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特開2024-71156ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071156
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240517BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240517BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D47/34 110
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181957
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】村上 知行
(72)【発明者】
【氏名】矢島 悠
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PD13
3E014PE11
3E014PE30
3E014PF10
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AA24
3E084AA32
3E084AA33
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA05
3E084KB05
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA01
3H075BB03
3H075BB22
3H075CC26
3H075DA04
3H075DB14
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】組み立て時にインナーロッド及びプラグの相対的な傾きを抑制できる、ポンプディスペンサを提供すること。
【解決手段】ポンプディスペンサ3は、シリンダ26に設けられ、ノズル24の往復動に伴って往復動する液ピストン104の内方に挿通され、ノズル24の往復動にともなって軸心に沿って移動する、一端に第1係合部166を有するインナーロッド110と、液室220に収容され、第1係合部166と係合することで、インナーロッド110の移動範囲を規定する第2係合部182を有する筒状のプラグ112と、を備え、第2係合部182は、傾斜する案内面182aを有し、第1係合部166が嵌入される開口部182bが形成され、第1係合部166は、開口部182bよりも大径の端部166a及び開口部182bの内周面と当接してプラグ112及びインナーロッド110の相対的な傾きを規制する規制部166bを有する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、
シリンダと、
前記シリンダに設けられ、前記ノズルの往復動に伴って往復動する液ピストンと、
前記液ピストンの内方に挿通され、前記ノズルの往復動にともなって軸心に沿って移動する、一端に第1係合部を有するインナーロッドと、
前記液ピストン及び前記シリンダにより形成される液室に収容され、前記インナーロッドが挿入され、前記第1係合部と係合することで、前記シリンダに対して移動する前記インナーロッドの移動範囲を規定する第2係合部を有する筒状のプラグと、を備え、
前記第2係合部は、前記第1係合部を案内する、前記プラグの軸心に対して傾斜する案内面を有するとともに、前記案内面に前記第1係合部が嵌入される開口部が形成され、
前記第1係合部は、前記開口部よりも大径に形成された端部、及び、前記端部に設けられ、前記開口部の内周面と当接することで、前記プラグ及び前記インナーロッドの相対的な傾きを規制する規制部を有する、ポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記規制部は、周方向に連続する突起か、又は、周方向に離間して複数設けられる突起である、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記規制部の外径は、前記開口部の内径以下である、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記端部は、外周面及び曲面を有し、
前記インナーロッドの軸心に対する前記外周面及び前記曲面の接続点及び前記規制部の角部の接線の角度をαとし、前記プラグの軸心に対する前記案内面の角度をβとしたときに、前記角度αは、8.5°≦α≦βである、請求項3に記載のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記規制部は、前記端部の前記外周面が前記案内面に当接するときに、前記開口部の内周面に当接する、請求項4に記載のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記規制部は、前記端部と同軸の柱状の突起である、請求項2に記載のポンプディスペンサ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のポンプディスペンサと、
前記ポンプディスペンサに着脱可能な容器体と、
前記ポンプディスペンサの前記シリンダに取り付けられる管体と、
を備える吐出容器。
【請求項8】
請求項7に記載の吐出容器と、
前記吐出容器内に収容された内容物と、
を備える内容物入り吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、液体を吐出するポンプディスペンサ及びポンプディスペンサが用いられた吐出容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなポンプディスペンサは、組み立て時に、液ピストン、インナーロッド、プラグ、及び、コイルバネをピストンユニットの一部としてユニット化される。
【0003】
近年地球環境に配慮して、廃棄される樹脂排出量を低減することが望まれている。そのための手段の一つとして樹脂容器の薄肉化や軽量化など、使用される樹脂量を低減することが試みられている。
【0004】
ここで、ポンプディスペンサに用いられる部品は樹脂を成形して製造され、例えばインナーロッドも樹脂製である。一般的に使用する樹脂量を低減すると、部品の強度は損なわれる傾向にあるため、樹脂量を低減した部品であっても製造及び使用において不具合が生じないような仕様が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-160748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような、ポンプディスペンサにおける組み立て時において、インナーロッドの軸心がプラグの軸心と平行で、特にインナーロッド及びプラグの互いの軸心が一致した位置で挿入されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、ポンプディスペンサのインナーロッド及びプラグの機構上のクリアランス、及びピストンユニットにおける組立装置の位置決め精度等によりインナーロッド及びプラグの軸心は互いにずれることがある。このずれによりインナーロッドは挿入とともにプラグの軸心に対して傾きを生じる。
【0008】
この傾きが大きくなるとインナーロッドの軸体が変形し、インナーロッドに適切な嵌合力が加わらずにプラグに嵌合されないことがある。使用する樹脂量を低減した部品では、より容易に変形が生じやすくなる可能性があるため、インナーロッドのプラグへの挿入時に傾きを抑制する機構が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、組み立て時にインナーロッド及びプラグの相対的な傾きを抑制できる、ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、ノズルと、シリンダと、前記シリンダに設けられ、前記ノズルの往復動に伴って往復動する液ピストンと、前記液ピストンの内方に挿通され、前記ノズルの往復動にともなって軸心に沿って移動する、一端に第1係合部を有するインナーロッドと、前記液ピストン及び前記シリンダにより形成される液室に収容され、前記インナーロッドが挿入され、前記第1係合部と係合することで、前記シリンダに対して移動する前記インナーロッドの移動範囲を規定する第2係合部を有する筒状のプラグと、を備え、前記第2係合部は、前記第1係合部を案内する、前記プラグの軸心に対して傾斜する案内面を有するとともに、前記案内面に前記第1係合部が嵌入される開口が形成され、前記第1係合部は、前記開口よりも大径に形成された端部、及び、前記端部に設けられ、前記開口の内周面と当接することで、前記プラグ及び前記インナーロッドの相対的な傾きを規制する規制部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組み立て時にインナーロッド及びプラグの相対的な傾きを抑制できる、ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図2】同吐出容器のポンプディスペンサに用いられるインナーロッドの構成を示す断面図。
図3】同インナーロッドの要部構成を示す断面図。
図4】同インナーロッドの要部構成を示す下面図。
図5】同ポンプディスペンサに用いられるプラグの構成を示す断面図。
図6】同プラグの要部構成を拡大して示す断面図。
図7】同インナーロッド及びプラグの構成を、実施形態と比較例とを並べて示す説明図。
図8】同インナーロッドをプラグへ嵌合させるときの挙動の一例を示す説明図。
図9】本発明の他の実施形態に係るインナーロッドの要部構成を示す下面図。
図10】本発明の他の実施形態に係るインナーロッドの要部構成を示す下面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出容器1の構成を、図1乃至図8を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る吐出容器1の構成を示す断面図である。図2は、吐出容器1のポンプディスペンサ3に用いられるインナーロッド110の構成を示す断面図である。図3は、インナーロッド110の第1係合部166の構成を示す断面図であり、図4は、インナーロッド110の第1係合部166の構成を示す下面図である。図5は、ポンプディスペンサ3に用いられるプラグ112の構成を示す断面図である。図6は、プラグ112の第2係合部182の構成を示す断面図である。図7は、インナーロッド110及びプラグ112の構成を、実施形態と比較例とを並べて示す説明図である。図8は、ポンプディスペンサ3の組み立て工程において、インナーロッド110をプラグ112へ嵌合させるときのインナーロッド110の挙動の一例を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、吐出容器1は、容器体2と、ポンプディスペンサ3と、管体4と、キャップ5と、を備える。また、図1に示す吐出容器1は、内容物としての液状体400を収容した内容物入り吐出容器である。
【0016】
吐出容器1は、ポンプディスペンサ3によって、容器体2内に貯留された液状体400を、管体4を通していて吸い上げ、例えば液状体400を泡状として吐出する、所謂ハンドポンプである。本実施形態において、吐出容器1の容器体2を下方、ポンプディスペンサ3を上方として、上下方向を規定し、以下説明する。
【0017】
液状体400は、容器体2内に貯留される内容物である。液状体400は、化粧品、洗剤、医薬品、医薬部外品、食品などであり、具体例として、シャンプー、ハンドソープ、洗顔料及びシェービングクリーム等の界面活性剤を含有する液体が挙げられる。
【0018】
容器体2は、例えば有底円筒状など、有底筒状である。容器体2は、その内部に液状体400を貯留可能である。容器体2は、樹脂材料、金属材料、ガラス又は陶器等により形成される。容器体2は、液状体400が貯められる本体12と、本体12の上端の一部が突出して開口する開口部を有する固定部14とを備える。固定部14は、外周面に雄ネジ部14aを有する。
【0019】
図1に示すように、ポンプディスペンサ3は、支持部22と、ノズル24と、シリンダ26と、ピストンユニット28と、球状弁体30とを備える。
【0020】
支持部22は、例えば、筒状のノズル案内筒32と、ノズル案内筒32よりも大径の筒状に形成された、容器体2の固定部14に固定される被固定部34と、を備える。支持部22は、例えば、被固定部34の一端の開口から、被固定部34の内方にノズル案内筒32が延びることで、二重円筒状に形成される。ノズル案内筒32及び被固定部34は例えば樹脂材料により一体成形される。ノズル案内筒32及び被固定部34は、例えば、同軸上にある。
【0021】
ノズル案内筒32は、ノズル24を上下方向、換言すると、ノズル24を、ノズル案内筒32の軸心上に沿って移動可能に、ノズル24を案内する。
【0022】
被固定部34は、例えば、上端側が曲面状に漸次縮径する。被固定部34は、内周面に形成された雌ネジ部34aと、外周面に形成された嵌合部34bと、を有する。雌ネジ部34aは、容器体2の雄ネジ部14aに螺合する。これにより、容器体2及びポンプディスペンサ3は、着脱可能に形成される。嵌合部34bは、キャップ5が嵌合可能に形成される。
【0023】
ノズル24は、支持部22の上側に配置される。ノズル24は、内筒42と、内筒42よりも大径の外筒44と、内筒42に流体的に連続する吐出筒46と、内筒42及び/又は吐出筒46に設けられるメッシュフィルタ48と、を有する。内筒42、外筒44、及び、吐出筒46は、例えば、樹脂材料により一体成形される。外筒44の外径は、ノズル案内筒32の内径よりも小径に形成される。
【0024】
内筒42は、吐出筒46とともに、流体の流路24aを形成する。内筒42及び外筒44は、例えば、同軸上にある。
【0025】
外筒44は、下端側の一部がノズル案内筒32の内部に配置されるとともに、ノズル案内筒32内を一方向の往復動可能に形成される。外筒44は、支持部22に対して、ノズル案内筒32の軸心に沿って第1位置(通常位置)と、第1位置とは異なる第2位置(押圧位置)との間を往復動する。
【0026】
吐出筒46は、内筒42の上端から、内筒42の軸心と交差する方向、例えば、側方、且つ、上方に向かって突出する。
【0027】
メッシュフィルタ48は、流路24aを通過する液状体400及び気体を通過させたときに、良質な泡状の液状体400を生じさせる。メッシュフィルタ48は、例えば、内筒42の内部に支持される。メッシュフィルタ48は、筒状のボディ48aと、ボディ48aに互いに離間した2つの網48b、48cと、を有する。例えば、2つの網48b、48cは、ボディ48aの両端に固定される。
【0028】
シリンダ26は、支持部22の下側に支持される。シリンダ26は、円筒状である。シリンダ26は、第1筒(空気シリンダ)52と、第1筒52の内周面よりも小径の内周面を有する第2筒(液シリンダ)54と、第2筒54の内周面よりも小径の内周面を有し、管体4が取り付けられる取付筒56とを備える。第1筒52、第2筒54及び取付筒56は、例えば、樹脂材料により一体成型される。第1筒52、第2筒54及び取付筒56は、同軸上にあり、また、支持部22と同軸上にある。
【0029】
第1筒52は、ピストンユニット28の後述する空気ピストン102が摺動する第1被摺動部62と、支持部22のノズル案内筒32の外周面及び被固定部34の内周面との間に支持される固定端64と、第1筒52の下端及び第2筒54を連続する第1環状部66と、を有する。第1被摺動部62は、例えば、内径が一定である。また、第1被摺動部62には、第1位置における空気ピストン102に塞がれ、そして、第2位置における空気ピストン102と離間して、第1筒52内と容器体2内とを連通する貫通孔62bが形成される。
【0030】
固定端64は、第1被摺動部62の上端に、第1被摺動部62と連続して設けられる。固定端64は、例えば、支持部22のノズル案内筒32の外周面及び被固定部34の内周面との間に嵌合されるとともに、容器体2の固定部14の上端に、パッキン64aを介して支持される。第1環状部66は第1被摺動部62の下方に設けられる。第1環状部66は、外周縁に第1被摺動部62が一体に連続し、そして、中央側が開口するとともに、この中央側に第2筒54が一体に連続する。例えば、第1環状部66は、外周縁側から中心側の開口に向かって、外周縁側が下方、中心側が上方となるように軸心に対して傾斜する。
【0031】
第2筒54は、ピストンユニット28の後述する液ピストン104が摺動する第2被摺動部72と、ピストンユニット28の後述するプラグ112を支持するプラグ用座部74と、取付筒56との間を連続させる第2環状部76とを有する。
【0032】
第2被摺動部72は、例えば、内径が一定である。プラグ用座部74は、第2筒54の軸心に対して直交する方向に延びる座面74aを有する。座面74aは、上面にプラグ112を支持する。第2環状部76は、球状弁体30の弁座76aを有する。弁座76aは、球状弁体30の外周面の一部と環状に当接する。
【0033】
ピストンユニット28は、ノズル24に支持され、支持部22、ノズル24及びシリンダ26内に配置される。ピストンユニット28は、空気ピストン102と、液ピストン104と、空気室用弁体106と、インナーロッド(棒状弁体)110と、プラグ112と、付勢部材114とを有する。
【0034】
空気ピストン102は、液ピストン104と同軸上にある。空気ピストン102は、環状の胴部122と、空気室用弁体106を保持する保持部124と、液ピストン104と嵌合する筒状の第1嵌合筒126と、ノズル24と嵌合する筒状の第2嵌合筒128と、を有する。胴部122、保持部124、第1嵌合筒126及び第2嵌合筒128は、例えば、樹脂材料により一体成形される。また、空気ピストン102の胴部122と保持部124との間の一部には、空気ピストン102を上下方向に貫通する単数又は複数の貫通孔102aが形成される。
【0035】
胴部122は、空気ピストン102が上下方向(軸心方向)に沿って移動するとき、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面を摺動する。胴部122の少なくとも一部の外径、例えば、胴部122の上端及び下端の外径が、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面の内径と同一径又は若干大径に形成され、シリンダ26の第1被摺動部62に接触するときに弾性変形し、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面との接触を維持しながら摺動できる。
【0036】
保持部124は、胴部122よりも径方向で内方に設けられる。保持部124は、胴部122の内径よりも小径な、例えば、二重円筒状に形成され、内筒及び外筒の間に空気室用弁体106を嵌合させて保持する。
【0037】
第1嵌合筒126は、保持部124の内筒の内径よりも小径である。第1嵌合筒126は、液ピストン104の上端部と嵌合する。第1嵌合筒126の内側には、液ピストン104の上端及びインナーロッド110の上端が配置される。第1嵌合筒126は、液ピストン104の上端とともに、空気及び液状体400の混合室136を内部に形成する。すなわち、空気ピストン102の二次側及び液ピストン104の二次側には、空気ピストン102で送られた空気及び液ピストン104で送られた液状体400を混合させる混合室136が形成される。混合室136は、ノズル24の流路24aに連通する。また、第1嵌合筒126には、混合室136の上部に、混合室136及びノズル24の流路24aを連通させる開口138が形成される。
【0038】
第1嵌合筒126の内側の混合室136の内面136aは、インナーロッド110の弁体164を押圧可能な傾斜面又はリブ等を有する。混合室136の傾斜面又はリブは、液ピストン104側からノズル24の流路24aに向かって内径又は幅が縮小するように傾斜する。
【0039】
第2嵌合筒128は、ノズル24の内筒42の例えば内周面と嵌合する。このため、空気ピストン102はノズル24の移動に伴って移動する。
【0040】
空気室用弁体106は、環状に形成され、空気ピストン102に比べて可撓性が高い樹脂材により形成されている。空気室用弁体106は、保持部124の下方の位置に、保持部124に保持される円筒部140と、円筒部140の下端に一体に形成された外側環状弁体142及び内側環状弁体144とを有する。
【0041】
円筒部140は、保持部124の外筒及び内筒の間の隙間に嵌合される。外側環状弁体142は円筒部140の下端から、径方向外方に延びる環状に形成されている。外側環状弁体142は、空気ピストン102の空気の流路となる貫通孔102aを開閉する。内側環状弁体144は、円筒部140の下端側から径方向内方に延びる環状に形成されている。内側環状弁体144は、液ピストン104と第1嵌合筒126との間の空気の流路を開閉する。外側環状弁体142及び内側環状弁体144は、ノズル24の移動に伴う空気圧の変化により弾性変形し、空気の流路を開閉する。
【0042】
液ピストン104は、空気ピストン102の内方で、第1嵌合筒126に嵌合される。液ピストン104は、シリンダ26の第1筒52と空気ピストン102とともに空気室210を形成する。また、液ピストン104は、シリンダ26の第2筒54とともに、液室220を形成する。液ピストン104は、ノズル24の往復動にしたがって空気ピストン102と一緒に往復動し、空気室210及び液室220の容積を変化させる。
【0043】
液ピストン104は、筒状体152と、弁座154と、付勢部材114の上端を支持する支持座156と、筒状体152から径方向外方に延出するフランジ158と、を有する。筒状体152、弁座154、支持座156及びフランジ158は、例えば樹脂材料により一体成型される。
【0044】
筒状体152の上端部は、空気ピストン102の第1嵌合筒126に嵌合される。筒状体152の上端部の外周面には、軸心方向に延び、径方向外方に突出する複数のリブ152aを有する。リブ152aは、筒状体152の上端とフランジ158との間に設けられる。リブ152aは、筒状体152の上端部の外周面に周方向に所定間隔で形成されていることが好適である。周方向に隣接するリブ152a間は、液ピストン104の筒状体152の上端部が空気ピストン102の第1嵌合筒126に嵌合された状態において、複数のリブ152aにより、液ピストン104の筒状体152の外周面と、空気ピストン102の第1嵌合筒126との間に、空気の流れを許容する空気通路を形成する。
【0045】
筒状体152のフランジ158よりも下方の下端部の外径は、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内径と同じか、第2被摺動部72の内径よりも僅かに大きい。このため、液ピストン104の筒状体152は、液室220を密封しながら、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内周面を摺動する。
【0046】
弁座154は、筒状体152の上端の内周面に設けられる。弁座154は環状に形成される。
【0047】
支持座156は、軸心方向に直交する方向に延びる円環状の座面である。支持座156は、付勢部材114の上端を支持する。支持座156は、液ピストン104の内部に設けられる。例えば、支持座156は、フランジ158と軸心方向で同位置に設けられる。
【0048】
フランジ158は、例えば、内側環状弁体144で開閉される切欠158aを有する。切欠158aは、内側環状弁体144が開くことで、空気室210と、液ピストン104の筒状体152の外周面及び空気ピストン102の第1嵌合筒126の間の空気通路とを連続する。
【0049】
図2に示すように、インナーロッド110は、軸体(ロッド部)162と、軸体162の上端に設けられた弁体164と、軸体162の下端に設けられた第1係合部166と、を有する。軸体162、弁体164及び第1係合部166は、同軸上にある。また、軸体162、弁体164及び第1係合部166は、樹脂材料により一体成形される。
【0050】
軸体162の外径は、液ピストン104の内径よりも小径に形成される。軸体162は、例えば、第1軸部172と、第2軸部174と、軸径変化部176とを有する。軸体162の第1軸部172は、弁体164に連続する。軸体162の第2軸部174は、第1係合部166に連続する。第1軸部172及び第2軸部174は、円柱状に形成される。軸体162の弁体164に連続する第1軸部172の軸心に直交する断面積は、第1係合部166に連続する第2軸部174の断面積に比べて大きい。軸体162の第1軸部172と第2軸部174との間の断面積が変化する軸径変化部176は、テーパ状に形成されている。軸体162の径が変化する領域は、段差として形成されていてもよい。また、第2軸部174は、軸心方向に延び、径方向に突出する補強部としてのビードやリブ等を有していてもよい。
【0051】
弁体164は、例えばポペット弁として形成される。弁体164の軸心を含む縦断面は、傾斜面を有する略三角錐状又は略V字状に形成されている。弁体164は、液ピストン104の弁座154に接離可能である。
【0052】
第1係合部166は、軸体162の第2軸部174に比べて軸心に直交する断面積が大きい。第1係合部166は、例えば、第2軸部174と連続する端部166aと、端部166aの先端側に形成された規制部166bと、を有する。端部166aは、半球状やドーム状に形成され、先端側に曲面状の部位を有する。
【0053】
具体例として、図3及び図4に示すように、端部166aは、第2軸部174と連続する部位が円柱状に形成されるとともに、第2軸部174とは反対側となる先端側の部位が所定の曲率半径の曲面で形成されたドーム状に形成される。図3において、端部166aの円柱状の部位の外周面を166a1とし、先端側の部位のドーム状の曲面を166a2として示す。図3において、端部166aの曲面166a2を実線で示すとともに、当該曲面166a2を延長した仮想曲面を二点鎖線で示す。
【0054】
図3及び図4に示すように、規制部166bは、端部166aの先端の中央側に、端部166aと一体に形成される。規制部166bは、端部166aのドーム状の曲面から一体に突出する突起である。例えば、規制部166bの先端面は、端部166aの先端面と同じに設定される。規制部166bの軸心は、端部166aの軸心と同軸上にある。規制部166bの軸心方向に直交する幅である規制部166bの外径は、端部166aの最大外径よりも小さい。ここで、端部166aの最大外径とは、端部166aの円柱状の部位の外周面166a1の外径である。具体例として、規制部166bは、図3及び図4に示すように、例えば、円柱状に形成され、外径が端部166aの最大外径よりも小径に形成される。
【0055】
図5に示すように、プラグ112は、円筒状のボディ180と、ボディ180の上端の内周面に形成された円形状の開口である第2係合部182と、下端に形成されたフランジ部184と、を有する。ボディ180、第2係合部182及びフランジ部184は、同軸上にある。
【0056】
ボディ180の下端側には、プラグ112の内側と外側とを連通する液体通路となる開口186が複数形成される。開口186は、軸心方向に沿って延びる矩形状に形成される。ボディ180の内径は、第2係合部182の内径よりも大きい。
【0057】
第2係合部182は、ボディ180の上端にもうけられ、インナーロッド110の第1係合部166が嵌入され、そして、軸心方向において、インナーロッド110及びプラグ112が離れる方向で第1係合部166と係合する円環状に開口する部位である。
【0058】
図6に示すように、第2係合部182は、インナーロッド110の先細の第1係合部166をプラグ112に嵌合させるときに第1係合部166を案内する案内面182aを有し、案内面182aの中心に円形状の開口部182bが形成される。換言すると、第2係合部182は、円錐台形状の開口と円柱状の開口部182bをボディ180の先端に形成することで構成される。案内面182a及び開口部182bは、同軸上にある。
【0059】
案内面182aは、上端から開口部182bに向かって、漸次縮径する、円環状のテーパ面であり、インナーロッド110の挿入口を形成する。案内面182aは、インナーロッド110の第1係合部166が開口部182bの軸心(中心)からずれて第1係合部166が当接したときに、第1係合部166の軸心(中心)と開口部182bの軸心(中心)とが同軸となるように案内するか、又は、第1係合部166を開口部182bに案内する。
【0060】
第2係合部182の開口部182bの内径は、インナーロッド110の第1係合部166よりも小径に形成される。これにより、第2係合部182は、インナーロッド110の第1係合部166の挿入時に、開口部182bの内周面が第1係合部166と当接し、そして、第1係合部166の挿入後は、第1係合部166と第2係合部182の開口部182bの周囲の部位とが当接することで、第1係合部166と係合する。
【0061】
このようなインナーロッド110の第1係合部166及びプラグ112の第2係合部182は、第2係合部182に第1係合部166を押し込んで、第1係合部166及び第2係合部182が嵌合することで、第1係合部166及び第2係合部182が弾性変形し、第1係合部166が第2係合部182の開口部182bから挿入される。これにより、インナーロッド110の第1係合部166がプラグ112の第2係合部182よりも下方側に位置し、インナーロッド110がプラグ112内に挿入される。
【0062】
フランジ部184は、プラグ用座部74の座面74aに支持される。フランジ部184の外径はシリンダ26の第2筒54の内径よりも小さい。フランジ部184の外径は、第2筒54の第2環状部76の弁座76aの内径よりも大きい。このため、プラグ112は、フランジ部184を下側にして、プラグ用座部74に支持される。
【0063】
次に、このようなインナーロッド110の軸体162、第1係合部166と、プラグ112の第2係合部182との、寸法関係を説明する。
【0064】
図7に示すように、インナーロッド110の軸体162の第2軸部174の外径をΦA1、第1係合部166の端部166aの最大外径をΦA2、第1係合部166の規制部166bの外径をΦA3、第1軸部172の外径をΦA4とする。また、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの上端の開口(挿入口)の内径(即ち、案内面182aの最大内径)をΦB1、第2係合部182の開口部182bの内径をΦB2とする。このとき、インナーロッド110の各寸法は、ΦA4>ΦA2>ΦA1、ΦA4>ΦA2>ΦA3に設定される。また、プラグ112の各寸法はΦB1>ΦB2に設定される。
【0065】
インナーロッド110の第2軸部174の外径ΦA1は、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの最大内径ΦB1及び開口部182bの内径ΦB2よりも小径(ΦA1<ΦB1、ΦA1<ΦB2)に設定される。インナーロッド110の第1係合部166の端部166aの最大外径ΦA2は、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの最大内径ΦB1よりも小径(ΦA2<ΦB1)であり、開口部182bの内径ΦB2よりも大径(ΦA2>ΦB2)に設定される。なお、インナーロッド110は、第2軸部174の外径ΦA1が第1係合部166の端部166aの最大外径ΦA2よりも小径であり、且つ、開口部182bの内径よりも大径に設定(ΦB2<ΦA1<ΦA2)されてもよい。
【0066】
インナーロッド110の第1係合部166の規制部166bの外径ΦA3は、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの最大内径ΦB1より小径(ΦA3<ΦB1)に設定され、開口部182bの内径ΦB2以下(ΦA3≦ΦB2)に設定される。インナーロッド110の第1軸部172の外径ΦA4は、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの最大内径ΦB1及び開口部182bの内径ΦB2よりも大径(ΦA4>ΦB1、ΦA4>ΦB2)に設定される。
【0067】
また、規制部166bは、インナーロッド110及びプラグ112が相対的に所定の角度θ傾斜したときに、第2係合部182の開口部182bの内周面に当接し、インナーロッド110及びプラグ112が所定の角度θを超えて傾斜することを規制する。換言すると、規制部166bは、図8の(嵌入中)に示すように、プラグ112にインナーロッド110を嵌入するときに、プラグ112の軸心C2に対してインナーロッド110の軸心C1が所定の角度θ傾斜したときに、規制部166bの一部が開口部182bの内周面に当接する外径ΦA3及び/又は端部166aからの高さに設定される。
【0068】
これらの寸法関係にあるインナーロッド110及びプラグ112は、プラグ112の第2係合部182に対してインナーロッド110の軸体162の第2軸部174がインナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿って移動可能である。また、第2係合部182に軸体162の第1軸部172又は軸径変化部176が当接する。
【0069】
したがって、インナーロッド110及びプラグ112は、相対的に所定の範囲内で移動可能である。このため、プラグ112の第2係合部182は、インナーロッド110の軸体162及び第1係合部166がインナーロッド110及びプラグ112の軸心に沿ってシリンダ26に対して移動するインナーロッド110の移動範囲を規定する。また、インナーロッド110及びプラグ112は、規制部166bが開口部182bの内周面と当接することで、インナーロッド110及びプラグ112の嵌入時の相対的な傾斜角度θを上限となる。より具体的には、インナーロッド110の軸心C1がプラグ112の軸心C2に対して傾斜し、インナーロッド110の端部166aの外周面166a1の一部、例えば、第1係合部166の端部166aの外周面166a1及び曲面166a2との接続点(即ち、外周面166a1及び曲面166a2の境界)P1が接続するときに、規制部166bが開口部182bの内周面と当接する。
【0070】
なお、一例として、インナーロッド110の第2軸部174の外径ΦA1は、Φ1.55mmであり、第1係合部166の端部166aの最大外径ΦA2は、Φ1.75mmであり、第1係合部166の規制部166bの外径ΦA3は、Φ1.4mmである。また、一例として、プラグ112の第2係合部182の案内面182aの上端の内径(最大内径)ΦB1は、Φ2.42mmであり、第2係合部182の開口部182bの内径ΦB2は、1.6mmである。
【0071】
なお、第1係合部166の規制部166bの外径ΦA3は、第2係合部182の開口部182bの内径ΦB2以下であることから、ΦA3は、1.6mm以下であって、インナーロッド110及びプラグ112の嵌入時の相対的な傾斜角度が所定の角度θ以下となる径に設定される。例えば、規制部166bが規制する、インナーロッド110及びプラグ112の嵌入時の相対的な傾斜角度である所定の角度θは、22°以下に設定され、好ましくは15°以下に設定される。なお、所定の角度θは、インナーロッド110及びプラグ112の組み立て時に生じるインナーロッド110の折れを抑制できる角度であり、インナーロッド110の材質や形状等により適宜設定できるが、小さい方がインナーロッド110の折れをより抑制できるため好ましい。また、プラグ112の軸心C2とプラグ112の第2係合部182の案内面182aとの角度をβとしたときに、所定の角度θは、β以下(θ≦β)に設定される。
【0072】
また、図3に示すように、第1係合部166の端部166aの外周面166a1及び曲面166a2との接続点(即ち、外周面166a1及び曲面a2の境界)P1と、規制部166bの径方向で外方となる角部(即ち、規制部166bの外周面と端面との稜部)P2とを結ぶ接線Lとする。また、図3に示すインナーロッド110の軸心C1と接線Lとの角度をαとする。また、図6に示すように、プラグ112の軸心C2とプラグ112の第2係合部182の案内面182aとの角度をβとする。また、このような第1係合部166の外径ΦA3が1.6mmであり、そして、第1係合部166の角部がシャープエッジとする。このとき、インナーロッド110の軸心C1と接線Lとの角度αは、8.5°≦α≦βに設定される。インナーロッド110の軸心C1と接線Lとの角度αを上記範囲とすることで、インナーロッド110及びプラグ112の傾きが生じたときに、第1係合部166の端部166aが第2係合部182の案内面182aと当接し、第1係合部166の規制部166bが第2係合部182の開口部182bの内周面と当接し、インナーロッド110及びプラグ112の傾斜角度は所定の角度θ以下となる。
【0073】
付勢部材114は、例えば樹脂材又は金属材により形成される。付勢部材114は、軸心の周囲でコイル状に巻回された圧縮コイルバネである。付勢部材114は、上端が液ピストン104の支持座156に支持され、下端がプラグ112のフランジ部184に支持される。付勢部材114は、インナーロッド110の軸体162の外側であって、プラグ112の外側にある。付勢部材114は、液ピストン104を空気ピストン102に向けて付勢する。このため、第1位置において、付勢部材114により液ピストン104が付勢され、インナーロッド110の上端の弁体164は、液ピストン104の弁座154に密着する。また、インナーロッド110の第1係合部166は、プラグ112の第2係合部182に係合する。
【0074】
このように形成されたピストンユニット28は、シリンダ26の第2筒54と取付筒56との間に球状弁体30が配設されたシリンダ26内に入れられる。球状弁体30は、例えば金属材又は樹脂材製の球体として形成されている。球状弁体30の外径は、取付筒56の内径よりも大きい。球状弁体30の外径は、第2筒54の内径及びプラグ112のフランジ部184の外径よりも小さい。
【0075】
管体4は、可撓性を有することが好適なチューブである。管体4は、一端がポンプディスペンサ3に連結され、他端が自由端である。管体4の他端は、容器体2の例えば底面に接触する。
【0076】
キャップ5は、例えば、一端が閉塞し、他端が開口する有底円筒状に形成される。キャップ5は、被固定部34の嵌合部34bに嵌合されることで、ノズル24の操作ができないように、ノズル24を覆う。
【0077】
次に、このように構成されたポンプディスペンサ3及び吐出容器1の組立方法について簡単に説明する。
液ピストン104の筒状体152にインナーロッド110の第1係合部166及び軸体162を挿通させるとともに、液ピストン104の支持座156で付勢部材114の上端を支持する。付勢部材114の内側にプラグ112の第2係合部182を入れる。次に、インナーロッド110をプラグ112に嵌入する。
【0078】
具体的には、図8の(嵌入前)に示すように、先ず、インナーロッド110及びプラグ112を軸心方向に相対的に移動させて、インナーロッド110の第1係合部166及びプラグ112の第2係合部182を当接させる。このとき、第1係合部166の軸心が第2係合部182の軸心に対して径方向にずれている場合には、第1係合部166の一部が第2係合部182の案内面182aに当接することで、第1係合部166が案内されて、第1係合部166の軸心と第2係合部182の軸心とが同軸上になる。
【0079】
さらにインナーロッド110及びプラグ112を軸心方向に相対的に移動させると、第1係合部166の端部166a及びプラグ112の開口部182bの内周面とが当接する。このとき、端部166aの最大外径ΦA2が開口部182bの内径よりも大径であることから、端部166a及び開口部182bの内周面が弾性変形し、第1係合部166が開口部182bに嵌入され、図8の(嵌入後)に示すように、第1係合部166が開口部182bよりも下方に挿入される。なお、インナーロッド110及びプラグ112の嵌入時において、インナーロッド110及びプラグ112を軸心方向に相対的に移動させるときの外力や、インナーロッド110及びプラグ112の傾きが生じることがある。しかしながら、プラグ112の軸心C2に対しするインナーロッド110の軸心C1の傾斜角度が所定の角度θとなると、規制部166bの一部が開口部182bの内周面に当接し、インナーロッド110及びプラグ112の傾斜角度は所定の角度θが上限となる。このため、インナーロッド110が曲げ変形することが抑制される。
【0080】
なお、付勢部材114は、自然長よりも短く、圧縮した状態で上端が液ピストン104の支持座156に支持され、下端がプラグ112のフランジ部184に支持される。このため、付勢部材114は、液ピストン104に対してプラグ112を下方に付勢する。また、プラグ112の第2係合部182により、インナーロッド110の第1係合部166は、下側に向けて付勢されている。また、このとき、液ピストン104の弁座154には、インナーロッド110の弁体164が支持される。
【0081】
また、空気ピストン102の第1嵌合筒126に対し、液ピストン104の上端を嵌合させる。このようにして、ピストンユニット28を構成する。
【0082】
次に、シリンダ26の第2筒54のプラグ用座部74に球状弁体30を入れる。この状態で、ピストンユニット28の軸心を、シリンダ26の軸心に合わせ、ピストンユニット28をシリンダ26に入れる。具体的には、プラグ112、付勢部材114及びインナーロッド110を第2筒54に入れるとともに、空気ピストン102の筒状の胴部122をシリンダ26の第1筒52の内周面に接触させながら第1筒52内に入れる。このように、シリンダ26内に球状弁体30及びピストンユニット28を配設する。
【0083】
このとき、ポンプディスペンサ3は、空気ピストン102の下側、空気室用弁体106の下側、及び、液ピストン104の外側と、シリンダ26の第1筒52の内側との間に空気室210を形成する。ポンプディスペンサ3は、シリンダ26の第2筒54の内側と球状弁体30との間に液室220を形成する。
【0084】
この状態で、シリンダ26の固定端64を、支持部22のノズル案内筒32の外周面及び被固定部34の内周面との間に嵌合させ固定する。ノズル24の流路24aに、メッシュフィルタ48を配置した状態で、ノズル24の内筒42に、空気ピストン102の第2嵌合筒128を嵌合させる。これらにより、ポンプディスペンサ3は、組み立てられる。そして、ポンプディスペンサ3の取付筒56には、管体4が差し込まれて固定される。支持部22の被固定部34の雌ネジ部34aが容器体2の固定部14の雄ネジ部14aに締結され、吐出容器1が組み立てられる。
【0085】
次に、このように構成されたポンプディスペンサ3を含む吐出容器1の作用について説明する。ここでは、容器体2に液状体400が貯留され、液室220に液状体400が存在するものとし、ポンプディスペンサ3のノズル24から泡状の液状体400が吐出される例について説明する。
【0086】
ノズル24が図1に示す上限位置(上死点)である第1位置にある場合、球状弁体30は、シリンダ26の第2環状部76の弁座76aに当接し、閉じている。空気室用弁体106の外側環状弁体142は空気ピストン102に下方から接触し、空気室210と貫通孔102aとの連通を防止する。空気室用弁体106の内側環状弁体144は液ピストン104のフランジ158に上方から接触し、空気室210が空気ピストン102の貫通孔102aを通してピストンユニット28の外側と連通することを防止する。インナーロッド110の弁体164は、液ピストン104の弁座154に当接している
インナーロッド110の弁体164が液ピストン104の弁座154に支持されるとインナーロッド110の軸心は、上端において、液ピストン104(弁座154)の軸心に一致又は近づけられている。
【0087】
プラグ112は、シリンダ26の第2筒54内に収容され、プラグ112の軸心がシリンダ26の軸心に一致又は略一致する。インナーロッド110の第1係合部166がプラグ112の第2係合部182に下側から当接し、支持されている。
【0088】
このため、支持部22、ノズル24、シリンダ26、空気ピストン102、液ピストン104、インナーロッド110、及び、プラグ112の軸心は同軸上にあるか、又は、略同軸上にある。
【0089】
この状態から、ユーザが支持部22に対してノズル24を下方に押圧すると、付勢部材114の付勢力に抗して、ピストンユニット28の空気ピストン102及び液ピストン104が下方に移動する。このとき、空気ピストン102の空気室210及び液ピストン104の液室220が加圧され、球状弁体30が下向きに加圧される。インナーロッド110の第1係合部166は、プラグ112の第2係合部182に対して下方に移動する。球状弁体30は、閉じた状態を維持する。
【0090】
液ピストン104の筒状体152の下方への移動に伴って液ピストン104の弁座154とインナーロッド110の弁体164との間に隙間が生じる。このため、液状体400がインナーロッド110の軸体162の外周面と液ピストン104の筒状体152の内周面との間、インナーロッド110の弁体164と、液ピストン104の弁座154との間を通して、第1嵌合筒126内の混合室136に入る。
【0091】
インナーロッド110の弁体164は、空気ピストン102の第1嵌合筒126の混合室136の内面136aにより、下方に押圧される。インナーロッド110の弁体164と開口138とが近づけられると、内面136aにより、弁体164が混合室136(第1嵌合筒126)の軸心に向かって案内される。
【0092】
空気室用弁体106の外側環状弁体142は、空気室210内の容積減少に伴う圧力上昇により閉じた状態を維持する。空気室用弁体106の内側環状弁体144は、空気室210内の圧力上昇により開く。このため、空気室210内の空気が、液ピストン104の筒状体152の外周面と空気室用弁体106の内側環状弁体144との間、空気ピストン102の内周面と液ピストン104の筒状体152の外周面との間を通して、混合室136内に入る。
【0093】
第1嵌合筒126内の混合室136において、液状体400と空気とが混合する。混合室136で空気と混合した液状体400は、流路24a内でメッシュフィルタ48を通過し、液状体400及び空気で形成される泡が微細化される。このため、ノズル24の流路24a内で液状体400が泡状となり、ノズル24の吐出筒46から吐出される。
【0094】
ノズル24を最も押し下げ、ノズル24が支持部22のノズル案内筒32に当接した下限位置(下死点)である第2位置にあるとき、球状弁体30は、閉じた状態を維持する。空気室用弁体106の外側環状弁体142は閉じた状態を維持し、内側環状弁体144は、内側環状弁体144の重力、及び、シリンダ26の第1筒52の貫通孔62bを通してシリンダ26内に入れられた空気により、閉じられる。
【0095】
ノズル24を最も押し下げた状態から、ユーザがノズル24を解放すると、付勢部材114の付勢力により、液ピストン104、空気ピストン102及びノズル24が上昇する。このとき、液ピストン104の弁座154がインナーロッド110の弁体164に当接する。このため、液ピストン104の弁座154がインナーロッド110の弁体164に対して閉じられる。
【0096】
この後、液ピストン104、空気ピストン102、ノズル24及びインナーロッド110が一緒に、支持部22に対して上昇する。このとき、空気室210及び液室220の体積が大きくなり、空気室210内及び液室220内がそれぞれ負圧になる。このため、空気室用弁体106の外側環状弁体142が開き、シリンダ26の貫通孔62bを通して入れられた空気が空気室210内に入る。球状弁体30がシリンダ26の第2筒54の第2環状部76の弁座76aに対して上昇し、管体4を通して液状体400が負圧の液室220に入る。このため、ノズル24が下限位置から上限位置に移動する間に、空気室210内に空気を吸入するとともに、液室220内に液状体400を吸引する。液状体400は、管体4、取付筒56、プラグ112のフランジ部184の内側、プラグ112の開口186を通して、プラグ112の内側だけでなく、プラグ112の外周面とシリンダ26の第2筒54の内側との間に流れる。
【0097】
インナーロッド110の第1係合部166とプラグ112の第2係合部182とが係合したとき、ノズル24の上昇が止められ、図1に示す状態に戻る。
【0098】
これらのように、吐出容器1のポンプディスペンサ3は、容器体2内の液状体400を、ノズル24を第1位置から第2位置に押圧する際に泡状にして吐出させ、付勢部材114の付勢力に応じてノズル24が第2位置から第1位置に復帰すると、液室220に液状体400を吸引する。
【0099】
このように構成された吐出容器1及びポンプディスペンサ3によれば、組み立て時にインナーロッド110の下方の端部に設けられる第1係合部166の軸心がプラグ112の軸心とずれるか、又は、傾いた状態で挿入された場合であってもプラグ112の軸心に対する第1係合部166の軸心の傾きを規制部166bにより所定の傾斜角度に規制することができる。即ち、プラグ112の軸心C2に対してインナーロッド110の軸心C1が傾斜したとしても、規制部166bがプラグ112の開口部182bの内周面に当接することで、インナーロッド110が所定の角度θ以上に傾くことを防止できる。より具体的には、第1係合部166が端部166aの外周面の一部及び規制部166bの一部の二点が、第2係合部182の案内面182a及び開口部182bの内周面にそれぞれ当接し、インナーロッド110が所定の角度θを超えてプラグ112に対して傾斜することが防止できる。
【0100】
これらのように、規制部166bを設けることで、インナーロッド110及びプラグ112の傾斜する上限の角度θを設定できることから、図7に示す比較例である規制部166bを有さないインナーロッド110Aを用いた場合に比べて、組み立て時において、インナーロッド110及びプラグ112の相対的な傾きを抑制できる。
【0101】
このため、インナーロッド110をプラグ112に嵌入するために外力を印加したときに、インナーロッド110が所定の角度θ以上に傾くことで、インナーロッド110が折れることを防止できる。よって、ポンプディスペンサ3を組み立てる組立装置で組み立てるときに、インナーロッド110が折れる不良を低減することができる。
【0102】
上述したように、ポンプディスペンサ3及び吐出容器1によれば、組み立て時にインナーロッド及びプラグの相対的な傾きを抑制できる。
【0103】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した例では、規制部166bは、図4に示すように、周方向に連続する突起の一例として、円柱状である例を説明したがこれに限定されない。即ち、規制部166bは、インナーロッド110及びプラグ112の傾斜角度が所定の角度θとなったときに、開口部182bの内周面に当接できる構成であれば、規制部166bの形状は適宜設定できる。例えば、図9に示す他の実施形態のように、第1係合部166の規制部166bは、多角柱状であってもよい。なお、多角柱状の規制部166bとする場合には、角数が5以上、即ち、五角形以上の多角柱状であることが好ましい。また、このような多角柱状の規制部166bとしたときは、規制部166bの外径ΦA3とは、規制部166bの外接円の径となる。
【0104】
また、例えば、図10に示す他の実施形態のように、第1係合部166の規制部166bは、周方向に離間して設けられた複数の突起であってもよい。例えば、図10に示すように、第1係合部166は複数設けられ、各規制部166bが放射状に延び、周方向に等間隔に配置される構成としてもよい。このような複数の規制部166bとしたときは、規制部166bの外径ΦA3とは、複数の規制部166bの外接円の径となる。
【0105】
また、上述した例では、プラグ112は、軸心方向に沿って延びる矩形状に形成される複数の開口186を有する構成を説明したが、例えば、開口186は、プラグ112の上端まで延びるスリット状であってもよい。また、プラグ112の第2係合部182の案内面182aは、円環状のテーパ面である説明をしたが、軸心C2に対して傾斜する直線状であってもよく、軸心C2に対して接線が傾斜する曲面状であってもよい。
【0106】
また、上述した例では、吐出容器1は、空気室210及び液室220を有するポンプディスペンサ3の例を説明したがこれに限定されない。吐出容器1は、空気室210を有さない構成、即ち、第1筒(空気シリンダ)52及び空気ピストン102を有さず、液室220のみを有する構成であってもよい。
【0107】
また、インナーロッド110及びプラグ112の構成は、上述した例に限定されない。インナーロッド110及びプラグ112が嵌入され、そして、インナーロッド110及びプラグ112の相対的な移動範囲を規定するとともに、規制部166bをインナーロッド110及びプラグ112の一方に設けて、インナーロッド110及びプラグ112の傾斜角度を所定の角度θに規制できる構成であれば、種々の構成に適用できる。よって、プラグ112が上方、インナーロッド110が下方に配置される構成であってもよい。
【0108】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0109】
1…吐出容器、2…容器体、3…ポンプディスペンサ、4…管体、5…キャップ、12…本体、14…固定部、14a…雄ネジ部、22…支持部、24…ノズル、24a…流路、26…シリンダ、28…ピストンユニット、30…球状弁体、32…ノズル案内筒、34…被固定部、34a…雌ネジ部、34b…嵌合部、42…内筒、44…外筒、46…吐出筒、48…メッシュフィルタ、48a…ボディ、48b…網、48c…網、52…第1筒(空気シリンダ)、54…第2筒(液シリンダ)、56…取付筒、62…第1被摺動部、62b…貫通孔、64…固定端、64a…パッキン、66…第1環状部、72…第2被摺動部、74…プラグ用座部、74a…座面、76…第2環状部、76a…弁座、102…空気ピストン、102a…貫通孔、104…液ピストン、106…空気室用弁体、110…インナーロッド(棒状弁体)、112…プラグ、114…付勢部材、122…胴部、124…保持部、126…第1嵌合筒、128…第2嵌合筒、136…混合室、136a…内面、138…開口、140…円筒部、142…外側環状弁体、144…内側環状弁体、152…筒状体、152a…リブ、154…弁座、156…支持座、158…フランジ、158a…切欠、162…軸体(ロッド部)、164…弁体、166…第1係合部、166a…端部、166a1…外周面、166a2…曲面、166b…規制部、172…第1軸部、174…第2軸部、176…軸径変化部、180…ボディ、182…第2係合部、182a…案内面、182b…開口部、184…フランジ部、186…開口、210…空気室、220…液室、400…液状体(内容物)。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10