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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071073
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/02 20060101AFI20240517BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20240517BHJP
   F16H 25/22 20060101ALN20240517BHJP
   F16H 25/24 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
H02K9/02 Z
H02K7/06 A
F16H25/22 A
F16H25/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181813
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 玄一郎
【テーマコード(参考)】
3J062
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA33
3J062CD08
3J062CD22
3J062CD72
5H607AA02
5H607BB01
5H607DD03
5H607EE52
5H609PP02
5H609QQ02
5H609RR38
5H609RR67
5H609RR72
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成によりモータカバー内を冷却できるアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 駆動機構が内装された駆動機構ハウジングと、上記駆動機構によって上記駆動機構ハウジング内を移動される移動部材と、上記駆動機構ハウジングに連設されるモータハウジングと、上記駆動機構を駆動し上記モータハウジング内に設置されたモータと、を具備し、上記移動部材にはエアスクレーパが設置されており、上記移動部材が移動されることによって上記駆動機構ハウジング内に気流を発生させ、上記駆動機構ハウジング内から上記モータハウジング内への空気の流出及び上記モータハウジング内から上記駆動機構ハウジング内への空気の流入を発生させて上記モータハウジング内の冷却を行うことを特徴とするもの。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構が内装された駆動機構ハウジングと、
上記駆動機構によって上記駆動機構ハウジング内を移動される移動部材と、
上記駆動機構ハウジングに連設されるモータハウジングと、
上記駆動機構を駆動し上記モータハウジング内に設置されたモータと、
を具備し、
上記移動部材にはエアスクレーパが設置されており、
上記移動部材が移動されることによって上記駆動機構ハウジング内に気流を発生させ、上記駆動機構ハウジング内から上記モータハウジング内への空気の流出及び上記モータハウジング内から上記駆動機構ハウジング内への空気の流入を発生させて上記モータハウジング内の冷却を行うことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記エアスクレーパと上記駆動機構ハウジングの内面との間に隙間が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記エアスクレーパの先端は上記駆動機構ハウジングの内面に摺設されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記駆動機構ハウジングは上記移動部材を移動可能に支持するベースと、上記移動部材の少なくとも一部を覆うカバーとから構成され、
上記エアスクレーパは上記カバーと上記移動部材との間の空間に配置されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記エアスクレーパは着脱可能であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記駆動機構ハウジングと上記モータハウジングの間には接続部材が設置されていて、
上記接続部材には上記駆動機構ハウジング内と上記モータハウジング内を連通させ上記駆動機構ハウジング内の空気を上記モータハウジング内に移動させる通気路が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6記載のアクチュエータにおいて、
上記接続部材には上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項8】
請求項7記載のアクチュエータにおいて、
上記通気路と上記排気路は上記駆動機構を挟んで対向するように設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項9】
請求項7記載のアクチュエータにおいて、
上記排気路は上記接続部材の上記移動部材の移動方向に並行な一の面に沿って延長されてから上記一の面に隣接する面側に延長され、上記一の面に対向する面側に上記排気口が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項10】
請求項7記載のアクチュエータにおいて、
上記接続部材は接続部材本体と上記接続部材本体の外面に設置される接続部材カバーを備え、
上記排気路及び排気口は、上記接続部材本体と接続部材カバーとの間の空間に形成されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項11】
請求項7記載のアクチュエータにおいて、
上記排気路にはフィルタが設置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項12】
請求項6記載のアクチュエータにおいて、
上記モータハウジングには上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに係り、特に、簡易な構成によりモータカバー内を冷却できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の構成として、特許文献1に記載されたようなものが存在している。
特許文献1に記載された一軸ロボットは、ベースの両端にブラケットが固定されていて、これらブラケットを介してネジ軸が回転可能に支持されている。上記ネジ軸にはボールスクリューが螺合されていて、このボールスクリューにはスライド本体が固定されている。上記スライダ本体は上記ベースに固定されたガイドレールに沿って案内される。
【0003】
上記ブラケットの一方の上記ネジ軸の反対側には、上記ネジ軸を駆動するにモータが設置されており、上記モータは上カバーと下カバーとから構成されるカバーによって覆われている。上記カバー内には電子制御回路基板も設置されている。
上記カバーと上記モータの間には非磁性放熱板が設置されている。また、上記カバーの端部には通気孔が設けられていて、上記カバー内であって上記通気孔の設けられた箇所には冷却用ファンが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8-29514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題があった。
すなわち、モータが設置されたカバー内部を冷却して電子制御回路基板の誤動作等を防止するためには冷却用ファンが必要であり、その分だけ部品点数が増加し、構成が複雑であった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、簡易な構成によりモータカバー内を冷却できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータは、駆動機構が内装された駆動機構ハウジングと、上記駆動機構によって上記駆動機構ハウジング内を移動される移動部材と、上記駆動機構ハウジングに連設されるモータハウジングと、上記駆動機構を駆動し上記モータハウジング内に設置されたモータと、を具備し、上記移動部材にはエアスクレーパが設置されており、上記移動部材が移動されることによって上記駆動機構ハウジング内に気流を発生させ、上記駆動機構ハウジング内から上記モータハウジング内への空気の流出及び上記モータハウジング内から上記駆動機構ハウジング内への空気の流入を発生させて上記モータハウジング内の冷却を行うことを特徴とするものである。
又、請求項2によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパと上記駆動機構ハウジングの内面との間に隙間が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパの先端は上記駆動機構ハウジングの内面に摺設されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記駆動機構ハウジングは上記移動部材を移動可能に支持するベースと、上記移動部材の少なくとも一部を覆うカバーとから構成され、上記エアスクレーパは上記カバーと上記移動部材との間の空間に配置されることを特徴とするものである。
又、請求項5によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパは着脱可能であることを特徴とするものである。
又、請求項6によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記駆動機構ハウジングと上記モータハウジングの間には接続部材が設置されていて、上記接続部材には上記駆動機構ハウジング内と上記モータハウジング内を連通させ上記駆動機構ハウジング内の空気を上記モータハウジング内に移動させる通気路が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7によるアクチュエータは、請求項6記載のアクチュエータにおいて、上記接続部材には上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項8によるアクチュエータは、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記通気路と上記排気路は上記駆動機構を挟んで対向するように設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項9によるアクチュエータは、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記排気路は上記接続部材の上記移動部材の移動方向に並行な一の面に沿って延長されてから上記一の面に隣接する面側に延長され、上記一の面に対向する面側に上記排気口が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項10によるアクチュエータは、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記接続部材は接続部材本体と上記接続部材本体の外面に設置される接続部材カバーを備え、上記排気路及び排気口は、上記接続部材本体と接続部材カバーとの間の空間に形成されることを特徴とするものである。
又、請求項11によるアクチュエータは、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記排気路にはフィルタが設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項12によるアクチュエータは、請求項6記載のアクチュエータにおいて、上記モータハウジングには上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載のアクチュエータによると、駆動機構が内装された駆動機構ハウジングと、上記駆動機構によって上記駆動機構ハウジング内を移動される移動部材と、上記駆動機構ハウジングに連設されるモータハウジングと、上記駆動機構を駆動し上記モータハウジング内に設置されたモータと、を具備し、上記移動部材にはエアスクレーパが設置されており、上記移動部材が移動されることによって上記駆動機構ハウジング内に気流を発生させ、上記駆動機構ハウジング内から上記モータハウジング内への空気の流出及び上記モータハウジング内から上記駆動機構ハウジング内への空気の流入を発生させて上記モータハウジング内の冷却を行うので、冷却用ファンを設けることなく、簡易な構成によりモータハウジング内の冷却を行うことができる。
又、請求項2記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパと上記駆動機構ハウジングの内面との間に隙間が設けられているので、移動部と駆動機構ハウジングとの間の摩擦がないとともに上記駆動機構ハウジング内の空気の圧縮が起きにくく、円滑に上記移動部材の移動を行うことができる。
又、請求項3記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパの先端は上記駆動機構ハウジングの内面に摺設されているので、移動部と駆動機構ハウジングとの間に隙間がなく、効果的に空気を攪拌し、モータハウジング内の冷却を行うことができる。
又、請求項4記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記駆動機構ハウジングは上記移動部材を移動可能に支持するベースと、上記移動部材の少なくとも一部を覆うカバーとから構成され、上記エアスクレーパは上記カバーと上記移動部材との間の空間に配置されるので、カバーを取り外すことで上記エアスクレーパ部分のメンテナンスを容易に行うことができる。
又、請求項5記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記エアスクレーパは着脱可能であるので、上記エアスクレーパを容易に交換できる。
又、請求項6記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記駆動機構ハウジングと上記モータハウジングの間には接続部材が設置されていて、上記接続部材には上記駆動機構ハウジング内と上記モータハウジング内を連通させ上記駆動機構ハウジング内の空気を上記モータハウジング内に移動させる通気路が設けられているので、上記モータハウジング内で空気を循環させて効果的に冷却できる。
又、請求項7記載のアクチュエータによると、請求項6記載のアクチュエータにおいて、上記接続部材には上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられているので、上記モータハウジング内で空気を循環させて効果的に冷却できる。
又、請求項8によるアクチュエータによると、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記通気路と上記排気路は上記駆動機構を挟んで対向するように設けられているので、効果的に空気を循環させることができる。
又、請求項9によるアクチュエータによると、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記排気路は上記接続部材の上記移動部材の移動方向に並行な一の面に沿って延長されてから上記一の面に隣接する面側に延長され、上記一の面に対向する面側に上記排気口が設けられているので、アクチュエータ内部への異物の侵入を防止できる。
又、請求項10によるアクチュエータによると、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記接続部材は接続部材本体と上記接続部材本体の外面に設置される接続部材カバーを備え、上記排気路及び排気口は、上記接続部材本体と接続部材カバーとの間の空間に形成されるので、簡易な構成により容易に上記排気路及び排気口を構成できる。
又、請求項11記載のアクチュエータによると、請求項7記載のアクチュエータにおいて、上記排気路にはフィルタが設置されているので、アクチュエータ内部への異物の侵入を防止できる。
又、請求項12記載のアクチュエータによると、請求項6記載のアクチュエータにおいて、上記モータハウジングには上記モータハウジング内から空気が流入される排気路と上記排気路からの空気を排出する排気口が設けられているので、上記モータハウジング内に空気を通過させることで効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエータの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のII-II断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ステンレスシートと一方のサイドカバーを除去したアクチュエータの斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図4(a)は図2のIVa-IVa断面図、図4(b)はエアスクレーパの前方側から視た斜視図、図4(c)はエアスクレーパの後方側から視た斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、モータハウジングを除去したアクチュエータを後方上側から視た斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、モータハウジングを除去したアクチュエータを後方下側から視た斜視図である。
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、接続部材である軸受ホルダのホルダカバーを除去したアクチュエータを後方上側から視た分解斜視図である。
図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図8(a)は図2のVIIIa-VIIIa断面図、図8(b)は図2のVIIIb-VIIIb断面図である。
図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、スライダが後方側に移動された際の空気の流れを示すアクチュエータの軸受ホルダ付近の縦断面図である。
図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、スライダが前方側に移動された際の空気の流れを示すアクチュエータの軸受ホルダ付近の縦断面図である。
図11】本発明の第1の実施の形態を示す図で、スライダが前方側に移動された際の空気の流れを示すアクチュエータの排気路部分の断面図である。
図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、アクチュエータの斜視図である。
図13】本発明の第2の実施の形態を示す図で、駆動機構ハウジングカバーを除去したアクチュエータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図11を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
この第1の実施の形態によるアクチュエータ1には、図1図2に示すように、駆動機構ハウジング3とモータハウジング5があり、上記駆動機構ハウジング3と上記モータハウジング5の間に設置された接続部材としての軸受ホルダ7がある。
また、上記駆動機構ハウジング3には移動部材としてのスライダ9が前後方向(図2中左右方向)に移動可能に設置されている。
【0011】
図1図2図3、及び、図4(a)に示すように、上記駆動機構ハウジング3には、ベース11がある。上記ベース11は、図4(a)に示すように、略U字型の横断面形状を成しており、上記ベース11の内側両側面にはガイドレール13、13が設置されている。
また、上記駆動機構ハウジング3には、上記ベース11の図4(a)中上側の幅方向(図4(a)中左右方向)両側にそれぞれ設置されたサイドカバー15がある。図4(a)中上側の上記サイドカバー15、15の間は開口部16となっている。また、上記開口部16には中央カバーとしてのステンレスシート17が設置されている。
【0012】
また、図2に示すように、上記駆動機構ハウジング3には、上記ベース11の前端(図2中左端)に設置された前端側軸受ホルダ18がある。上記前端側軸受ホルダ18には軸受19が内装されている。また、上記駆動機構ハウジング3には、上記前端側軸受ホルダ18を覆うように設置された前面カバー20がある。
【0013】
図2図4(a)に示すように、上記スライダ9は、図4(a)中上側を上記開口部16から外部に露出させ図4(a)中下側を上記駆動機構ハウジング3内に収容された状態で上記駆動機構ハウジング3に移動可能に設置されている。
図2図4(a)に示すように、上記スライダ9の下端側(図4(a)中下側)は上記ベース11内に収容されている。上記スライダ9の下端側(図4(a)中下側)にはガイド機構21が設けられている。上記ガイド機構21には、上記スライダ9内部に設けられた図示しない無負荷循環路と、上記スライダ9の下端側(図4(a)中下側)の両側面(図4(a)中左右方向両側の面)に設けられた図示しないガイド溝と、上記スライダ9の前後方向(図2中左右方向)両側にそれぞれ設置されたエンドキャップ23、及び、図示しない複数の鋼球がある。上記鋼球は上記無負荷循環路、上記ガイド溝と上記ガイドレール13との間の空間、上記エンドキャップ23内の図示しないリターン路内を循環される。このようにして上記ガイド機構21によって上記スライダ9が上記駆動機構ハウジング3に対して移動可能に設置されている。
【0014】
また、図2に示すように上記スライダ9には、前後方向(図2中左右方向)に延長された貫通孔25が形成されている。上記スライダ9の貫通孔25内にはボールねじナット27が収容されていて、上記駆動機構ハウジング3内には上記スライダ9の貫通孔25を貫通してボールねじ軸29が回転可能に設置されている。上記ボールねじナット27には、ボールねじナット本体31と、上記ボールねじナット本体31の前後方向(図2中左右方向)両端のそれぞれに設置されたエンドキャップ33と複数の鋼球35がある。上記ボールねじナット本体31の内周面には螺旋溝37が形成されているとともに、上記ボールねじ軸29の表面にも螺旋溝39が形成されている。また、上記ボールねじナット本体31には図示しない無負荷循環路が設けられていて、上記エンドキャップ33内には図示しないリターン路が設けられている。上記鋼球35は、上記螺旋溝37と上記螺旋溝39の間の空間、上記エンドキャップ33の図示しないリターン路、及び、上記ボールねじナット本体31の図示しない無負荷循環路内を循環している。これにより、上記ボールねじ軸29の回転により、上記スライダ9が上記ガイド機構21によってガイドされながら移動されるようになっている。
上記ボールねじナット27及び上記ボールねじ軸29によって駆動機構40が構成されており、上記駆動機構ハウジング3内に上記駆動機構40が収容されていることになる。
なお、上記ステンレスシート17は上記スライダ9を貫通して配置されている。
【0015】
また、図3及び図4(a)に示すように、上記スライダ9の幅方向(図4(a)中左右方向)両側にはそれぞれエアスクレーパ41が着脱可能に取り付けられている。上記エアスクレーパ41は、上記駆動機構ハウジング3のサイドカバー15と上記スライダ9の間の空間に配置されていて、上記エアスクレーパ41と上記サイドカバー15との間には僅かな隙間43が設けられていると共に、上記エアスクレーパ41上記ベース11との間にもわずかな隙間44が設けられている。図4(b)及び図4(c)に示すように、上記エアスクレーパ41は板状の部材を屈曲させたL字型の断面形状を成しており、上記スライダ9の側面側に突出して配置されるスクレーパ部45と上記スクレーパ部45と直交し上記スライダ9に取り付けられる取り付け部47とから構成される。上記取り付け部47には固定用貫通孔49が形成されていて、上記エアスクレーパ41は図示しない固定ねじを上記固定用貫通孔49に貫通させ上記スライダ9の図示しない雌ねじ部に螺合させることで着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0016】
上記軸受ホルダ7は、例えば、図5から図7に示すように、上記ベース11の後端(図2中右端)に固定された接続部材本体としての軸受ホルダ本体51と、上記軸受ホルダ本体51の上面側と幅方向両面側を覆う接続部材カバーとしての軸受ホルダカバー53から構成される。
上記軸受ホルダ本体51には、図2図5、及び、図6に示すように、前後方向(図2中左右方向)に形成された貫通孔55がある。上記貫通孔55の中央部分は拡径されて軸受収容部57が設けられている。また、上記貫通孔55の後端側(図2中右端側)は更に拡径され、軸受押さえ収容部59が設けられている。上記軸受収容部57内には軸受61が収容されていて、上記軸受61は上記軸受押さえ収容部59内に固定された軸受押さえ63によって固定されている。
なお、上記ボールねじ軸29は上記軸受61と上記前端側軸受ホルダ18に内装された軸受19によって回転可能に支持されている。また、上記ステンレスシート17の前端は上記前端側軸受ホルダ18に固定され、後端は上記軸受ホルダ本体51に固定されている。
【0017】
図5に示すように、上記軸受ホルダ本体51の後端側(図5中右下側)であって上記貫通孔55の上側の幅方向(図5中左右方向)両側にはそれぞれモータ支持部65が設けられている。また、上記軸受ホルダ本体51の後端側(図5中右下側)であって上記貫通孔55の下側にはモータ支持部67が設けられている。
また、図7に示すように、上記軸受ホルダ本体51の前端側(右上側)の幅方向(図7中左上から右下に向かう方向)両側であって下端側(図7中下側)には、それぞれ、軸受ホルダカバー係合凹部68が形成されている。
【0018】
図2図7、及び、図8に示すように、上記軸受ホルダ本体51の側周面の前後方向(図7中右上から左下に向かう方向)の中央の幅方向(図7中左上から右下に向かう方向)両側の面と上面側(図7中上側)にかけて排気路用溝69が形成されている。また、上記軸受ホルダ本体51の上記排気路用溝69の後端側(図7中左下側)であって上面側(図7中上側)には、上記軸受ホルダ本体51の後端側(図7中左下側)の空間と上記排気路用溝69を連絡する排気路用溝71が形成されている。
また、図6及び図8に示すように、上記軸受ホルダ本体51の貫通孔55の下側には、上記軸受ホルダ本体51を前後方向(図8中紙面方向)に貫通する2つの通気路73が設けられている。
【0019】
上記軸受ホルダカバー53の内周面には、上記排気路用溝69の後端側(図7中左下側)の面に当接された状態で上記排気路用溝69に係合される排気路用溝係合リブ75が形成されている。また、上記軸受ホルダカバー53の内側の前端側(図7中右上側)であって下端側(図7中下側)の幅方向(図7中左上から右下に向かう方向)両側にはそれぞれ本体係合爪77が形成されている。
上記軸受ホルダカバー53は、上記排気路用溝係合リブ75を上記排気路用溝69の後端側(図7中左下側)に係合させるとともに上記本体係合爪77を上記軸受ホルダカバー係合凹部68に係合させて、上記軸受ホルダ本体51に被冠される。上記軸受ホルダ本体51と上記軸受ホルダカバー53が組み合わされると、上記軸受ホルダカバー53の内周面と上記軸受ホルダ本体51の排気路用溝69と排気路用溝71によって排気路79が構成される。上記排気路79は、図2及び図8(b)に示すように、上記排気路用溝71側から水平方向(図2中前後方向、及び、図8(b)中左右方向)に延長されてから、幅方向(図8(b)中左右方向)両端側で底面側(図8(b)中下側)に向けて延長されている。また、図8(b)に示すように、上記排気路79の底面側(図8(b)中下側)に開口されており、幅方向(図8(b)中左右方向)両側にそれぞれ排気口81が設けられている。
上記排気路79を構成する上記排気路用溝71は上記貫通孔55を挟んで上記通気路73に対向する側に設けられていることになる。
【0020】
上記モータハウジング5には、上記軸受ホルダ7に接続された中空形状のモータハウジング本体83と上記モータハウジング本体83の後端側(図2中右側)の開口部を閉塞するモータハウジング側端部カバー85がある。
図2に示すように、上記モータハウジング5内にはモータ87が収容されている。上記モータ87は上記軸受ホルダ本体51のモータ支持部65、67によって支持されて固定されている。また、上記モータ87の後端側(図2中右端側)にはエンコーダ89が設置されている。
また、上記モータハウジング5内には、図示しないコントローラ基板が収容される場合もある。
上記駆動機構40のボールねじ軸29の後端側(図2中右側)は上記貫通孔55を貫通して上記モータハウジング本体83内に配置され、上記モータ87の出力軸91の先端側(図2中左側)と上記ボールねじ軸29の後端側(図2中右側)は上記モータハウジング本体83内においてカップリング93によって連結されている。
【0021】
上記駆動機構ハウジング3の内部と上記モータハウジング5の内部は、上記軸受ホルダ本体51の通気路73によって連絡されている。また、上記モータハウジング5の内部と上記アクチュエータ1外部は排気路79によって連絡されている。また、上記駆動機構ハウジング3において、上記前端側軸受ホルダ18と上記前面カバー20との隙間においても空気の流入と流出が生じる。
【0022】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
モータ87によってボールねじ軸29が回転されると、スライダ9が前後方向(図2中左右方向)に移動される。
図8(b)と図9に示すように、上記スライダ9が後方(図9中右側、矢印Aの方向)に移動されると、図9の矢印Bに示すようにエアスクレーパ41及びスライダ9によって駆動機構ハウジング3内の空気が上記駆動機構ハウジング3の後方(図9中右側)側に移動されて、通気路73を通ってモータハウジング5内部に移動されて上記モータハウジング5内で循環され、更に、図8(b)の矢印Cに示すように上記モータハウジング5内の空気が排気路79を通って排気口81からアクチュエータ1外部に排出される。
【0023】
また、図10図11に示すように、上記スライダ9が前方(図10中左側、矢印Dの方向)に移動されると、上記エアスクレーパ41及び上記スライダ9によって上記駆動機構ハウジング3内の空気が前方側(図10中左側)に移動され、図10の矢印Eで示すように上記通気路73を通って上記モータハウジング5内部の空気が上記駆動機構ハウジング3内に移動される。その際、図11の矢印Fで示すように上記アクチュエータ1外部の空気が上記排気口81から上記排気路79を通って上記モータハウジング5内に流入される。
また、上記スライダ9の移動によって上記駆動機構ハウジング3内の空気が移動される際、前端側軸受ホルダ18と前面カバー20との隙間において空気の流入と流出が生じる。
このようにして、上記アクチュエータ1内の空気を攪拌し、上記モータハウジング5内の冷却を促進する。
【0024】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
スライダ9にエアスクレーパ41が設置されているので、効果的にアクチュエータ1内の空気が攪拌されるようになっており、冷却用ファンを設けることなく、簡易な構成によりモータハウジング5内の冷却を行うことができる。
上記エアスクレーパ41とサイドカバー15の間には隙間43が設けられているため、上記エアスクレーパ41と上記サイドカバー15との間の摩擦がないとともに、上記駆動機構ハウジング3内の空気の圧縮が起きにくく、円滑な動作が可能である。
上記エアスクレーパ41は着脱可能なので交換が容易である。また、上記駆動機構ハウジング3はベース11とサイドカバー15から構成され、上記エアスクレーパ41はサイドカバー15とスライダ9との間に設置されているので、上記サイドカバー15を取り外すだけで上記エアスクレーパ41を容易に交換できる。
上記駆動機構ハウジング3と上記モータハウジング5の間に接続部材としての軸受ホルダ7が設置されていて、上記軸受ホルダ7に通気路73や排気路79が設けられているので、上記モータハウジング5内部で前後方向に空気を循環させて排出されるようになっており、更に効果的に上記モータハウジング5内の冷却を促進することができる。
上記排気路79は、図2及び図8(b)に示すように、上記排気路用溝71側から水平方向(図2中前後方向、及び、図8(b)中左右方向)に延長されてから、幅方向(図8(b)中左右方向)両端側で底面側(図8(b)中下側)に向けて延長され、底面側(図8(b)中下側)に設けられた排気口81に開口されているので、ラビリンス構造のようになっており、内部への異物の侵入を防止できる。
上記排気路79を構成する上記排気路用溝71は上記貫通孔55を挟んで上記通気路73に対向する側に設けられているので、上記モータハウジング5内の離れた位置に上記排気路79の入口と上記通気路73の入口があり、上記モータハウジング5内の空気を効果的に循環させることができる。
上記軸受ホルダ本体51の外周面と上記軸受ホルダカバー53の内周面との間に排気路79が構成され、上記軸受ホルダカバーに排気口81が設けられるので、上記軸受ホルダカバー53の形状を変更することで、排気路の大きさや経路、排気口の配置を様々に変更することができる。
【0025】
次に、図12及び図13を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態によるアクチュエータ101は、前記した第1の実施の形態のアクチュエータ1と略同様の構成であるが、ロッド型のアクチュエータであり、駆動機構ハウジング103の内部に駆動機構40が収容されている。
【0026】
上記駆動機構ハウジング103には、前記した第1の実施の形態における駆動機構ハウジング3と同様にベース11があり、上記ベース11の前端(図2中左下側)に設置された前端側軸受ホルダ107がある。上記前端側軸受ホルダ107には前後方向(図12中左下から右上に向かう方向)に延長された貫通孔109があり、上記貫通孔109内には軸受111が設置されている。
【0027】
上記ベース11には、スライダ113が移動可能に設置されている。上記スライダ113には前記した第1の実施の形態におけるスライダ9と同様にガイド機構21が設けられている。また、前記した第1の実施の形態におけるスライダ9と同様に上記スライダ113内には図示しないボールねじナットが設置されており、上記駆動機構ハウジング103内には上記スライダ113を貫通して上記図示しないボールねじナットに螺合される図示しないボールねじ軸が回転可能に設置されている。
【0028】
図13に示すように、上記アクチュエータ101にはロッド115がある。上記ロッド115の基端側(図13中右上側)は上記スライダ113に固定されていて、上記ロッド115は上記スライダ113の移動によって進退される。上記ロッド115の先端側(図13中左下側)は上記前端側軸受ホルダ107の貫通孔109に設置された軸受111によって上記スライダ113の進行方向へ進退可能に支持されているとともに、上記軸受111を貫通して外部に突出されている。
上記ロッド115は中空の円筒形状であり、上記駆動機構40の図示しないボールねじ軸の先端側は上記ロッド115内に配置されている。
また、図12に示すように、上記駆動機構ハウジング103には、上記ベース11の上側に設置された駆動機構ハウジングカバー117がある。
【0029】
また、上記スライダ113には、前記した第1の実施の形態におけるスライダ9と同様に幅方向(図13中左上から右下に向かう方向)両側にはそれぞれエアスクレーパ41が着脱可能に取り付けられている。
【0030】
この第2の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の作用と効果を奏する。
なお、この第2の実施の形態と前記した第1の実施の形態に共通する構成要素については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0031】
なお、本発明は前記した第1の実施の形態及び第2の実施の形態に限定されない。
エアスクレーパの先端がサイドカバーや駆動機構ハウジングカバーに摺接し隙間がない場合も考えられる。この場合、エアスクレーパの先端とサイドカバーや駆動機構ハウジングカバーとの間に摩擦が生じることが考えられるが、隙間がないことにより駆動機構ハウジング内の空気を更に効果的に移動させることができる。
スライダとエアスクレーパを一体の部材で構成することも考えられる。
モータハウジングに排気路や排気口が設けられる場合も考えられる。例えば、モータハウジング本体に孔や切欠きを設けて排気路や排気口にしたり、モータハウジング側端部カバーに軸受ホルダカバーに形成したような排気路や排気口を設けたり、モータハウジング本体とモータハウジング側端部カバーとの間に排気路や排気口を設置してもよい。この場合は、モータハウジング内を空気が通過していき、効果的に冷却が行われる。
排気路や排気口にフィルタが設置される場合も考えられる。この場合は、アクチュエータ内部への異物の侵入を更に防止できる。
また、前端側軸受ホルダと前面カバーやサイドカバー及び駆動機構ハウジングカバーの前端側に排気路及び排気口を設ける場合も考えられる。
また、接続部材に設置される通気路、排気路、排気口の配置は様々な場合が考えられる。例えば、排気路を接続部材の一方の側面側から底面側と上面側に延長して他方の側面側に排気口を設け、通気路を駆動機構を挟んで上記排気路が配置された側面に対向する側面側に配置する場合や、排気路を接続部材の底面側から側面側に延長して上面側に排気口を設け、通気路を駆動機構を挟んで上面側に配置する場合が考えられる。
各構成要素の形状、材質、大きさ、個数については様々な場合が考えられる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、移動部材が前進後退するアクチュエータに係り、特に、簡易な構成によりモータカバー内を冷却できるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 アクチュエータ
3 駆動機構ハウジング
5 モータハウジング
7 軸受ホルダ(接続部材)
9 スライダ(移動部材)
11 ベース
15 サイドカバー(カバー)
27 ボールねじナット(駆動機構の一部)
29 ボールねじ軸(駆動機構の一部)
40 駆動機構
41 エアスクレーパ
43 隙間
44 隙間
51 軸受ホルダ本体(接続部材本体)
53 軸家ホルダカバー(接続部材カバー)
73 通気路
79 排気路
81 排気口
85 モータハウジング側端部カバー
87 モータ
101 アクチュエータ
103 駆動機構ハウジング
113 スライダ(移動部材)
117 駆動機構ハウジングカバー(カバー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13