(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071170
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
B07C 5/10 20060101AFI20240517BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B07C5/10
B65G47/14 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181981
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】田邉 喜文
(72)【発明者】
【氏名】入江 進
【テーマコード(参考)】
3F079
3F080
【Fターム(参考)】
3F079AD06
3F079CA18
3F079CB29
3F079CC03
3F079DA15
3F080AA13
3F080BA02
3F080BD12
3F080CB03
3F080DA18
3F080EA10
(57)【要約】
【課題】リニアフィーダの先端付近でワーク間の隙間を適切に制御することでワークの渋滞を解消したパーツフィーダを実現する。
【解決手段】
ワークWを振動搬送する搬送路21の所定領域に、ワークW、W間の隙間Δを制御する隙間制御手段31を設けたものであり、隙間制御手段31を、所定領域において前方のワークW(i-1)と後方のワーク(i)の隙間Δを画像処理を通じて検出する隙間検出部31aと、隙間検出部31aが検出する隙間Δが設定値以下であるか否かを判断する判断部31bと、判断部31bが設定値以下であると判断した場合に後方のワークW(i)を搬送路21上から排除する排除処理部31cと、を備えるものとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを振動搬送する搬送路の所定領域に、ワーク間の隙間を制御する隙間制御手段を設けたものであって、
前記隙間制御手段が、
前記所定領域において前方のワークと後方のワークの隙間を画像処理を通じて検出する隙間検出部と、
前記隙間検出部が検出する隙間が設定値以下であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が設定値以下であると判断した場合に前記後方のワークを搬送路上から排除する排除処理部と、
を備えることを特徴とする、パーツフィーダ。
【請求項2】
前記隙間検出部が検出する隙間は、前方のワークの後端が所定位置を通過してから後方のワークの前端が前記所定位置に到来するまでの時間であり、
前記判断部は、検出した時間が所定時間以下であるか否かを判断する、請求項1に記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記隙間検出部が検出する隙間は、前方のワークの後端と後方のワークの前端のあいだのワーク間距離であり、
前記判断部は、検出した距離が所定距離以下であるか否かを判断する
【請求項4】
前記隙間制御手段は、前記後方のワークを排除した場合、前記前方のワークに対して新たに後方となるワークと前記前方のワークとの隙間に対しても同様の隙間制御を行う、請求項2又は3に記載のパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上のワークを供給先に適切なタイミングで供給することを可能にする、パーツフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、表面実装型電子部品などの微細なワークを搬送するパーツフィーダでは、螺旋状の搬送路を備えるボウルフィーダによってワークをトラックに沿って上昇させ、その後、直線状の搬送路を備えるリニアフィーダでワークを整列させながら、供給先である部品検査装置や部品実装装置などに供給するように構成される。
【0003】
このうち、特許文献1は供給先装置としてインデックステーブルが示されている。
図9はこのようなインデックステーブルを供給先とする別異のパーツフィーダPFを示している。このパーツフィーダPFは、ボウルフィーダ1及びリニアフィーダ2によって振動搬送系を構成し、リニアフィーダ2の搬送路21の先端21aに、外周に所定ピッチで収容部101が設けられたインデックステーブル100が接続されている。そして、リニアフィーダ2の先端21aに到達したワークWをインデックステーブル100の収容部101側に取り込み、その後にインデックステーブル100がステップ回転することで、次の収容部101にて新たにリニアフィーダ2の先端21aから供給されるワークWを取り込むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のパーツフィーダPFの供給先へのワーク供給タイミングは、供給先の設備であるインデックステーブル100の処理速度によって左右され、供給先よりも速いピッチで搬送路21の先端にワークWが供給されると、搬送路21の先端21aでワークWに渋滞が生じ、ワークWの円滑な受け渡しが困難となる。そのため、搬送路21の先端でワークの渋滞を解消する必要がある。
【0006】
図9に示すものは、リニアフィーダ21の先端21aとインデックステーブル100の間に無振動の乗り継ぎ部110を設け、この乗り継ぎ部110に搬送面から上方に突没するように分離用ピン120を設けて、
図10(a)に示すように収容部101内に前方のワークWが進入したことを検出して、乗り継ぎ部110から分離用ピン120を突出させ、後続のワークWが同じ収容部101に同時に進入することを規制するようにしている。
【0007】
しかしながら、近年ワークの微細化が進み、複数のワークWが同時に収容部101に進入し易くなって来ると、例えば
図10(b)に示すように、前方のワークWに引き続き後続のワークWが収容部101に同時に進入する事態が起こり得る。このため、前方のワークWに引き続き後方のワークWが収容部101に同時に進入している最中に分離用ピン120が上昇すると、ワークWを分離することができず、分離用ピン120がワークWと噛み合ってワーク詰まり等のトラブルの発生要因となる。また、分離用ピン120のように作動する機械要素を持ち込むと、摩耗やごみによるピン詰まりなど、機械要素の作動不良の原因ともなる。
【0008】
上記特許文献1は、このような機械要素を採用するのではなく、光学的な遮光を利用してワークの渋滞を検出している。具体的には、同文献の
図7~
図9等に示されるように、搬送路の先端に複数の光学センサを設け、ワーク単体では全てのセンサが同時には反応せず、ワークが重複して連なったときに初めて全てのセンサが同時に反応するようにセンサの位置や範囲を工夫して、ワークの重複を検出し、重複ワークを排除する等の措置を講ずるようにしている。このため、搬送路に投受光用の穴を開けなければならず、ワークの大きさが異なる場合には穴を開ける位置や範囲が変わってくるため、同文献の構造ではワークの種類違いに簡単に対応できないという難点がある。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、リニアフィーダの先端付近でワーク間の隙間を適切に制御することでワークの渋滞を解消した、新たなパーツフィーダを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係るパーツフィーダは、ワークを振動搬送する搬送路の所定領域に、ワーク間の隙間を制御する隙間制御手段を設けたものであって、前記隙間制御手段が、前記所定領域において前方のワークと後方のワークの隙間を画像処理を通じて検出する隙間検出部と、前記隙間検出部が検出する隙間が設定値以下であるか否かを判断する判断部と、前記判断部が設定値以下であると判断した場合に前記後方のワークを搬送路上から排除する排除処理部と、を備えることを特徴とする。ここで所定領域とは、搬送路上にあるワークを検出し得る位置であれば基本的にどこに設定してもよい。
【0012】
このようにすれば、分離用ピンのような機械要素を持ち込まないため、ワーク詰まりといったトラブルになることがなく、機械要素に起因した摩耗やごみの発生要因となることも回避することができる。また、光学的に重複を検出するのではなく、画像処理を通じて隙間を検出するため、ワークの大きさ違いなどがあっても搬送路自体に手を加える必要がなく、設定値の変更等を通じてソフト的に簡単、適切に対応することができる。
【0013】
具体的な実施の態様としては、前記隙間検出部が検出する隙間は、前方のワークの後端が所定位置を通過してから後方のワークの前端が前記所定位置に到来するまでの時間であり、前記判断部は、検出した時間が所定時間以下であるか否かを判断するものが挙げられる。
【0014】
このような構成により、所定時間として、少なくとも供給先でワークが処理されるに要する時間を設定しておけば、前方のワークの処理が完了する前に後方のワークが供給先に到達して重複を招くことを的確に防止することができる。
【0015】
また、具体的な実施の他の態様としては、前記隙間検出部が検出する隙間は、前方のワークの後端と後方のワークの前端のあいだのワーク間距離であり、前記判断部は、検出した距離が所定距離以下であるか否かを判断するものが挙げられる。
【0016】
隙間が同じ時間間隔でも、前方のワークに対して後方の速度が遅ければ検出後にワーク間距離は広がり、速ければワーク間隙間は縮まる。このため、ワーク間に必要な隙間を距離で定義し、少なくとも供給先でワークが処理される間に後方のワークが走行する距離が所定距離以上になるようにしておけば、前方のワークの処理が完了する前に後方のワークが供給先に到達して重複を招くことを的確に防止することができる。
【0017】
前記隙間制御手段は、前記後方のワークを排除した場合、前記前方のワークに対して新たに後方となるワークと前記前方のワークとの隙間に対しても同様の隙間制御を行うことが望ましい。
【0018】
ワークを排除した場合、排除した後ろのワークは基準となる前方のが無くなる。この場合、基準がない事から無条件で後続のワークを通過させるのではなく、排除したワークの前方のワークを基準として後続のワークの隙間判断を行うので、隙間制御の実効性を担保することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明した本発明によれば、リニアフィーダの先端付近でワーク間の隙間を適切に制御することでワークの渋滞を解消した、新たなパーツフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るパーツフィーダを示す模式的な正面図。
【
図3】同実施形態においてラインカメラの画像からワーク端部を検出する手順を示す図。
【
図4】同実施形態でワーク間の隙間を時間で定義したときの各ワークの関係を時系列で示す図。
【
図5】同実施形態における隙間制御フローを示す図。
【
図6】同実施形態におけるワーク排除の様子を示す模式図。
【
図7】本発明の第2実施形態でワーク間の隙間を距離で定義したときの各ワークの関係を時系列で示す図。
【
図8】同実施形態における隙間制御フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るパーツフィーダPFは、ワークWを連携して振動搬送するためのボウルフィーダ1及びリニアフィーダ2と、これらを制御する制御装置3とを備える。
【0023】
ボウルフィーダ1は、ワークWを収容可能なボウル本体11と、ボウル本体11の下部に配置されてボウル本体11をねじり振動により加振させる第1駆動手段12とを含んで構成される。
【0024】
ボウル本体11は、上部が開口したほぼ部分逆円錐状の部材であり、その内周壁には螺旋状に上昇する搬送路13が溝状に形成されている。第1駆動手段12によってボウル本体11がねじり方向に振動すると、ワークWは搬送路13に沿ってリニアフィーダ2との接続部14に向けて上方に搬送される。そのため、第1駆動手段12の振動は、ボウルフィーダ1からリニアフィーダ2へのワーク供給量に影響を与え、第1駆動手段12の振幅や振動数が大きいほど、搬送路13を搬送するワークWの搬送速度が上がり、リニアフィーダ2への単位時間あたりの供給個数が多くなる。
【0025】
リニアフィーダ2は、搬送路13の先端に接続される直線状の搬送路21と、搬送路21を振動させる第2駆動手段22とを有する。第2駆動手段22は、搬送路21を振動させて、搬送路21上にある複数のワークWを
図1における右から左へ搬送する。搬送路21の途中には図示しない姿勢判別部や整列部が設けられており、ワークWはこれらを通過することで、例えばワークWの長手方向が当該ワークWの搬送方向と平行となり且つワークWが重複しないように整列される。
【0026】
リニアフィーダ2の搬送路21の先端(終端)21aには、ワークWの供給先の設備の入り口となる機械要素として、ここではインデックステーブル100が配置されている。インデックステーブル100は円盤状のもので、外周に径外方向及び上方に開口する有底の収容部101が等ピッチで設けてある。
図2では便宜上、収容部101を直線的に示しているが、実際には円盤の外周に沿って形成されているものである。
【0027】
この収容部101は、インデックステーブル100がステップ回転する度に順次リニアフィーダ2の搬送路21の先端21aに合致する位置に移動されて、リニアフィーダ2の先端21aに到達したワークWを当該凹部101内に設けた吸引部(不図示)で吸引することにより取り込んで、順次回転方向に移送する。
【0028】
制御装置3は、図示しないCPUやインターフェース、メモリ等を備えた通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されるもので、メモリ内には本来のボウルフィーダやパーツフィーダの制御を行う主プログラムが格納されている。そしてCPUが逐次プログラムを読み出して実行し、周辺ハードリソースと協働して、ボウルフィーダ1やリニアフィーダ2の振幅や周波数の制御、姿勢制御等を行う。
【0029】
この場合の供給先であるインデックステーブル100へのワークWの供給タイミングは、供給先の設備の処理速度(インテックステーブル100の回転ピッチ等)によって左右され、供給先よりも速いピッチで搬送路21の先端21aにワークが供給されると、搬送路21にワークWの渋滞が生じ、ワークWの円滑な受け渡しが困難になる。また、供給先よりも遅いピッチでワークWが供給されると、インデックステーブル100側がワーク不足に陥る。
【0030】
そのため、第1駆動手段12および第2駆動手段22は、リニアフィーダ2の搬送路21において複数のワークW,Wを適切な速度になるように理論上計算された周波数や振幅が設定される。しかしながら、各ワークWが例えば直方体に近似できるとして、搬送路21に接している面が本来接する面で無かったり、本来接する面であったとしてもワークW、W間に個体差がある場合等には、実際のワークWの速度にばらつきが生じ、ワークW、W間の間隔が等間隔に制御できない。
【0031】
そうすると、背景技術や課題の欄で述べたように、供給先であるインデックステーブル100のワーク処理タイミングよりもワーク間隔が狭くなり、インデックステーブル100の収容部101に複数のワークWが進入する事態が生じ得る。インデックステーブル100は、収容部101にワークWを収容すると、所定角度回転して新たに空の収容部101をリニアフィーダ2の搬送路21の先端21aに合致する位置に配置するように制御されるが、ワークWが収容部101内で重複しないためには、リニアフィーダ2の搬送路21の先端21aに次の空の収容部101が接続されるまで後方のワークWがリニアフィーダ2の先端21aに到達しない程度の間隔を空けることが理想である。
【0032】
しかしながら、そこまで間隔を開けると、逆にインデックステーブル100側においてワーク不足に陥り易くなる。そこで、ここでは収容部101にワークWが収容された後にインデックステーブル100が回転し始め、リニアフィーダ2から見て
図2(2-2)のように当該収容部101が見えなくなる位置まで回転した後は、仮にワークWがリニアフィーダ2の先端21aに存在してもインデックステーブル100の外周面102に摺接するだけである。このため、この状態が許容されるならば、この時点でワークWがリニアフィーダ2の先端21aに到達しても構わない。
【0033】
そこで、本実施形態が先端に向かって流通する際のワークW、W間の隙間は、先のワークWが収容部101に収容され、インデックステーブル100が回転して当該収容部101がリニアフィーダ2の先端21aから見て見えなくなる(リニアフィーダ2の先端21aに連続しなくなる)まで次のワークWが先端21aに到達しないことを条件に、ワークW,W間に必要な隙間を規定する。
【0034】
そのために本実施形態は、制御装置3の一部に、隙間制御手段31を設けている。この隙間制御手段31は、ワークWを振動搬送するリニアフィーダ2の搬送路21の先端21a手前の所定領域(リニアフィーダ2の搬送路21の出口付近)においてワークW、W間の隙間を制御する隙間検出部31aを設け、この隙間検出部31aによってワークW、W間の隙間Δを検出して、当該隙間Δが予め設定した所定隙間以下であるか否かを判断部31bで判断し、設定値以下である場合に排除処理部31cから排除信号を出力して、ワークWを間引く制御を行うように構成される。
【0035】
予め設定した所定隙間は、供給先でワークWが処理されるまでリニアフィーダ2の搬送路21の先端21aに後続ワークWが到達しないことを担保する間隔であり、ワークWが処理されるまでとは、この実施形態ではインデックステーブル100が収容部101にワークWを取り込んで収容部101がリニアフィーダ2の先端21aと連続しなくなる位置まで回転するまでと規定する。勿論、この規定は目的、用途に合致するように変更すればよい。
【0036】
隙間検出部31aは、搬送路21の所定領域に配置した撮像要素であるラインカメラ41から信号を取り込み、これを画像処理して、前方のワークW[i-1]の後端から後方のワークW[i]の前端までの隙間Δを検出する。
【0037】
具体的には、ラインカメラ41は、リニアフィーダ2の搬送路21に設定された撮像位置(スキャンライン)P1の上方に設けられる。ラインカメラ41は、ワークWの搬送方向(リニアフィーダ2の搬送路21の延在方向)に直交して1列に並ぶ複数の感度の高い撮像素子(不図示)を有し、搬送路21上を搬送されるワークWの撮像を行う。ラインカメラ41の撮像範囲(撮像エリア)は、ワークWの搬送方向においてはワークWの一部を撮像する範囲、ワークWの搬送方向に直交する方向においてはワークWの全体を撮像する範囲に設定される。
【0038】
ラインカメラ41により取得される画像データは、撮像素子が網の目状に複数配置されているが、スポット的に撮像するため、1つのワークW全体を撮像範囲とするエリアカメラよりも画素数が少なく、データ量が少ない。ラインカメラ41はワークWに対し一定間隔で連続して撮像を行うように動作し、取得した画像を制御装置3に転送する。
【0039】
ラインカメラ41が所定間隔でスキャンを行うと(
図3(a))、即時に画像データが制御装置3に送られる。制御装置3は、取り込んだ画像に対し即時に2値化処理等を行った後、順次画像同士を結合し、ワーク合成画像を生成する(
図3(b))。合成画像ではワークWが現れている部分と、ワークW以外のもの(具体的にはリニアフィーダ2の搬送路21)が現れている部分が表示される。ワークWと搬送路21では色相、明度、彩度等の色の属性が異なるように予め設定されている。例えば、ワークWがセラミック本体の両端に電極を有していれば全体が白に近い色で表示されるのに対して、搬送路21が明度の低い黒等で構成されていれば、色の属性により、ワークWの画像の判別が可能である。
【0040】
隙間制御手段31は、上記ワークWの撮影画像を利用して隙間制御を行う。
【0041】
隙間検出部31aは、前記ワークWの撮影画像を画像処理することで、前端で立ち上がり及び後端で立ち下がりを検出し、オンオフ信号を生成する(
図3(c))。
【0042】
図4は、複数のワークWのオンオフ信号を時系列で並べた波形で、先頭ワークを0番とし、i番目のワークのオン時間をt-on[i]、i番目のワーク後端からi+1番目のワークの先端までのオフ時間をt-off[i]とし、i=0からi=3までを表示している。
【0043】
判断部31bは、前方のワークWと後方のワークWの間に所定の隙間があるどうかを判断する。ここでは、少なくともワークW、W間に確保したい隙間Δを、前方のワークWの後端がスキャンラインP1を通過後、後方のワークWの前端がスキャンラインP1に到来するまでの時間で定義し、設定値T-th(例えば10ms)として予め設定しておく。
【0044】
そして、検出した隙間(時間隙間)が設定値T-thより小さいか否かを判断する。
図5は判断フローである。例えば、ワーク(0番)に引き続きワーク(1番)がスキャンラインを通過したら(ステップS1)、t-off[0]が設定値T-thより小さいかどうかを判断する(ステップS2)。βの初期値は0である。nоであればワークを間引く必要がないため、ステップS3でワーク(1番)を通過させ、ステップS4ではβを維持して、ステップS5でiをインクリメントし、ステップS1に戻る。ワーク(1番)が通過すれば、次のワーク(2番)は通過したワーク(1番)との隙間を問題にすればよい。
【0045】
一方、ステップS2でyesと判断すると、ワーク(1番)に対して排除処理部31cが排除処理を行う(ステップS6)。
【0046】
図1、
図2におけるワーク排除部5は、前記撮像位置(スキャンライン)P1よりも搬送方向下流側に設定された排除位置P2に配置され、ワークWに向けて圧縮空気を噴射する空気噴射ノズル50を有する。ワーク排除部5は、排除と判定されたワークWが排除位置P2まで搬送されたタイミングで空気噴射ノズル50から圧縮空気を噴射し、当該ワークWを搬送路21上から排除する。これにより、
図6に示すように搬送路21上のワークW(1番)は搬送路から排除される。
【0047】
ワークW(1番)が排除された後に到来するのはワーク(2番)である。ここでも、先頭ワーク(0番)とワーク(2番)の間に十分な隙間(時間)がない場合があり、その場合は引き続きワーク(2番)を排除する必要がある。そこで、ステップS7においてβを
図4におけるt-off[0]+t-on[1]を加えた値に更新し、iをインクリメントして(ステップS5)、ステップS1に戻る。すると、次にワーク(2番)がスキャンラインを通過後(ステップS1)、ステップS2でt-off[1]+t-off[0]+t-on[1]が設定値T-thより小さいかどうかを判断する。これは、ワーク(0番)からワーク(2番)までの隙間である。そして、nоであれば、ワーク(2番)を通過させる。ワーク(2番)が通過すれば、次のワーク(3番)は通過したワーク(2番)との隙間を問題にすればよいため、βを0にリセットし(ステップS4)、iをインクリメントして(ステップS5)、ステップS1に戻る。一方、ステップS2で小さいと判断すると、ワーク(2番)に対して排除処理を行う(ステップS6)。
【0048】
ワーク(2番)が排除された後に到来するのはワーク(3番)である。ここでも、先頭ワーク(0番)とワーク(3番)の間に十分な隙間(時間)がない場合があるため、βを更に更新し(ステップS7)、iをインクリメントして(ステップS5)、ステップS1に戻る。ステップS2からS6に行くループを辿るのは限定的で、いずれはステップS2でnoと判断され、蓄積されたβは0にリセットされる。
【0049】
以上のように、本実施形態のパーツフィーダPFは、ワークWを振動搬送するリニアフィーダ2の搬送路21の所定領域に、ワークW、W間の隙間Δを制御する隙間制御手段31を設けたものであって、隙間制御手段31が、所定領域において前方のワークW(i-1)と後方のワーク(i)の隙間Δを画像処理を通じて検出する隙間検出部31aと、隙間検出部31aが検出する隙間Δが設定値以下であるか否かを判断する判断部31bと、判断部31bが設定値以下であると判断した場合に後方のワークW(i)を搬送路21上から排除する排除処理部31cと、を備えたものである。
【0050】
このようにすれば、搬送路21の先端付近でのワークWの渋滞を解消するにあたり、分離用ピンのような機械要素を持ち込まずに済むため、ワーク詰まりといったトラブルになることがなく、機械要素に起因した摩耗やごみの発生要因となることも回避することができる。また、光学的にワークWの重複を検出するのではなく、画像処理を通じて隙間を検出するため、ワークWの大きさ違いなどがあっても搬送路21自体に手を加える必要がなく、設定値の変更等を通じてソフト的に簡単、適切にワークWの大きさ違いに対応することができる。
【0051】
特にこの実施形態では、隙間検出部31aが検出する隙間Δは、前方のワークW(i-1)の後端が所定位置を通過してから後方のワークW(i)の前端が所定位置に到来するまでの時間であり、判断部31bは、検出した時間が所定時間以下であるか否かを判断するものである。
【0052】
このような構成により、設定値として、少なくとも供給先であるインデックステーブル100でワークWが処理されるに要する時間を設定しておけば、前方のワーク(i-1)の処理が完了する前に後方のワーク(i)が供給先に到達して重複を招くことを的確に防止することができる。
【0053】
また、隙間制御手段31は、後方のワークをW(i)排除した場合、前方のワークW(i-1)に対して新たに後方となるワークW(i+1)と前方のワークW(i-1)との隙間Δに対しても同様の隙間制御を行う。
【0054】
ワークW(i)を排除した場合、排除した後ろのワークW(i+1)は基準となる前方のワークW(i)が無くなる。この場合、基準がない事から無条件でワークW(i+1)を通過させるのではなく、排除したワークW(i)の前方のワークW(i-1)を基準として隙間判断を行うので、隙間制御の実効性を担保することができる。
【0055】
<第2実施形態>
この実施形態では、ワーク間の隙間を距離によって定義し、隙間検出部31aは、前方のワークW[n-1]の後端と後方のワークW[n]の前端のあいだのワーク間距離を検出する。
【0056】
図7は、複数のワークWのオンオフ信号を時系列で並べたもので、先頭ワークを0番とし、n番目のワークのオン時間をt-on[n]、n番目のワーク後端からn+1番目のワークの先端までのオフ時間をt-off[n]とし、n=0からn=3までを表示している。
【0057】
判断部31bは、前方のワークW[n-1]と後方のワークW[n]の間に所定の隙間があるどうかを判断する。ここでは、少なくともワークW、W間に確保したい隙間Δを、前方のワークWと後方のワークWの距離で定義する。
【0058】
先ず、検出した波形から各ワークWの速度を算出する。ワークWの寸法をLworkとした場合、ワーク(0番)とワーク(1番)の速度は、
Vwork[0]=Lwork÷ton[0]
Vwork[1]=Lwork÷ton[1]
である。
【0059】
次に、各ワークWの隙間時間を各ワーク間の距離に変換する。
D[0]…ワーク(0番)とワーク(1番)の距離。
D[1]…ワーク(1番)とワーク(2番)の距離。
t-off[0]…ワーク(0番)の通過後、ワーク(1番)の先頭が進入するまでの時間。
t-off[1]…ワーク(1番)の通過後、ワーク(2番)の先頭が進入するまでの時間。
Vwork[1]…ワーク(1番)の速度
Vwork[2]…ワーク(2番)の速度
としたとき、ワーク間の隙間時間に後続ワークの速度を乗じることで、下記のようにワーク間の距離を近似的に求めることができる。
D[0]=t-off[0]×Vwork[1]
D[1]=t-off[1]×Vwork[2]
【0060】
そして、検出した隙間が所定の隙間である設定値D-thより小さいか否かを判断する。
図8は判断フローである。例えば、ワーク(0番)に引き続きワーク(1番)がスキャンラインP1を通過したら(ステップS101)、D[0]が設定値D-thより小さいかどうかを判断する(ステップS2)。αの初期値は0である。nоの場合は、ワークWを間引く必要がないため、ステップS103でワーク(1番)を通過させ、ステップS104ではαを再度0にして、ステップS105でnをインクリメントし、ステップS101に戻る。ワーク(1番)が通過すれば、次のワーク(2番)は通過したワーク(1番)との隙間を問題にすればよい。
【0061】
一方、ステップS102でyesと判断すると、ワーク(1番)に対して排除処理部31cが排除処理をなす(ステップS106)。
【0062】
前述したように、
図1、
図2におけるワーク排除部5は、前記撮像位置(スキャンライン)P1よりも搬送方向下流側に設定された排除位置P2に配置され、ワークWに向けて圧縮空気を噴射する空気噴射ノズル50を有する。ワーク排除部5は、排除指令をなしたワークが排除位置P2まで搬送されたときに空気噴射ノズル50から圧縮空気を噴射し、当該ワーク3を搬送路10上から排除する。これにより、
図6に示すように搬送路上のワーク(1番)は搬送路から排除される。
【0063】
ワーク(1番)が排除された後に到来するのはワーク(2番)である。ここでも、先頭ワーク(0番)とワーク(2番)の間に十分な隙間(距離)がない場合があり、その場合は引き続きワーク(2番)を排除する必要がある。そこで、αを
図4におけるD[0]+Lworkを加えた値に更新し(ステップS107)、nをインクリメントして(ステップS105)、ステップS101に戻る。すると、ワーク(2番)がスキャンラインP1を通過後(ステップS101)、ステップS102でD[n]+ D[0]+Lwork が設置値D-thより小さいかどうかを判断する。これは、ワーク(0番)からワーク(2番)までの距離である。そして、ここでnоであれば、ステップS103でワーク(2番)を通過させる。ワーク(2番)が通過すれば、次のワーク(3番)は通過したワーク(2番)との隙間を問題にすればよいため、αを0にリセットし(ステップS104)、nをインクリメントして(ステップS105)、ステップS1に戻る。一方、ステップS102でyesと判断すると、ワーク(2番)に排除処理をなす(ステップS106)。
【0064】
ワーク(2番)が排除された後に到来するのはワーク(3番)である。ここでも、先頭ワーク(0番)とワーク(2番)の間に十分な距離がない場合があるため、αを更に更新し(ステップS107)、nをインクリメントして(ステップS105)、ステップS101に戻り、上記と同様の手順を繰り返す。ステップS102からS106に行くループを辿るのは限定的で、いずれはステップS102でnoと判断され、蓄積されたαは0にリセットされる。
【0065】
前記実施形態では、隙間検出部31aが検出する隙間を、前方のワークW[i-1]が通過した後に後方のワークW[i]が到来する時間で定義したが、この場合だと隙間が同じ時間間隔でも、前方のワークW[i-1]に対して後方のワークW[i]の速度が遅ければ検出後にワーク間距離は広がり、速ければワーク間隙間は縮まる。このため、ワークの速度にばらつきが大きい場合、隙間時間だけでは適切な隙間処理ができない場合がある。
【0066】
これに対して、本実施形態のように隙間検出部31aが検出する隙間を、前方のワークW[n-1]の後端と後方のワークW[n]の前端のあいだのワーク間距離で定義し、検出した距離が設定値以下であるか否かを判断部31b判断して、少なくとも供給先で前方のワークW[n-1]が処理される間に後方のワークW[n]が走行する距離が所定距離以上になるようにしておけば、前方のワーク[n-1]の処理が完了する前に後方のワーク[n]が供給先に到達して重複を招くことを的確に防止することができる。
【0067】
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0068】
例えば、隙間検出部は、リニアフィーダの搬送路上に設けられてもよく、ボウルフィーダの搬送路上に設けられてもよい。
【0069】
また、上記実施形態ではパーツフィーダについて説明したが、ワークを振動搬送する搬送路の所定領域においてワーク間の隙間を制御する方法として見たときに、前記所定領域において前方のワークと後方のワークの隙間を画像処理を通じて検出する隙間検出ステップと、前記隙間検出ステップで検出する隙間が設定値以下であるか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップで設定値以下であると判断した場合に前記後方のワークを搬送路上から排除するワーク排除処理ステップと、を備えたパーツフィーダの隙間制御方法として捉えれば、パーツフィーダの機能要素の組立構造の如何によらず、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
また、上記実施形態では判断部が設定値以上であると判断した場合に後方のワークを排除したが、判断部が設定値以上であると判断した場合に後方のワークの姿勢を搬送路上で反転させるワーク姿勢反転部を作動させてもよい。この場合の所定領域は、少なくとも搬送路上であればよいので、ワーク反転部の上流側に設けてもよい。
【0071】
前後逆であるワークの姿勢を搬送路上で反転させたい場合、ワーク間の隙間が詰まっていると反転時に隣接するワークを巻き込んでしまう。これに対して、上記のように構成すれば、ワーク間に十分な隙間があるときのみにワークを反転させることができる。
【0072】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0073】
PF…パーツフィーダ
W…ワーク
T-th…設定値(時間)
D-th…設定値(距離)
21…搬送路
31…隙間制御手段
31a…隙間検出部
31b…判断部
31c…排除処理部