(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007112
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】プログラム、記録媒体及び音再生方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/54 20140101AFI20240111BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240111BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108336
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】595000427
【氏名又は名称】株式会社コーエーテクモゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 雅人
(57)【要約】
【課題】プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の音発生オブジェクトによる音の演出を、簡易な処理で行う新たな仕組みを提供すること。
【解決手段】情報処理装置を、仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを制御するように構成されたオブジェクト制御部、音発生オブジェクトの数に応じた音を再生する複数の音データを記憶するように構成された音データ記憶部、プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の音発生オブジェクトの数をカウントするように構成されたカウント部、所定領域内の音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、音データ記憶部から音データを読み出して、音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく音データを順次再生するように構成された再生部、として機能させるためのプログラムが提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を、
仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、前記仮想空間内における前記プレイヤオブジェクト及び前記音発生オブジェクトを制御するように構成されたオブジェクト制御部、
前記音発生オブジェクトの数に応じた音を再生する複数の音データを記憶するように構成された音データ記憶部、
前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の前記音発生オブジェクトの数をカウントするように構成されたカウント部、
所定領域内の前記音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、前記音データ記憶部から前記音データを読み出して、前記音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく前記音データを順次再生するように構成された再生部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記再生部は、前記音データ記憶部から読み出した前記音データをクロスフェードにより順次繋ぎ合わせて再生するように構成されている
請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記音データ記憶部は、前記再生部が前記音発生オブジェクトの数に応じた音をループ形式で鳴らし続けるための複数の音データを記憶するように構成されている
請求項1又は2記載のプログラム。
【請求項4】
前記音データ記憶部は、前記音発生オブジェクトが発生させる音の多少により、前記再生部が前記音発生オブジェクトの数に応じた音を再生するように生成した複数の音データを記憶するように構成されている
請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
前記再生部は、前記音データ記憶部から読み出した前記音データをランダム位置から再生するように構成されている
請求項3記載のプログラム。
【請求項6】
情報処理装置を、
仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、前記仮想空間内における前記プレイヤオブジェクト及び前記音発生オブジェクトを制御するように構成されたオブジェクト制御部、
前記音発生オブジェクトの数に応じた音を再生する複数の音データを記憶するように構成された音データ記憶部、
前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の前記音発生オブジェクトの数をカウントするように構成されたカウント部、
所定領域内の前記音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、前記音データ記憶部から前記音データを読み出して、前記音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく前記音データを順次再生するように構成された再生部、
として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
情報処理装置が、
仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、前記仮想空間内における前記プレイヤオブジェクト及び前記音発生オブジェクトを制御するオブジェクト制御ステップと、
前記音発生オブジェクトの数に応じた音を再生する複数の音データを記憶する音データ記憶ステップと、
前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の前記音発生オブジェクトの数をカウントするカウントステップと、
所定領域内の前記音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、前記音データ記憶ステップで記憶された前記音データを読み出して、前記音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく前記音データを順次再生する再生ステップと、
を行う音再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、記録媒体及び音再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプレイヤキャラクタが複数の敵キャラクタと戦うビデオゲームにおいて、プレイヤキャラクタが多くの敵キャラクタが屯(たむろ)している場所へ入ると、その場所が多くの敵キャラクタによってざわめいていることを演出する音声(以下、ガヤ音と呼ぶ)を発生して、その雰囲気を演出する場合がある。
【0003】
ガヤ音のリアルな演出を目的としたゲームプログラムおよびゲームシステムは、従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレイヤオブジェクトと、兵士や矢などの音発生オブジェクトとが存在するゲーム空間内における音発生オブジェクトの音の演出は、CPU(Central Processing Unit)負荷がより軽い簡易な処理で実現できることが望まれる。
【0006】
本開示は、プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の音発生オブジェクトによる音の演出を、簡易な処理で行う新たな仕組みを提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、情報処理装置を、仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、前記仮想空間内における前記プレイヤオブジェクト及び前記音発生オブジェクトを制御するように構成されたオブジェクト制御部、前記音発生オブジェクトの数に応じた音を再生する複数の音データを記憶するように構成された音データ記憶部、前記プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の前記音発生オブジェクトの数をカウントするように構成されたカウント部、所定領域内の前記音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、前記音データ記憶部から前記音データを読み出して、前記音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく前記音データを順次再生するように構成された再生部、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、プレイヤオブジェクトの位置を基準とする所定領域内の音発生オブジェクトによる音の演出を、簡易な処理で行う新たな仕組みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】プレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトが生成された仮想空間について説明する為の一例の図である。
【
図5】音発生オブジェクトの数に応じた音データの一例の説明図である。
【
図6】プレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトが生成された仮想空間について説明する為の一例の図である。
【
図7】クロスフェードを利用した音データの再生の一例の説明図である。
【
図8】本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
[システム構成]
まず、一実施形態に係るシステム構成について
図1を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。一実施形態に係る情報処理システムは例えば
図1(A)又は
図1(B)に示すように構成される。
図1(A)は、情報処理装置10により構成される情報処理システムの一例である。
図1(B)は、情報処理装置10とサーバ装置14とがネットワーク18を介して通信可能に接続された構成の情報処理システムの一例である。
【0012】
図1(A)の情報処理装置10はユーザが操作するコンピュータである。
図1(A)の情報処理装置10は、ユーザからの操作をタッチパネル、コントローラ、キーボード、又はマウス等で受け付けて、操作に応じた情報処理を実行し、実行結果を表示及び音などにより出力する。
【0013】
また、
図1(B)の情報処理装置10及びサーバ装置14は、
図1(A)と同様なコンピュータである。サーバ装置14は情報処理装置10との間でデータを送受信し、情報処理装置10がユーザから受け付けた操作に応じた情報処理を実行し、実行結果を情報処理装置10に提供する。情報処理装置10はサーバ装置14から提供された実行結果を表示及び音などにより出力する。
【0014】
サーバ装置14はクラウドコンピュータにより実現してもよい。なお、
図1(B)に示したサーバ装置14の個数は、1つに限定されるものではなく、2つ以上で分散処理してもよい。サーバ装置14は情報処理装置10へのプログラム(アプリケーション)などのダウンロード処理、ユーザのログイン処理、又は各種データベースを管理する処理、などに利用してもよい。なお、
図1のシステム構成は一例である。
【0015】
図1に示した情報処理システムは、仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを制御するゲームシステム、ソーシャルネットワーキングサービスシステム、メタバースシステムなど、音発生オブジェクトによる音の演出を行う様々な情報処理システムに適用可能である。
【0016】
プレイヤオブジェクトは、プレイヤが仮想空間内で操作するプレイヤキャラクタなどの表示オブジェクトである。音発生オブジェクトは、プレイヤオブジェクト以外の表示オブジェクトであって、行動や状態などを表す音を仮想空間内で発生する。なお、音発生オブジェクトには、他のプレイヤが仮想空間内で操作するプレイヤオブジェクトが含まれていてもよい。仮想空間がゲーム空間であれば、音発生オブジェクトは、例えば声を発する敵キャラクタ、発射音を発する大砲などの武器、飛び交う音を発する弾丸や矢、他のプレイヤが操作するプレイヤキャラクタなどである。音発生オブジェクトが発生する音は、情報処理装置10が再生してプレイヤに聴かせる音となる。
【0017】
[ハードウェア構成]
本実施形態に係る情報処理装置10は、例えば
図2に示すように構成される。サーバ装置14の構成は情報処理装置10と同様であるため、説明を省略する。
図2は本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
図2の情報処理装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)100、記憶装置102、通信装置104、入力装置106、及び出力装置108を有する。CPU100はプログラムに従って情報処理装置10を制御する。記憶装置102は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージである。記憶装置102はCPU100で実行するプログラム及びデータを記憶する。
【0019】
通信装置104は、通信を制御するネットワーク回路などの通信デバイスである。入力装置106は、タッチパッド、コントローラ、マウス、キーボード、カメラ、マイクなどの入力デバイスである。また、出力装置108はディスプレイ、スピーカなどの出力デバイスである。タッチパネルは入力装置106の一例であるタッチパッドと出力装置108の一例であるディスプレイとを組み合わせることで実現される。
図2のハードウェア構成は一例である。例えば情報処理装置10は、スマートフォン、携帯ゲーム機、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット端末、家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置等であってもよい。また、情報処理装置10はグラフィックプロセッサユニット(GPU)及びデジタルサウンドプロセッサ(DSP)を有していてもよい。
【0020】
[機能構成]
以下では、
図1(A)に示した情報処理装置10が仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを制御する例を説明するが、
図1(A)に示した機能構成を
図1(B)に示した情報処理装置10とサーバ装置14とに分散して設け、情報処理装置10とサーバ装置14とが連携して処理を行うようにしてもよい。
【0021】
図3は、情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3に示す情報処理装置10は、制御部20、操作受付部22、出力制御部24、通信部26、及び記憶部28を有する構成である。
【0022】
図3の記憶部28は、プログラム40、オブジェクト情報42、及び音データ44を記憶する。プログラム40は仮想空間内にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを制御する処理を情報処理装置10に実行させる。オブジェクト情報42はプログラム40が利用する表示オブジェクトに関する情報の一例であって、例えばプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトに関する情報である。音データ44はプログラム40が音を再生する為に利用するデータの一例であって、例えば音発生オブジェクトの数に応じた音をループ形式で後述のように鳴らし続けるためのデータである。記憶部28は、記憶装置102により実現されてもよいし、通信部26により通信可能に接続された記憶装置により実現されてもよい。
【0023】
制御部20は情報処理装置10の全体の制御を行う。制御部20はCPU100がプログラム40に記載された処理を実行することにより実現される。
図3の制御部20は、仮想空間制御部50、オブジェクト制御部52、カウント部54、及び再生部56を有する構成である。
【0024】
仮想空間制御部50は、仮想のゲーム空間などの仮想空間を生成し、生成した仮想空間を制御する。仮想空間は二次元空間であってもよいし、三次元空間であってもよい。オブジェクト制御部52は、仮想空間にプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを生成して、仮想空間内におけるプレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトを制御する。
【0025】
カウント部54は、プレイヤオブジェクトの位置を基準とする二次元又は三次元の所定領域を設定し、その所定領域内に存在する音発生オブジェクトの数をカウントする。例えばカウント部54は、プレイヤオブジェクトの位置から所定距離以内に存在する音発生オブジェクトの数をカウントする。例えば音発生オブジェクトが敵キャラクタであればカウント部54は所定領域内にいる敵キャラクタの数をカウントする。また、例えば音発生オブジェクトが矢であればカウント部54は所定領域内を飛び交う矢の数をカウントする。
【0026】
再生部56は、所定領域内に存在する音発生オブジェクトの数に応じた音の再生を目標とし、記憶部28から音データ44を読み出して、目標とする音発生オブジェクトの数に応じた音に近付いていく音データ44を順次再生する。このように、再生部56は再生する音が所定領域内に存在する音発生オブジェクトの数の変化に連動するように、音データ44を再生する。
【0027】
音データ44は、音発生オブジェクトの数に応じた音をループ形式で鳴らし続けるためのループ(Loop)に適したデータ(ループ素材)であって、繋ぎ目無く繰り返し鳴らすことができるデータである。また、音データ44は音発生オブジェクトが発生させる声や飛び交う音などの多少により、音発生オブジェクトの数に応じた音を再生部56に再生させるように生成されている。音発生オブジェクトの数に応じた音データ44は、音発生オブジェクトの数を区分する所定の粒度で事前に作成され、記憶部28に記憶される。
【0028】
再生部56は記憶部28から読み出した音データ44をクロスフェードにより順次繋ぎ合わせて再生する。クロスフェードとは、複数の音データ44を繋ぎ合わせて再生する技法であって、前の音データ44をフェードアウトしながら、次の音データをフェードインすることで、繋ぎ目を区切らずに滑らかに音データ44の再生を移行する技法である。
【0029】
再生部56は、同時発音数が2音となり、事前に作成されて記憶部28に記憶されている音データ44を鳴らして止めるというCPU負荷が軽い簡易な仕組みにより、所定領域内に存在する音発生オブジェクトの数の変化に連動する音の再生を実現できる。
【0030】
なお、再生部56は同時発音数を3音以上としてもよい。例えば同時発音数を3音とする場合、再生部56は2つ前の音データ44をフェードアウトしながら、次の音データをフェードインすることにより、繋ぎ目を区切らずに滑らかに音データ44の再生を移行できる。
【0031】
操作受付部22は入力装置106に対するユーザの各種操作を受け付ける。出力制御部24は制御部20の制御に従って各種画面を出力装置108に出力する。また、出力制御部24は制御部20の制御に従って各種音を出力装置108から出力する。
【0032】
操作受付部22はCPU100がプログラム40に従って入力装置106を制御することにより実現される。また、出力制御部24は、CPU100がプログラム40に従って出力装置108を制御することにより実現される。入力装置106に対するユーザの各種操作とは、CPU100に処理を実行させるため、ユーザが操作受付部22を操る操作をいう。出力制御部24は、制御部20の制御に従い、各種画面及び音の出力を行う。
【0033】
通信部26は、ネットワーク18等を介して通信する。通信部26はCPU100がプログラム40を実行し、通信装置104を制御することにより実現される。
【0034】
[処理]
以下、本実施形態に係る情報処理システムの処理について説明する。
【0035】
図4は、プレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトが生成された仮想空間について説明する為の一例の図である。
図4ではプレイヤオブジェクト1000の位置を「●」で表している。音発生オブジェクト1002の位置を「□」で表している。また、所定領域1004が点線で表されている。
図4では、プレイヤオブジェクト1000の位置を基準とする所定領域1004が設定されている。
【0036】
情報処理装置10のカウント部54は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数をカウントする。例えば
図4ではカウント部54は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数「4」をカウントする。カウント部54による所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数のカウントは、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が変化する速度に応じた間隔で行えばよい。
【0037】
記憶部28は、例えば
図5に示すような音発生オブジェクト1002の数と、音発生オブジェクト1002の数に応じた音データ44と、を対応付けて記憶している。
図5は音発生オブジェクトの数に応じた音データの一例の説明図である。
【0038】
図5において、音発生オブジェクト1002の数は「1~5」「6~15」「16~30」「31~60」及び「61以上」に区分されている。音発生オブジェクト1002の数「1~5」の区分には「音データa」が対応付けられている。例えば「音データa」は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「1~5」の場合にプレイヤに聴かせる音の音データである。
【0039】
また、音発生オブジェクト1002の数「6~15」の区分には「音データb」が対応付けられている。例えば「音データb」は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「6~15」の場合にプレイヤに聴かせる音の音データである。
【0040】
また、音発生オブジェクト1002の数「16~30」の区分には「音データc」が対応付けられている。例えば「音データc」は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「16~30」の場合にプレイヤに聴かせる音の音データである。
【0041】
また、音発生オブジェクト1002の数「31~60」の区分には「音データd」が対応付けられている。例えば「音データd」は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「31~60」の場合にプレイヤに聴かせる音の音データである。
【0042】
さらに、音発生オブジェクト1002の数「61以上」の区分には「音データe」が対応付けられている。例えば「音データe」は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「61以上」の場合にプレイヤに聴かせる音の音データである。
【0043】
再生部56は、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数に応じた音データ44を記憶部28から読み出して再生する。例えば
図4及び
図5の場合、再生部56はカウント部54がカウントした所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数「4」に応じた「音データa」を記憶部28から読み出して再生する。
【0044】
プレイヤオブジェクト1000及び音発生オブジェクト1002が生成された
図4の仮想空間は、時間経過により例えば
図6のように変化する。
図6は、プレイヤオブジェクト及び音発生オブジェクトが生成された仮想空間について説明する為の一例の図である。
【0045】
図6は、
図4の右下に存在していた音発生オブジェクト1002の集まりが所定領域1004内に移動してきた様子を表している。情報処理装置10のカウント部54は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数をカウントする。例えば
図6の例では、カウント部54が、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数「22」をカウントする。
【0046】
再生部56は、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が変化した場合に、変化後の数に応じた音データ44の再生を目標とし、目標とする音データ44に近付いていくように音データ44を順次再生する。
【0047】
例えば
図4及び
図6の例では、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が「4」から「22」に変化している。再生部56は変化後の数「22」に応じた「音データc」の再生を目標とし、再生中の「音データa」から目標とする「音データc」に近付いていくように、「音データb」及び「音データc」を記憶部28から読み出して順次再生する。
【0048】
例えば再生部56は、記憶部28から読み出した音データ44を
図7に示すようなクロスフェードにより順次繋ぎ合わせて再生する。
図7はクロスフェードを利用した音データの再生の一例の説明図である。
【0049】
図7に示すように、再生部56は前の音データ44をフェードアウトしながら、次の音データをフェードインすることで、目標とする音データ44に近付いていくように、複数の音データ44を次々に経由して、目標とする音データ44の再生に移行する。
【0050】
例えば
図4及び
図6の例では再生部56が前の音データ44である「音データa」の再生をフェードアウトしながら、次の音データ44である「音データb」の再生をフェードインさせる。なお、
図7ではフェードアウト時間及びフェードイン時間が異なる例を示したが、同一であってもよい。また、
図7では次の音データ44である「音データb」の再生のフェードインが、前の音データ44である「音データa」の再生のフェードアウトよりも早く終わっている。
【0051】
「音データa」の再生のフェードアウトが完了すると、再生部56は「音データb」を前の音データとして再生をフェードアウトしながら、次の音データ44である「音データc」の再生をフェードインさせる。「音データb」の再生のフェードアウトが完了したあと、再生部56は目標とする音データ44である「音データc」の再生を継続する。
【0052】
図7の例では、フェードアウト時間を調整することで、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数に応じた音の変化スピードを調整できる。なお、再生部56は音データ44の再生を、音データ44のランダム位置から開始することで、再生される音が単調になることを抑制してもよい。また、本実施形態では所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が増加する例を示したが、所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数が減少する処理にも適用が可能である。
【0053】
情報処理装置10は、例えば
図8に示すような手順で、本実施形態に係る音再生方法の処理を実行する。
図8は、本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【0054】
ステップS100において、情報処理装置10のカウント部54は所定領域1004内の音発生オブジェクト1002の数をカウントする。ステップS102において、再生部56は所定領域1004内に存在する音発生オブジェクト1002の数に応じた音データ44を目標の音データ44として設定する。
【0055】
ステップS104において、再生部56は目標の音データ44を再生中であるか否かを判定する。目標の音データ44を再生中であれば、再生部56は再生中の音データ44の再生を継続し、ステップS100の処理に戻る。
【0056】
目標の音データ44を再生中でなければ、ステップS106の処理に進み、再生部56は再生中の音データ44から目標の音データ44に順次近付いていくように、記憶部28から音データ44を読み出す。例えば
図4から
図6への変化の例では再生中の「音データa」から目標とする「音データc」に近付いていくように記憶部28から「音データb」及び「音データc」を読み出す。
【0057】
ステップS108に進み、再生部56はステップS106で記憶部28から読み出した音データ44をクロスフェードにより順次繋ぎ合わせて再生する。ステップS110の処理に進み、再生部56は音を再生する場面が終了したか否かを判定し、音を再生する場面が終了していなければ、ステップS100の処理に戻る。したがって、情報処理装置10は音を再生する場面が終了するまでステップS100~S110の処理を繰り返す。音を再生する場面が終了すると、情報処理装置10は
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0058】
図8に示したように、情報処理装置10は所定領域1004内の音発生オブジェクト1002の数に応じたループ形式の音データ44を、音発生オブジェクト1002の数を区分する所定の粒度で事前に作成しておく。情報処理装置10は、所定領域1004内の音発生オブジェクト1002の数に応じたループ形式の音データ44が目標として設定されることにより、目標とする音データ44に近付いていくように、記憶部28から音データ44を読み出して順次再生できる。
【0059】
例えば音発生オブジェクト1002が兵士であり、音発生オブジェクト1002が発する音が兵士の喊声である場合は、プレイヤオブジェクト1000の周囲に兵士が増えれば増えるほど、音量ではなく音の内容で兵士の人数が増えていくことを表現できる。プレイヤオブジェクト1000の目の前に兵士の大集団が急に出現した場合であっても、兵士の喊声が時間経過により大人数の喊声に近付いていくように再生されるため、違和感が無く大人数の喊声になってく表現ができる。本実施形態によれば、例えば大人数の兵士が登場するゲームにおいて、兵士の喊声の表現を向上できる。
【0060】
また、例えば音発生オブジェクト1002が矢であり、音発生オブジェクト1002が発する音が矢の飛び交う音である場合は、プレイヤオブジェクト1000に向かって矢の大群が斉射され、矢の大群がプレイヤオブジェクト1000に迫ってくる場面で、見た目と連動するように、飛び交う矢の量が急速に増えてから急速に減ることを表現できる。例えば矢の大群がプレイヤオブジェクト1000に迫ってきて通り過ぎたり、迫ってきた矢が着弾して動かなくなったりする場面で、見た目と連動するように、飛び交う矢の量が急速に増えてから急速に減ることを表現できる。
【0061】
また、例えばプレイヤオブジェクト1000が弓兵に囲まれて近接射撃を連続的に受けると、放たれた矢の本数に応じた音がループで続くことになり、周囲から矢を浴びせ続けられている自然な表現ができる。また、遠方からの斉射との表現の境界がなく、共通の仕組みでシームレスに近接射撃を連続的に受ける音を表現できる。本実施形態によれば、例えば大人数の兵士から矢の雨を浴びせられるゲームにおいて、飛び交う矢の音の表現を向上できる。さらに、音発生オブジェクト1002が他のプレイヤのプレイヤオブジェクトであり、音発生オブジェクト1002が発する音が他のプレイヤのプレイヤオブジェクトによる話し声である場合は、プレイヤオブジェクト1000の周囲に他のプレイヤのプレイヤオブジェクトが増えれば増えるほど、音量ではなく音の内容で他のプレイヤのプレイヤオブジェクトの人数が増えていくことを表現できる。
【0062】
開示した一実施形態の情報処理装置10、サーバ装置14は例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。また、上記した複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理装置
14 サーバ装置
18 ネットワーク
20 制御部
44 音データ
50 仮想空間制御部
52 オブジェクト制御部
54 カウント部
56 再生部
1000 プレイヤオブジェクト
1002 音発生オブジェクト
1004 所定領域