(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071109
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B62D 49/00 20060101AFI20240517BHJP
B60R 11/06 20060101ALI20240517BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240517BHJP
B60K 17/28 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B62D49/00 N
B62D49/00 E
B62D49/00 D
B60R11/06
A47C7/62 A
B60K17/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181871
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大野 航平
(72)【発明者】
【氏名】穐山 望
【テーマコード(参考)】
3B084
3D020
3D043
【Fターム(参考)】
3B084JB02
3D020BA15
3D020BB06
3D020BC11
3D020BD03
3D043AA06
3D043AB12
3D043BA01
3D043BA06
3D043BA07
3D043BC07
(57)【要約】
【課題】能率よく工具を使用することが可能であるとともに、長期保存にも適した状態で工具を収納することが要望されていた。
【解決手段】運転部2に、運転者が着座する運転座席31が備えられ、運転座席31の下側に位置する状態で工具を収納するための工具収納部40が備えられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部に、運転者が着座する運転座席が備えられ、
前記運転座席の下側に位置する状態で工具箱を収納するための工具収納部が備えられている作業機。
【請求項2】
前記運転座席を支持する座席支持フレームが備えられ、
前記座席支持フレームが、前記運転座席の前部側の下部に位置する横向き軸芯周りで揺動可能に機体フレームに支持されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記運転座席の下方に伝動ケースが備えられ、
前記伝動ケースから後方に突出する状態で動力取り出し軸が備えられている請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
機体を走行可能に支持する走行装置と、前記走行装置を駆動する電動モータと、が備えられている請求項1又は2に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタあるいは草刈機等のように運転部に運転座席が備えられている作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業機では、例えば、機体に作業装置を着脱させる場合、あるいは、各種のメンテナンス作業を行う場合において、所定の工具が用いられる。このような工具は、専用の工具箱に収納された状態で別の場所で管理されている場合がある。しかし、上述したような各種の作業を行う場合には、別の場所で管理されている工具箱を持ち運んで用意しなければ、煩わしい作業となっており作業能率が低下するおそれがあった。
【0003】
そこで、従来では、運転座席の後部に備えられたロプスフレームの上下途中部に、工具を収納可能な工具箱を取り付けるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、ロプスフレームに工具箱が取りつけられている場合には、運転者が作業を行うために工具を使用する場合には、運転座席から降りて機体の後方側まで移動したのちに、工具箱を開けて工具を取り出さなければならず、工具のアクセスし難いという不利な面があった。又、工具箱が外方に露出するので、雨水等が降りかかること等が原因で耐久性が悪化する等のおそれもあり、改善の余地があった。
【0006】
そこで、能率よく工具を使用することが可能であるとともに、長期保存にも適した状態で工具を収納することが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業機の特徴構成は、運転部に、運転者が着座する運転座席が備えられ、前記運転座席の下側に位置する状態で工具を収納するための工具収納部が備えられている点にある。
【0008】
本発明によれば、運転座席の下側に備えられた工具収納部に工具を収納しておくことができる。工具を使用する場合には、運転座席に着座している状態からすぐに工具を取り出すことが可能であり、煩わしさなく能率よく作業を開始することができる。
【0009】
工具収納部は上方側が運転座席にて覆われているので、雨水が降りかかるおそれがない。その結果、工具について、耐久性が低くなるおそれがなく、長期間にわたって良好な状態で工具を保管することが可能となる。
【0010】
従って、能率よく工具を用いることが可能であるとともに、長期保存にも適した状態で工具を収納することが可能となった。
【0011】
本発明においては、前記運転座席を支持する座席支持フレームが備えられ、前記座席支持フレームが、前記運転座席の前部側の下部に位置する横向き軸芯周りで揺動可能に機体フレームに支持されていると好適である。
【0012】
本構成によれば、座席支持フレームを横向き軸芯周りで揺動することにより、運転座席の下方側が開放される状態となる。その結果、開放された箇所から工具収納部が外方に臨む状態となり、工具収納部に収納されている工具を容易に取り出すことができる。
【0013】
本発明においては、前記運転座席の下方に伝動ケースが備えられ、前記伝動ケースから後方に突出する状態で動力取り出し軸が備えられていると好適である。
【0014】
本構成によれば、伝動ケースの後側には作業装置が連結され、動力取り出し軸と作業装置とを動力伝達可能な状態に接続する。その後、作業装置が動力取り出し軸から伝達される動力によって駆動されて作業を行うことができる。作業終了したのちは作業装置を取り外すことができる。
【0015】
作業装置の着脱作業や動力取り出し軸との間の連結作業等においては工具が使用される。動力取り出し軸は運転座席に近い位置に設けられるので、上記したような作業を行う際に、工具収納部が近い箇所にあるので工具が取り出し易い。
【0016】
本発明においては、機体を走行可能に支持する走行装置と、前記走行装置を駆動する電動モータと、が備えられていると好適である。
【0017】
本構成によれば、電動モータによって走行駆動する作業機にあっては、大型のエンジンや燃料タンク等が不要であるから、運転座席の下方側にスペースを確保し易い。そこで、そのようなスペースを有効に利用して工具収納部を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0020】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本発明に係る作業機の一例としてのトラクタについて説明する。
図1に示すように、トラクタは、走行装置1としての左右の前車輪10と左右の後車輪11とを備え、前部にカバー部材12を備えている。
【0021】
トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0022】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0023】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0024】
トラクタは、走行用バッテリー4を備えている。カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリー4は、カバー部材12に覆われている。
【0025】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及び電動モータMを備えている。走行用バッテリー4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリー4からの直流電力を交流電力に変換して電動モータMへ供給する。そして、電動モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及び伝動ケースとしてのトランスミッション16を備えている。
図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0027】
油圧ポンプ15aは、電動モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。また、静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0028】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0029】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18(動力取り出し軸の一例)を備えている。ミッドPTO軸17はトランスミッション16の下部から前向きに突出する状態で備えられている。リヤPTO軸18はトランスミッション16の後部から後方に突出する状態で備えられている。電動モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0030】
ミッドPTO軸17又はリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17又はリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、
図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0031】
(運転部の構成)
図4,5に示すように、運転座席31の下側に位置する状態で工具を収納するための工具収納部40が備えられている。運転座席31を支持する座席支持フレーム41が備えられ、この座席支持フレーム41が、運転座席31の前部側の下部に位置する横向き軸芯P周りで揺動可能に機体フレーム2に支持されている。
【0032】
運転座席31の後下部に備えられた載置部が機体フレーム2の上部の支持部42に対して載置支持された状態で位置保持される。運転座席31は、後部を持ち上げると、
図4の仮想線で示すように、横向き軸芯P周りで揺動して前側に傾倒した状態となる。
【0033】
運転座席31を前側に揺動すると、運転座席31の下方が開放された状態となり、工具収納部40が外方に臨む状態に切り換わる。その状態で、運転者は必要な工具を容易に取り出すことができる。
【0034】
図示はしていないが、トランスミッション16の後部に後部作業装置を装着する場合がある。後部作業装置としては、例えば、ロータリ耕耘装置等がある。後部作業装置は、3点リンク機構43を介してリフトアーム44によって昇降操作可能に連結される。又、後部作業装置は、リヤPTO軸18を介して機体側から動力が伝達されて耕耘作業を行うことができる。
【0035】
後部作業装置を連結する場合には工具が必要であるが、運転座席31を前側に傾倒させるように揺動させて工具収納部40から容易に工具を取り出すことができる。
【0036】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、座席支持フレーム41が横向き軸芯P周りで揺動可能に機体フレーム2に支持される構成としたが、この構成に代えて、座席支持フレーム41をスライド移動させる構成、あるいは、取り外し可能に構成するものでもよく、運転座席の支持構成は変更可能である。
【0037】
(2)上記実施形態では、トランスミッション16から後方に突出するリヤPTO軸18が備えられる構成としたが、ミッドPTO軸17だけを備えるものでもよく、動力取り出し軸を備えない構成としてもよい。
【0038】
(3)上記実施形態では、走行装置1を駆動する電動モータMを備える構成としたが、この構成に代えて、エンジンにて駆動する作業機でもよく、電動モータとエンジンとを備えたハイブリッド型の駆動源を有するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、トラクタあるいは草刈機など運転部に運転座席が備えられている作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 走行装置
2 機体フレーム
3 運転部
16 トランスミッション(伝動ケース)
31 運転座席
40 工具収納部
41 座席支持フレーム
M 電動モータ
P 軸芯