IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2024-71118特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム
<>
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図1
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図2
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図3
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図4
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図5
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図6
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図7
  • 特開-特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071118
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/246 20170101AFI20240517BHJP
   G06T 7/292 20170101ALI20240517BHJP
【FI】
G06T7/246
G06T7/292
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181886
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智史
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA02
5L096CA05
5L096HA05
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】処理リソースを有効に活用可能な、特徴量抽出装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】特徴量抽出装置10にて特徴量抽出部12は、物体画像を受け取り、受け取った物体画像に含まれる物体に関する特徴量を抽出する。決定部11は、第1追跡IDが関連づけられたN個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況に応じて、決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴量抽出装置であって、
物体画像を受け取り、前記受け取った物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定する決定部と、
を具備する特徴量抽出装置。
【請求項2】
受け取った情報を含めた物体情報を出力する情報出力部と、
前記N個の物体画像を受け取り、前記受け取ったN個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像を前記特徴量抽出部に出力すると共に、前記N個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像を前記情報出力部に出力する振り分け部と、
を具備する、
請求項1記載の特徴量抽出装置。
【請求項3】
前記第1追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、前記P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の優先度に基づいて、前記N個の物体画像を選択し、前記選択したN個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、選別部をさらに具備する、
請求項2記載の特徴量抽出装置。
【請求項4】
前記情報出力部は、前記M個の特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されたことを示す抽出済み情報と前記(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されていないことを示す未抽出情報とを含む前記物体情報を出力する、
請求項2記載の特徴量抽出装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1追跡IDと異なる第2追跡IDが関連づけられたK(Kの値は2以上の整数)個の物体画像のうちから特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるLの値(Lの値はK以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの状況に応じて、決定し、
前記振り分け部は、前記K個の物体画像を受け取り、前記受け取ったK個の物体画像のうちの前記L個の特徴量抽出対象の物体画像を前記特徴量抽出部に出力すると共に、前記K個の物体画像のうちの前記L個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(K-L)個の非特徴量抽出対象の物体画像を前記情報出力部に出力し、
前記第1追跡IDが関連づけられた前記N個の物体画像は、第1カメラで撮影されたN個の第1画像フレームにて検出された物体画像であり、
前記第2追跡IDが関連づけられた前記K個の物体画像は、前記第1カメラと異なる第2カメラで撮影されたK個の第2画像フレームにて検出された物体画像である、
請求項2記載の特徴量抽出装置。
【請求項6】
前記第1追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、前記P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の優先度に基づいて、前記N個の物体画像を選択し、前記選択したN個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、第1選別部と、
前記第2追跡IDが関連づけられたQ(Qの値は、K以上の整数)個の物体画像から、前記Q個の物体画像にそれぞれ関連するQ個の優先度に基づいて、前記K個の物体画像を選択し、前記選択したK個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したK個の物体画像以外の(Q-K)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、第2選別部と、
を具備する、
請求項5記載の特徴量抽出装置。
【請求項7】
請求項1記載の特徴量抽出装置と、
複数の撮影画像のそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の撮影画像における位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各物体画像が、前記物体領域が検出された撮影画像と該撮影画像を示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の物体画像を出力する検出部と、
前記検出部から受け取った複数の物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する追跡部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項8】
請求項5記載の特徴量抽出装置と、
前記第1カメラで撮影された複数の第1画像フレームのそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の第1画像フレームにおける位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各第1物体画像が、前記物体領域が検出された第1画像フレームと該第1画像フレームを示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の第1物体画像を出力する第1検出部と、
前記第1検出部から受け取った複数の第1物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての第1物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の第1物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する第1追跡部と、
前記第2カメラで撮影された複数の第2画像フレームのそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の第2画像フレームにおける位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各第2物体画像が、前記物体領域が検出された第2画像フレームと該第2画像フレームを示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の第2物体画像を出力する第2検出部と、
前記第2検出部から受け取った複数の第2物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての第2物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の第2物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する第2追跡部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項9】
特徴量抽出装置によって実行される方法であって、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む方法。
【請求項10】
特徴量抽出装置に、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む、処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影された画像において対象物体(オブジェクト)に対応する領域の画像(つまり、物体画像)を検出し、対象物体を追跡する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1において情報処理装置は、撮影画像に含まれている複数の対象物体を追跡する。そして、該情報処理装置は、各対象物体について特徴量の質を予測し、該予測された特徴量の質が所定条件を満たす対象物体のみについて特徴量を抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/217368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1に開示されている技術では、情報処理装置(特徴量抽出装置)の処理リソースの使用状況が考慮されていないため、情報処理装置の処理リソースが有効に活用されない可能性があることを見出した。すなわち、特許文献1に開示されている技術では、仮に情報処理装置の処理リソースの余力が十分な状況においても、所定条件を満たす対象物体のみについて画一的に、特徴量を抽出することになる。このため、情報処理装置の処理リソースが有効に活用されない可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、処理リソースを有効に活用可能な、特徴量抽出装置、方法、及びプログラムを提供することにある。なお、この目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、特徴量抽出装置は、
物体画像を受け取り、前記受け取った物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定する決定部と、
を具備する。
【0007】
他の態様では、情報処理装置は、
上記1つの態様の特徴量抽出装置と、
複数の撮影画像のそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の撮影画像における位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各物体画像が、前記物体領域が検出された撮影画像と該撮影画像を示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の物体画像を出力する検出部と、
前記検出部から受け取った複数の物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する追跡部と、
を具備する。
【0008】
他の態様では、特徴量抽出装置によって実行される方法は、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む。
【0009】
他の態様では、プログラムは、
特徴量抽出装置に、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、処理リソースを有効に活用可能な、特徴量抽出装置、情報処理装置、方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における特徴量抽出装置の一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態における特徴量抽出装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態における情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図4】情報出力部から出力される物体情報の一例を示す図である。
図5】第2実施形態における特徴量抽出装置の選別部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態における特徴量抽出装置の決定部及び振り分け部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態における情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図8】特徴量抽出装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
<第1実施形態>
<特徴量抽出装置の構成例>
図1は、第1実施形態における特徴量抽出装置の一例を示すブロック図である。図1において特徴量抽出装置10は、決定部11と、特徴量抽出部12とを有している。
【0014】
特徴量抽出部12は、物体画像を受け取り、受け取った物体画像に含まれる物体に関する特徴量を抽出する。「物体画像」は、例えば、上記のとおり、撮影された画像において対象物体(オブジェクト)に対応する領域の画像であってもよい。「物体」は、例えば、動物(人を含む)であってもよいし、生物以外の移動体(例えば車両及び飛行体等)であってもよい。以下では、一例として「物体」が人であることを前提に説明を行う。
【0015】
また、「抽出する特徴量」は、例えば、物体の識別に利用可能な特徴量であればどのようなものでもよい。例えば、抽出する特徴量は、物体の色や形状、模様などを表す視覚特徴量であってもよい。抽出する特徴量は、色や輝度勾配特徴のヒストグラム、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)やSURF(Speeded-Up Robust Features)のような局所特徴、ガボールウェーブレットのような模様を記述する特徴量等であってもよい。抽出する特徴量は、深層学習によって求まった、物体識別用の特徴量や物体の再同定に利用する特徴量(外観特徴量)であってもよい。抽出する特徴量は、年齢などの属性特徴量であってもよい。抽出する特徴量は、関節位置に関する骨格特徴量であってもよい。
【0016】
決定部11は、同じ追跡識別子(追跡ID)(以下では、「第1追跡ID」と呼ぶことがある)が関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、決定する。これにより、第1追跡IDが関連づけられたN個の物体画像のうちで、M個の物体画像は、特徴量抽出部12にて特徴量が抽出される一方で、(N-M)個の物体画像は、特徴量抽出対象とはされずに特徴量が抽出されない。なお、ここでは、Mの値はN以下で且つ1以上の整数であり、Mの値の最小値を1としている。しかしながら、Mの値の最小値は1に限定されるものではなく、N以下で且つ0以上の任意の整数に設定されてもよい。
【0017】
特に、決定部11は、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」に応じて、Mの値を決定する。特徴量抽出装置10の「処理リソースの使用状況」は、これに限定されるものではないが、例えば、特徴量抽出装置10の「マシンリソース使用率」であってもよい。この「処理リソースの使用状況」の具体例については後述する。
【0018】
<特徴量抽出装置の動作例>
図2は、第1実施形態における特徴量抽出装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0019】
決定部11は、第1追跡IDが関連づけられたN個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況に応じて、決定する(ステップS11)。これにより、M個の物体画像が、特徴量抽出対象として特徴量抽出部12に入力されることになる。
【0020】
特徴量抽出部12は、上記のM個の物体画像を受け取り、このM個の物体画像のそれぞれについて、対象物体の特徴量を抽出する(ステップS12)。
【0021】
以上のように第1実施形態によれば、特徴量抽出装置10にて決定部11は、第1追跡IDが関連づけられたN個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況に応じて、決定する。
【0022】
この特徴量抽出装置10の構成により、特徴量抽出装置10の処理リソースに余裕が有る場合にはMの値を大きくすることができるので、特徴量抽出装置10の処理リソースを有効に活用できる。
【0023】
<第2実施形態>
第2実施形態は、より具体的な実施形態に関する。
【0024】
<情報処理装置の構成例>
図3は、第2実施形態における情報処理装置の一例を示すブロック図である。図3において情報処理装置20は、検出部21と、追跡部22と、特徴量抽出装置30とを有している。
【0025】
検出部21は、複数の撮影画像のそれぞれにおいて、対象物体(オブジェクト)に対応する領域(つまり、「物体領域」)を検出すると共に、検出領域に含まれる物体の種別が対象物体の種別であることの確からしさを示す指標(つまり、「物体種別信頼度」)を得る。複数の撮影画像のそれぞれには、画像を識別する情報(つまり、「画像識別情報」)が付されている。例えば、複数の撮影画像は、映像を構成する複数の画像フレームである。画像フレームには、例えば、画像識別情報として、画像フレームの時刻又はフレーム番号が付されている。
【0026】
そして、検出部21は、各物体領域の撮影画像における位置を特定する。例えば、検出部21は、「物体領域の撮影画像における位置」として、物体領域を囲う矩形領域(例えば、物体領域の輪郭の内側の領域)の位置を特定してもよい。この矩形領域の位置は、例えば、矩形領域の頂点の座標(例えば、左上の頂点の座標及び右下の頂点の座標)によって表されてもよい。又は、この矩形領域の位置は、例えば、1つの頂点の座標(例えば、左上の頂点の座標)と矩形領域の幅及び高さとによって表されてもよい。すなわち、検出部21は、各物体領域の「位置情報」を得る。
【0027】
そして、検出部21は、各物体領域に対して「物体ID」を付す。検出部21は、すべての物体領域に対して、それぞれ異なる物体IDを付す。
【0028】
ここで、「画像識別情報」と「物体ID」と「位置情報」とによって、検出された物体領域を特定することができる。以下では、「画像識別情報」と「物体ID」と「位置情報」と「物体種別信頼度」とをまとめて、単に「物体領域(又は、物体領域情報)」と呼ぶことがある。
【0029】
そして、検出部21は、複数の撮影画像と、検出された各物体領域についての「物体領域情報」とを、追跡部22に出力する。ここで、「物体領域情報」とこれに対応する物体領域が検出された撮影画像とによって、「物体画像」を特定することができる。以下では、「物体領域情報」とこれに対応する物体領域が検出された撮影画像とをまとめて、単に「物体画像(又は、物体画像情報)」と呼ぶことがある。
【0030】
なお、検出部21は、対象物体が人物である場合、人物の画像特徴を学習した検出器を用いて、物体領域(つまり、人物領域)を検出してもよい。例えば、検出部21は、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴に基づいて検出する検出器や、CNN(Convolutional Neural Network)を用いて画像から直接検出する検出器を用いてもよい。又は、検出部21は、人全体ではなく、人の一部の領域(例えば頭部など)を学習させた検出器を用いて人物を検出するようにしてもよい。例えば、検出部21は、頭部や足下を学習させた検出器を用い、頭部位置と足下位置が検出することにより、人物領域を特定してもよい。例えば、検出部21は、背景差分によって求まるシルエット情報(背景モデルと差分がある領域の情報)と頭部検出情報を組み合わせることにより、人物領域を求めてもよい。
【0031】
追跡部22は、検出部21から受け取った、複数の撮影画像と、検出された各物体領域についての「物体領域情報」とを用いて、「追跡処理」を実行する。追跡部22は、「追跡処理」を実行によって、同じ対象物体(例えば、人物A)についてのすべての物体領域情報に対して同じ「追跡ID」を付す。
【0032】
例えば、追跡部22は、第1の画像フレームより時間的に前の1つ又は複数の画像フレームにおいて検出され且つ追跡ID#1が付された物体領域にカルマンフィルタやパーティクルフィルタを適用して、第1の画像フレームにおいて追跡ID♯1に対応する物体領域が存在する領域(予測領域)を予測する。そして、追跡部22は、例えば、第1の画像フレームにおける複数の物体領域のうちで予測領域と重なる物体領域に追跡ID♯1を付す。又は、追跡部22は、KLT(Kanade-Lucas-Tomasi)アルゴリズムを用いて追跡処理を行ってもよい。
【0033】
そして、追跡部22は、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を特徴量抽出装置30に出力する。
【0034】
特徴量抽出装置30は、例えば、図3に示すように、決定部11と、特徴量抽出部12と、選別部31と、振り分け部32と、情報出力部33とを有している。
【0035】
選別部31は、追跡部22から、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を受け取る。以下では、或る1つの追跡IDに注目するとき、これを「注目追跡ID」と呼ぶことがある。そして、選別部31は、注目追跡IDが関連づけられた複数の物体画像から、該複数の物体画像の物体識別信頼度に基づいて、該複数の物体画像の一部又は全部を選択する。換言すれば、選別部31は、注目追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の物体種別信頼度に基づいて、N個の物体画像を選択する。例えば、選別部31は、物体種別信頼度が高い方からN個の物体画像を、P個の物体画像から選択してもよい。
なお、ここでは、選別部31が物体識別信頼度を基準に物体画像の選択を行うものとして説明を行ったが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、選別部31が物体識別信頼度以外の信頼度を基準に物体画像の選択を行ってもよい。物体識別信頼度以外の他の信頼度としては、例えば、人物の再同定に適した人体特徴量を選定するために、「視認できる人体関節点の数」が考えられる。この場合、検出部21は、上記の「物体識別信頼度」の代わりに、他の信頼度(視認できる人体関節点の数)を追跡部22に出力することになる。そして、選別部31は、視認できる人体関節点の数が多い方からN個の物体画像を、P個の物体画像から選択してもよい。
また、選別部31は、物体識別信頼度及び他の信頼度を基準として直接的に用いるのではなく、物体識別信頼度及び他の信頼度等から「優先度スコア」を算出してもよい。そして、選別部31は、優先度スコアが高い方からN個の物体画像を、P個の物体画像から選択してもよい。
以上の「物体識別信頼度」、「他の信頼度」、及び「優先度スコア」をまとめて、単に「優先度」と呼ぶことができる。
【0036】
この選択処理は、選別部31に蓄積され且つ注目追跡IDが関連づけられた、物体画像の数が所定の閾値以上になったことをトリガとして行われてもよい。そして、選別部31は、選択したN個の物体画像を決定部11及び振り分け部32に出力する一方、選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を情報出力部33に出力する。
【0037】
決定部11は、第1実施形態で説明したように、注目追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、決定する。特に、決定部11は、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」に応じて、Mの値を決定する。
【0038】
例えば、決定部11は、図3に示すように、取得部11Aと、決定処理部11Bとを有している。
【0039】
取得部11Aは、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」を取得する。例えば、取得部11Aは、直近の「単位期間」にて実際に実行された特徴量抽出処理の数を、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」として取得してもよい。「単位期間」は、例えば、5秒間の時間長を持つ期間であってもよい。
【0040】
決定処理部11Bは、例えば、「単位期間における特徴量抽出処理の最大数」から、取得部11Aにて取得された「直近の単位期間にて実際に実行された特徴量抽出処理の数」を減算することによって、「許容される特徴量抽出処理の数」を算出(決定)する。この「許容される特徴量抽出処理の数」は、特徴量抽出対象として許容される物体画像の数の最大値に相当する。例えば、単位期間が5秒間の時間長を持つ期間であるとする。このとき、決定処理部11Bは、例えば、「5秒間の時間長を持つ単位期間における特徴量抽出処理の最大数」から、取得部11Aにて取得された「直近の5秒間にて実際に実行された特徴量抽出処理の数」を減算することによって、「許容される特徴量抽出処理の数」を算出(決定)してもよい。
【0041】
そして、決定処理部11Bは、上記のNの値が「許容される特徴量抽出処理の数」以下である場合、N=MとしてMの値を決定してもよい。また、決定処理部11Bは、上記のNの値が「許容される特徴量抽出処理の数」より大きい場合、「許容される特徴量抽出処理の数」=MとしてMの値を決定してもよい。なお、「単位期間における特徴量抽出処理の最大数」は、特徴量抽出装置30のユーザによって決定部11に予め設定されていてもよい。
【0042】
振り分け部32は、選別部31から受け取った上記のN個の物体画像のうちからM個の物体画像を選択する。Mの値は、決定処理部11Bにて決定された値である。そして、振り分け部32は、M個の「特徴量抽出対象」の物体画像を特徴量抽出部12に出力すると共に、N個の物体画像のうちのM個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の「非特徴量抽出対象」の物体画像を情報出力部33に出力する。
【0043】
特徴量抽出部12は、物体画像を受け取り、受け取った物体画像に含まれる物体に関する特徴量を抽出する。そして、特徴量抽出部12は、物体画像と該物体画像から抽出された特徴量とを対応づけた状態で情報出力部33に出力する。
【0044】
情報出力部33は、選別部31、振り分け部32、及び特徴量抽出部12から受け取った情報を含めた「物体情報」を出力する。すなわち、「物体情報」は、例えば、少なくとも、M個の特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されたことを示す「抽出済み情報」と、(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されていないことを示す「未抽出情報」とを含む。
【0045】
図4は、情報出力部から出力される物体情報の一例を示す図である。図4では、物体情報がテーブル形式で示されている。図4に示されるテーブルの各エントリは、上記の1つの「物体画像」に対応する。各エントリは、項目として、「物体ID」、「出現時刻」、「カメラID」、「追跡ID」、「Left」、「Top」、「Width」、「height」、「物体種別信頼度」、「特徴量の有無」を含む。また、物体情報は、特徴量が抽出された物体画像については、その物体画像に対応する物体IDとその特徴量に関するデータとを対応づけた状態で含んでいる。特徴量に関するデータは、例えばバイナリ文字列の形式であってもよい。ここで、項目「出現時刻」の値には、上記の画像フレームの時刻又はフレーム番号が用いられてもよい。また、カメラIDは、検出部21及び追跡部22にて処理対象となった撮影画像の撮影に用いられたカメラを識別するIDである。また、項目「Left」及び「Top」の値は、上記の矩形領域の左上の頂点の座標に対応する。また、項目「Width」及び「height」は、上記の矩形領域の幅及び高さに対応する。また、項目「特徴量の有無」の値は、「False」又は「True」である。「False」は、上記の「未抽出情報」に対応し、「True」は、上記の「抽出済み情報」に対応する。なお、選別部31から情報出力部33へ出力された物体画像の「特徴量の有無」の値は、すべて「False」となる。
【0046】
<情報処理装置の動作例>
以上の構成を有する情報処理装置20の処理動作の一例について説明する。ここでは、特に、特徴量抽出装置30の選別部31、決定部11、及び振り分け部32の処理動作の一例について説明する。
【0047】
(選別部の処理動作例)
図5は、第2実施形態における特徴量抽出装置の選別部の処理動作の一例を示すフローチャートである。図5の処理フローは、各追跡IDをそれぞれ注目追跡IDとして実行される。
【0048】
選別部31は、追跡部22から、それぞれ追跡IDが付された複数の「物体画像」を受け取り、一時的に保持する。ここで、「物体画像」は、上記の通り、「物体領域情報」とこれに対応する物体領域が検出された撮影画像とを含む。また、「物体領域情報」は、「画像識別情報」と「物体ID」と「位置情報」と「物体種別信頼度」とを含む。
【0049】
選別部31は、選別部31に蓄積され且つ注目追跡IDが関連づけられた、物体画像の数が所定の閾値以上になるまで待つ(ステップS21NO)。この所定の閾値の値は、N以上の値である。選別部31に蓄積され且つ注目追跡IDが関連づけられた、物体画像の数が所定の閾値以上になると(ステップS21YES)、選別部31は、注目追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、物体種別信頼度が高い方からN個の物体画像を選択する(ステップS22)。
【0050】
選別部31は、選択したN個の物体画像を決定部11及び振り分け部32に出力する(ステップS23)。選別部31は、選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を情報出力部33に出力する(ステップS24)。図5の処理フローは繰り返し実行される。
【0051】
(決定部及び振り分け部の処理動作例)
図6は、第2実施形態における特徴量抽出装置の決定部及び振り分け部の処理動作の一例を示すフローチャートである。図6の処理フローは、各追跡IDをそれぞれ注目追跡IDとして実行される。
【0052】
決定部11及び振り分け部32のそれぞれは、注目追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像を受け取る(ステップS31)。
【0053】
決定部11は、「許容される特徴量抽出処理の数」を算出する(ステップS32)。例えば、上記のとおり、決定部11は、「単位期間における特徴量抽出処理の最大数」から、取得部11Aにて取得された「直近の単位期間にて実際に実行された特徴量抽出処理の数」を減算することによって、「許容される特徴量抽出処理の数」を算出する。
【0054】
決定部11は、算出された「許容される特徴量抽出処理の数」と上記のNの値とに基づいて、Mの値を決定する(ステップS33)。
【0055】
振り分け部32は、選別部31から受け取ったN個の物体画像のうちからM個の物体画像を選択する(ステップS34)。
【0056】
振り分け部32は、M個の「特徴量抽出対象」の物体画像を特徴量抽出部12に出力する(ステップS35)。
【0057】
振り分け部32は、N個の物体画像のうちのM個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の「非特徴量抽出対象」の物体画像を情報出力部33に出力する(ステップS36)。
【0058】
以上のように第2実施形態によれば、特徴量抽出装置30にて選別部31は、注目追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の物体種別信頼度に基づいて、N個の物体画像を選択する。そして、選別部31は、選択したN個の物体画像を決定部11及び振り分け部32に出力する。
【0059】
この特徴量抽出装置30の構成により、有効な特徴量が得られる可能性が低い、物体種別信頼度が低い物体画像を、先ず特徴量抽出対象から除外することができる。
<変形例>
なお、取得部11Aは、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」として、「特徴量抽出処理で利用するスレッドプールの現在実際に利用されているスレッド数」を取得してもよい。この場合、決定処理部11Bは、例えば、「特徴量抽出処理で利用するスレッドプールのスレッド数」から「特徴量抽出処理で利用するスレッドプールの現在実際に利用されているスレッド数」を減算することによって、「特徴量抽出処理で利用するスレッドプールの現在利用可能なスレッド数」を算出してもよい。この「特徴量抽出処理で利用するスレッドプールの現在利用可能なスレッド数」は、上記の「許容される特徴量抽出処理の数」に相当する。ここで、スレッドプールとは、キューに入れられたリクエスト(処理)をスレッドプールが用意しているスレッドにより次々に実行していく仕組みである。
【0060】
<第3実施形態>
第3実施形態は、複数のカメラのそれぞれで撮影された撮影画像が1つの情報処理装置にて処理される実施形態に関する。
【0061】
図7は、第3実施形態における情報処理装置の一例を示すブロック図である。図7において情報処理装置40は、検出部21と、追跡部22と、検出部41と、追跡部42と、特徴量抽出装置50とを有している。
【0062】
検出部41及び追跡部42は、上記の検出部21及び追跡部22と同じ機能を有している。ただし、検出部21及び追跡部22が第1カメラによって撮影された撮影画像について処理を行う一方で、検出部41及び追跡部42は、第1カメラと異なる第2カメラによって撮影された撮影画像について処理を行う。なお、ここでは説明を簡単にするために、情報処理装置40が検出部及び追跡部のセットを2つ有しているものとして説明を行っているが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、情報処理装置40が検出部及び追跡部のセットを3つ以上含んでいてもよい。この場合、検出部及び追跡部の3つ以上のセットはそれぞれ異なるカメラによって撮影された撮影画像について処理を行う。
【0063】
特徴量抽出装置30は、例えば、図3に示すように、選別部31と、選別部51と、決定部52と、振り分け部53と、特徴量抽出部54と、情報出力部55とを有している。
【0064】
選別部51は、選別部31と同じ機能を有している。選別部51は、追跡部42から、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を受け取る。この複数の物体画像は、第2カメラによって撮影された撮影画像から得られたものである。そして、選別部51は、注目追跡IDが関連づけられた複数の物体画像から、該複数の物体画像の物体識別信頼度に基づいて、該複数の物体画像の一部又は全部を選択する。換言すれば、選別部51は、注目追跡IDが関連づけられたQ(Qの値は、K以上の整数)個の物体画像から、Q個の物体画像にそれぞれ関連するQ個の物体種別信頼度に基づいて、K個の物体画像を選択する。例えば、選別部51は、物体種別信頼度が高い方からK個の物体画像を、Q個の物体画像から選択してもよい。
【0065】
この選択処理は、選別部51に蓄積され且つ注目追跡IDが関連づけられた、物体画像の数が所定の閾値以上になったことをトリガとして行われてもよい。そして、選別部51は、選択したK個の物体画像を決定部52及び振り分け部53に出力する一方、選択したK個の物体画像以外の(Q-K)個の物体画像を情報出力部55に出力する。
【0066】
決定部52は、決定部11と同様に、注目追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで、特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、決定する。特に、決定部52は、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」に応じて、Mの値を決定する。
【0067】
また、決定部52は、注目追跡IDが関連づけられたK(Kの値は2以上の整数)個の物体画像のうちから特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるLの値(Lの値はK以下で且つ1以上の整数)を、決定する。特に、決定部52は、「特徴量抽出装置10の処理リソースの使用状況」に応じて、Lの値を決定する。
【0068】
振り分け部53は、振り分け部32と同様に、選別部31から受け取った上記のN個の物体画像のうちからM個の物体画像を選択する。Mの値は、決定部52にて決定された値である。そして、振り分け部53は、M個の「特徴量抽出対象」の物体画像を特徴量抽出部54に出力すると共に、N個の物体画像のうちのM個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の「非特徴量抽出対象」の物体画像を情報出力部55に出力する。
【0069】
振り分け部53は、選別部51から受け取った上記のK個の物体画像のうちからL個の物体画像を選択する。Lの値は、決定部52にて決定された値である。そして、振り分け部53は、L個の「特徴量抽出対象」の物体画像を特徴量抽出部54に出力すると共に、K個の物体画像のうちのL個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(K-L)個の「非特徴量抽出対象」の物体画像を情報出力部55に出力する。
【0070】
特徴量抽出部54は、物体画像を受け取り、受け取った物体画像に含まれる物体に関する特徴量を抽出する。そして、特徴量抽出部54は、物体画像と該物体画像から抽出された特徴量とを対応づけた状態で情報出力部55に出力する。
【0071】
情報出力部55は、選別部31、選別部51と、振り分け部53、及び特徴量抽出部54から受け取った情報を含めた「物体情報」を出力する。すなわち、「物体情報」は、例えば、M個の特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されたことを示す「抽出済み情報」と、(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されていないことを示す「未抽出情報」とを含む。この「物体情報」は、さらに、L個の特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されたことを示す「抽出済み情報」と、(K-L)個の非特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されていないことを示す「未抽出情報」とを含む。
【0072】
以上のように第3実施形態によれば、第1カメラによって撮影された撮影画像についての処理及び第1カメラと異なる第2カメラによって撮影された撮影画像についての処理を、1つの特徴量抽出装置50が行うので、特徴量抽出装置50の処理リソースを有効に活用できる。
【0073】
<他の実施形態>
図8は、特徴量抽出装置のハードウェア構成例を示す図である。図8において特徴量抽出装置100は、プロセッサ101と、メモリ102とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0074】
第1実施形態から第3実施形態の特徴量抽出装置10,30,50は、それぞれ、図8に示したハードウェア構成を有することができる。第1実施形態から第3実施形態の特徴量抽出装置10,30,50の決定部11,52と、特徴量抽出部12,54と、選別部31,51と、振り分け部32,53と、情報出力部33,55とは、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されてもよい。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、特徴量抽出装置10,30,50に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって特徴量抽出装置10,30,50に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムを特徴量抽出装置10,30,50に供給できる。
【0075】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0076】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
特徴量抽出装置であって、
物体画像を受け取り、前記受け取った物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定する決定部と、
を具備する特徴量抽出装置。
(付記2)
受け取った情報を含めた物体情報を出力する情報出力部と、
前記N個の物体画像を受け取り、前記受け取ったN個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像を前記特徴量抽出部に出力すると共に、前記N個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像を前記情報出力部に出力する振り分け部と、
を具備する、
付記1記載の特徴量抽出装置。
(付記3)
前記第1追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、前記P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の優先度に基づいて、前記N個の物体画像を選択し、前記選択したN個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、選別部をさらに具備する、
付記2記載の特徴量抽出装置。
(付記4)
前記情報出力部は、前記M個の特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されたことを示す抽出済み情報と前記(N-M)個の非特徴量抽出対象の物体画像のそれぞれの物体画像ID及び特徴量が抽出されていないことを示す未抽出情報とを含む前記物体情報を出力する、
付記2記載の特徴量抽出装置。
(付記5)
前記決定部は、前記第1追跡IDと異なる第2追跡IDが関連づけられたK(Kの値は2以上の整数)個の物体画像のうちから特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるLの値(Lの値はK以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの状況に応じて、決定し、
前記振り分け部は、前記K個の物体画像を受け取り、前記受け取ったK個の物体画像のうちの前記L個の特徴量抽出対象の物体画像を前記特徴量抽出部に出力すると共に、前記K個の物体画像のうちの前記L個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(K-L)個の非特徴量抽出対象の物体画像を前記情報出力部に出力し、
前記第1追跡IDが関連づけられた前記N個の物体画像は、第1カメラで撮影されたN個の第1画像フレームにて検出された物体画像であり、
前記第2追跡IDが関連づけられた前記K個の物体画像は、前記第1カメラと異なる第2カメラで撮影されたK個の第2画像フレームにて検出された物体画像である、 付記2記載の特徴量抽出装置。
(付記6)
前記第1追跡IDが関連づけられたP(Pの値は、N以上の整数)個の物体画像から、前記P個の物体画像にそれぞれ関連するP個の優先度に基づいて、前記N個の物体画像を選択し、前記選択したN個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したN個の物体画像以外の(P-N)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、第1選別部と、
前記第2追跡IDが関連づけられたQ(Qの値は、K以上の整数)個の物体画像から、前記Q個の物体画像にそれぞれ関連するQ個の優先度に基づいて、前記K個の物体画像を選択し、前記選択したK個の物体画像を前記振り分け部に出力する一方、前記選択したK個の物体画像以外の(Q-K)個の物体画像を前記情報出力部に出力する、第2選別部と、
を具備する、
付記5記載の特徴量抽出装置。
(付記7)
付記1記載の特徴量抽出装置と、
複数の撮影画像のそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の撮影画像における位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各物体画像が、前記物体領域が検出された撮影画像と該撮影画像を示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の物体画像を出力する検出部と、
前記検出部から受け取った複数の物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する追跡部と、
を具備する情報処理装置。
(付記8)
付記5記載の特徴量抽出装置と、
前記第1カメラで撮影された複数の第1画像フレームのそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の第1画像フレームにおける位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各第1物体画像が、前記物体領域が検出された第1画像フレームと該第1画像フレームを示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の第1物体画像を出力する第1検出部と、
前記第1検出部から受け取った複数の第1物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての第1物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の第1物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する第1追跡部と、
前記第2カメラで撮影された複数の第2画像フレームのそれぞれにおいて、物体に対応する物体領域を検出し、各物体領域の第2画像フレームにおける位置を特定し、各物体領域に対して物体IDを付し、各第2物体画像が、前記物体領域が検出された第2画像フレームと該第2画像フレームを示す画像識別情報と前記特定された位置に関する情報と前記物体IDとを含む、複数の第2物体画像を出力する第2検出部と、
前記第2検出部から受け取った複数の第2物体画像を用いて、同じ物体についてのすべての第2物体画像に同じ追跡IDを付し、それぞれ追跡IDが付された複数の第2物体画像を前記特徴量抽出装置に出力する第2追跡部と、
を具備する情報処理装置。
(付記9)
特徴量抽出装置によって実行される方法であって、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む方法。
(付記10)
前記N個の物体画像のうちの前記M個の物体画像を特徴量抽出対象として振り分ける一方、前記N個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の物体画像を非特徴量抽出対象として振り分けることをさらに含む、
付記9記載の方法。
(付記11)
特徴量抽出装置に、
物体画像に含まれる物体に関する少なくとも1つの特徴量を抽出すること、
同じ物体に割り当てられる識別子である第1追跡IDが関連づけられたN(Nの値は2以上の整数)個の物体画像のうちで特徴量抽出対象とする物体画像の個数であるMの値(Mの値はN以下で且つ1以上の整数)を、前記特徴量抽出装置の処理リソースの使用状況に応じて、決定することと、
を含む、処理を実行させるプログラム。
(付記12)
前記処理は、前記N個の物体画像のうちの前記M個の物体画像を特徴量抽出対象として振り分ける一方、前記N個の物体画像のうちの前記M個の特徴量抽出対象の物体画像以外の(N-M)個の物体画像を非特徴量抽出対象として振り分けることをさらに含む、
付記11記載のプログラム。
【符号の説明】
【0077】
10 特徴量抽出装置
11 決定部
11A 取得部
11B 決定処理部
12 特徴量抽出部
20 情報処理装置
21 検出部
22 追跡部
30 特徴量抽出装置
31 選別部
32 振り分け部
33 情報出力部
40 情報処理装置
41 検出部
42 追跡部
50 特徴量抽出装置
51 選別部
52 決定部
53 振り分け部
54 特徴量抽出部
55 情報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8