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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071138
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】タイルカッター
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/22 20060101AFI20240517BHJP
   B28D 1/32 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B28D1/22
B28D1/32
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181930
(22)【出願日】2022-11-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】591114490
【氏名又は名称】株式会社石井超硬工具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100225462
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 研太
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】石井 利一
【テーマコード(参考)】
3C069
【Fターム(参考)】
3C069AA02
3C069BA02
3C069BB01
3C069BB02
3C069BC04
3C069CA12
3C069CB01
3C069EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイルの横割れの発生を抑制できるタイルカッターを提供する。
【解決手段】本発明に係るタイルカッターは、本体と押圧部材とを備える。本体は、基台と、基台よりも上に位置する第1板状体と、基台よりも上、第1板状体よりも右に位置する第2板状体と、てこ部材と、第1板状体と第2板状体との間に位置し、上方向に突出する突起部材とを有する。てこ部材は、第1板状体よりも下に位置する第1力点部と、突起部材に接続された作用点部と、基台に支持された第1支点部と、第1連結部とを有する。押圧部材は、中央部と、第1板状体よりも上に位置する左端部と、第2板状体よりも上に位置する右端部とを有する。左端部及び右端部は中央部よりも下方向に突出する。押圧部材、第1板状体及び第2板状体は下方向に移動可能である。第1板状体は第1力点部に接続する。第1連結部は、前後方向に延びる第1回転軸を中心として第1支点部に対して回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、押圧部材と、を備えるタイルカッターであって、
前記本体は、前後方向に延びる基台と、前記基台よりも上に位置し、前後方向に延びる第1板状体と、前記基台よりも上、かつ、前記第1板状体よりも右に位置し、前後方向に延びる第2板状体と、
前記基台に接続されたてこ部材と、前記第1板状体と前記第2板状体との間に位置し、上方向に突出する突起部材と、を有し、
前記てこ部材は、前記第1板状体よりも下に位置する第1力点部と、前記突起部材に接続された作用点部と、前記第1力点部と前記作用点部との間に位置し、前記基台に支持された第1支点部と、前記第1支点部、前記第1力点部、及び前記作用点部に連結された第1連結部と、を有し、
前記押圧部材は、中央部と、前記第1板状体よりも上に位置する左端部と、前記第2板状体よりも上に位置する右端部と、を有し、
前記左端部及び前記右端部は、前記中央部よりも下方向に突出し、
前記押圧部材、前記第1板状体及び前記第2板状体は、下方向に移動可能であり、
前記第1板状体は、前記第1力点部に接続し、
前記第1連結部は、前後方向に延びる第1回転軸を中心として、前記第1支点部に対して回転可能である、
タイルカッター。
【請求項2】
前記てこ部材は、前記第2板状体よりも下に位置する第2力点部と、前記第2力点部と前記作用点部との間に位置し、前記基台に支持された第2支点部と、前記第2支点部、前記第2力点部、及び前記作用点部に連結された第2連結部と、をさらに有し、
前記第2板状体は、前記第2力点部に接続し、
前記第2連結部は、前後方向に延びる第2回転軸を中心として、前記第2支点部に対して回転可能である、
請求項1に記載のタイルカッター。
【請求項3】
前記本体は、第1弾性体と第2弾性体とをさらに有し、
前記第1弾性体は、前記基台及び前記第1板状体に接続され、
前記第2弾性体は、前記基台及び前記第2板状体に接続される、
請求項1又は請求項2に記載のタイルカッター。
【請求項4】
前記突起部材は、前後方向に延びる突起本体と、下方向に延びる突起支持部とを有し、
前記突起本体は、左右方向に延びる第3回転軸を中心として、前記突起支持部に対して回転可能である、
請求項1又は請求項2に記載のタイルカッター。
【請求項5】
前記突起本体が炭素鋼である、
請求項4に記載のタイルカッター。
【請求項6】
前記タイルカッターは、操作レバーをさらに備え、
前記操作レバーは、前記押圧部材の移動を操作する、
請求項1又は請求項2に記載のタイルカッター。
【請求項7】
前記タイルカッターは、ガイドレールと切込部材とをさらに備え、
前記押圧部材及び前記切込部材は、前記ガイドレールに接続され、
前記ガイドレールは、前後方向に延びており、
前記切込部材は、前記突起部材よりも上に位置し、
前記切込部材は、下方向に移動可能であり、
前記切込部材は、前後方向に移動可能であり、
前記操作レバーは,前記切込部材の移動を操作する、
請求項6に記載のタイルカッター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタイルカッターに関しては、例えば、特許文献1に記載のタイルカッターが知られている。特許文献1に記載のタイルカッターは、上面に突条が設けられた基台と、基台の上に設けられた置板と、基台と置板との間に設けられた弾性支持手段と、ガイドレールと、刃及び押圧板を有するレバーとを備える。
【0003】
特許文献1に記載のタイルカッターは、タイル切断時の押圧に呼応して、適当な沈下量が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7-11939
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のタイルカッターは、例えば、磁器質タイルを切断する場合には、せん断応力が不足し、タイルに横割れが発生することがあった。
【0006】
本発明の目的は、タイルの横割れの発生を抑制できるタイルカッターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1形態に係るタイルカッターは、本体と、押圧部材と、を備えるタイルカッターであって、前記本体は、前後方向に延びる基台と、前記基台よりも上に位置し、前後方向に延びる第1板状体と、前記基台よりも上、かつ、前記第1板状体よりも右に位置し、前後方向に延びる第2板状体と、前記基台に接続されたてこ部材と、前記第1板状体と前記第2板状体との間に位置し、上方向に突出する突起部材と、を有し、前記てこ部材は、前記第1板状体よりも下に位置する第1力点部と、前記突起部材に接続された作用点部と、前記第1力点部と前記作用点部との間に位置し、前記基台に支持された第1支点部と、前記第1支点部、前記第1力点部、及び前記作用点部に連結された第1連結部と、を有し、前記押圧部材は、中央部と、前記第1板状体よりも上に位置する左端部と、前記第2板状体よりも上に位置する右端部と、を有し、前記左端部及び前記右端部は、前記中央部よりも下方向に突出し、前記押圧部材、前記第1板状体及び前記第2板状体は、下方向に移動可能であり、前記第1板状体は、前記第1力点部に接続し、前記第1連結部は、前後方向に延びる第1回転軸を中心として、前記第1支点部に対して回転可能である。
【0008】
本発明の第2形態に係るタイルカッターは、第1形態に係るタイルカッターであって、前記てこ部材は、前記第2板状体よりも下に位置する第2力点部と、前記第2力点部と前記作用点部との間に位置し、前記基台に支持された第2支点部と、前記第2支点部、前記第2力点部、及び前記作用点部に連結された第2連結部と、をさらに有し、前記第2板状体は、前記第2力点部に接続し、前記第2連結部は、前後方向に延びる第2回転軸を中心として、前記第2支点部に対して回転可能である。
【0009】
本発明の第3形態に係るタイルカッターは、第1又は第2形態に係るタイルカッターであって、前記本体は、第1弾性体と第2弾性体とをさらに有し、前記第1弾性体は、前記基台及び前記第1板状体に接続され、前記第2弾性体は、前記基台及び前記第2板状体に接続される。
【0010】
本発明の第4形態に係るタイルカッターは、第1又は第2形態に係るタイルカッターであって、前記突起部材は、前後方向に延びる突起本体と、下方向に延びる突起支持部とを有し、前記突起本体は、左右方向に延びる第3回転軸を中心として、前記突起支持部に対して回転可能である。
【0011】
本発明の第5形態に係るタイルカッターは、第4形態に係るタイルカッターであって、前記突起本体が炭素鋼である。
【0012】
本発明の第6形態に係るタイルカッターは、第1又は第2形態に係るタイルカッターであって、操作レバーをさらに備え、前記操作レバーは、前記押圧部材の移動を操作する。
【0013】
本発明の第7形態に係るタイルカッターは、第6形態に係るタイルカッターであって、ガイドレールと切込部材とをさらに備え、前記押圧部材及び前記切込部材は、前記ガイドレールに接続され、前記ガイドレールは、前後方向に延びており、前記切込部材は、前記突起部材よりも上に位置し、前記切込部材は、下方向に移動可能であり、前記切込部材は、前後方向に移動可能であり、前記操作レバーは,前記切込部材の移動を操作する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイルカッターによれば、タイルの横割れの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、タイルカッター10の構造を示す斜視図である。
図2図2は、本体20の構造を示す断面図である。
図3図3は、第1板状体80の構造を示す斜視図である。
図4図4は、突起部材130の構造を示す斜視図である。
図5図5は、押圧部材40の構造を示す斜視図である。
図6図6は、タイルカッター10の動作を示す説明図である。
図7図7は、タイルカッター10の動作を示す説明図である。
図8図8は、タイルカッター10の動作を示す説明図である。
図9図9は、タイルカッター10の使用状態を示す説明図である。
図10図10は、タイルカッター10の使用状態を示す説明図である。
図11図11は、本体20aの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
[タイルカッター10の構造]
以下に、本発明の実施形態に係るタイルカッター10の構造について、図面を参照しながら説明する。図1は、タイルカッター10の構造を示す斜視図である。図2は、本体20の構造を示す断面図である。図3は、第1板状体80の構造を示す斜視図である。図4は、突起部材130の構造を示す斜視図である。図5は、押圧部材40の構造を示す斜視図である。なお、図2において、基台70については断面の構造を示している。
【0017】
本明細書においては、以下のように方向を定義する。本体20の基台70は、前後方向に延びている。また、前後軸、左右軸及び上下軸は、互いに直交している。なお、上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向は、説明の便宜上定義した方向である。従って、これらの方向は、タイルカッター10の使用時における各方向と一致していなくてもよい。また、上方向と下方向とが入れ替わってもよいし、左方向と右方向とが入れ替わってもよいし、前方向と後方向とが入れ替わってもよい。
【0018】
本明細書において、前後方向に延びるとは、前後方向に平行な方向に延びる場合、及び前後方向にわずかに傾いた方向に延びる場合を含む。左右方向に延びるとは、左右方向に平行な方向に延びる場合及び左右方向にわずかに傾いた方向に延びる場合を含む。上下方向に延びるとは、上下方向に平行な方向に延びる場合及び上下方向にわずかに傾いた方向に延びる場合を含む。
【0019】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0020】
本明細書において、第1部材が第2部材に接続されているとは、第1部材が第2部材に直接接続されている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第1部材に接続されている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接支持されている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第1部材に支持されている場合を含む。
【0021】
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0022】
なお、各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0023】
図1図5に示すように、タイルカッター10は、本体20と、ガイドレール30と、押圧部材40と、切込部材50と、操作レバー60と、を備えている。本実施形態においては、タイルカッター10は左右対称の構造を有する。
【0024】
本体20は、基台70と、第1板状体80と、第2板状体90と、4つの第1弾性体100と、4つの第2弾性体110と、てこ部材120と、突起部材130とを有する。
【0025】
基台70は、前後方向に延びている。本実施形態においては、基台70は、前後方向に延びる板部材140と、板部材140の周囲に設けられ、下方向に延びる脚部150とを有している。また、板部材140の上面には、2つのゴム板170が設けられている。2つのゴム板170は、第1板状体80及び第2板状体90よりも前に位置する。板部材140には、上下方向に貫通する孔h1と、孔h2と、孔h3と、4つの孔h4と、4つの孔h5とが設けられている。孔h1は、板部材140の左部に位置する。孔h2は、板部材140の右部に位置する。孔h3は、孔h1と孔h2との間に位置する。4つの孔h4は、板部材140の左部に位置する。4つの孔h5は、板部材140の右部に位置する。基台70は、金属により作成されている。より詳細には、板部材140及び脚部150は一体形成されている。
【0026】
第1板状体80は、前後方向に延びている。第1板状体80は、基台70よりも上に位置する。本実施形態においては、第1板状体80は、前後方向に延びる板部材142と、板部材142の下面に設けられた棒材160a及び4つの棒材160bとを有する。棒材160a及び4つの棒材160bは下方向に延びている。棒材160aは、板部材142の後端部に設けられ、孔h1に挿入されている。4つの棒材160bは、板部材142の右前端部、右後端部、左前端部及び左後端部に、それぞれ設けられている。4つの棒材160bは、4つの孔h4にそれぞれ挿入されている。4つの棒材160bの下端には、4つのナット180が設けられている。また、板部材142の右後端には、切欠n1が設けられている。板部材142の上面には、ゴム板172が設けられている。第1板状体80は、金属により作成されている。
【0027】
第2板状体90は、前後方向に延びている。第2板状体90は、基台70よりも上に位置し、第1板状体80よりも右に位置する。本実施形態においては、第2板状体90は、前後方向に延びる板部材144と、板部材144の下面に設けられた棒材162a及び4つの棒材162bとを有する。棒材162a及び4つの棒材162bは下方向に延びている。棒材162aは、板部材144の後端部に設けられ、孔h2に挿入されている。4つの棒材162bは、板部材144の右前端部、右後端部、左前端部、及び左後端部に、それぞれ設けられている。4つの棒材162bは、4つの孔h5にそれぞれ挿入されている。4つの棒材162bの下端には、4つのナット180が設けられている。また、板部材144と基台70との距離は、板部材142と基台70との距離に等しい。さらに、板部材144の左後端には、切欠n2が設けられている。板部材144の上面には、ゴム板172が設けられている。第2板状体90は、金属により作成されている。
【0028】
4つの第1弾性体100は、基台70及び第1板状体80に接続されている。本実施形態においては、4つの第1弾性体100はコイルバネである。4つの第1弾性体100のそれぞれの内部には、4つの棒材160bが挿入されている。
【0029】
4つの第2弾性体110は、基台70及び第2板状体90に接続されている。本実施形態においては、4つの第2弾性体110はコイルバネである。4つの第2弾性体110のそれぞれの内部には、4つの棒材162bが挿入されている。
【0030】
てこ部材120は、第1力点部190と、第2力点部192と、作用点部200と、第1支点部210と、第2支点部212と、第1連結部220と、第2連結部222とを有する。てこ部材120は、基台70に接続されている。本実施形態においては、てこ部材120は、板部材140よりも下に位置する。てこ部材120は、金属により作成されている。
【0031】
第1力点部190は、第1板状体80よりも下に位置する。第1力点部190は、第1板状体80に接続する。本実施形態においては、第1力点部190は、直方体形状の部材である。また、第1力点部190の上端は、棒材160bの下端と接続している。
【0032】
第2力点部192は、第2板状体90よりも下に位置する。第2力点部192は、第2板状体90に接続する。本実施形態においては、第2力点部192は、直方体形状の部材である。また、第2力点部192の上端は、棒材162bの下端と接続している。
【0033】
作用点部200は、突起部材130に接続されている。本実施形態においては、作用点部200は、前後方向に延びるピン部材である。
【0034】
第1支点部210は、第1力点部190と作用点部200との間に位置する。第1支点部210は、基台70に支持されている。本実施形態においては、第1支点部210は、上下方向に延びる板部材146を介して、板部材140に支持されている。板部材146は、板部材140の下面に設けられている。第1支点部210は、前後方向に延びるピン部材である。
【0035】
第2支点部212は、第2力点部192と作用点部200との間に位置する。第2支点部212は、基台70に支持されている。本実施形態においては、第2支点部212は、上下方向に延びる板部材148を介して、板部材140に支持されている。板部材148は、板部材140の下面に設けられている。第2支点部212は、前後方向に延びるピン部材である。
【0036】
第1連結部220は、第1支点部210、第1力点部190、及び作用点部200に連結されている。本実施形態においては、第1連結部220は、第1力点部190と一体形成されている。
【0037】
第2連結部222は、第2支点部212、第2力点部192、及び作用点部200に連結されている。本実施形態においては、第2連結部222は、第2力点部192と一体形成されている。
【0038】
突起部材130は、突起本体132と、突起支持部134とを有する。突起部材130は、第1板状体80と第2板状体90との間に位置する。突起部材130は、基台70よりも上方向に突出している。
【0039】
突起本体132は、前後方向に延びている。本実施形態において、突起本体132の上端部は、前方向に見て半円状の形状を有する。突起本体132は、炭素鋼である。
【0040】
突起支持部134は、突起本体132の下端部に設けられ、下方向に延びている。本実施形態においては、突起支持部134には、コイルバネ230が設けられている。突起支持部134は、孔h3及びコイルバネ230の内部に挿入されている。また、突起支持部134の下端は、作用点部200に接続されている。突起支持部134は、突起本体132に接続されている。コイルバネ230は、板部材140及び作用点部200に接続されている。
【0041】
ガイドレール30は、前後方向に延びている。本実施形態においては、ガイドレール30は、本体20よりも上に位置する。より詳細には、ガイドレール30は、前後方向に延びるレール部32と、レール部32の前端に設けられ、下方向に延びる脚部152と、レール部32の後端に設けられ、下方向に延びる脚部154とを有する。脚部152は、基台70の前端部に支持されている。脚部154は、基台70の後端部に支持されている。
【0042】
押圧部材40は、左右方向に延びている。押圧部材40は、操作レバー60を介して、ガイドレール30に接続されている。本実施形態においては、押圧部材40は、左端部42aと、右端部42bと、中央部42cとを有する。左端部42a及び右端部42bは、中央部42cよりも下方向に突出している。左端部42aは、第1板状体80よりも上に位置する。右端部42bは、第2板状体90よりも上に位置する。左端部42aと中央部42cとの距離は、右端部42bと中央部42cとの距離に等しい。また、左端部42aと第1板状体80との距離は、右端部42bと第2板状体90との距離に等しい。押圧板42の下面には、ゴム板174が設けられている。
【0043】
切込部材50は、操作レバー60を介して、ガイドレール30に接続されている。切込部材50は、突起部材130よりも上に位置する。本実施形態においては、切込部材50は、操作レバー60に接続されている。また、切込部材50は、押圧部材40よりも後に位置する。切込部材50は、円形の回転刃52を有する。
【0044】
操作レバー60は、ガイドレール30、押圧部材40、及び、切込部材50に接続されている。本実施形態においては、操作レバー60は、後下方向に延びるレバー本体62と、レバー本体62の後端に設けられ、ガイドレール30に接続されるスライド部64と、レバー本体62に設けられ、前下方向に延びる延長部66とを有する。延長部66には、押圧部材40及び切込部材50が接続されている。より詳細には、延長部66は筒状の部材であり、延長部66の内部にはレール部32が挿入されている。レバー本体62の前端には、グリップ68が設けられている。
【0045】
[タイルカッター10の動作]
次に、タイルカッター10の動作について説明する。図6図8は、タイルカッター10の動作を示す説明図である。
【0046】
図6及び図7に示すように、第1連結部220は、第1回転軸z1を中心として、第1支点部210に対して回転可能である。第1回転軸Z1は、前後方向に延びている。
【0047】
第2連結部222は、第2回転軸z2を中心として、第2支点部212に対して回転可能である。第2回転軸z2は、前後方向に延びている。
【0048】
第1板状体80は、第1力点部190よりも上に位置し、かつ、下方向に移動可能である。また、てこ部材120は、第1板状体80に連動する。より詳細には、第1板状体80に下方向の力F1が加わると、第1板状体80は下方向に移動する。そして、第1力点部190が棒材160aに押し下げられ、下方向に移動する。その結果、第1連結部220が前方向に見て反時計回りに回転し、作用点部200及び突起部材130が上方向に移動する。このとき、突起部材130は、第1板状体80よりも上に突出する。力F1が取り除かれると、第1弾性体100及びコイルバネ230の復元力によって、第1板状体80、てこ部材120、及び突起部材130は、もとの位置に戻る。
【0049】
第2板状体90は、第2力点部192よりも上に位置し、かつ、下方向に移動可能である。また、てこ部材120は、第2板状体90に連動する。より詳細には、第2板状体90に下方向の力F1が加わると、第2板状体90は下方向に移動する。そして、第2力点部192が棒材162aに押し下げられ、下方向に移動する。その結果、第2連結部222が前方向に見て時計回りに回転し、作用点部200及び突起部材130が上方向に移動する。このとき、突起部材130は、第2板状体90よりも上に突出する。力F1が取り除かれると、第2弾性体110及びコイルバネ230の復元力によって、第2板状体90、てこ部材120、及び突起部材130は、もとの位置に戻る。
【0050】
図4及び図6に示すように、突起本体132は、第3回転軸y1を中心として、突起支持部134に対して回転可能である。第3回転軸y1は、左右方向に延びている。
【0051】
図5及び図8に示すように、押圧部材40は、第4回転軸y2を中心として、操作レバー60に対して回転可能である。第4回転軸y2は、左右方向に延びている。
【0052】
押圧部材40は、下方向に移動可能である。より詳細には、レバー本体62及び延長部66は、第5回転軸y3を中心として、スライド部64に対して回転可能である。第5回転軸y3は、左右方向に延びている。レバー本体62の前端に下方向の力F2が加わると、レバー本体62及び延長部66は、第5回転軸y3を中心として、右方向に見て反時計回りに回転する。その結果、延長部66に接続されている押圧部材40は後下方向に移動し、第1板状体80及び第2板状体90に接する。その後、レバー本体62の前端に上方向の力F3が加わると、レバー本体62及び延長部66は、第5回転軸y3を中心として、右方向に見て時計回りに回転する。その結果、押圧部材40は前上方向に移動し、元の位置に戻る。
【0053】
押圧部材40は、前後方向に移動可能である。より詳細には、スライド部64は、レール部32に沿って前後方向にスライド可能である。操作レバー60に前方向の力F4が加わると、操作レバー60と、操作レバー60に接続されている押圧部材40は後方向に移動する。操作レバー60に後方向の力F5が加わると、操作レバー60と、操作レバー60に接続されている押圧部材40は後方向に移動する。
【0054】
操作レバー60に接続されている切込部材50も、押圧部材40と同様に、上下方向及び前後方向に移動可能である。
【0055】
操作レバー60は、上記のように、押圧部材40及び切込部材50の移動を操作する。
【0056】
[作用]
次に、タイルカッター10の使用方法について説明する。図9及び図10は、タイルカッター10の使用状態を示す説明図である。
【0057】
図9に示すように、使用者は、まず、第1板状体80及び第2板状体90の上に、タイル240を置く。そして、操作レバー60を操作し、タイル240の上面に接するまで切込部材50を下方向に移動させた後、さらに前方向に移動させる。これにより、タイル240の上面に、第1板状体80と第2板状体90の間を通る直線状の切れ目tを設けることができる。切れ目tは、突起部材130よりも上に位置し、前後方向に延びている。タイル240は、磁器質タイルである。
【0058】
次に、使用者は、操作レバー60を操作し、タイル240の上面に接するまで押圧部材40を下方向に移動させる。このとき、押圧部材40は延長部66に対して回転し、押圧部材40の下面がタイル240の上面に接する。また、左端部42a及び右端部42bはタイル240に接しているが、中央部42cはタイル240の上面に接していない。その後、押圧部材40をさらに下方向に移動させると、第1板状体80及び第2板状体90がタイル240を介して押圧部材40に押し下げられ、てこ部材120が作動する。その結果、突起部材130が上方向に移動する。
【0059】
図10に示すように、タイル240は、左端部42a及び右端部42bから下方向の力F1を受けると同時に、突起部材130から上方向の力F6を受ける。そして、力F1及び力F6によって、タイル240にせん断応力が生じ、タイル240が切断される。
【0060】
また、力F1及び力F6は、タイル240の前端部に生じる。そのため、力を受けていないタイル240の後端部が上方向に浮き上がり、タイル240が傾くこととなる。一方で、突起本体132は、タイル240の下面に接している。突起本体132は、タイル240から受ける反力により、タイル240の傾きに合わせて回転する。
【0061】
[効果]
タイルカッター10は、本体20と、押圧部材40とを備える。本体20は、基台70と、第1板状体80と、第2板状体90と、てこ部材120と、突起部材130とを有する。さらに、てこ部材120は、第1力点部190と、作用点部200と、第1支点部210と、第1連結部220とを有する。押圧部材40及び第1板状体80は、下方向に移動可能である。これにより、押圧部材40の下方向の移動量に応じて、突起部材130が上方向に移動し、タイル240に生じるせん断応力が増大する。その結果、切断時におけるタイル240の横割れの発生を抑制できる。
【0062】
さらに、てこ部材120は、第2力点部192と、第2支点部212と、第2連結部222とを有する。これにより、タイル240に左右均等の力を加えることができ、切断時におけるタイル240の横割れの発生を一層抑制できる。
【0063】
第1弾性体100は、基台70及び第1板状体80に接続されている。また、第2弾性体110は、基台70及び第2板状体90に接続されている。これにより、切断作業を終えた後、押圧部材40を上方向に移動させると、第1板状体80及び第2板状体90が自動的に元の位置に戻るため、作業性が向上する。
【0064】
突起本体132は、第3回転軸y1を中心として、突起支持部134に対して回転可能である。これにより、突起本体132が、タイル240の傾きに合わせて回転する。その結果、突起支持部134とタイル240との接触が保たれ、切断時におけるタイル240の横割れの発生が一層抑制される。
【0065】
突起本体132は炭素鋼である。これにより、突起本体の耐久性が向上する。
【0066】
切込部材50は、前後方向に移動可能である。また、切込部材50は、突起部材130よりも上に位置し、下方向に移動可能である。切込部材50は、前後方向に延びるガイドレール30に接続されている。これにより、切断前に、第1板状体80と第2板状体90の間を通る直線状の切れ目tをタイル240の上面に設けることができる。その結果、切れ目tに沿って応力が集中し、切断時におけるタイル240の横割れの発生が一層抑制される。
【0067】
操作レバー60は、押圧部材40及び切込部材50の移動を操作する。これにより、タイルカッター10の操作が容易となる。
【0068】
(変形例)
[タイルカッター10aの構造]
以下に、一変形例に係るタイルカッター10aについて、図面を参照しながら説明する。図11は、本体20aの構造を示す断面図である。
【0069】
図11に示すように、タイルカッター10aは、本体20aが、棒材160a、棒材162a、第2力点部192、第2支点部212、及び第2連結部222を有しない点と、本体20aに孔h1及びh2が設けられていない点において、タイルカッター10と相違する。
【0070】
より詳細には、タイルカッター10aのてこ部材120aは、板部材140よりも上に位置する。さらに、てこ部材120aの第1力点部190aは、上端に凸部250を有する。凸部250は、上方向に突出している。図11の状態において、第1板状体80は第1力点部190aに接続していなが、第1板状体80が下方向に移動することによって、第1力点部190aに接続する。より詳細には、板部材140の下面が、凸部250の上端と接続する。
[効果]
【0071】
以上のようなタイルカッター10aは、タイルカッター10と同じ作用効果を奏することができる。
【0072】
(その他の実施形態)
本発明に係るタイルカッターは、タイルカッター10、タイルカッター10aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0073】
なお、第1板状体80は、第1力点部190に常に接続していなくともよい。第1板状体80は、下方向に移動した状態において、第1力点部190に接続していればよい。
【0074】
なお、第2板状体90は、第2力点部192に常に接続していなくともよい。第2板状体90は、下方向に移動した状態において、第2力点部192に接していればよい。
【0075】
なお、押圧部材40は、スライド部64に対して回転可能でなくともよい。すなわち、押圧部材40は、下方向に移動可能であれば、後下方向に移動可能でなくともよい。押圧部材40は、例えば、前下方向に移動可能であってもよい。切込部材50も同様である。
【0076】
なお、切込部材50は、常に突起部材130よりも上に位置していなくともよい。切込部材50は、前後方向の移動の過程において、突起部材130の上に位置することができればよい。
【0077】
なお、タイルカッター10は、磁器質タイル以外のタイルにも使用可能である。タイルカッター10は、例えば、せっ器質タイルや陶器質タイルの切断に用いることもできる。
【符号の説明】
【0078】
10 タイルカッター
10a タイルカッター
20 本体
20a 本体
30 ガイドレール
32 レール部
40 押圧部材
42a 左端部
42b 右端部
42c 中央部
44 延長部
46 スライド部
50 切込部材
52 回転刃
60 操作レバー
62 レバー本体
64 スライド部
66 延長部
68 グリップ
70 基台
80 第1板状体
90 第2板状体
100 第1弾性体
110 第2弾性体
120 てこ部材
120a てこ部材
130 突起部材
132 突起本体
134 突起支持部
140 板部材
142 板部材
144 板部材
146 板部材
148 板部材
150 脚部
152 脚部
154 脚部
160a 棒材
160b 棒材
162a 棒材
162b 棒材
170 ゴム板
172 ゴム板
180 ナット
190 第1力点部
190a 第1力点部
192 第2力点部
200 作用点部
210 第1支点部
212 第2支点部
220 第1連結部
222 第2連結部
230 コイルバネ
240 タイル
250 凸部
h1 孔
h2 孔
h3 孔
h4 孔
h5 孔
n1 切欠
n2 切欠
t 切れ目
y1 第3回転軸
y2 第4回転軸
y3 第5回転軸
z1 第1回転軸
z2 第2回転軸
F1 力
F2 力
F3 力
F4 力
F5 力
F6 力

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11