(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071123
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】柱梁接続構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/24 20060101AFI20240517BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
E04B1/24 L
E04B1/58 506S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181896
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤根 和弘
(72)【発明者】
【氏名】浅井 英克
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB01
2E125AB16
2E125AC15
2E125AC16
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG49
2E125BB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有する。
【解決手段】柱と、前記柱に接続される基準フランジ部と、前記柱に向かって前記基準フランジ部の一方側を拡幅した一方側拡幅部と、を有する梁と、を有し、前記一方側拡幅部の拡幅が開始される位置をハンチ先端位置とし、前記ハンチ先端位置から前記梁が前記柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法をハンチ長さL
hとし、前記基準フランジ部の幅寸法をフランジ幅B
fとし、前記一方側拡幅部の拡幅寸法をハンチ幅B
hとした場合に、前記梁端位置よりも先に、又は前記梁端位置と同時に、前記ハンチ先端位置が全塑性モーメントに到達する柱梁接続構造であって、特定の式で求められる、前記梁端の仕口部の全塑性モーメント
endM
fと、前記梁端の仕口部に要求される全塑性モーメント
endM
f,dとにより、求められる特定の比率αが所定の条件を満たす柱梁接続構造である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、
前記柱に接続される基準フランジ部と、前記柱に向かって前記基準フランジ部の一方側を拡幅した一方側拡幅部と、を有する梁と、
を有し、
前記一方側拡幅部の拡幅が開始される位置をハンチ先端位置とし、前記ハンチ先端位置から前記梁が前記柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法をハンチ長さLhとし、前記基準フランジ部の幅寸法をフランジ幅Bfとし、前記一方側拡幅部の拡幅寸法をハンチ幅Bhとした場合に、前記梁端位置よりも先に、又は前記梁端位置と同時に、前記ハンチ先端位置が全塑性モーメントに到達する柱梁接続構造であって、
以下の(1)の数式により求められる、前記梁端の仕口部の全塑性モーメントendMfと、以下の(2)の数式により求められる、前記梁端の仕口部に要求される全塑性モーメントendMf,dとにより、比率αが以下の(3)の数式により求められ、
4≦Bf/(2tf)、かつ、3≦L/Dである場合に、
1.0≦α<1.1のとき、Lh/Bf≧2.0であり、
1.1≦αのとき、Lh/Bf≧1.8である、
ことを満たす柱梁接続構造。
(1)endMf=(Bh+ Bf)・tf・(D-tf)・σy
(2)endMf,d=Mp・L/(L-Lh)
(3)α=endMf/endMf,d
ただし、
L:せん断スパン
D:梁せい
tf:フランジ厚
σy:降伏点
Mp:ハンチ先端位置の梁の全塑性モーメント
【請求項2】
前記柱に接続され、前記柱の幅より拡幅した幅を有するダイアフラムを有し、
前記基準フランジ部と前記一方側拡幅部は、前記ダイアフラムの小口部に接続されている、
請求項1に記載の柱梁接続構造。
【請求項3】
前記基準フランジ部と前記一方側拡幅部と前記ダイアフラムとは、一体的に切り出された一体部材である、
請求項2に記載の柱梁接続構造。
【請求項4】
前記柱の幅内に接続され、前記基準フランジ部と直交するウェブ部を有する、
請求項1又は請求項2に記載の柱梁接続構造。
【請求項5】
前記ウェブ部は、前記基準フランジ部の幅の中央位置に設けられている、
請求項4に記載の柱梁接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる水平ハンチ梁は、梁の長手方向の端(以下、「梁端」と呼ぶことがある)のフランジ部の幅が拡幅された拡幅部を有する。水平ハンチ梁は、梁端のフランジ部の断面積を大きくし、梁と柱との接続部(以下、「梁端の仕口部」と呼ぶことがある)のひずみを低減させることができるので、梁端の仕口部の早期破断を抑制し、変形性能を向上させることができる。水平ハンチ梁は、いわゆる偏心なしタイプの両側水平ハンチ梁が一般的である。偏心なしタイプの両側水平ハンチ梁は、拡幅部が左右同幅であって、柱の軸心と梁の軸心とが揃えられて接続されている。しかし、構造計画上の理由により、柱に対して偏心させて梁が接続された、偏心ありタイプの両側水平ハンチ梁も使用可能である。
【0003】
偏心ありタイプの両側水平ハンチ梁では、建物の外周部等に設置される場合は、梁と外壁との間に大きなスペースが必要とされる。このため、特許文献1に記載されるように、拡幅部を片側のみに有する、いわゆる片側水平ハンチ梁が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
片側水平ハンチ梁は、捩じれやすく、梁端にひずみが集中しやすい。このため、拡幅部の寸法(例えば、後述するハンチ長さやハンチ幅)によっては、梁端のフランジ部の断面積を大きくしたにもかかわらず、梁端が破断し、十分な変形性能を発揮できないことがある。
【0006】
本発明は、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有する片側水平ハンチ梁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態は、柱と、前記柱に接続される基準フランジ部と、前記柱に向かって前記基準フランジ部の一方側を拡幅した一方側拡幅部と、を有する梁と、を有し、前記一方側拡幅部の拡幅が開始される位置をハンチ先端位置とし、前記ハンチ先端位置から前記梁が前記柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法をハンチ長さLhとし、前記基準フランジ部の幅寸法をフランジ幅Bfとし、前記一方側拡幅部の拡幅寸法をハンチ幅Bhとした場合に、前記梁端位置よりも先に、又は前記梁端位置と同時に、前記ハンチ先端位置が全塑性モーメントに到達する柱梁接続構造であって、以下の(1)の数式により求められる、前記梁端の仕口部の全塑性モーメントendMfと、以下の(2)の数式により求められる、前記梁端の仕口部に要求される全塑性モーメントendMf,dとにより、比率αが以下の(3)の数式により求められ、4≦Bf/(2tf)、かつ、3≦L/Dである場合に、1.0≦α<1.1のとき、Lh/Bf≧2.0であり、1.1≦αのとき、Lh/Bf≧1.8である、ことを満たす柱梁接続構造である。
(1)endMf=(Bh+ Bf)・tf・(D-tf)・σy
(2)endMf,d=Mp・L/(L-Lh)
(3)α=endMf/endMf,d
ただし、
L:せん断スパン
D:梁せい
tf:フランジ厚
σy:降伏点
Mp:ハンチ先端位置の梁の全塑性モーメント
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の柱梁接続構造10を示す図であり、
図1Aは、柱梁接続構造10の平面図であり、
図1Bは、柱梁接続構造10の斜視図である。
【
図2】
図2は、比較例の柱梁接続構造10Aを示す図であり、
図2Aは、柱梁接続構造10Aの平面図であり、
図2Bは、柱梁接続構造10Aの斜視図である。
【
図3】
図3は、参考例の柱梁接続構造10Bの斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の柱梁接続構造10の設計方法を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、柱梁接続構造の試験体(Aタイプ)の平面図の一覧である。
【
図6】
図6は、柱梁接続構造の試験体(Bタイプ)の平面図の一覧である。
【
図7】
図7は、実験の再現解析に用いられる柱梁接続構造のモデル形状を示す図であり、
図7Aは、柱梁接続構造のモデル形状の斜視図であり、
図7Bは、梁端の拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、実験の再現解析において、破断の判定に用いられるメッシュの説明図である。
【
図9】
図9は、実験の再現解析における結果を示す図であり、
図9Aは、全試験体(試験体No.1~試験体No.12)における相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図であり、
図9Bは、破断を判定するための包絡線を示す図である。
【
図10】
図10は、拡幅部寸法の検討解析に用いられる各種パラメータの説明図である。
【
図11】
図11は、拡幅部寸法の検討解析に用いられる柱梁接続構造のモデル形状を示す図であり、
図11Aは、柱梁接続構造のモデル形状の斜視図であり、
図11Bは、梁端の拡大斜視図である。
【
図12】
図12は、拡幅部寸法の検討解析において、破断の判定に用いられるメッシュの説明図である。
【
図13】
図13は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのAタイプの結果を示す図であり、
図13Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図13Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図13Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【
図14】
図14は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのBタイプの結果を示す図であり、
図14Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図14Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図14Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【
図15】
図15は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのCタイプの結果を示す図であり、
図15Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図15Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図15Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【
図16】
図16は、Aタイプ、L/D=6での、拡幅部寸法の検討解析における比率α毎の結果を示す図であり、
図16Aは、比率α=1.0の結果を示す図であり、
図16Bは、比率α=1.1の結果を示す図であり、
図16Cは、比率α=1.2の結果を示す図であり、
図16Dは、比率α=1.4の結果を示す図である。
【
図17】
図17は、拡幅部寸法の検討解析における比率L
h/B
fと比率αとの関係を示す図である。
【
図18】
図18は、変形例の柱梁接続構造10C~10Eを示す図であり、
図18Aは、第1変形例の柱梁接続構造10Cの平面図であり、
図18Bは、第2変形例の柱梁接続構造10Dの平面図であり、
図18Cは、第3変形例の柱梁接続構造10Eの平面図である。
【
図19】
図19は、梁30C~梁30Eにおける相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態の柱梁接続構造10F及び柱梁接続構造10Gを示す図であり、
図20Aは、第1例の柱梁接続構造10Fの平面図であり、
図20Bは、第2例の柱梁接続構造10Gの平面図である。
【
図21】
図21は、Aタイプ、L/D=6、ハンチ長さ200mmでの、フランジ部とダイアフラムの取り合い比較に関する相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
柱と、前記柱に接続される基準フランジ部と、前記柱に向かって前記基準フランジ部の一方側を拡幅した一方側拡幅部と、を有する梁と、を有し、前記一方側拡幅部の拡幅が開始される位置をハンチ先端位置とし、前記ハンチ先端位置から前記梁が前記柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法をハンチ長さLhとし、前記基準フランジ部の幅寸法をフランジ幅Bfとし、前記一方側拡幅部の拡幅寸法をハンチ幅Bhとした場合に、前記梁端位置よりも先に、又は前記梁端位置と同時に、前記ハンチ先端位置が全塑性モーメントに到達する柱梁接続構造であって、以下の(1)の数式により求められる、前記梁端の仕口部の全塑性モーメントendMfと、以下の(2)の数式により求められる、前記梁端の仕口部に要求される全塑性モーメントendMf,dとにより、比率αが以下の(3)の数式により求められ、4≦Bf/(2tf)、かつ、3≦L/Dである場合に、1.0≦α<1.1のとき、Lh/Bf≧2.0であり、1.1≦αのとき、Lh/Bf≧1.8である、ことを満たす柱梁接続構造が明らかとなる。
(1)endMf=(Bh+ Bf)・tf・(D-tf)・σy
(2)endMf,d=Mp・L/(L-Lh)
(3)α=endMf/endMf,d
ただし、
L:せん断スパン
D:梁せい
tf:フランジ厚
σy:降伏点
Mp:ハンチ先端位置の梁の全塑性モーメント
【0013】
このような柱梁接続構造によれば、片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0014】
かかる柱梁接続構造であって、前記柱に接続され、前記柱の幅より拡幅した幅を有するダイアフラムを有し、前記基準フランジ部と前記一方側拡幅部は、前記ダイアフラムの小口部に接続されていることが望ましい。
【0015】
これにより、片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0016】
かかる柱梁接続構造であって、前記基準フランジ部と前記一方側拡幅部と前記ダイアフラムとは、一体的に切り出された一体部材であることが望ましい。
【0017】
これにより、片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0018】
かかる柱梁接続構造であって、前記柱の幅内に接続され、前記基準フランジ部と直交するウェブ部を有することが望ましい。
【0019】
これにより、片側水平ハンチ梁において、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0020】
かかる柱梁接続構造であって、前記ウェブ部は、前記基準フランジ部の幅の中央位置に設けられていることが望ましい。
【0021】
これにより、一方側拡幅部による影響を評価しやすくなる。
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0023】
===第1実施形態===
<概要>
図1は、第1実施形態の柱梁接続構造10を示す図である。なお、
図1Aは、柱梁接続構造10の平面図であり、
図1Bは、柱梁接続構造10の斜視図である。
【0024】
以下では、
図1A及び
図1Bに示す方向に従って説明を行うことがある。柱梁接続構造10の梁30の長手方向を「梁長手方向」と呼ぶことがある。柱梁接続構造10の梁30の幅方向を「梁幅方向」と呼ぶことがある。なお、梁長手方向を単に「長手方向」と呼び、梁幅方向を単に「幅方向」と呼ぶことがある。梁長手方向を「前後方向」と呼び、梁幅方向を「左右方向」と呼ぶことがある。また、鉛直方向を「上下方向」と呼ぶことがある。
【0025】
柱梁接続構造10は、建築構造物の柱と梁とが接続された構造体である。柱梁接続構造10は、柱20と、ダイアフラム21と、梁30とを有する。
【0026】
柱20は、建築構造物の構造部材のうち、主に鉛直荷重を支える構造部材である。本実施形態の柱梁接続構造10では、柱20は、
図1A及び
図1Bに示されるように、角型の鋼管である。但し、柱20は、角型以外の鋼管であっても良く、例えば、丸型の鋼管であっても良い。
【0027】
ダイアフラム21は、柱20の仕口部の剛性を高める板状部材(鋼板)である。本実施形態の柱梁接続構造10では、ダイアフラム21は、いわゆる通しダイアフラムである。通しダイアフラムは、柱20が切断され、切断された柱20の間に挟まれて溶接により一体化されたダイアフラムである。但し、ダイアフラム21は、柱20の内側だけに板状部材が接続される、いわゆる内ダイアフラムであっても良いし、柱20の外側だけに板状部材が接続される、いわゆる外ダイアフラムであっても良い。
【0028】
また、本実施形態の柱梁接続構造10では、ダイアフラム21は、柱20の周囲において外側に突出している。言い換えると、ダイアフラム21は、柱20の幅(柱幅)より拡幅した幅を有している。ダイアフラム21は、
図1Bに示されるように、梁30のフランジ部31(後述)に対応する柱20の位置に上下一対設けられている。
【0029】
梁30は、建築構造物の構造部材のうち、柱20同士を水平方向につなぐ構造部材である。本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30は、
図1Bに示されるように、梁長手方向に垂直な断面がH形の鋼材(いわゆる、H形鋼)である。但し、梁30は、H形鋼以外の形鋼であっても良く、例えば、I形鋼などであっても良い。また、本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30は、柱20の中心に対して梁幅方向の一方側(具体的には、後述する拡幅部33が形成される側とは反対側)に偏心して柱20と接続されている。但し、梁30は、後述する
図18Bに示される梁30Dと同様に、梁30の軸心と柱20の軸心とが揃えられて接続されていても良い。また、梁30は、後述する
図18Cに示される梁30Eと同様に、拡幅部33が形成される側に偏心して柱20と接続されていても良い。すなわち、梁30がダイアフラム21を介して柱20に接続する位置は、梁幅方向のどの位置でも良い。
【0030】
梁30は、フランジ部31と、ウェブ部35とを有する。
【0031】
フランジ部31は、梁30の上縁と下縁との各々に配置された板状部材である。フランジ部31(後述する基準フランジ部32及び拡幅部33)の梁端の側は、例えば、溶接によりダイアフラム21の小口部に接続されている。したがって、フランジ部31の梁端の側は、ダイアフラム21を介して柱20と接続されている。以下、フランジ部31とダイアフラム21(すなわち、柱20)との接続部を、「梁端の仕口部」又は「ハンチ元端」と呼ぶことがある。
【0032】
上述したように、ダイアフラム21は、柱20の幅(柱幅)より拡幅した幅を有している。したがって、フランジ部31がダイアフラム21を介して柱20に接続されることにより、フランジ部31が柱20に直接接続される場合と比べて、フランジ部31は、柱20の中心に対して梁幅方向の一方側により偏心させることができる。
【0033】
なお、フランジ部31(基準フランジ部32及び拡幅部33)とダイアフラム21とは、溶接により接続されるのではなく、一体的に切り出された一体部材であっても良い。
【0034】
本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30は、
図1A及び
図1Bに示されるように、梁端の側のフランジ部31の幅が拡幅された、いわゆる水平ハンチ梁である。フランジ部31は、基準フランジ部32と、拡幅部33とを有する。
【0035】
基準フランジ部32は、フランジ部31の本体(基準)部分である。基準フランジ部32は、幅寸法(フランジ幅)が一定である。拡幅部33は、基準フランジ部32から拡幅された部分である。拡幅部33は、梁長手方向に沿って柱20の側(梁端の側)に向かうにつれて、拡幅部33の幅寸法が大きくなり、梁端において最大幅となる。以下、
図1Aに示されるように、拡幅部33の拡幅が開始される位置を「ハンチ先端位置」と呼ぶことがある。
【0036】
本実施形態の柱梁接続構造10では、拡幅部33は、
図1A及び
図1Bに示されるように、基準フランジ部32に対して梁幅方向の一方側に形成されている。つまり、拡幅部33は、フランジ部31の片側のみに形成されている(基準フランジ部32の一方側を拡幅している)。したがって、本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30は、いわゆる片側水平ハンチ梁である。
【0037】
ウェブ部35は、上縁側のフランジ部31と、下縁側のフランジ部31とをつなぐ板状部材である。また、ウェブ部35は、上縁側のフランジ部31及び下縁側のフランジ部31(具体的には、基準フランジ部32)と直交している。ウェブ部35は、例えば、溶接により柱20の幅内に接続されている。但し、柱20にガセットプレート(不図示)を設けて、ウェブ部35がボルトとナットによってガセットプレートと接続されてもよい。ウェブ部35により、せん断力を負担することができる。また、ウェブ部35は、基準フランジ部32のフランジ幅の中央位置に設けられている。これにより、拡幅部33による影響を評価しやすくなる。
【0038】
<比較例>
図2は、比較例の柱梁接続構造10Aを示す図である。なお、
図2Aは、柱梁接続構造10Aの平面図であり、
図2Bは、柱梁接続構造10Aの斜視図である。
【0039】
柱梁接続構造10Aは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Aとを有する。
【0040】
比較例の柱梁接続構造10Aにおいても、本実施形態の柱梁接続構造10と同様に、梁30Aは、梁端の側のフランジ部31Aの幅が拡幅された、いわゆる水平ハンチ梁である。但し、比較例の柱梁接続構造10Aでは、梁30Aは、
図2A及び
図2Bに示されるように、フランジ部31Aの両側に拡幅部(拡幅部33A及び拡幅部34A)が形成されている(基準フランジ部32Aの両側を拡幅している)、いわゆる両側水平ハンチ梁(同幅水平ハンチ梁)である。
【0041】
さらに、比較例の柱梁接続構造10Aでは、
図2A及び
図2Bに示されるように、柱20の軸心と梁30Aの軸心とが揃えられて接続されている(偏心なしタイプの両側水平ハンチ梁である)。しかし、比較例の柱梁接続構造10Aでは、梁30Aは、構造計画上の理由により、柱20に対して偏心させて(例えば、梁幅方向の拡幅部34Aの側に偏心させて)接続された、偏心ありタイプの両側水平ハンチ梁とすることも可能である。しかし、偏心ありタイプの両側水平ハンチ梁では、建物の外周部等に設置される場合は、梁30Aと外壁の間に大きなスペースが必要とされる。
【0042】
これに対し、本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30は、片側水平ハンチ梁であるため、梁30と外壁の間のスペースを小さくすることができる。なお、片側水平ハンチ梁は、梁30と外壁の間のスペースを小さくする目的以外で使用されていても良い。柱梁接続構造10では、偏心の有無、偏心の方向(例えば、拡幅部が形成される側か否か)によって、様々なタイプの片側水平ハンチ梁が使用可能である。本実施形態における梁30は、上述したように、梁幅方向の拡幅部33が形成される側とは反対側に偏心させた、偏心ありタイプの片側水平ハンチ梁である。しかし、梁30は、梁幅方向の拡幅部33が形成される側に偏心させた、偏心ありタイプの片側水平ハンチ梁であっても良いし、偏心なしタイプの片側水平ハンチ梁であっても良い。
【0043】
<参考例>
図3は、参考例の柱梁接続構造10Bの斜視図である。
【0044】
柱梁接続構造10Bは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Bとを有する。
【0045】
参考例の柱梁接続構造10Bでは、梁30Bは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様に、片側水平ハンチ梁である。つまり、梁30Bのフランジ部31Bは、基準フランジ部32Bと、基準フランジ部32Bに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部33Bとを有する。
【0046】
ところで、片側水平ハンチ梁は、捩じれやすく、梁端にひずみが集中しやすい。例えば、ハンチ先端位置から、梁が柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法(以下、「ハンチ長さ」と呼ぶことがある)が小さい場合に、梁端が破断してしまうことがある。同様に、拡幅部の梁幅方向の拡幅寸法(以下、「ハンチ幅」と呼ぶことがある)が小さい場合に、梁端が破断してしまうことがある。
【0047】
つまり、拡幅部の寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)が所定の範囲を満たさない場合、梁端のフランジ部の断面積を大きくしたにもかかわらず、梁端が破断し、十分な変形性能を発揮できないことがある。参考例の柱梁接続構造10Bでは、梁30Bは、フランジ部31Bの拡幅部33Bの寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)が、所定の範囲を満たさず、梁端が破断し、十分な変形性能を発揮できない。これにより、
図3に示されるように、梁端の領域において、亀裂が発生している。
【0048】
本実施形態の柱梁接続構造10では、梁30の拡幅部33の寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)を所定の範囲にすることにより、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0049】
以下では、フランジ部31の拡幅部33の寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)を所定の範囲にするような、柱梁接続構造10の設計方法について説明する。
【0050】
<柱梁接続構造10の設計方法>
図4は、第1実施形態の柱梁接続構造10の設計方法を示すフロー図である。
【0051】
まず、複数の柱梁接続構造の試験体を使用した実験を行い、梁が柱と接続する梁端が破断する形状、又は破断しない形状を調査する(S001:実験調査)。
【0052】
図5は、柱梁接続構造の試験体(Aタイプ)の平面図の一覧である。
図6は、柱梁接続構造の試験体(Bタイプ)の平面図の一覧である。
【0053】
実験調査で使用される柱梁接続構造の試験体において、柱の断面の寸法は、Aタイプ及びBタイプで共通であり、辺長450 mm×辺長450 mm×厚さ25 mmである。また、実験調査で使用される柱梁接続構造の試験体において、梁の断面の寸法は、AタイプとBタイプとによって異なる寸法である。すなわち、Aタイプの試験体における梁の断面の寸法は、梁せい600mm×梁幅200mm×ウェブ厚12mm×フランジ厚25mmであり、Bタイプの試験体における梁の断面の寸法は、梁せい600mm×梁幅250mm×ウェブ厚12mm×フランジ厚19mmである。なお、Aタイプの試験体及びBタイプの試験体において、拡幅部のハンチ長さは、250mm又は400 mmである。
【0054】
Aタイプの試験体(試験体No.1~試験体No.7)のうち、
図5に示されるように、試験体No.1は、拡幅部を有さない(基準フランジ部のみを有する)梁の、いわゆるストレート梁である。また、試験体No.2、試験体No.3、試験体No.6は、両側水平ハンチ梁(両側ハンチ梁)である。また、試験体No.4、試験体No.5、試験体No.7は、片側水平ハンチ梁(片側ハンチ梁)である。
【0055】
Aタイプの試験体(試験体No.1~試験体No.7)のうち、
図5に示されるように、試験体No.2~試験体No.5は、基準フランジ部と拡幅部とが一体的に形成された(一体的に切り出された)一体型の梁であり、試験体No.6及び試験体No.7は、別体の基準フランジ部と拡幅部とが、溶接により接続された台形型の梁である。
【0056】
Bタイプの試験体(試験体No.8~試験体No.12)のうち、
図6に示されるように、試験体No.8は、拡幅部を有さない(基準フランジ部のみを有する)梁の、いわゆるストレート梁である。また、試験体No.9及び試験体No.10は、両側水平ハンチ梁(両側ハンチ梁)である。また、試験体No.11及び試験体No.12は、片側水平ハンチ梁(片側ハンチ梁)である。
【0057】
Bタイプの試験体(試験体No.8~試験体No.12)のうち、
図6に示されるように、試験体No.9~試験体No.11は、基準フランジ部と拡幅部とが一体的に形成された(一体的に切り出された)一体型の梁であり、試験体No.12は、別体の基準フランジ部と拡幅部とが、溶接により接続された台形型の梁である。
【0058】
上述した複数の試験体を使用した実験では、
図5に示される試験体No.4において、梁端が破断した。具体的には、梁のフランジ部に亀裂が発生し、梁の性能を十分に発揮できない状態となった。
【0059】
上述の実験調査を行った(
図4のS001)後、当該実験を有限要素法解析により再現解析を行うことにより、梁端のひずみを調査する(
図4のS002:解析調査)。なお、本実施形態では、梁端の相当塑性ひずみを調査しているが、相当塑性ひずみ以外のひずみを調査しても良い。
【0060】
図7は、実験の再現解析に用いられる柱梁接続構造のモデル形状を示す図である。なお、
図7Aは、柱梁接続構造のモデル形状の斜視図であり、
図7Bは、梁端の拡大斜視図である。また、
図8は、実験の再現解析において、破断の判定に用いられるメッシュの説明図である。
【0061】
実験の再現解析で使用される解析モデルの形状や、各部材の断面諸量・材料強度は、上述した実験(
図4のS001)で使用された試験体の形状や、各部材の断面諸量・材料強度と同様である。すなわち、上述した
図5及び
図6に示される試験体No.1~試験体No.12の形状や、各部材の断面諸量・材料強度を使用する。
【0062】
解析モデルでは、
図7A~
図8に示されるように、1次の四辺形シェル要素としている。また、
図7Aに示されるように、梁端から1,200mmの範囲のフランジ部は10mmピッチでメッシュ分割し、その他の部分は50mmピッチでメッシュ分割している。なお、ガセットプレートと梁のウェブ部が重複する領域は、両者の板厚を合計したシェル要素としてモデル化している。また、梁と柱の接続部(溶接部)や裏当て金はモデル化していない。また、
図8に示されるように、梁端における両縁のメッシュを、相当塑性ひずみを調査するメッシュ(破断判定用メッシュ)としている。
【0063】
実験の再現解析では、
図7Aに示されるように、柱の上端及び下端の変位と、柱の材軸廻りの回転を拘束し、梁の鉛直スチフナの位置で構面外方向の変位を拘束しつつ、1方向(ここでは、下方向)に荷重を加え、梁を変形させる。そして、梁の変形に基づいて、梁端の相当塑性ひずみを調査する。
【0064】
上述の解析調査を行った(
図4のS002)後、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域を特定する(
図4のS003:非破断領域の特定)。具体的には、上述した試験体No.1~試験体No.12に相当する解析モデルにおける相当塑性ひずみと塑性率との関係をグラフに表わす。なお、本解析調査においては、梁の亀裂や破断を考慮しない形状で検討する。
【0065】
図9は、実験の再現解析における結果を示す図である。なお、
図9Aは、全試験体(試験体No.1~試験体No.12)における相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図であり、
図9Bは、破断を判定するための包絡線を示す図である。
【0066】
図9Aにおいて、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。また、全試験体(試験体No.1~試験体No.12)における結果をそれぞれグラフにて表している。
図9Aにおいて、太い実線で示されるグラフは、試験体No.4、すなわち、上述の実験(
図4のS001)で梁端が破断した試験体の結果である。また、
図9Aにおいて、太い実線以外で示されるグラフは、試験体No.4以外の試験体(試験体No.1~試験体No.3、試験体No.5~試験体No.12)、すなわち、上述の実験(
図4のS001)で梁端の破断が確認されなかった試験体の結果である。
【0067】
図9Aに示されるように、梁端が破断した試験体No.4は、梁端の破断が確認されなかった試験体(試験体No.1~試験体No.3、試験体No.5~試験体No.12)に比べて相当塑性ひずみが大きいことがわかる。したがって、少なくとも梁端の破断が確認されなかった試験体(試験体No.1~試験体No.3、試験体No.5~試験体No.12)のグラフの下部にある領域に収まる試験体の梁端は破断が抑制されると考えることができる。
【0068】
そこで、少なくとも梁端の破断が確認されなかった試験体(試験体No.1~試験体No.3、試験体No.5~試験体No.12)のグラフの下部にある領域を、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域とすることができる。そして、
図9Bに示されるように、破断を判定するための包絡線は、非破断領域の境界線である。
【0069】
上述の非破断領域の特定を行った(
図4のS003)後、複数モデル(具体的には、後述するAタイプ~Cタイプにグルーピングされた複数モデル)を用いて、有限要素法解析により、梁端の破断を抑制する片側水平ハンチ梁の拡幅部の寸法を検討する(
図4のS004:複数モデルを用いた拡幅部寸法の検討解析)。
【0070】
図10は、拡幅部寸法の検討解析に用いられる各種パラメータの説明図である。
図11は、拡幅部寸法の検討解析に用いられる柱梁接続構造のモデル形状を示す図である。なお、
図11Aは、柱梁接続構造のモデル形状の斜視図であり、
図11Bは、梁端の拡大斜視図である。
図12は、拡幅部寸法の検討解析において、破断の判定に用いられるメッシュの説明図である。
【0071】
図10に示されるように、ハンチ先端位置から梁が柱と接続する梁端の梁端位置までの寸法をハンチ長さL
hとする。また、基準フランジ部の幅寸法をフランジ幅B
fとする。また、拡幅部の拡幅寸法をハンチ幅B
hとする。フランジ部の端及びダイアフラムの端(フランジ部とダイアフラムとの取り合い)の距離をCとする。
【0072】
拡幅部寸法の検討解析に用いられる解析モデルでは、
図10に示されるように、ハンチ先端位置の側から梁端の側に向かうにつれて曲線的に幅が増加する円弧形状Rを有している。したがって、拡幅部寸法の検討解析に用いられる解析モデルでは、梁は、基準フランジ部から連続的に緩やかに幅が増える(断面積が増加する)ことになる。これにより、ひずみの集中を低減させることができ、その結果、フランジ部(梁)の変形能力を向上させることができる。
【0073】
拡幅部寸法の検討解析では、
図11A及び
図11Bに示されるように、1次の四辺形シェル要素としている。また、
図11Aに示されるように、梁端から1,200mmの範囲のフランジ部は10mmピッチでメッシュ分割し、その他の部分は50mmピッチでメッシュ分割している。また、
図12に示されるように、梁端における両縁のメッシュを、相当塑性ひずみを調査するメッシュ(破断判定用メッシュ)としている。
【0074】
拡幅部寸法の検討解析では、
図11Aに示されるように、柱の上端及び下端の変位と、柱の材軸廻りの回転を拘束し、梁の鉛直スチフナの位置で構面外方向の変位を拘束しつつ、1方向(ここでは、下方向)に荷重を加え、梁を変形させる。そして、梁の変形に基づいて梁端の相当塑性ひずみを調査し、拡幅部寸法の検討を行う。なお、本実施形態では、梁端の相当塑性ひずみを調査しているが、相当塑性ひずみ以外のひずみを調査しても良い。
【0075】
図11A及び
図11Bに示されるように、梁の梁長手方向の長さ(せん断スパン)をLとし、梁の梁せいをDとする。また、以下の説明において、せん断スパンLと梁せいDとの比をせん断スパン比L/Dという。なお、せん断スパンLとは、せん断力が一定とみなすことができる部材の長さであり、梁端の仕口部から梁の反曲点(不図示)までの距離とする。
【0076】
拡幅部寸法の検討解析で使用される柱梁接続構造の解析モデルにおいて、柱の断面の寸法は、Aタイプ~Cタイプで共通であり、辺長600mm×辺長600mm×厚さ28mmである。また、拡幅部寸法の検討解析で使用される柱梁接続構造の解析モデルにおいて、梁の断面の寸法は、Aタイプ~Cタイプによって異なる寸法である。すなわち、Aタイプの解析モデルにおける梁の断面の寸法は、梁せい600mm×梁幅200mm×ウェブ厚12mm×フランジ厚25mmであり、Bタイプの解析モデルにおける梁の断面の寸法は、梁せい600mm×梁幅250mm×ウェブ厚12mm×フランジ厚25mmであり、Cタイプの解析モデルにおける梁の断面の寸法は、梁せい600mm×梁幅264mm×ウェブ厚12mm×フランジ厚22mmである。
【0077】
なお、Aタイプ~Cタイプの解析モデルにおいて、フランジ部の幅厚比は、4、5又は6である。すなわち、拡幅部寸法の検討解析では、フランジ厚をtfとしたときに、4≦Bf/(2tf)である。
【0078】
また、Aタイプ~Cタイプの解析モデルにおいて、せん断スパン比L/Dは、3、6又は12である。すなわち、拡幅部寸法の検討解析では、3≦L/Dである。
【0079】
拡幅部寸法の検討解析における複数モデルでは、フランジ幅に対するハンチ長さLh/Bfが1.4、1.6、1.8、2.0、2.2(但し、Aタイプのみ1.0、3.0も含まれる)となるよう、ハンチ長さLhが定められている。そして、ハンチ幅Bhは、endMf/endMf,dが1.0、1.1、1.2、1.4前後となるように定められている。
【0080】
ここで、endMf/endMf,dは、「ハンチ元端の耐力比」と呼ぶことがある。ここで、endMfは、梁端の仕口部の全塑性モーメントであり、下記の数式(1)により定まる。
endMf=(Bh+ Bf)・tf・(D-tf)・σy・・・(1)
【0081】
また、endMf,dは、梁端の仕口部に要求される全塑性モーメントであり、下記の数式(2)により定まる。
endMf,d=Mp・L/(L-Lh)・・・(2)
【0082】
なお、数式(1)及び数式(2)において、σyは降伏点であり、Mpは、ハンチ先端位置の梁の全塑性モーメントである。
【0083】
また、以下の説明では、endMf/endMf,dを、「α」で表すことがある。すなわち、下記の数式(3)のように表される。
α=endMf/endMf,d・・・(3)
【0084】
図13は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのAタイプの結果を示す図である。なお、
図13Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図13Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図13Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【0085】
図13A~
図13Cでは、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。そして、L
h/B
fが1.4、1.6、1.8、2.0、2.2となる場合における結果をそれぞれグラフにて表している。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
【0086】
図13Aに示されるように、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0087】
図13Bに示されるように、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0088】
図13Cに示されるように、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0089】
図14は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのBタイプの結果を示す図である。なお、
図14Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図14Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図14Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【0090】
図14A~
図14Cでは、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。そして、L
h/B
fが1.4、1.6、1.8、2.0、2.2となる場合における結果をそれぞれグラフにて表している。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
【0091】
図14Aに示されるように、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0092】
図14Bに示されるように、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0093】
図14Cに示されるように、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
fが1.6、1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
f≧1.6の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0094】
図15は、比率α=1.2での拡幅部寸法の検討解析における解析ケースのCタイプの結果を示す図である。なお、
図15Aは、せん断スパン比L/D=3の結果を示す図であり、
図15Bは、せん断スパン比L/D=6の結果を示す図であり、
図15Cは、せん断スパン比L/D=12の結果を示す図である。
【0095】
図15A~
図15Cでは、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。そして、L
h/B
fが1.4、1.6、1.8、2.0、2.2となる場合における結果をそれぞれグラフにて表している。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
【0096】
図15Aに示されるように、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=3の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0097】
図15Bに示されるように、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
fが1.6、1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=6の場合、L
h/B
f≧1.6の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0098】
図15Cに示されるように、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
fが1.6、1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、せん断スパン比L/D=12の場合、L
h/B
f≧1.6の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0099】
図16は、Aタイプ、L/D=6での、拡幅部寸法の検討解析における比率α毎の結果を示す図である。なお、
図16Aは、比率α=1.0の結果を示す図であり、
図16Bは、比率α=1.1の結果を示す図であり、
図16Cは、比率α=1.2の結果を示す図であり、
図16Dは、比率α=1.4の結果を示す図である。
【0100】
図16A~
図16Cでは、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。そして、L
h/B
fが1.4、1.6、1.8、2.0、2.2となる場合における結果をそれぞれグラフにて表している。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
【0101】
図16Aに示されるように、比率α=1.0の場合、L
h/B
fが2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、比率α=1.0の場合、L
h/B
f≧2.0の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0102】
図16Bに示されるように、比率α=1.1の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、比率α=1.1の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0103】
図16Cに示されるように、比率α=1.2の場合、L
h/B
fが1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、比率α=1.2の場合、L
h/B
f≧1.8の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0104】
図16Dに示されるように、比率α=1.4の場合、L
h/B
fが1.6、1.8、2.0、2.2のグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。したがって、比率α=1.4の場合、L
h/B
f≧1.6の場合に、破断が抑制されると考えられる。
【0105】
上述の複数モデルを用いた拡幅部寸法の検討解析を行った(
図4のS004)後、拡幅部寸法の所定範囲の条件を特定する(
図4のS005:拡幅部の寸法範囲の条件を特定)。
【0106】
図17は、拡幅部寸法の検討解析における比率L
h/B
fと比率αとの関係を示す図である。
図17は、上述した
図16A~
図16Dの結果を、縦軸をL
h/B
fとして、横軸を比率αとして整理したグラフである。
【0107】
図17に示されるように、1.0≦α<1.1のとき、L
h/B
f≧2.0であり、1.1≦αのとき、L
h/B
f≧1.8のようにフランジ部の拡幅部の寸法を定めることで、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0108】
<変形例>
図18は、変形例の柱梁接続構造10C~10Eを示す図である。なお、
図18Aは、第1変形例の柱梁接続構造10Cの平面図であり、
図18Bは、第2変形例の柱梁接続構造10Dの平面図であり、
図18Cは、第3変形例の柱梁接続構造10Eの平面図である。
【0109】
第1変形例の柱梁接続構造10Cは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Cとを有する。柱梁接続構造10Cでは、梁30Cは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様に、片側水平ハンチ梁である。つまり、梁30Cのフランジ部31Cは、基準フランジ部32Cと、基準フランジ部32Cに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部33Cとを有する。但し、拡幅部33Cは、本実施形態における拡幅部33と比べて、基準フランジ部32Cに対して形成される側が異なっている。具体的には、本実施形態における拡幅部33は、
図1Aに示されるように、梁長手方向の梁端側を見たときに、基準フランジ部32に対して左側に形成されている。これに対し、第1変形例における拡幅部33Cは、
図18Aに示されるように、梁長手方向の梁端側を見たときに、基準フランジ部32Cに対して右側に形成されている。
【0110】
また、梁30Cは、柱20の中心に対して梁幅方向の一方側(具体的には、拡幅部33Cが形成される側とは反対側)に偏心して柱20と接続されている。すなわち、梁30Cは、偏心ありタイプの片側水平ハンチ梁である。
【0111】
第2変形例の柱梁接続構造10Dは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Dとを有する。そして、梁30Dのフランジ部31Dは、基準フランジ部32Dと、基準フランジ部32Dに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部33Dとを有する。第2変形例における拡幅部33Dは、
図18Bに示されるように、第1変形例における拡幅部33Cと同様に、梁長手方向の梁端側を見たときに、基準フランジ部32Dに対して右側に形成されている。但し、梁30Dは、柱20の軸心と梁30Dの軸心とが揃えられて接続されている、偏心なしタイプの片側水平ハンチ梁である。
【0112】
第3変形例の柱梁接続構造10Eは、本実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Eとを有する。そして、梁30Eのフランジ部31Eは、基準フランジ部32Eと、基準フランジ部32Eに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部33Eとを有する。第3変形例における拡幅部33Eは、
図18Cに示されるように、第1変形例における拡幅部33Cと同様に、梁長手方向の梁端側を見たときに、基準フランジ部32Eに対して右側に形成されている。但し、梁30Eは、柱20の中心に対して梁幅方向の他方側(具体的には、拡幅部33Eが形成される側)に偏心して柱20と接続されている、偏心ありタイプの片側水平ハンチ梁である。
【0113】
図19は、梁30C~梁30Eにおける相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図である。
図19は、上述した変形例の柱梁接続構造10C~10Eの各モデルについて、
図7A~
図8に示される再現解析と同様の解析を行い、梁の変形に基づいて、梁端の相当塑性ひずみを調査した結果である。
【0114】
図19において、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
図19に示されるように、梁30C~梁30Eの全てのグラフが、梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在する。すなわち、梁の偏心の有無、梁の柱に対する偏心の方向(例えば、拡幅部が形成される側か否か)に関わらず、梁の拡幅部の寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)を上述したような所定の範囲にすることにより、破断が抑制されると考えられる。
【0115】
===第2実施形態===
図20は、第2実施形態の柱梁接続構造10F及び柱梁接続構造10Gを示す図であり、
図20Aは、第1例の柱梁接続構造10Fの平面図であり、
図20Bは、第2例の柱梁接続構造10Gの平面図である。
【0116】
第1例の柱梁接続構造10Fは、
図20Aに示されるように、上述した第1実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Fとを有する。
【0117】
第1例の柱梁接続構造10Fでは、梁30Fは、上述した第1実施形態の柱梁接続構造10と同様に、片側水平ハンチ梁である。つまり、梁30Fのフランジ部31Fは、基準フランジ部32Fと、基準フランジ部32Fに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部33Fとを有する。言い換えると、梁30Fのフランジ部31Fは、基準フランジ部32Fと、柱20に向かって基準フランジ部32Fの一方側を拡幅しない一方側非拡幅部と、基準フランジ部32Fの他方側を拡幅した他方側拡幅部(拡幅部33F)と、を有する。
【0118】
また、第1例の柱梁接続構造10Fでは、一方側非拡幅部の端部とダイアフラム21の端部との取り合いが揃えられている。すなわち、フランジ部31Fの端と、ダイアフラム21の端との距離(上述した
図10に示されるC)が0である。
【0119】
第2例の柱梁接続構造10Gは、
図20Bに示されるように、上述した第1実施形態の柱梁接続構造10と同様の柱20及びダイアフラム21と、梁30Gとを有する。
【0120】
第2例の柱梁接続構造10Gでは、梁30Gは、上述した比較例の柱梁接続構造10Aと同様に、両側水平ハンチ梁である。つまり、梁30Gのフランジ部31Gは、基準フランジ部32Gと、基準フランジ部32Gに対して梁幅方向の一方側に形成された拡幅部34Gと、基準フランジ部32Gに対して梁幅方向の他方側に形成され、拡幅部34Gよりも大きく拡幅した拡幅部33Gとを有する。言い換えると、梁30Gのフランジ部31Gは、基準フランジ部32Gと、柱20に向かって基準フランジ部32Gの一方側を拡幅した一方側拡幅部(拡幅部34G)と、柱20に向かって基準フランジ部32Gの他方側を一方側よりも大きく拡幅した他方側拡幅部(拡幅部33G)と、を有する。
【0121】
また、第2例の柱梁接続構造10Gでは、一方側拡幅部(拡幅部34G)の端部とダイアフラム21の端部との取り合いが揃えられている。すなわち、フランジ部31Gの端と、ダイアフラム21の端との距離(上述した
図10に示されるC)が0である。
【0122】
図21は、Aタイプ、L/D=6、ハンチ長さ200mmでの、フランジ部とダイアフラムの取り合い比較に関する相当塑性ひずみε
eqと塑性率μとの関係を示す図である。
【0123】
図21において、縦軸は、相当塑性ひずみε
eqを表し、横軸は塑性率μを表す。また、フランジ部とダイアフラムとの取り合いを揃えた場合の梁(上述した第1例の柱梁接続構造10Fの梁30F)の結果と、フランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えない場合の梁の結果をそれぞれグラフにて表している。また、上述した
図9Bに示される破断を判定するための包絡線(太い破線)を重ね合わせている。
【0124】
図21に示されるように、フランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えた場合の梁(梁30F)では、グラフが梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域に存在しており、破断が抑制されると考えられる。一方、フランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えない場合の梁では、グラフが梁の変形に対する相当塑性ひずみに基づく非破断領域の外に存在しており、破断が発生している可能性がある。これは、フランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えることにより、取り合い部分における突出形状が抑制されることで、ひずみの集中を低減させることができ、その結果、破断が抑制され、フランジ部(梁)の変形能力を向上させることができるからと考えられる。
【0125】
したがって、フランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えることにより、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0126】
なお、本実施形態の第1例の柱梁接続構造10Fや第2例の柱梁接続構造10Gにおいて、上述したフランジ部とダイアフラムの取り合いを揃えることに加え、フランジ部の拡幅部の寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)を所定の範囲にすることにより、さらに梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。すなわち、第1例の柱梁接続構造10Fでは、上述した第1実施形態の柱梁接続構造10と同様に、数式(1)及び数式(2)に加えて、数式(3)で求められる比率αについて、1.0≦α<1.1のとき、Lh/Bf≧2.0であり、1.1≦αのとき、Lh/Bf≧1.8のようにフランジ部の拡幅部の寸法を定めることで、梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。
【0127】
第2例の柱梁接続構造10Gでは、第1実施形態の柱梁接続構造10や第1例の柱梁接続構造10Fと異なり、梁30Gは、片側水平ハンチ梁ではなく、両側水平ハンチ梁である。但し、この場合であっても、フランジ部31Gの拡幅部33Gの寸法(ハンチ長さ、ハンチ幅)を所定の範囲にすることにより、さらに梁端の破断を抑制し、十分な変形性能を有することができる。ここで、梁端の仕口部の全塑性モーメントendMfは、下記の数式(4)により定まる。
endMf=(Bh+ Bh´ + Bf)・tf・(D-tf)・σy・・・(4)
【0128】
なお、数式(4)において、
図20Bに示されるように、B
hは他方側拡幅部(拡幅部33G)のハンチ幅であり、B
h´は一方側拡幅部(拡幅部34G)のハンチ幅であり、B
fは、基準フランジ部32Gのフランジ幅である。また、t
fは、フランジ厚であり、Dは、梁30Gの梁せいであり、σ
yは降伏点である。
【0129】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0130】
10,10A~10G 柱梁接続構造
20 柱
21 ダイアフラム
30,30A~30G 梁
31,31A~31G フランジ部
32,32A~32G 基準フランジ部
33,33A~33G,34A,34G 拡幅部
35,35A~35G ウェブ部