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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071069
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】衣類スチーマ
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/20 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
D06F75/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181805
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 加理奈
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 哲寿
(72)【発明者】
【氏名】ペイ 燕美
(72)【発明者】
【氏名】古川 星
(57)【要約】
【課題】作業性が良好で使い勝手がよい衣類スチーマを提供する。
【解決手段】本発明の衣類スチーマSは、衣類等の布16のシワを伸ばすため下面に配置されるかけ面2と、内部に配置され通電されてかけ面2を加熱するヒータと、利用者Pが持つハンドル5と、かけ面2から外方に、ヒータにより加熱され蒸気室8で気化された蒸気を噴出するスチーマ部7と、かけ面2に対向するように設けられ、かけ面2とともに衣類等の布16を挟むように位置するプレス板部13hを有するプレス部S2とを備え、プレス部S2は、利用者Pが操作してかけ面2とプレス部S2のプレス板部13hとの間の距離を離すレバー12と、利用者Pが操作をしないときはかけ面2とプレス部S2のプレス板部13hとの間の距離を縮める付勢手段14とを有し、レバー12は、ハンドル5の左側または右側に位置している。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類等の布のシワを伸ばすため下面に配置されるかけ面と、
内部に配置され通電されて前記かけ面を加熱するヒータと、
利用者が持つハンドルと、
前記かけ面から外方に、前記ヒータにより加熱され蒸気室で気化された蒸気を噴出するスチーマ部と、
前記かけ面に対向するように設けられ、かけ面とともに衣類等の布を挟むように位置するプレス板部を有するプレス部とを備え、
前記プレス部は、利用者が操作して前記かけ面と前記プレス部の前記プレス板部との間の距離を離すレバーと、利用者が操作をしないときは前記かけ面と前記プレス部の前記プレス板部との間の距離を縮める付勢手段とを有し、
前記レバーは、前記ハンドルの左側または右側に位置している
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記かけ面と前記ハンドルとを接続する接続部を備え、
前記レバーの先端部は前記接続部よりも下方に位置している
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項3】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記かけ面と閉じた前記プレス部の前記プレス板部との間に隙間がある
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項4】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記かけ面は、下面視で前後左右の十字状にスチーム孔が形成されている
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項5】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記かけ面は、下面視で前後左右に延びる十字状にスチーム孔が形成され、
前記かけ面と前記プレス部の前記プレス板部とが閉じている場合に、前記プレス部に前記スチーム孔に対向する位置に穴部が設けられている
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項6】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記プレス部の下端部にブラシが設けられている
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項7】
請求項1に記載の衣類スチーマにおいて、
前記蒸気の元となる水を供給する水タンクを備え、
前記水タンクから取水する取水口は、下面視で、前記かけ面の前半分および後半分および左半分および右半分の各領域に配置されている
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【請求項8】
衣類等の布のシワを伸ばすため下面に配置されるかけ面と、
内部に配置され通電されて前記かけ面を加熱するヒータと、
利用者が持つハンドルと、
前記かけ面から外方に、前記ヒータにより加熱され蒸気室で気化された蒸気を噴出するスチーマ部と、
前記かけ面に対向するように設けられ、かけ面とともに衣類等の布を挟むように位置するプレス部と、
前記蒸気の元となる水を供給する水タンクとを備え、
前記水タンクから取水する取水口は、下面視で、前記かけ面の前半分および後半分および左半分および右半分の各領域に配置されている
ことを特徴とする衣類スチーマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類スチーマに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類にスチームを当てつつアイロンをかける衣類スチーマがある。
衣類スチーマに係る公知例として、特許文献1と特許文献2がある。
特許文献1に記載の衣類スチーマは、手の力で布を挟んで動かすタイプのため、布が伸びる恐れがある。そのため、スチームを布に当てるときは挟んだ状態でスライドできない。
【0003】
そこで、布を手の力ではなく機械力によって挟む織物クランプの公知例として、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-180865号公報
【特許文献2】特表2017-535330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の構成では、プレス部とハンドルを接続する接続部位が下側(手元側)に位置する。そのため、プレスしながら衣類スチーマを上下方向に移動させようとする場合、特に衣類スチーマを上方向に移動させる場合、織物クランプの接続部位が干渉して、移動不可となる。
したがって、特許文献2に記載の織物クランプを用いる衣類スチーマは作業性に問題があり、使い勝手が悪い。
一方、衣類スチーマのプレスする面積を小さくすれば、例えばプレス部とハンドルとの接続部位を除く左右のプレス部は、上下方向に移動できる。しかしながら、プレスする面積が小さいため、作業効率が悪い。
特許文献1に記載の衣類スチーマも、特許文献2と同様、使い勝手が悪い。
【0006】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、作業性が良好で使い勝手がよい衣類スチーマの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、衣類等の布のシワを伸ばすため下面に配置されるかけ面と、内部に配置され通電されて前記かけ面を加熱するヒータと、利用者が持つハンドルと、前記かけ面から外方に、前記ヒータにより加熱され蒸気室で気化された蒸気を噴出するスチーマ部と、前記かけ面に対向するように設けられ、かけ面とともに衣類等の布を挟むように位置するプレス板部を有するプレス部とを備え、前記プレス部は、利用者が操作して前記かけ面と前記プレス部の前記プレス板部との間の距離を離すレバーと、利用者が操作をしないときは前記かけ面と前記プレス部の前記プレス板部との間の距離を縮める付勢手段とを有し、前記レバーは、前記ハンドルの左側または右側に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業性が良好で使い勝手がよい衣類スチーマを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る衣類スチーマを横方から見た斜視図。
図1B】実施形態に係る衣類スチーマを前方から見た図1AのI方向矢視図。
図1C】実施形態に係る衣類スチーマSを上方から見た図1AのII方向矢視図。
図2A】衣類スチーマ本体から外したプレス部を前方から見た斜視図。
図2B】衣類スチーマ本体から外したプレス部を上方から見た斜視図。
図2C】衣類スチーマ本体から外したプレス部を開けた状態を前方から見た斜視図。
図3】衣類スチーマ本体を斜め上方から見た斜視図。
図4】衣類スチーマ本体を斜め下方から見た斜視図。
図5】スチーマ本体の水タンクの下方内部を上方から見た上面図。
図6A】発熱体の蒸気室を斜め上前方から見た斜視図。
図6B】発熱体の蒸気室を上方から見た上面図。
図7図2AのIII方向矢視図。
図8】環状ケースとプレス把持板とからレバーを外した状態の図2AのIII方向矢視図。
図9】プレス部の組み立てに用いるねじりコイルばねの斜視図。
図10】利用者がハンドルを握って親指でレバーの操作部を内側に押圧する様子を上方から見た図。
図11】衣類スチーマのかけ面からプレス部のプレス把持板が開いた状態の斜視図。
図12A】アタッチメントのプレス部の左右を逆にして、衣類スチーマ本体にアタッチメントのプレス部に取り付けた衣類スチーマの上面図。
図12B】アタッチメントのプレス部の左右を逆にして、衣類スチーマ本体にアタッチメントのプレス部に取り付けた衣類スチーマの前面図。
図13A】利用者が手でハンドルを握って衣類スチーマを持ち、人差し指でレバーの操作部を内側に押圧する前上方から見た斜視図。
図13B】利用者が手でハンドルを握って衣類スチーマを持ち、人差し指でレバーの操作部を内側に押圧する上面図。
図14A】衣類等の布に対して、衣類スチーマを上方向に移動させてプレスしている状態の上面図。
図14B】衣類等の布に対して、衣類スチーマを下方向に移動させてプレスしている状態の上面図。
図15A】衣類等の布に対して、衣類スチーマを右方向に移動させてプレスしている状態の上面図。
図15B】衣類等の布に対して、衣類スチーマを左方向に移動させてプレスしている状態の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1Aに、本発明の実施形態に係る衣類スチーマSを横方から見た斜視図を示す。
図1Bに、実施形態に係る衣類スチーマSを前方から見た図1AのI方向矢視図を示す。
【0011】
図1Cに、実施形態に係る衣類スチーマSを上方から見た図1AのII方向矢視図を示す。
図2Aに、衣類スチーマ本体S1から外したプレス部S2を前方から見た斜視図を示す。
【0012】
図2Bに、衣類スチーマ本体S1から外したプレス部S2を上方から見た斜視図を示す。
図2Cに、衣類スチーマ本体S1から外したプレス部S2を開けた状態を前方から見た斜視図を示す。
図1Aに示す衣類スチーマSは、衣類スチーマ本体S1(図3参照)と、アタッチメントのプレス部S2(図2A参照)とを具備している。
【0013】
プレス部S2は、衣類スチーマSで衣類等にプレスする(ズボン等に折り目をつける)際、衣類スチーマ本体S1の下部に取り付けられるアタッチメントである。
<衣類スチーマ本体1>
【0014】
図3に、衣類スチーマ本体S1を斜め上方から見た斜視図を示す。
図4に、衣類スチーマ本体S1を斜め下方から見た斜視図を示す。
衣類スチーマ本体S1は、ベース3とスチーマ本体4とハンドル5とを備えている。
なお、ハンドル5は利用者が手で把持する箇所である。
【0015】
ベース3の下面には、衣類等の布をアイロンがけするかけ面2が形成されている。
図4に示すように、かけ面2には、スチーム孔としての蒸気口1(1a、1b、1c、1d)が前後左右に延びる十字状に複数設けられている。十字状の蒸気口1(1a、1b、1c、1d)により、広い範囲にスチームを出すことができる。
蒸気口1からは、蒸気(スチーム)を吹出し、衣類等の布に水分を供給する。ベース3の内部には、かけ面2を加熱するための電熱管(図示せず)が配置されている。
【0016】
スチーマ本体4は、水を気化させて蒸気口1から蒸気(スチーム)を噴出する機能と、かけ面2を加熱する機能とを有している。スチーマ本体4の内部には、蒸気に気化させる水を貯留する水タンク6(図3参照)と水タンク6内の水を気化させるために汲みだすポンプ17(図5参照)とを有している。水タンク6は、ハンドル5の下方に形成されている。
【0017】
図3に示すスチーマ本体4は、本体ケース4cで覆われている。本体ケース4cは、ベース3が取着され外形状を形成する。本体ケース4cは、耐熱性樹脂で形成されている。
【0018】
ハンドル5は、スチーマ本体4の上部に形成されている。ハンドル5は、衣類スチーマ本体S1の使用時や、衣類スチーマ本体S1の持ち運びに際して、使用者に把持される。ハンドル5の前下部には、スチームを噴出するために使用者により押下されるスチームボタンb1(図1A参照)が配設されている。ハンドル5の上面には、かけ面2の温度を切り替えるための操作釦b2と温度表示部b3が配設されている。ハンドル5の上面前部には、水タンク6の水供給口を開閉するタンク開閉蓋5fが設けられている。
【0019】
ハンドル5の後部には、電源コード5cが接続されている。電源コード5cをコンセント(図示せず)に接続することで、衣類スチーマ本体S1に電源が供給される。これにより、ベース3近くに配置される電熱管に通電され、ベース3の加熱が行われたり、水タンク6内の水のポンプ17(図5参照)による汲みだしが行われる。
図3に示すベース3の上部には、スチーマ部である発熱体7(図6A参照)が接触して取り付けられている。発熱体7の内部には、ニクロム線を酸化マグネシウム、鋼管で覆った電熱管(図示せず)が埋め込まれている。
【0020】
図5に、スチーマ本体4の水タンク6の下方内部を上方から見た上面図を示す。なお、図5において、前後中心線C1は、かけ面2の前後方向の中心線である。また、左右中心線C2は、かけ面2の左右方向の中心線である。
衣類スチーマSの内部には、水タンク6の下部に接続する前右給水口18a1、前左給水口18b1、後右給水口18a1、および後左給水口18b1が設けられている。
ここで、前右給水口18a1と前左給水口18b1は、かけ面2の前半分の領域に設けられている。
【0021】
後右給水口18a1と後左給水口18b1は、かけ面2の後半分の領域に設けられている。
また、前右給水口18a1と後右給水口18a1は、かけ面2の右半分の領域に設けられている。
前左給水口18b1と後左給水口18b1は、かけ面2の左半分の領域に設けられている。
【0022】
前右給水口18a1、前左給水口18b1は、それぞれ前右給水管18a、前左給水管18bによってポンプ17に接続されている。
ポンプ17を稼働することで、水タンク6内の水が、前右給水口18a1、前左給水口18b1、後右給水口18a1、および後左給水口18b1から、汲み出される。
汲み出された水は、下記の蒸気室8に供給される。
【0023】
<蒸気室8>
図6Aに、発熱体7の蒸気室8を斜め上前方から見た斜視図を示す。
図6Bに、発熱体7の蒸気室8を上方から見た上面図を示す。
蒸気室8には、水タンク6からの水が供給される供給口8aが設けられている。そして、供給口8aに連続して、水が流れる蒸発面8b1、蒸発流路8b2等が形成されている。
【0024】
蒸発流路8b2の下流に蒸気排出口8cが設けられている。
水タンク6から汲み出された水は、蒸気室8の供給口8aに供給される。供給口8aに供給された水は、蒸発面8b1、蒸発流路8b2等を流れつつ(図6Bの矢印α41)蒸発する。
蒸気室8で作られた蒸気(スチーム)は、蒸気排出口8cから下方に排出され、図4に示すかけ面2の前後左右に延びる十字状の蒸気口1(1a、1b、1c、1d)からスチーム(蒸気)が排出される。
【0025】
<ベース3>
図3図4に示すベース3は、本体がアルミダイキャストで成型されている。ベース3の下面を形成するかけ面2は、チタン含有加工が施され布地との滑りを良くしている。なお、ベース3のかけ面2は、チタン含有加工を施すことなく、板厚の薄い、例えば0.5mm厚の熱容量の大きいステンレス鋼板をベース3に塑性変形させて取り付けて構成してもよい。
【0026】
ベース3のかけ面2には、下方に向けて、スチームを噴出する蒸気口1(1a、1b、1c、1d)が前後左右に延びる十字状に複数穿設されている。
【0027】
図4に示すかけ面2は、前後方向に長い略ひし形の形状に形成されている。かけ面2には、前先端縁2a、後先端縁2d、右側先端縁2b、および左側先端縁2cが尖った形状に形成されている。
【0028】
<蒸気口1>
蒸気口1は、前部に3つの前蒸気口1aが形成され、後部に3つの後蒸気口1dが形成され、左部に3つの左蒸気口1cが形成され、右部に3つの右蒸気口1bが形成されている。蒸気口(1a、1b、1c、1d)は、前後左右方向に十字状を成して配置されている。
【0029】
前部の3つの前蒸気口1aの領域を含んで、上方に凹形状の前部蒸気空間1asが凹設されている。凹状の前部蒸気空間1asの存在により、3つの前蒸気口1aから噴出される蒸気を、かけ面2の前部の領域に対して広げることができる。また、後部の3つの後蒸気口1dの領域を含んで、上方に凹形状の後部蒸気空間1dsが凹設されている。凹状の後部蒸気空間1dsの存在により、3つの後蒸気口1dから噴出される蒸気をかけ面2の後部の領域に対して広げることができる。
【0030】
同様に、左部の3つの左蒸気口1cの領域を含んで、上方に凹形状の左部蒸気空間1csが凹設されている。凹状の左部蒸気空間1csの存在により、3つの左蒸気口1cから噴出される蒸気をかけ面2の左部の領域に対して広げることができる。また、右部の3つの右蒸気口1bの領域を含んで、上方に凹形状の右部蒸気空間1bsが凹設されている。凹状の右部蒸気空間1bsの存在により、3つの右蒸気口1bから噴出される蒸気をかけ面2の右部の領域に対して広げることができる。
【0031】
<プレス部S2>
図2A図2Bに示すプレス部S2は、環状ケース11とレバー12とプレス把持板13とを有している。
ここで、図1Aに示すように、レバー12の先端部12sは、かけ面2とハンドル5とを接続する接続部5sよりも下方に位置する。そのため、レバー12の操作が、利用者Pの人差し指p3(図13参照)または親指p2(図10参照)で操作し易い。
なお、レバー12の先端部12sは先端のみのことを指すことに限られず、人の指で操作する領域が含まれてもよい。
【0032】
<環状ケース11>
環状ケース11は、図3に示す衣類スチーマ本体S1のスチーマ本体4の下部の意匠4gの周囲に下方から嵌合される。そのため、図2C図2Bに示すように、環状ケース11は、スチーマ本体4の下部の本体ケース4cの意匠4gより若干大きい内径をもつ略ひし形の環状形状を有している。
【0033】
図7に、図2AのIII方向矢視図を示す。
図8に、環状ケース11とプレス把持板13とからレバー12を外した状態の図2AのIII方向矢視図を示す。
【0034】
図8に示すように、環状ケース11の右下部には、外方に突き出た軸支持部11aが一対形成されている。
ボス支持部11aには軸11bがそれぞれ外方に突き出て形成されている。
【0035】
図2Bに示すように、環状ケース11の上部内面には、衣類スチーマ本体S1を取り付けるための凸状の取り付けリブ11rが前後左右に4つずつになるように8箇所、内方に突出して形成されている。
一方、図3に示す衣類スチーマ本体S1のスチーマ本体4には、衣類スチーマ本体S1にアタッチメントのプレス部S2を嵌合した際、環状ケース11の上部内面の取り付けリブ11r(図2B参照)が嵌入される凹部(図示せず)が対応して形成されている。
【0036】
<レバー12>
図2Aに示すレバー12は、長形の略くの字状の扁平な板状形状を有している。レバー12は、下部の柱状部12aと上部の内側に傾斜する操作部12bとを有している。
【0037】
図8に示すように、レバー12の柱状部12aの下端には、ボス部12a1と一対の軸案内部12a2とが形成されている。
ボス部12a1は、レバー12の柱状部12aの下端から下方に突き出て形成されている。
一対の軸案内部12a2は、それぞれ環状ケース11の軸11b(図7図8参照)の廻りに案内される凹形状を有している。
【0038】
<プレス把持板13>
図2Cに示すプレス把持板13は、環状ケース11の外形状と略同様な略ひし形状の平板形状を有している。
プレス把持板13の外周部は、前後左右に対称な略ひし形状の平板部13hが形成されている。
【0039】
プレス把持板13の中央部には、衣類スチーマ本体S1のかけ面2の十字状の蒸気口1からのスチームを逃すための十字形状の孔13aが形成されている。これにより、かけ面2とプレス部S2のプレス把持板13とが閉じている場合に、スチームをかけ面2の十字状の蒸気口1から吐出しできる。
【0040】
図8に示すように、プレス把持板13の右側には、レバー固定部13kが外方に突き出て形成されている。
レバー固定部13kの中央には、レバー12の操作部12bの下端のボス部12a1が嵌入固定されるボス固定孔13k1が形成されている。
【0041】
図7図8に示すように、レバー固定部13kの両サイドには、プレス把持板13の環状ケース11の軸11bを受けて摺動する案内部13k2が凹形状に一対形成されている。
【0042】
図2Cに示すプレス把持板13の左側の上面には、半球凸状の隙間形成リブ13r1が形成されている。
また、プレス把持板13の右側の上面には、凸状の段差部13r2が形成されている。
この構成により、図1Aに示すように、衣類スチーマ本体S1にアタッチメントのプレス部S2を取り付けて、プレス把持板13を閉じた際、プレス把持板13の凸状の半球状の隙間形成リブ13r1と段差部13r2が環状ケース11の下部に当接する。これにより、図1Bに示すように、衣類スチーマ本体S1のかけ面2と、アタッチメントのプレス部S2のプレス把持板13の平板部13hとの間に隙間s1を形成することができる。
【0043】
隙間s1の存在により、衣類等の布をプレスする際、プレス部S2を下部に取り付け、布を衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13の平板部13hとの間に挟んだ状態で、衣類スチーマSを前後左右に円滑に移動させることができる。
プレス把持板13の下面の外周部にはブラシ13sが環状に下方に向けて設けられている。
プレス部S2の下面のブラシ13sにより、衣類等の布の糸くず等を除去できる。
【0044】
<プレス部S2の組み立て>
プレス部S2の組み立て方について説明する。
図9に、プレス部S2の組み立てに用いるねじりコイルばね14の斜視図を示す。
まず、図9に示すねじりコイルばね14を用意する。付勢手段であるねじりコイルばね14は、第1ねじりコイルばね14aと第2ねじりコイルばね14bとが直線状の線条14cで連結されている。そして、第1ねじりコイルばね14aにはアーム14a1が形成されている。また、第2ねじりコイルばね14bにはアーム14b1が形成されている。
【0045】
そして、図9の矢印α11に示すように、ねじりコイルばね14の第1ねじりコイルばね14aと第2ねじりコイルばね14bとを左右に広げて、図8に示すように、それぞれ環状ケース11の一対の軸11bの左右外側から一対の軸11bに挿通する。
次に、図8に示すように、プレス把持板13の一対の案内部13k2に、それぞれ、ねじりコイルばね14が取り付けられた環状ケース11の軸11bを合わせるようにして、プレス把持板13の上に、環状ケース11を載置する。
【0046】
なお、プレス把持板13側には、ねじりコイルばね14が通る箇所にねじりコイルばね14の逃げとなる凹形状が形成されている。
その後、ねじりコイルばね14のアーム14a1、14b1を、レバー12の柱状部12の内面12a3に当てて、レバー12の一対の軸案内部12a2を、それぞれ環状ケース11の一対の軸11bに上側から当てる。そして、レバー12のボス部12a1を、プレス把持板13のボス固定孔13k1に圧入する(図7図8参照)。なお、レバー12のボス部12a1を、プレス把持板13のボス固定孔13k1に嵌入して接着剤を用いて固定してもよい。
これにより、図2Aに示すプレス部S2が組み上がる。
【0047】
<衣類スチーマSの使用>
図3に示す衣類スチーマ本体S1に、アタッチメントのプレス部S2(図2A参照)を下記のようにして取り付ける。
衣類スチーマ本体S1の下部のかけ面2の下方からスチーマ本体4の周囲に、図2Aに示すアタッチメントのプレス部S2の環状ケース11を嵌入する。
【0048】
すると、環状ケース11の上部内面の取り付けリブ11rがスチーマ本体4の凹部(図示せず)に係合され、衣類スチーマ本体S1の下部にプレス部S2が固定され、衣類スチーマSが完成する(図1A図1B参照)。
【0049】
<アタッチメントのプレス部S2の付け替え>
図3図4に示すように、衣類スチーマSのスチーマ本体4およびかけ面2は、下面視で、前後左右対称の略ひし形の形状を有している。これに合わせて、プレス部S2の環状ケース11とプレス把持板13とが、図2Bに示すように、上面視で、前後左右対称の略ひし形の形状を有している。
そのため、図12A図12Bに示すように、衣類スチーマ本体S1に、アタッチメントのプレス部S2の左右を、図1B図1Cとは逆にして、取り付けることができる。
【0050】
図12A図12Bに、アタッチメントのプレス部S2の左右を逆にして、衣類スチーマ本体S1にアタッチメントのプレス部S2に取り付けた衣類スチーマSの上面図と前面図を示す。
【0051】
<衣類スチーマSによるプレス>
衣類スチーマSでプレスを行う場合、下記のように行われる。
プレスを開始するに当たって、まず、図1Aに示す衣類スチーマSの上面前部のタンク開閉蓋5fを開けて水タンク6に水を入れ、タンク開閉蓋5fを閉める。
そして、電源コード5cをコンセント(図示せず)に接続して、ハンドル5上の操作釦b2を押下して、温度表示部b3を目視してかけ面2の温度を所望温度に切り替える。そして、水タンク6内の水が所定温度になった後、布へのプレスを開始する。
【0052】
利用者は、図1Aに示す衣類スチーマSのハンドル5を把持して、衣類等の布に対して、スチームボタンb1を押下して、かけ面2の十字状の蒸気口1(1a、1b、1c、1d)(図4参照)から、プレス部S2のプレス把持板13の十字形状の孔13a(図2B参照)を通して、スチームを噴出する。
そして、図13A図13Bに示すように、利用者Pが手p1でハンドル5を握って衣類スチーマSを持ち、人差し指p3でレバー12の操作部12bを内側に押圧する(図13A図13Bの矢印α23)。
【0053】
図13A図13Bに、それぞれ利用者Pが手でハンドル5を握って衣類スチーマを持ち、人差し指でレバー12の操作部12bを内側に押圧する前上方から見た斜視図、上面図を示す。
すると、図11に示すように、衣類スチーマSのかけ面2からプレス部S2のプレス把持板13が開く(図13Aの矢印α24)。
そして、衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に布を挟み、利用者がレバー12の操作部12bから手を離す。すると、プレス把持板13がねじりコイルばね14の弾性力で、図12Bに示すように、閉じられる。これにより、布が衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に挟まれプレスできる状態になる。
【0054】
図14Aに、衣類等の布16に対して、衣類スチーマSを上方向に移動させてプレスしている状態の上面図を示す。
そして、衣類スチーマSを上方向に向かって移動させる場合には、図14Aの矢印α31のように、衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に挟んだ布に対して、衣類スチーマSを移動させる。
上方向にプレスしている際、水タンク6の水は、下方向に溜まる。この場合、図5に示す後右給水口19a、および後左給水口19bで、水タンク6から蒸気室8に水を供給できる。そのため、スチームボタンb1(図1A参照)を押下してスチームを出せる。
【0055】
図14Bに、衣類等の布16に対して、衣類スチーマSを下方向に移動させてプレスしている状態の上面図を示す。
衣類スチーマSを下に向かって移動させる場合には、図14Aの矢印α32のように、衣類スチーマSを、衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に挟んだ衣類等の布に対して、移動させる。
下方向にプレスしている際、水タンク6の水は、下方向(前方向)に溜まる。この場合、図5に示す前右給水口18a1、前左給水口18b1で水タンク6から蒸気室8に水を供給できる。そのため、スチームボタンb1(図1A参照)を押下してスチームを出せる。
【0056】
図15Aに、衣類等の布16に対して、衣類スチーマSを右方向に移動させてプレスしている状態の上面図を示す。
衣類スチーマSを右に向かって移動させる場合には、図15Aの矢印α33のように、衣類スチーマSを、衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に挟んだ衣類等の布に対して、移動させる。
衣類スチーマSで、右方向にプレスしている際、水タンク6の水は、下方向に溜まる。この場合、図5に示す前左給水口18b1および後左給水口19bで水タンク6から蒸気室8に水を供給できる。そのため、スチームボタンb1(図1A参照)を押下してスチームを出せる。
【0057】
図15Bに、衣類等の布に対して、衣類スチーマSを左方向に移動させてプレスしている状態の上面図を示す。
図15Bの矢印α34のように、衣類スチーマSを左に向かって移動させる場合には、衣類スチーマSを、衣類スチーマSのかけ面2とプレス部S2のプレス把持板13との間に挟んだ衣類等の布に対して、移動させる。
衣類スチーマSで左方向にプレスしている際、水タンク6の水は、下方向に溜まる。この場合、図5に示す前右給水口18b1および後右給水口19aで水タンク6から蒸気室8に水を供給できる。そのため、スチームボタンb1(図1A参照)を押下してスチームを出せる。
【0058】
上記構成によれば、図14A図15Bに示すように、衣類スチーマSでプレスする際、かけ面2のほぼ全体を使用してプレスできるので、作業効率がよい。
加えて、衣類スチーマSを上下左右の何れの方向に移動させても、前右給水口18a1、前左給水口18b1、後右給水口19a、および後左給水口19bの何れかで水タンク6の水を供給できるので、スチームが出ないことが抑制される。すなわち、衣類スチーマSを上下左右の何れの方向に移動させても、スチームをだすことができる。
また、レバー12がハンドル5の左側または右側に位置しているので、利用者は人差し指p3(図13A参照)または親指p2(図10参照)でレバー12を操作できる。
また、図1Aに示すように、レバー12の先端部12sは、かけ面2とハンドル5とを接続する接続部5sよりも下方に位置するので、レバー12の操作が、利用者Pの人差し指p3または親指p2で操作し易い。
したがって、作業性が良好で使い勝手がよい衣類スチーマSを提供することができる。
【0059】
<<その他の実施形態>>
1.本発明は、前記した実施形態の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1、1a、1b、1c、1d 蒸気口(スチーム孔)
2 かけ面
5 ハンドル
5s ハンドルの接続部(接続部)
6 水タンク
7 発熱体(スチーマ部)
8 蒸気室
12 レバー
12s 操作レバーの先端部(レバーの先端部)
13s ブラシ
13a 孔(穴部)
13h 平板部 (プレス板部)
14 ねじりコイルばね(付勢手段)
16 布
18a1 前右給水口(取水口)
18b1 前左給水口(取水口)
18b2 後左給水口(取水口
C1 前後中心線
C2 左右中心線
S 衣類スチーマ
s1 隙間
S2 プレス部
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B