(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071150
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】設備機器管理装置および設備機器の異常検知方法
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240517BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240517BHJP
F24F 11/38 20180101ALI20240517BHJP
F24F 140/10 20180101ALN20240517BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20240517BHJP
【FI】
F25B49/02 570Z
G05B23/02 302R
F25B49/02 510A
F25B49/02 510F
F25B49/02 510Z
F24F11/38
F24F140:10
F24F140:20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181947
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小牟禮 信哉
【テーマコード(参考)】
3C223
3L260
【Fターム(参考)】
3C223AA17
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF45
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH17
3C223HH29
3L260AB01
3L260BA54
3L260CB04
3L260CB14
3L260CB15
3L260CB18
3L260CB19
3L260CB22
3L260CB26
3L260DA10
3L260DA11
3L260EA07
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】 複数の設備機器に関し、設備機器ごとの動作環境を考慮しつつ、発生した異常を簡易な処理で検知することが可能な設備機器管理装置を提供する。
【解決手段】 設備機器管理装置としての空調設備管理装置20は、動作情報取得部221と判定値算出部222と異常検知部223とを備える。動作情報取得部221は、同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得する。判定値算出部222は、設備機器ごとに所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報の特徴値を算出し、設備機器ごとに自設備機器と他の設備機器それぞれとの特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を該当する設備機器の判定値として算出する。異常検知部223は、判定値が閾値を超える設備機器を、当該動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得する動作情報取得部と、
前記動作情報取得部で取得した情報に基づいて、前記設備機器ごとに、前記所定項目に関する前記所定時間ごとの動作状況情報の特徴値を算出し、前記設備機器ごとに、自設備機器と他の設備機器それぞれとの前記特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を、該当する設備機器の判定値として算出する判定値算出部と、
前記判定値算出部が算出した判定値が、予め設定された閾値を超える設備機器を、前記動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する異常検知部と、
を備えた、設備機器管理装置。
【請求項2】
前記判定値算出部は、前記特徴値として、前記所定項目に関する前記所定時間ごとの動作状況情報の平均値または中央値を算出し、算出した平均値または中央値に基づいて、前記判定値を算出する、請求項1に記載の設備機器管理装置。
【請求項3】
前記動作情報取得部は、前記3台以上の設備機器それぞれから、所定の複数項目に関する前記所定時間ごとの動作状況情報を取得し、
前記判定値算出部は、前記動作情報取得部で取得した情報に基づいて、前記複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内における、前記設備機器ごとの前記動作状況情報に対応するプロットの重心位置を、前記複数項目に関する各設備機器の特徴値として算出し、算出した特徴値に基づいて前記複数項目に関する各設備機器の判定値を算出する、請求項1に記載の設備機器管理装置。
【請求項4】
前記動作情報取得部で取得した動作状況情報に基づいて、複数の項目ごとに、前記設備機器ごとおよび動作状況ごとの前記動作状況情報の発生頻度を示した分布図、および異なる組み合わせによる複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内に、前記設備機器ごとの前記動作状況情報に対応するプロットを示した散布図を生成し、表示させる検知結果出力部をさらに備える、請求項3に記載の設備機器管理装置。
【請求項5】
前記設備機器は、空調設備内に設置された機器であり、
前記動作状況情報は、前記空調設備内の冷凍サイクルのファン回転数、コンプレッサ周波数、電磁弁開度、圧縮機の出口側の冷媒温度である吐出温度、圧縮機の入口側の冷媒温度である吸入温度、圧縮機の出口側の冷媒の圧力である吐出圧力、または、圧縮機の入口側の冷媒の圧力である吸入圧力である、請求項1に記載の設備機器管理装置。
【請求項6】
同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得し、
取得した情報に基づいて、前記設備機器ごとに、前記所定項目に関する前記所定時間ごとの動作状況情報の特徴値を算出し、前記設備機器ごとに、自設備機器と他の設備機器それぞれとの前記特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を、該当する設備機器の判定値として算出し、
算出した判定値が、予め設定された閾値を超える設備機器を、前記動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する、設備機器の異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、設備機器管理装置および設備機器の異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の建物内には、多数の設備機器が設置されている。これらの設備機器の異常を検知するための手法として、主に2つのアプローチがある。
【0003】
1つ目の手法は、これらの多数の設備機器を一元管理する設備機器管理装置が、設備機器ごとに正常動作時の動作データを学習して構築した数式モデルを保持し、監視対象の各設備機器の動作データが該当する数式モデルに対応するか否かにより、当該設備機器で異常が発生したか否かを判定するものである。
【0004】
また2つ目の手法は、設備機器管理装置が、多数の設備機器の正常動作時の動作データを学習して構築した、多数の設備機器に共通する汎用的な数式モデルを保持し、監視対象の各設備機器の動作データがこの数式モデルに対応するか否かにより、当該設備機器で異常が発生したか否かを判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した1つ目の手法を用いる場合、設備機器ごとに設置場所等の動作環境も含めて精度の高い異常判定処理を行うことができるというメリットがある一方で、設備機器の数に応じて多数の数式モデルを保持し、設備機器ごとに該当する数式モデルを用いて判定処理を行う必要があり、数式モデルの管理および判定処理が煩雑になるという問題があった。
【0007】
また2つ目の手法を用いる場合、簡易に数式モデルの管理および判定処理を行うことができるというメリットがある一方で、設備機器ごとの設置場所や経年変化による外乱の影響等の動作環境を考慮することができず、精度の高い判定処理を行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の設備機器に関し、設備機器ごとの動作環境を考慮しつつ、発生した異常を簡易な処理で検知することが可能な、設備機器管理装置および設備機器の異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、設備機器管理装置は、同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得する動作情報取得部と、前記動作情報取得部で取得した情報に基づいて、前記設備機器ごとに、前記所定項目に関する前記所定時間ごとの動作状況情報の特徴値を算出し、前記設備機器ごとに、自設備機器と他の設備機器それぞれとの前記特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を、該当する設備機器の判定値として算出する判定値算出部と、前記判定値算出部が算出した判定値が、予め設定された閾値を超える設備機器を、前記動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する異常検知部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置を利用した空調システムを示す全体図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置が取得した管理対象の複数の冷凍サイクルのPMV開度データに基づいて生成された、冷凍サイクルごと、およびPMV開度ごとの発生頻度の分布図である。
【
図4】(a)~(d)は、本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置が算出した、管理対象の各冷凍サイクルに関する、他の冷凍サイクルそれぞれとの計測データの平均値の差分を示す絶対値、およびこれらの絶対値から算出される判定値を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置が取得した2項目の動作状況情報に基づいて、2次元平面上に、冷凍サイクルごとおよび当該2項目の動作状況情報の取得タイミングごとに、対応する位置をプロットした散布図である。
【
図6】(a)~(d)は、本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置が算出した、管理対象の各冷凍サイクルの計測データの重心位置と他の冷凍サイクルの計測データの重心位置それぞれとの距離、およびこれらの距離から算出される判定値を示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る空調設備管理装置が管理対象とする空調設備から取得された、複数の項目それぞれに関する動作状況情報に基づいて生成された分布図、および異なる複数の組み合わせによる2項目の動作状況情報ごとに生成された複数の散布図を1画面上に並べた画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の設備機器管理装置の実施形態として、建物に設置された複数の設備機器である空調機を管理する空調設備管理装置について、以下に説明する。
【0012】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による空調設備管理装置を用いた空調システムの構成〉
本発明の第1実施形態による空調設備管理装置を用いた空調システムの構成について、
図1を参照して説明する。空調システム1Aは、空調設備10と、空調設備10の管理を行う空調設備管理装置20とを備える。
【0013】
空調設備10は、建物内に設置された複数の機器を有し、これらの複数の機器は、同一仕様で構成され、且つ設置場所や経年変化による外乱の影響等に基づいて動作環境が類似する機器ごとに、複数の機器グループ(第1機器グループ、第2機器グループ・・・)に予め分類される。各機器グループには、3台以上の機器が属する。同一機器グループに分類される同一仕様で構成された機器とは、例えば、熱源機、室外機、または室内機等である。
【0014】
本実施形態における空調設備10内の複数機器のグループ分け方法として、(1) 熱源機のグループ分け方法、(2) ビル用マルチタイプで構成された空調システム内の空調機(室外機および室内機)のグループ分け方法、(3) シングルタイプで構成された空調システム内の空調機(室外機および室内機)のグループ分け方法について、説明する。
【0015】
(1) 熱源機のグループ分け方法
空調システム内の熱源機は、例えば以下のようにグループ分けされる。
【0016】
(1-1) 同一の水系統を負荷分散しながら動作するように1ユニットで構成された複数のモジュールチラーを、1つの機器グループとする。
【0017】
(1-2) 同一の水系統を負荷分散しながら動作するように1ユニットに構成されたモジュールチラーに搭載された複数の冷凍サイクルを、1つの機器グループとする。
【0018】
(2) ビル用マルチタイプで構成された空調システム内の空調機(室外機および室内機)のグループ分け方法
1台の室外機に複数台の室内機が通信線および配管で接続された構成を含む、ビル用マルチタイプの空調システムの場合、この空調システム内の空調機は例えば以下のようにグループ分けされる。
【0019】
(2-1) 互いに連結している複数の室外機を1つの機器グループとする。
【0020】
(2-2) 建物内の同室に設置され、且つ同一の室外機に接続されて同一冷媒系統に属する複数の室内機を1つの機器グループとする。
【0021】
(2-3) 接続されている室内機が建物内の同室に設置されている、複数の室外機を1つの機器グループとする。
【0022】
(2-4) 接続されている室外機が同一であるか否かに関わらず、建物内の同室に設置されている複数の室内機を1つの機器グループとする。
【0023】
(3) シングルタイプで構成された空調システム内の空調機(室外機および室内機)のグループ分け方法
1台の室外機に1台の室内機が通信線および配管で接続されたシングルタイプの空調システムの場合、この空調システム内の空調機は例えば以下のようにグループ分けされる。
【0024】
(3-1) 接続されている室内機が建物内の同室に設置されている、複数の室外機を1つの機器グループとする。
【0025】
(3-2) 建物内の同室に設置されている複数の室内機を1つの機器グループとする。
【0026】
図1に示す空調設備10は、上記の(1-2) の方法により分類された冷凍サイクルが属する第1機器グループ110、および(2-2) の方法により分類された室内機が属する第2機器グループ120を含む、複数の機器グループを有する。第1機器グループ110には、1ユニットに構成されたモジュールチラーに搭載された冷凍サイクル11A、11B、11C、および11Dが属する。第2機器グループ120には、建物内の同室に設置された室内機12A、12B、12C、および12Dが属する。
【0027】
空調設備管理装置20は、例えば空調設備10の監視および制御を行うコントローラ、またはクラウドサーバで構成され、記憶部21とCPU22とを有する。記憶部21は、機器グループ情報記憶部211と、閾値記憶部212とを有する。機器グループ情報記憶部211は、上述したように分類した、空調設備10内の機器のグループ分け情報を記憶する。
【0028】
閾値記憶部212は、後述するように異常が発生した機器を検知するために予め設定された、後述する動作状況情報の項目ごと、および複数の動作状況情報の項目の組み合わせごとの閾値を記憶する。
【0029】
CPU22は、動作情報取得部221と、判定値算出部222と、異常検知部223と、検知結果出力部224とを有する。
【0030】
動作情報取得部221は、空調設備10内の機器それぞれから、所定項目に関する動作状況情報を、所定時間ごとに取得する。
【0031】
判定値算出部222は、動作情報取得部221で取得した情報に基づいて、機器ごとに、所定項目に関する動作状況情報の特徴値を算出する。また判定値算出部222は、機器ごとに、自機器と他の機器それぞれとの特徴値の差分を示す絶対値を算出し、算出した複数の値の中央値を、該当する機器の判定値として算出する。判定値算出部222が算出する機器ごとの動作状況情報の特徴値は、例えば所定項目に関する所定時間ごとの動作状況情報の平均値、または中央値である。
【0032】
異常検知部223は、判定値算出部222が算出した判定値が、閾値記憶部212に記憶された該当する項目の閾値を超える機器を、異常が発生した機器として検知する。検知結果出力部224は、異常検知部223による検知結果を、表示部23に表示させる。
【0033】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイで構成され、検知結果出力部224からの指示に基づいて表示情報を表示させる。
【0034】
〈第1実施形態による空調設備管理装置を用いた空調システムの動作〉
次に、本実施形態による空調システム1Aの動作例について、説明する。
図2は、空調システム1Aが動作する際に、空調設備管理装置20が実行する処理を示すフローチャートである。
【0035】
まず、空調設備管理装置20の動作情報取得部221が、空調設備10内の第1機器グループ110内の冷凍サイクル11A~11Dの動作状況情報を所定時間間隔(例えば1分間隔)で、所定期間(例えば1ヶ月~数ヶ月程度)分、取得する(S1)。動作情報取得部221が空調設備10内の機器の動作状況情報を取得する期間(1ヶ月~数ヶ月程度)は、空調設備10内のすべての機器がある程度の期間稼動することが想定される期間で設定される。
【0036】
各冷凍サイクルの動作状況情報としては例えば、ファン回転数、コンプレッサ周波数、電磁弁(PMV)開度、圧縮機の出口側の冷媒温度である吐出温度(TD)、圧縮機の入口側の冷媒温度である吸入温度(TS)、圧縮機の出口側の冷媒の圧力である吐出圧力(PD)、圧縮機の入口側の冷媒の圧力である吸入圧力(PS)等の項目がある。
【0037】
次に判定値算出部222が、動作情報取得部221で取得した情報に基づいて、冷凍サイクルごとに動作状況情報の特徴値を算出し(S2)、算出した特徴値に基づいて、異常発生の有無を判定するための判定値を冷凍サイクルごとに算出する(S3)。
【0038】
次に、異常検知部223は、判定値算出部222が算出した判定値の中で、閾値記憶部212に記憶された、該当する閾値を超える判定値があるか否かを判定する(S4)。異常検知部223は、閾値記憶部212に記憶された閾値を超える判定値があると判定すると(S4の「YES」)、当該判定値に対応する冷凍サイクルを、異常が発生した冷凍サイクルとして検知する(S5)。検知結果出力部224は、異常が発生した冷凍サイクルを検知すると、該当する冷凍サイクルで異常が発生したことを報知する情報を表示部23に表示させる(S6)。ステップS4において、異常検知部223が、算出した判定値の中で、閾値記憶部212に記憶された閾値を超える判定値がないと判定したときには(S4の「NO」)、処理を終了する。
【0039】
以下に、動作情報取得部221が取得した1項目の動作状況情報に基づいてステップS2~S6の処理を実行した場合の第1の異常判定処理例、および、動作情報取得部221が取得した2項目以上の動作状況情報に基づいてステップS2~S6の処理を実行した場合の第2の異常判定処理例について説明する。
【0040】
[第1の異常判定処理例]
第1の異常判定処理例では、空調設備管理装置20は、動作情報取得部221が取得した空調設備10の冷凍サイクル内の動作状況情報の中の1項目である、PMV開度の計測データ(以下、「PMV開度データ」と記載する)に基づいて、異常判定処理を行う。本処理例において、判定値算出部222は、冷凍サイクルごとにPMV開度データの特徴値として、平均値を算出する(S2)。
【0041】
図3は、動作情報取得部221が取得したPMV開度データに基づいて生成された、冷凍サイクルごと、およびPMV開度ごとのデータ発生頻度の分布図である。
図3内の実線は、冷凍サイクル11Aに関するPMV開度ごとの発生頻度を示す。冷凍サイクル11AのPMV開度データの平均値は、この実線内の値「PMV_ava_A」である。
【0042】
また、
図3内の1点鎖線は、冷凍サイクル11Bに関するPMV開度ごとの発生頻度を示す。冷凍サイクル11BのPMV開度データの平均値は、この1点鎖線内の値「PMV_ava_B」である。また、
図3内の2点鎖線は、冷凍サイクル11Cに関するPMV開度ごとの発生頻度を示す。冷凍サイクル11CのPMV開度データの平均値は、この2点鎖線内の値「PMV_ava_C」である。また、
図3内の破線は、冷凍サイクル11Dに関するPMV開度ごとの発生頻度を示す。冷凍サイクル11DのPMV開度データの平均値は、この破線内の値「PMV_ava_D」である。
【0043】
次に判定値算出部222は、冷凍サイクルごとに、自冷凍サイクルと他の冷凍サイクルそれぞれとに関し、PMV開度データの平均値の差分の絶対値を算出し、算出した平均値の絶対値の中央値を、該当する冷凍サイクルの判定値として算出する(S3)。
【0044】
図4(a)は、判定値算出部222が算出した、冷凍サイクル11Aと、他の冷凍サイクル11B、11C、11DそれぞれとのPMV開度データの平均値の差分を示す絶対値、およびこれらの絶対値から算出される冷凍サイクル11Aの判定値を示す説明図である。
【0045】
図4(a)内の「|PMV_ava_A - PMV_ava_B|」は、冷凍サイクル11AのPMV開度データの平均値と、冷凍サイクル11BのPMV開度データの平均値との差分を示す絶対値である。また、「|PMV_ava_A -PMV_ava_C|」は、冷凍サイクル11AのPMV開度データの平均値と、冷凍サイクル11CのPMV開度データの平均値との差分を示す絶対値である。また、「|PMV_ava_A -PMV_ava_D|」は、冷凍サイクル11AのPMV開度データの平均値と、冷凍サイクル11DのPMV開度データの平均値との差分を示す絶対値である。
【0046】
判定値算出部222は、これらの3つの絶対値のうち、「|PMV_ava_A - PMV_ava_C|」を中央値として認識し、この中央値を冷凍サイクル11Aの第1の判定値として算出する。
【0047】
同様にして判定値算出部222は、
図4(b)に示すように「|PMV_ava_B - PMV_ava_A|」を冷凍サイクル11Bの第1の判定値として算出し、
図4(c)に示すように「|PMV_ava_C -PMV_ava_A|」を冷凍サイクル11Cの第1の判定値として算出し、
図4(d)に示すように「|PMV_ava_D - PMV_ava_B|」を冷凍サイクル11Dの第1の判定値として算出する。
【0048】
次に、異常検知部223は、判定値算出部222が算出した第1の判定値の中で、閾値記憶部212に記憶されたPMV開度に関する閾値を超える第1の判定値があるか否かを判定する(S4)。
【0049】
ここでは異常検知部223は、冷凍サイクル11Dの判定値が、閾値記憶部212に記憶された該当する閾値を超えると判定し(S4の「YES」)、該当する冷凍サイクル11Dを、異常が発生した冷凍サイクルとして検知する(S5)。
【0050】
異常検知部223において冷凍サイクル11Dで異常が発生したことが検知されると、検知結果出力部224の制御により、冷凍サイクル11Dで異常が発生したことを報知する情報が表示部23に表示される(S6)。
【0051】
[第2の異常判定処理例]
第2の異常判定処理例では、空調設備管理装置20は、動作情報取得部221が取得した空調設備10の冷凍サイクルの動作状況情報の中の2項目である、PMV開度データおよび圧縮機の出口側の冷媒の圧力(PD)の計測データ(以下、「吐出圧力データ」と記載する)に基づいて、異常判定処理を行う。
【0052】
図5は、動作情報取得部221が取得した2項目の動作状況情報に基づいて、これら2項目それぞれに応じた軸方向を有する2次元平面上に、冷凍サイクルごとおよび当該2項目の動作状況情報の取得タイミングごとに、対応する位置をプロットした散布図である。判定値算出部222は、この散布図内における、冷凍サイクルごとの複数プロットの重心位置を、これら2項目の動作状況情報に関する冷凍サイクルごとの特徴値として算出する。
【0053】
図5において、〇印「Center_A」は冷凍サイクル11Aに関する複数プロットの重心位置を示し、〇印「Center_B」は冷凍サイクル11Bに関する複数プロットの重心位置を示し、〇印「Center_C」は冷凍サイクル11Cに関する複数プロットの重心位置を示し、〇印「Center_D」は冷凍サイクル11Dに関する複数プロットの重心位置を示す。
【0054】
次に判定値算出部222は、冷凍サイクルごとに、自冷凍サイクルと他の冷凍サイクルそれぞれとのプロットの重心位置の差分を示す絶対値として、2次元空間内における重心位置間の距離、例えばマハラノビス距離を算出する。
【0055】
次に判定値算出部222は、冷凍サイクルごとに、自冷凍サイクルと他の冷凍サイクルそれぞれとのプロットの重心位置間の距離の中央値を、該当する冷凍サイクルの判定値として算出する。
【0056】
図6(a)は、判定値算出部222が算出した、冷凍サイクル11Aと、他の冷凍サイクル11B、11C、11Dそれぞれとのプロットの重心位置間の距離、およびこれらの距離から算出される冷凍サイクル11Aの判定値を示す説明図である。
【0057】
図6(a)内の「|Center _A - Center _B|」は、冷凍サイクル11Aに関するプロットの重心位置と冷凍サイクル11Bに関するプロットの重心位置との距離を示す。また、「|Center _A - Center _C|」は、冷凍サイクル11Aに関するプロットの重心位置と冷凍サイクル11Cに関するプロットの重心位置との距離を示す。また、「|Center _A - Center _D|」は、冷凍サイクル11Aに関するプロットの重心位置と冷凍サイクル11Dに関するプロットの重心位置との距離を示す。
【0058】
判定値算出部222は、これらの3つの距離のうち、「|Center _A - Center _C|」を中央値として認識し、この中央値を冷凍サイクル11Aの第2の判定値として算出する。
【0059】
同様にして判定値算出部222は、
図6(b)に示すように「|Center _B - Center _A|」を冷凍サイクル11Bの第2の判定値として算出し、
図6(c)に示すように「|Center _C - Center _A|」を冷凍サイクル11Cの第2の判定値として算出し、
図6(d)に示すように「|Center _D - Center _B|」を冷凍サイクル11Dの第2の判定値として算出する。
【0060】
次に、異常検知部223は、判定値算出部222が算出した第2の判定値の中で、閾値記憶部212に記憶された、PMV開度データおよび吐出圧力データに関する閾値を超える第2の判定値があるか否かを判定する(S4)。
【0061】
ここでは異常検知部223は、冷凍サイクル11Dの判定値が、閾値記憶部212に記憶された該当する閾値を超えると判定し(S4の「YES」)、該当する冷凍サイクル11Dを、異常が発生した冷凍サイクルとして検知する(S5)。
【0062】
異常検知部223において冷凍サイクル11Dで異常が発生したことが検知されると、検知結果出力部224により、冷凍サイクル11Dで異常が発生したことを報知する情報が表示部23に表示される(S6)。
【0063】
検知結果出力部224は、動作情報取得部221が取得した動作状況情報に基づいて、複数の項目ごとに、冷凍サイクルごとおよび動作状況ごとの計測データ(動作状況情報)の発生頻度を示した分布図、および異なる組み合わせによる複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内に、冷凍サイクルごとの動作状況情報に対応するプロットを示した散布図を生成し、1画面上に並べて表示部23に表示させてもよい。
【0064】
図7は、空調設備10の冷凍サイクル内の1つで冷媒漏えいが発生したときに取得された、複数の項目ごとに動作状況情報に基づいて生成された分布図、および異なる複数の組み合わせによる2項目の動作状況情報ごとに生成された複数の散布図を1画面上に並べた画面構成図を示す。
【0065】
図7において、各項目、具体的には、ファン回転数、コンプレッサ周波数(コンプHz)、PMV開度、圧縮機の出口側の冷媒温度である吐出温度(TD)、圧縮機の入口側の冷媒温度である吸入温度(TS)、圧縮機の出口側の冷媒の圧力である吐出圧力(PD)、圧縮機の入口側の冷媒の圧力である吸入圧力(PS)に関し、横方向と縦方向との異なる項目が交わる位置に示す図が、該当する2項目の動作状況情報に基づいて生成された散布図である。
【0066】
図7の散布図内において、濃い色の×印のプロットは、冷媒漏えいが発生した冷凍サイクルに関する、該当する動作状況情報の取得タイミングごとのプロットである。また、薄い色の+印のプロット、|印のプロット、および-印のプロットはそれぞれ、正常に稼働している冷凍サイクルに関する、該当する動作状況情報の取得タイミングごとのプロットである。
【0067】
冷媒漏えいが発生した冷凍サイクルでは、PMV開度が通常時よりも大きくなる。これにより、PMV開度に関わる散布図、具体的には、PMV開度およびファン回転数に基づいて生成された散布
図G1、PMV開度およびコンプHzに基づいて生成された散布
図G2、吐出温度(TD)およびPMV開度に基づいて生成された散布
図G3、吸入温度(TS)およびPMV開度に基づいて生成された散布
図G4、吐出圧力(PD)およびPMV開度に基づいて生成された散布
図G5、吸入圧力(PS)およびPMV開度に基づいて生成された散布
図G6では、冷媒漏えいが発生した1台の冷凍サイクルに関する、濃い色の×印のプロットの点群が、正常に稼働している3台の冷凍サイクルに関する、薄い色のプロットの点群から、PMV開度を示す軸方向に大きくずれている。
【0068】
また
図7において、横方向と縦方向とが同じ項目である位置に示す図は、上述した第1の異常判定処理例で説明したように、該当する1項目の動作状況情報に基づいて生成された、冷凍サイクルごと、および該当する動作状況情報ごとの発生頻度を示す分布図である。
【0069】
これらの分布図の中でも、PMV開度に基づいて生成された分布
図G7では、冷媒漏えいが発生した1台の冷凍サイクルに関する分布図dが、正常に稼働している3台の冷凍サイクルに関する分布図a~cから大きくずれている。
【0070】
これにより、当該画面を視認した管理者は、×印のプロットに対応し、且つ分布図dに対応する冷凍サイクルで、PMV開度に関して異常が発生したことを認識することができる。
【0071】
以上の第1実施形態によれば、空調設備管理装置20は、同一仕様で構成された複数の空調機の中で、異常が発生した空調機を、機械学習による数式モデル等の複雑な演算を用いず、簡易な数値演算により検知することができる。その際、同一環境に設置された複数の空調機を比較対象とすることで、動作環境による影響を受けずに異常を検知することができる。また、同時期に設置された複数の空調機を比較とすることで、経年変化による影響を受けずに異常を検知することができる。
【0072】
上述した実施形態において、さらに経過によって変化する現象に応じて段階的に制御を変更してもよい。例えば、冷媒漏えいが進行していくにつれてPMV1次側液密度が低下し、PMV開き制御により開度が上昇し、PMV上限開度到達後に吐出温度が高温化するような傾向がある場合に、冷媒漏洩の初期状態をPMV開度による冷媒漏洩の1次判断として行い、その後、同一の空調機でPMV開度と吐出温度の変化が検知された場合には、冷媒漏洩末期であると判断し、冷媒漏洩初期状態に行う警報とは異なる警告を出力してもよい。
【0073】
上述した実施形態中の[第2の異常判定処理例]においては、判定値算出部222が、自冷凍サイクルと他の冷凍サイクルそれぞれとのプロットの重心位置間の距離の中央値を、該当する冷凍サイクルごとの判定値として算出する場合について説明したが、重心位置間の距離の平均値を、該当する冷凍サイクルごとの判定値として算出してもよい。
【0074】
上述した実施形態においては、[第2の異常判定処理例]として、空調設備管理装置20が、空調設備10の冷凍サイクル内の中の2項目の動作状況情報に基づいて異常判定処理を行う場合について説明したが、これには限定されず、3項目以上の動作状況情報に基づいて異常判定処理を行ってもよい。
【0075】
この場合、判定値算出部222は、該当する複数項目の動作状況情報に基づいて、対象とする項目数に応じた数の軸方向を有する多次元空間内で、計測データに対応する冷凍サイクルごとの複数プロットの重心位置を、これら複数項目の計測データに関する冷凍サイクルごとの特徴値として算出する。以降、上述した第2の異常判定処理例と同様に、判定値算出部222が冷凍サイクルごとの判定値を算出し、これに基づいて異常が発生した冷凍サイクルを検知する。
【0076】
その際、異常検知部223は、いずれかの判定値から異常が発生した設備機器を検知したときに、多次元空間内における、正常に稼働している複数の冷凍サイクルの重心位置に対する、異常が発生した冷凍サイクルの重心位置のずれ方向に基づいて、異常が発生した動作状況情報の項目を特定することができる。
【0077】
上述した実施形態では主にPMV開度を用いた冷媒漏洩判定を中心に説明したが、この他にも種々の異常を検知してよい。例えば、空気熱交のフィン目詰まりなどであれば、ファン回転数の上昇と凝縮温度や蒸発温度の上昇などの異なるデータの外れ値の組合せにより異常を判断して良い。
【0078】
上述した実施形態において、空調設備管理装置20の閾値記憶部212に記憶する動作状況情報の項目ごと、および複数の動作状況情報の項目の組み合わせごとの閾値は、動作状況情報の特徴値(平均値または多次元空間内の重心位置)がどの程度ずれた機器を異常が発生した機器として検出するかを定めるために、適切な値を設定する必要がある。
【0079】
類似した環境に設置され、類似した条件で運用した機器間においても、それぞれの機器の持つ個体差によって計測データの傾向が多少異なることがあり、空調設備管理装置20がこのような傾向の違いを異常として判定してしまうことは好ましくない。
【0080】
そこで、機器の個体特有の測定誤差等の情報が既知である場合、その情報を考慮して閾値を設定することが望ましい。例えば、特定の温度センサの測定誤差が±0.5℃であることが予め判っている場合には、当該温度センサに関する計測データの閾値を0.5℃よりも大きい値で設定する。また、所定の冷凍サイクルのPMV開度が製造誤差により±10%のばらつきがあることが予め判っている場合には、当該冷凍サイクルのPMV開度に関する計測データの閾値を、最大開度の+10%の値よりも大きい値で設定する。
【0081】
ただし、温度センサの測定誤差がPMV開度に影響を与える場合など、複数の計測項目間で複合的に発生する誤差も考えられるため、それぞれの要因による影響を考慮して各閾値を設定することが望ましい。
【0082】
また、機器特有の測定誤差の情報が未知である場合、または複数の計測項目間で複合的に発生する誤差を考慮することが難しい場合には、計測データ内の95%信頼区間または95%信頼楕円などのように、定量的に管理可能な値に基づいて閾値を設定し、運用後の誤検知発生状況に基づいて適宜調整することが望ましい。
【0083】
また、上述した実施形態において、所定の複数の機器が、同一仕様で構成され且つ動作環境が類似すると想定され、同一グループに分類された場合でも、実際には、これらの機器の中で、正常に稼働しているにも関わらず異常と判定される場合がある。
【0084】
例えば、同じ部屋の中でも、窓際のペリメータゾーンに設置された室内機は、他の室内機よりも熱負荷が高く設定温度が極端に高いまたは低い場合がある。このような場合には、同室に設置されていることにより同一グループに分類された複数の室内機の間で計測データの傾向が異なり、ペリメータゾーンに設置された室内機が異常であると判定されてしまう可能性がある。
【0085】
このようなケースにより、正常な稼動であるにも関わらず異常が検知された機器があった場合には、該当する機器を、当該グループから除外して設定し直す必要がある。
【0086】
上述した実施形態においては、設備機器が空調機器である場合について説明したが、これには限定されず、産業用の他の設備機器であっても用いることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1A…空調システム
11A,11B,11C,11D…冷凍サイクル、12A,12B,12C,12D…室内機、20…空調設備管理装置、21…記憶部、22…CPU、23…表示部、110…第1機器グループ、120…第2機器グループ、211…機器グループ情報記憶部、212…閾値記憶部、221…動作情報取得部、222…判定値算出部、223…異常検知部、224…検知結果出力部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定の複数項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得する動作情報取得部と、
前記動作情報取得部で取得した情報に基づいて、前記設備機器ごとに、前記複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内における、前記設備機器ごとの前記動作状況情報に対応するプロットの重心位置を、前記複数項目に関する各設備機器の特徴値として算出し、前記設備機器ごとに、自設備機器と他の設備機器それぞれとの前記特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を、該当する設備機器の判定値として算出する判定値算出部と、
前記判定値算出部が算出した判定値が、予め設定された閾値を超える設備機器を、前記動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する異常検知部と、を備える、設備機器管理装置。
【請求項2】
前記動作情報取得部で取得した動作状況情報に基づいて、複数の項目ごとに、前記設備機器ごとおよび動作状況ごとの前記動作状況情報の発生頻度を示した分布図、および異なる組み合わせによる複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内に、前記設備機器ごとの前記動作状況情報に対応するプロットを示した散布図を生成し、表示させる検知結果出力部をさらに備える、請求項1に記載の設備機器管理装置。
【請求項3】
前記設備機器は、空調設備内に設置された機器であり、
前記動作状況情報は、前記空調設備内の冷凍サイクルのファン回転数、コンプレッサ周波数、電磁弁開度、圧縮機の出口側の冷媒温度である吐出温度、圧縮機の入口側の冷媒温度である吸入温度、圧縮機の出口側の冷媒の圧力である吐出圧力、または、圧縮機の入口側の冷媒の圧力である吸入圧力である、請求項1に記載の設備機器管理装置。
【請求項4】
同一仕様で構成され、且つ動作環境が類似すると予め判断された3台以上の設備機器それぞれから、所定の複数項目に関する所定時間ごとの動作状況情報を取得し、
取得した情報に基づいて、前記設備機器ごとに、前記複数項目それぞれに応じた軸方向を有する多次元空間内における、前記設備機器ごとの前記動作状況情報に対応するプロットの重心位置を、前記複数項目に関する各設備機器の特徴値として算出し、前記設備機器ごとに、自設備機器と他の設備機器それぞれとの前記特徴値の差分値を算出し、算出した複数の差分値の中央値または平均値を、該当する設備機器の判定値として算出し、
算出した判定値が、予め設定された閾値を超える設備機器を、前記動作状況情報に関して異常が発生した設備機器として検知する、設備機器の異常検知方法。