(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071129
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】輸送用包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240517BHJP
B65D 77/26 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D81/05 100
B65D77/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181918
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢治
【テーマコード(参考)】
3E066
3E067
【Fターム(参考)】
3E066AA12
3E066BA02
3E066CA01
3E066CA04
3E066DA01
3E066FA05
3E066HA04
3E066JA01
3E066NA60
3E067AA22
3E067AB81
3E067AC03
3E067AC12
3E067BA06A
3E067BB02A
3E067BC06A
3E067ED02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD03
(57)【要約】
【課題】吐出手段としてスプレーディスペンサーや手押しポンプを有するアルコール系消毒組成物内包体を輸送するにあたり、該内包体の内容物が漏洩することなく安全に輸送可能な、アルコール系消毒組成物内包体の輸送用包装体を提供する。
【解決手段】該輸送用包装体は天面、底面、および側面を有する段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置され、該アルコール系消毒組成物内包体の上部と該段ボール製外箱の天面との間に、発泡倍率が30~60倍である発泡スチロール体を載置した事を特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール系消毒組成物が充填された容器と、該容器の上部に該アルコール系消毒組成物の吐出手段を有するアルコール系消毒組成物内包体を輸送するための輸送用包装体であって、該輸送用包装体は天面、底面、および側面を有する段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置され、該アルコール系消毒組成物内包体の上部と該段ボール製外箱の天面との間に、発泡倍率が30~60倍である発泡スチロール体を載置した事を特徴とする、輸送用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手指消毒組成物に代表されるアルコール系消毒組成物を内包したアルコール系消毒組成物内包体を輸送するための、輸送用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
手指消毒組成物として、エタノール、イソプロピルアルコール等を含有するアルコール系の手指消毒組成物が、各種菌又はウィルスへの広い抗菌・抗ウィルス性が得られる観点と、速乾性に伴う優れた使用感の観点から、広く用いられている。
【0003】
アルコール系の消毒組成物で手指を消毒するにあたり、スプレーディスペンサーや手押し式のポンプを備えた容器が好適に利用され、例えば特表2002-511391号公報(特許文献1)には、液体消毒用組成物を小分け容器に包装するにあたり、トリガースプレーディスペンサーやポンプスプレーディスペンサー等のスプレーディスペンサーに包装された液体消毒用組成物が記載され、実用新案登録第3198649号公報(特許文献2)には、シャンプーや液状せっけん、アルコール消毒液等を入れて使用するための手押しポンプ容器が記載されている。
【0004】
また特開2005-068089号公報(特許文献3)には、例えばヒノキチオール0.5%、アルコール97.5%、精製水1%、ジプロピレングリコール1%を均一に混合したコロナウイルス消毒剤を、スプレー容器に充填し室内や物品・空気の清浄、マスク等に吹きかけ感染予防等に使用することが記載されている。
【0005】
上記した手指消毒組成物やコロナウイルス消毒剤が充填されたスプレーディスペンサーや手押しポンプ容器、およびスプレー容器等の、アルコール系消毒組成物の吐出手段を有するアルコール系消毒組成物内包体は通常、工場内で製造された後、小売店等へ輸送される。その際、該内包体は一旦段ボール箱に収納され、該段ボール箱はトラック等の荷室において天地方向に複数段に積載され輸送される。しかしながら下段の段ボール箱に収納された内包体には輸送時に負荷がかかる事で容器内部のアルコール系消毒組成物が漏洩する場合があり、改善が求められていた。
【0006】
一方、特開2019-6465号公報(特許文献4)には、内部に収容された対象物の温度を所定の範囲内に維持する低温輸送容器が記載され、該容器の側壁部材を発泡倍率20~60倍かつ独立気泡率80%以上の独立気泡発泡体により構成することで、輸送時の横揺れに対する十分な緩衝性能が得られることが記載される。また特開2009-280261号公報(特許文献5)には、梱包ケースの仕切り板を形成する軟質ポリウレタンフォームの発泡倍率を10~60倍程度とすることが記載され、該仕切り板によって収納作業性が改善され、輸送中の揺動も抑制される。更に特開2005-008216号公報(特許文献6)には、紙製容器の底面に平面形状の発泡スチロール製平板を補助底板として設ける事で、該容器を積み重ねて保管する際や輸送する際の荷崩れを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002-511391号公報
【特許文献2】実用新案登録第3198649号公報
【特許文献3】特開2005-068089号公報
【特許文献4】特開2019-6465号公報
【特許文献5】特開2009-280261号公報
【特許文献6】特開2005-008216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、手指消毒組成物やコロナウイルス消毒組成物に代表されるアルコール系消毒組成物が充填され、該組成物の吐出手段としてスプレーディスペンサーや手押しポンプ等を有するアルコール系消毒組成物内包体を輸送するにあたり、該内包体の内容物が漏洩することなく安全に輸送可能な、輸送用包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成を有する輸送用包装体によって、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
(1)アルコール系消毒組成物が充填された容器と、該容器の上部に該アルコール系消毒組成物の吐出手段を有するアルコール系消毒組成物内包体を輸送するための輸送用包装体であって、該輸送用包装体は天面、底面、および側面を有する段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置され、該アルコール系消毒組成物内包体の上部と該段ボール製外箱の天面との間に、発泡倍率が30~60倍である発泡スチロール体を載置した事を特徴とする、輸送用包装体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トラック等の荷室に積載され輸送された際にも、アルコール系消毒組成物内包体の内容物が漏洩することなく安全に輸送可能な、輸送用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された一例を示す概略上面図。
【
図2】段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された一例を示す概略側面図。
【
図3】段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された別の一例を示す概略上面図。
【
図4】段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された別の一例を示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、アルコール系消毒組成物内包体の輸送用包装体(以下、本発明の輸送用包装体とも記載する)は、天面、底面、および側面を有する段ボール製外箱を有する。かかる外箱内には複数のアルコール系消毒組成物内包体、例えば12本のアルコール系消毒組成物内包体、あるいは24本のアルコール系消毒組成物内包体等が梱包される。
【0014】
図1は段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された一例を示す概略上面図である。
図1において段ボール製外箱10内には、12本のアルコール系消毒組成物内包体20が載置されている。かかるアルコール系消毒組成物内包体20は、該アルコール系消毒組成物を内包する円筒状の容器40と、該容器40内からアルコール系消毒組成物を取り出し、例えば該消毒組成物を手指に供給するための供給手段30を有する。なお
図1では便宜上、後述するU字状パット70および発泡スチロール体60は省略している。
【0015】
上記した供給手段30としては、スプレーディスペンサーやポンプ式の供給手段が例示され、
図1では手押しポンプ式の供給手段30を有するアルコール系消毒組成物内包体20が段ボール製外箱10内に載置されている。また
図1では、該容器40内からアルコール系消毒組成物を取り出す手押しポンプ式の供給手段30が、互いに隣り合ったアルコール系消毒組成物内包体20が有する供給手段と略平行となり互いが向かい合うように載置されているので(隣り合う2本のノズル50により図示しない発泡スチロール体を強固に保持する保持面60が複数形成されており)、この事は外部からの衝撃による内容物の漏洩を防止する観点から好ましい。
【0016】
図2は段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された一例を示す概略側面図である。
図2においてアルコール系消毒組成物内包体20の上部、詳細には該内包体20が有する供給手段30の上部と、段ボール製外箱10の天面との間に、発泡スチロール体60が載置されている。発泡スチロール体60は段ボール製外箱10内であってアルコール系消毒液内包体20の上部に直接載置されても良いが、
図2に示されるように段ボール製のU字状パット70を準備し(該U字状パット70の外側のサイズは段ボール製外箱10の内側に存在する、供給手段30上の空間サイズと同等である事が望ましい)、該U字状パット70内に発泡スチロール体60を充填することは、外部からの衝撃による内容物の漏洩を防止する観点からより好ましい。
【0017】
図3は段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された別の一例を示す概略上面図である。
図3において段ボール製外箱10内には、12本のアルコール系消毒組成物内包体20が載置されている。かかるアルコール系消毒組成物内包体20は、該アルコール系消毒組成物を内包する容器40と、該容器40内からアルコール系消毒組成物を取り出し、例えば該消毒組成物を手指に供給するための供給手段30を有する。前述の
図1に記載のアルコール系消毒組成物内包体20は、供給手段30として手押しポンプ式の供給手段を有していたが、
図3のアルコール系消毒組成物内包体20は供給手段30として、スプレーノズル式(トリガータイプ)の供給手段を有している。また
図1に記載のアルコール系消毒組成物内包体20は円筒状の容器40を有していたのに対し、
図3のアルコール系消毒組成物内包体20は楕円筒状の容器40を有する。なお
図3では便宜上、後述するU字状パット70および発泡スチロール体60は省略している。
【0018】
図4は段ボール製外箱内に複数のアルコール系消毒組成物内包体が載置された別の一例を示す概略側面図であり、また
図4は前述した
図2と同様に、アルコール発泡系消毒組成物内包体20の上部と段ボール製外箱10の天面との間に、発泡スチロール体60が載置されており、前述した
図2と同様に、段ボール製のU字状パット70を準備し(該U字状パット70の外側のサイズは段ボール製外箱10の内側に存在する供給手段30上の空間サイズと同等)、該U字状パット70内に発泡スチロール体60を充填することで、外部からの衝撃による内容物の漏洩を防止している。なお本発明においてアルコール系消毒組成物内包体の上部空間と段ボール製外箱の天面との間に載置された発泡スチロール体の高さ(好ましくは発泡スチロール体が充填された段ボール製のU字状パットの高さ)は、段ボール製外箱内における空間部の高さ(段ボール製外箱内における供給手段30の天面を結んだ位置と、段ボール製外箱の天面内部間の長さ)に対して95~100%であることが好ましく、99~100%であることがより好ましい。
【0019】
本発明において段ボール製外箱を形成する段ボール板は、ライナーと呼ばれる表の紙と裏の紙で、中芯と呼ばれる波状の紙を挟んだものであり、その厚みは3~10mmであることが好ましい。また該段ボール板は表の紙と裏の紙の間に中の紙を設け、表の紙と中の紙、および中の紙と裏の紙の間にそれぞれ中芯を有する段ボール製外箱であっても良い。なお前述したU字状パットを形成する段ボール板は、加工性の観点から厚みが3~5mmである事が好ましい。
【0020】
本発明において段ボール製外箱の形状は特に限定されず、例えばA式段ボール箱(ミカン箱タイプ)やB式段ボール箱(底組・ワンタッチタイプ)を例示することができる。
【0021】
本発明の輸送用包装体では、アルコール系消毒組成物内包体の上部と該段ボール製外箱の天面との間に、発泡倍率が30~60倍である発泡スチロール体を緩衝材として載置する。後述する実施例に示したように、該発泡スチロール体の発泡倍率が30倍に満たない場合には硬すぎるため輸送中に発生する衝撃に対して緩衝できずに、アルコール系消毒組成物内包体内の組成物が漏洩する場合が生じる。また発泡倍率が60倍を超える場合には柔らかすぎるため輸送中に発生する衝撃に対して緩衝できずに、アルコール系消毒組成物内包体内の組成物が漏洩する場合が生じる。
【0022】
本発明の輸送用包装体では段ボール製外箱内に、アルコール系消毒組成物内包体の間を仕切る、組仕切りを有する事も可能である。かかる組仕切りは、格子状に結合される1又は複数の第1仕切板と1又は複数の第2仕切板とを有し、該第1仕切板は上辺に切り欠き部を有する事が好ましく、これにより該切り欠き部にスプレーディスペンサーやポンプ式の供給手段を固定する事が可能となる。また第1仕切り板の高さ(切り欠き部を有さない位置の高さ)をアルコール系消毒組成物内包体の高さと同等とすることで、輸送における内包体の内容物の漏洩を更に防ぐことが可能となる。ここで同等とは第1仕切り板の切り欠き部を有さない位置の高さが、アルコール系消毒組成物内包体の高さの98~102%であることを意味する。
【0023】
本発明においてアルコール系消毒組成物内包体が内包するアルコール系消毒組成物は、エタノールを含有することが好ましい。エタノールを含有する目的は、殺菌性の付与と、製剤に速乾性を付与することで、消毒組成物の使用感を向上させることである。更に該アルコール系消毒組成物中におけるエタノールの占める割合は52~58質量%である事が好ましい。エタノールの占める割合が52質量%未満の場合には、良好な製剤の安定性が得られない場合がある。また、速乾性が低くなり、使用感が低下する傾向が顕著になる。一方、エタノールの占める割合が58質量%を超える場合には、引火性や燃焼性が高くなり、アルコール系消毒組成物の保管や運搬が煩雑となる。
【0024】
アルコール系消毒組成物は、殺菌性の付与を目的として、エタノール以外の低級アルコール(ただし後述するグリセリンは除く)を含有することができる。かかる低級アルコールとしてはイソプロピルアルコールが好ましい。エタノール以外の低級アルコールの含有量は、エタノールに対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0025】
本発明においてアルコール系消毒組成物は、水を含有することが好ましい。かかる水としては、精製水であることが好ましい。本発明のアルコール系消毒組成物中における水の占める割合は、40~48質量%が好ましい。これにより、アルコール系消毒組成物と菌又はウィルスが接触する時間を十分に確保することができる。
【0026】
本発明においてアルコール系消毒組成物はグリセリンを含有することが好ましい。グリセリンを含有する目的は、湿潤性を付与することであり、該アルコール系消毒組成物を手指消毒用途に使用した際に、皮膚の過度な乾燥を抑制することである。グリセリンを含有することにより、使用後にしっとり感を付与し、手荒れを抑制することができる。該アルコール系消毒組成物中におけるグリセリンの占める割合は0.2~0.6質量%であることが好ましい。グリセリンの占める割合が0.2質量%未満の場合には、該アルコール系消毒組成物の使用後の湿潤性・しっとり感が不十分となる場合がある。一方、グリセリンの占める割合が0.6質量%を超える場合には、使用後のべたつき感が強く生じ、使用感が不十分となる場合がある。
【0027】
アルコール系消毒組成物は上記したエタノール、エタノール以外の低級アルコール、水、およびグリセリン以外に、トリイソオクタン酸グリセリンを含有することができる。トリイソオクタン酸グリセリンを含有すると、トリイソオクタン酸自身の湿潤性付与効果のみならず、グリセリンによる湿潤性・しっとり感を維持したまま、使用後のべたつき感を抑制し、優れた使用感を得ることが可能となる。該アルコール系消毒組成物中におけるトリイソオクタン酸グリセリンの占める割合は0.05~0.25質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1~0.2質量%である。トリイソオクタン酸グリセリンの占める割合が0.05質量%未満の場合には、使用後のべたつき感の抑制効果が不十分であり、べたつき感が生じる場合がある。また、0.25質量%を超える場合には、製剤の安定性が不十分である場合がある。
【0028】
アルコール系消毒組成物は、湿潤性を付与し、手荒れ等の発生を抑制するために、上記したグリセリンおよび上記したトリイソオクタン酸グリセリン以外に、他の保湿剤を含有することができる。かかる保湿剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポロキサマー、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、エチルヘキサンジオール、イソペンチルジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、リノール酸グリセリル、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール等のポリオール化合物、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ムチン、セラミド、尿素、トレハロース及びその誘導体等が挙げられる。前記保湿剤は、単独で用いても良いし、二種類以上を併用して用いても良い。本発明のアルコール系消毒組成物中における保湿剤の濃度は、0.01~0.25質量%が好ましい。
【0029】
本発明においてアルコール系消毒組成物は、殺菌性等の効果を向上させることを目的として、各種殺菌消毒薬を含有することができる。かかる殺菌消毒薬としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン塩等のビグアナイド化合物、クレゾールに代表されるフェノール化合物、ヨウ素化合物、アクリノール等の色素系化合物等が挙げられる。アルコール系消毒組成物中における殺菌消毒薬の濃度は、0.005~0.25質量%が好ましい。
【0030】
本発明においてアルコール系消毒組成物は、粘性を付与し、使用時に手のひらからの液だれを防止する目的で、増粘剤を含有することができる。かかる増粘剤としては、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、プルラン、マンナン、アミロペクチン、アミロース、デキストラン、ヒドロキシエチルデキストラン、レバン、イヌリン、キチン、キトサン、キシログルカン、アルギン酸、アラビアゴム、グアーガム、トラガントガム、ヒアルロン酸、ヘパリン、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記した増粘剤は、単独で用いても良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
【0031】
本発明においてアルコール系消毒組成物は、上記した成分の他に、炭酸塩などの発泡剤、非イオン性・アニオン性・カチオン性等の界面活性剤、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤、pH調整剤、緩衝剤、香料、色素などを含有することができる。
【実施例0032】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
<アルコール系消毒組成物の作製>
エタノール530g、グリセリン5g、トリイソオクタン酸グリセリンとしてエキセパール(登録商標)TGO(花王株式会社製)2g、50質量%塩化ベンザルコニウムとしてサニゾール(登録商標)B-50(花王株式会社製)を1g混合した後に、精製水を加えて全体を1000gとし、アルコール系消毒組成物を得た。
【0034】
外径が92mm、高さが222mmの吉田硝子株式会社製の容器20(該容器の内部容積は1045mL)を準備し、上記のようにして得られたアルコール系消毒組成物1025mlを該容器20内に注入し、その後、該容器20の開口部に供給手段として手押し式ポンプを固定することでアルコール系消毒組成物内包体を得た。またこの様な内包体を12本準備した。
【0035】
次に、厚さ5mmの段ボール板を用い、縦280mm、横370mm、高さ257mmの内寸を有する段ボール製外箱(A式段ボール箱)を準備した。該段ボール製外箱内に上記したアルコール系消毒組成物内包体を
図1の形態(隣り合うアルコール系消毒組成物内包体が有するノズルが互いに向き合うような形態)で載置した。また該段ボール製外箱内であってアルコール系消毒組成物内包体の上部と、段ボール製外箱の天面との間に生じた空間には、縦278mm、横368mm、高さ35mmの外寸を有するU字状パット内に、縦268mm、横358mm、高さ30mmの外寸を有する発泡スチロール体(発泡倍率40倍)を緩衝材として載置し、実施例1の輸送用包装体を得た。なお、実施例1の輸送用包装体において、アルコール系消毒組成物内包体の上部と段ボール製外箱の天面との間に載置された、発泡スチロール体が充填された段ボール製のU字状パットの高さは、段ボール製外箱内における空間部の高さ(段ボール外箱内における容器20上の空間部の高さ)に対して100%であった。
【0036】
実施例2
実施例1の輸送用包装体において、アルコール系消毒組成物内包体と段ボール製外箱の天面との間に生じた空間に、縦278mm、横368mm、高さ35mmの外寸を有するU字状パット内に、縦268mm、横358mm、高さ30mmの外寸を有する発泡スチロール体(発泡倍率50倍)を緩衝材として載置した以外は同様にして実施例2の輸送用包装体を得た。
【0037】
比較例1
実施例1の輸送用包装体において、アルコール系消毒組成物内包体と段ボール製外箱の天面との間に生じた空間に、縦278mm、横368mm、高さ35mmの外寸を有するU字状パット内に、縦268mm、横358mm、高さ30mmの外寸を有する発泡スチロール体(発泡倍率20倍)を緩衝材として載置した以外は同様にして比較例1の輸送用包装体を得た。
【0038】
比較例2
実施例1の輸送用包装体において、アルコール系消毒組成物内包体と段ボール製外箱の天面との間に生じた空間に、縦278mm、横368mm、高さ35mmの外寸を有するU字状パット内に、縦268mm、横358mm、高さ30mmの外寸を有する発泡スチロール体(発泡倍率70倍)を緩衝材として載置した以外は同様にして比較例2の輸送用包装体を得た。
【0039】
上記した実施例1~2、および比較例1~2の輸送用包装体を、輸送用包装体の天面側を下方にして、高さ1.3mより平面な床に落下させ、後に該アルコール系消毒組成物の該内包体からの漏洩について以下の基準で評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0040】
〇:内包体よりアルコール系消毒組成物の漏洩が無かった。
×:内包体よりアルコール系消毒組成物の漏洩があった。
【0041】
【0042】
表1の結果から、本発明の有効性が判る。