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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071075
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/063 20060101AFI20240517BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240517BHJP
【FI】
B60K15/063 B
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181817
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 佑太
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】前田 良輔
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将史
(72)【発明者】
【氏名】上阪 周平
【テーマコード(参考)】
3D038
5H127
【Fターム(参考)】
3D038CA12
3D038CA17
3D038CB03
3D038CC18
3D038CD01
3D038CD09
3D038CD12
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127EE04
(57)【要約】
【課題】燃料である水素を大量に搭載することができる。
【解決手段】ダンプトラックは、水素を燃料とする駆動源を搭載した車体フレームと、前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディと、を備えるダンプトラックにおいて、前記水素を貯蔵する水素タンクを更に備え、前記水素タンクは、前記ダンプボディに設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を燃料とする駆動源を搭載した車体フレームと、前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディと、を備えるダンプトラックにおいて、
前記水素を貯蔵する水素タンクを更に備え、
前記水素タンクは、前記ダンプボディに設けられている、
ダンプトラック。
【請求項2】
前記ダンプボディは、運転室を上方から保護するプロテクタを備え、
前記水素タンクは、前記プロテクタの下部に設けられている、
請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項3】
前記水素タンクから前記駆動源へ前記水素を供給するための水素供給配管を更に備え、
前記水素供給配管は、
前記ダンプボディの下面に設けられる第1供給部分と、
前記車体フレームに設けられる第2供給部分と、
前記第1供給部分と前記第2供給部分とを前記回動部の近傍で結合する屈曲自在な第3供給部分と、を含む、
請求項1又は2に記載のダンプトラック。
【請求項4】
前記第2供給部分と前記駆動源との間に設けられ、前記燃料を減圧するための減圧バルブを更に備え、
前記第1供給部分及び前記第2供給部分は、金属配管で構成され、
前記第3供給部分は、ホースで構成される、
請求項3に記載のダンプトラック。
【請求項5】
前記第1供給部分は、前記ダンプボディに複数設けられ、
前記ダンプボディに設けられ、複数の前記第1供給部分を前記第3供給部分に集合させるための水素供給用マニホールドを更に備える、
請求項3に記載のダンプトラック。
【請求項6】
前記水素供給用マニホールドから分岐して設けられ、前記燃料が気化した水素ガスを放出する水素放出管を更に備え、
前記水素放出管は、前記水素ガスを前記ダンプボディの側面から放出する、
請求項5に記載のダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルに向けて、鉱山機械及び建設機械等のゼロエミッション化が急務である。ゼロエミッション化を図るための手段の一つとして、燃料電池システムがある。例えば、燃料電池システムは、燃料電池(FC: Fuel Cell)と、バッテリと、燃料である水素を貯蔵する水素タンクと、を備える。燃料である水素は、軽油等の他の燃料と比べて体積エネルギー密度が低い。例えば、現状の軽油タンクの体積に高圧水素(約70MPa)を貯蔵したとしても、この搭載エネルギーは、軽油の場合の10分の1以下となる。つまり、水素を燃料とする場合は、軽油を燃料とする場合と比べて、稼働時間が短くなってしまうことを意味する。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃料電池スタックと、燃料電池スタックに水素を供給する第1水素タンク及び第2水素タンクと、を備える燃料電池自動車が開示されている。第1水素タンクは、フロントフロアパネルのトンネル部の下方に配置されている。第2水素タンクは、リアフロアパネルの下方に配置されている。第1水素タンク及び第2水素タンクは、車体下部(車両下方側)に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-189028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車体下部のスペースには限界があり、第1水素タンク及び第2水素タンクを大量に搭載することは困難である。そのため、体積エネルギー密度が低い水素を貯蔵する水素タンクを、車両の限られたスペースに大量に搭載する上で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、燃料である水素を大量に搭載することができるダンプトラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るダンプトラックは、水素を燃料とする駆動源を搭載した車体フレームと、前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディと、を備えるダンプトラックにおいて、前記水素を貯蔵する水素タンクを更に備え、前記水素タンクは、前記ダンプボディに設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、燃料である水素を大量に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るダンプトラックの側面図。
図2】実施形態に係るダンプトラックにおいて積載物の排出時の側面図。
図3】実施形態に係るダンプトラックの前面図。
図4】実施形態に係る水素供給システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、水素供給システムを構成する作業車両として、鉱山などの作業現場を走行して積荷を運搬する運搬車両であるダンプトラックを挙げて説明する。
【0011】
<ダンプトラック>
図1は、実施形態に係るダンプトラック2の側面図である。図2は、実施形態に係るダンプトラック2において積載物の排出時の側面図である。図3は、実施形態に係るダンプトラック2の前面図である。図4は、実施形態に係る水素供給システム1のブロック図である。
図1から図4を併せて参照し、ダンプトラック2は、水素を燃料とする駆動源36を搭載した車体フレーム10と、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディ12(ベッセルに相当)と、車体フレーム10を支持する走行装置13と、を備える。例えば、ダンプトラック2は、運転者による運転操作によらずに無人で駆動する無人ダンプトラックでもよいし、運転者による運転操作に基づいて駆動する有人ダンプトラックでもよい。
【0012】
以下、ダンプトラック2の前進方向(車体前方)、後進方向(車体後方)及び車両幅方向(車体左右方向)を「車両前方(車両前後方向一方側)」、「車両後方(車両前後方向他方側)」及び「車両幅方向」と称する。車両幅方向は、「左側(車両幅方向一方側)」又は「右側(車両幅方向他方側)」と称する場合もある。ダンプトラック2が前進する方向に対して右手を右側、ダンプトラック2が前進する方向に対して左手を左側と称する。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)を単に「上下方向」、「上方」及び「下方」と称する。図の例では、ダンプトラック2は、水平面(水平な地面)に配置されている。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)は、ダンプトラック2が水平面に配置された状態の上下方向(鉛直方向)、鉛直上方及び鉛直下方とそれぞれ一致する。
【0013】
車体フレーム10は、車両前後方向に延びている。車体フレーム10は、回動部11を介して、ダンプボディ12を回動自在に支持する。回動部11は、車体フレーム10上において車両幅方向に延びる軸部(ダンプボディ12の回動中心軸に相当)を含む部分である。車体フレーム10は、走行装置13に支持されている。
【0014】
ダンプボディ12は、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合される。ダンプボディ12は、積荷が積載される部材(荷台に相当)である。ダンプボディ12の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも上方に配置される。ダンプボディ12は、ダンプ動作及び下げ動作を行うことが可能である。
【0015】
ダンプ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10から離隔させてダンプ方向に傾斜させる動作を意味する。ダンプ方向は、車体フレーム10の後方である。実施形態において、ダンプ動作は、ダンプボディ12の前端部を上昇させて、ダンプボディ12を後方に傾斜させることを含む。ダンプ動作により、ダンプボディ12の積載面は、後方に向かって下方に傾斜する。
【0016】
下げ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10に接近させる動作を意味する。下げ動作は、ダンプ動作とは逆方向の動作である。実施形態において、下げ動作は、ダンプボディ12の前端部を下降させることを含む。
【0017】
ダンプ動作及び下げ動作により、ダンプボディ12は、ダンプ姿勢及び積載姿勢に調整される。ダンプ姿勢とは、ダンプボディ12が上昇している姿勢を意味する。積載姿勢とは、ダンプボディ12が下降している姿勢を意味する。図2の例では、積載姿勢のダンプボディ12を実線で示し、ダンプ姿勢のダンプボディ12を二点鎖線で示している。
【0018】
例えば、排土作業を実施する場合、ダンプボディ12は、積載姿勢からダンプ姿勢に変化するように、ダンプ動作する。ダンプボディ12に積荷が積載されている場合、積荷は、ダンプ動作により、ダンプボディ12の後端部から後方に排出される。一方、積込作業が実施される場合、ダンプボディ12は、積載姿勢に調整される。
【0019】
ダンプボディ12は、運転室15を上方から保護するプロテクタ16を備える。プロテクタ16は、ダンプボディ12が積載姿勢にあるときは運転室15を上方から覆うように配置される。プロテクタ16は、ダンプボディ12の前端側に設けられている。プロテクタ16は、運転室15よりも上方に配置されている。プロテクタ16は、車両幅方向に延びている。例えば、運転室15は、車両幅方向中央よりも車両左側に配置されている。
【0020】
運転室15は、プラットフォーム17に支持されている。プラットフォーム17は、オペレータの運転室15への乗降時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、ダンプトラック2の搭載機器の整備時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、プロテクタ16よりも下方に配置されている。プラットフォーム17は、車輪21,22よりも上方に配置されている。プラットフォーム17は、車両幅方向に延びている。プラットフォーム17は、車両前後方向及び車両幅方向に平行な板状に形成されている。
【0021】
走行装置13は、車体フレーム10を支持する。走行装置13は、ダンプトラック2を走行させる。走行装置13は、ダンプトラック2を前進又は後進させる。走行装置13の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも下方に配置される。走行装置13は、複数の車輪21,22を備える。複数の車輪21,22は、前輪21と、前輪21よりも後方に配置される後輪22と、を含む。
【0022】
前輪21は、ダンプトラック2の進行方向を変えるために操舵される操舵輪である。前輪21は、左右一対配置されている。左右一対の前輪21は、車体フレーム10の前部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。前輪21は、左右に1つずつ(計2つ)設けられている。
【0023】
後輪22は、駆動源36により駆動される駆動輪である。後輪22は、左右一対配置されている。左右一対の後輪22は、車体フレーム10の後部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。後輪22は、左右に2つずつ(計4つ)設けられている。
【0024】
<水素タンク>
ダンプトラック2は、燃料である水素を貯蔵する水素タンク25を更に備える。水素タンク25は、ダンプボディ12に設けられている。本実施形態では、水素タンク25は、プロテクタ16の下部に設けられている。水素タンク25は、円筒形状を有する。水素タンク25は、プロテクタ16の下面に沿って車両幅方向に複数設けられている。図3の例では、13個(複数の一例)の水素タンク25が車両幅方向に並んで配置されている。
【0025】
なお、水素タンク25の形状、個数及び配置は、上記に限らない。例えば、水素タンク25は、扁平形状であってもよい。例えば、水素タンク25の数は、12個以下又は14個以上であってもよい。例えば、水素タンク25は、上下に積み重ねて配置されていてもよい。例えば、水素タンク25は、プロテクタ16の下面に2段以上に積層されていてもよい。例えば、水素タンク25の形状、個数及び配置は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0026】
例えば、水素タンク25は、U字バンド及びU字ボルト等の連結部材(不図示)で、プロテクタ16の下面に着脱可能に連結されている。例えば、連結部材は、複数の水素タンク25のそれぞれに対応する位置に複数設けられている。例えば、連結部材は、水素タンク25を1つずつプロテクタ16の下面に連結するように構成されている。
【0027】
なお、連結部材の構成は、上記に限らない。例えば、連結部材は、複数の水素タンク25に対応して1つのみ設けられていてもよい。例えば、連結部材は、複数の水素タンク25をまとめてプロテクタ16の下面に連結するように構成されていてもよい。例えば、連結部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0028】
<水素供給システム>
水素供給システム1(システムの一例)の構成要素は、車体フレーム10及びダンプボディ12に搭載されている。
車体フレーム10には、コントローラ30と、減圧バルブ35と、駆動源36(FC/水素エンジンに相当)と、水素充填用コネクタ50と、が搭載されている。
ダンプボディ12には、水素タンク25と、水素充填用マニホールド52と、水素充填用圧力センサ54と、水素供給用マニホールド56と、電磁バルブ57と、水素放出管58と、水素供給用圧力センサ59と、が搭載されている。
【0029】
ハーネス5は、車体フレーム10に搭載されたコントローラ30からの制御信号をダンプボディ12に伝送可能に構成される。例えば、ハーネス5は、複数の電線(例えば電線束)で構成されている。
【0030】
ハーネス5の一端(ダンプボディ12側に結合される端部とは反対側の端部)は、コントローラ30に接続されている。例えば、コントローラ30は、CPU等のプロセッサである処理部と、RAM 、ROM及びこれらの組合せ等の記憶部と、入出力部とを有する。処理部は、システムの構成要素の動作を制御する。記憶部は、処理部の機能を実現するためのコンピュータプログラム及び処理部の処理に必要な情報を記憶している。入出力部は、コントローラ30と他の装置とのインターフェース回路である。
【0031】
水素供給システム1は、燃料である水素を水素タンク25に充填するための水素充填系3と、水素タンク25内の水素を駆動源36に供給するための水素供給系4と、を含む。本実施形態では、水素充填系3及び水素供給系4は、水素の流通経路が互いに別の系統となるように構成されている。
【0032】
<水素充填系>
水素充填系3は、水素充填配管51と、水素充填用マニホールド52と、を含む。水素充填配管51は、車体フレーム10に設けられる第1充填部分51Aと、ダンプボディ12の下面に設けられる第2充填部分51Bと、第1充填部分51Aと第2充填部分51Bとを回動部11の近傍で結合する屈曲自在な第3充填部分51Cと、を含む。
【0033】
例えば、第1充填部分51A及び第2充填部分51Bは、金属配管で構成される。例えば、第1充填部分51A及び第2充填部分51Bは、高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうる高圧金属配管で構成される。例えば、第3充填部分51Cは、ホースで構成される。例えば、第3充填部分51Cは、揺動及び高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうるホースで構成される。
【0034】
第2充填部分51Bは、ダンプボディ12に複数設けられている。例えば、水素充填用マニホールド52は、ダンプボディ12の左側部(車両幅方向一方側部)に設けられている。水素充填用マニホールド52は、1本の管(第3充填部分51Cに相当)を複数本の管(複数の水素タンク25に対応する複数の第2充填部分51Bに相当)に分岐させる構造を持つ。
【0035】
水素充填用コネクタ50は、水素充填配管51を構成する第1充填部分51A及び第3充填部分51Cを介して、水素充填用マニホールド52に接続されている。水素充填用マニホールド52は、水素充填配管51を構成する第2充填部分51Bを介して、水素タンク25に接続されている。水素タンク25には、水素充填用コネクタ50、第1充填部分51A(金属配管に相当)、第3充填部分51C(ホースに相当)、水素充填用マニホールド52及び第2充填部分51B(金属配管に相当)を通じて、水素が充填される。
【0036】
水素充填用圧力センサ54は、水素充填用マニホールド52に接続されている。水素充填用圧力センサ54は、水素充填用マニホールド52内の圧力を測定する。
【0037】
<水素供給系>
水素供給系4は、水素供給配管55と、水素供給用マニホールド56と、を含む。水素供給配管55は、ダンプボディ12の下面に設けられる第1供給部分55Aと、車体フレーム10に設けられる第2供給部分55Bと、第1供給部分55Aと第2供給部分55Bとを回動部11の近傍で結合する屈曲自在な第3供給部分55Cと、を含む。
【0038】
例えば、第1供給部分55A及び第2供給部分55Bは、金属配管で構成される。例えば、第1供給部分55A及び第2供給部分55Bは、高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうる高圧金属配管で構成される。例えば、第3供給部分55Cは、ホースで構成される。例えば、第3供給部分55Cは、揺動及び高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうるホースで構成される。
【0039】
第1供給部分55Aは、ダンプボディ12に複数設けられている。例えば、水素供給用マニホールド56は、ダンプボディ12の右側部(車両幅方向他方側部)に設けられている。水素供給用マニホールド56は、複数本の管(複数の水素タンク25に対応する複数の第1供給部分55Aに相当)を1本の管(第3供給部分55Cに相当)に集合させる構造を持つ。
【0040】
水素タンク25は、水素供給配管55を構成する第1供給部分55Aを介して、水素供給用マニホールド56に接続されている。水素供給用マニホールド56は、水素供給配管55を構成する第2供給部分55B及び第3供給部分55C等を介して、駆動源36に接続されている。駆動源36には、水素タンク25、第1供給部分55A(金属配管に相当)、水素供給用マニホールド56、第3供給部分55C(ホースに相当)及び第2供給部分55B(金属配管に相当)等を通じて、水素が供給される。
【0041】
水素放出管58は、水素供給用マニホールド56から分岐して設けられている。水素放出管58は、燃料である水素が気化した水素ガスを放出する。水素放出管58は、水素ガスをダンプボディ12の側面から放出する。水素放出管58は、電磁バルブ57を介して水素供給用マニホールド56に接続されている。例えば、緊急時には、水素放出管58を通じて、水素供給用マニホールド56内の水素ガスが外部に放出されてもよい。
【0042】
水素供給用圧力センサ59は、水素供給用マニホールド56に接続されている。水素供給用圧力センサ59は、水素供給用マニホールド56内の圧力を測定する。
【0043】
ハーネス5の他端(コントローラ30に結合される端部とは反対側の部分から分岐した端部)は、水素充填用圧力センサ54、水素供給用圧力センサ59及び電磁バルブ57に電気的に接続されている。水素充填用圧力センサ54及び水素供給用圧力センサ59の検知結果(圧力の検知信号)は、ハーネス5を通じて、コントローラ30に入力される。
【0044】
第2供給部分55Bの一端(第3供給部分55Cに結合される端部とは反対側の端部)は、燃料を減圧するための減圧バルブ35に接続されている。減圧バルブ35は、第2供給部分55Bと駆動源36との間に設けられている。減圧バルブ35は、駆動源36に接続されている。減圧バルブ35は、第2供給部分55B内(一次側)の高い圧力を逃がして駆動源36側(二次側)の圧力を所定圧力に保つ機能を持つ。
【0045】
駆動源36は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する燃料電池(FC)と、水素を燃料とする内燃機関である水素エンジンと、を含む。例えば、燃料電池は、複数の単位セルが積層されたスタック構造を有する。例えば、燃料電池は、外気に含まれる酸素を利用して発電する。なお、燃料電池は、酸化ガス供給装置(不図示)により酸素を含む空気が供給されてもよい。
【0046】
例えば、水素エンジンは、ダンプボディ12のダンプ動作又は下げ動作を行う動力を発生する。例えば、水素エンジンは、前輪21を操舵する動力を発生する。例えば、水素エンジンが発生した動力(回転力)は、走行装置13の後輪22に伝達される。
【0047】
なお、水素供給システム1は、バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池)を含んでいてもよい。例えば、バッテリは、燃料電池において発生した電力を蓄える。例えば、バッテリは、燃料電池と同様、ダンプトラック2の電源として機能してもよい。
【0048】
<システムの構成要素の配置>
図1を併せて参照し、駆動源36は、減圧バルブ35よりも車体前方に配置されている。駆動源36は、プラットフォーム17よりも下方に配置されている。
【0049】
駆動源36及び減圧バルブ35は、車体フレーム10の上に搭載されている。駆動源36及び減圧バルブ35は、車体フレーム10の車両幅方向の範囲内に配置されていることが好ましい。この構成によれば、駆動源36及び減圧バルブ35が車体下方から車体フレーム10によって覆われる。そのため、駆動源36及び減圧バルブ35に対して車体下方から外乱(例えば、飛び石等)が及ぶことを抑制することができる。
【0050】
例えば、稼働時間を長くするためには水素を大量に搭載する必要があるが、既存の場所(例えば、車体側のスペース)には限界がある。これに対し本実施形態では、水素タンク25は、ダンプボディ12の裏面(具体的には、プロテクタ16の下面)に配置されている。ダンプボディ12の裏面には、これまで使用していなかった場所(未使用場所)があるため、未使用場所を有効活用することができる。これにより、水素タンク25を大量に搭載することが可能となる。
【0051】
特に、水素タンク25は、バッテリよりも軽いため、ダンプボディ12の裏面に水素タンク25を大量に搭載した場合でも、排土性能などに影響を及ぼす可能性は低い。加えて、仮に水素タンク25から水素の漏洩があった場合でも、水素は空気よりも軽いため、ダンプトラック2において最も高い場所近傍(具体的には、プロテクタ16の下面)に設置することは、安全面の観点でも好適である。例えば、ダンプボディ12の形状を工夫(例えば、プロテクタ16の上下位置を高くする等)することで、水素タンク25を多段構成(例えば、上下2段構成)にしてもよい。これにより、水素タンク25の搭載量の更なる増加を実現することができる。
【0052】
例えば、ダンプボディ12の裏面に配管(金属配管に相当)を沿わせる場合は、車両幅方向中央側を通るように沿わせた後、回動部11近傍において車体フレーム10側に渡すとよい。その後、配管において車体フレーム10側に渡した部分は、水素充填用コネクタ50及び駆動源36と接続できるようにするとよい。例えば、水素充填用コネクタ50の設置場所は、地上から容易にアクセスすることができる高さにあるとよい。例えば、配管において駆動源36の直前までの部分は、圧力損失を考慮して高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうる高圧金属配管とするとよい。一方、配管において回動部11近傍の部分は、揺動に耐えうるホースとするとよい。
【0053】
例えば、車体フレーム10側において火災等の異常が発生した場合は、水素タンク25内の水素を緊急放出する必要が生じる可能性がある。この場合は、水素供給用マニホールド56から分岐する形でダンプボディ12の端部まで水素放出管58を延ばすとよい。図3の例では、水素放出管58は、ダンプボディ12のプロテクタ16よりも右側方に延びている。これにより、水素放出管58を通じて水素ガスをダンプボディ12の右側面から放出することができる。
【0054】
なお、水素の放出は、なるべく高い位置で行うことが望ましい。そのため、水素供給用マニホールド56をダンプボディ12に搭載している場合は、ダンプボディ12の端部まで水素放出管58を延ばすだけで済むので容易であり、かつ、安全面に優れる。
【0055】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態のダンプトラック2は、水素を燃料とする駆動源36を搭載した車体フレーム10と、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディ12と、を備える。ダンプトラック2は、水素を貯蔵する水素タンク25を更に備える。水素タンク25は、ダンプボディ12に設けられている。
この構成によれば、水素タンク25がダンプボディ12に設けられていることで、燃料である水素をダンプトラック2の限られたスペースに大量に搭載することを要しない。したがって、燃料である水素を大量に搭載することができる。
【0056】
本実施形態では、ダンプボディ12は、運転室15を上方から保護するプロテクタ16を備える。水素タンク25は、プロテクタ16の下部に設けられている。
この構成によれば、水素タンク25がプロテクタ16の上部に設けられる場合と比較して、水素タンク25に対してプロテクタ16の上方から外乱が及ぶことを抑制することができる。例えば、積載物の積込時に、積載物が水素タンク25に衝突する可能性を低減することができる。
【0057】
本実施形態では、ダンプトラック2は、水素タンク25から駆動源36へ水素を供給するための水素供給配管55を更に備える。水素供給配管55は、ダンプボディ12の下面に設けられる第1供給部分55Aと、車体フレーム10に設けられる第2供給部分55Bと、第1供給部分55Aと第2供給部分55Bとを回動部11の近傍で結合する屈曲自在な第3供給部分55Cと、を含む。
この構成によれば、水素供給配管55が3つの部分(第1供給部分55A、第2供給部分55B及び第3供給部分55C)を備えた簡単な構成で、ダンプ動作及び下げ動作に影響を及ぼすことなく、水素供給配管55を可及的に短くすることができる。
【0058】
本実施形態では、ダンプトラック2は、第2供給部分55Bと駆動源36との間に設けられ、燃料を減圧するための減圧バルブ35を更に備える。第1供給部分55A及び第2供給部分55Bは、金属配管で構成される。第3供給部分55Cは、ホースで構成される。
この構成によれば、水素タンク25に高圧水素(例えば、約70MPa)を貯蔵する場合でも、ダンプ動作及び下げ動作に影響を及ぼすことなく、水素供給配管55を可及的に短くすることができる。加えて、減圧バルブ35が第1供給部分55Aに設けられる場合と比較して、圧力損失が少なくなるように減圧バルブ35を駆動源36の直前に配置することができる。
【0059】
本実施形態では、第1供給部分55Aは、ダンプボディ12に複数設けられる。ダンプトラック2は、ダンプボディ12に設けられ、複数の第1供給部分55Aを第3供給部分55Cに集合させるための水素供給用マニホールド56を更に備える。
この構成によれば、水素供給用マニホールド56が車体フレーム10に設けられる場合と比較して、水素供給用マニホールド56につながる配管が複雑化することを抑制することができる。例えば、水素の充填経路(水素充填系3に相当)と水素の供給経路(水素供給系4に相当)とを互いに別の系統にした場合でも、水素供給系4では第3供給部分55Cを1本設けるだけで済む。したがって、配管等の設置数を最小限に抑えることができる。
【0060】
本実施形態では、ダンプトラック2は、水素供給用マニホールド56から分岐して設けられ、燃料が気化した水素ガスを放出する水素放出管58を更に備える。水素放出管58は、水素ガスをダンプボディ12の側面から放出する。
この構成によれば、水素供給用マニホールド56が車体フレーム10に設けられる場合と比較して、水素供給用マニホールド56からダンプボディ12の側面まで水素放出管58を延ばす場合に水素放出管58を短くしやすい。加えて、水素タンク25内の水素を安全のために排出したい場合は、水素放出管58を通じて水素ガスをダンプボディ12の側面から放出することができるため、安全面に優れる。
【0061】
<変形例>
上述した実施形態では、水素タンクは、プロテクタの下部に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、水素タンクは、プロテクタの上部に設けられていてもよい。例えば、水素タンクは、ダンプボディにおいてプロテクタ以外の部分に設けられていてもよい。例えば、ダンプボディにおける水素タンクの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0062】
上述した実施形態では、水素供給配管は、ダンプボディの下面に設けられる第1供給部分と、車体フレームに設けられる第2供給部分と、第1供給部分と第2供給部分とを回動部の近傍で結合する屈曲自在な第3供給部分と、を含む例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、水素供給配管は、第1供給部分、第2供給部分及び第3供給部分を含んでいなくてもよい。例えば、水素供給配管は、水素タンクから駆動源に向かって伸縮可能に延びていてもよい。例えば、水素供給配管の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0063】
上述した実施形態では、減圧バルブは、第2供給部分と駆動源との間に設けられる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、減圧バルブは、第2供給部分と駆動源との間以外の場所に設けられていてもよい。例えば、減圧バルブは、第1供給部分に設けられていてもよい。例えば、減圧バルブの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
上述した実施形態では、第1供給部分及び第2供給部分は、金属配管で構成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1供給部分及び第2供給部分は、金属配管以外の配管で構成されてもよい。例えば、第1供給部分及び第2供給部分は、高圧水素(例えば、約70MPa)に耐えうる高圧配管で構成されてもよい。例えば、第1供給部分及び第2供給部分の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0065】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、ダンプボディに設けられ、複数の第1供給部分を第3供給部分に集合させるための水素供給用マニホールドを更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、水素供給用マニホールドは、車体フレームに設けられていてもよい。例えば、水素供給用マニホールドの設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上述した実施形態では、水素放出管は、ダンプボディに設けられた水素供給用マニホールドから分岐してダンプボディの側面まで延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、水素供給用マニホールドが車体フレームに設けられている場合は、水素放出管は、車体フレームに設けられた水素供給用マニホールドから分岐してダンプボディの側面まで延びていてもよい。例えば、水素放出管の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上述した実施形態では、水素充填系及び水素供給系は、水素の流通経路が互いに別の系統となるように構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、水素充填系及び水素供給系の少なくとも一部は、水素の流通経路が互いに同じ系統となるように構成されていてもよい。例えば、水素充填系及び水素供給系の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
(付記1)
水素を燃料とする駆動源を搭載した車体フレームと、前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され且つ積載物を搭載するダンプボディと、を備えるダンプトラックにおいて、
前記水素を貯蔵する水素タンクを更に備え、
前記水素タンクは、前記ダンプボディに設けられている、
ダンプトラック。
【0070】
(付記2)
前記ダンプボディは、運転室を上方から保護するプロテクタを備え、
前記水素タンクは、前記プロテクタの下部に設けられている、
付記1に記載のダンプトラック。
【0071】
(付記3)
前記水素タンクから前記駆動源へ前記水素を供給するための水素供給配管を更に備え、
前記水素供給配管は、
前記ダンプボディの下面に設けられる第1供給部分と、
前記車体フレームに設けられる第2供給部分と、
前記第1供給部分と前記第2供給部分とを前記回動部の近傍で結合する屈曲自在な第3供給部分と、を含む、
付記1又は2に記載のダンプトラック。
【0072】
(付記4)
前記第2供給部分と前記駆動源との間に設けられ、前記燃料を減圧するための減圧バルブを更に備え、
前記第1供給部分及び前記第2供給部分は、金属配管で構成され、
前記第3供給部分は、ホースで構成される、
付記3に記載のダンプトラック。
【0073】
(付記5)
前記第1供給部分は、前記ダンプボディに複数設けられ、
前記ダンプボディに設けられ、複数の前記第1供給部分を前記第3供給部分に集合させるための水素供給用マニホールドを更に備える、
付記3又は4に記載のダンプトラック。
【0074】
(付記6)
前記水素供給用マニホールドから分岐して設けられ、前記燃料が気化した水素ガスを放出する水素放出管を更に備え、
前記水素放出管は、前記水素ガスを前記ダンプボディの側面から放出する、
付記5に記載のダンプトラック。
【符号の説明】
【0075】
2…ダンプトラック、10…車体フレーム、11…回動部、12…ダンプボディ、15…運転室、16…プロテクタ、25…水素タンク、35…減圧バルブ、36…駆動源、55…水素供給配管、55A…第1供給部分、55B…第2供給部分、55C…第3供給部分、56…水素供給用マニホールド、58…水素放出管
図1
図2
図3
図4