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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071079
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240517BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240517BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 209
B41J2/01 401
B41J5/30 Z
B41J25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181823
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】前田 純司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C187
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB07
2C056EB36
2C056EB58
2C056EC07
2C056EC37
2C056FA04
2C056FA13
2C187AC08
2C187AD05
2C187BF01
2C187FB12
2C187FC02
2C187FC12
2C187FD01
2C187FD03
2C187FD09
(57)【要約】
【課題】複数のヘッドモジュールを備える構成において、ヘッドモジュールの位置が正規の位置からずれることによる印刷画像の品質の低下を抑制できる、プリンタを提供する。
【解決手段】コントローラ41には、ヘッドモジュール34のそれぞれについて、基準位置に対する正規の位置からの搬送方向のずれ量が入力される。画像の印刷時には、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出され、そのデータがノズル35からのインクの吐出の制御に使用される順に並び替えられる。そして、並び替えた順で各データが書き込まれる場合の並び替えデータ領域48のメモリ領域に対して、ヘッドモジュール34ごとにずれ量に応じてずらしたメモリ領域が設定され、そのずらして設定されたメモリ領域にデータが書き込まれる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を媒体に着滴させることによりドットを形成して、前記ドットからなる画像を前記媒体に印刷するプリンタであって、
前記媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
複数のノズルから液体を選択的に吐出して、前記搬送機構により搬送される前記媒体に前記液体を着滴させるヘッドと、
ラスタ画像のデータが書き込まれる画像メモリと、
並び替えメモリと、
コントローラと、を備え、
前記ヘッドは、複数の前記ノズルが前記媒体の幅方向に間隔を空けて並ぶことによりノズル列をなして、複数の前記ノズル列が前記搬送方向に並列し、前記ノズル列間で前記ノズルが前記幅方向に位置をずらして配置された構成のヘッドモジュールを複数備えており、
前記並び替えメモリは、複数のメモリ領域が先頭から末尾まで連続しており、その連続順に前記メモリ領域にデータが読み出され、
前記コントローラは、
前記ヘッドモジュールのそれぞれについて、基準位置に対する正規の位置からの前記搬送方向のずれ量の入力を受け、
前記画像メモリから前記ラスタ画像のデータを読み出して、前記画像メモリから読み出したデータを前記ノズルからの前記液体の吐出を制御する順に並び替え、
並び替えた順に各データが書き込まれる前記メモリ領域に対して、前記ヘッドモジュールごとに前記ずれ量に応じてずらした前記メモリ領域を設定し、その設定した前記メモリ領域に各データを書き込む、プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記搬送機構は、
前記媒体と接触して、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラの回転に同期したパルス信号を出力するエンコーダと、を含み、
前記コントローラは、前記エンコーダから出力される前記パルス信号を逓倍し、その逓倍した前記パルス信号を用いて、前記ノズルからの前記液体の吐出のタイミングを調整する、プリンタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリンタであって、
前記ずれ量は、前記媒体に印刷された画像から予め求められて、前記コントローラに入力されている、プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式のプリンタが知られている。インクジェット方式のプリンタでは、ヘッドに並べられた複数のノズルからインクを吐出させて、インクの液滴を媒体に着滴させることにより、その媒体にドットで画像が印刷される。
【0003】
インクジェット方式のプリンタには、複数のノズルが媒体の幅と同等の長さにわたって配列されたラインヘッドを備えるものがある。ラインヘッドでは、構造上の制約から、主走査方向に並ぶノズルのピッチが媒体に形成されるドットの主走査方向のピッチよりも大きくなるため、複数のノズルを主走査方向に並べてなるノズル列が副走査方向に並列に設けられ、かつ、ノズル列間でノズルが主走査方向に位置をずらして配置される。
【0004】
ラインヘッドには、複数のヘッドモジュールを千鳥状に配置して、各ヘッドモジュールに、複数のノズル列を副走査方向に並列に設け、かつ、ノズル列間でのノズルの主走査方向の位置をずらした構成のものがある。この構成のラインヘッドでは、一部のノズルに修理不能な異常が発生した場合に、その異常が発生したノズルを含むヘッドモジュールのみを交換できるので、ラインヘッド全体を交換するよりも費用が安くすむ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-62218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ヘッドモジュールの取付位置が正規の位置からずれていると、たとえば、媒体の幅方向に延びる罫線を印刷したときに、その罫線がガタガタになってしまう。
【0007】
本発明の目的は、複数のヘッドモジュールを備える構成において、ヘッドモジュールの位置が正規の位置からずれることによる印刷画像の品質の低下を抑制できる、プリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係るプリンタは、液滴を媒体に着滴させることによりドットを形成して、ドットからなる画像を媒体に印刷するプリンタであって、媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、複数のノズルから液体を選択的に吐出して、搬送機構により搬送される媒体に液体を着滴させるヘッドと、ラスタ画像のデータが書き込まれる画像メモリと、並び替えメモリと、コントローラとを備え、ヘッドは、複数のノズルが媒体の幅方向に間隔を空けて並ぶことによりノズル列をなして、複数のノズル列が搬送方向に並列し、ノズル列間でノズルが幅方向に位置をずらして配置された構成のヘッドモジュールを複数備えており、並び替えメモリは、複数のメモリ領域が先頭から末尾まで連続しており、その連続順にメモリ領域にデータが読み出され、コントローラは、ヘッドモジュールのそれぞれについて、基準位置に対する正規の位置からの搬送方向のずれ量の入力を受け、画像メモリからラスタ画像のデータを読み出して、画像メモリから読み出したデータを液体の吐出を制御するノズルの順に並び替え、並び替えた順に各データが書き込まれるメモリ領域に対して、ヘッドモジュールごとにずれ量に応じてずらしたメモリ領域を設定し、その設定したメモリ領域に各データを書き込む。
【0009】
この構成によれば、コントローラには、ヘッドモジュールのそれぞれについて、基準位置に対する正規の位置からの搬送方向のずれ量が入力される。画像の印刷時には、画像メモリからラスタ画像のデータが読み出され、その読み出されたデータが液体の吐出を制御するノズルの順に並び替えられる。そして、並び替えた順で各データが書き込まれる場合の並び替えメモリのメモリ領域に対して、ヘッドモジュールごとにずれ量に応じてずらしたメモリ領域が設定され、そのずらして設定されたメモリ領域にデータが書き込まれる。これにより、並び替えメモリからデータが順に読み出されて、そのデータに基づいて各ノズルからのインクの吐出が制御されることにより、各ヘッドモジュールの正規の位置からの搬送方向のずれ量に応じたタイミングでインクが吐出される。その結果、各ヘッドモジュールの位置が正規の位置からずれることによる印刷画像の品質の低下を抑制でき、たとえば、媒体の幅方向に延びる罫線を印刷した場合に、その罫線がガタガタになることを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のヘッドモジュールを備える構成において、ヘッドモジュールの位置が正規の位置からずれることによる印刷画像の品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの構成を図解的に示す断面図である。
図2】ノズルの構成を概念的に示す図である。
図3】ラベルプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図4】ヘッドを制御する構成の概略を示すブロック図である。
図5】ヘッドを制御する構成の詳細を示すブロック図である。
図6】画像データ領域に設定されるページバッファの使用態様を説明するための図である。
図7】1つのヘッドモジュールによってラベルに画像が印刷される際の様子を示す図で或る。
図8図7(f)に示される画像をラベルに印刷するためのラスタ画像のデータを示す図である。
図9】並び替えデータ領域に書き込まれたデータを示す図である。
図10】ヘッドモジュールの基準位置に対する正規の位置からのずれを示す図である。
図11】基準位置に対する正規の位置からずれたヘッドモジュール用データが書き込まれるメモリ領域をずれ量に応じてずらした状態を示す図である。
図12】調整用の印刷データおよび印刷結果を示す図である。
図13】インクの吐出タイミングの調整について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
<ラベルプリンタの全体構成>
ラベルプリンタ1(プリンタの一例)は、図1に示されるように、長尺のラベル紙LPを搬送しつつ、ラベル紙LPの台紙P上にラベル紙LPの長手方向に並べて設けられたラベルL(媒体の一例)に順次に画像を印刷する装置である。ラベルプリンタ1は、外殻をなす筐体11を備えており、筐体11の側面には、ラベル紙LPを排出する排出口12が形成されている。
【0014】
なお、排出口12が形成されている側をラベルプリンタ1の前側と規定し、その反対側を後側と規定する。また、ラベルプリンタ1の上下は、ラベルプリンタ1が水平面上に設置された状態で規定し、その水平面上に設置されたラベルプリンタ1を前側から見て、ラベルプリンタ1の左右を規定する。図1に示される断面図は、ラベルプリンタ1を前後方向に延びる切断面で切断した断面を右側から見た図である。
【0015】
ラベル紙LPは、ラベルLを外側に向けてロール芯に巻回されたロールの形態で提供される。筐体11内には、ラベル紙LPのロールを保持するロールホルダ13が設けられている。ロールホルダ13は、中心線が左右方向に延びる円柱状を有している。ラベル紙LPのロール芯がロールホルダ13に外嵌されて、ロール芯がロールホルダ13に固定されることにより、ラベル紙LPのロールがロールホルダ13に保持される。
【0016】
筐体11内には、方向変更ガイド14が設けられている。方向変更ガイド14は、ロールホルダ13の後上方かつ排出口12の後方の位置に配置されて、後上方に膨出する円弧状をなしている。
【0017】
また、筐体11内には、排出口12と方向変更ガイド14との間に、搬送路15が設定されている。搬送路15は、方向変更ガイド14の前端から排出口12に向けて、直線状に延びている。
【0018】
方向変更ガイド14に対して前側に間隔を空けた位置に、搬送ローラ21(搬送機構の一例)が設けられている。搬送ローラ21は、駆動ローラ22および従動ローラ23の対からなる。駆動ローラ22および従動ローラ23は、それぞれ左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、それらの周面が搬送路15を挟んで互いに当接している。駆動ローラ22は、搬送路15の下側に配置され、従動ローラ23は、搬送路15の上側に配置されている。
【0019】
排出口12と搬送ローラ21との間であって、排出口12の近傍の位置には、排出ローラ24が設けられている。排出ローラ24は、駆動ローラ25および従動ローラ26の対からなる。駆動ローラ25および従動ローラ26は、それぞれ左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、それらの周面が搬送路15を挟んで互いに当接している。駆動ローラ25は、搬送路15の下側に配置され、従動ローラ26は、搬送路15の上側に配置されている。
【0020】
ラベル紙LPは、ロールホルダ13に保持されたロールから方向変更ガイド14の後側に向けて引き出され、方向変更ガイド14に沿わせることにより前側に方向を変えられる。そして、ラベル紙LPの先端部分が搬送ローラ21の駆動ローラ22と従動ローラ23との間に後側から差し込まれる。
【0021】
搬送ローラ21の駆動ローラ22および排出ローラ24の駆動ローラ25には、モータM(図2参照)の正転による回転力の伝達経路が接続されている。モータMが正転されて、その正転による回転力が駆動ローラ22,25に伝達されると、駆動ローラ22,25が右側から見て反時計回りに回転する。
【0022】
ラベル紙LPが搬送ローラ21の駆動ローラ22と従動ローラ23との間に通された状態で、モータMの正転により駆動ローラ22が回転すると、駆動ローラ22の周面とラベル紙LP(台紙P)との接触点で生じる摩擦力の反力により、ラベル紙LPが搬送路15を搬送ローラ21から排出口12に向かう搬送方向に搬送される。従動ローラ23は、ラベル紙LPの移動に従動して回転する。
【0023】
ラベル紙LPが排出ローラ24の駆動ローラ25と従動ローラ26との間に通されていない状態では、従動ローラ26が駆動ローラ25の回転に従動して回転する。駆動ローラ25および従動ローラ26が回転した状態で、ラベル紙LPの先端が駆動ローラ25または従動ローラ26の少なくとも一方の周面に当接すると、ラベル紙LPが駆動ローラ25と従動ローラ26との間に引き込まれる。そして、ラベル紙LPは、駆動ローラ25の周面との接触点で生じる摩擦力の反力を受けつつ、駆動ローラ25と従動ローラ26との間を通過し、排出口12を通して筐体11外に排出されていく。
【0024】
また、ロールホルダ13には、モータMの逆転による回転力の伝達経路が接続されている。モータMが逆転されて、その逆転による回転力がロールホルダ13に伝達されると、ロールホルダ13が右側から見て時計回りに回転する。ラベル紙LPのロールがロールホルダ13と一体に回転することにより、ラベル紙LPは、ロールに巻き戻され、搬送方向と逆方向に搬送される。このとき、搬送ローラ21および排出ローラ24は、自由回転状態とされ、ラベル紙LPの移動に従動して回転する。
【0025】
搬送ローラ21と排出ローラ24との間には、ヘッド27(印刷部の一例)およびCIS(Contact Image Sensor)ユニット28が設けられている。
【0026】
ヘッド27は、搬送路15の上側に配置されている。ヘッド27は、その位置が固定されたラインヘッドである。ヘッド27の下面、つまり搬送路15と対向する面には、複数のノズル35(図2参照)が左右方向にラベルLの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)と同等の長さにわたって配列されている。ヘッド27は、ノズル35から液体を選択的に吐出して、ラベルLに液滴を着滴させることによりドットを形成し、ドットからなる画像をラベルLに印刷する。
【0027】
CISユニット28は、搬送路15の上側において、ヘッド27の前側に配置されている。CISユニット28は、ラベルLに印刷されている画像を読み取る。CISユニット28には、光源、ロッドレンズアレイおよびリニアイメージセンサが内蔵されている。リニアイメージセンサでは、複数の撮像素子(イメージセンサ)が主走査方向である左右方向に1列に並べられている。光源からラベルLにライン状の光が照射され、ラベルLで反射された光がロッドレンズアレイを通してリニアイメージセンサに入射することにより、ラベルLに印刷されている画像の主走査方向の1ラインが読み取られる。そして、ラベルLが搬送されつつ、ラベルLに印刷されている画像が1ラインずつ読み取られていくことにより、CISユニット28による画像の読み取りが達成される。
【0028】
<ヘッドの構成>
ヘッド27は、図2に示されるように、複数のヘッドモジュール34を備えている。ヘッドモジュール34の下面には、複数のノズル35が左右方向に間隔を空けて並ぶことによりノズル列をなして、複数のノズル列が前後方向に間隔を空けて並列し、ノズル列間でノズル35が左右方向に1ドット分の位置をずらして配置されている。
【0029】
複数のヘッドモジュール34は、千鳥状に配置されている。具体的には、複数のヘッドモジュール34は、2列のモジュール列をなして配置されている。各モジュール列では、複数のヘッドモジュール34が左右方向に一定の間隔を空けて並べられている。モジュール列間では、ヘッドモジュール34が左右方向に位置をずらして配置されている。3つのヘッドモジュール34A,34B,34Cを取り上げると、たとえば、2つのヘッドモジュール34A,34Cが一方のモジュール列に含まれ、残りの1つのヘッドモジュール34Bが他方のモジュール列に含まれる。そして、3つのヘッドモジュール34A,34B,34Cは、ヘッドモジュール34Aの左右一方の端部に配置される複数のノズル35とヘッドモジュール34Bの左右一方の端部に配置される複数のノズル35とが搬送方向から見て重なり、ヘッドモジュール34Bの左右他方の端部に配置される複数のノズル35とヘッドモジュール34Cの左右一方の端部に配置される複数のノズル35とが搬送方向から見て重なるように配置されている。
【0030】
なお、図2では、ヘッド27の構成(ノズル35の配置)が概念的に示されている。
【0031】
<電気的構成>
ラベルプリンタ1は、図3に示されるように、コントローラ41を備えている。コントローラ41は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)からなり、CPU(Central Processing Unit)42およびメモリ43を内蔵している。メモリ43には、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとが含まれる。不揮発性メモリには、CPU42によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。揮発性メモリは、CPU42がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0032】
搬送ローラ21の駆動ローラ22には、エンコーダ44が付随して設けられており、コントローラ41には、エンコーダ44から駆動ローラ22の回転に同期したパルス信号であるエンコーダ信号が入力される。CPU42は、メモリ43の揮発性メモリをステップ数カウンタとして使用し、エンコーダ信号のパルス数をステップ数カウンタでカウントして、そのカウント数からラベル紙LPの位置を把握することができる。
【0033】
ラベルプリンタ1は、PC(Personal Computer)などの外部端末との通信のための通信インタフェース45を備えている。通信インタフェース45は、外部端末とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルまたはLAN(Local Area Network)ケーブルなどのケーブルを介して有線通信する構成であってもよいし、電波を介して無線通信する構成であってもよい。通信インタフェース45は、コントローラ41と接続されている。
【0034】
コントローラ41は、エンコーダ44および通信インタフェース45などから入力される信号やデータに基づいて、ヘッド27およびモータMなど、ラベルプリンタ1の各部の動作を制御する。たとえば、コントローラ41は、印刷動作中、モータMを正転させ、ヘッド27の動作を制御する。
【0035】
<ヘッド動作制御>
ヘッド27の動作を制御するため、コントローラ41には、図4に示されるように、ヘッド制御回路46が内蔵されている。
【0036】
ラベルプリンタ1でラベルLへの印刷が行われるときには、外部端末から通信インタフェース45を介してコントローラ41に各ページの印刷データが入力される。CPU42がラスタライズを行うことにより、1ページ目から順に、各ページの印刷データがラスタ画像のデータに変換される。この変換により、メモリ43に設定された画像データ領域47(画像メモリの一例)に、各ページのラスタ画像のデータが1ページ目から順に書き込まれる。
【0037】
ヘッド制御回路46は、DMA(Direct Memory Access)方式により、画像データ領域47からラスタ画像のデータを読み出し、その読み出したデータを並び替えて、並び替えたデータをメモリ43に設定された並び替えデータ領域48(並び替えメモリの一例)に書き込む。
【0038】
また、ヘッド制御回路46は、DMA方式により、並び替えデータ領域48からデータを順に読み出す。ヘッド制御回路46は、並び替えデータ領域48から読み出したデータに基づいて、ヘッド27の各ノズル35からのインクの吐出を制御する。
【0039】
ヘッド27には、ノズル35ごとに、インクを貯留するインク室と、ピエゾ素子からなるヘッドピエゾ51とが設けられている。ヘッド27にはさらに、各ヘッドピエゾ51に個別に電流を供給するヘッドドライバ52が設けられている。ヘッド制御回路46は、ヘッドドライバ52を制御し、並び替えデータ領域48から読み出したデータが書き込まれていたメモリ領域のアドレスに対応するヘッドピエゾ51にヘッドドライバ52から電流を供給させる。ヘッドピエゾ51に電流が供給されると、ヘッドピエゾ51が膨張して、インク室の容積が減少し、その容積が減少した分のインクがノズル35から液滴となって吐出される。
【0040】
ヘッド制御回路46、画像データ領域47および並び替えデータ領域48について、より具体的に説明する。
【0041】
ヘッド制御回路46には、図5に示されるように、並び替え回路53および吐出制御回路54が含まれる。
【0042】
画像データ領域47には、2ページ以上のラスタ画像のデータ、つまり2枚以上のラベルLに印刷されるラスタ画像のデータが保存可能であるが、並び替えの対象のラスタ画像のデータにアクセスするためのアドレス(以下、「ラスタ画像のアドレス」という。)が一時的に記憶される領域は2ページ分の設定である。その設定領域は、「領域設定1」および「領域設定2」の2つであり、「領域設定1」および「領域設定2」には、それぞれ1ページ分のラスタ画像のアドレスを記憶させることができる。
【0043】
たとえば、4ページの画像が印刷される場合、1ページ目のラスタ画像のアドレスが「領域設定1」に記憶され、2ページ目のラスタ画像のアドレスが「領域設定2」に記憶される。
【0044】
1ページ目の画像をラベルLに印刷するため、並び替え回路53により、図6に示されるように、ラスタ画像のアドレスを読み出す領域が「領域設定1」に設定されて、「領域設定1」から1ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出される。そして、「領域設定1」から読み出されたアドレスに従って、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出される。画像データ領域47から読み出されたデータは、並び替えられて、並び替えデータ領域48に書き込まれる。
【0045】
「領域設定1」からの1ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了するまで、「領域設定1」に新たなラスタ画像のアドレスを書き込むことができない。そのため、「領域設定1」から1ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出されているときに、3ページ目のラスタ画像のアドレスを「領域設定1」に書き込む準備がなされ、準備完了後は、「領域設定1」からの1ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了するまで、「領域設定1」への3ページ目のラスタ画像のアドレスの書き込みが待機される。
【0046】
「領域設定1」からの1ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了すると、2ページ目の画像をラベルLに印刷するため、並び替え回路53により、ラスタ画像のアドレスを読み出す領域が「領域設定2」に設定されて、「領域設定2」から2ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出される。「領域設定2」から読み出されたアドレスに従って、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出される。画像データ領域47から読み出されたデータは、並び替えられて、並び替えデータ領域48に書き込まれる。また、「領域設定1」からの1ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了すると、「領域設定1」への3ページ目のラスタ画像のアドレスの書き込みが開始される。
【0047】
「領域設定2」からの2ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了するまで、「領域設定2」に新たなラスタ画像のアドレスを書き込むことができない。そのため、「領域設定2」から2ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出されているときに、4ページ目のラスタ画像のアドレスを「領域設定2」に書き込む準備がなされ、準備完了後は、「領域設定2」からの2ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了するまで、「領域設定2」への4ページ目のラスタ画像のアドレスの書き込みが待機される。
【0048】
「領域設定2」から2ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了すると、3ページ目の画像をラベルLに印刷するため、並び替え回路53により、ラスタ画像のアドレスを読み出す領域が「領域設定1」に設定されて、「領域設定1」から3ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出される。「領域設定1」から読み出されたアドレスに従って、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出される。画像データ領域47から読み出されたデータは、並び替えられて、並び替えデータ領域48に書き込まれる。また、「領域設定2」からの2ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了すると、「領域設定2」への4ページ目のラスタ画像のアドレスの書き込みが開始される。
【0049】
「領域設定1」からの3ページ目のラスタ画像のアドレスの読み出しが完了すると、4ページ目の画像をラベルLに印刷するため、並び替え回路53により、ラスタ画像のアドレスを読み出す領域が「領域設定2」に設定されて、「領域設定2」から4ページ目のラスタ画像のアドレスが読み出される。「領域設定2」から読み出されたアドレスに従って、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出される。画像データ領域47から読み出されたデータは、並び替えられて、並び替えデータ領域48に書き込まれる。
【0050】
このように、画像データ領域47の「領域設定1」および「領域設定2」の2つの領域から交互にラスタ画像のアドレスが読み出される。これにより、画像データ領域47からラスタ画像のアドレスを読み出すために使用されるレジスタを最小の構成とすることができ、並び替え回路53のコストを低く抑えることができる。
【0051】
並び替えデータ領域48を構成する複数のメモリ領域は、図5に示されるように、先頭から末尾まで連続しており、メモリ領域からは、その連続順にデータが読み出される。また、並び替えデータ領域48は、先頭のメモリ領域と末尾のメモリ領域とが論理的に連結されたリングバッファとして使用される。
【0052】
吐出制御回路54は、並び替えデータ領域48からデータを読み出し、読み出したデータが書き込まれていたメモリ領域のアドレスに対応するノズル35からインクが吐出されるように、ヘッドドライバ52(図4参照)を制御する。
【0053】
<印刷動作>
図7には、1つのヘッドモジュール34によってラベルLに画像が印刷される際の様子が示されている。
【0054】
ヘッドモジュール34は、たとえば、16個のノズル35A~35Pを備えており、16個のノズル35A~35Pは、16ドットで主走査方向(左右方向、ラベルLの幅方向)に延びる1ラインが構成されるように配置されている。
【0055】
具体的には、搬送方向の最上流でノズル列をなす4つのノズル35A,35B,35C,35Dを基準として、その搬送方向の下流に距離a(図7に示される例では、3ドット分)をずらして、4つのノズル35E,35F,35G,35Hがノズル列をなしている。ノズル35E,35F,35G,35Hは、それぞれノズル35A,35B,35C,35Dに対して左右方向の一方に1ドット分ずれている。また、最上流のノズル列に対して搬送方向の下流に距離b(図7に示される例では、5ドット分)をずらして、4つのノズル35I,35J,35K,35Lがノズル列をなしている。ノズル35I,35J,35K,35Lは、それぞれノズル35A,35B,35C,35Dに対して左右方向の一方に3ドット分ずれている。さらに、最上流のノズル列に対して搬送方向の下流に距離c(図7に示される例では、8ドット分)をずらして、4つのノズル35M,35N,35O,35Pがノズル列をなしている。ノズル35M,35N,35O,35Pは、それぞれノズル35A,35B,35C,35Dに対して左右方向の一方に2ドット分ずれている。
【0056】
ノズル35A~35Pは、ブラックのインクを吐出するので、次に説明する吐出動作でラベルLに印刷される画像は、16ドット×8ラインからなる黒単色画像であるが、画像の印刷が進行する様子が理解されやすいように、図7では、搬送方向の最下流のラインに隣接する2ライン目を構成するドットにクロスハッチングを付し、その他のドットにハッチングを付している。
【0057】
ラベルLに画像が印刷される際には、図7(a)に示されるように、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが吐出される。次に、ラベルLが搬送方向に1ドット分の距離を搬送されると、図7(b)に示されるように、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが再び吐出される。ラベルLが搬送方向にさらに1ドット分の距離を搬送されると、図7(c)に示されるように、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが再び吐出される。
【0058】
ラベルLが搬送方向にさらに1ドット分の距離を搬送されると、図7(d)に示されるように、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが再び吐出される。また、ノズル35E,35F,35G,35Hが1番に形成されたドットに平面視で隣接し、ノズル35E,35F,35G,35Hからインクが吐出される。ラベルLが搬送方向にさらに1ドット分の距離を搬送されると、図7(e)に示されるように、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが再び吐出される。また、ノズル35E,35F,35G,35Hが2番目に形成されたドットに平面視で隣接し、ノズル35E,35F,35G,35Hからインクが吐出される。
【0059】
このようにして、ノズル35A,35B,35C,35Dからイングが最初に吐出されてから、ラベルLが搬送方向に1ドット分の距離を搬送される度に、ノズル35A,35B,35C,35Dからインクが吐出され、それが7回繰り返される。そして、ノズル35E~35Pについては、ラベルLに先に形成されているドットに平面視で隣接する間、ラベルLが搬送方向に1ドット分の距離を搬送される度に、ノズル35E~35Pからインクが吐出される。その結果、図7(f)に示されるように、16ドット×8ラインからなる画像がラベルLに印刷される。
【0060】
<データ並び替え>
図7(f)に示される画像をラベルLに印刷するためのラスタ画像のデータは、図8に示されている。
【0061】
図8に示されるラスタ画像のデータの並び替えのため、ヘッド制御回路46の並び替え回路53により、画像データ領域47から、ラベルLに形成される画像における搬送方向の最下流の1ライン分のラスタ画像のデータ、つまりアドレスA[0,0~15]のメモリ領域に記憶されているデータが読み出される。
【0062】
アドレスA[0,0]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Aからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,1]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Eからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,2]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Mからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,3]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Iからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。
【0063】
アドレスA[0,4]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Bからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,5]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Fからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,6]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Nからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,7]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Jからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。
【0064】
アドレスA[0,8]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Cからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,9]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Gからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,10]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Oからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,11]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Kからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。
【0065】
アドレスA[0,12]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Dからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,13]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Hからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,14]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Pからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。アドレスA[0,15]のメモリ領域に記憶されているデータは、ノズル35Lからのインクの1回目の吐出の制御に使用される。
【0066】
ノズル35A,35B,35C,35D、ノズル35E,35F,35G,35H、ノズル35M,35N,35O,35Pおよびノズル35I,35J,35K,35Lは、この順にインクの1回目の吐出が制御される。アドレスA[0,0~15]のメモリ領域から読み出されたデータは、インクの吐出の制御に使用される順に並び替えられる。この並び替えにより、アドレスA[0,0~15]のメモリ領域から読み出されたデータは、アドレスA[0,0]、アドレスA[0,4]、アドレスA[0,8]およびアドレスA[0,12]のメモリ領域から読み出されたデータ、アドレスA[0,1]、アドレスA[0,5]、アドレスA[0,9]およびアドレスA[0,13]のメモリ領域から読み出されたデータ、アドレスA[0,3]、アドレスA[0,7]、アドレスA[0,11]およびアドレスA[0,15]のメモリ領域から読み出されたデータ、ならびにアドレスA[0,2]、アドレスA[0,6]、アドレスA[0,10]およびアドレスA[0,14]のメモリ領域から読み出されたデータの順に並べられる。
【0067】
並び替えデータ領域48では、図9に示されるように、アドレスB[0~7,0]のメモリ領域がノズル35Aからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域に設定されている。また、アドレスB[0~7,4]、アドレスB[0~7,8]およびアドレスB[0~7,12]のメモリ領域がそれぞれノズル35B,35C,35Dからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域に設定される。
【0068】
また、並び替えデータ領域48では、メモリ領域を二次元配列した場合に、ノズル35Eからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域は、ノズル35Aからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域に対して行方向に隣接し、かつ、ノズル35Aとノズル35Eとの搬送方向の距離aをドット数に置き換えて、そのドット数分のメモリ領域の数だけ、ノズル35Aからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域に対して列方向にずらして設定される。すなわち、ノズル35Eからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域は、アドレスB[3~10,1]のメモリ領域に設定される。
【0069】
同様に、ノズル35F,35G,35Hからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域は、それぞれアドレスB[3~10,5]、アドレスB[3~10,9]およびアドレスB[3~10,13]のメモリ領域に設定される。また、ノズル35I,35J,35K,35Lからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域は、それぞれアドレスB[8~15,2]、アドレスB[8~15,6]、アドレスB[8~15,10]およびアドレスB[8~15,14]のメモリ領域に設定される。ノズル35M,35N,35O,35Pからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域は、それぞれアドレスB[5~12,3]、アドレスB[5~12,7]、アドレスB[5~12,11]およびアドレスB[5~12,15]のメモリ領域に設定される。
【0070】
並び替え回路53により、並び替えられたデータが並び替えデータ領域48に書き込まれる。
【0071】
すなわち、画像データ領域47のアドレスA[0,0]から読み出されたデータは、並び替えデータ領域48におけるノズル35Aからのインクの吐出を制御するためのデータを記憶するメモリ領域、つまりアドレスB[0~7,0]のメモリ領域のうち、並び替えデータ領域48から最も先にデータが読み出されるアドレスB[0,0]のメモリ領域に書き込まれる。同様に、アドレスA[0,8]およびアドレスA[0,12]のメモリ領域から読み出されたデータは、それぞれ並び替えデータ領域48のアドレスB[0,4]、アドレスB[0,8]およびアドレスB[0,12]に書き込まれる。
【0072】
アドレスA[0,1]、アドレスA[0,5]、アドレスA[0,9]およびアドレスA[0,13]のメモリ領域から読み出されたデータは、それぞれ並び替えデータ領域48のアドレスB[3,1]、アドレスB[3,5]、アドレスB[3,9]およびアドレスB[3,13]に書き込まれる。
【0073】
アドレスA[0,3]、アドレスA[0,7]、アドレスA[0,11]およびアドレスA[0,15]のメモリ領域から読み出されたデータは、それぞれ並び替えデータ領域48のアドレスB[5,3]、アドレスB[5,7]、アドレスB[5,11]およびアドレスB[5,15]に書き込まれる。
【0074】
アドレスA[0,2]、アドレスA[0,6]、アドレスA[0,10]およびアドレスA[0,14]のメモリ領域から読み出されたデータは、それぞれ並び替えデータ領域48のアドレスB[8,2]、アドレスB[8,6]、アドレスB[8,10]およびアドレスB[8,14]に書き込まれる。
【0075】
並び替え回路53により、画像データ領域47のアドレスA[0,0~15]のメモリ領域からデータが読み出された後、アドレスA[1,0~15]のメモリ領域からデータが読み出される。そして、アドレスA[1,0~15]のメモリ領域から読み出されたデータは、アドレスA[0,0~15]のメモリ領域から読み出されたデータと同様に、インクの吐出の制御に使用される順に並び替えられて、並び替えデータ領域48のアドレスB[1,0]、アドレスB[1,4]、アドレスB[1,8]、アドレスB[1,12]、アドレスB[4,1]、アドレスB[4,5]、アドレスB[4,9]、アドレスB[4,13]、アドレスB[6,3]、アドレスB[6,7]、アドレスB[6,11]、アドレスB[6,15]、アドレスB[9,2]、アドレスB[9,6]、アドレスB[9,10]およびアドレスB[9,14]に書き込まれる。
【0076】
以下同様に、並び替え回路53により、画像データ領域47からラスタ画像のデータが1ライン分ずつ読み出され、インクの吐出の制御に使用される順に並び替えられて、並び替えられたデータが並び替えデータ領域48に書き込まれる。
【0077】
並び替えデータ領域48に書き込まれたデータは、吐出制御回路54により、先頭のアドレスB[0,0]のメモリ領域から末尾のアドレス[15,15]のメモリ領域まで、メモリ領域の連続順でシリアルに読み出される。そして、吐出制御回路54により、ヘッドドライバ52が制御されて、ノズル35A~35Pからインクが選択的に吐出される。
【0078】
<ヘッドギャップ調整>
ヘッド27では、設計上は、前後方向(搬送方向)において、各モジュール列に含まれるヘッドモジュール34の位置が同じであり、一方のモジュール列に含まれるヘッドモジュール34の位置と他方のモジュール列に含まれるヘッドモジュール34の位置とが一定距離ずれている。ところが、ヘッド27にヘッドモジュール34を取り付ける際に、ヘッドモジュール34の位置が設計上の正規の位置からずれることがある。ヘッドモジュール34の位置が設計上の正規の位置からずれると、たとえば、ラベルLに幅方向に延びる罫線が印刷されるときに、一方のモジュール列に含まれるヘッドモジュール34によって印刷される罫線と、他方のモジュール列に含まれるヘッドモジュール34によって印刷される罫線とにずれが生じる。
【0079】
そこで、各ヘッドモジュール34のノズル35からのインクの吐出の制御に使用されるデータが並び替えデータ領域48に書き込まれるときに、ヘッドモジュール34ごとに、基準位置に対する正規の位置からのずれ量に応じてずらしたメモリ領域が設定されて、その設定されたメモリ領域にデータが書き込まれる。
【0080】
たとえば、図10に示されるように、ヘッドモジュール34Bが設計上の正規の位置に配置されているとして、ヘッドモジュール34Bにおける最後端のノズル列の位置を基準位置とする。
【0081】
ヘッドモジュール34Aにおける最後端のノズル列の位置は、基準位置から後方に距離D1だけ離れている。距離D1は、基準位置と基準位置に対するヘッドモジュール34Aにおける最後端のノズル列の正規の位置との間の距離に、ヘッドモジュール34Aにおける最後端のノズル列の正規の位置に対する実際の位置のずれ量(以下、「ヘッドモジュール34Aのずれ量」という。)を加えた値である。
【0082】
ヘッドモジュール34Cにおける最後端のノズル列の位置は、基準位置から後方に距離D2だけ離れている。距離D2は、基準位置と基準位置に対するヘッドモジュール34Cにおける最後端のノズル列の正規の位置との間の距離に、ヘッドモジュール34Cにおける最後端のノズル列の正規の位置に対する実際の位置のずれ量(以下、「ヘッドモジュール34Cのずれ量」という。)を加えた値である。
【0083】
なお、ずれ量は、実際の位置が正規の位置に対して後側にずれている場合に正の値をとり、実際の位置が正規の位置に対して前側にずれている場合に負の値をとる。
【0084】
以下、ヘッドモジュール34Aのノズル35からのインクの吐出の制御に使用されるデータを「ヘッドモジュール34A用データ」といい、ヘッドモジュール34Bのノズル35からのインクの吐出の制御に使用されるデータを「ヘッドモジュール34B用データ」といい、ヘッドモジュール34Cのノズル35からのインクの吐出の制御に使用されるデータを「ヘッドモジュール34C用データ」という。
【0085】
並び替えデータ領域48では、図11に示されるように、ヘッドモジュール34A用データが書き込まれるメモリ領域が行列状のメモリ領域群G1をなし、ヘッドモジュール34B用データが書き込まれるメモリ領域が行列状のメモリ領域群G2をなし、ヘッドモジュール34C用データが書き込まれるメモリ領域が行列状のメモリ領域群G3をなすように、メモリ領域を二次元配列した場合に、メモリ領域群G1は、メモリ領域群G2に対して行方向に隣接し、かつ、距離D1をドット数に置き換えて、そのドット数分のメモリ領域の数だけ、メモリ領域群G2に対して列方向にずらして設定される。また、メモリ領域群G3は、メモリ領域群G2に対して行方向にメモリ領域群G1と反対側で隣接し、かつ、距離D2をドット数に置き換えて、そのドット数分のメモリ領域の数だけ、メモリ領域群G2に対して列方向にずらして設定される。
【0086】
そして、メモリ領域群G1にヘッドモジュール34A用データが書き込まれ、メモリ領域群G2にヘッドモジュール34B用データが書き込まれ、メモリ領域群G3にヘッドモジュール34C用データが書き込まれる。
【0087】
<ずれ量の設定>
ヘッドモジュール34Aのずれ量およびヘッドモジュール34Cのずれ量は、調整作業者によって決定される。その決定の際には、ラベルプリンタ1で調整用の印刷データが用紙(ラベルL)に印刷される。そして、調整作業者は、印刷結果を目視して、印刷結果からヘッドモジュール34Aのずれ量およびヘッドモジュール34Cのずれ量をそれぞれ決定する。
【0088】
調整用の印刷データは、図12に示されるように、複数の罫線が搬送方向に並列に印刷されるように作成されている。複数の罫線のデータには、ヘッドモジュール34Aのずれ量およびヘッドモジュール34Cのずれ量が0である場合に、ヘッドモジュール34Bにより印刷される罫線に対してヘッドモジュール34A,34Cにより印刷される罫線がずれないデータ、ヘッドモジュール34Bにより印刷される罫線に対してヘッドモジュール34A,34Cにより印刷される罫線が搬送方向およびその逆方向にNドット(N:1以上の整数)ずれるデータが含まれる。
【0089】
調整用の印刷データが用紙に印刷されて、たとえば、ヘッドモジュール34Bにより印刷される罫線に対してヘッドモジュール34Aにより印刷される罫線が搬送方向に5ドットずれるデータの印刷結果がずれのない罫線であった場合、ヘッドモジュール34Aのずれ量は、正規の位置に対して搬送方向と逆方向に5ドットであると決定される。
【0090】
ヘッドモジュール34Aのずれ量およびヘッドモジュール34Cのずれ量が決定されて、それらのずれ量が外部端末から通信インタフェース45を介してコントローラ41に入力されると、コントローラ41により、距離D1,D2がドット数で求められる。
【0091】
<作用効果>
以上のように、コントローラ41には、ヘッドモジュール34のそれぞれについて、基準位置に対する正規の位置からの搬送方向のずれ量が入力される。画像の印刷時には、画像データ領域47からラスタ画像のデータが読み出され、そのデータがノズル35からのインクの吐出の制御に使用される順に並び替えられる。そして、並び替えた順で各データが書き込まれる場合の並び替えデータ領域48のメモリ領域に対して、ヘッドモジュール34ごとにずれ量に応じてずらしたメモリ領域が設定され、そのずらして設定されたメモリ領域にデータが書き込まれる。
【0092】
これにより、並び替えデータ領域48からデータが順に読み出されて、そのデータに基づいて各ノズルからのインクの吐出が制御されることにより、各ヘッドモジュール34の正規の位置からの搬送方向のずれ量に応じたタイミングでインクが吐出される。その結果、各ヘッドモジュール34の位置が正規の位置からずれることによる印刷画像の品質の低下を抑制でき、たとえば、ラベルLの幅方向に延びる罫線を印刷した場合に、その罫線がガタガタになることを抑制できる。
【0093】
<インクの吐出タイミングの調整>
前述の手法では、ヘッドモジュール34A,34Cの正規の位置からの搬送方向のずれに起因する罫線ずれをドット単位で補正できるが、ヘッドモジュール34Aのずれ量およびヘッドモジュール34Cのずれ量がドットサイズの整数倍でない場合、ヘッドモジュール34A,34CによってラベルLに印刷される罫線のずれを補正できない。
【0094】
その場合、コントローラ41により、図13に示されるように、エンコーダ44から出力されるエンコーダ信号が逓倍されて、その逓倍されたエンコーダ信号を用いて、ヘッドモジュール34Bのノズル35からのインクの吐出タイミング(ヘッド1吐出)に対して、ヘッドモジュール34A,34Cのノズル35からのインクの吐出タイミング(ヘッド2吐出、ヘッド3吐出)が調整されるとよい。
【0095】
これにより、ヘッドモジュール34A,34Cのずれ量がドットサイズの整数倍でない場合に、ラベルに形成されるドットの位置をより細かく調整することができる。その結果、印刷画像の品質を向上させることができる。
【0096】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1:ラベルプリンタ
21:搬送ローラ
27:ヘッド
34:ヘッドモジュール
35:ノズル
41:コントローラ
43:メモリ
44:エンコーダ
47:画像データ領域
48:替えデータ領域
L:ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13