(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071115
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240517BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240517BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240517BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H05K1/03 610B
H01L23/12 N
H01L23/12 Q
H01L23/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181881
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】梅村 優樹
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC18
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC35
5E316CC36
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE01
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316HH33
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れた配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る配線基板1は、ガラス基板10と、導体層70と、絶縁体80とを含む。ガラス基板10は、第1面S1とその裏面である第2面S2とを有し、第1面S1から第2面S2まで各々が伸びた1以上の貫通孔12が設けられる。導体層70は、1以上の貫通孔12の側壁と、第2面S2とに設けられる。絶縁体80は、1以上の貫通孔12それぞれの内側に設けられる。1以上の貫通孔12の側壁に設けられた導体層70の表面粗さは、第2面S2に設けられた導体層70の表面粗さよりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が伸びた1以上の貫通孔が設けられたガラス基板と、
前記1以上の貫通孔の側壁と、前記第2面とに設けられた導体層と、
前記1以上の貫通孔それぞれの内側に設けられた絶縁体と、
を備え、
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第2面に設けられた前記導体層の表面粗さよりも大きい、配線基板。
【請求項2】
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の算術表面粗さRaは150nm以上1000nm以下である、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第2面に設けられた前記導体層の算術表面粗さRaは100nm以下である、
請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層と、前記絶縁体との間に設けられた、不連続部を有する腐食防止膜をさらに備える、
請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第2面側から前記第1面側に向けて大きくなる、請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第1面側から前記第2面側に向けて大きくなる、請求項4に記載の配線基板。
【請求項7】
第1面とその裏面である第2面とを有するガラス基板の前記第1面上に第1導体層を形成することと、
前記ガラス基板へレーザ光を照射して、前記ガラス基板に1以上の改質部を形成することと、
前記第1導体層が形成された前記ガラス基板の前記第2面をエッチングして、前記1以上の改質部の位置に1以上の貫通孔をそれぞれ形成することと、
前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁に第2導体層を形成することと、
を備え、
前記1以上の貫通孔の内壁に設けられる前記第2導体層の表面粗さは、前記第2面に設けられる第2導体層の表面粗さよりも大きい、
配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2導体層を形成することは、
前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁にシード層を設けることと、
電解銅めっきにより前記シード層上に第2導電層を形成することと、
エッチングにより前記シード層のうち不要な部分を除去することと、
を含み、
前記電解銅めっきにおける液流量は、前記1以上の貫通孔内の方が、前記第2面に比べて小さい、請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2導体層を形成することは、
前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁にシード層を設けることと、
電解銅めっきにより前記シード層上に第2導電層を形成することと、
前記第2導電層のうち前記1以上の貫通孔の内壁に設けられた部分上に不連続部を有する腐食防止膜を形成することと、
前記第2導電層を、前記腐食防止膜が形成された部分に対して前記腐食防止膜が形成されていない部分の膜厚が薄くなるようにエッチングすることと、
を含む、
請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することは、
前記ガラス基板の前記第2面に、前記1以上の貫通孔の位置が開口したマスクを設けることと、
前記1以上の貫通孔の内壁に、前記不連続部を有する酸化防止膜を設けることと、
前記マスクを除去することと、
を含む、
請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することは、
前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁に連続膜である腐食防止膜を設けることと、
ドライエッチングにより前記ガラス基板の前記第2面から前記腐食防止膜を除去すると共に、前記1以上の貫通孔の内壁に前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することと、
を含む、
請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化および小型化が進む中で、より周波数の高い信号が用いられており、電子機器に搭載されるインターポーザに代表される多層配線基板にも、高周波対応が求められている。
【0003】
特に、最近の多層配線基板においては、ガラス基板を採用し、ガラス基板に貫通孔を形成して、貫通電極を設けている。そして、ガラス基板の両面に導体層、絶縁樹脂層、導体層を順次積層する多層配線基板が採用されている。
【0004】
多層配線基板に用いられる貫通電極には、貫通孔の内部を充填しない導電体で形成されるコンフォーマル型の電極(コンフォーマルビア)と、貫通孔の内部を充填する充填型の電極(フィルドビア)とが含まれる。コンフォーマル型の場合には、貫通電極の内部を充填する電極が存在しないため、製造コストを低減したり、貫通電極起因の応力を低減させたりすることができる。一方、貫通孔が設けられた部分と重畳して配線部を配置することができないため、高集積化には設計の困難を伴う。
【0005】
特許文献1には、コンフォーマル型の貫通電極においても、貫通孔の基板表面側を塞ぐように導電体を配置する技術が開示されている。これによって、基板の少なくとも一方の面側において配線部を効率的に配置して高集積化を容易にする技術が開示されている。
【0006】
また、多層配線基板は、用途によっては小型化、高機能化と共に低背化が求められるが、ガラス基板の厚みが100μm程度になった際に、多層配線基板の製造工程中にガラスコア基板に割れ等の障害が発生しやすい。
【0007】
このため、特許文献2では、このような割れを防ぐために、ガラス基板に剥離層を介して支持体を接着し、配線の形成後に支持体を剥離除去する工程が提案されている。
【0008】
具体的には、ガラス基板の第1面上に第1の配線の形成を行う工程と、該第1の配線が形成されたガラス基板の第1の配線側を支持体でサポートする工程と、上記ガラス基板に対し、貫通孔形成の起点となるレーザ改質部を、上記第1面とは反対側の面から照射するレーザで形成する工程と、上記ガラス基板の第1面とは反対側の面から第1面に向けて、フッ化水素エッチング液を用いてエッチングを施して、ガラス基板の薄板化を行いつつ貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、上記貫通孔形成工程の後に、上記貫通孔の内部に貫通電極を形成すると共に、上記ガラス基板の上記第1面とは反対側の面に第2の配線を形成して、貫通電極を介して上記第1の配線と上記第2の配線を接続する工程と、上記第2の配線を形成後に、上記ガラス基板から上記支持体を外す工程を有する配線基板の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2017/209296号
【特許文献2】国際公開第2019/235617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載されているような、閉塞した貫通孔の内部に貫通電極を形成すると共に、上記ガラス基板の上記第1面とは反対側の面に第2の配線を形成したのちに、絶縁樹脂層を形成する構造および製造方法においては、貫通孔内部電極表面と絶縁樹脂との密着性の確保が難しく、信頼性を損なう場合がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、信頼性に優れた配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によると、第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が伸びた1以上の貫通孔が設けられたガラス基板と、前記1以上の貫通孔の側壁と、前記第2面とに設けられた導体層と、前記1以上の貫通孔それぞれの内側に設けられた絶縁体と、を備え、前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第2面に設けられた前記導体層の表面粗さよりも大きい、配線基板が提供される。
【0013】
本発明の他の側面によると、前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の算術表面粗さRaは150nm以上1000nm以下である、上記側面に係る配線基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、前記第2面に設けられた前記導体層の算術表面粗さRaは100nm以下である、上記側面に係る配線基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層と、前記絶縁体との間に設けられた、不連続部を有する腐食防止膜をさらに備える、上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第2面側から前記第1面側に向けて大きくなる、上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第1面側から前記第2面側に向けて大きくなる、上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0018】
本発明の更に他の側面によると、第1面とその裏面である第2面とを有するガラス基板の前記第1面上に第1導体層を形成することと、前記ガラス基板へレーザ光を照射して、前記ガラス基板に1以上の改質部を形成することと、前記第1導体層が形成された前記ガラス基板の前記第2面をエッチングして、前記1以上の改質部の位置に1以上の貫通孔をそれぞれ形成することと、前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁に第2導体層を形成することと、を備え、前記1以上の貫通孔の内壁に設けられる前記第2導体層の表面粗さは、前記第2面に設けられる第2導体層の表面粗さよりも大きい、配線基板の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の更に他の側面によると、前記第2導体層を形成することは、前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁にシード層を設けることと、電解銅めっきにより前記シード層上に第2導電層を形成することと、エッチングにより前記シード層のうち不要な部分を除去することと、を含み、前記電解銅めっきにおける液流量は、前記1以上の貫通孔内の方が、前記第2面に比べて小さい、上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の更に他の側面によると、前記第2導体層を形成することは、前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁にシード層を設けることと、電解銅めっきにより前記シード層上に第2導電層を形成することと、前記第2導電層のうち前記1以上の貫通孔の内壁に設けられた部分上に不連続部を有する腐食防止膜を形成することと、前記第2導電層を、前記腐食防止膜が形成された部分に対して前記腐食防止膜が形成されていない部分の膜厚が薄くなるようにエッチングすることと、を含む、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【0021】
本発明の更に他の側面によると、前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することは、前記ガラス基板の前記第2面に、前記1以上の貫通孔の位置が開口したマスクを設けることと、前記1以上の貫通孔の内壁に、前記不連続部を有する酸化防止膜を設けることと、前記マスクを除去することと、を含む、上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の更に他の側面によると、前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することは、前記ガラス基板の前記第2面及び前記1以上の貫通孔の内壁に連続膜である腐食防止膜を設けることと、ドライエッチングにより前記ガラス基板の前記第2面から前記腐食防止膜を除去すると共に、前記1以上の貫通孔の内壁に前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することと、を含む、上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、信頼性に優れた配線基板及び配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る配線基板の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の変形例に係る配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0026】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0027】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0028】
<1>第1実施形態
第1実施形態に係る配線基板について説明する。
【0029】
<1.1>配線基板の構成
図1は、第1実施形態に係る配線基板の断面図である。
図2は、
図1に示す配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
【0030】
図1に示す配線基板1は、ガラスコア配線基板である。一例によれば、配線基板1は、インターポーザとして使用する配線基板、即ち、ガラスインターポーザである。
【0031】
配線基板1は、ガラス基板10と、第1導体層20と、層間絶縁膜40と、導体層50と、絶縁層60と、第2導体層70と、層間絶縁膜80と、導体層90と、絶縁層100とを含んでいる。
【0032】
ガラス基板10は、例えば、無アルカリガラスである。ガラス基板10は、第1面S1と、その裏面である第2面S2とを有している。第1面S1と第2面S2とは、互いに対して平行である。ガラス基板10の厚さは、例えば、25μm以上150μm以下の範囲内にある。
【0033】
ガラス基板10には、第1面S1から第2面S2まで各々が伸びた1以上の貫通孔、ここでは、複数の貫通孔が設けられている。貫通孔の各々は、第2面S2から第1面S1へ向けて先細りしている。
【0034】
第1導体層20は、第1面S1上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、ランド部と、配線部とを含んでいる。第1導体層20は、第1配線層である。
【0035】
第1導体層20は、多層構造を有している。具体的には、第1導体層20は、第1面S1と向き合った第1銅層24と、第1銅層24とガラス基板10との間に介在した耐弗酸金属層21とを含んでいる。第1導体層20は、
図2に示すように、耐弗酸金属層21と第1銅層24との間に介在した密着層22と、密着層22と第1銅層24との間に介在したシード層23とを更に含んでいる。
【0036】
第1導体層20は、貫通孔の第1面S1側の開口を覆っている。
【0037】
耐弗酸金属層21は、ガラス基板10と比較して、弗酸によるエッチングに対する耐性に優れた金属材料からなる。耐弗酸金属層21は、例えば、クロム、ニッケル及びニッケルクロム合金からなる群より得られる材料からなる。耐弗酸金属層21の厚さは、例えば、10nm以上1000nm以下の範囲内にある。
【0038】
密着層22及びシード層23は、耐弗酸金属層21上にこの順に積層されている。密着層22及びシード層23には、それぞれ、後述する密着層72及びシード層73について例示する材料を使用することができる。密着層22及びシード層23は、第1銅層24を電解めっきによって形成する場合に設ける。密着層22は省略してもよい。また、第1銅層24を無電解めっきやスパッタリングなどの他の方法を利用して形成する場合、密着層22及びシード層23の双方を省略してもよい。第1銅層24の厚さは、例えば、2μm以上20μm以下の範囲内にある。
【0039】
層間絶縁膜40は、第1面S1を被覆するとともに、第1導体層20を埋め込んでいる。層間絶縁膜40には、第1導体層20が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられている。一例によれば、層間絶縁膜40は、絶縁樹脂層である。絶縁樹脂層としては、熱硬化性樹脂にフィラーが充填された液状樹脂又はフィルム状樹脂が主に使用される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂の少なくとも1種類の材料を含むことが好ましい。フィラーとしては、シリカ、酸化チタン、ウレタン等の材料を含むことが好ましい。
【0040】
導体層50は、層間絶縁膜40上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜40の主面に設けられたパッド部と、層間絶縁膜40に設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部とを含んでいる。パッド部は、外部接続端子である。ビア部の各々は、第1導体層20が含むランド部をパッド部へ接続している。
【0041】
導体層50は、シード層53と銅層54とを含んでいる。シード層53及び銅層54は、層間絶縁膜40上に、この順に積層されている。導体層50は、層間絶縁膜40とシード層53との間に密着層を更に含むことができる。導体層50が含む密着層及びシード層53には、それぞれ、後述する密着層72及びシード層73について例示する材料を使用することができる。シード層53は省略してもよい。
【0042】
絶縁層60は、層間絶縁膜40を少なくとも部分的に被覆するとともに、導体層50を埋め込んでいる。絶縁層60には、導体層50が含むパッド部の位置に貫通孔が設けられている。絶縁層60は、例えば、ソルダーレジストからなる。
【0043】
第2導体層70は、ガラス基板10の第2面S2を被覆した部分と、ガラス基板10に設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、第1導体層20のうちガラス基板10に設けられた貫通孔を覆う部分と接する部分と、を含んだ導体パターンである。この導体パターンは、ランド部と配線部とビア部とを含んでいる。第2導体層70のうち第2面S2を被覆した部分は、第2配線層であって、ランド部と配線部とを含んでいる。ビア部は、第2導体層70のうち、ガラス基板10に設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、第1導体層20のうちガラス基板10に設けられた貫通孔を覆う部分と接する部分とからなる。
【0044】
第2導体層70は、多層構造を有している。具体的には、第2導体層70は、
図2に示すように、密着層72とシード層73と第2銅層74とを含んでいる。密着層72、シード層73及び第2銅層74は、ガラス基板10上に、この順に積層されている。
【0045】
密着層72は、ガラス基板10に設けられた貫通孔の側壁、第1導体層20のうちガラス基板10に設けられた貫通孔を覆う部分、及び第2面S2のうち貫通孔の第2面S2側の開口を取り囲んだ領域を被覆している。密着層72は、これらの面に対してコンフォーマルである。
【0046】
密着層72は、シード層73のガラス基板10に対する密着性を高める。密着層72は、チタン、クロム及びニッケルからなる群より選ばれる1以上の材料又はその酸化物からなることが好ましく、チタン又はチタン酸化物からなることがより好ましい。
【0047】
シード層73は、密着層72上に設けられている。シード層73は、密着層72に対してコンフォーマルである。シード層73は、電解めっきにおいて給電層としての役割を果たす。シード層73は、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、及びCu3N4からなる群から適宜選ばれる。
【0048】
第2銅層74は、シード層73上に設けられている。第2銅層74は、シード層73に対してコンフォーマルである。第2銅層74の厚さは、例えば、2μm以上20μm以下の範囲内にある。
【0049】
第2銅層74は、貫通孔内に設けられた部分と、第2面S2上に設けられた部分とで、表面粗さが異なる。具体的には、第2銅層74の、貫通孔内に設けられた部分における算術表面粗さRaは、150nm以上1000nm以下の範囲内、より具体的には150nm以上400nm以下の範囲内にある。また、第2銅層74の貫通孔の側壁に設けられた部分の算術表面粗さRaは、上記した範囲内で、貫通孔の第2面S2側から第1面S1側に向かって大きくなる。第2銅層74の、第2面S2上に設けられた部分における算術表面粗さRaは、100nm以下である。なお、「算術表面粗さRa」は、JIS B0601:2001で規定される表面性状パラメータである。
【0050】
層間絶縁膜80は、第2面S2を被覆するとともに、第2導体層70を埋め込んでいる。層間絶縁膜80には、第2導体層70が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられている。一例によれば、層間絶縁膜80は、絶縁樹脂層である。層間絶縁膜80が含む絶縁性樹脂層には、前述した層間絶縁膜40が含む絶縁樹脂層について例示した材料を使用することができる。
【0051】
導体層90は、層間絶縁膜80上に設けられた導体パターンである。この導体パターンは、層間絶縁膜80の主面に設けられたパッド部と、層間絶縁膜80に設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部とを含んでいる。パッド部は、外部接続端子である。ビア部の各々は、第2導体層70が含むランド部をパッド部へ接続している。
【0052】
導体層90は、シード層93と銅層94とを含んでいる。シード層93及び銅層94は、層間絶縁膜80上に、この順に積層されている。導体層90は、層間絶縁膜80とシード層93との間に密着層を更に含むことができる。導体層90が含む密着層及びシード層93には、それぞれ、密着層72及びシード層73について例示した材料を使用することができる。シード層93は省略してもよい。
【0053】
絶縁層100は、層間絶縁膜80を少なくとも部分的に被覆するとともに、導体層90を埋め込んでいる。絶縁層100には、導体層90が含むパッド部の位置に貫通孔が設けられている。絶縁層100は、例えば、ソルダーレジストからなる。
【0054】
<1.2>配線基板の製造方法
上記の配線基板1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0055】
【0056】
<1.2.1>第1工程
まず、
図3に示すように、第2面S2に、接着層142を介し支持体141を貼り合わせる。ガラス基板10に支持体141を貼り合わせるためには、例えば、ラミネータ、真空加圧プレス、減圧貼り合わせ機等を使用することができる。
【0057】
接着層142は、ガラス基板10に対して支持体141を仮固定するための接着層である。接着層142には、樹脂、又は支持体141に形成された官能基が用いられる。樹脂としては、UV光等の光を吸収して発熱、昇華、又は変質することにより剥離可能となる樹脂、熱によって発泡することにより剥離可能となる樹脂等が挙げられる。一例によれば、接着層142は、第2面S2上に形成された官能基である。接着層142として用いられる官能基としては、例えば、水酸基(ヒドロキシル基)が挙げられる。
【0058】
なお、
図3乃至
図7では、説明の便宜上、接着層142を、厚さを有する層状に図示している。しかしながら、接着層142として第2面S2上に形成された官能基が用いられる場合、接着層142の厚さは、ガラス基板10及び支持体141と比較して無視できるほど小さい。このため、接着層142は、ガラス基板10と支持体141との間の界面と表現することもできる。この場合、支持体141は、ガラス基板10と直接貼り合わされているとも表現することもできる。
【0059】
支持体141は、第1支持体であり、薄板状のキャリアである。接着性の観点から、支持体141は、ガラス基板10と同一の材料で構成されることが望ましい。即ち、ガラス基板10が無アルカリガラスである場合、支持体141も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体141の厚さは、ガラス基板10の厚さに応じて適宜設定して構わない。支持体141の厚さは、ガラス基板10の搬送性を鑑み、300μm以上、1500μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0060】
一例によれば、貼り合わせられたガラス基板10、接着層142、及び支持体141を含む積層構造体として、日本電気硝子社製 Glass On Glass(GOG)を使用する。この場合、支持体141はガラスであり、接着層142は水酸基(ヒドロキシル基)及び複数の官能基を含む。
【0061】
<1.2.2>第2工程
次に、ガラス基板10に対してレーザ光を照射して、ガラス基板10に1以上の改質部11を形成する。レーザ光の照射方向は、第1面S1から第2面S2へ向けた方向でもよいし、第2面S2から第1面S1へ向けた方向でもよい。改質部11は、例えば、レーザ照射によって加熱されることにより、レーザ光未照射部との間で結晶性等に相違を生じた部分である。改質部11は、ガラス基板10に形成される予定の貫通孔に対応した位置に形成される。改質部11は、例えば、第1面S1及び第2面S2と交差する方向に延びる。
図4に示すように、第1面S1から第2面S2に向かってレーザ光が照射される場合、改質部11は、接着層142及び支持体141まで到達するように形成されてもよい。
【0062】
ここで用いるレーザ光の波長は、535nm以下である。レーザ光の好ましい波長は、355nm以上、535nm以下である。レーザ光の波長を355nm未満とすると、十分なレーザ出力を得ることが難しく、安定的なレーザ改質が難しくなるおそれがある。一方、レーザ光の波長を535nmより大きくすると、照射スポットが大きくなり、小範囲のレーザ改質が難しくなる。また、熱の影響により、マイクロクラックが発生し、ガラス基板10が割れやすくなる。
【0063】
パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅はピコ秒からフェムト秒の範囲内にあることが望ましい。レーザパルス幅がナノ秒以上になると、1パルス当たりのエネルギー量の制御が困難となり、マイクロクラックが発生して、ガラス基板10が割れやすくなる。
【0064】
レーザパルスのエネルギーは、ガラスの組成や、どのようなレーザ改質を生じさせるかに応じて好ましい値が選択され、5μJ以上、150μJ以下の範囲内にあることが好ましい。レーザパルスのエネルギーを増加させることで、それに比例するように改質部11の長さを大きくすることが可能となる。
【0065】
<1.2.3>第3工程
次に、
図5に示すように、改質部11を覆うように、第1面S1上に第1導体層20が形成される。
【0066】
例えば、まず、第1面S1上に、耐弗酸金属層21及びシード層23をこの順に形成する。ここでは、耐弗酸金属層21及びシード層23の各々は、連続膜として形成する。耐弗酸金属層21は、例えば、スパッタリングにより形成する。シード層23は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより形成する。シード層23を形成するのに先立ち、耐弗酸金属層21上に、
図2に示す密着層22を形成してもよい。密着層22は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより、連続膜として形成する。密着層22を形成すると、耐弗酸金属層21とシード層23との間の密着性が向上する。
【0067】
次に、シード層23上に、絶縁体からなり、第1銅層24に対応した位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層23上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層23へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。
【0068】
続いて、シード層23を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層23上に銅を堆積させて、
図5に示す第1銅層24を得る。
【0069】
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、第1銅層24とガラス基板10とを含んだ複合体の第1銅層24側の面全体を、シード層23の露出部が除去されるまでエッチングする。また、シード層23と耐弗酸金属層21との間に密着層22が存在している場合には、この複合体の第1銅層24側の面全体を、密着層22のうち、シード層23の露出部を除去することによって露出した部分も除去されるまで更にエッチングする。そして、第1銅層24とガラス基板10とを含んだ複合体の第1銅層24側の面全体を、耐弗酸金属層21の露出部が除去されるまでエッチングする。
【0070】
以上のようにして、
図5に示す第1導体層20を得る。なお、第1導体層20は、上記の通り、ランド部と配線部とを含んでいる。
【0071】
その後、ガラス基板10の第1導体層20が設けられた面に、層間絶縁膜40を設ける。液状樹脂の場合、層間絶縁膜40は、スピンコート法により形成される。フィルム状樹脂の場合、層間絶縁膜40は、真空ラミネータを用いて真空下で加熱及び加圧することにより形成される。一例によれば、層間絶縁膜40として、味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂フィルムであるABF-GXT31(32.5μm厚)を上記の面へラミネートし、これをプリキュアする。
【0072】
<1.2.4>第4工程
次に、
図6に示すように、ガラス基板10と層間絶縁膜40とを含んだ複合体を、支持体143に支持させる。ここでは、上記複合体の層間絶縁膜40が支持体143と向き合うように、上記複合体と支持体143とを接着層144を介して貼り合わせる。
【0073】
接着層144には、樹脂、又は支持体143に形成された官能基が用いられる。樹脂としては、UV光等の光を吸収して発熱、昇華、又は変質することにより剥離可能となる樹脂、熱によって発泡することにより剥離可能となる樹脂等が挙げられる。接着層144は、接着層142とは異なる材料で構成されることが好ましい。一例によれば、接着層144として、日東電工社製のリバアルファ(登録商標)が使用される。
【0074】
支持体143は、第2支持体であり、薄板状のキャリアである。支持体143は、ガラス基板10と同一の材料で構成されることが望ましい。即ち、ガラス基板10が無アルカリガラスである場合、支持体143も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体143の厚さは、ガラス基板10の厚さに応じて適宜設定して構わない。支持体143の厚さは、ガラス基板10の搬送性を鑑み、300μm以上、1500μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0075】
<1.2.5>第5工程
次に、
図7に示すように、ガラス基板10から接着層142及び支持体141を分離させる。ガラス基板10からの接着層142及び支持体141の分離に際しては、接着層142に使用した材料に応じて、UV光の照射、加熱処理、物理剥離等から適宜剥離方式を選択することとなる。接着層142及び支持体141の剥離処理後に、ガラス基板10に接着層142の残差が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、及びアルコールを使用した溶剤洗浄等を行ってもよい。
【0076】
<1.2.6>第6工程
次に、接着層142及び支持体141を剥離させたガラス基板10の第2面S2を、弗化水素を含んだエッチング液でエッチングする。これにより、
図8に示すように、第2面S2を後退させるとともに、改質部11の位置に貫通孔12をそれぞれ形成する。ガラス基板10のうち、改質部11は、他の部分と比較して、エッチングレートが高い。従って、当該エッチング処理によって、ガラス基板10の薄板化と貫通孔12の形成とを同時に達成できる。
【0077】
当該エッチング処理によるエッチング量は、ガラス基板10の厚さに応じて、適宜設定される。例えば、エッチング処理前のガラス基板10の厚さが200μmである場合、ガラス基板10のエッチング量は、50μm以上、175μm以下の範囲内であることが好ましい。これにより、エッチング処理後のガラス基板10の厚さは、25μm以上、150μm以下の範囲内とすることができる。
【0078】
なお、当該エッチング処理において、耐弗酸金属層21は、エッチングストッパ膜としての役割を果たす。また、上記のエッチングによって得られる貫通孔12は、
図8では、第2面S2側の径(又は断面積)が第1面S1側の径(又は断面積)よりも大きい円錐台形状を有している。
【0079】
弗化水素を含んだエッチング液は、例えば、弗化水素水溶液である。エッチング液は、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸を更に含むことができる。
【0080】
エッチング液の弗化水素濃度は、例えば1.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内にあり、好ましくは2.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内にある。無機酸濃度は、例えば1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内にあり、好ましくは3.0質量%以上16.0質量%以下の範囲内にある。各成分の濃度を上記範囲内に設定したエッチング液を使用して、1.0μm/min以下のエッチングレートでエッチング処理を行うことが望ましい。エッチング処理の際のエッチング液の温度は、10℃以上40℃以下の範囲内とすることが望ましい。
【0081】
<1.2.7>第7工程
その後、
図2に示す密着層72を形成する。ここでは、密着層72は、貫通孔12の側壁及び第2面S2を被覆した連続膜として形成する。密着層72は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより、連続膜として形成する。
【0082】
次いで、密着層72上に、
図9に示すシード層73を形成する。シード層73は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより、連続膜として形成する。
【0083】
次に、
図9に示すように、シード層73上に第2銅層74を形成する。
【0084】
例えば、先ず、シード層73上に、絶縁体からなり、第2銅層74に対応した位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層73上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層73へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。
【0085】
続いて、シード層73を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層73上に銅を堆積させて、
図9に示す第2銅層74を得る。
【0086】
この電解銅めっきは、例えば、不溶性アノード電極を用い、噴流攪拌方式の電解めっき装置にて、電流密度1.0ASD~2.0ASD、噴流量10L/(min・m2)~30L/(min・m2)の条件にて、硫酸銅電解Cuめっき液を用いて実行される。硫酸銅電解Cuめっき液は、CuSO4・5H2O 80g/L~200g/L、H2SO4 20g/L~200g/L、添加剤として促進剤 3mg/L~6mg/L、抑制剤 0.1mg/L~5mg/L、HCl 5ppm~30ppm、及びレベラー 0.5mg/L~2mg/Lを含む。また、めっき液が噴出するノズルからガラス基板10までの距離は、50mm~150mmである。このような条件で電解銅めっきを行うことで、貫通孔12内部と第2面S2とでめっき液の循環速度に差が生じ、めっきの結晶性、粗さが貫通孔12内部と第2面S2とで異なる仕上がりとなる。具体的には、貫通孔12の側壁に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaが、第2面S2に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaよりも大きくなる。また、第2銅層74の貫通孔の側壁に設けられた部分の算術表面粗さRaは、貫通孔の第2面S2側から第1面S1側に向かって大きくなる。
【0087】
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、第2銅層74とガラス基板10とを含んだ複合体の第2銅層74側の面全体をエッチングして、シード層73の露出部を除去する。続いて、上記複合体の第2銅層74側の面全体を、密着層72のうち、シード層73の露出部を除去することによって露出した部分が除去されるまで更にエッチングする。
【0088】
以上のようにして、
図9に示す第2導体層70を得る。なお、第2導体層70は、上記の通り、ランド部と配線部とを含んでいる。また、貫通孔12の側壁に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaは、150nm以上1000nm以下となる。かつ、第2面S2に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaは、100nm以下となる。
【0089】
<1.2.8>第8工程
次いで、
図10に示すように、第2導体層70及びガラス基板10を含んだ複合体の第2導体層70側の面に、層間絶縁膜80を設ける。液状樹脂の場合、層間絶縁膜80は、スピンコート法により形成される。フィルム状樹脂の場合、層間絶縁膜80は、真空ラミネータを用いて真空下で加熱及び加圧することにより形成される。一例によれば、層間絶縁膜80として、味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂フィルムであるABF-GXT31(32.5μm厚)を上記の面へラミネートし、これをプリキュアする。
【0090】
<1.2.9>第9工程
次に、
図11に示すように、ガラス基板10から接着層144及び支持体143を分離させる。ガラス基板10からの接着層144及び支持体143の分離に際しては、接着層144に使用した材料に応じて、UV光の照射、加熱処理、物理剥離等から適宜剥離方式を選択することとなる。接着層144及び支持体143の剥離処理後に、ガラス基板10に接着層144の残差が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、及びアルコールを使用した溶剤洗浄等を行ってもよい。
【0091】
<1.2.10>第10工程
次いで、レーザ加工によって層間絶縁膜40にブラインドビアを形成する。その後、デスミア処理を実施して、レーザ加工によって発生した残渣を除去する。なお、ブラインドビアの形成に用いられるレーザは、改質部11の形成に用いられるレーザとは異なっていてもよい。例えば、ブラインドビアの形成には、炭酸ガスレーザ、UV-YAGレーザ等のパルスレーザを用いることが好ましい。パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅は、マイクロ秒の範囲内にあることが好ましい。
【0092】
次いで、スパッタリング又は無電解めっきにより、シード層53を形成する。ここでは、シード層53は、層間絶縁膜40の上面、これに設けられた貫通孔の側壁、及び、第1導体層20のうちこれら貫通孔の位置で露出した部分を被覆するように形成する。
【0093】
次に、シード層53上に、絶縁体からなり、銅層54に対応した位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層53上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフィルムレジストであるRD1225をシード層53へラミネートし、このドライフィルムレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。
【0094】
続いて、シード層53を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層53上に銅を堆積させて、
図1に示す銅層54を得る。
【0095】
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。次いで、銅層54とガラス基板10とを含んだ複合体の銅層54側の面全体を、シード層53の露出部が除去されるまでエッチングする。以上のようにして、導体層50を得る。
【0096】
次いで、層間絶縁膜40上に、
図1に示す絶縁層60を設ける。例えば、層間絶縁膜40上にソルダーレジストを設け、フォトリソグラフィ法などを用いてこれをパターニングする。
【0097】
反対側の面についても同様の処理を実施し、導体層90及び絶縁層100を得る。
【0098】
【0099】
<1.3>第1実施形態に係る効果
銅層と樹脂との密着性を確保するには、銅層の表面粗さが大きいことが好ましい。しかし、銅層の表面粗さが大きくなると、高周波信号の伝送に影響を及ぼし得る。
【0100】
第1実施形態によれば、めっき液の噴流量を10L/(min・m2)~30L/(min・m2)に抑えた電解銅めっきにおいて、第2銅層74が設けられる。これにより、第2銅層74のうち貫通孔12内に設けられる部分の表面粗さが、第2銅層74のうち第2面S2に設けられる部分の表面粗さよりも大きくなる。このため、貫通孔12内において、第2銅層74と層間絶縁膜80との密着性を確保することができる。また、表面粗さが大きい部分は貫通孔12の内部に限られるため、第2面S2に設けられる部分を含めた第2銅層74全体の表面粗さを大きくする場合と比べて、高周波信号の伝送に及ぼす影響が抑制される。従って、上述した製造方法によると、高周波信号の伝送に及ぼす影響を抑制しつつ、高い信頼性を達成可能である。
【0101】
また、第1実施形態によれば、第2銅層74の表面粗さを第2面S2上と貫通孔12内部とで異ならせない場合から電解銅めっきの条件を変更することで、貫通孔12の側壁と第2面S2とに、表面粗さの異なる第2銅層74をそれぞれ設けることができる。つまり、第2銅層74の表面粗さを第2面S2上と貫通孔12内部とで異ならせない場合に対して追加の工程を要さずに、高い信頼性を達成できる。
【0102】
<2>第2実施形態
本発明の第2実施形態は、第1実施形態に対して、腐食防止膜を用いて、貫通孔の側壁に設けられた銅層と樹脂との密着性を確保する点が異なる。第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0103】
<2.1>配線基板の構成
図12は、第2実施形態に係る配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
【0104】
配線基板1は、腐食防止膜110をさらに含んでいる。
【0105】
第2銅層74は、ガラス基板10に設けられた貫通孔のうち側壁に設けられた部分と、第2面S2上に設けられた部分及びガラス基板10に設けられた貫通孔のうち第1面S1側に設けられた部分とで、表面粗さが異なる。具体的には、第2銅層74の、貫通孔の側壁に設けられた部分における算術表面粗さRaは、150nm以上1000nm以下、より具体的には300nm以上1000nm以下の範囲内にある。また、第2銅層74の貫通孔の側壁に設けられた部分の算術表面粗さRaは、上記した範囲内で、貫通孔の第1面S1側から第2面S2側に向かって大きくなる。第2銅層74の、第2面S2上に設けられた部分及びガラス基板10に設けられた貫通孔のうち第1面S1側に設けられた部分における算術表面粗さRaは、100nm以下である。
【0106】
第2銅層74は貫通孔の側壁において複数の凸部を有する。複数の凸部は側壁全体にわたって点在している。複数の凸部における第2銅層74の膜厚は、貫通孔の側壁上の凸部以外の部分における第2銅層74の膜厚よりも大きい。第2銅層74の凸部は、第1面S1側の面には設けられない。
【0107】
腐食防止膜110は、貫通孔の内部かつ第2銅層74上に設けられる。腐食防止膜110のうち貫通孔の第1面S1側の面を覆う部分は、連続膜として設けられる。腐食防止膜110のうち貫通孔の側壁上に設けられた部分は、第2銅層74の凸部上に点在している。言い換えると、腐食防止膜110は、貫通孔の側壁において、第2銅層74の凸部以外の部分で開口している。すなわち、腐食防止膜110は、貫通孔の側壁部分において不連続部を有する。腐食防止膜110は、例えば、SiN、SiO等の無機材料を含む。
【0108】
層間絶縁膜80は、第2面S2を被覆するとともに、第2導体層70及び腐食防止膜110を埋め込んでいる。層間絶縁膜80には、第2導体層70が含むランド部の位置に、貫通孔が設けられている。一例によれば、層間絶縁膜80は、絶縁樹脂層である。層間絶縁膜80が含む絶縁性樹脂層には、前述した層間絶縁膜40が含む絶縁樹脂層について例示した材料を使用することができる。
【0109】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0110】
<2.2>配線基板の製造方法
図13は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
図14は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
【0111】
第2実施形態に係る製造方法は、以下に説明するように、第7工程の代わりに第11工程、第12工程、及び第13工程を実施すること以外は、
図1乃至
図11を参照しながら説明した製造方法と同様である。
【0112】
<2.2.1>第1乃至第6工程
まず、第1乃至第6工程を順次実施する。これにより、
図8に示す構造を得る。
【0113】
<2.2.2>第11工程
その後、
図2に示す密着層72を形成する。ここでは、密着層72は、貫通孔12の側壁及び第2面S2を被覆した連続膜として形成する。密着層72は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより、連続膜として形成する。
【0114】
次いで、密着層72上に、
図9に示すシード層73を形成する。シード層73は、例えば、スパッタリング又は無電解めっきにより、連続膜として形成する。
【0115】
次に、
図9に示すように、シード層73上に第2銅層74を形成する。
【0116】
例えば、先ず、シード層73上に、絶縁体からなり、第2銅層74に対応した位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、シード層73上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。一例によれば、昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジストであるRD1225をシード層73へラミネートし、このドライフォトレジストへのパターン露光及び現像を順次行うことにより、樹脂からなるマスクパターンを得る。
【0117】
続いて、シード層73を給電層として用いた電解銅めっきを行う。これにより、マスクパターンの開口部の位置でシード層73上に銅を堆積させて、
図9に示す第2銅層74を得る。
【0118】
この電解銅めっきは、貫通孔の側壁に設けられる第2銅層74の表面粗さを制御する必要は無く、第2面S2に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaが100nm以下となる方法の中から、生産性に優れた方法を選択すればよい。
【0119】
その後、マスクパターンを除去する。例えば、ドライフィルムレジストを溶解剥離する。
【0120】
<2.2.3>第12工程
次に、
図13に示すように、貫通孔内に腐食防止膜110を形成する。
【0121】
例えば、まず、第2面S2上に、貫通孔に対応した位置で開口したマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、第2面S2上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成する。
【0122】
続いて、
図13に示す腐食防止膜110を形成する。腐食防止膜110は、例えば、プラズマCVD又はスパッタリングによって10nm~50nm程度形成される。腐食防止膜110は、不連続部を含むように形成される。より詳細には、腐食防止膜110は、貫通孔の側壁において、成膜された部分と成膜されなかった部分とが入り交じった状態となる。
【0123】
その後、マスクパターンを除去する。
【0124】
以上のようにして、
図13に示す腐食防止膜110を得る。このように、無機材料をドライプロセスにて極めて薄く成膜することで、少なくとも1以上の開口部を有した無機膜である腐食防止膜110が形成できる。
【0125】
<2.2.4>第13工程
次いで、第2銅層74と腐食防止膜110とガラス基板10とを含んだ複合体の第2銅層74側の面全体をエッチングして、シード層73の露出部を除去する。続いて、上記複合体の第2銅層74側の面全体を、密着層72のうち、シード層73の露出部を除去することによって露出した部分が除去されるまで更にエッチングする。
【0126】
シード層73がCuを用いている場合、このエッチングにより、第2銅層74も同時にエッチングされる。このとき、第2銅層74の腐食防止膜110に覆われた部分はエッチングが抑制される。これにより、第2銅層74の腐食防止膜110に覆われた部分は、第2銅層74の腐食防止膜110に覆われていない部分に対して膜厚が大きい凸部となる。このため、貫通孔12の側壁に設けられた第2銅層74の表面が粗くなる。以上のようにして、
図14に示す第2銅層74を得る。貫通孔12の側壁に設けられる第2銅層74の算術表面粗さRaは、150nm以上1000nm以下となる。
【0127】
なお、シード層73がCuを用いていない場合は、Cuエッチング液による処理を、シード層73を除去する前後いずれかに実施すればよい。Cuエッチング液として、硫酸過水系のエッチング液を用いることで、貫通孔12の側壁上の第2銅層74のうち腐食防止膜110に覆われていない部分を選択的にエッチングできる。
【0128】
<2.2.5>第8乃至第10工程
さらに、第2導体層70及びガラス基板10を含んだ複合体に対して、第8乃至第10工程を順次実施する。これにより、
図12に示す配線基板1を得る。
【0129】
<2.3>第2実施形態に係る効果
第2実施形態によれば、腐食防止膜110は、第2銅層74上に、ドライプロセスによって、10~50nm程度の極めて薄い厚さとなるように形成されることにより、腐食防止膜110は、貫通孔12の側壁上に不連続に点在するように成膜される。そして、以降のエッチング処理により、貫通孔12の側壁上の第2銅層74のうち腐食防止膜110に覆われていない部分が、選択的にエッチングされる。これにより、第2銅層74のうち貫通孔12の側壁に設けられる部分の表面粗さが、第2銅層74のうち第2面S2に設けられる部分の表面粗さよりも大きくなる。このため、貫通孔12の側壁において、第2銅層74と層間絶縁膜80との密着性を確保することができる。また、表面粗さが大きい部分は貫通孔12の側壁に限られるため、第2面S2に設けられる部分を含めた第2銅層74全体の表面粗さを大きくする場合と比べて、高周波信号の伝送に及ぼす影響が抑制される。従って、上述した製造方法によると、高周波信号の伝送に及ぼす影響を抑制しつつ、高い信頼性を達成可能である。
【0130】
また、第2実施形態によれば、第2銅層74の表面粗さを、エッチングの有無によって大きくする。このため、算術表面粗さRaを150nm以上1000nm以下の範囲で、1000nmに近い値まで大きくすることができ、より信頼性に優れた配線基板を提供できる。
【0131】
<2.4>変形例
上述した第2実施形態に係る配線基板は、様々な変形が可能である。
【0132】
<2.4.1>腐食防止膜の形成方法
例えば、腐食防止膜110を、第12工程の代わりに以下の第14工程によって形成してもよい。
【0133】
<2.2.6>第14工程
次に、
図13に示すように、貫通孔内に腐食防止膜110を形成する。
【0134】
例えば、まず、第2面S2上及び貫通孔内に腐食防止膜110を形成する。腐食防止膜110は、例えば、プラズマCVD又はスパッタリングによって100nm~1000nm程度形成される。
【0135】
次に、第2面S2全体をドライエッチングして、第2面S2上に形成された腐食防止膜110を除去する。直進性の高いドライエッチングにおいては、貫通孔の側壁に形成された腐食防止膜110のエッチングが進みにくい。このため、第2面S2上の腐食防止膜110を十分に除去した上で、貫通孔の側壁に多数の開口部を有した無機膜である腐食防止膜110を残留させることができる。
【0136】
以上のようにして、
図13に示す腐食防止膜110を得る。
【0137】
<2.4.2>腐食防止膜の除去
例えば、腐食防止膜110は、第13工程が完了した後であれば、除去してもよい。
図15は、第2実施形態の変形例に係る配線基板の一部を拡大して示す断面図である。このように、腐食防止膜を除去した場合であっても、信頼性に優れた配線基板を提供できる。
【実施例0138】
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
【0139】
(例1)
図1及び
図2を参照しながら説明した配線基板1を製造した。この配線基板1について、配線基板1上のマイクロストリップラインで30GHzにおける伝送損失S21を測定した。また、-55℃~125℃の範囲で繰り返し熱負荷をかける温度サイクル試験を行い、貫通電極のデイジーチェーンについて断線の有無を確認した。
【0140】
(例2)
図12を参照しながら説明した配線基板1を製造した。この配線基板1についても、例1と同様の方法により、伝送損失S21の測定と、温度サイクル試験における断線の有無を確認した。
【0141】
(比較例1)
貫通孔の側壁に設けられた第2銅層74の算術表面粗さRaと、第2面S2に設けられた第2銅層74の算術表面粗さRaが、どちらも100nm以下になるようにしたこと以外は、例1において製造したのと同様の配線基板を製造した。この配線基板についても、例1と同様の方法により、伝送損失S21の測定と、温度サイクル試験における断線の有無を確認した。
【0142】
(比較例2)
貫通孔の側壁に設けられた第2銅層74の算術表面粗さRaと、第2面S2に設けられた第2銅層74の算術表面粗さRaが、どちらも150nm以上1000nm以下になるようにしたこと以外は、例1において製造したのと同様の配線基板を製造した。この配線基板についても、例1と同様の方法により、伝送損失S21の測定と、温度サイクル試験における断線の有無を確認した。
(結果)
以下の表1に結果を示す。
【0143】
【0144】
表1において、「○」はデイジーチェーンが断線しなかったことを示し、「×」はデイジーチェーンが断線したことを示す。
【0145】
表1に示すように、例1及び例2は、比較例2に比べて、伝送損失S21を抑えることができた。また、例1及び例2は、比較例1に比べて、信頼性の低下を抑えることができた。
1…配線基板、10…ガラス基板、11…改質部、12…貫通孔、20…第1導体層、21…耐弗酸金属層、22…密着層、23…シード層、24…第1銅層、40…層間絶縁膜、50…導体層、53…シード層、54…銅層、60…絶縁層、70…第2導体層、70…導体層、72…密着層、73…シード層、74…第2銅層、80…絶縁体、80…層間絶縁膜、90…導体層、93…シード層、94…銅層、100…絶縁層、110…腐食防止膜、141…支持体、142…接着層、143…支持体、144…接着層、S1…第1面、S2…第2面。
前記1以上の貫通孔の側壁に設けられた前記導体層の表面粗さは、前記第2面側から前記第1面側に向けて大きくなる、請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の配線基板。
本発明の更に他の側面によると、前記不連続部を有する腐食防止膜を形成することは、前記ガラス基板の前記第2面に、前記1以上の貫通孔の位置が開口したマスクを設けることと、前記1以上の貫通孔の内壁に、前記不連続部を有する腐食防止膜を設けることと、前記マスクを除去することと、を含む、上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。