(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071107
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】車線制御システム、伝送処理装置、車線制御装置、および車線制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240517BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240517BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240517BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G07B15/00 510
G07B15/00 P
G08G1/09 F
G08G1/04 D
G08G1/09 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181869
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 泰三
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA09
3E127BA39
3E127BA50
3E127CA13
3E127CA15
3E127CA37
3E127CA39
3E127CA56
3E127FA10
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181DD02
5H181EE03
5H181EE10
(57)【要約】
【課題】車線の稼働率を平準化し、車線機器の平均故障間隔を長くする技術を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る車線制御システムあって、伝送処理装置および複数の車線制御装置を備え、複数の車線制御装置の車線運用を示す車線運用情報を複数の車線制御装置それぞれから取得する車線運用情報取得部と、複数の車線制御装置のうちの1つから閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を受信すると、他の車線制御装置の車線運用を確認する車線運用確認部と、他の車線制御装置のうちの少なくとも1つの車線運用がETC/一般混在である場合、車線閉鎖許可を生成する車線閉鎖許可生成部と、を備え、車線制御装置は、車線閉鎖許可を受信する伝送処理装置通信部と、車線内に車両がいないことを確認した後に車線を閉鎖し、閉鎖で運用する車線運用制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送処理装置および前記伝送処理装置に接続された複数の車線制御装置を備える車線制御システムであって、
前記伝送処理装置は、
前記複数の車線制御装置の車線運用を示す車線運用情報を前記複数の車線制御装置それぞれから取得する車線運用情報取得部と、
前記複数の車線制御装置のうちの1つから閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を受信すると、前記複数の車線制御装置の他の車線制御装置の車線運用を確認する車線運用確認部と、
前記他の車線制御装置のうちの少なくとも1つの車線運用がETC/一般混在で運用可能な場合、車線閉鎖要求を送信してきた車線制御装置に対して前記複数の車線制御装置のうちの1つが閉鎖で運用することを許可する車線閉鎖許可を生成する車線閉鎖許可生成部と、
を備える、車線制御システム。
【請求項2】
前記車線制御装置は、
車両検知用カメラを用いて車線を通過する車両の数をカウントする車両カウント部と、
前記通過した車両の数を記憶する台数記憶部と、
前記通過した車両の総数が所定の閾値を超えた場合、前記車線閉鎖要求を生成する車線閉鎖要求生成部と、
を備える、
請求項1に記載の車線制御システム。
【請求項3】
前記車線制御装置は、
前記車線制御装置に接続された車線機器のいずれかが故障した場合、前記車線閉鎖要求を生成する車線閉鎖要求生成部を備える、
請求項1に記載の車線制御システム。
【請求項4】
前記伝送処理装置は、前記他の車線制御装置のいずれもETC/一般混在で運用していない場合、車線運用をETC/一般混在として運用させることを示す車線運用変更要求を生成する車線運用変更要求生成部を更に備える、
請求項1に記載の車線制御システム。
【請求項5】
前記車線運用確認部は、前記ETC/一般混在として運用させる車線制御装置として、前記閉鎖で運用している複数の車線制御装置のうち、前記閉鎖で運用している期間の長い車線制御装置を選択する、
請求項4に記載の車線制御システム。
【請求項6】
前記車線閉鎖要求を送信した車線制御装置は、
前記車線閉鎖許可を受信する伝送処理装置通信部と、
車線に配置された車両検知用カメラにより撮影された撮影画像に基づいて前記車線に対する車両の有無を確認し、前記車線内に車両がいないことを確認した後に前記車線を閉鎖し、前記閉鎖で運用する車線運用制御部と、
を備える、請求項1に記載の車線制御システム。
【請求項7】
前記閉鎖として運用する車線制御装置は、コールドスタンバイとなる、請求項6に記載の車線制御システム。
【請求項8】
前記車線制御装置は、パラメータ記憶部をさらに備え、前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータに基づいてラッシュ時モードと閑散時モードを切り替える、
請求項1に記載の車線制御システム。
【請求項9】
伝送処理装置であって、
前記伝送処理装置に接続された複数の車線制御装置の車線運用を示す車線運用情報を前記複数の車線制御装置それぞれから取得する車線運用情報取得部と、
前記複数の車線制御装置のうちの1つから閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を受信すると、前記複数の車線制御装置の他の車線制御装置の車線運用を確認する車線運用確認部と、
前記他の車線制御装置のうちの少なくとも1つの車線運用がETC/一般混在である場合、閉鎖で運用することを許可する車線閉鎖許可を生成する車線閉鎖許可生成部と、
前記車線閉鎖要求を送信した車線制御装置に前記車線閉鎖許可を送信する車線制御装置通信部と、
を備える、伝送処理装置。
【請求項10】
所定の条件を満たしたことに応じて閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を生成する車線閉鎖要求生成部と、
前記車線閉鎖要求を送信し、前記車線閉鎖要求の送信に応じて閉鎖で運用することを許可する車線閉鎖許可を受信する伝送処理装置通信部と、
車線に配置された車両検知用カメラにより撮影された撮影画像に基づいて前記車線に対する車両の有無を確認し、前記車線内に車両がいないことを確認した後に前記車線を閉鎖し、前記閉鎖で運用する車線運用制御部と、
を備える、車線制御装置。
【請求項11】
車線制御方法であって、
伝送処理装置の運転モード情報取得部が、前記伝送処理装置に接続された複数の車線制御装置の車線運用を示す車線運用情報を前記複数の車線制御装置それぞれから取得することと、
前記伝送処理装置の運転モード確認部が、前記複数の車線制御装置のうちの1つから閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を受信すると、前記複数の車線制御装置の他の車線制御装置の車線運用を確認することと、
前記伝送処理装置の車線閉鎖許可生成部が、前記他の車線制御装置のうちの少なくとも1つの車線運用がETC/一般混在である場合、閉鎖で運用することを許可する車線閉鎖許可を生成することと、
を備える、車線制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車線制御システム、伝送処理装置、車線制御装置、および車線制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所において、自動料金収受システム(ETC(登録商標)(Electronic Toll Collection System))により料金収受が行われている。料金所には複数の車線(レーン)が設けられ、各車線(レーン)には、その車線(レーン)の運用状態をドライバに表示するための車線表示板が設けられている。
【0003】
車線の運用状態の表示としては、車線が閉鎖していることを示す「閉鎖」、ETC車のみが通行できることを示す「ETC専用」、ETC車でもETCを搭載していない車両でも通行できる「ETC/一般混在」と、一般車のみが通行可能な「一般専用」がある。
【0004】
有料道路の料金所では、通行台数が多い場合は、全ての車線(レーン)を稼働状態とし、通行車両の状況を見ながら、どのレーンを「ETC専用」、「ETC/一般混在」、「一般専用」とするかを適宜、切り替えている。また、有料道路の料金所において、交通量が少ない場合は、料金所運用の効率化のため、一部の車線(レーン)を閉鎖し、交通量が増えてきたときに閉鎖解除を、料金所の係員が手動で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-164005号公報
【特許文献2】特開2001-167299号公報
【特許文献3】特開2015-079284号公報
【特許文献4】特開2009-064052号公報
【特許文献5】特開2021-086553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、料金所の車線に設置される車線機器では、発進制御装置等の駆動部を有する機器であるため、使用時間が長い場合や、車両の通行台数が多くなると、統計的に故障する確率が高くなってしまう。
【0007】
また、料金所通過後に進行方向別の分岐があり、進行方向による通行台数の偏りが大きい場合も考えられる。、「ETC専用」で運用されている車線が複数ある場合、交通量の多い行先に近い特定のレーンの利用が多くなり、車線(レーン毎)の稼働率が偏ってしまう可能性がある。
【0008】
そのため、車線に設置された年月、または車線を通過した台数に基づいて料金所内の車線の稼働率を平準化する必要がある。
【0009】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、車線の稼働率を平準化し、車線に設置された駆動部を有する機器の平均故障間隔を長くすることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る、車線制御システムは、伝送処理装置および前記伝送処理装置に接続された複数の車線制御装置を備え、前記伝送処理装置は、前記複数の車線制御装置の車線運用を示す車線運用情報を前記複数の車線制御装置それぞれから取得する車線運用情報取得部と、前記複数の車線制御装置のうちの1つから閉鎖として運用することを要求する車線閉鎖要求を受信すると、前記複数の車線制御装置の他の車線制御装置の車線運用を確認する車線運用確認部と、前記他の車線制御装置のうちの少なくとも1つの車線運用がETC/一般混在である場合、前記複数の車線制御装置のうちの1つが閉鎖で運用することを許可する車線閉鎖許可を生成する車線閉鎖許可生成部と、を備え、前記車線閉鎖要求を送信した車線制御装置は、前記車線閉鎖許可を受信する伝送処理装置通信部と、車線に配置された車両検知用カメラにより撮影された撮影画像に基づいて前記車線に対する車両の有無を確認し、前記車線内に車両がいないことを確認した後に前記車線を閉鎖し、前記閉鎖で運用する車線運用制御部と、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る有料道路における車線制御システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、車両検知用カメラおよび発進制御機の車線への設置例を示す上面図である。
【
図3】
図3は、伝送処理装置および車線制御装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、パラメータ記憶部に記憶されたパラメータの一例を示す。
【
図5】
図5は、閑散時モードにおいて、閉鎖するレーンがETC専用レーンである場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、閑散時モードにおいて、閉鎖するレーンが、ETC/一般混在レーンの場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、1レーンのみの運用状態から、ETC/一般混在レーンを閉鎖する場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら車線制御システム、伝送処理装置、車線制御装置、および車線制御方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0013】
(構成)
図1は、実施形態に係る有料道路における車線制御システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る車線制御システムは料金中央サーバ1と、施設中央サーバ2と、n個の伝送処理装置(料金所サーバ)(3a~3n)と、第1の伝送処理装置3aに接続されたm個の車線制御装置(車線サーバ)(4a~4m)と、第1の車線制御装置4aに接続された第1の車両検知用カメラ5aおよび第1の発進制御機6aと、第mの車線制御装置4mに接続された第mの車両検知用カメラ5mおよび第mの発進制御機6mと、を備える。なお、nおよびmはそれぞれ、任意の正の整数である。
【0014】
ここで、
図1では簡単化のため、第2の伝送処理装置3b~第nの伝送処理装置3nに接続される各車線制御装置、各車線制御装置に接続される車両検知用カメラおよび発進制御機を省略している。
【0015】
以下の説明において、伝送処理装置、車線制御装置、車両検知用カメラ、および発進制御機それぞれを区別する必要がない場合、単に伝送処理装置3、車線制御装置4、車両検知用カメラ5、および発進制御機6と記載する。
【0016】
なお、車線制御システムは、
図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を備える、または特定の構成が除外されることが可能であって良い。
【0017】
料金中央サーバ1は、伝送処理装置3から受信した情報に基づいて、料金(車両の通行料金等)の計算を行うサーバである。料金中央サーバ1は、例えば、汎用のコンピュータとして構成されて良い。料金中央サーバ1は、各料金所に設置された伝送処理装置3等と接続される。
【0018】
施設中央サーバ2は、有料道路上に配置された照明、トンネル等を含む有料道路上に配置された各種施設の運用状況、稼働状態、環境・保全状態を常時監視するためのサーバである。なお、施設中央サーバ2は、例えば、汎用のコンピュータとして構成されて良い。このため、施設中央サーバ2は、および有料道路上に設置されたカメラ、センサ等を含む設備監視機器等と接続されている。また、施設中央サーバ2は、各料金所の動作状況も監視も行うため、料金所等に設けられる、伝送処理装置3とも接続される。
【0019】
伝送処理装置3は、例えば、料金所の機械室等に配置される処理装置である。伝送処理装置3は、後述する車線制御装置4と接続され、各種データを交換する装置である。例えば、伝送処理装置3は、料金中央サーバ1および施設中央サーバ2と、車線制御装置4との間において送受信されるデータを中継する。
【0020】
車線制御装置4は、車線毎に設置される制御装置である。そして、車線制御装置4は、車両検知用カメラ5および発進制御機6等を含む車線に設置された各種車線機器の動作を制御する。
【0021】
また、車線制御装置4は、車線毎の料金収受に関する処理を行う。具体的には、アンテナを介して通過車両に搭載された車載器との通信を行い、車載機から取得した車両に関する情報(入口または出口料金所情報、車種、車載器の挿入されたETCカードに記載された運転者を特定する情報等)に基づき、料金処理に必要な入口料金明細、または出口料金明細を作成して、伝送処理装置3を介して料金中央サーバ1に送信する。
【0022】
さらに、車線制御装置4は、車線に設置された各種機器から取得した情報を、伝送処理装置3を通じて、料金中央サーバ1および施設中央サーバ2に送信する。
【0023】
車両検知用カメラ5は、車線機器のうちの1つであり、車線に進入してきた車両を検知するカメラである。また、車両検知用カメラ5は、車線から退出する車両を検知する。
【0024】
発進制御機6は、車線機器のうちの1つであり、車線の出口側に設置されるバーを開閉させる。発進制御機6は、車線制御装置4からの制御信号に応じてバーを開閉することにより車両の車線の通過(車線からの退出)を制御する。例えば、バーは、閉鎖した状態において車両の通過を物理的に阻止し、開放した状態において車両の通過を許可する。
【0025】
図2は、車両検知用カメラ5および発進制御機6の車線への設置例を示す上面図である。
図2の例では、第1の車線L1および第2の車線L2がある例を示している。
図2に示すように車両100が走行する車線(
図2の例では、第1の車線L1)の両サイドには車線に沿って伸びるアイランドが対向して配置される。車両100は、これら二つのアイランドの間の車線を上流から下流に向かって走行する。例えば、第1の車線L1は、第1の車線制御装置4aが管理し、第2の車線L2は、第2の車線制御装置4bが管理して良い。
【0026】
また、第1の車線L1を管理する車線機器が配置されたアイランドには、上流から下流に向けて順に、第1の車両検知用カメラ5a、第1のブース7a、および第1の発進制御機6a等が配置される。同様に、第2の車線L2を管理する車線機器が配置されたアイランドには、上流から下流に向けて順に第2の車両検知用カメラ5b、第2のブース7b、および第2の発進制御機6b等が配置される。ここで、第1のブース7aおよび第2のブース7bは、「ETC/一般」または「一般」において、通行料金の支払い等のために係員対応のために設けられる。
【0027】
車線機器の車線状態には、「ETC専用」、「ETC/一般混在」、「一般専用」、「閉鎖」の状態に制御される。「ETC専用」は、ETC車のみが車線を通行できる運用状態で、車線の表示は「ETC」となる。「ETC/一般混在」は、ETC車および一般車の両方が車線を通行できる運用状態で、車線の表示は「ETC/一般」である。また、「一般専用」は、ETCを搭載していない一般車のみが車線を通行できる運用状態で、車線の表示は「一般」となる。また、「閉鎖」は、車線が閉鎖され、車両の通行ができない状態であり、車線の表示は「閉鎖」となる。
【0028】
さらに、車線制御装置4は、通行量に応じたモードとして、「ラッシュ時モード」または「閑散時モード」を有する。「ラッシュ時モード」では、車線制御装置4は、車線運用の切り替えをせずに常に設定された車線状態で運用するモードである。一方、「閑散時モード」では、車線制御装置4からの所定の設定により、車線運用を自動で切り替えるモードである。
【0029】
図3は、伝送処理装置3および車線制御装置4の概略構成の一例を示すブロック図である。ここでは、伝送処理装置3および車線制御装置4しか表示していないが、車線制御装置4は車線ごとに設けられるため、実際は伝送処理装置3に対して、複数台の車線制御装置4が接続されている。
【0030】
まず、伝送処理装置3の構成について、説明する。
伝送処理装置3は、1台または複数台のコンピュータであり、中央処理部31、記憶部32、中央サーバ通信部33、および車線制御装置通信部34等を備える。
【0031】
中央処理部31は、伝送処理装置3を制御する。中央処理部31は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、中央処理部31は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0032】
中央処理部31は、車線運用情報取得部311と、車線運用確認部312と、車線閉鎖許可生成部313と、車線運用変更要求生成部314と、を備える。
【0033】
車線運用情報取得部311は、車線制御装置4がどの車線運用で運用しているのかを示す車線運用情報を取得して、運用後述する状態記憶部321に記憶する。
【0034】
車線運用確認部312は、後述する車線閉鎖要求を受信した場合、後述する状態記憶部321に記憶された各車線制御装置4の車線運用を確認する。
【0035】
車線閉鎖許可生成部313は、安全確保のため、車線制御装置4の車線運用を「閉鎖」に切り替えることを許可する車線閉鎖許可信号を生成する。
【0036】
車線運用変更要求生成部314は、車線制御装置4の車線運用を切り替えることを要求する車線運用変更要求を生成する。例えば、車線制御装置4の車線運用がETC専用である場合に、車線運用変更要求は、ETC専用からETC/一般混在に切り替える要求である。
【0037】
記憶部32は、中央処理部31が各種処理を実行するために必要なプログラムを格納しているプログラム記憶部を備える。プログラム記憶部は、記憶媒体として、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。例えば、中央処理部31は、記憶部32のプログラム記憶部に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種制御および動作を実現し得る。
【0038】
さらに記憶部32は、中央処理部31がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するためのデータ記憶部を備える。記憶部32のデータ記憶部は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージを備える。
【0039】
また、記憶部32は、データ記憶部として状態記憶部321を備える。状態記憶部321は、車線制御装置4が車線運用を、「ETC専用」、「ETC/一般混在」、「一般専用」、または「閉鎖」のいずれで運用しているのかを記憶する。また、状態記憶部321は、車線制御装置4が稼働してからどのくらいの時間経過しているか、「閉鎖」から「ETC専用」、「ETC/一般混在」、「一般専用」に切り替わってからどのくらいの時間が経過しているか等を記憶して良い。
【0040】
中央サーバ通信部33は、料金中央サーバ1および施設中央サーバ2と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信インタフェースは、中央処理部31の制御の下、料金中央サーバ1および施設中央サーバ2との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的なもので良い。
【0041】
車線制御装置通信部34は、車線制御装置4と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信インタフェースは、中央処理部31の制御の下、車線制御装置4との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的なもので良い。
【0042】
次に、車線制御措置(車線サーバ)4の構成について、説明する。
車線制御装置4は、1台または複数台のコンピュータであり、中央処理部41、記憶部42、伝送処理装置通信部43、および車線機器通信部44等を備える。ここで、車線制御装置4は、各車線L1,L2、・・・にそれぞれ対応して、第1の車線制御装置4a、第2の車線制御装置4b、・・・か設けられる。以下、車線制御装置共通の説明の場合は車線制御装置4として説明し、個別の車線制御装置に関する説明(内部の構成要件も同様)の場合は、第1の車線制御装置4a、第2の車線制御装置4b、・・・と説明する。
【0043】
中央処理部41は、車線制御装置4を制御する。中央処理部41は、中央処理ユニット(CPU)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、中央処理部41は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0044】
中央処理部41は、車線運用情報生成部411と、車両カウント制御部412と、切替判定部413と、車線閉鎖要求生成部414と、車線運用制御部415と、を備える。
【0045】
車線運用情報生成部411は、車線制御装置4がどの車線運用であるかを示す車線運用情報を生成する。例えば、車線制御装置4が「ETC専用」で運用している場合、車線運用情報は、車線制御装置4が「ETC専用」で運用していることを示す情報を含む。
【0046】
車両カウント制御部412は、車線を通過する車両100の数をカウントする。例えば、車両カウント制御部412は、車線制御装置4が管理する車線を車両100が通過するたびに、後述する台数記憶部422の数をカウントアップしていく。
【0047】
切替判定部413は、所定の数だけ車両100が車線を通過したかどうかを判定する。例えば、切替判定部413は、台数記憶部422に記憶された車両100の数が後述するパラメータ記憶部421に記憶されたパラメータの運用切替車両通行台数を超えかどうか判定する。
【0048】
車線閉鎖要求生成部414は、車線制御装置4が「閉鎖」として運用することを要求する第1の車線閉鎖要求を生成し、伝送処理装置通信部43に出力する。
【0049】
車線運用制御部415は、伝送処理装置3から送信された車線閉鎖許可を受信すると、車線を閉鎖するために、車両検知用カメラ5を用いて車線内に車両がいないことを確認する。車両100がいないことを確認した後、車線運用制御部415は、例えば、車線制御装置4を「ETC専用」または「ETC/一般混在」から「閉鎖」に切り替える。そして、車線運用制御部415は、第1の発進制御機6aを常時閉鎖し、車線表示板に車線が閉鎖中であることを示す情報を表示させる。
【0050】
記憶部42は、中央処理部41がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するためのデータ記憶部を備える。記憶部42のデータ記憶部は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージを備える。
【0051】
記憶部42は、データ記憶部としてパラメータ記憶部421および台数記憶部422を備える。パラメータ記憶部421は、車線制御装置4がラッシュ時モードで動作するのか閑散時モードで動作するのかを決めるためのパラメータを含む。さらに、パラメータ記憶部421は、閑散時モードで動作する際に車線運用を切り替えるタイミングを決めるパラメータを含む。
【0052】
図4は、パラメータ記憶部421に記憶されたパラメータの一例を示す。
図4に示すように、パラメータは、当該車線機器の、運用切替車両通行台数、混在利用、切替開始時間、切替停止時間、曜日による閑散時モードで動作するかどうかを示す情報を含む。
【0053】
まず、運用切替車両通行台数は、車線の車線運用を切り替えるタイミングとなる所定の通行台数である。また、混在利用は、車線制御装置4が「ETC/一般混在」として運用可能かどうかを示すパラメータである。
【0054】
切替開始時間は、ラッシュ時間が終了し交通量が減ってくる時刻で、閑散時モードの開始時刻を示す。切替停止時間は、交通量が増えてきてラッシュが始まる時刻であり、閑散時モードの停止時間を示す時刻である。
【0055】
曜日は、どの曜日において閑散時モードで動作させるかを示す。Noとなっている曜日は、上記開始時刻になっても閑散時モードに切り替えず、ラッシュ時モードの動作となる。
【0056】
このようにパラメータに従って車線ごとに設けられた車線制御装置4は、ラッシュ時モードで動作するか閑散時モードで動作するのかが設定される。
【0057】
図3に戻り、伝送処理装置通信部43は、伝送処理装置3と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信インタフェースは、中央処理部41の制御の下、伝送処理装置3との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的なもので良い。
【0058】
車線機器通信部44は、車両検知用カメラ5および発進制御機6等を含む車線機器と通信するための通信インタフェースである。通信インタフェースは、各種の車線機器に対応した複数種類の通信インタフェースを含んで良い。また、中央処理部41の制御の下、車線機器との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的なもので良い。
【0059】
車線機器通信部44は、カメラ通信部441および発進制御機通信部442等を備える。カメラ通信部441は、車両検知用カメラ5と通信し、各種情報を送受信するための通信部である。発進制御機通信部442は、発進制御機6と通信し、各種情報を送受信するための通信部である。また、車線機器通信部44は、その他の車線機器と通信することが可能であるのは勿論である。
【0060】
以下、本実施形態の動作について説明する。
【0061】
まず、
図4のパラメータに基づいて、ラッシュ時モードの時刻/曜日には、以下に説明する、自動の車線運用の切替は行わない。
【0062】
(閑散時モード開始時における動作)
最初に、閑散時モードへの切替開始時間(例えば、
図4で示した平日の切替開始時間1)となり、車線制御装置4が車線運用を自動で切り替え始める際の動作について説明する。なお、ラッシュ時モードから閑散時モードに切り替える際(例えば、
図4で示した平日の切替開始時間1)に、このシーケンスの動作が開始されて良い。
【0063】
まず、閉鎖する車線が、ETC専用レーンの場合の閉鎖手順について説明する。
【0064】
図5は、閉鎖するレーンが、ETC専用レーンである場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図5の例では、第1の車線L1の第1の車線制御装置4a、および第2の車線L2の第2の車線制御装置4bが「ETC専用」で運用しており、第3の車線L3の第3の車線制御装置4cが「ETC/一般混在」で運用しているとする。
【0065】
ステップST101で、第1の車線制御装置4aの伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に対して、第1の車線L1の車線が「ETC専用」で運用していることを示す車線運用情報(以下、第1の車線運用情報という。)を送信する。ここで、上記車線運用情報には、第1の車線L1の車線制御装置4が「ETC/一般混在」で運用可能かどうかを示す情報を含んでも良い。
【0066】
伝送処理装置3の車線制御装置通信部34は、第1の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第1の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、さらに中央サーバ通信部33に出力する。
【0067】
ステップST102で、伝送処理装置3の中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に、車線L1の車線運用情報である第1の車線運用情報を送信する。
【0068】
同様に、ステップST103で、第2の車線制御装置4bの伝送処理装置通信部43bは、伝送処理装置3に対して、第2の車線L2の車線が「ETC専用」で運用していることを示す車線運用情報(以下、第2の車線運用情報という。)を送信する。
【0069】
伝送処理装置3の車線制御装置通信部34は、第2の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第2の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、中央サーバ通信部33に出力する。
【0070】
そして、ステップST104で、伝送処理装置3の中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に対し、車線L1の車線運用情報である第2の車線運用情報を送信する。
【0071】
更に、ステップST105で、第3の車線制御装置4cの伝送処理装置通信部43cは、伝送処理装置3に対して、第2の車線L3の車線が「ETC/一般混在」で運用していることを示す車線運用情報(以下、第3の車線運用情報という。)を送信する。
【0072】
伝送処理装置3の車線制御装置通信部34は、第3の車線制御装置4cから第3の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第3の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、中央サーバ通信部33に出力する。
【0073】
そして、ステップST106で、伝送処理装置3の中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に、第3の車線制御装置4cの車線運用情報である第3の車線運用情報を送信する。
【0074】
ステップST101~ステップST106により、伝送処理装置3は、第1の車線制御装置4a~第3の車線制御装置4cの車線運用を認識し、それぞれの状態を状態記憶部321に記憶させることになる。また、車線運用情報は、車線制御装置4の車線運用についての情報に加えて、当該車線運用で稼働している時間、稼働開始日時等の情報を含んでも良い。
【0075】
また、ステップST101~ステップST106は、同時に実施されて良い。例えば、車線制御装置4それぞれから伝送処理装置3に車線運用情報を同時に送信して良い。そして、伝送処理装置3は、受信した複数の車線運用情報を1度に施設中央サーバ2に送信して良い。例えば、中央サーバ通信部33は、全ての車線制御装置4からの車線運用情報を受信した後、これらの情報をまとめて施設中央サーバ2に送信しても良い。
【0076】
ステップST107で、各車線L1、L2、L3の車線制御装置4a、4b、4cの車両カウント制御部412a、412b、412cは、は、それぞれの車線を車両100が通過するたびに、台数記憶部422の数をカウントアップしていく。
【0077】
ステップST108で、車線L1の第1の車線制御装置4aの切替判定部413aは、台数記憶部422aに記憶された車両100の数がパラメータ記憶部421に記憶されたパラメータの運用切替車両通行台数と比較し、第1の車線L1の通過車両が、超えたかどうかを判定する。所定の数の車両100が第1の車線L1を通行していないと判定した場合、処理は、ステップST107に戻る。
【0078】
もし、所定の数(運用切替車両通行台数)だけ車両100が通過したと判定した場合、車線閉鎖要求生成部414aは、第1の車線L1を閉鎖することを要求する第1の車線閉鎖要求を生成する。
【0079】
そして、ステップST109で、伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に送信する。
【0080】
ここで、料金所全体としては、ETCを利用する車両100およびETCを利用しない車両100の両方の通行を可能にするため、少なくとも1つの車線制御装置4が「ETC/一般混在」で運用する必要がある。
【0081】
このため、ステップST110で、伝送処理装置3の車線運用確認部312は、車線閉鎖要求を送信してきた車線以外の他の車線である、第2の車線制御装置4bおよび第3の車線制御装置4cのうち少なくとも1つがETC/一般混在で運用しているかどうかを確認する。
図5の例では、第3の車線L3がETC/一般混在で運用しているため、車線運用確認部312は、第1の車線L1の閉鎖が可能であると判定する。
【0082】
車線閉鎖許可生成部313は、第1の車線制御装置4aが第1の車線L1を閉鎖することを許可する車線閉鎖許可を生成し、車線制御装置通信部34に出力する。
【0083】
そして、ステップST111で、車線制御装置通信部34は、第1の車線制御装置4aに対して、安全確保のための車線閉鎖許可を送信する。
【0084】
ステップST112で、第1の車線制御装置4aは、車線閉鎖許可を受信すると、第1の車線制御装置4aの車線運用制御部415aは、カメラ通信部441aを通じて、第1の車両検知用カメラ5aによって第1の車線L1に車両100が検知されているかどうかを確認する。車両100が検知されていた場合、ステップST112を繰り返す。一方、車両検知用カメラ5により車両100が検知されない場合、処理は、ステップST113に進む。
【0085】
ステップST113で、車両検知用カメラ5aにより車両100が検知されない場合、第1の車線制御装置4aの車線運用制御部415aは、第1の発進制御機6aを常時閉鎖し、車線表示板に第1の車線L1が閉鎖中と表示させる。このようにして、第1の車線L1の車線運用を「閉鎖」に切り替える。
【0086】
第1の車線L1の閉鎖が完了した後、車線運用情報生成部411aは、第1の車線運用情報を生成する。
【0087】
そして、ステップST114で、伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に第1の車線L1の車線運用情報である第1の車線運用情報を送信する。
【0088】
ここで、第1の車線制御装置4aは、車線運用が「閉鎖」で運用する間は、ホットスタンバイではなく、コールドスタンバイとなっても良い。コールドスタンバイとすることで、車線制御装置4が「閉鎖」で運用している間の待機電力を削減することができる。
【0089】
伝送処理装置3の車線制御装置通信部34は、第1の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第1の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、中央サーバ通信部33に出力する。
【0090】
ステップST115で、伝送処理装置3の中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に第1の車線制御装置4aの車線運用情報である第1の車線運用情報を送信する。
【0091】
次に、閉鎖しようとするレーンが混在レーン場合の手順について、説明する。
【0092】
図6は、閑散時モードにおいて、混在レーンを閉鎖する場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図6の例でも
図5と同様に、第1の車線L1の第1の車線制御装置4a、および第2の車線L2の第2の車線制御装置4bが「ETC専用」で運用しており、第3の車線L3の第3の車線制御装置4cが「ETC/一般混在」で運用しているとする。
【0093】
ステップST201~ステップST207は、
図4を参照して説明したステップST101~ステップST107と同じで良いため、重複した説明を省略する。
【0094】
ステップST208で、第3の車線制御装置4cの切替判定部413cは、台数記憶部422に記憶された車両100の数がパラメータ記憶部421cに記憶されたパラメータの運用切替車両通行台数を超えたと判定する。
【0095】
ステップST209で、第3の車線制御装置4cの車線閉鎖要求生成部414cは、第3の車線制御装置4cが「閉鎖」することを要求する第3の車線閉鎖要求を生成し、伝送処理装置通信部43cを経由して、伝送処理装置3に送信する。
【0096】
ここで、上述したように、料金所全体としては、ETCを利用する車両100およびETCを利用しない車両100の両方の通行を可能にするため、少なくとも1つの車線が「ETC/一般混在」で運用する必要がある。
【0097】
このため、ステップST210で、伝送処理装置3の車線運用確認部312は、第3の車線閉鎖要求を受信した場合、他の車線である第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bのうち少なくとも1つが「ETC/一般混在」で運用しているかどうかを確認する。
図6の例では、他の車線である第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bが「ETC専用」で運用している。そのため、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aまたは第2の車線制御装置4bの少なくても一方の車線運用を「ETC/一般混在」に切り替える必要があると判定する。
【0098】
そこで、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aまたは第2の車線制御装置4bが「ETC/一般混在」として運用可能であるかどうかを確認する。
【0099】
まず、車線L1と車線L2のどちらか一方のみが「ETC/一般混在」で運用可能な場合、当該車線が「ETC/一般混在」として運用することになる。
【0100】
また、車線L1と車線L2のいずれの車線制御装置4も「ETC/一般混在」で運用できない場合、伝送処理装置3は、第3の車線制御装置4cの車線を閉鎖できないことを示す車線閉鎖不許可を生成し、当該車線閉鎖不許可を第3の車線制御装置4cに送信する。これにより、車線L3の第3の車線制御装置4cが引き続き「ETC/一般混在」で運用することになる。
【0101】
更に、車線L1と車線L2の両方が「ETC/一般混在」で運用可能な場合、車線運用確認部312は、状態記憶部321に記憶された第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bの状態に基づいていずれの車線制御装置4を「ETC/一般混在」で運用させるかを判定する。
【0102】
一例として、車線運用確認部312は、ETC専用で運用している期間の長い車線制御装置4を、ETC/一般混在に切り替えると判定する方法が考えられる。一般にETCを利用する車両100の多くは、「ETC専用」の車線を通行するため、「ETC/一般混在」の車線運用とすると、ETC専用の車線運用よりも車両100の通行量が減少すると考えられる。ここでは、第1の車線制御装置4aの方が長く稼働しているとすると、車線運用確認部312は、第1の車線L1を通行する車両100の量を減少させるため、第1の車線制御装置4aを「ETC/一般混在」に切り替えると判定する。
【0103】
この場合、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aの車線運用を「ETC専用」から「ETC/一般混在」に変更することを要求する車線運用変更要求を生成し、生成した車線運用変更要求を車線制御装置通信部34に出力する。
【0104】
そして、ステップST211で、車線制御装置通信部34は、車線運用変更要求を第1の車線制御装置4aに送信する。
【0105】
ステップST212で、車線運用変更要求を受信すると、第1の車線制御装置4aの車線運用制御部415aは、カメラ通信部441を通じて、車両検知用カメラ5によって第1の車線L1に車両100が検知されていないことを確認する。もし、車両100が検知されていた場合、ステップST212を繰り返す。
【0106】
一方、車両検知用カメラ5により車両100が検知されない場合、処理は、ステップST213に進む。
【0107】
ステップST213で、第1の車線制御装置4aの車線運用制御部415aは、第1の車線L1の車線運用を「ETC専用」から「ETC/一般混在」に切り替え、車線表示板に第1の車線L1が「ETC/一般混在」であることを示す情報を表示させる。
【0108】
そして、第1の車線制御装置4aの車線運用情報生成部411aは、第1の車線L1の車線運用が「ETC/一般混在」に変更されたことを示す第1の車線運用情報を生成し、伝送処理装置通信部43に出力する。
【0109】
そして、ステップST214で、伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に第1の車線運用情報を送信する。
【0110】
車線制御装置通信部34は、第1の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第1の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、さらに中央サーバ通信部33に出力する。
【0111】
そして、ステップST215で、中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に第1の車線運用情報を送信する。
【0112】
ステップST216~ステップST220は、
図5で説明したステップST111~ステップST115と同様の処理で良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0113】
図4で説明したように、閉鎖しようとする車線の運用状態がETC専用である場合、運用状態が「ETC/一般混在」の車線があれば単に運用状態が「ETC専用」である車線を閉鎖する。また、
図5で説明したように、閉鎖しようとする車線の運用状態がETC/一般混在である場合、少なくても一つの車線について車線の運用状態を「ETC/一般混在」に変更し、その後、運用状態を「ETC/一般混在」から「閉鎖」にする。
【0114】
(1レーン可動の場合における動作)
次に、閑散時モードにおいて、稼働しているレーンが1レーンしかない場合に、稼働している車線を閉鎖する場合の動作について説明する。
【0115】
図7は、1レーンのみの運用状態から、ETC/一般混在レーンを閉鎖する場合の制御手順の一例を示すシーケンス図である。
図7の例では、第1の車線及び第2の車線が閉鎖されており、第3の車線が「ETC/一般混在」で運用しているとする。
【0116】
伝送処理装置3の中央処理部31および各車線制御装置4(
図6の例では、第1の車線制御装置4a、第2の車線制御装置4b、第3の車線制御装置4c)の中央処理部41が記憶部32および記憶部42に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0117】
ステップST301で、第1の車線L1の車線運用は、「閉鎖」であるため、第1の車線制御装置4a(第1の車線L1)は、「閉鎖」として運用していることを示す情報を含む第1の車線運用情報を出力する。伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に第1の車線運用情報を送信する。なお、第1の車線制御装置4aがコールドスタンバイになっている場合、周期的にホットスタンバイにし、以下で説明するステップST311の動作を実行して良い。
【0118】
伝送処理装置3の車線制御装置通信部34は、前記第1の車線運用情報を受信すると、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第1の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、さらに中央サーバ通信部33に出力する。
【0119】
そして、ステップST302で、中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に、第1の車線L1の車線運用情報である第1の車線運用情報を送信する。
【0120】
ステップST303~ステップST309は、
図5を参照して説明したステップST103~ステップST109と同様の動作で良い。但し、第2の車線運用情報は、第2の車線L2が「閉鎖」で運用していることを示す情報であり、第3の車線運用情報は、第3の車線L3が「ETC/一般混在」で運用していることを示す情報を含むことになる。
【0121】
また、ステップST307の処理をしている際に、ステップST308で、第3の車線制御装置4cの切替判定部413cは、台数記憶部422に記憶された車両100の数がパラメータ記憶部421cに記憶されたパラメータの運用切替車両通行台数を超えるか、車線制御装置4に接続された車線機器が故障したとする。この場合、第3の車線L3を「閉鎖」する必要があるため、第3の車線制御装置4cから伝送処理装置3に対して、第3の車線閉鎖要求を送信する。この場合、第3の車線閉鎖要求は、車線機器が故障したことを示す情報を含んで良い。
【0122】
ステップST310で、伝送処理装置3の車線運用確認部312は、第3の車線閉鎖要求を受信した場合、他の車線、すなわち第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bの車線運用を確認する。上述したように、第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bが「閉鎖」で運用しているため、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aまたは第2の車線制御装置4bの車線運用のいずれかを「ETC/一般混在」に切り替える必要があると判定する。
【0123】
車線運用確認部312は、状態記憶部321に記憶された第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bの状態を確認する。例えば、第1の車線制御装置4aの方が第2の車線制御装置4bよりも長い期間閉鎖されているとする。
【0124】
そこで、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aを「ETC/一般混在」に切り替えると判定する。すなわち、車線運用確認部312は、ETC/一般混在として運用させる車線制御装置4として、閉鎖で運用している複数の車線制御装置4のうち、閉鎖で運用している期間の長い車線制御装置4を選択する。なお、車線運用確認部312は、第1の車線制御装置4aおよび第2の車線制御装置4bの過去の車両100の総数、または時間帯等に基づいて、いずれの車線制御装置4を「ETC/一般混在」に切り替えるかを判定して良い。
【0125】
また、第3の車線閉鎖要求に車線機器が故障したことを示す情報を含む場合、管理者に通知して良い。なお、夜間であった場合、すぐに通知せず、所定の時間(例えば、朝9時)に管理者に通知するようにしても良い。このようにすることにより、夜間に車線制御装置4の故障対応を行わずに、日中に故障対応をすることが可能となる。
【0126】
第1の車線制御装置4aの車線運用を切り替えると判定した場合、車線運用変更要求生成部314は第1の車線制御装置4aの「閉鎖」から「ETC/一般混在」に変更することを要求する車線運用変更要求を生成し、車線運用変更要求を車線制御装置通信部34に出力する。
【0127】
そして、ステップST311で、車線制御装置通信部34は、車線運用変更要求を第1の車線制御装置4aに送信する。
【0128】
ステップST312で、車線制御装置4aが車線運用変更要求を受信すると、車線運用制御部415aは、カメラ通信部441aを通じて、車両検知用カメラ5aによって第1の車線L1に車両100が検知されていないことを確認する。車両100が検知されていた場合、ステップST312を繰り返す。
【0129】
一方、車両検知用カメラ5aにより車両100が検知されない場合、処理は、ステップST313に進む。
【0130】
なお、第1の車線制御装置4aがコールドスタンバイである場合、車線運用変更要求の前に第1の車線制御装置4aがホットスタンバイになるための指示を送信しても良いのは勿論である。
【0131】
ステップST313で、車線運用制御部415aは、第1の車線制御装置4aを「閉鎖」からETC/一般混在に切り替えて、車線表示板に第1の車線L1が「ETC/一般混在」であることを示す情報を表示させる。
【0132】
車線運用情報生成部411aは、第1の車線L1が「ETC/一般混在」で運用していることを示す情報を第1の車線運用情報を生成し、伝送処理装置通信部43に第1の車線運用情報を出力する。
【0133】
そして、ステップST314で、伝送処理装置通信部43aは、伝送処理装置3に第1の車線運用情報を送信する。
【0134】
車線制御装置通信部34は、第1の車線運用情報を受信し、車線運用情報取得部311に出力する。車線運用情報取得部311は、受信した第1の車線運用情報を状態記憶部321に記憶させ、さらに中央サーバ通信部33に出力する。そして、ステップST315で、中央サーバ通信部33は、施設中央サーバ2に第1の車線運用情報を送信する。
【0135】
ステップST316~ステップST320は、
図5を参照して説明したステップST111~ステップST115と同様の処理で良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0136】
なお、第3の車線閉鎖要求に車線機器が故障したことを示す情報を含む場合、第3の車線制御装置4cは、故障対応が終わるまで「閉鎖」で運用させ続けて良い。例えば、車線運用の切り替えの際、車線運用確認部312は、状態記憶部321に記憶された情報(第3の車線制御装置4cの車線機器が故障していることを示す情報)に基づいて、当該第3の車線制御装置4cを切り替え対象から外して良い。
【0137】
(実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、閑散時モードで動作させる際、車両100が通行する車線制御装置4の平準化を自動で行うことができる。車線制御装置4の使用が平準化されることにより、発進制御機6のような駆動部のある機器の平均故障間隔を長くすることができる。
【0138】
また、車線制御装置4が同程度の使用率となるため、良く利用される車線が特定の車線に集中することを避けることができる。そのため、保守に関わる費用および機会を削減することができる。
【0139】
また、夜間などに故障した場合、故障した車線制御装置4を自動的に閉鎖状態にして、朝に対応するようにすることにより、夜間対応の手間と人員を効率的に削減することが可能となる。
【0140】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では簡単化のため、車線制御装置4が一般モードで運用する場合を除外しているが、車線制御装置4が一般モードで運用する場合も本発明に適用可能である。
【0141】
要するに、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0142】
1…料金中央サーバ
2…施設中央サーバ
3…伝送処理装置
31…中央処理部
311…車線運用情報取得部
312…車線運用確認部
313…車線閉鎖許可生成部
314…車線運用変更要求生成部
32…記憶部
321…状態記憶部
33…中央サーバ通信部
34…車線制御装置通信部
4…車線制御装置
41…中央処理部
411…車線運用情報生成部
412…車両カウント制御部
413…切替判定部
414…車線閉鎖要求生成部
415…車線運用制御部
42…記憶部
421…パラメータ記憶部
422…台数記憶部
43…伝送処理装置通信部
44…車線機器通信部
441…カメラ通信部
442…発進制御機通信部
5…車両検知用カメラ
6…発進制御機
7…ブース
100…車両