(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071122
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】画像データの管理方法、プログラム及びX線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240517BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240517BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181894
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 智之
(72)【発明者】
【氏名】笠原 啓雅
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA13
2G001HA14
2G001HA19
2G001JA08
2G001LA02
2G001LA11
2G001PA12
(57)【要約】
【課題】X線断層画像を用いて行う部品実装基板の検査において、検査に用いた画像を長期的に保存しつつ、記憶容量の削減を実現する技術を提供する。
【解決手段】部品実装基板の検査に用いられるX線検査装置であって、前記部品実装基板に係る複数の断層画像を取得する画像取得手段と、前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する圧縮方法判定手段と、前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する画像圧縮手段と、を有するX線検査装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装基板のX線検査に係る画像データの管理方法であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像データを取得する画像取得ステップと、
取得した複数の前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する判定ステップと、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する圧縮ステップと、を有する
画像データの管理方法。
【請求項2】
前記第1圧縮方法は可逆圧縮であり、前記第2圧縮方法は非可逆圧縮である、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項3】
取得した複数の前記断層画像データに対して、所定の画像処理を施す画像処理ステップをさらに有しており、
前記判定ステップでは、前記画像処理を施された処理画像データから得られる特徴量を用いて前記所定の判定基準を満たすか否かを判定する、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項4】
前記所定の判定基準は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データであるか否かであり、
前記判定ステップでは、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データである場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含まない断層画像データである場合に前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項5】
前記部品実装基板の前記X線検査の検査結果を取得する検査結果取得ステップをさらに有しており、
前記所定の判定基準は、前記検査結果が不良であるか否かであり、
前記判定ステップでは、前記検査結果が不良である場合には該不良に係る前記断層画像データを前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記検査結果が良品である場合には前記断層画像データを前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項6】
前記所定の判定基準は、前記断層画像データの取得時から所定期間が経過したか否かであり、
前記判定ステップでは、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過していない場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過している場合には前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項7】
前記圧縮ステップでは、
前記第1圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データ、及び前記第2圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データを、それぞれの圧縮方法ごとに2次元画像データとして結合したうえで各圧縮方法により圧縮を行う、
請求項1に記載の画像データの管理方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像データの管理方法の各ステップの処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
部品実装基板の検査に用いられるX線検査装置であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像を取得する画像取得手段と、
前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する圧縮方法判定手段と、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する画像圧縮手段と、を有する
X線検査装置。
【請求項10】
前記第1圧縮方法は可逆圧縮であり、前記第2圧縮方法は非可逆圧縮である、
請求項9に記載のX線検査装置。
【請求項11】
取得した前記断層画像データに対して、所定の画像処理を施す画像処理手段をさらに有しており、
前記圧縮方法判定手段は、前記画像処理が施された処理画像データから得られる特徴量を用いて前記所定の判定基準を満たすか否かを判定する、
請求項9に記載のX線検査装置。
【請求項12】
前記所定の判定基準は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データであるか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データである場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含まない断層画像データである場合に前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項9に記載のX線検査装置。
【請求項13】
前記部品実装基板の前記X線検査の検査結果を取得する検査結果取得手段をさらに有しており、
前記所定の判定基準は、前記検査結果が不良であるか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記検査結果が不良である場合に前記不良に係る前記断層画像データを前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記検査結果が良品である場合には前記断層画像データを前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項9に記載のX線検査装置。
【請求項14】
前記所定の判定基準は、前記断層画像データの取得時から所定期間が経過したか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記断層画像データが取得された時から所定期間を経過していない場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過している場合には前記第2圧縮方法で圧縮すると判定する、
請求項9に記載のX線検査装置。
【請求項15】
前記画像圧縮手段は、
前記第1圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データ、及び前記第2圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データを、それぞれの圧縮方法ごとに2次元画像データとして結合したうえで各圧縮方法による圧縮を行う、
請求項9に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置、画像データの管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体に照明光を照射して撮影された画像を用いて物体の三次元形状を測定する技術が知られており、当該測定された形状と予め設定されている判定基準とを照合することなどにより、当該物体における欠陥の有無や種類を検査することが行われている。
【0003】
また、近年では、各種製品の小型化、精密化が進んでおり、例えば部品実装基板などでも部品実装密度が増大し、撮影装置の視野の影になる部位が増えることにより、外観検査では正確には検査できない部品が増加している。そして、これに対して、X線CT(Computed Tomography)検査により外観では検査できない部分の検査を実施する技術が公知となっている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術のように、X線CT検査により三次元形状を取得して検査を行う場合、多数の画像データを取得し、これに基づく再構成処理を行って三次元のCT画像を取得する。当該CT画像は三次元データであるため、2次元画像データと比較して、1回あたりの検査で出力されるファイルの容量が大きい。一方、基板の検査を実施した後に、トレーサビリティの観点などから、検査に用いた画像及び検査結果を長期保存するニーズが存在する。その際、上記のように容量の大きいファイルを長期保存する場合には、膨大な記録容量が必要となってしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑み、X線断層画像を用いて行う部品実装基板の検査において、検査に用いた画像を長期的に保存しつつ、記憶容量の削減を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。即ち、
部品実装基板のX線検査に係る画像データの管理方法であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像データを取得する画像取得ステップと、
取得した複数の前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する判定ステップと、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する圧縮ステップと、を有する
画像データの管理方法である。
【0008】
ここで、第2圧縮方法は特定の圧縮方法を示すものではなく、圧縮率が異なる場合も含めて第1圧縮方法以外の圧縮方法全般を指す意味である。このような画像データの管理用法によれば、X線検査装置において取得した大量の断層画像データを、所定の判断基準に基づいて圧縮方法を変えたうえで圧縮して保存することができる。これにより、ユーザーにとって相対的に重要度の高いデータは、圧縮率を低くしてデータの再利用の途を残すと
ともに、重要度の低いデータは高い圧縮率で保存することで記憶容量の節約を行うことが可能になる。なお、前記第1圧縮方法は可逆圧縮であり、第2圧縮方法は非可逆圧縮であってもよい。
【0009】
また、前記画像データの管理方法は、取得した複数の前記断層画像データに対して、所定の画像処理を施す画像処理ステップをさらに有しており、
前記判定ステップでは、前記画像処理を施された処理画像データから得られる特徴量を用いて前記所定の判定基準を満たすか否かを判定するものであってもよい。
【0010】
ここで、「所定の画像処理」としては、例えば画像の二値化や、画像中における特定の要素に対するアノテーション、輝度勾配情報を用いたエッジ検出、プロファイル画像の生成などを例示することができる。また、「特徴量」は、例えば、所定値以上の輝度の画素数、輝度のバラつき、輝度の変化度(ある部分の画素とその周囲の画素との差分など)などを例示することができる。このような構成であれば、処理画像から検査のための特徴量と同一の特徴量を抽出して、検査基準と対応した判定基準を用いるなどして、自動的に検査内容と連動して断層画像データの重要度に応じた圧縮方法の決定が可能になる。
【0011】
また、前記所定の判定基準は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データであるか否かであり、
前記判定ステップでは、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データである場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含まない断層画像データである場合に前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。
【0012】
このような構成であれば、はんだ接合部などの部品実装基板の良否判定において重要な金属接合部を対象とした断層画像データを、再利用可能な低い圧縮率で保存することができる。なお、金属部分を含むか否かは、断層画像から得られる所定の画像特徴量に基づいて判定するようにしておいてもよい。
【0013】
前記画像データの管理方法は、前記部品実装基板の前記X線検査の検査結果を取得する検査結果取得ステップをさらに有しており、
前記所定の判定基準は、前記検査結果が不良であるか否かであり、
前記判定ステップでは、前記検査結果が不良である場合には、該不良に係る前記断層画像データを前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記検査結果が良品である場合には前記断層画像データを前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。
【0014】
このような構成であれば、複数の断層画像データのうち大多数を占めると考えられる良品画像のデータを高圧縮率で圧縮し、重要度の高い不良品に係る断層画像データについては、再利用可能な低い圧縮率で圧縮することができる。
【0015】
ここで、不良に係る前記画像データとは、不良が検出された基板についての所定単位の複数の断層画像を対象とするのものであってもよいし、不良検出の根拠となった断層画像のみを対象とするものであってもよい。
【0016】
また、前記所定の判定基準は、前記断層画像データの取得時から所定期間が経過したか否かであり、
前記判定ステップでは、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過していない場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過している場合には前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。このような構成であれば、取得時から間もなく再利用する可能性の比較的高いデータ
を第1圧縮方法により圧縮し、取得時から時間が経過して再利用する可能性が相対的に低くなったデータについては高い圧縮率で圧縮して記憶容量の削減を行うことができる。
【0017】
また、前記圧縮ステップでは、
前記第1圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データ、及び前記第2圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データを、それぞれの圧縮方法ごとに2次元画像データとして結合したうえで各圧縮方法により圧縮を行うようにしてもよい。
【0018】
このような構成によれば、複数の断層画像データを個別に扱うことに比べて、断層画像データの出力・圧縮などの処理回数を減らすことができ、データ処理に係る速度を高速化することが可能になる。
【0019】
また、本発明は、上記の各方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0020】
また、本発明は以下のようなX線検査装置としても捉えることができる。即ち、
部品実装基板の検査に用いられるX線検査装置であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像を取得する画像取得手段と、
前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する圧縮方法判定手段と、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する画像圧縮手段と、を有する
X線検査装置である。
【0021】
また、前記X線検査装置は、取得した前記断層画像データに対して、所定の画像処理を施す画像処理手段をさらに有しており、
前記圧縮方法判定手段は、前記画像処理が施された処理画像データから得られる特徴量を用いて前記所定の判定基準を満たすか否かを判定するものであってもよい。
【0022】
また、前記所定の判定基準は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データであるか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含む断層画像データである場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データが前記部品実装基板における金属部分を含まない断層画像データである場合に前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。
【0023】
また、前記X線検査装置は、前記部品実装基板の前記X線検査の検査結果を取得する検査結果取得手段をさらに有しており、
前記所定の判定基準は、前記検査結果が不良であるか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記検査結果が不良である場合に前記不良に係る前記画像データを前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記検査結果が良品である場合には前記断層画像データを前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。
【0024】
また、前記所定の判定基準は、前記断層画像データの取得時から所定期間が経過したか否かであり、
前記圧縮方法判定手段は、前記断層画像データが取得された時から所定期間を経過していない場合に前記第1圧縮方法で圧縮すると判定し、前記断層画像データがその取得時から所定期間を経過している場合には前記第2圧縮方法で圧縮すると判定するものであってもよい。
【0025】
また、前記画像圧縮手段は、
前記第1圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データ、及び前記第2圧縮方法で圧縮する複数の前記断層画像データを、それぞれの圧縮方法ごとに2次元画像データとして結合したうえで各圧縮方法による圧縮を行うものであってもよい。
【0026】
なお、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、X線断層画像を用いて行う部品実装基板の検査において、検査に用いた画像を長期的に保存しつつ、記憶容量の削減を実現する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本発明の適用例に係るX線検査装置の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は本発明の実施形態1に係るX線検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係るX線検査システムにおける保存データ生成に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係る圧縮方法判定の一例に係る説明図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2に係るX線検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態2に係る画像データの取得から保存に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2において処理される画像データの変遷のイメージを示す第1の説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態2に係る画像データの復元に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2において処理される画像データの変遷のイメージを示す第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<適用例>
(適用例の構成)
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。本発明は、例えば、検査対象物の部品実装基板をX線撮影し、当該撮影画像に基づいて当該検査対象物を検査するための、X線検査装置として適用することができる。
図1は本適用例に係るX線検査装置9の概略構成を示す模式図である。X線検査装置9は概略、端末91と、X線源92、X線カメラ93とを有する撮影部94とを含んで構成される。
【0030】
端末91は、例えば汎用のコンピュータなどによって構成されることができ、駆動制御部911、画像取得部912、圧縮方法判定部913、画像圧縮部914、記憶部915の各機能部を備えている。また、図示しないが、端末91はこの他にも、X線カメラ93によって撮影された複数の断層画像から対象の三次元形状を再構成する三次元データ作成部、X線カメラ93から取得した画像データ及び所定の検査基準に基づいて基板Oの良否判定を行う検査部、各種入力手段、出力手段などを備えている。
【0031】
X線源92は図示しない搬送ローラによって搬送される基板OにX線を照射し、X線カメラ93は基板Oを透過したX線を撮影する。X線源92はXステージ921およびYス
テージ922によって移動可能であり、X線カメラ93はXステージ931およびYステージ932によって移動可能である。X線源92およびX線カメラ93はこれらのステージによってそれぞれ円軌道C1、C2を移動し、軌道上の複数の位置で撮影が行われる。
【0032】
駆動制御部911は、X線検査装置9を構成する各部の駆動を制御する。これにより、X線検査装置9は、基板O、X線源92、X線カメラ93の相対位置を変化させて、複数の撮影位置から基板Oを撮影する。画像取得部912は、X線カメラ93によって撮影された基板Oの複数のX線画像データを取得する。
【0033】
また、画像圧縮部914は、画像取得部912が取得した複数の原画像データ又はこれらに基づいて再構成した三次元データから抽出した検査断層画像データを、それぞれ後述の圧縮方法判定部913が行う判定結果に応じた圧縮方法により圧縮する処理を行う。なお、圧縮された各画像は、記憶部915に圧縮方法を識別する情報とともに保存される。
【0034】
記憶部915には、画像圧縮部914において圧縮された圧縮画像データが保存される領域が設けられる。また、この他にも、検査装置を制御するためのプログラムや撮影条件、基板Oに係る情報(例えば、部品の種類、形状、寸法など)、閾値などの検査基準に係る情報、などが記憶されていてもよい。
【0035】
圧縮方法判定部913は、画像取得部912が取得した複数の断層画像データの各々を、どのような圧縮方法により圧縮するのかについて所定の判定基準に基づいて判定する。例えば、保存に係る重要度の高い画像データには圧縮率が比較的低い第1圧縮方法を用い、相対的に重要度の低いデータにはより高い圧縮率で圧縮を行う第2圧縮方法を用いるように判定することができる。この場合には第1圧縮方法は可逆圧縮方式、第2圧縮方法は非可逆圧縮方式であっても良い。
【0036】
上記のようなX線検査装置9が行う処理の流れの一例を説明すると、まず、駆動制御部911の制御により基板O、X線源92、X線カメラ93の相対位置を変化させて複数の異なる位置からX線撮影し、画像取得部912が複数のX線画像データを取得する。次に、取得した断層画像データに基づいて基板Oの三次元形状の復元が行われ(三次元データの生成)、所定の検査内容(検査対象箇所や検査基準)に応じて検査が実施され、基板Oの良否判定が行われる。
【0037】
そして、圧縮方法判定部913が、取得された各断層画像データを第1圧縮方法と第2圧縮方法のいずれで圧縮するかを判定し、該判定結果に基づいて画像圧縮部914が各断層画像データを圧縮し、圧縮後のデータを記憶部915に保存する。
【0038】
本適用例に係るこのようなX線検査装置9によれば、X線検査装置において取得した大量の断層画像データを、所定の判断基準に基づいて圧縮方法を変えたうえで圧縮して保存することができる。これにより、相対的に重要度の高いデータは、圧縮率を低くしてデータの再利用の途を残すとともに、重要度の低いデータは高い圧縮率で保存することで記憶容量の節約を行うことが可能になる。
【0039】
<実施形態1>
上記適用例では、X線検査装置9を例として説明したが、続けて
図2~
図5に基づいて、本発明を実施するためのさらに他の実施形態について説明する。
【0040】
(システム構成)
図2は、本実施形態に係る、X線検査システム1の機能構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係るX線検査システム1は、X線撮影装置11と検査端末12と、デー
タサーバ13とを含んで構成されており、部品実装基板の検査に用いられる検査システムである。X線撮影装置11と検査端末12とデータサーバ13とは図示しない通信手段により相互に通信可能に接続されている。
【0041】
X線撮影装置11は、X線源111、X線カメラ112、及び、基板を保持するステージ113、及びこれらを制御する制御部(図示せず)を備えており、これらの各構成が相対的に移動することによって、基板の異なる位置(及び向き)の断層画像を撮影できるようになっている。X線撮影装置11については所望の公知技術を採用することができるため、X線源111、X線カメラ112及びステージ113などの詳細な説明は省略する。
【0042】
検査端末12は、図示しないが、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、記憶手段、キーボードやマウス等の入力手段、液晶ディスプレイ等の出力手段、を備える汎用コンピュータとすることができる。なお、検査端末12は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0043】
なお、上記記憶手段は、例えば、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部と、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部とを含んでいる。記憶手段の補助記憶部には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム等が格納され、該プログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて検査端末12が制御されることによって、後述するような、所定の目的を果たす機能部を実現することができる。なお、一部又は全部の機能部はASIC(Aapplication Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable
Gate Array)のようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0044】
データサーバ13は、X線撮影装置11における撮影条件、検査対象基板に係る情報(例えば、部品の種類、形状、寸法など)、検査項目や閾値などの検査内容に係る情報、などが記憶されるとともに、後述するように検査端末12において生成される保存用の圧縮画像データ記憶する領域が設けられている。なお、検査端末12を制御するためのプログラムがデータサーバ13に格納されていてもよい。
【0045】
(検査端末の機能部について)
次に、検査端末12が備える各機能部について説明する。検査端末12は、画像取得部121、三次元データ生成部122、画像処理部123、検査部124、検査結果取得部125、圧縮方法判定部126、画像圧縮部127、保存データ生成部128、の各機能部を有している。
【0046】
画像取得部121は、X線撮影装置11において撮影された断層画像データを取得する。X線撮影装置11から直接画像データを取得してもよいし、X線撮影装置11から一旦データサーバ13に送信され、データサーバ13において保存されている画像データを取得するのであってもよい。
【0047】
三次元データ生成部122は、取得した複数のX線断層画像データに基づいて、検査対象箇所の三次元形状のデータ(以下、単に三次元データともいう。)を作成する。当該データの作成(構成)方法については、公知技術を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
画像処理部123は、取得された断層画像に対して、検査のための特徴量を抽出するための所定の画像処理を行う。ここでいう画像処理として、例えば画像の二値化や、画像中
における特定の要素に対するアノテーション、輝度勾配情報を用いたエッジ検出、プロファイル画像の生成などを例示することができる。
【0049】
検査部124は、検査断層画像が検査箇所・項目に応じた所定の検査基準を満たすか否かによって、検査対象基板の良否判定を実施する。具体的には、例えば、各断層におけるはんだ領域の画像特徴量が、所定の閾値(検査基準)を逸脱するか否かによって、良否判定を行うようにしてもよい。或いは、三次元データから得られる検査対象箇所の形状に係る指標(例えば高さデータ)を所定の検査基準と比較することで検査対象の良否を判定する検査を行うようにしてもよい。なお、検査結果はデータサーバ13に送信され、保存される。検査結果取得部125は、データサーバ13に格納されている各基板に対する少なくとも良否判定結果を含む検査結果データを取得する。即ち、データサーバ13に格納された検査結果データは、検査結果取得部125により任意のタイミングで読み出すことができる。
【0050】
圧縮方法判定部126は、画像取得部121が取得した複数の断層画像データの各々を、可逆性のある第1圧縮方法(例えばPNG形式)と、非可逆な第2圧縮方法(例えばJPEG形式)の、いずれの圧縮方法で圧縮するのかを、所定の判定基準に基づいて判定する。例えば、本実施形態においては検査結果が「不良」であった基板の断層画像データについては第1圧縮方法で圧縮すると判定し、検査結果が「良」であった基板の断層画像データについては第2圧縮方法で圧縮すると判定する。なお、検査結果は検査部124から直接取得するのであってもよいし、一旦データサーバ13に格納され、検査結果取得部125によって読み出された検査結果を用いてもよい。即ち、本実施形態における所定の判定基準は、検査結果が不良であるか否かである。ただし、所定の判定基準はこれに限られず、ユーザーにおいて任意に設定することが可能である。
【0051】
画像圧縮部127は、圧縮方法判定部126の判定結果に従って、各断層画像データを第1圧縮方法、又は第2圧縮方法で圧縮する。また、保存データ生成部128は、画像圧縮部127において圧縮された画像データを、いずれの方法で圧縮されたか、画像取得時刻、検査実施時刻、などの情報とセットにした保存データを作成する。作成された保存データは、データサーバ13に送信され、所定の記憶領域に格納される。この際、画像取得日毎にフォルダ分けしたうえで保存するようにしてもよい。
【0052】
(画像データ処理の流れ)
次に、
図3を参照して、本実施形態において、検査対象である基板のX線画像撮影から保存データを生成して記憶するまでの画像データの処理の流れを説明する。
図3は、X線検査システム1において行われる画像データの取得から保存に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。処理の開始時に、X線撮影装置11によって基板のX線断層画像が複数撮影され、
図3に示すように、画像取得部121が当該X線断層画像を取得する(S101)。そして、三次元データ生成部122が複数のX線断層画像から検査対象箇所を含む部位の三次元データを作成する(S102)。
【0053】
次に、上述のように画像処理部123が検査のための画像処理を実行し(S103)、処理された画像から得られる特徴量に基づいて、検査部124が基板の検査を実施する(S104)。そして、圧縮方法判定部126がステップS104における検査結果に係る情報を検査部124から直接、或いは検査結果取得部125を介して取得し(S105)、当該検査結果に基づいて、取得した断層画像データの圧縮方法を判定する(S106)。
【0054】
具体的には、検査結果が不良であった場合には第1圧縮方法で圧縮すると判定し、画像圧縮部127が当該判定に基づいて第1圧縮方法で断層画像データを圧縮する(S107
)。そして、保存データ生成部128が、圧縮された画像データと上述のような情報とをセットにした保存データを生成し(S109)、当該保存データをデータサーバ13に保存して(S110)、一連のルーティンを終了する。
【0055】
一方、ステップS106で、検査結果が良品であった場合には、圧縮方法判定部126は、第2圧縮方法で断層画像データを圧縮すると判定し、画像圧縮部127が当該判定に基づいて第2圧縮方法で断層画像データを圧縮する(S108)。その後は、ステップS109に進み、上述のように保存データを生成し、これをデータサーバ13に記憶して一連のルーティンを終了する。
【0056】
以上、説明したようなX線検査システム1によれば、X線検査において大量の断層画像を取得しても、重要度の高いデータについては可逆的な圧縮方法で画像データを圧縮し、相対的に重要度が低いデータについては高い圧縮率の(ただし、非可逆的な)圧縮方法で圧縮したうえで、画像データを保存することができる。これにより、重要度の高い断層画像データについては、検査結果の検証、検査プログラム修正といった用途にも利用することができる再現性を維持して保存しつつ、相対的に重要度の低いデータの保存に係る容量を大幅に削減することができる。撮像装置と検査端末とデータサーバとを別構成としてネットワークで接続するシステムとしたことにより、基板の撮影、画像処理及び基板の検査、検査に用いた画像の保存、をクラウドシステムにより実現することができる。
【0057】
(変形例)
なお、上記のX線検査システム1において、圧縮方法判定部126は、断層画像が取得された部品実装基板の検査結果が「不良か否か」を判定基準としていたが、その他の判定基準により、いずれの圧縮方法で圧縮を行うかを判定してもよい。例えば、金属部分を含む断層画像であるか否か、断層画像におけるはんだ状態が所定の基準を満たしているか否か(はんだの有無、良否に係る基準など)、を判定基準としてもよい。なお、この際には、画像処理部123による画像処理が施された処理画像データから得られる特徴量を用いて、これらの判定基準を満たしているかを判定することができる。
【0058】
図4に、金属部分を含む断層画像であるかを判定基準とした場合の、各断層画像の圧縮方法の判定の一例に係る説明図を示す。金属部分を含む断層画像であるかを判定基準とした場合には、圧縮方法判定部126は、金属部分(例えばはんだ部分)Tを含む所定の領域Dを撮像した複数の断層画像に対して、金属部分Tを含むか否かの判定を行ったうえで、
図4に示すように、金属部分を含む断層画像(L1、L2、L3)と、金属部分Tを含まない断層画像(H1、H2)とを分類する。そして、金属部分を含む断層画像は可逆的な第1圧縮方法で、金属部分を含まない断層画像については非可逆的な第2圧縮方法で、圧縮を行うことを決定する。
【0059】
また、圧縮方法判定部126は、一旦データサーバ13に保存された保存データに対して、画像取得時刻又は検査実施時刻から所定の期間が過ぎたか否かを判定し、所定の期間が過ぎている場合には、第1圧縮方法で圧縮された画像データについて、改めて第2圧縮方法で圧縮することを決定するようにしてもよい。例えば、第1圧縮方法で圧縮された保存データを用いて再検査を実行した際や、検査プログラムの修正のために保存データを読みだした際に、圧縮方法判定部126による判定処理を実行するようになっていてもよい。
【0060】
<実施形態2>
次に本発明の他の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係るX線検査システム2の機能構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係るX線検査システム2は多くの構成を実施形態1のX線検査システム1と共通にしているため、X線検査システム
1と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0061】
X線検査システム2は、X線撮影装置11と検査端末22と、データサーバ13とを含んで構成されており、部品実装基板の検査に用いられる検査システムである。X線検査システム2の検査端末22には、X線検査システム1の検査端末12が備えていた各機能部に加えて、さらに結合二次元(2D)データ生成部221とデータ復元部224の機能部を備える構成となっている。
【0062】
結合二次元データ生成部221は、画像取得部121が取得し、圧縮方法判定部126により圧縮方法が決定された基板上の一定の領域(例えば三次元データとして再構成される1単位)に係る一組の断層画像を、圧縮方法ごとにそれぞれ一つの二次元画像データとして結合を行う。具体的には、例えば第1圧縮方法で圧縮することが決定された複数の断層画像を横一列に結合した一つ二次元画像データを生成し、さらに第2圧縮方法で圧縮することが決定された複数の断層画像を横一列に結合した一つの二次元画像データを生成する。なお、断層画像を結合する方向は横一列に限られるわけではなく、縦一列や、横n列、縦m列のマトリクス状に結合してもよい。この際には、例えば、結合する断層画像の総数の約数に応じて配列を決定するようにしてもよい。また、結合する断層画像の総数が素数となる場合には、断層画像を分割して(即ち結合後の二次元画像データが一つでなく複数になるように)、結合するのであってもよい。
【0063】
画像圧縮部222は、圧縮方法ごとに結合二次元データ生成部221が結合した二次元画像データを、それぞれの圧縮方法で圧縮する。また、保存データ生成部223は、圧縮された結合二次元画像データと、当該二次元画像データに係る圧縮方法、断層画像の結合方法(配列)、圧縮アルゴリズム、などの情報をセットにした保存データを生成する。なお、生成された保存データは、データサーバ13に送信され、所定の記憶領域に格納される。
【0064】
データ復元部224は、一つの二次元画像に結合されたうえで圧縮処理されたデータを個別の断層画像に復元する。具体的には、第1圧縮方法(可逆圧縮)で圧縮された二次元画像データは、データ復元部224によって圧縮前のデータに復元され、さらに結合を解除されて、画像取得部121が取得した状態の断層画像データ(以下では、rawデータともいう)に復元される。一方、第2圧縮方法(非可逆圧縮)で圧縮された二次元データは、圧縮状態のままで結合が解除されて個々の断層画像データとなる。即ち、第2圧縮方法により圧縮された断層画像を含む一組の断層画像データは、部分的に三次元再構成が可能な断層画像データ集合になる。
【0065】
(保存処理の流れ)
次に、
図6及び
図7を参照して、本実施形態において、検査対象である基板のX線画像撮影から保存データを生成して記憶するまでの画像データの処理の流れの一例を説明する。
図6は、X線検査システム2において行われる画像データの取得から保存に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7は、下記の一連の処理の流れで処理される画像データの変遷のイメージを示す説明図である。なお、本実施形態におけるステップS201からステップS204までの処理は、実施形態1の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
ステップS205において、圧縮方法判定部126が、取得した各断層画像データについていずれの圧縮方法で圧縮するのかを判定する(S205)。本実施形態では、圧縮方法判定部126は、断層画像内に金属部分を含むか否かを判定基準として判定を行う。即ち、圧縮方法判定部126は、
図4に示すように、金属部分が含まれる断層画像を第1圧縮方法で圧縮し、そうでない断層画像を第2圧縮方法で圧縮することを決定する。
【0067】
次に、結合二次元データ生成部221が、一組の断層画像を圧縮方法ごとにそれぞれ一つの二次元画像データとして結合を行う(S206)。
図4の例でいうと、L1乃至L3の断層画像を一つの二次元画像データとして、H1及びH2の断層画像を一つの二次元画像データとして、結合を行う。
【0068】
続けて、画像圧縮部222が、結合二次元画像データを対応する圧縮方法に応じて圧縮する(ステップS207)。次に、保存データ生成部223が上述の保存データを生成し(S208)、当該保存データをデータサーバ13に保存して(S209)、一連のルーティンを終了する。なお、本実施形態においては、ステップS206とステップS207が、本発明に係る圧縮ステップに相当し、結合二次元データ生成部221と画像圧縮部222が本発明に係る画像圧縮手段に相当する。
【0069】
(復元処理の流れ)
次に、
図8及び
図9を参照して、本実施形態において、データサーバ13に保存された保存データを復元する処理の流れの一例を説明する。
図8は、X線検査システム2において行われる保存データの復元に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9は、下記の一連の処理の流れで処理される画像データの変遷のイメージを示す説明図である。
【0070】
図8に示すように、まずユーザーは検査端末の入力手段を介して、復元したい保存データを指定する(S301)。なお、本実施形態においては基板上の所定領域に係る一組の断層画像を対象として、第1圧縮方法で圧縮された画像データに係る保存データと第2圧縮方法で圧縮された画像データに係る保存データとを、セットで指定する。ただし、圧縮方法が異なる保存データを別個に(即ち、保存データごとに)指定するようにしてもよい。
【0071】
次に、データ復元部224が、ステップS301で指定された保存データを復元する処理を実行する。具体的には、データ復元部224は、まず第1圧縮方法(可逆圧縮)で圧縮された画像データの情報を復元して圧縮前の状態に戻す(S302)。続けて、一つの二次元画像データとして結合された各断層画像の結合状態を解除し、個別の断層画像データとして利用可能な状態に復元する(S303)。ここで、第1圧縮方法で圧縮された画像データについてはrawデータ(いわゆる生データ)に復元されるが、第2圧縮方法で圧縮された画像データについては、圧縮された状態のままで、個別の断層画像データとして復元される。
【0072】
その後、復元された各断層画像データを三次元データ生成部122が三次元データとして再構成し(S304)、一連の復元処理が終了する。なお、ステップS304で再構成された三次元データは、rawデータと圧縮データとを混在させた一組の断層画像から生成される三次元モデルとなる。
【0073】
以上のようなX線検査システム2によれば、圧縮方法が同一の複数の断層画像をまとめて一つの二次元画像データとすることにより、個別の複数の断層画像データとして扱うことに比べて、ファイルの出力・圧縮などの処理回数を減らすことができ、データ処理に係る速度を高速化することが可能になる。
【0074】
なお、上記のX線検査システム2では、保存データを復元した後に、復元された一組の断層画像データに基づいて三次元モデルを再構成するようにしていたが、復元された断層画像データはそれ以外の所望の用途に用いることができる。例えば、第1圧縮方法で圧縮されたデータを復元して、金属部分を含む断層画像に対して再度検査(目視検査を含む)
を実施したり、復元された断層画像データを参照して検査プログラム(における検査基準など)の修正・更新を行ったりすることも可能である。
【0075】
<その他>
上記各例は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明はその技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。例えば、上記の各実施形態において、圧縮方法をいずれにするかの判定は異なる複数の判定基準を組み合わせて行ってもよい。具体的には、画像取得時から所定期間が経過しており、かつ金属部分を含まない断層画像のみ(又は検査結果が良品であった基板に係る断層画像のみ)を第2圧縮方法で圧縮する、などのようにしてもよい。
【0076】
また、上記各例では、X線源、X線カメラなどの撮影手段を備える装置、システム構成となっていたが、本発明は、断層画像データの処理に関する者であり、断層画像データの取得が可能であれば、撮影手段とは別個の情報処理端末として適用することもできる。
【0077】
<付記1>
部品実装基板のX線検査に係る画像データの管理方法であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像データを取得する画像取得ステップ(S101)
と、
取得した複数の前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する判定ステップ(S106、S205)と、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する圧縮ステップ(S107、S108、S207)と、を有する
画像データの管理方法。
【0078】
<付記2>
部品実装基板の検査に用いられるX線検査装置(9)であって、
前記部品実装基板に係る複数の断層画像を取得する画像取得手段(912)と、
前記断層画像データのそれぞれに対して、所定の判定基準に基づいて第1圧縮方法で圧縮するか否かを判定する圧縮方法判定手段(913)と、
前記第1圧縮方法または第2圧縮方法のいずれかの圧縮方法により前記断層画像データを圧縮する画像圧縮手段(914)と、を有する
X線検査装置。
【符号の説明】
【0079】
1、2・・・X線検査システム
9・・・X線検査装置
11・・・X線撮影装置
12、22・・・検査端末
13・・・データサーバ
111、92・・・X線源
112、93・・・X線カメラ
113・・・ステージ
921、931・・・Xステージ
922、932・・・Yステージ
C1、C2・・・円軌道
O・・・基板