(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071155
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181955
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】原田 真帆
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB27
2C056EC72
2C056EC75
2C056ED02
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA21
(57)【要約】
【課題】1回の相対移動時に生じる画像濃度ズレを抑制する。
【解決手段】複数のノズルが配列されたノズル列のノズル配列方向を横切る相対移動方向に相対移動される記録材に対し、複数のノズルから液体を吐出する装置において、複数のノズルの中からドットパターンに従って選択される駆動ノズルの各駆動部に対して駆動波形を出力する駆動波形出力部208と、記録材に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、前記ドットパターンに含まれる第一サイズドットの少なくとも一部を第一サイズドットよりも大きな第二サイズドットに置き換えた置換ドットパターンを生成するドットパターン生成部200とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配列されたノズル列のノズル配列方向を横切る相対移動方向に相対移動される記録材に対し、該複数のノズルから液体を吐出する装置において、
前記複数のノズルの中からドットパターンに従って選択される駆動ノズルの各駆動部に対して駆動波形を出力する駆動波形出力部と、
前記記録材に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、前記ドットパターンに含まれる第一サイズドットの少なくとも一部を該第一サイズドットよりも大きな第二サイズドットに置き換えた置換ドットパターンを生成するドットパターン生成部とを有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記置換ドットパターンは、記録材との1回の相対移動で作成される画像のドットパターンであることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置において、
前記記録材に形成される画像の濃度ズレを検知する検知手段を有し、
前記ドットパターン生成部は、前記検知手段が前記濃度ズレを検知したときに、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体を吐出する装置において、
前記検知手段は、連続画像形成動作中に、記録材上に形成された画像の濃度ズレを検知することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液体を吐出する装置において、
前記検知手段により濃度ズレが検知される画像は、濃度補正用チャートであることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置において、
前記ドットパターン生成部は、前記記録材に形成される画像の濃度ズレが発生するたびに、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置において、
前記ドットパターン生成部は、前記第一サイズドットと前記第二サイズドットとが前記相対移動方向で互いに隣接する部分が少なくなるように、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のノズルが配列されたノズル列のノズル配列方向を横切る相対移動方向に相対移動される記録材に対し、該複数のノズルから液体を吐出する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の液体吐出ヘッドをノズル配列方向に沿って並べて配置した長尺の記録ヘッドを用いて、いわゆるマルチパス記録方式(記録ヘッドと記録材とを複数回相対移動させて画像を記録する方式)により画像を形成する場合の画像濃度ムラを抑制する画像処理装置(液体を吐出する装置)が開示されている。この装置には、小ドット(第一サイズドット)の液体を吐出するための小ドットノズル列と、大ドット(第二サイズドット)の液体を吐出するための大ドットノズル列とが、記録ヘッド上に予め設けられている。この装置では、ドットの記録位置ズレに起因した画像濃度ムラを抑制するために、大ドットと小ドットとの割合を、目標の濃度を実現するための割合を維持しつつ、大ドット同士あるいは小ドット同士の重複ドットが適量な数だけ記録されるように調整する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の液体を吐出する装置では、1回の相対移動時に生じる画像濃度ズレ(目標濃度からのズレ)を抑制することはできていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のノズルが配列されたノズル列のノズル配列方向を横切る相対移動方向に相対移動される記録材に対し、該複数のノズルから液体を吐出する装置において、前記複数のノズルの中からドットパターンに従って選択される駆動ノズルの各駆動部に対して駆動波形を出力する駆動波形出力部と、前記記録材に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、前記ドットパターンに含まれる第一サイズドットの少なくとも一部を該第一サイズドットよりも大きな第二サイズドットに置き換えた置換ドットパターンを生成するドットパターン生成部とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1回の相対移動時に生じる画像濃度ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す外観斜視説明図。
【
図2】同画像形成装置の機構部を示す要部平面説明図。
【
図4】同画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図5】(a)は、1スキャン時に本来記録されるべき画像(理想画像)の一例を示す説明図。(b)は、同図(a)に示す理想画像を形成するときに1スキャン内で濃度ズレが生じた場合の一例を示す説明図。
【
図6】駆動ノズル数(駆動ch数)と、クロストーク特性に起因して変化する液体吐出速度Vjとの関係を示すグラフ。
【
図7】駆動ノズル数(駆動ch数)と、クロストーク特性に起因して変化する液体吐出速度Vjとの関係を、駆動ノズルから吐出される滴サイズごとに示したグラフ。
【
図8】ロール紙上に出力画像イメージを記録する様子を示す説明図。
【
図9】同出力画像イメージのドットパターンデータに従って適切に液体が着弾した場合の着弾位置(理想の着弾位置)を示す説明図。
【
図10】同ドットパターンデータにおいて、エレキ的クロストークによる濃度ズレが発生した実際の着弾位置を示す説明図。
【
図11】
図10に示す実際着弾位置画像における液体の被覆面積を示す説明図。
【
図12】同出力画像イメージに対応する置換ドットパターンに従って適切に液体が着弾した場合の着弾位置(理想の着弾位置)を示す説明図。
【
図13】同置換ドットパターンデータにおいて、エレキ的クロストークによる濃度ズレが発生した実際の着弾位置を示す説明図。
【
図14】
図13に示す実際着弾位置画像における液体の被覆面積を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る液体を吐出する装置としての画像形成装置を示す外観斜視説明図である。
図2は、本実施形態の画像形成装置の機構部を示す要部平面説明図である。
図3は、同機構部の要部側面説明図である。
【0009】
本実施形態の画像形成装置は、シリアル型の画像形成装置であり、装置本体101と、装置本体101の下側に配置した給紙装置102とを備えている。装置本体101の内部には、両側板にガイド部材であるガイドロッド1及びガイドステー2が掛け渡され、これらのガイドロッド1及びガイドステー2にキャリッジ5が相対移動方向である矢印Aの方向(主走査方向、キャリッジ移動方向)に移動可能に保持されている。
【0010】
キャリッジ5を移動走査する主走査機構部は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ6と、駆動モータ6によって回転駆動される駆動プーリ7と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ8と、駆動プーリ7と従動プーリ8との間に掛け回された牽引部材であるタイミングベルト9とを備えている。キャリッジ5には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の液滴を吐出する複数(ここでは5個)の液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド11a~11e(区別しないときは「記録ヘッド11」という。)が、ノズル列を構成する複数のノズルの配列方向が主走査方向と直交する副走査方向になるように、液体吐出方向を下方に向けて装着している。なお、記録ヘッドの数は特に限定されるものではない。
【0011】
記録ヘッド11aと記録ヘッド11b~11eは、副走査方向に1記録ヘッド分だけ位置をずらして配置されている。本実施形態の記録ヘッド11a~11eは、いずれも2列のノズル列を有し、各ノズル列には192個のノズル数(チャンネル数(ch数)ともいう。)が配列されている。記録ヘッド11aと記録ヘッド11bは、いずれも同色である黒色の液体(液滴)を吐出し、記録ヘッド11c~11eはそれぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の液滴を吐出する。
【0012】
モノクロ画像を記録材上に形成する場合、記録ヘッド11a,11bを使用して、1スキャン(1回の相対移動、1回の主走査)で2ヘッド分の幅の画像を形成できる。一方、カラー画像を記録材上に形成する場合、例えば記録ヘッド11b~11eを使用して形成することができる。
【0013】
また、記録ヘッド11a~11dには、それぞれの液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンク12がそれぞれ設けられている。ヘッドタンク12には、装置本体101に交換可能に装着されるメインタンクであるインクカートリッジ10k,10c,10m,10yから供給チューブ16を介して各色のインクが供給される。このとき、同じ色の液滴を吐出する2つの記録ヘッド11a,11bには1つのインクカートリッジ10kからインクが供給される。
【0014】
キャリッジ5が主走査する領域のうちの画像記録領域では、ロール紙20が吸引搬送部21によって副走査方向(用紙搬送方向:矢印B方向)に間欠的に搬送される。吸引搬送部21は、給紙装置102から給紙されるロール紙20を搬送する搬送ローラ23及び搬送ローラ23に対向配置した加圧ローラ24と、複数の吸引穴が形成された搬送ガイド部材25と、搬送ガイド部材25の吸引穴から吸引を行う吸引ファン26と、排紙側ローラ28とを有している。
【0015】
キャリッジ5の主走査方向の一方側において、搬送ガイド部材25の側方には、記録ヘッド11の維持回復を行う維持回復機構30が配置されている。また、キャリッジ5の主走査方向の他方側において、搬送ガイド部材25の側方には、記録ヘッド11から画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出を行う空吐出受け34が配置されている。
【0016】
また、キャリッジ5には、ロール紙20の端部(用紙端部)を検知する光学センサ35が搭載されている。この光学センサ35は、異常画像やその兆候を検知するものであり、本実施形態では、画像中の濃度ズレを検知する検知手段として機能する。この光学センサ35としては、画像の反射濃度から濃度ズレを検知するものや、光学カメラによって取得される画像を処理して濃度ズレを検知するものなどが挙げられる。
【0017】
図4は、本実施形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
プリンタドライバ100は、PC(Personal Computer)等の情報処理端末や、イメージスキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホスト装置において、印刷データを生成する。
【0018】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、NVRAM(Non Volatile RAM)204、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)205、I/O(Input/Output)206、ホストI/F(Interface)207、ヘッド制御部208、主走査モータ駆動部209、副走査モータ駆動部211、垂直モータ駆動部212を備える。
【0019】
CPU201は演算手段であり、本実施形態の画像形成装置全体の動作を制御する。例えば、CPU201は、用紙の搬送動作及び記録ヘッド11の移動動作に関する制御を行う。ROM202は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM203は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU201が情報を処理する際の作業領域として用いられる。NVRAM204は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0020】
このようなハードウェア構成において、ROM202やNVRAM204若しくは光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM203に読み出され、CPU201がRAM203にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0021】
ASIC205は、画像形成装置全体を制御する各種インタフェースや、画像処理回路、画像データの入出力を制御する回路を内蔵し、CPU201によって制御される。ASIC205は、画像データに対する各種信号処理、データの並び替え処理等を行う画像処理やその他画像形成装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0022】
I/O206は、リニアエンコーダ600及びホイールエンコーダ800からの検出パルス、用紙検知センサやその他の各種センサからの検知信号を制御部200に入力する。ホストI/F207は、前記ホスト装置とネットワークやUSBケーブル等を介してデータの送受信を行う。リニアエンコーダ600はキャリッジ5の主走査方向の位置を検知し、ホイールエンコーダ800は搬送ローラ23の副走査方向の位置を検知する。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置は、用紙検知センサによる用紙つまりの検知の他に、リニアエンコーダ600及びホイールエンコーダ800により用紙つまりを検知することができる。例えば、キャリッジ5が用紙に引っ掛かることにより用紙の詰まりが発生した場合には、リニアエンコーダ600による検出パルスのずれにより用紙詰まりを検知することができる。また、例えば、用紙が画像形成装置の内部構造に引っ掛かって、搬送ローラ23の動きに影響を与えることにより用紙の詰まりが発生した場合には、ホイールエンコーダ800による検出パルスのずれにより用紙つまりを検知することができる。
【0024】
ヘッド制御部208は、記録ヘッド11の各液体吐出ヘッドを駆動するための駆動波形を生成して出力する駆動波形出力部として機能する。また、ヘッド制御部208は、各液体吐出ヘッドのノズルごとの駆動部(圧力発生手段)を選択的に駆動させるための画像データ(ドットパターンデータなど)及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ400に出力する。主走査モータ駆動部209は主走査モータ500を駆動させる。
【0025】
操作パネル300は、ユーザが画像形成装置の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。また、操作パネル300は、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置を直接操作し、若しくは画像形成装置に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。操作パネル300は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。
【0026】
ヘッドドライバ400は、シリアルに入力される記録ヘッド11の1行分(当該記録ヘッド11のノズル列長さに相当する画像部分)に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、ヘッド制御部208から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド11の各液体吐出ヘッドの圧力発生手段としての圧電素子(駆動ノズルの駆動部)に対して印加することで、記録ヘッド11の各液体吐出ヘッドを駆動する。
【0027】
本実施形態のヘッド制御部208の駆動波形出力部を構成する部分は、ROM202に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成され、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ400に対して出力する。
【0028】
ヘッドドライバ400は、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、レベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで、駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド11の各液体吐出ヘッドの圧電素子(ノズルごとに設けられる圧電素子のうち、液体を吐出する駆動ノズルに対応する圧電素子)に印加する。
【0029】
このような構成により、本実施形態に係る画像形成装置では、ホストI/F207を介して受信される受信バッファ内の印刷データをCPU201が読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って、ヘッド制御部208に転送する。ヘッド制御部208は、転送されてきたデータに従って、所要のタイミングでヘッドドライバ400に画像データや駆動波形を出力する。
【0030】
画像を出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM202にフォントデータを格納するなどして画像形成装置内で行っても良いし、ホスト装置側のプリンタドライバ100で画像データをビットマップデータに展開して画像形成装置の制御部200に転送することで行っても良い。
【0031】
本実施形態の画像形成装置においては、ホスト装置から入力される画像データ(入力画像)に対応して作成されるドットパターンデータに従って、記録ヘッド11の各液体吐出ヘッド上のノズルの中から、液体の吐出を行う駆動ノズルの圧電素子(駆動部)が選択される。そして、駆動ノズルの圧電素子に対してヘッド制御部208からの駆動波形が入力されると、この駆動波形に従って圧電素子が駆動し、駆動ノズルに連通する圧力室内の圧力が変化して、圧力室内の液体が駆動ノズルから吐出される。その結果、駆動ノズルから吐出された液体がロール紙20に着弾することで、ロール紙20上には入力画像のドットパターンに従った画像が形成(記録)される。
【0032】
図5(a)は、1スキャン(1回の相対移動)時に本来記録されるべき画像(理想画像)の一例を示す説明図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示す理想画像を形成するときに、1スキャン内で目標濃度からズレた濃度ズレが生じた場合の一例を示す説明図である。
【0033】
図5(a)において、黒塗りの画像部分は均一な画像濃度の部分である。しかしながら、
図5(b)に示す画像では、
図5(b)中の符号Eで示す点線で囲った部分は、目標濃度よりも濃い状態になった濃度ズレが発生している。このような濃度ズレの発生は、例えば、光学センサ35又は他の検知手段により、形成した画像から明度、濃度あるいはドット径などを取得することで判断することができる。
【0034】
本発明者は、
図5(b)のような濃度ズレの発生原因について検討したところ、画像記録中(1スキャン中)にヘッド制御部208により駆動される駆動ノズル数が変動したときに、駆動ノズルの圧電素子(駆動部)に入力される駆動波形が歪み、歪んだ駆動波形が入力される駆動ノズルにおいて液体吐出速度が変化することが原因であることを見出した。
【0035】
図6は、駆動ノズル数を示す駆動チャンネル数(駆動ch数)と、クロストーク特性に起因して変化する液体吐出速度Vjとの関係を示すグラフである。
クロストーク特性とは、駆動ノズルに対応する圧電素子を駆動させて圧力室(個別液室)内の液体を駆動ノズルから吐出させるにあたり、他の駆動ノズルの影響を受けて液体吐出特性が変化することをいう。このクロストーク特性には、記録ヘッド11の構造に由来する隣接クロストークと、駆動波形の歪みなどの電気的特性(エレキ)に由来するエレキ的クロストークの2種類がある。
【0036】
図6には、ノズル列を構成する全ノズル(192個のノズル)を駆動したときの液体吐出速度Vjを基準にして、駆動ノズル数(駆動ch数)を変化させたときの液体吐出速度Vjの変化率(%)が示されている。駆動ノズル数(駆動ch数)が少ないとき(
図6の符号Aで示す箇所)、液体吐出速度Vjの変化が大きい。これは、駆動ノズルが互いに隣接しているため、いわゆる隣接クロストークによるものである。
【0037】
一方、
図6によれば、駆動ノズル数(駆動ch数)が所定数(例えば20個や30個程度)以上になると、隣接クロストークの影響がなくなってくるが、液体吐出速度Vjの変化は生じている。これは、駆動ノズル数の変化に応じてヘッド制御部208の負荷が変化し、出力される駆動波形の歪みの程度が変わって液体吐出速度Vjが変化するエレキ的クロストークによるものである。このようなエレキ的クロストークは、ヘッド制御部208の駆動波形生成回路の能力に依存しており、一般に抑制することが難しい。
図5(b)に示した濃度ズレは、エレキ的クロストークに起因して発生したものである。
【0038】
図7は、駆動ノズル数(駆動ch数)と、クロストーク特性に起因して変化する液体吐出速度Vjとの関係を、駆動ノズルから吐出される液体(液滴)のサイズ(以下「滴サイズ」という。)ごとに示したグラフである。
図7に示すように、クロストーク特性(隣接クロストーク、エレキ的クロストーク)は、ノズルから吐出される液体量(液滴量)すなわち滴サイズによって変わってくることがわかる。具体的には、ノズルから小滴サイズの液体を吐出する時は、ノズルから中滴サイズ及び大滴サイズの液体を吐出する時よりもクロストークの影響が大きく、駆動ノズル数(駆動ch数)に応じた液体吐出速度Vjの変化が大きい。
【0039】
そのため、小滴に対応する小ドット(第一サイズドット)と中滴又は大滴に対応する中ドット又は大ドット(第二サイズドット)とが混在するドットパターンに従った画像記録を行う場合、ロール紙20上で小滴と中滴又は大滴との合一が生じ得る。例えば、小滴を吐出する前又は後に大滴の吐出を行うノズルにおいては、大滴は、エレキ的クロストークの影響が少ないのでロール紙20上の着弾位置が目標位置からズレないが、小滴はエレキ的クロストークによる駆動波形の歪みの影響で吐出速度Vjが変化し、ロール紙20上の着弾位置が主走査方向(相対移動方向)にズレる。その結果、ロール紙20上において小滴と大滴の着弾位置が重なってしまい、小滴と大滴の合一が生じ得る。この合一が生じると、小滴と大滴とが互いに独立する本来の状態と比べて、これらの液滴がロール紙20を被覆する面積(被覆面積)が変わってしまい(通常は面積が増大するが、減少することもあり得る。)、ロール紙20上の画像濃度が目標濃度から外れてしまう濃度ズレが発生する。
【0040】
したがって、ロール紙20に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、ドットパターンに含まれる小サイズドットの少なくとも一部を中サイズドットや大サイズドット(第二サイズドット)に置き換え、エレキ的クロストークの影響を受けやすい小サイズドットを減らすことにより、エレキ的クロストークに起因した濃度ズレの発生を抑制することが可能である。
【0041】
図8は、ロール紙20上に出力画像イメージAを記録する様子を示す説明図である。
ここでは、キャリッジ5を図中右側から左側(主走査方向)へ1回移動させることにより、キャリッジ5上の記録ヘッド11aを用いてロール紙20上に出力画像イメージAを記録する例である。
【0042】
図9は、出力画像イメージAのドットパターンデータに従って適切に液体が着弾した場合の着弾位置(理想の着弾位置)を示す説明図である。この理想の着弾位置を示す理想着弾位置画像Bから分かる通り、出力画像イメージAのドットパターンデータには、小滴Sに対応する小サイズドットと、大滴Lに対応する大サイズドットとが混在している。
【0043】
このドットパターンデータは、例えば、すべて小サイズドットで構成したり、すべて大サイズドットで構成したり、小サイズドットと大サイズドットとの割合を変化させたりしても、同一濃度の出力画像イメージAを記録することが可能である。ただし、小サイズドットを多く用いることで、画像のエッジ鮮明度が向上するなどの画質向上を図ることができる一方、吐出動作が複雑化してしまう。逆に、大サイズドットを多く用いることで、吐出動作の簡単化を図ることができる一方、画像のエッジ鮮明度が低下するなどの画質の低下を引き起こし得る。したがって、小サイズドットや大サイズドットを用いることによるメリット、デメリットのバランスをとって、ドットパターンにおける小サイズドットと大サイズドットとの割合が適宜決定される。
【0044】
図10は、エレキ的クロストークによる濃度ズレが発生した実際の着弾位置を示す説明図である。
濃度ズレが発生した実際の着弾位置を示す実際着弾位置画像Cは、
図10に示すように、図中右側から左側(主走査方向)へ1回移動させることによりロール紙20上に記録される。そのため、出力画像イメージAを記録する場合、
図10中符号a,c,eの画像部分については、その画像部分に対応するノズルは連続的に駆動し、大滴Lと小滴Sを交互に吐出し続けるように動作する。一方、
図10中符号b,dの画像部分については、その画像部分に対応するノズルはまずは液体吐出を行わない非駆動ノズルであるが、スキャン途中から液体吐出を開始して、その語は連続的に駆動して大滴Lと小滴Sを交互に吐出し続けるように動作する。
【0045】
出力画像イメージAの例では、スキャン(1回の相対移動)の最初の時期は、ノズル列を構成する全ノズルのうちの3/5個のノズルだけが駆動し、スキャンの途中から全ノズルが駆動することになる。このとき、
図10に示すように、実際着弾位置画像C中の画像部分a,c,eについては小滴Sの着弾位置がズレていないが、実際着弾位置画像C中の画像部分b,dについては小滴Sの着弾位置がズレていることがわかる。
【0046】
すなわち、スキャン(1回の相対移動)の途中で駆動ノズル数が増加した場合、この増加のタイミングの前後で連続して液体を吐出するノズル(画像部分a,c,eに対応するノズル)については、駆動ノズル数の増加による駆動波形の歪みの影響(エレキ的クロストークの影響)が小さく、液体吐出速度Vjの変化が少ない。しかしながら、増加のタイミングになってから液体の吐出を開始するノズル(画像部分b,dに対応するノズル)については、駆動ノズル数の増加による駆動波形の歪みの影響(エレキ的クロストークの影響)が大きく、液体吐出速度Vjの変化が大きい。
【0047】
具体的には、エレキ的クロストークの影響で、増加のタイミング後における画像部分b,dのノズルからの小滴Sの吐出速度Vjは、画像部分a,c,eに対応するノズルの吐出速度Vjよりも速くなっている。その結果、画像部分b,dでは、
図10に示すように、小滴Sが先に着弾した大滴Lと重なってしまっている。
【0048】
図11は、
図10に示す実際着弾位置画像Cにおける液体の被覆面積を示す説明図である。
実際着弾位置画像Cにおける液体の被覆面積を示す被覆面積画像Dにおいて、画像部分a,c,eでは、着弾した小滴S及び大滴Lが互いに独立しているため、本来の被覆面積(理想の被覆面積)が実現されており、本来の画像濃度が得られる。これに対し、画像部分b,dでは、上述したようにエレキ的クロストークの影響で小滴Sと大滴Lとが重なった箇所で合一が生じ、ロール紙20上で液体が広がって、本来の被覆面積(理想の被覆面積)よりも被覆面積が大きくなってしまっている。そのため、画像部分b,dの画像濃度が、本来の画像濃度よりも高く(濃く)なってしまっており、この箇所で濃度ズレが発生している。
【0049】
このように画像部分b,dでは濃度ズレが生じる一方で、画像部分a,c,eでは濃度ズレが生じないことから、1つの画像内で濃度ムラが発生することになる。このような濃度ムラは、1つの画像内で一様に濃度ズレが発生している場合よりも、画像品質の低下が顕著に認識されやすい。そのため、画像部分b,dで生じる濃度ズレを抑制することが望まれる。
【0050】
図12は、出力画像イメージAに対応する置換ドットパターンに従って適切に液体が着弾した場合の着弾位置(理想の着弾位置)を示す説明図である。
本実施形態においては、光学センサ35によりロール紙20に形成される画像の濃度ズレが検知されたとき、制御部200は、ドットパターン生成部として機能し、ヘッド制御部208に送られるドットパターンデータを、検知前におけるドットパターンデータよりも、小サイズドット(第一サイズドット)の少なくとも一部を当該小サイズドットよりも大きな大サイズドット(第二サイズドット)に置き換えた置換ドットパターンを生成する。
【0051】
図12に示される理想着弾位置画像Eから分かる通り、本実施形態における置換ドットパターンデータは、検知前(置換前)におけるドットパターンデータ(
図9参照)に含まれていた小サイズドットのすべてを大サイズドットに置き換えたものである。なお、置き換えの前後において、画像濃度が変化しないように、被覆面積は変わらないような置換ドットパターンデータが生成される。
【0052】
置換ドットパターンデータによれば、出力画像イメージAを記録するにあたり、エレキ的クロストークの影響を受けやすい小滴を無くすことができる。その結果、
図13に示すように、実際着弾位置画像Fにおいても、画像部分b,dにおいて液滴の重なりが発生しない。よって、
図14に示す被覆面積画像Gにおいて、液滴の重なりによる合一が生じておらず、画像部分b,dについても、本来の画像濃度が得られている。したがって、本実施形態によれば、1つの画像内で濃度ズレが生じる画像部分がなく、1つの画像内での濃度ムラの発生が抑制される。
【0053】
なお、本実施形態においては、小サイズドットのすべてを大サイズドットに置き換えた例であるが、これに限らず、小サイズドットの一部だけを大サイズドットあるいは中サイズドットに置き換えた例であってもよい。この場合でも、エレキ的クロストークの影響を受けやすい小滴の数が少なくなるので、液滴の合一が抑制され、置換前のドットパターンデータの場合よりも、画像濃度ズレが抑制される。
【0054】
また、本実施形態では、説明の簡単化のため、小滴に対応する小サイズドットと大滴に対応する大サイズドットとが規則的に配置されるドットパターンの例で説明したが、3つ以上の互いにサイズが異なるドットを配置したドットパターンであってもよい。また、小滴に対応する小サイズドットを大滴に対応する大サイズドットに置き換えるにあたり、単に小サイズドットの箇所に大サイズドットに配置するのではなく、他のドットの配置も含めて全体的にドット配置を変更するようにしてもよい。特に、小サイズドットと大サイズドットとが主走査方向で互いに隣接する部分が置換前よりも少なくなるように、置換ドットパターンを生成すれば、小滴と大滴との合一を適切に抑制でき、濃度ズレを効率よく抑制することができる。
【0055】
本実施形態における置換ドットパターンの生成処理は、例えば、画像形成装置における画像形成動作を開始する前に、濃度ズレの発生を検知するのに適した濃度補正用チャートを印刷し、この印刷した濃度補正用チャートから濃度ズレの発生を検知してもよい。この場合、ユーザが所望する画像を記録する前に濃度ズレの発生が検知されることで、ユーザの画像記録開始当初から、置換ドットパターンを使用して濃度ズレの発生を抑制することができる。
【0056】
また、画像形成装置における連続画像形成動作中に、濃度ズレの発生を検知してもよい。この場合、ユーザの画像記録開始後に濃度ズレが発生する事態が生じても、その発生後の画像については置換ドットパターンを使用して濃度ズレの発生を抑制することができる。
【0057】
なお、クロストークや使用環境温度の変化によりチリやミストが多い場合、小滴が悪さをすることがある。この場合も、可能な限り小滴を減らすようにドットパターンデータを再生成し、低減させることが可能である。
チリやミストも光学センサあるいは光学カメラなどで読み取ることで、濃度ズレと同様に検知できる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、複数のノズルが配列されたノズル列のノズル配列方向を横切る相対移動方向(例えば主走査方向)に相対移動される記録材(例えばロール紙20)に対し、該複数のノズルから液体を吐出する装置(例えば画像形成装置)において、前記複数のノズルの中からドットパターンに従って選択される駆動ノズルの各駆動部(例えば圧電素子)に対して駆動波形を出力する駆動波形出力部(例えばヘッド制御部208)と、前記記録材に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、前記ドットパターンに含まれる第一サイズドット(例えば小サイズドット)の少なくとも一部を該第一サイズドットよりも大きな第二サイズドット(例えば大サイズドット)に置き換えた置換ドットパターンを生成するドットパターン生成部(例えば制御部200)を有することを特徴とするものである。
従来の液体を吐出する装置では、入力画像に対応して作成されるドットパターンに従って選択される駆動ノズルの各駆動部に対し、駆動波形出力部から駆動波形を出力することで、各駆動ノズルから液体を吐出させ、記録材上に当該ドットパターンに従った画像の記録を行う。このとき、1回の相対移動時に記録される画像中に、目標濃度からズレた濃度ズレが生じる箇所が発生することが確認された。この濃度ズレの原因について検討したところ、本発明者は、画像記録中に駆動波形出力部により駆動させる駆動ノズル数が変動したときに、駆動ノズルの駆動部に入力される駆動波形が歪み、歪んだ駆動波形が入力される駆動ノズルにおいて液体吐出速度が変化してしまうこと(以下「エレキ的クロストーク」という。)が原因であることを見出した。
一般に、駆動波形出力部により駆動させる駆動ノズル数が変化すると、駆動波形出力部の負荷が変化して、出力される駆動波形が歪みやすい。例えば、画像記録の途中(1回の相対移動の途中)で駆動ノズル数が増加した場合、この増加のタイミングの前後いずれも駆動ノズルであるノズル(当該タイミングの前後で連続して液体を吐出するノズル)については、駆動ノズル数の増加による駆動波形の歪みの影響が小さく、当該ノズルからの液体吐出速度の変化は生じにくい。しかしながら、増加のタイミングの前に駆動していなかった非駆動ノズルが当該タイミングの後に駆動ノズルとなるノズル(当該タイミングの後に液体の吐出を開始するノズル。以下「特定ノズル」という。)については、駆動ノズル数の増加による駆動波形の歪みの影響が大きく、当該特定ノズルからの液体吐出速度は変化しやすい。なお、このときに液体吐出速度が速くなるか遅くなるかは液体吐出ヘッドの特性によって左右される。
ここで、駆動ノズル数の増加による駆動波形の歪みの影響は、ノズルから吐出される液体量(液滴量)によって変わってくる。具体的には、ノズルから吐出される液体量(液滴量)が少ない時(ノズルから小ドット用の液体を吐出する時)ほど影響が大きく、液体吐出速度の変化が生じやすい。そのため、小ドット(第一サイズドット)と大ドット(第二サイズドット)とが混在するドットパターンに従った画像記録を行う場合において、当該小ドット用の液体を吐出する前又は後に大ドット用の液体吐出が行われると、駆動波形の歪みの影響で当該小ドット用の液体の吐出速度が変化したとき、記録材上の液体の着弾位置が相対移動方向にズレて、記録材上で当該小ドット用の液体と当該大ドット用の液体との合一が生じ得る。この合一が生じると、小ドット用の液体と大ドット用の液体とが独立する本来の状態と比べて、液体が記録材を被覆する面積(被覆面積)が変わってしまい(通常は面積が増大するが、減少することもあり得る。)、画像の濃度が目標濃度から外れてしまう濃度ズレが発生する。
このような濃度ズレは、上述したように、駆動ノズル数の増加タイミングの前に駆動していなかった非駆動ノズルが当該タイミングの後に駆動ノズルとなる特定ノズルに対応する画像位置において発生するものであり、特定ノズル以外の画像位置では発生しない。そのため、1つの画像内において、特定ノズルの画像位置では濃度ズレが生じ、特定ノズル以外の画像位置では濃度ズレが生じないという状況になり、画像の濃度ムラを引き起こすものである。なお、以上の説明は、画像記録の途中(1回の相対移動の途中)で駆動ノズル数が増加する場合であったが、駆動ノズル数が減少する場合であっても同様に考えられる。
本態様においては、記録材に形成される画像の濃度ズレが発生したとき、ドットパターン生成部により、ドットパターンに含まれる第一サイズドットの少なくとも一部を該第一サイズドットよりも大きな第二サイズドットに置き換えた置換ドットパターンが生成される。この置換ドットパターンによれば、置換前のドットパターンよりも、駆動波形の歪みの影響を受けやすい第一サイズドットを減らすことができるので、この影響に起因した濃度ズレの発生を抑制することができる。
【0059】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記置換ドットパターンは、記録材との1回の相対移動で作成される画像のドットパターンであることを特徴とするものである。
記録材との1回の相対移動で作成される画像に生じる濃度ズレを抑制することができる。
【0060】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記記録材に形成される画像の濃度ズレを検知する検知手段(例えば光学センサ35)を有し、前記ドットパターン生成部は、前記検知手段が前記濃度ズレを検知したときに、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とするものである。
これによれば、本液体を吐出する装置において、検知手段により濃度ズレが発生したことを把握できるので、濃度ズレが発生したときに置換ドットパターンを生成して濃度ズレを抑制する一連の処理を自動化することが容易となる。
【0061】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記検知手段は、連続画像形成動作中に、記録材上に形成された画像の濃度ズレを検知することを特徴とするものである。
これによれば、液体を吐出する装置が連続画像形成動作を開始した後に濃度ズレが発生するような事態が生じても、同連続画像形成動作中における当該濃度ズレ発生後の画像について置換ドットパターンを適用し、濃度ズレの抑制を行うことができる。
【0062】
[第5態様]
第5態様は、第3又は第4態様において、前記検知手段により濃度ズレが検知される画像は、濃度補正用チャートであることを特徴とするものである。
これによれば、濃度ズレに適した濃度補正用チャートを用いて濃度ズレを検知するので、濃度ズレの発生をより適切に検知することができる。
【0063】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記ドットパターン生成部は、前記記録材に形成される画像の濃度ズレが発生するたびに、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とするものである。
これによれば、濃度ズレの発生が繰り返される状況であっても、そのたびに濃度ズレの抑制を行うことができる。
【0064】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記ドットパターン生成部は、前記第一サイズドットと前記第二サイズドットとが前記相対移動方向で互いに隣接する部分が少なくなるように、前記置換ドットパターンを生成することを特徴とする液体を吐出するものである。
これによれば、第一サイズドットに対応する液滴と第二サイズドットに対応する液滴との合一を適切に抑制でき、濃度ズレを効率よく抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
5 :キャリッジ
10 :インクカートリッジ
11 :記録ヘッド
12 :ヘッドタンク
20 :ロール紙
30 :維持回復機構
35 :光学センサ
100 :プリンタドライバ
101 :装置本体
102 :給紙装置
200 :制御部
201 :CPU
202 :ROM
203 :RAM
204 :NVRAM
205 :ASIC
206 :I/O
207 :ホストI/F
208 :ヘッド制御部
209 :主走査モータ駆動部
211 :副走査モータ駆動部
212 :垂直モータ駆動部
300 :操作パネル
400 :ヘッドドライバ
500 :主走査モータ
600 :リニアエンコーダ
800 :ホイールエンコーダ
A :出力画像イメージ
B,E :理想着弾位置画像
C,F :実際着弾位置画像
D,G :被覆面積画像
L :大滴
S :小滴
Vj :吐出速度
a~e :画像部分
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】