(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071137
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】トンネル掘削土測定装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240517BHJP
E21D 9/12 20060101ALI20240517BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01C15/00 104D
E21D9/12 H
G01C15/00 103A
G01B11/25 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181929
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514018238
【氏名又は名称】株式会社きんそく
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 政美
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友誉
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓人
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】中村 太三
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 憲二
(72)【発明者】
【氏名】▲土▼本 裕之
【テーマコード(参考)】
2D054
2F065
【Fターム(参考)】
2D054AC01
2D054DA02
2D054GA17
2D054GA65
2D054GA82
2F065AA04
2F065AA53
2F065AA59
2F065BB15
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF11
2F065GG04
2F065HH04
2F065LL61
2F065MM16
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065UU05
(57)【要約】
【課題】掘削土量をリアルタイムで正確に測定できるトンネル掘削土測定装置を提供すること。
【解決手段】シールド掘進機1に設けられ、トンネル掘削土を搬送する搬送面21aを有するベルト21を備えるベルトコンベア2の掘削土測定装置であって、ベルトコンベア2の幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、ベルト21の搬送面21a側の点群データである表面点群データを取得する表面スキャナー3と、表面点群データに基づいて、掘削土の体積を測定する体積測定手段41とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削土を搬送する搬送面を有するベルトを備えるベルトコンベアの掘削土測定装置であって、
前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送面側の点群データである表面点群データを取得する表面スキャナーと、
前記表面点群データに基づいて、掘削土の体積を測定する体積測定手段と、
を備えることを特徴とするトンネル掘削土測定装置。
【請求項2】
前記ベルトコンベアは離間したキャリアローラーを前後に備え、
前記表面点群データは、前後の前記キャリアローラー間の点群データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削土測定装置。
【請求項3】
トンネル掘削土を搬送する搬送面を有するベルトを備えるベルトコンベアの掘削土測定装置であって、
前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送面側の点群データである表面点群データを取得する表面スキャナーと、
前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送裏面側の点群データである裏面点群データを取得する裏面スキャナーと、
前記表面点群データと前記裏面点群データとに基づいて、掘削土の体積を測定する体積測定手段と、
を備えることを特徴とするトンネル掘削土測定装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベアは離間したキャリアローラーを前後に備え、
前記表面点群データ及び前記裏面点群データは、前後の前記キャリアローラー間の点群データであることを特徴とする請求項3に記載のトンネル掘削土測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削により発生する掘削土をベルトコンベアで搬送する際に掘削土量を測定するトンネル掘削土測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工事や山岳トンネル工事において、トンネルを掘削する際に発生する掘削土を搬送して排出するために、ベルトコンベアが採用される場合がある。この場合には、掘削土の搬送量を把握・管理することが求められる。
例えば、シールド工法等によりトンネルを掘削する際には、掘削する土量と排出する土量とをバランスさせることにより、切羽地山の土圧・水圧に対抗し、切羽の安定を確保している。
しかしながら掘削土量の把握は難しく、管理を誤ると、地下埋設物への影響や、地表の隆起或いは沈下を引き起こしたり、陥没事故を誘発したりしかねない。陥没事故は第三者や構造物へ甚大な被害を与える恐れがあり、これを防ぐためには、掘削土量の把握・管理が極めて重要である。
【0003】
土圧式シールド工法では、シールド掘進機のチャンバー内に取り込まれた掘削土をスクリューコンベア及びベルトコンベアを介して複数台のズリ鋼車に積み込み、トンネル外へ搬出することが多い。
この場合、一般的には、ズリ鋼車に積み込まれた掘削土の量を一台ずつ計測するため、リアルタイムに掘削土量を把握することができなかった。
【0004】
そこで、リアルタイムで掘削土量を計測する装置として、掘削土を搬送するベルトコンベアの上に、ベルト上を搬送される土の表面までの距離を計測するセンサを配置し、センサにより検出された土の表面までの距離とベルト面までの基準距離との差から通過する土の断面積を演算手段で演算し、断面積と搬送速度とから計測サイクル時間当たりの搬送土体積を積算することで、単位時間当たりの掘削土量を求めるシールド掘進機が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のようなシールド掘進機は、ベルトコンベアの幅方向に沿う一つの断面の面積に基づいて掘削土量を求めているが、ベルトコンベア上には常に連続して土が排出されるわけではなく、ベルトコンベアの搬送面には土が載せられていない部分やわずかな土量の部分もあり、掘削土量を正確に把握することはできなかった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、掘削土量をリアルタイムで正確に測定できるトンネル掘削土測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、トンネル掘削土を搬送する搬送面を有するベルトを備えるベルトコンベアの掘削土測定装置であって、前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送面側の点群データである表面点群データを取得する表面スキャナーと、前記表面点群データに基づいて、掘削土の体積を測定する体積測定手段と、を備えることを特徴とするトンネル掘削土測定装置である。
【0009】
本願請求項2に係る発明は、前記ベルトコンベアは離間したキャリアローラーを前後に備え、前記表面点群データは、前後の前記キャリアローラー間の点群データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削土測定装置である。
【0010】
本願請求項3に係る発明は、トンネル掘削土を搬送する搬送面を有するベルトを備えるベルトコンベアの掘削土測定装置であって、前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送面側の点群データである表面点群データを取得する表面スキャナーと、前記ベルトコンベアの幅方向に沿ってレーザー照射するとともに進行方向にわたってもレーザーを照射して、前記ベルトの搬送裏面側の点群データである裏面点群データを取得する裏面スキャナーと、前記表面点群データと前記裏面点群データとに基づいて、掘削土の体積を測定する体積測定手段と、を備えることを特徴とするトンネル掘削土測定装置である。
【0011】
本願請求項4に係る発明は、前記ベルトコンベアは離間したキャリアローラーを前後に備え、前記表面点群データ及び前記裏面点群データは、前後の前記キャリアローラー間の点群データであることを特徴とする請求項3に記載のトンネル掘削土測定装置である。
【発明の効果】
【0012】
本願に係る発明によれば、ベルトコンベアで掘削土を搬送しながら、掘削土の幅方向に亘る点群データだけでなく、進行方向に亘る点群データをも取得するので、搬送される掘削土量がベルトコンベアの進行方向にばらついても、掘削土の体積をリアルタイムで正確に求めることができる。
【0013】
加えて、ベルトコンベアが離間したキャリアローラーを前後に備え、表面点群データは前後のキャリアローラー間の点群データとすれば、キャリアローラーをマーカーとして、前後のマーカーで規定されるスパン内の掘削土の体積を正確に求めることができる。
【0014】
加えて、表面点群データのみならず、掘削土の重量により変形したベルトの形状を示す裏面点群データをも考慮して掘削土の体積を測定するので、測定精度がより高まる。
【0015】
加えて、ベルトコンベアが離間したキャリアローラーを前後に備え、表面点群データ及び裏面点群データは、前後のキャリアローラー間の点群データであれば、前後のキャリアローラーが測定のマーカーとなるので、表面点群データを取得した位置と裏面点群データを取得した位置とを合わせやすく、掘削土の体積の測定値がいっそう正確なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るシールド掘進機の要部の縦断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの進行方向に沿う要部の断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの幅方向に沿う要部の断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る表面点群データのイメージであって、
図4(A)は平面部、
図4(B)は正面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの進行方向に沿う要部の断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの幅方向に沿う要部の断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの進行方向に沿う要部断面図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図10】本発明の第4の実施形態に係るトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの進行方向に沿う要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図5を参照して説明する。
【0019】
図1はシールド掘進機の要部の縦断面図、
図2はトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの進行方向に沿う要部の断面図、
図3はトンネル掘削土測定装置のベルトコンベアの幅方向に沿う要部の断面図、
図4は表面スキャナーの一回転で取得する点群データの概略図、
図5は制御装置のブロック図である。
【0020】
本実施形態の掘削土測定装置は、
図1に示すように、トンネル掘削土を搬送する搬送面を有するベルトを備えるベルトコンベアの掘削土測定装置として土圧式のシールド掘進機(トンネル掘削機)1に設けられたベルトコンベア2で搬送される掘削土Aの量を測定する測定装置であって、表面スキャナー3と、表面スキャナー3に接続された制御装置4とを備える。
なお、以下の説明において、ベルトコンベア2の進行方向(掘削土の搬出方向)の切羽側を前、その逆側を後とする。
【0021】
シールド掘進機1の前端面にはカッター10を有する面板11が設けられ、面板11を回転させるとともにシールドジャッキ12を伸ばして反力をとることにより、トンネルBが掘削される。
面板から取り込まれた掘削土は、隔壁13の前方のチャンバー14に取り込まれる。
【0022】
隔壁13の下部に形成された排土口130から後方に向かって掘削土を搬送するスクリューコンベア5が延びている。
スクリューコンベア5の排出ゲート50の下方にはベルトコンベア2の前端部が配置される。
【0023】
ベルトコンベア2は、後方の図示しないズリ鋼車の待機場所へ向かって延び、スクリューコンベア5の排出ゲート50からベルトコンベア2上に落下した掘削土Aが後方へ搬送されて、後続のズリ鋼車に積み込まれる。
ベルトコンベア2は、図示しない駆動プーリと従動プーリ20との間にベルト21が環状に巻回されている。
【0024】
図2に示すように、上側のベルト21の上面である搬送面21aが前から後へ向かって移動するよう駆動される。
ベルトコンベア2の内周側には、上側のベルト21を支持する複数のキャリアローラー22が前後に離間して配置されている。
【0025】
図3に示すように、上側のベルト21の両側は、フレーム23の取付片23aに取り付けられたベルト押さえ24によって押さえられている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、ベルト21の搬送面21aの幅方向中央部の上方には表面スキャナー3が設置される。
表面スキャナー3は、軸方向がベルトコンベア2の進行方向と一致する回転軸を中心として回転可能な三次元レーザースキャナー(例えば、商品名:Velodyne Lidar社VLP-32C)であり、発光部からベルトコンベア2の進行方向の所定角度にわたってレーザーを照射しながら360度回転することができる。
【0027】
表面スキャナー3は、ベルトコンベア2の搬送面21a側に向けて、ベルトコンベア2の幅方向に亘ってレーザーを照射するとともにベルトコンベア2の進行方向に亘ってもレーザーを照射し、搬送面21a側からの反射光を受光部で受光して、照射時から受光時までの時間を測定することにより、発光部から搬送面21a側の多数の点までの距離を求め、それらの点群データである表面点群データを取得する。点群データは例えば座標値で表される。
【0028】
本実施形態では、表面スキャナー3は、その回転軸がベルトコンベア2の進行方向と略平行に設置されて、レーザーを照射する(
図1)。
照射されるレーザーのうち、ベルトコンベア2の進行方向においては、例えばレーザー照射角度の中央(0°)に近い複数本(例えば、前方-3°、-1°、後方1°、3°、5°の5本)で放射状に照射されるレーザーについての点群データが表面点群データとして測定に使用される(
図2)。
【0029】
360度回転して照射されるレーザーのうち、ベルトコンベア2の幅方向においては、搬送される掘削土がカバーされる所定範囲(例えば、掘削土が載らない両側のフレーム23の取付片23aやベルト押さえ24までが含まれる範囲)の回転角度のレーザーについての点群データが表面点群データとして測定に使用される(
図3)。
【0030】
ベルトコンベア2を駆動しながら表面スキャナー3を作動させることにより、ベルト21の搬送面21a側の表面点群データが取得される。
表面点群データは、表面スキャナー3の1回転分又は複数回転分(例えば、20回転分)のデータが取得されて必要に応じて統計処理などが行われて測定に使用される。
【0031】
表面スキャナー3は、掘削が開始されていないときなどのベルトコンベア2で掘削土Aが搬送されていない空荷状態のベルト表面点群データと、掘削中などのベルトコンベア2で掘削土Aが搬送されている実荷状態の掘削土表面点群データとを取得することができる。
【0032】
測定は、取得された掘削土表面点群データと予め取得されたベルト表面点群データとに基づいて行われる。
具体的なイメージとしては、
図4に示すように、1回転分の掘削土表面点群データとベルト表面点群データとをそれぞれメッシュ化するなどして合成し、これらに囲まれた部分を演算し、体積が算出される。
【0033】
掘削土表面点群データとベルト表面点群データとの合成に際しては、ベルトコンベア2の進行方向及び幅方向について特定の範囲の点群データ、すなわち、進行方向については所定の本数(前方-3°、-1°、後方1°、3°、5°の5本)の点群データ、幅方向については掘削土が載らない両側のフレーム23の取付片23aやベルト押さえ24までが含まれる範囲の点群データとして使用するので、位置も特定されて容易に合成を行うことができる。
また、掘削土が載らない両側のフレーム23の取付片23aやベルト押さえ24の点群データを用いることで、理論上、当該部分の点群データは、掘削土表面点群データとベルト表面点群データとで同じデータになるのでこれをもとに合成を行うことができる。すなわち、掘削土表面点群データとベルト表面点群データとで同じデータとなる部分をマーカーとして利用することができる。
【0034】
そして、ベルトコンベア2の搬送速度、表面スキャナー3の回転数及び表面スキャナー3とベルトコンベア2との離間距離などを考慮して、毎分あたりの掘削土量や積算量が測定される。
なお、搬送される掘削土を漏れなく測定するために、ベルトコンベアの搬送速度に応じて、表面スキャナー3の回転数を可変制御し、搬送されるすべての掘削土に亘る掘削土表面点群データを取得できるようにするようにしても良い。
【0035】
制御装置4は、例えばコンピュータにより実現され、
図5に示すように、記憶手段40と、体積測定手段41と、モニタ42と、搬送速度取得手段43、回転数制御手段44とを備える。
制御装置4には、ベルトコンベア2の搬送速度を検出する搬送速度検出手段25及びに表面スキャナー3が接続されている。
【0036】
記憶手段40には、表面スキャナー3が取得したベルト表面点群データ及び掘削土表面点群データが保存される。また、必要なプログラムや設定データ、取得データなど各種データが保存される。
【0037】
体積測定手段41は、ベルトコンベア2で搬送される掘削土の体積を演算するものである。その具体的な機能は後述する。
モニタ42は、測定された掘削土のメッシュ化などされたデータをはじめ各種の測定データを表示する。
また、モニタ42に
図4に示すような測定した掘削土Aの形状を表示するようにしても良い。このように掘削土Aの形状を表示することで、掘削土の状態(例えば硬いのか柔らかいのか)などを視覚的に認識することができる。
【0038】
搬送速度取得手段43は、ベルトコンベア2の搬送速度検出手段25が検出した搬送速度を取得するものであり、取得された搬送速度は記憶手段40に保存される。
回転数制御手段44は、表面スキャナー3の回転数を検知し、可変制御するものであり、検知された回転数や設定回転数は記憶手段40に保存される。
【0039】
体積測定手段41は、記憶手段40に保存されているベルト表面点群データ及び掘削土表面点群データをはじめとする必要なデータを読み出す。
【0040】
次に、1回転分の掘削土表面点群データとベルト表面点群データとをそれぞれメッシュ化するなどして合成し、これらに囲まれた部分を演算し、体積を算出する。
そして、適宜、ベルトコンベア2の搬送速度、表面スキャナー3の回転数及び表面スキャナー3とベルトコンベア2との離間距離などを取得し、これらに基づいて、毎分あたりの掘削土量や積算量を算出する。また、必要に応じて測定した掘削土量などをモニタ42に表示させる。
【0041】
体積測定手段41は、搬送されるすべての掘削土に亘る掘削土表面点群データを取得できるようにするため、ベルトコンベア2の搬送速度に応じて、回転数制御手段44を制御して、表面スキャナー3の回転数を可変制御することもできる。
【0042】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について
図6及び
図7と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0043】
第2の実施形態では、第1の実施形態に比して、
図6に示すベルトコンベア2の進行方向において、前後のキャリアローラー22の間に亘っての表面点群データを使用する。すなわち、第1の実施形態では、ベルトコンベア2の進行方向における所定の本数のレーザーによる点群データを使用したが、第2の実施形態では、レーザーを特定せず、前後のキャリアローラー22の部分の間の点群データが取得されるように、表面スキャナー3が配置され、前後のキャリアローラー22の部分の間の表面点群データが使用される。
【0044】
表面点群データにキャリアローラー22が含まれるようにするために、
図7に示すように、ベルト押さえ24に切欠き24aを設けて、キャリアローラー22にレーザーが照射されキャリアローラー22の点群データも取得できるようにしている。
なお、ベルト押さえ24だけでなくフレーム23の取付片23aまで切欠きを設けるようにしても良い。
【0045】
このようにすれば、予め3のベルトコンベア2との離間距離などを正確に把握して設置する必要がなく、配置の自由度が高まる。
また、キャリアローラー22のスパンは既知であるので、それをマーカーにして表面点群データに基づく処理に生かすことができる。
【0046】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について
図8及び
図9と共に説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0047】
第3の実施形態では、第1の実施形態においてベルトコンベア2の上部のベルト21の裏面側に裏面スキャナー6が設置され、ベルト21の搬送裏面21b側の点群データである裏面点群データを取得するものである。
【0048】
図8及び
図9に示すように、ベルトコンベア2のベルト21で囲まれた内側(上部のベルト21と図示しない下部のベルト21との間)に裏面スキャナー6が設置され、制御装置4に接続されている。
裏面スキャナー6は、携帯端末などでも用いられるような小型のレーザースキャナーであって、ベルト21を挟んで表面スキャナー3と対向して配置される。
【0049】
裏面スキャナー6は、ベルト21の搬送裏面21bに向かって、ベルトコンベア2の幅方向に亘ってレーザーを照射するとともに前後のキャリアローラー22間に亘ってレーザーを照射し、ベルト21の搬送裏面21b側の点群データである裏面点群データを取得する。
取得される裏面点群データのうち表面点群データで使用される範囲と同じ範囲の点群データが測定に使用される。
【0050】
裏面点群データにベルト21の厚みが考慮されて、表面スキャナー3で取得された掘削土表面点群データとに基づいて、体積が算出される。すなわち、掘削土表面点群データと、ベルト表面点群データに換えて裏面点群データとに基づいて掘削土の体積を測定するものである。
【0051】
ベルトコンベア2のベルト21、掘削土Aを載せるとその重量によって下方に撓むが、裏面スキャナー6が裏面点群データを取得することにより、変形したベルト21の形状を検出することができる。
従って、掘削が開始されていないときなどのベルトコンベア2で掘削土Aが搬送されていない空荷状態でスキャンをする必要もなく、リアルタイムで正確な測定ができる。
【0052】
表面スキャナー3が取得した掘削土Aの表面点群データおよび裏面スキャナー6が取得した裏面点群データは記憶手段40に保存される。
【0053】
体積測定手段41は、記憶手段40に保存されている裏面点群データ及び掘削土表面点群データをはじめとする必要なデータを読み出す。
【0054】
次に、1回転分の掘削土表面点群データと裏面点群データとをそれぞれメッシュ化するなどして合成し、これらに囲まれた部分を演算し、体積を算出する。裏面点群データはベルトの厚みを考慮して変換したデータであっても良い。
【0055】
本実施形態では、掘削土Aの重量によって変形したベルト21の形状を実際に検出し、掘削土Aの表面点群データとの差に基づいて掘削土Aの体積を測定するので、より高い測定精度が得られる。
【0056】
[第4の実施形態]
以下、本発明の第4の実施形態について
図10と共に説明する。なお、第1乃至第3の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0057】
第4の実施形態では、第2の実施形態においてベルトコンベア2の上部のベルト21の裏面側に裏面スキャナー6が設置され、ベルト21の搬送裏面21b側の点群データである裏面点群データを取得するものである。
【0058】
裏面スキャナー6は、
図10に示すベルトコンベア2の進行方向において、前後のキャリアローラー22の間に亘っての裏面点群データを取得する。すなわち、レーザーを特定せず、前後のキャリアローラー22の部分の間の点群データが取得されるように、裏面スキャナー6が配置され、前後のキャリアローラー22の部分の間の裏面点群データが使用される。
【0059】
前後のキャリアローラー22がマーカーとなるので、表面スキャナー3による掘削土表面点群データと裏面スキャナー6による裏面点群データとを正確に合成することができる。
【0060】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0061】
本実施形態では、体積を測定するものであったが、掘削土の単位体積重量がわかる場合適宜入力して、掘削土の重量も測定できるようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、シールド掘進機に設けられるベルトコンベアの掘削土測定装置であったが、ベルトコンベアを備えるものであれば山岳トンネル工事で用いられるようなトンネルボーリングマシンなどの他のトンネル掘削機に設けられるベルトコンベアに適用しても良い。また、掘削機に設けられるものでなくてもトンネル掘削土を搬送排出するベルトコンベアに適用しても良い。
【0063】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 シールド掘進機(トンネル掘削機)
10 カッター
11 面板
12 シールドジャッキ
13 隔壁
130 排土口
14 チャンバー
2 ベルトコンベア
20 従動プーリ
21 ベルト
21a 搬送面
21b 搬送裏面
22 キャリアローラー
23 フレーム
23a 取付片
24 ベルト押さえ
25 搬送速度検出手段
3 表面スキャナー
4 制御装置
40 記憶手段
41 体積測定手段
42 モニタ
43 搬送速度取得手段
5 スクリューコンベア
50 排出ゲート
6 裏面スキャナー
A 掘削土
B トンネル