(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071135
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20240517BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L25/00 B
H01L25/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181925
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】土山 和晃
(72)【発明者】
【氏名】佃 龍明
(57)【要約】
【課題】半導体チップの保護膜にクラックが発生することを防止しつつ、電源インピーダンスを低減する。
【解決手段】
半導体装置1は、第1端子T1を有する基材11と、第1端子T1と電気的に接続された第1電極パッドP1、電源電位に接続される第2電極パッドP2、および基準電位に接続される第3電極パッドP3を有し、第1部材を介して基材11上に搭載された半導体チップ12と、第2部材を介して半導体チップ12上に搭載された、第1電極および第2電極を有するチップコンデンサと、第1電極パッドP1と第1端子T1とを互いに、かつ、電気的に接続する第1ワイヤ14と、基材11を経由することなく、第2電極パッドP2と第1電極131とを互いに、かつ、電気的に接続する第2ワイヤ15と、基材11を経由することなく、第3電極パッドP3と第2電極132とを互いに、かつ、電気的に接続する第3ワイヤ16と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する基材と、
前記第1端子と電気的に接続された第1電極パッド、電源電位が供給される第2電極パッド、および基準電位が供給される第3電極パッドを有し、第1部材を介して前記基材上に搭載された半導体チップと、
第1電極および第2電極を有し、第2部材を介して前記半導体チップ上に搭載されたチップコンデンサと、
前記第1電極パッドと前記第1端子とを互いに、かつ、電気的に接続する第1ワイヤと、
前記基材を経由することなく、前記第2電極パッドと前記第1電極とを互いに、かつ、電気的に接続する第2ワイヤと、
前記基材を経由することなく、前記第3電極パッドと前記第2電極とを互いに、かつ、電気的に接続する第3ワイヤと、
前記半導体チップ、前記チップコンデンサ、前記第1ワイヤ、前記第2ワイヤ、および前記第3ワイヤを封止する樹脂封止体と
を備え、
前記第2ワイヤおよび前記第3ワイヤのそれぞれの長さは、前記第1ワイヤの長さよりも短い、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、DRAMチップおよび前記DRAMチップを制御するロジックチップを含み、
前記DRAMチップおよび前記ロジックチップの少なくともいずれかは、その表面上に前記チップコンデンサが搭載された前記半導体チップとして備えられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記DRAMチップおよび前記ロジックチップの両方が、その表面上に前記チップコンデンサが搭載された前記半導体チップとして備えられる、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ロジックチップは、その表面上に前記チップコンデンサが搭載された前記半導体チップとして備えられ、
前記ロジックチップ上に搭載された前記チップコンデンサが、前記ロジックチップから見た高周波域の電源インピーダンスを低減し、
前記基材上に搭載されたチップコンデンサが、前記ロジックチップから見た低周波域の電源インピーダンスを低減する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記DRAMチップおよび前記ロジックチップのうち一方の半導体チップが、他方の半導体チップ上に積み上げられ、
前記一方の半導体チップは、その表面上に前記チップコンデンサが搭載された前記半導体チップとして備えられ、
前記他方の半導体チップは、前記基材上に搭載されたチップコンデンサに接続される、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
積み上げられた複数のDRAMチップを備え、
DRAMチップごとに前記チップコンデンサが搭載される、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面視において、前記第1電極パッド、前記第2電極パッドおよび前記第3電極パッドを有する複数の電極パッドが、前記半導体チップの各辺に沿って、かつ、複数列に亘って配置されており、
前記第2電極パッドおよび第3電極パッドのそれぞれは、前記複数列のうちの最も内側の列に配置されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記DRAMチップのデータ転送速度は、2000Mbps以上である、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2部材は、ダイアタッチフィルムである、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記電源電位は、前記基材を経由することなく、前記チップコンデンサから前記半導体チップに供給され、
前記基準電位は、前記基材を経由することなく、前記チップコンデンサから前記半導体チップに供給される、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、半導体チップの主面、つまり電極パッド形成面上にチップコンデンサを搭載した半導体装置を開示している。チップコンデンサは電源電位と基準電位の間に設けられ、バイパスコンデンサとして動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-184933号公報
【特許文献2】特開2011-124604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の高速化に伴い、電源のターゲットインピーダンス(電源インピーダンスとも言う)を小さくする必要性が増加している。例えば、DDR4 SDRAM(Double Data Rate4 Synchronous Dynamic Random Access Memory)では、データ転送速度が2000Mbps(Megabits Per Second)以上になることがあり、電源インピーダンスを低減する必要性が高い。本願の発明者は、特許文献1および特許文献2のように、電源電位用配線と基準電位用配線とを繋ぐバイパスコンデンサを半導体チップ上に配置し、電源インピーダンスを小さくする方法について検討した。
【0005】
検討の結果、特許文献1の
図1のようにバイパスコンデンサを半導体チップ上に直接はんだ付けする場合、半田材をリフローする工程で半導体チップの主面を覆う保護膜(パッシベーション膜とも言う)にクラックが生じる恐れがあることがわかった。また、特許文献2の
図21(b)のようにバイパスコンデンサを基材(例:配線基板)に接続する場合、電源端子とバイパスコンデンサとの距離が長く、電源インピーダンスを低減する効果が不十分であることがわかった。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、
第1端子を有する基材と、
前記第1端子と接続された第1電極パッド、電源電位が供給される第2電極パッド、および基準電位が供給される第3電極パッドを有し、第1部材を介して前記基材上に搭載された半導体チップと、
第1電極および第2電極を有し、第2部材を介して前記半導体チップ上に搭載されたチップコンデンサと、
前記第1電極パッドと前記第1端子とを互いに、かつ、電気的に接続する第1ワイヤと、
前記基材を経由することなく、前記第2電極パッドと前記第1電極とを互いに、かつ、電気的に接続する第2ワイヤと、
前記基材を経由することなく、前記第3電極パッドと前記第2電極とを互いに、かつ、電気的に接続する第3ワイヤと、
前記半導体チップ、前記チップコンデンサ、前記第1ワイヤ、前記第2ワイヤ、および前記第3ワイヤを封止する樹脂封止体と
を備え、
前記第2ワイヤおよび前記第3ワイヤのそれぞれの長さは、前記第1ワイヤの長さよりも短い。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、半導体チップの保護膜にクラックが生じることを防ぎつつ、電源インピーダンスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1にかかる半導体装置の上面図である。
【
図2】
図1のA-A’断面を模式的に示す概念図である。
【
図3】関連する半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図4】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図5】実施形態2にかかる半導体装置の回路構成を説明する図である。
【
図6】実施形態2にかかる半導体装置の上面図である。
【
図7】
図6のB-B’断面を模式的に示す概念図である。
【
図10】実施形態3にかかる半導体装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(実施形態1)
図1は実施形態1にかかる半導体装置1を上方向から見た上面図である。なお、半導体装置1は樹脂封止体17により封止されるため、半導体チップ12等は実際には上方向からは見えない。
図2は
図1のA-A断面を模式的に示す概念図である。断面図ではあるが、見やすくするためにハッチングを省略している。
【0012】
図2に示されるように、半導体装置1は、基材11、半導体チップ12、チップコンデンサ13、第1ワイヤ14、第2ワイヤ15、第3ワイヤ16、および樹脂封止体17を備えている。
【0013】
基材11は、半導体チップ12が搭載される半導体パッケージ基板である。
図1および
図2は、基材11がBGA(Ball Grid Array)基板である場合を示しているが、基材11はリードフレームであってもよい。
【0014】
図2に示されるように、基材11の上面には、半導体チップ12と電気的に接続される第1端子T1が配置されている。第1端子T1は、例えば、半導体チップ12に電源(例:電源電位、基準電位)を供給する端子や、半導体チップ12に電気信号を入力、あるいは、半導体チップ12に電気信号を出力する端子を含む。
図2に示されるように、基材11の下面には、上面と下面との間に設けられた配線を介して第1端子T1と電気的に接続された、第2端子T2が配置されている。そして、この第2端子T2上には、外部基板と電気的に接続される外部接続端子(例:半田ボール)が形成されている。
【0015】
図2に示されるように、半導体チップ12は、第1部材21を介して基材11上に搭載されている。なお、本実施形態1では、この第1部材21は、例えば、ダイアタッチフィルム(DAF)である。半導体チップ12は、高周波の信号を扱う半導体チップであってもよい。高周波の信号を扱う半導体チップとは、例えば、そのデータ転送速度が速いDRAMチップ(例:2000Mbps以上)や、前記DRAMチップと通信するロジックチップである。
【0016】
なお、半導体装置1は、複数の半導体チップを含むSiP(System In a Package)であってもよい。複数の半導体チップは、横に並べられてもよく、縦積みされていてもよい。なお、バイパスコンデンサとして機能するチップコンデンサ13が、全ての半導体チップ上に搭載されている必要はない。
【0017】
半導体チップ12は、複数の電極パッドPDを有している。本実施形態1では、複数の電極パッドPDは、
図1に示されるように、半導体チップ12の各辺に沿って配置されている。なお、複数の電極パッドPDは、半導体チップ12の各辺に沿って、かつ、複数列に亘って配置されていてもよい。
図2を参照すると、電極パッドPDが配置された領域以外は保護膜121で覆われている。保護膜121(パッシベーション膜とも言う)は、例えば、シリコン酸化膜とポリイミド膜とを含んでいてもよい。
【0018】
複数の電極パッドPDには、第1電極パッドP1、第2電極パッドP2、および第3電極パッドP3が含まれている。
【0019】
第1電極パッドP1は、第1端子T1に電気的に接続される。第1電極パッドP1を介して半導体チップ12から電気信号を入力、あるいは、半導体チップ12に電気信号を出力してもよく、第1電極パッドP1を介して半導体チップ12に電源を供給してもよい。
【0020】
第2電極パッドP2には、電源電位が供給される。第2電極パッドP2は、半導体チップ12に設けられた電源電位用配線に電気的に接続されてもよい。
【0021】
第3電極パッドP3には、基準電位が供給される。第3電極パッドP3は、半導体チップ12に設けられた基準電位用配線に電気的に接続されてもよい。
【0022】
上記したように、複数の電極パッドPDは、半導体チップ12の各辺に沿って、かつ、複数列に亘って設けられてもよい。この場合、第2電極パッドP2および第3電極パッドP3は、最も内側の列に配置されてもよい。これにより、
図1に示されるように、半導体チップ12の表面のうち、複数の電極パッドPDで囲まれた領域にチップコンデンサ13が配置されている場合には、後述する第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれの長さを、後述するワイヤ14の長さよりも低減できる。この場合、第1電極パッドP1は外側の列に配置されてもよい。また、第2電極パッドP2および第3電極パッドP3のうちの一方は内側の列に配置される一方、他方は外側の列に配置されていてもよい。
【0023】
図2に示されるように、チップコンデンサ13は、第2部材22を介して半導体チップ12上に搭載されている。なお、本実施形態1では、この第2部材22は、例えば、ダイアタッチフィルム(DAF)である。チップコンデンサ13は、第1電極131および第2電極132を有している。チップコンデンサ13は所謂バイパスコンデンサとして機能する。チップコンデンサ13の数は、複数(例:6個)であってもよい。
【0024】
なお、第1部材21および第2部材22はダイアタッチフィルムに限定されるものではない。第1部材21および第2部材22は、接着剤や絶縁性のペーストであってもよい。但し、ペーストは、塗布してから硬化するまでの間に、ダイアタッチフィルムと比較して、その形状が変形し易い。そのため、第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれの長さを低減するために、チップコンデンサ13を各電極パッドP2、P3の近傍に配置する場合には、ペーストよりもダイアタッチフィルムを用いることが好ましい。
【0025】
第1ワイヤ14は、第1電極パッドP1と第1端子T1とを互いに、かつ、電気的に接続する。これにより、基材11と半導体チップ12とが互いに、かつ、電気的に接続される。第1ワイヤ14の金属素材は特に限定されないが、例えば、金、銅、アルミ等である。
【0026】
第2ワイヤ15は、基材11を経由することなく、第2電極パッドP2と第1電極131とを互いに、かつ、電気的に接続する。第2ワイヤ15の金属素材は特に限定されないが、例えば、金、銅、アルミ等である。
【0027】
第3ワイヤ16は、基材11を経由することなく、第3電極パッドP3と第2電極132とを互いに、かつ、電気的に接続する。第2ワイヤ15および第3ワイヤ16の金属素材は特に限定されないが、例えば、金、銅、アルミ等である。
【0028】
第2ワイヤ15および第3ワイヤ16により、チップコンデンサ13は、バイパスコンデンサとして機能する。チップコンデンサ13は、電源ノイズを低減する役割や電源電位を安定化する役割を果たす。
【0029】
樹脂封止体17は、半導体チップ12、チップコンデンサ13、第1ワイヤ14、第2ワイヤ15、および第3ワイヤ16を封止する。
【0030】
第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれは、
図1および
図2に示されるように、基材11を経由することなく、半導体チップ12とチップコンデンサ13とを互いに、かつ、電気的に接続する。すなわち、本実施形態1では、基材11を経由することなく、チップコンデンサ13から半導体チップ12に、電源電位および基準電位のそれぞれが供給(伝送)される。また、チップコンデンサ13を半導体チップ12上に搭載したことで、第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれの長さを、基材11と半導体チップ12とを互いに、かつ、電気的に接続する第1ワイヤ14の長さよりも短くできる。したがって、第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれの長さを低減でき、電源インピーダンスを低減できる。すなわち、チップコンデンサ13から半導体チップ12までの、電源電位および基準電位のそれぞれの供給経路(伝送経路)における電源インピーダンスを低減できる。また、チップコンデンサ13は半導体チップ12に直接半田付けされていないため、保護膜121にクラックが発生することを防止できる。
【0031】
次に、
図3および
図4を参照して、実施形態1にかかる半導体装置1の製造方法を説明する。
図3は、関連技術にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
図4は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0032】
図3を参照すると、関連する半導体装置の製造方法では、電源電位用配線(電源電位の配線パターンとも言う)および基準電位用配線(基準電位の配線パターンとも言う)が最上面(トップ面とも言う)に形成された基材11にチップコンデンサ13をリフローで半田付けする(ステップS101)。温度条件は、例えば、200℃~250℃に設定される。符号Sは、半田を表している。
【0033】
次に、ダイボンディングにより、第1部材21を介して基材11に半導体チップ12を搭載する(ステップS102)。温度条件は、例えば、100℃~200℃に設定される。
【0034】
次に、ワイヤボンディングにより、半導体チップ12と基材11とを相互に電気的に接続する(ステップS103)。
【0035】
関連技術では、半導体チップ12とチップコンデンサ13との距離が大きいため、電源インピーダンスが大きいという問題がある。また、半導体チップ12の外にチップコンデンサ13を搭載する場合、基材11の配線リソースが減少してしまう。つまり、複数のチップコンデンサ13を基材11上に搭載する場合、基材11の最上面を電源電位用配線および基準電位用配線の引き回しに用いる必要がある。この場合、基材11の配線層の数を増やさなければならず、例えば、基材11の配線層の数を2層から4層に増やさなければならない場合がある。
【0036】
また、半導体チップ12上にチップコンデンサ13をリフロー半田付けする方法も考えられる。しかしながら、この場合、リフロー温度によって、半導体チップ12の保護膜121に応力が発生し、保護膜121にクラックが発生する恐れがある。
【0037】
図4を参照すると、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法では、まず、ダイボンディングにより、第1部材21を介して基材11に半導体チップ12を搭載する(ステップS201)。温度条件は、例えば、100℃~200℃に設定される。
【0038】
次に、ダイボンディングにより、第2部材22を介して半導体チップ12にチップコンデンサ13を搭載する(ステップS202)。温度条件は、例えば、100℃~200℃に設定される。
【0039】
次に、ワイヤボンディングにより、半導体チップ12と基材11とを相互に電気的に接続し、半導体チップ12とチップコンデンサ13とを相互に電気的に接続する(ステップS203)。そして、半導体チップ12等が樹脂封止体で封止される。
【0040】
実施形態1では、ステップS202が必要になるが、基材11の配線層の数を増やさなくてもよいという利点がある。実施形態1は、関連技術と比べて、コスト面で有利な可能性がある。
【0041】
実施形態1によると、半導体チップ12の保護膜にクラックが発生することを防止しつつ、電源インピーダンスを低減することができる。また、実施形態1によると基材11の配線リソースの減少を防止し、製造コストを低減できる可能性がある。
【0042】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1の具体例である。実施形態2にかかる半導体装置は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ32と、DRAMチップ32を制御するロジックチップ31とが1つのパッケージに封止されたSiP(System In a Package)である。なお、メモリチップとロジックチップの両方に、チップコンデンサ13が搭載されていなくてもよい。
【0043】
ロジックチップ31は、DRAMチップ32と通信するメモリコントローラを含む。ロジックチップ31は、複数の機能をワンチップ化した所謂SoC(System on a chip)であってもよい。
【0044】
図5は、実施形態2にかかる半導体装置1aの回路構成を説明する図である。後述するように、バイパスコンデンサC1、C2、C3、およびC4の全てが、チップコンデンサ13としてロジックチップ31上またはDRAMチップ32上に搭載される必要はない。
【0045】
半導体装置1aは、ロジックチップ31およびDRAMチップ32を備えている。DRAMチップ32は、DDR_SDRAMを有する。
【0046】
ロジックチップ31は、CPU311および信号ドライバDを備えている。CPU311は、コア系電源電位VDDと基準電位VSSの間に設けられる。信号ドライバDは、DDR系電源電位VDDQ(DDR_VDDQとも言う)とDDR系基準電位VSSQ(DDR_VSSQとも言う)の間に設けられる。コア系電源電位VDD、基準電位VSS、DDR系電源電位VDDQ、およびDDR系基準電位VSSQは、上述した基材11の第1端子T1から供給されてもよい。また、ロジックチップ31とDRAMチップ32とを互いに、かつ、電気的に接続する経路では、
図5に示されるように、基準電位VSSとDDR系基準電位VSSQが、互いに共通であってもよい。
【0047】
DRAMチップ32は、メモリセル(不図示)および入出力回路(不図示)を備える。入出力回路は、DDR系電源電位VDDQとDDR系基準電位VSSQの間に設けられる。入出力回路は、信号ドライバDからの制御信号の受信に応じてメモリセルからのデータの読み出しおよびメモリセルへのデータの書き込みを行う。
【0048】
符号41はDDR系電源を表している。バイパスコンデンサC1およびバイパスコンデンサC2の各々は、DDR系電源41をロジックチップ31に供給する経路に接続されている。バイパスコンデンサC1およびC2は、ロジックチップ31から見た電源インピーダンスを低下させる。バイパスコンデンサC1は、高周波域における電源インピーダンスを低下させる低容量のコンデンサである。バイパスコンデンサC2は、低周波域における電源インピーダンスを低下させる大容量のコンデンサである。
【0049】
バイパスコンデンサC1およびC2の少なくともいずれかをチップコンデンサ13としてロジックチップ31上に搭載することで、ロジックチップ31から見たDDR系電源41の電源インピーダンスを低減できる。
【0050】
信号ドライバDを構成するトランジスタはCPU311を構成するトランジスタよりも大きな駆動電流を消費する。また、パラレルバスインタフェースを介して複数の信号ドライバDが同時に動作する可能性がある。したがって、過渡電流により大きな電源ノイズが発生するため、高周波域で電源インピーダンスを低減するバイパスコンデンサC1が特に重要である。したがって、バイパスコンデンサC1およびC2のうち、バイパスコンデンサC1をチップコンデンサ13としてロジックチップ31上に搭載することが好ましい。なお、DRAMチップ32のデータ転送速度が高いほど、電源インピーダンスを低くする必要性は大きい。そのため、バイパスコンデンサC1をロジックチップ31上に搭載する場合、低周波域で電源インピーダンスを低減するバイパスコンデンサC2が、関連技術と同様に基材11上に搭載されてもよい。さらに、もし第2ワイヤ15および第3ワイヤ16のそれぞれの長さが、基材11とロジックチップ31とを互いに、かつ、電気的に接続する第1ワイヤ14の長さと同じである場合には、各バイパスコンデンサC1、C2は基材11上に搭載されていてもよい。
【0051】
バイパスコンデンサC3は、DDR系電源41をDRAMチップ32に供給する経路に接続されている。バイパスコンデンサC3は、DRAMチップ32から見た電源インピーダンスを低下させる。バイパスコンデンサC3も、高周波域におけるノイズを除去する低容量のコンデンサと、低周波におけるノイズを除去する大容量のコンデンサとで構成されてもよい。
【0052】
バイパスコンデンサC3をチップコンデンサ13としてDRAMチップ32上に搭載することで、DRAMチップ32から見たDDR系電源41の電源インピーダンスを低減できる。
【0053】
符号42はコア系電源を表している。コア系電源42のマイナス側のシンボルは図示を省略している。バイパスコンデンサC4は、コア系電源42をロジックチップ31に供給する経路に接続されている。バイパスコンデンサC4は、ロジックチップ31から見たコア系電源42の電源インピーダンスを低下させる。
【0054】
バイパスコンデンサC4をチップコンデンサ13としてロジックチップ31上に搭載することで、コア系電源42の電源インピーダンスを低減できる。ただし、コア系電源42の電源インピーダンスが問題になるほどCPU311の消費電流が大きい場合、放熱やIRドロップの関係で、ロジックチップ31と基材11とをワイヤで接続しない可能性が高い。この場合、ロジックチップ31はフリップチップ実装される可能性がある。
【0055】
以上の通り、バイパスコンデンサC1をチップコンデンサ13としてロジックチップ31上に搭載することが好ましい。バイパスコンデンサC1の第1電極および第2電極は、それぞれ、ロジックチップ31が有する第2電極パッドP2および第3電極パッドP3と電気的に接続される。この場合、バイパスコンデンサC2、C3、およびC4は、関連技術と同様に、基材11上に搭載されてもよい。また、ロジックチップ31の表面上にバイパスコンデンサC1以外のバイパスコンデンサを搭載できる領域がある場合には、バイパスコンデンサC1と同様、ロジックチップ31から見た電源インピーダンスを低下させるバイパスコンデンサC2についても、ロジックチップ31上に搭載されてもよい。
【0056】
次に、実施形態2にかかる半導体装置1aの構成例を説明する。
図6は、半導体装置1aを上方から見た上面図である。
図7は、
図6のB-B’断面図である。
図6および
図7では、第1部材や第2部材の図示を省略している。
【0057】
図6および
図7では、ロジックチップ31上にチップコンデンサ13が搭載される場合を示している。ロジックチップ31は、実施形態1の半導体チップ12に相当する。ロジックチップ31およびDRAMチップ32上は縦積みされている。なお、ロジックチップ31がDRAMチップ32の上に積み上げられてもよく、DRAMチップ32がロジックチップ31の上に積み上げられてもよい。
【0058】
DRAMチップ32は、リードフレームである基材11上に第1部材(不図示)を介して搭載される。基材11がリードフレームである場合、基材11がBGAである場合に比べて、電源インピーダンスが高いという課題がある。ロジックチップ31は、図示しない第1部材を介してDRAMチップ32上に搭載される。
【0059】
ロジックチップ31およびDRAMチップ32は、上述した第1電極パッドP1を有する。第1電極パッドP1は、第1ワイヤ14を介して第1端子T1に接続される電極パッドである。第1電極パッドP1は、信号を入出力するための電極パッドであってもよく、電源(例:DDR系電源の電源電位)が供給される電極パッドであってもよい。
【0060】
ロジックチップ31は、上述した第2電極パッドP2および第3電極パッドP3を有する。第2電極パッドP2は、第2ワイヤ15を介してチップコンデンサ13の第1電極P1に接続される電極パッドである。第3電極パッドP3は、第3ワイヤ16を介してチップコンデンサ13の第2電極に接続される電極パッドである。
【0061】
DRAMチップ32には、再配線層RDL(Redistribution layer)が形成されている。DDR系電源は、第1ワイヤ14、再配線層RDL、およびワイヤ51を介して、基材11からロジックチップ31に供給されてもよい。第1ワイヤ14は、基材11とDRAMチップ32とを互いに、かつ、電気的に接続するワイヤである。ワイヤ51は、ロジックチップ31とDRAMチップ32とを互いに、かつ、電気的に接続するワイヤである。第1ワイヤ14およびワイヤ51のそれぞれは、電源電位および基準電位を供給する配線に加えて、信号を伝送する配線を含んでもよい。ロジックチップ31およびDRAMチップ32を縦積みする場合、ワイヤ51の長さを低減できる。
【0062】
チップコンデンサ13は、高周波領域における電源インピーダンスを低減するバイパスコンデンサC1であってもよい。この場合、低周波領域における電源インピーダンスを低減するバイパスコンデンサC2は、関連技術と同様に基材11上に搭載されていてもよい。また、ロジックチップ31の表面上にバイパスコンデンサC1以外のバイパスコンデンサを搭載できる領域がある場合には、低周波領域における電源インピーダンスを低減するバイパスコンデンサC2についても、ロジックチップ31上に搭載されてもよい。
【0063】
また、DRAMチップ32にも、バイパスコンデンサC3として機能するチップコンデンサ13が搭載されてもよい。この場合、ロジックチップ31から見た電源インピーダンスと、DRAMチップ32から見た電源インピーダンスの両方を低減できる。この場合、ロジックチップ31とDRAMチップ32の各々が、実施形態1の半導体チップ12に相当する。
【0064】
図8は、
図6および
図7を参照して説明した構成の変形例を説明する図である。
図8を参照すると、リードフレームである基材11上に、チップコンデンサ18が搭載されている。半導体チップ12上に搭載されるチップコンデンサ13は第1チップコンデンサ13とも言われ、基材11上に搭載されたチップコンデンサ18は第2チップコンデンサ18とも言われる。
【0065】
第2チップコンデンサ18は、DRAMチップ32に供給されたDDR系電源電位VDDQと基準電位VSSの間に設けられる。これにより、第2チップコンデンサ18は、バイパスコンデンサC3として機能する。
【0066】
DRAMチップ32は、DDR系電源電位VDDQに接続される電極パッドと、基準電位VSSに接続される電極パッドとを有する。第2チップコンデンサ18は、DRAMチップ32が有する2つの電極パッドに電気的に接続される。ワイヤ52は、第2チップコンデンサ18とDRAMチップ32とを接続するワイヤである。ワイヤ52は上述した第2ワイヤ15および第3ワイヤ16より長い場合があるが、関連技術と比べて電源インピーダンスを低減する効果がある。
【0067】
ロジックチップ31の下に設けられたDRAMチップ32上には、第1チップコンデンサ13を搭載する領域を確保できない場合がある。この場合も、基材11上に第2チップコンデンサ18を設けることで、DRAMチップ32から見た電源インピーダンスを低減することができる。
【0068】
また、ロジックチップ31およびDRAMチップ32は、横に並べられてもよい。
図9は、ロジックチップ31およびDRAMチップ32を横に並べ、ロジックチップ31にチップコンデンサ13を搭載する場合を示している。なお、チップコンデンサ13はDRAMチップ32上に搭載されてもよい。第1ワイヤ14は、ダイパッドに接続されるワイヤ(例:基準電位に接続されるワイヤ)を含んでいてもよい。
【0069】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態2の変形例である。実施形態3にかかる半導体装置1bは、複数のDRAMチップ32を備える。
図10は、実施形態3にかかる半導体装置1bを説明する図である。
図10では、基材11、第1部材、第2部材等の図示を省略している。
【0070】
半導体装置1bは、ロジックチップ31、スペーサ部材33、DRAMチップ321、およびDRAMチップ322を備えている。なお、DRAMチップ32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。なお、ロジックチップ31は、DRAMチップ321および322の上に設けられてもよく、DRAMチップ321および322の下に設けられてもよい。
【0071】
SoC31は、図示しない基材上に搭載される。ロジックチップ31の上には、スペーサ部材33が搭載される。これにより、ロジックチップ31上に、チップコンデンサ13を搭載する領域を確保できる。スペーサ部材33は、例えば、ダミーのシリコンチップであってもよい。
【0072】
スペーサ部材33上にDRAMチップ321が搭載され、DRAMチップ321上にDRAMチップ322が搭載されている。DRAMチップ321および322は、粘着フィルム(例:ダイアタッチフィルム)や接着剤を用いて積み上げられてもよい。
【0073】
ロジックチップ31、DRAMチップ321、およびDRAMチップ322の各々には、チップコンデンサ13が搭載されている。DRAMチップ321はDRAMチップ321上に搭載されたチップコンデンサ13に接続され、DRAMチップ322はDRAMチップ322上に搭載されたチップコンデンサ13に接続される。これにより、DRAMチップ321およびDRAMチップ322の各々から見た電源インピーダンスを低減できる。
【0074】
ロジックチップ31、DRAMチップ321、およびDRAMチップ322の各々は、図示しない第2電極パッドおよび第3電極パッドを有する。第2ワイヤ15は、チップコンデンサ13と第2電極パッドとを電気的に接続する。また、図示しない第3ワイヤは、チップコンデンサ13と第3電極パッドとを電気的に接続する。
【0075】
半導体装置1bは、ロジックチップ31とDRAMチップ321とを電気的接続するワイヤ51と、ロジックチップ31とDRAMチップ322とを電気的に接続するワイヤ51とを含んでいる。ワイヤ51は電源電位および基準電位を供給する配線を含んでもよく、ワイヤ51を介して制御信号やデータがやり取りされてもよい。
【0076】
また、DRAMチップ322上に、チップコンデンサ13に加えて、信号品質を改善するための終端抵抗が実装されてもよい。終端抵抗の一端がワイヤ51に電気的に接続され、終端抵抗の他端が基準電位、電源電位、あるいは、信号に接続されてもよい。
【0077】
実施形態3では、DRAMチップごとにバイパスコンデンサが設けられるため、DRAMチップごとの電源インピーダンスを低減できる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0079】
例えば、上記の実施の形態に係る分圧回路では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
【0080】
また、上記した各実施形態では、ダイアタッチフィルム22を介して半導体チップ12上にチップコンデンサ13を搭載することについて説明した。しかしながら、
図11に示されるように、半導体チップ12上に配置したダイアタッチフィルム22上に別のBGA基板61を搭載した上で、このBGA基板61上に半田材62を介してチップコンデンサ13を搭載してもよい。
【0081】
なお、
図11に示される構成の場合、チップコンデンサ13の各電極131、132とBGA基板61の各配線(端子)611とは、半田材62を介して互いに、かつ、電気的に接続されることになるが、チップコンデンサ13と半導体チップ12との間には、ダイアタッチフィルム22だけでなく、別のBGA基板61も介在しているため、上記したクラックが、半導体チップ12の表面(上面)に形成された保護膜121に発生するのを抑制できる。
【0082】
また、上記クラックを確実に抑制するには、使用する別のBGA基板61、あるいは、ダイアタッチフィルム22の厚さは比較的大きいことが好ましい。しかしながら、別のBGA基板61、あるいは、ダイアタッチフィルム22の厚さを大きくしすぎると、この別のBGA基板61の各配線(端子)611と半導体チップ12の各電極パッドP2、P3とを互いに、かつ、電気的に接続するワイヤの長さが長くなってしまう。すなわち、チップコンデンサ13から半導体チップ12までの、電源電位および基準電位のそれぞれの供給経路(伝送経路)の長さが長くなってしまう。また、別のBGA基板61や半田材62を使用する分、例えば上記した実施形態1と比較して、半導体装置の製造工程は増えてしまう。そのため、半導体装置の製造コストを低減しつつ、チップコンデンサ13から半導体チップ12までの、電源電位および基準電位のそれぞれの供給経路(伝送経路)における電源インピーダンスも低減する場合は、上記した各実施形態のように、別のBGA基板61を用いないのが好ましい。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、1b 半導体装置
11 基材
12 半導体チップ
121 保護膜
13 チップコンデンサ
131 第1電極
132 第2電極
14 第1ワイヤ
15 第2ワイヤ
16 第3ワイヤ
17 樹脂封止体
18 チップコンデンサ
21 第1部材
22 第2部材
31 ロジックチップ
311 CPU
32、321、322 DRAMチップ
41 DDR系電源
42 コア系電源
51、52 ワイヤ
61 BGA基板
611 配線
62 半田材
T1 第1端子
T2 第2端子
P1 第1電極パッド
P2 第2電極パッド
P3 第3電極パッド
S 半田
C1、C2、C3、C4 バイパスコンデンサ
VDD コア系電源電位
VDDQ DDR系電源電位
VSS 基準電位
D 信号ドライバ