(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071104
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 1/00 20200101AFI20240517BHJP
【FI】
F04B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181864
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】小寺 裕康
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋佑
【テーマコード(参考)】
3H070
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070BB04
3H070CC33
3H070CC35
3H070CC37
3H070DD68
3H070DD96
(57)【要約】
【課題】機械に搭載された後でもシンボルを容易に読み取ることができるポンプ装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るポンプ装置1Aは、ポンプ2およびシンボル7を含む。ポンプ2は、指令電流に応じて一回転あたりの吐出量である吐出容量が変化する少なくとも1つのポンプ機構3と、吸入ポート11を含む。シンボル7は、ポンプ2における吸入ポート11が開口する方向とは異なる方向を向く面に表示されている。シンボル7は、少なくとも1つのポンプ機構3の、前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令電流に応じて一回転あたりの吐出量である吐出容量が変化する少なくとも1つのポンプ機構、および吸入ポートを含むポンプと、
前記ポンプにおける前記吸入ポートが開口する方向とは異なる方向を向く面に表示された、前記少なくとも1つのポンプ機構の、前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納する少なくとも1つのシンボルと、
を備える、ポンプ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、
前記少なくとも1つのシンボルは、前記2つのポンプ機構と対応する2つのシンボルを含み、各シンボルが、対応するポンプ機構の前記実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、
前記ポンプは、前記2つのポンプ機構が直列に配列されたタンデムポンプである、請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、
前記ポンプは、前記2つのポンプ機構が並列に配列されたパラレルポンプである、請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポンプ機構はアキシャルピストン式である、請求項1~4の何れか一項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポンプ機構は、複数のピストンを摺動可能に保持するシリンダブロックと、前記シリンダブロックを収容する容器状のケーシングを含み、
前記ポンプは、前記ケーシングの開口を閉塞するバルブカバーを含み、前記バルブカバーに前記吸入ポートが設けられている、請求項5に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧アクチュエータへ作動油を供給するポンプを含むポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械や産業機械などの機械では、油圧アクチュエータへ作動油を供給するポンプが用いられている。例えば、特許文献1には、2つのポンプ機構を含むポンプが開示されている。各ポンプ機構は、指令電流に応じて一回転あたりの吐出量である吐出容量が変化するように構成されている。ポンプはコントローラにより、液圧アクチュエータの作動速度が速くなるほどポンプ機構の吐出容量が増大するように制御される。
【0003】
具体的に、コントローラには、油圧アクチュエータを作動させるための操作装置の操作量に対応するアクチュエータ操作信号が入力される。操作装置は、当該操作装置の操作量によって油圧アクチュエータの作動速度を決定するためのものである。コントローラからポンプへは、アクチュエータ操作信号に応じた指令電流が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ポンプ機構には、指令電流と吐出容量との関係であるI-q特性に個体差によるばらつきがある。特許文献1には、ポンプ機構の実際のI-q特性(特許文献1では、「指令電流と吐出流量との関係」と記載されているが、吐出流量を回転数で割れば吐出容量となる)を示す実測データを格納したコードをポンプの表面に表示し、その実測データをコードリーダを使用してポンプ用のコントローラへ入力し、コントローラでI-q特性の個体差によるばらつきを電子的にキャリブレーションすることが記載されている。具体的には、コントローラが、操作装置の操作量に対応する設定吐出容量が得られるように、ポンプへ出力する指令電流を調整する。
【0006】
特許文献1に記載されているようなポンプの表面にコードが表示されたポンプ装置では、ポンプ装置が機械に搭載された後でもコードなどのシンボルの読み取りを容易に行いたいという要望がある。
【0007】
そこで、本開示は、機械に搭載された後でもシンボルを容易に読み取ることができるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、指令電流に応じて一回転あたりの吐出量である吐出容量が変化する少なくとも1つのポンプ機構、および吸入ポートを含むポンプと、前記ポンプにおける前記吸入ポートが開口する方向とは異なる方向を向く面に表示された、前記少なくとも1つのポンプ機構の、前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納する少なくとも1つのシンボルと、を備える、ポンプ装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、機械に搭載された後でもシンボルを容易に読み取ることができるポンプ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは第1実施形態に係るポンプ装置の斜視図であり、
図1Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【
図2】
図2Aは第1実施形態の変形例のポンプ装置の斜視図であり、
図2Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【
図3】
図3Aは第2実施形態に係るポンプ装置の斜視図であり、
図3Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【
図4】
図4Aは第2実施形態の変形例のポンプ装置の斜視図であり、
図4Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【
図5】
図5Aは第3実施形態に係るポンプ装置の斜視図であり、
図5Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【
図6】
図6Aは第4実施形態の変形例のポンプ装置の斜視図であり、
図6Bは前記ポンプ装置を反転した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1Aおよび
図1Bに、第1実施形態に係るポンプ装置1Aを示す。ポンプ装置1Aは、可変容量型の少なくとも1つのポンプ機構3を含むポンプ2と、ポンプ2に表示された少なくとも1つのシンボル7を含む。
【0012】
ポンプ2は、少なくとも1つのポンプ機構3の他に、当該ポンプ2の正面21から突出する入力軸6を含む。入力軸6には、エンジンまたは電動モータなどの原動機の出力軸が連結される。一般的に、ポンプ装置1Aは入力軸9が横向きの状態で機械に搭載される。以下、この状態を「搭載状態」という。
【0013】
搭載状態では、ポンプ2の正面21が前方を向く。ポンプ2は、正面21に加えて、搭載状態で後方を向く背面22と、搭載状態で下方を向く下面23と、搭載状態で上方を向く上面24と、搭載状態で左方を向く左側面25と、搭載状態で右方を向く右側面26を有する。以下、説明の便宜上、搭載状態の方向を使用して説明する。
【0014】
本実施形態では、ポンプ2が2つのポンプ機構3を含む。また、本実施形態では、ポンプ2が、2つのポンプ機構3が直列に配列されたタンデムポンプである。つまり、ポンプ機構3は入力軸6の軸方向である前後方向に並んでいる。
【0015】
本実施形態では、各ポンプ機構3がアキシャルピストン式の一つである斜板式である。ただし、各ポンプ機構3は別のアキシャルピストン式である斜軸式であってもよい。あるいは、各ポンプ機構3は、ベーン式などの他の形式であってもよい。
【0016】
前側のポンプ機構3は後方に向かって開口するケーシング30を含み、後ろ側のポンプ機構3は前方に向かって開口するケーシング30を含む。ポンプ2は、双方のポンプ機構3のケーシング30の間に配置されて、双方のケーシング30の開口を閉塞するバルブカバー41を含む。
【0017】
各ポンプ機構3は、ケーシング30の他に、入力軸6と同方向に延びる回転軸と、ケーシング30内に収容されたバルブプレート、シリンダブロックおよび斜板を含む。前側のポンプ機構3の回転軸は入力軸6と一体となっている。バルブカバー41は中空であり、バルブカバー41内で、後ろ側のポンプ機構3の回転軸が前側のポンプ機構3の回転軸と連結されている。
【0018】
前側のポンプ機構3のケーシング30の前面はポンプ2の正面21を構成し、後ろ側のポンプ機構3のケーシング30の後面はポンプ2の背面を構成する。また、双方のケーシング30およびバルブカバー41の下面がポンプ2の下面23を構成し、双方のケーシング30およびバルブカバー41の上面がポンプ2の上面24を構成し、双方のケーシング30およびバルブカバー41の左側面がポンプ2の左側面25を構成、双方のケーシング30およびバルブカバー41の右側面がポンプ2の右側面26を構成する。
【0019】
本実施形態では、バルブカバー41の下面、つまりポンプ2の下面23に吸入ポート11が設けられ、バルブカバー41の左側面、つまりポンプ2の左側面25に2つの吐出ポート12が設けられている。
【0020】
前側のポンプ機構3ではバルブプレートがバルブカバー41の前面に固定され、後ろ側のポンプ機構3ではバルブプレートがバルブカバー41の後面に固定されている。バルブプレートには、円弧状の吸入穴および吐出穴が形成されている。バルブカバー41には、吸入ポート11から双方のポンプ機構3の吸入穴に至る吸入路が形成されているとともに、各ポンプ機構3の吐出穴から対応する吐出ポート12に至る吐出路が形成されている。
【0021】
シリンダブロックは回転軸に固定されており、バルブプレートと摺動しながら回転軸と共に回転する。シリンダブロックには、バルブプレートの吸入穴または吐出穴と連通する複数のシリンダボアが形成されている。
【0022】
シリンダボアには複数のピストンがそれぞれ挿入されている。つまり、シリンダブロックは複数のピストンを摺動可能に保持する。各ピストンの頭部には、斜板と直接的にまたはシュープレートを介して摺動するシューが取り付けられている。
【0023】
本実施形態では、双方のポンプ機構3のケーシング30の右側面、つまりポンプ2の右側面26に、対応するポンプ機構3に対する指令電流Iが入力される2つのレギュレータ5が設けられている。各レギュレータ5は、対応するポンプ機構3の一回転あたりの吐出量である吐出容量qを指令電流Iに応じて変化させる。例えば、レギュレータ5は、ポンプ機構3の斜板と連結されたサーボピストンに作用する油圧を指令電流Iに応じて変更するものであってもよいし、斜板と連結された電動アクチュエータであってもよい。
【0024】
さらに、本実施形態では、バルブカバー41の上面、つまりポンプ2の上面24に、双方のポンプ機構3の回転軸への動力伝達または回転軸からの動力伝達を可能とする動力取出装置13が設けられている。ただし、動力取出装置13は省略可能である。
【0025】
本実施形態では、1つのシンボル7が、後ろ側のポンプ機構3のケーシング30の上面、つまりポンプ2の上面24に表示されている。上述したように吸入ポート11はポンプ2の下面23に設けられているので、上面24は吸入ポート11が開口する方向とは異なる方向を向いている。
【0026】
ポンプ2の上面24へのシンボル7の表示に関しては、シンボル7が銘板や表示板などのプレートに印刷され、そのプレートがポンプ2の上面24に取り付けられてもよい。あるいは、シンボル7はポンプ2の上面24に直接印刷されてもよい。
【0027】
本実施形態では、シンボル7が、2つのポンプ機構3の実際のI-q特性を示す実測データを格納する。例えば、シンボル7はマトリクス型の二次元コード(QRコード(登録商標))である。ただし、シンボル7は、IC(Integrated Circuit)タグやRFID(Radio Frequency Identification)タグなどのタグであってもよい。
【0028】
ただし、シンボル7の数は必ずしも1つである必要はなく、ポンプ2の上面24に、2つのポンプ機構3と対応する2つのシンボル7が表示され、各シンボル7が対応するポンプ機構3の実測データを格納してもよい。
【0029】
一般的に、ポンプ装置1Aは、吸入ポート11が開口する方向が下向きとなる姿勢で機械に搭載される。このため、本実施形態のように、ポンプ2における吸入ポート11が開口する方向とは異なる方向を向く上面24にシンボル7が表示されていれば、ポンプ装置1Aが機械に搭載された後でもシンボル7を容易に読み取ることができる。そして、シンボル7を読み取ることにより、I-q特性の個体差によるばらつきを電子的にキャリブレーションすることができる。
【0030】
なお、吐出ポート12は、
図2Aおよび
図2Bに示す変形例のポンプ装置1Bのように、バルブカバー41の左側面、つまりポンプ2の左側面25に設けられてもよい。あるいは、吐出ポート12は、バルブカバー41の右側面、つまりポンプ2の右側面26に設けられてもよい。
【0031】
吐出ポート12がバルブカバー41の左側面または右側面に設けられる場合、シンボル7がバルブカバー41の上面に表示されてもよい。あるいは、シンボル7が表示される面は、必ずしもポンプ2の上面24である必要はなく、ポンプ2の左側面25、右側面26または背面22であってもよい。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示す変形例のポンプ装置1Bのように、シンボル7はポンプ2の右側面26に表示されてもよい。
【0032】
<第2実施形態>
図3Aおよび
図3Bに、第2実施形態に係るポンプ装置1Cを示す。なお、本実施形態ならびに後述する第3および第4実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0033】
本実施形態では、ポンプ2が、2つのポンプ機構3が並列に配列されたパラレルポンプである。ポンプ機構3は入力軸6の軸方向と直交する左右方向に並んでいる。
【0034】
2つのポンプ機構3は、後方に向かって開口する容器状のケーシング30を共有している。ポンプ2のバルブカバー41は、ケーシング30の後方に位置し、ケーシング30の開口を閉塞する。さらに、本実施形態では、ポンプ2が、ケーシング30の前壁との間にギヤ室を形成するギヤカバー42と、ギヤカバー42に一体的に設けられた、入力軸6を中心とする円形皿状のフランジ43を含む。
【0035】
フランジ43の前面はポンプ2の正面21を構成し、バルブカバー41の後面はポンプ2の背面22を構成する。また、ギヤカバー42、ケーシング30およびバルブカバー41の下面がポンプ2の下面23を構成し、ギヤカバー42、ケーシング30およびバルブカバー41の上面がポンプ2の上面24を構成し、ギヤカバー42、ケーシング30およびバルブカバー41の左側面がポンプ2の左側面25を構成、ギヤカバー42、ケーシング30およびバルブカバー41の右側面がポンプ2の右側面26を構成する。
【0036】
第1実施形態と同様に、吸入ポート11はバルブカバー41の下面、つまりポンプ2の下面23に設けられている。一方、本実施形態では、2つの吐出ポート12が、バルブカバー41の上面、つまりポンプ2の上面24に設けられている。また、本実施形態では、2つのレギュレータ5がケーシング30の上面に設けられている。
【0037】
各ポンプ機構3の回転軸は、前後方向に延びてケーシング30の前壁を貫通する。本実施形態では、右側のポンプ機構3の回転軸が入力軸6と一体となっており、左側のポンプ機構3の回転軸が上述したギヤ室内でギヤを介して右側のポンプ機構3の回転軸と連結されている。
【0038】
本実施形態では、シンボル7がポンプ機構3のケーシング30の右側面、つまりポンプ2の右側面26に表示されている。このため、本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、シンボル7はバルブカバー41の右側面に表示されてもよい。あるいは、シンボル7が表示される面は、必ずしもポンプ2の右側面26である必要はなく、ポンプ2の左側面25、上面24または背面22であってもよい。
【0040】
例えば、
図4Aおよび
図4Bに示す変形例のポンプ装置1Dのように、シンボル7は、バルブカバー41の上面、つまりポンプ2の上面24に表示されてもよい。
図3Aおよび
図3Bに示すポンプ装置1Cでは2つの吐出ポート12が互いに隣接していたが、
図4Aおよび
図4Bに示すポンプ装置1Dでは2つの吐出ポート12が互いに左右方向に離間しており、2つの吐出ポート12の間にシンボル7が配置されている。
【0041】
<第3実施形態>
図4Aおよび
図4Bに、第3実施形態に係るポンプ装置1Eを示す。本実施形態では、ポンプ2がポンプ機構3を1つだけ含む。
【0042】
つまり、ポンプ機構3のケーシング30の前面がポンプ2の正面21を構成し、バルブカバー41の後面がポンプ2の背面を構成する。また、ケーシング30およびバルブカバー41の下面がポンプ2の下面23を構成し、ケーシング30およびバルブカバー41の上面がポンプ2の上面24を構成し、ケーシング30およびバルブカバー41の左側面がポンプ2の左側面25を構成、ケーシング30およびバルブカバー41の右側面がポンプ2の右側面26を構成する。
【0043】
第1実施形態と同様に、吸入ポート11はバルブカバー41の下面、つまりポンプ2の下面23に設けられている。一方、本実施形態では、吐出ポート12が、バルブカバー41の右側面、つまりポンプ2の右側面26に設けられている。
【0044】
本実施形態では、シンボル7がポンプ機構3のケーシング30の左側面、つまりポンプ2の左側面25に表示されている。このため、本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、シンボル7はバルブカバー41の左側面に表示されてもよい。あるいは、シンボル7が表示される面は、必ずしもポンプ2の左側面25である必要はなく、ポンプ2の右側面26、上面24または背面22であってもよい。
【0046】
また、吐出ポート12は、バルブカバー41の左側面、つまりポンプ2の左側面25に設けられてもよいし、バルブカバー41の上面、つまりポンプ2の上面24に設けられてもよい。
<第4実施形態>
図6Aおよび
図6Bに、第4実施形態に係るポンプ装置1Fを示す。本実施形態のポンプ装置1Fが第3実施形態のポンプ装置1Eと異なる点は、バルブカバー41の後面、つまりポンプ2の背面22に吸入ポート11が設けられ、バルブカバー41の下面、つまりポンプ2の下面23に吐出ポート12が設けられている点のみである。つまり、本実施形態でも、ポンプ機構3のケーシング30の左側面、つまりポンプ2の左側面25にシンボル7が表示されている。
【0047】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、シンボル7は、バルブカバー41の左側面に表示されてもよい。また、シンボル7が表示される面は、必ずしもポンプ2の左側面25である必要はなく、ポンプ2の右側面26または上面24であってもよい。
【0048】
<その他の実施形態>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、シンボル7は、ポンプ機構3の実測データを格納する代わりに、その実測データの保存先情報を格納してもよい。保存先情報は、例えば、保存先であるサーバのIP(Internet Protocol)アドレス、またはそのサーバの特定の階層のURL(Uniform Resource Locator)である。この場合、シンボル7は文字列であってもよい。
【0050】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、指令電流に応じて一回転あたりの吐出量である吐出容量が変化する少なくとも1つのポンプ機構、および吸入ポートを含むポンプと、前記ポンプにおける前記吸入ポートが開口する方向とは異なる方向を向く面に表示された、前記少なくとも1つのポンプ機構の、前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納する少なくとも1つのシンボルと、を備える、ポンプ装置を提供する。
【0051】
一般的に、ポンプ装置は、吸入ポートが開口する方向が下向きとなる姿勢で機械に搭載される。このため、上記の構成のように、ポンプにおける吸入ポートが開口する方向とは異なる方向を向く面にシンボルが表示されていれば、ポンプ装置が機械に搭載された後でもシンボルを容易に読み取ることができる。そして、シンボルを読み取ることにより、I-q特性の個体差によるばらつきを電子的にキャリブレーションすることができる。
【0052】
第2の態様として、第1の態様において、例えば、前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、前記少なくとも1つのシンボルは、前記2つのポンプ機構と対応する2つのシンボルを含み、各シンボルが、対応するポンプ機構の前記実測データまたは当該実測データの保存先情報を格納してもよい。
【0053】
第3の態様として、第2の態様において、例えば、前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、前記ポンプは、前記2つのポンプ機構が直列に配列されたタンデムポンプであってもよい。
【0054】
第4の態様として、第2の態様において、例えば、前記少なくとも1つのポンプ機構は2つのポンプ機構を含み、前記ポンプは、前記2つのポンプ機構が並列に配列されたパラレルポンプであってもよい。
【0055】
第5の態様として、第1乃至第4の態様の何れかにおいて、例えば、前記少なくとも1つのポンプ機構はアキシャルピストン式であってもよい。
【0056】
第6の態様として、第5の態様において、例えば、前記少なくとも1つのポンプ機構は、複数のピストンを摺動可能に保持するシリンダブロックと、前記シリンダブロックを収容する容器状のケーシングを含み、前記ポンプは、前記ケーシングの開口を閉塞するバルブカバーを含み、前記バルブカバーに前記吸入ポートが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B,1C,1D,1E,1F ポンプ装置
11 吸入ポート
12 吐出ポート
2 ポンプ
21 正面
22 背面
23 下面
24 上面
25,26 側面
3,3A,3B ポンプ機構
30 ケーシング
41 バルブカバー
5 レギュレータ
7 シンボル