、筐体C2の前面にX方向に沿って配置された図示しない非接触給電コイルを有する。
【0020】
保管エリア40Aは、フィーダ100を取り付け可能なスロットを複数有している。保管エリア40Aは、実装機30の供給エリア30Aと同じ高さ(Z方向位置)に設けられる。保管エリア40Aには、コネクタ34と同様のコネクタ44が複数のスロットの各々に対応して設けられている。保管エリア40Aに搬入されたフィーダ100は、コネクタ44(図2参照)に接続される。
【0021】
X軸ガイドレール35は、実装機30に設けられたものと同様のものである。フィーダ保管庫40のX軸ガイドレール35の長さは、フィーダ保管庫40の幅(X軸方向の長さ)に対応する幅である。
【0022】
ロボット検出センサ46は、ロボット検出センサ36と同様のセンサである。ロボット検出センサ46は、フィーダ保管庫40の前方が検知範囲であり、フィーダ保管庫40の前方に移動ロボット50が存在するか否かを検出する。フィーダ保管庫40の前方に移動ロボット50が存在するならば、ロボット検出センサ46は、システム制御装置60にON信号を出力する。フィーダ保管庫40の前方に移動ロボット50が存在しないならば、ロボット検出センサ46は、システム制御装置60にOFF信号を出力する。ロボット検出センサ36およびロボット検出センサ46のうち、隣合う2つのモジュールMの2つのロボット検出センサの検出範囲には、共に移動ロボット50を検出可能なオーバーラップ部分を有する。
【0023】
なお、本実施形態では、ロボット検出センサ36とロボット検出センサ46とをまとめてセンサSと称することがある。
【0024】
発光部48は、図1に示すように、発光部38と同様に、対象に対して直線状の光Rを照射可能なラインライトである。発光部48は、フィーダ保管庫40の前面上部に設けられ、X軸方向の幅がフィーダ保管庫50のX軸方向の幅に応じた幅を有する。発光部48は、前斜め下側に向けて発光し、X軸方向に延びる直線状の光Rを床面Fに照射する。また、発光部48は、フィーダ保管庫40に向かい合う移動ロボット50に対して、フィーダ保管庫40とは反対側(例えば、移動ロボット50よりも数十[cm]から1[m]程度Y軸方向前方)の床面Fに光Rを照射する。
【0025】
移動ロボット50は、フィーダ保管庫40からフィーダ100を取り出して、当該フィーダ100を実装機30に自動補給したり、使用済みのフィーダ100を実装機30から取り出して、当該フィーダ100をフィーダ保管庫40に自動回収したりするロボットである。移動ロボット50は、図2に示すように、ロボット移動機構51と、フィーダ移載機構52と、エンコーダ53と、監視センサ54と、ロボット制御装置57と、を備える。また、移動ロボット50は、実装ライン20に向き合う面に設けられた図示しない非接触受電コイルを備える。移動ロボット50では、非接触受電コイルが実装機30やフィーダ保管庫40の非接触給電コイルと所定の間隔を保った状態で対峙し、自機の走行等の動作に必要な電力を実装機30やフィーダ保管庫40から受け取る。また、移動ロボット50の筐体内部にはフィーダ100を複数収容可能な図示しないロボット移載エリアが設けられている。ロボット移載エリアは、フィーダ100を収容可能なスロットを複数有している。
【0026】
ロボット移動機構51は、例えば駆動用ベルト及びこれを駆動するサーボモータなどを備えており、走行レール55に沿って移動ロボット50をX方向に移動させる。走行レール55は、隣接するモジュールMのX軸ガイドレール35が連結されたものである。
【0027】
フィーダ移載機構52は、フィーダ100を前後に移動させる機構であり、例えばフィーダ100をクランプするクランプ部とクランプ部をY方向に移動させるY軸モータ及びY軸スライダなどを備えている。フィーダ移載機構52は、ロボット移載エリアに収容されたフィーダ100を前方に搬送して、実装機30の供給エリア30A又はフィーダ保管庫40の保管エリア40Aに搬入する。また、フィーダ移載機構52は、実装機30の供給エリア30A又はフィーダ保管庫40の保管エリア40Aに装着されたフィーダ100を後方に搬出して、ロボット移載エリアに収容する。実装機30の供給エリア30Aとフィーダ保管庫40の保管エリア40Aとは、同じ高さ(Z方向位置)に設けられる。このため、移動ロボット50は、実装機30の供給エリア30Aにフィーダ100を着脱するのと同じ動作で、フィーダ保管庫40の保管エリア40Aにフィーダ100を着脱することができる。エンコーダ53は、ロボット移動機構51によるX方向の移動位置を検出する装置である。
【0028】
監視センサ54は、投光部と受光部とを有するレーザスキャナとして構成される。この監視センサ54は、投光部からレーザ光を照射すると共に、検知エリア内にある障害物(例えば、作業者)からの反射光を受光部が受光することにより、障害物を検知する。また、監視センサ54は、移動ロボット50の進行方向(左方向および右方向)における前方の所定範囲を検知エリアとするように、左右両側にそれぞれ設置されている。
【0029】
ロボット制御装置57は、CPUやROM、RAM、ストレージなどを備えており、移動ロボット50全体を制御する。ロボット制御装置57は、ロボット移動機構51やフィーダ移載機構52に駆動信号を出力する。ロボット制御装置57は、エンコーダ53からの検知信号を入力して移動ロボット50のX方向の現在位置を検出したり、監視センサ54からの検出信号を入力して移動ロボット50のX軸方向への移動を制限したり許容したりする。
【0030】
フィーダ100は、複数の部品を所定ピッチで収容したテープを備えたテープフィーダとして構成されている。フィーダ100は、テープが巻回されたリールと、リールからテープを引き出して送り出すテープ送り機構と、フィーダ全体の制御を行うフィーダ制御部と、記憶部とを備える。フィーダ100では、フィーダ制御部がテープ送り機構に駆動信号を出力することでテープが送り出され、テープに収容された部品がヘッド22の吸着ノズルに吸着可能な状態になる。フィーダ100がコネクタ34又はコネクタ44に接続されると、フィーダ制御部はこのコネクタ34,44を介して装着先の制御部(実装制御装置37又はシステム制御装置60)と通信可能となる。
【0031】
システム制御装置60は、実装システム10全体を制御する。システム制御装置60は、図2に示すように、CPU61やROM62、RAM63、ストレージ64などを備えるコンピュータとして構成されている。システム制御装置60は、コネクタ34を介して供給エリア30Aに取り付けられたフィーダ100の各種情報を入力したり、コネクタ44を介して保管エリア40Aに取り付けられたフィーダ100の各種情報を入力したりする。システム制御装置60は、実装制御装置37、フィーダ保管庫40およびロボット制御装置57と通信可能に接続されており、これらに各種信号を出力する。また、システム制御装置60は、発光部48への発光信号を出力する。また、システム制御装置60は、実装制御装置37から実装機30の実装状況に関する情報や、ロボット制御装置57から移動ロボット50の駆動状況に関する情報を受信する。
【0032】
ストレージ64には、図2に示すように、生産プログラムや、フィーダ保有情報などが記憶されている。生産プログラムは、どの基板にどの実装機30でどの部品を実装するか、また、そのように実装した基板を何枚作製するかなどを定めたプログラムである。フィーダ保有情報は、供給エリア30A、ロボット移載エリアおよび保管エリア40Aの各エリアにセットされているフィーダ100に関する情報である。フィーダ保有情報64bは、例えば、各エリアのそれぞれを識別するエリア識別情報と、エリア内のフィーダ100の位置を表すスロット番号と、フィーダ100に収容されている部品種やフィーダ100に収容されている部品残数などの情報とを対応付けた情報である。
【0033】
なお、本実施形態では、実装制御装置37とシステム制御装置60とをまとめて制御装置Cと称することがある。
【0034】
次に、こうして構成された実装システム10の動作について説明する。まず、実装ライン20によって実行される部品実装処理について説明する。この処理は、システム制御装置60から生産開始指示と共に生産プログラムを受信した後、各実装機30の実装制御装置37によって実行される。
【0035】
部品実装処理を開始すると、実装制御装置37は、まず、基板が搬入されるように基板搬送装置31を制御する。次に、実装制御装置37は、ヘッド32がフィーダ100の部品供給位置の上方に移動するようにヘッド移動機構33を制御する。続いて、実装制御装置37は、ヘッド32を制御して吸着ノズルに部品を吸着させる。そして、実装制御装置37は、吸着ノズルに吸着された部品が基板の実装位置の上方まで移動するようにヘッド移動機構33を制御する。次に、実装制御装置37は、吸着ノズルに吸着された部品が基板に実装されるように、ヘッド32を制御する。実装制御装置37は、これらの処理を繰り返し実行し、実装機30が自機で実装する全ての部品を実装し終えた後、基板が下流側に搬出されるように、基板搬送装置31を制御する。
【0036】
次に、移動ロボット50のロボット制御装置57によって実行される、補給処理または回収処理について説明する。この処理は、システム制御装置60から補給指示または回収指示と共に補給または回収の対象となるモジュールMの位置(以下、目標モジュール)に関する情報が入力された後に実行される。この処理を開始すると、ロボット制御装置57は、エンコーダ53からの入力信号に基づいて、生産ライン20における移動ロボット50のX軸方向の位置を認識する。次に、ロボット制御装置57は、移動ロボット50が目標モジュールまで移動するように、ロボット移動機構51を制御する。移動ロボット50が進行方向に移動している最中に、移動ロボット50の進行方向前方における監視センサ54の検知エリア内に作業者が誤って侵入したならば、ロボット移動装置57は、監視センサ54から進行方向前方に障害物を検知した旨の信号を入力する。そして、ロボット制御装置57は、移動ロボット50が停止するように、ロボット移動機構51を制御する。そして、監視センサ54から進行方向前方に障害物を検知しなくなった旨の信号を入力したならば、ロボット制御装置57は、移動ロボット50が、目標モジュールに向けての移動を再開するように、ロボット移動機構を制御する。そして、エンコーダ53からの入力信号に基づいて移動ロボット50が目標モジュールまで到達したと判断したならば、ロボット制御装置57は、移動ロボット50が停止するようにロボット移動機構51を制御する。そして、ロボット制御装置57は、目標モジュールに対して、フィーダ100の補給動作または回収動作が行なわれるように、フィーダ移載機構52を制御する。
【0037】
次に、システム制御装置60のCPU61によって行なわれる発光制御処理ルーチンについて、図3,4を用いて説明する。図3は、発光制御処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。発光制御処理ルーチンは、移動ロボット50に対して、補給指示または回収指示を出力した後に実行される。
【0038】
本ルーチンを開始すると、CPU61は、まず、移動ロボット50が移動中であるか否かを判定する(S100)。具体的には、CPU61は、ロボット制御装置57と通信を行なうことでエンコーダ53からの検知信号を入力し、エンコーダ53からの検知信号が時間と共に変化しているならば、移動ロボット50が移動中であると判断して肯定判定を行なう。そうでないならば、CPU61は、移動ロボット50が停止していると判断して否定判定を行なう。移動ロボット50が停止している場合としては、例えば、監視センサ54の検知エリアに作業者が侵入するなどして、監視センサ54により移動ロボット50の進行方向前方に障害物が検出され、ロボット制御装置57が、ロボット移動機構51を制御して移動ロボット50の移動を停止させた場合である。
【0039】
S100で肯定判定を行なうと、CPU61は、センサSがON信号を入力しているモジュールMを認識する(S105)。この処理は以下のようにして実行される。すなわち、CPU61は、各実装機30の実装制御装置37と通信を行なうことで各実装機30に設けられたロボット検出センサ36の検出信号を入力する。そして、CPU61は、ON信号を入力しているモジュールMを認識する。ここで、移動ロボット50の位置が、隣合うモジュールMに設けられたセンサSの検出範囲のオーバーラップ部分にあり、2つのモジュールMのそれぞれに設けられたセンサSからON信号を入力しているならば、CPU61は、当該2台のモジュールMがON信号を入力しているモジュールMであると認識する。
【0040】
続いて、CPU61は、ロボット制御装置57と通信を行なうことでエンコーダ53からの検知信号を入力し、入力した検知信号に基づき移動ロボットの進行方向(左または右)を認識する(S110)。そして、CPU61は、S105でON信号を入力していると認識したモジュールMから所定数(本実施形態では2)だけ進行方向前方に位置するモジュールMまでの各モジュールMを点灯モジュールに決定し、残りのモジュールMを消灯モジュールに決定する(S115)。点灯モジュールは、発光部Lが点灯して、床面Fに対して光Rを照射するモジュールMである。消灯モジュールは、発光部Lが消灯して、床面Fに対して光Rを照射しないモジュールMである。なお、S105において2台のモジュールMがON信号を入力しているモジュールMであると認識した場合には、CPU61は、当該2台のモジュールMのうち進行方向後方側のモジュールMから(所定数+1)だけ進行方向前方に位置するモジュールMまでの各モジュールMを点灯モジュールに決定する。
【0041】
そして、CPU61は、点灯モジュールに対して点灯指示を出力し、消灯モジュールに対して消灯指示を出力する(S120)。点灯指示を入力したモジュールMの制御装置Cは、発光部Lが既に点灯しているならば点灯状態を維持し、発光部Lがまだ点灯していないならば発光部Lを点灯させる。消灯指示を入力したモジュールMの制御装置Cは、発光部Lが点灯しているならば発光部Lを消灯させ、発光部Lが既に消灯しているならば消灯状態を維持する。
【0042】
ここで、S100で否定判定を行なった場合の処理について説明する。S100で否定判定を行なったならば、CPU61は、全てのモジュールを消灯モジュールに決定する(S125)。次に、CPU51は、消灯モジュールに対して消灯指示を出力する(S130)。消灯指示を入力したモジュールMの制御装置Cは、発光部Lが点灯しているならば発光部Lを消灯させ、発光部Lが既に消灯しているならば消灯状態を維持する。S120の後またはS130の後、CPU61は、本ルーチンを終了する。
【0043】
ここで、図4を用いて、移動ロボット50が図中右から左に移動している場合のS100~S120の処理の一例について説明する。CPU61は、移動ロボット50が移動中であると判定したならば(S100のYES)、まず図4(a)に示すように、CPU61は、センサSからON信号を入力しているモジュールMが右から2番目の実装機30であると認識し(S105)、移動ロボット50の進行方向として左を取得する(S110)。次に、CPU61は、右から2~4番目の実装機30までの各モジュールMを点灯モジュールに決定し、残りのモジュールMを消灯モジュールに決定する(S115)。そして、CPU61は、点灯モジュールに点灯指示を出力すると共に消灯モジュールに消灯指示を出力する(S120)。これにより、図4(a)に示すように、右から2~4番目の実装機30に設けられた発光部38が点灯し、床面Fに直線状の光Rが照射される。
【0044】
CPU61は、S100~S120の処理が繰り返し実行されて、図4(b)に示すように、移動ロボット50が2番目および3番目の実装機30の間まで移動すると、CPU61は、進行方向前方のモジュールM(右から5番目の実装機30)を追加で点灯モジュールにする(S115)。そして、CPU61は、点灯モジュール(右から2~5番目の実装機30)に点灯指示を出力すると共に消灯モジュールに消灯指示を出力する(S120)。これにより、図4(b)に示すように、右から2~5番目の実装機30に設けられた発光部38が点灯し、床面Fに直線状の光Rが照射される。
【0045】
CPU61は、S100~S120の処理が繰り返し実行されて、図4(c)に示すように、移動ロボット50が3番目の実装機30の前方まで移動すると、CPU61は、右から3~5番目の実装機30を点灯モジュールに決定する(S115)。このとき、CPU61は、進行方向後方のモジュールM(右から2番目の実装機30)を消灯モジュールに決定する。そして、CPU61は、点灯モジュールに点灯指示を出力すると共に消灯モジュールに消灯指示を出力する(S120)。これにより、図4(c)に示すように、右から2番目の実装機30に設けられた発光部38は消灯し、右から3~5番目の実装機30に設けられた発光部38が点灯し、床面Fに直線状の光Rが照射される。
【0046】
このように、実装システム10では、ローダ発光部Lは、移動ロボット50の床面Fに、X軸方向に延びる直線状の光Rを照射する。また、実装システム10では、移動ロボット50の移動にしたがって、進行方向前方に位置するモジュールMに設けられた発光部Lを順次追加で点灯モジュールに決定する。また、進行方向後方に位置するモジュールMを順次消灯モジュールに決定する。そして、点灯モジュールに対しては点灯指示を出力し、消灯モジュールに対しては消灯指示を出力する。したがって、移動ロボット50が進行方向に移動するにしたがって、床面Fに照射された直線状の光Rも進行方向に移動する。よって、作業者は、検知センサ54の検知エリアを含む移動ロボット50の進行方向前方の領域を直感的に把握することができる。これにより、作業者が、誤って移動ロボット50の監視センサ54の検出エリアに進入してしまい、移動ロボット50が停止するような事態を防止することができる。また、発光部Lは、移動ロボット50からではなく、商用電源から電力供給を受けて発光する。そのため、移動ロボット50に発光部を設けた場合と比べて、移動ロボット50の電力消費を抑制することができる。移動ロボット50は、非接触給電コイルから動作に必要な電力を受け取る。非接触給電コイルからは、大きい電力を得にくいため、移動ロボット50の電力消費を抑制することの意義は大きい。
【0047】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。すなわち、実装システム10が本開示の生産システムに相当し、実装ライン20が生産ラインに相当し、移動ロボット50が補給ロボットに相当し、発光部Lが光源部に相当する。また、補給処理ルーチンのS105およびS110の処理を実行するCPU61が取得部に相当し、補給処理ルーチンのS115およびS120の処理を実行するCPU61が光源制御部に相当する。
【0048】
以上詳説した実装システム10では、複数のモジュールMのそれぞれに、移動ロボットの進行方向周辺の領域を床面Fに光R照射する発光部Lが設けられている。これにより、作業者は、移動ロボット50の進行方向周辺の領域を認識し易くなる。また、発光部Lは、移動ロボット50からではなく、商用電源から電力供給を受けて発光するため、移動ロボット50に発光部を設けた場合と比べて移動ロボット50の電力消費を抑制することができる。
【0049】
また、実装システム10は、実装ライン20に対する移動ロボット50の位置と、移動ロボット50の進行方向とを取得し、取得した移動ロボット50の位置に基づいて移動ロボット50に対向するモジュールMを認識し、移動ロボット50に対向するモジュールMから、当該モジュールMよりも所定数だけ移動ロボット50の進行方向前方にあるモジュールMまでの各モジュールMの発光部Lを発光させる。これにより、作業者は、進行方向周辺の領域をより認識し易くなる
【0050】
また、実装システム10では、移動ロボット50が進行方向に移動するにしたがって、進行方向前方に位置するモジュールMの発光部Lを順次追加で点灯すると共に進行方向後方に位置するモジュールMの発光部Lを順次消灯する。これにより、移動ロボット50の移動にしたがって、進行方向周辺の領域を照射した光Rも移動する。よって、作業者は、進行方向周辺の領域を更に認識し易くなる。
【0051】
また、実装システム10では、発光部Lは、移動ロボット50に対してモジュールMとは反対側に、複数のモジュールMの並び方向に沿った直線状の光を床面Fに照射する。これにより、進行方向周辺の領域の境界をモジュールMの並び方向に沿った直線として表すことができるため、作業者は、進行方向周辺の領域をより一層認識し易くなる。
【0052】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0053】
上述した実施形態では、発光制御処理ルーチンのS105において、CPU61は、センサSの検出信号に基づいて、実装ライン20いずれのモジュールMに設けられているセンSからON信号を入力しているかを認識した。しかし、発光制御処理ルーチンのS105においてCPU61は、エンコーダ53から入力される位置情報に基づいて、移動ロボット50が実装ライン20におけるいずれのモジュールMと対向しているかを認識してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、発光制御処理ルーチンのS115において、S105でセンサSからON信号を入力していると認識したモジュールMから所定数だけ進行方向前方に位置するモジュールMまでの各モジュールMを、点灯モジュールに決定した。しかし、S105でセンサSからON信号を入力していると認識したモジュールMから目標モジュールまでの各モジュールMを点灯モジュールに決定してもよい。あるいは、S105でセンサSからON信号を入力していると認識したモジュールMよりも進行方向前方にある全てモジュールMを点灯モジュールに決定してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、発光部を点灯させるモジュールMの数を予め定められた数(3または4)にした。しかし、CPU61は、移動ロボット50の移動スピードを取得し、移動スピードが速い程、発光部Lを点灯させるモジュールMの数を増やしてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、実装ライン20は、フィーダ保管庫40と、複数の実装機30とを含むものとした。しかし、実装ライン20は、基板に対してはんだを印刷する印刷装置や、当該印刷機で基板に印刷されたはんだを検査する印刷検査装置、基板に印刷されたはんだを溶解させるリフロー装置、基板の外観を検査する外観検査装置等を含んでいてもよい。この場合、移動ロボット50を用いて生産に必要な部材の補給が行なわれる装置に、発光部が設けられるものとしてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、移動ロボット50は、実装ライン20からの無線給電により、自機の走行等の動作に必要な電力を受け取るものとした。しかし、移動ロボット50は、バッテリから電力供給を受けて動作するものとしてもよい。この場合、移動ロボット50の動作時間を延長することができる。移動ロボット50の電力消費を抑制することができるためである。
【0058】
なお、本明細書では、出願当初の請求項4において「請求項1または2に記載の生産システム」を「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生産システム」に変更した技術思想も開示されている。
【0059】
本開示は、部品を基板上に配置する実装システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 実装システム、20 実装ライン、22 ヘッド、30 実装機、30A 供給エリア、31 基板搬送装置、32 ヘッド、33 ヘッド移動機構、34 コネクタ、35 X軸ガイドレール、36 ロボット検出センサ、37 実装制御装置、38 発光部、40 フィーダ保管庫、40A 保管エリア、44 コネクタ、46 ロボット検出センサ、48 発光部、50 移動ロボット、51 ロボット移動機構、52 フィーダ移載機構、53 エンコーダ、54 監視センサ、55 走行レール、57 ロボット制御装置、60 システム制御装置、61 CPU、62 ROM、63 RAM、64 ストレージ、100 フィーダ、C 制御装置、F 床面、L 発光部、M モジュール、R 光、S センサ。
図1
図2
図3
図4