(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071175
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】最適化装置、最適化方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240517BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181989
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 朋秀
(72)【発明者】
【氏名】下尾 高廣
(72)【発明者】
【氏名】本宮 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】イジングマシンを用いて分散電源の組合せの最適化計算をより効率的に行う。
【解決手段】実施形態の最適化装置は、分散電源から分散電源情報を受信する分散電源情報受信部と、分散電源情報に基づいて、計算対象の分散電源を絞り込むための二次二値最適化問題を生成する絞り込み問題生成部と、二次二値最適化問題をQUBO問題に変換するQUBO問題生成部と、イジングマシンを用いてQUBO問題を解くことで計算対象の分散電源を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力するイジングマシン実行部と、イジングマシン解に基づいて、計算対象の分散電源のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成するマッチング決定部と、マッチング解を、当該マッチング解に対応する記分散電源に送信するマッチング情報送信部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の分散電源から電力の受け渡しを行う2つずつの前記分散電源の対応付けを行うマッチングを実行する最適化装置であって、
前記分散電源から分散電源情報を受信する分散電源情報受信部と、
前記分散電源情報に基づいて、計算対象の前記分散電源を絞り込むための二次二値最適化問題を生成する絞り込み問題生成部と、
前記二次二値最適化問題をQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)問題に変換するQUBO問題生成部と、
イジングマシンを用いて前記QUBO問題を解くことで計算対象の前記分散電源を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力するイジングマシン実行部と、
前記イジングマシン解に基づいて、計算対象の前記分散電源のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成するマッチング決定部と、
前記マッチング解を、当該マッチング解に対応する前記分散電源に送信するマッチング情報送信部と、を備える最適化装置。
【請求項2】
前記分散電源は、電気自動車と、前記電気自動車に電力を供給する充電設備と、の2種類であり、
前記二次二値最適化問題は、前記充電設備および前記電気自動車の位置情報と、前記電気自動車の充電有無を表す2値変数および前記充電設備の使用有無を表す2値変数を用いて前記電気自動車と前記充電設備の組合せ使用時に生じるコストの合計値の最小化もしくは利益の合計値の最大化を目的とする目的関数と、前記電気自動車の充電電力の合計値が所定の交通需要を満たすという制約条件と、前記充電設備ごとの充電器の台数に関する制約条件と、を含む請求項1に記載の最適化装置。
【請求項3】
前記分散電源は、再生可能エネルギー発電機と、蓄電池と、の2種類であり、
前記二次二値最適化問題は、前記再生可能エネルギー発電機の使用有無を表す2値変数および前記蓄電池の使用有無を表す2値変数を用いて前記再生可能エネルギー発電機と前記蓄電池の組合せ使用時に生じるコストの合計値の最小化もしくは利益の合計値の最大化を目的とする目的関数を含む、請求項1に記載の最適化装置。
【請求項4】
前記交通需要は、計算対象時間帯における前記電気自動車の電力需要、または、前記電力需要をもとに計算された推奨される充電電力量を表し、
前記絞り込み問題生成部は、前記電力需要を、蓄積された過去の交通統計情報に基づき推定する、請求項2に記載の最適化装置。
【請求項5】
前記絞り込み問題生成部は、前記充電設備ごとの充電器の台数に関する制約条件を緩和した所定の緩和制約条件を用いて、前記二次二値最適化問題を生成する、請求項2に記載の最適化装置。
【請求項6】
前記二次二値最適化問題における定数の将来時刻における値を予測する将来定数予測部を、さらに備え、
前記将来定数予測部は、前記定数の現在時刻における値、および、前記分散電源情報受信部から受信した前記分散電源情報に基づいて、前記定数の将来時刻における値を予測する、請求項1に記載の最適化装置。
【請求項7】
前記電気自動車と前記充電設備の組合せ使用時に生じるコストは、前記電気自動車の現在地点から前記充電設備までの走行時に発生する消費電力および/または前記充電設備における充電費用である、請求項2に記載の最適化装置。
【請求項8】
前記マッチング決定部は、前記イジングマシン実行部で絞り込んだ前記分散電源の情報に基づき、絞り込んだ前記分散電源に関する目的関数および制約条件を含む最適化問題を生成し、最適化問題を解くことで前記マッチング解を生成する、請求項1に記載の最適化装置。
【請求項9】
前記マッチング決定部は、前記イジングマシン実行部で絞り込んだ前記分散電源の情報に基づき、前記分散電源の組合せ使用時に生じるコストに基づいて前記マッチング解を逐次生成しつつ、制約違反が発生している対象の前記分散電源をマッチング対象から除外する処理を繰り返し実行することで、前記マッチング解を生成する、請求項1に記載の最適化装置。
【請求項10】
3以上の分散電源から電力の受け渡しを行う2つずつの前記分散電源の対応付けを行うマッチングを実行する最適化装置による最適化方法であって、
前記分散電源から分散電源情報を受信する分散電源情報受信ステップと、
前記分散電源情報に基づいて、計算対象の前記分散電源を絞り込むための二次二値最適化問題を生成する絞り込み問題生成ステップと、
前記二次二値最適化問題をQUBO問題に変換するQUBO問題生成ステップと、
イジングマシンを用いて前記QUBO問題を解くことで計算対象の前記分散電源を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力するイジングマシン実行ステップと、
前記イジングマシン解に基づいて、計算対象の前記分散電源のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成するマッチング決定ステップと、
前記マッチング解を、当該マッチング解に対応する前記分散電源に送信するマッチング情報送信ステップと、を備える最適化方法。
【請求項11】
3以上の分散電源から電力の受け渡しを行う2つずつの前記分散電源の対応付けを行うマッチングを実行する最適化装置であるコンピュータを、
前記分散電源から分散電源情報を受信する分散電源情報受信部と、
前記分散電源情報に基づいて、計算対象の前記分散電源を絞り込むための二次二値最適化問題を生成する絞り込み問題生成部と、
前記二次二値最適化問題をQUBO問題に変換するQUBO問題生成部と、
イジングマシンを用いて前記QUBO問題を解くことで計算対象の前記分散電源を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力するイジングマシン実行部と、
前記イジングマシン解に基づいて、計算対象の前記分散電源のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成するマッチング決定部と、
前記マッチング解を、当該マッチング解に対応する前記分散電源に送信するマッチング情報送信部と、して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、最適化装置、最適化方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギー発電機(太陽光発電機等)(以下、「再エネ」とも称する。)、蓄電池、EV(Electric Vehicle:電気自動車)、EV充電設備(以下、「充電設備」とも称する。)等の分散電源が多く導入されている。また、多くの分散電源を組合せて使うことがある。例えば、以下の(11)~(13)のような場合である。
【0003】
(11)複数の分散電源を統合制御して1つの発電所のように機能させる仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)を運用する場合
(12)複数のEVと複数の充電設備があって、各EVが充電する充電設備を選定する場合
(13)複数の再エネと複数の蓄電池があって、各再エネによる発電電力を充電する対象の蓄電池を選定する場合
【0004】
そして、これらの場合にコストが発生するときには、低コストの組合せを選択するというニーズがある。(12)の場合のコストとは、例えば、EVが充電設備まで走行することによる消費電力である。また、(13)の場合のコストとは、例えば、再エネから発電電力を蓄電池まで送るときの送電線利用料(託送コスト)である。
【0005】
上述の組合せの最適化計算を行う場合、考えられる組合せの数が多いと、従来のアルゴリズムでは実用的な時間で低コストの組合せを得ることができない場合がある。そこで、従来のアルゴリズムよりも短時間で低コストの組合せを得ることができるイジングマシンを活用することが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のイジングマシンを用いた手法では、例えば、上述の(12)について、EVと充電設備が数千ずつになると、実用的な時間で低コストの組合せを得ることができない場合がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、イジングマシンを用いて分散電源の組合せの最適化計算をより効率的に行うことができる最適化装置、最適化方法、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の最適化装置は、3以上の分散電源から電力の受け渡しを行う2つずつの前記分散電源の対応付けを行うマッチングを実行する最適化装置であって、前記分散電源から分散電源情報を受信する分散電源情報受信部と、前記分散電源情報に基づいて、計算対象の前記分散電源を絞り込むための二次二値最適化問題を生成する絞り込み問題生成部と、前記二次二値最適化問題をQUBO問題に変換するQUBO問題生成部と、イジングマシンを用いて前記QUBO問題を解くことで計算対象の前記分散電源を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力するイジングマシン実行部と、前記イジングマシン解に基づいて、計算対象の前記分散電源のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成するマッチング決定部と、前記マッチング解を、当該マッチング解に対応する前記分散電源に送信するマッチング情報送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の最適化装置等の全体構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の最適化装置による計算内容の説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の最適化装置による処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3のステップS1の詳細を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3のステップS4の詳細の第1の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図3のステップS4の詳細の第2の例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態の最適化装置等の全体構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態における交通需要の算出に関する説明図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の概要を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の最適化装置、最適化方法、および、プログラムの実施形態(第1実施形態~第3実施形態)について、図面を参照して説明する。なお、第2実施形態以降の説明では、それまでの実施形態と同様の事項についての説明を適宜省略する。
【0011】
(従来技術)
実施形態の理解を容易にするために、まず、従来技術についてあらためて説明する。
図10は、従来技術の説明図である。ここでは、分散電源として、EVタクシー(EV1、EV2、・・・)と、EVタクシーを含むEVに電力を供給する充電設備(ST1、ST2、・・・)と、の2種類を例にとる。
【0012】
そして、EVタクシーの稼働率と交通需要に基づいて必要な充電電力量を確保しつつ、EVタクシーが充電のために充電設備まで走行する際の消費電力がなるべく小さくなるように、EVタクシーと充電設備の組合せを得ることを考える。交通需要は、例えば、計算対象時間帯における電気自動車の電力需要、または、電力需要をもとに計算された推奨される充電電力量を表す。
【0013】
つまり、目的関数は、充電設備までの走行による消費電力を最小化するように、以下のようになる。
目的関数:消費電力=Σ(電力量消費率×距離)
(電力量消費率:1kmの走行に必要な消費電力kWh)
【0014】
また、制約条件は、例えば、以下のようになる。
(A)交通需要制約(交通需要に応じた充電電力量の確保)
必要電力量≦充電後の電力量合計
(B)充電器数制約(待ち時間無しで充電器の割当を行う)
充電対象のEVタクシーの台数≦充電設備の充電器数合計
【0015】
目的関数をさらに具体的に表すと、例えば、以下の式(1)の通りである。
【数1】
各記号の意味は、以下の通りである。
min,cost:消費電力の合計の最小化、N:EVタクシー数、ST:充電設備数、
C
i,j:EVタクシーiが充電設備jまで走行するときの消費電力
x
i,j:EVタクシーiが充電設備jで充電する場合「1」、充電しない場合「0」
【0016】
なお、EVタクシーと充電設備の組合せ使用時に生じるコストとしては、例えば、EVタクシーの現在地点から充電設備までの走行時に発生する消費電力のほかに、充電設備における充電費用や、道路の混雑に関するコストを含めてもよい。また、充電によるインセンティブを利益として加味してもよい。
【0017】
上述の計算を行う場合、EVタクシー数×充電設備数の変数が必要になる。そして、日本国内の所定エリアのタクシーがすべてEVタクシーに置き換わることを想定すると、例えば、EVタクシーが9339台で、充電設備が2853基となる。したがって、9339×2853=26,644,167の変数が必要となり、従来技術(イジングマシンも含む。)では実用的な時間内に到底解けない。
【0018】
そこで、以下では、イジングマシンを用いて分散電源の組合せの最適化計算をより効率的に行うことができる技術について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の最適化装置1等の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2は、第1実施形態の最適化装置1による計算内容の説明図である。最適化装置1は、3以上の分散電源2から電力の受け渡しを行う2つずつの分散電源2の対応付けを行うマッチングを実行する装置である。
【0020】
ここでは、上述の従来技術の場合と同様に、分散電源2として、EVタクシーと、EVタクシーを含むEVに電力を供給する充電設備と、の2種類を例にとる。
【0021】
また、上述の従来技術の場合と同様に、EVタクシーの稼働率と交通需要に基づいて必要な充電電力量を確保しつつ、EVタクシーが充電のために充電設備まで走行する際の消費電力がなるべく小さくなるように、EVタクシーと充電設備の組合せを得ることを考える。また、制約条件も、上述の従来技術の場合と同様である(詳細は後述)。
【0022】
目的関数は、上述の従来技術の場合(式(1))と異なり、以下のようになる。
【数2】
【0023】
各記号の意味は、以下の通りである。
min,cost:消費電力の合計の最小化、N:EVタクシー数、ST:充電設備数、
Ci,j:EVタクシーiが充電設備jまで走行するときの消費電力
XEVi:EVタクシーiが充電する場合「1」、しない場合「0」
XSTj:充電設備jで充電する場合「1」、しない場合「0」
【0024】
なお、コストとしては、上述の消費電力のほかに、その他のコストや利益を加味してもよい。例えば、道路の混雑に関するコストを加算したり、充電によるインセンティブ分を減算したりしてもよい。
【0025】
従来技術と同様に、EVタクシーが9339台で、充電設備が2853基という前提で、式(2)による計算を行う場合、変数の数は9339+2853=12,192で済む。そして、この目的関数の最小化のための計算をイジングマシンで実行する。つまり、まず、充電対象のEVタクシーと充電設備を決める(絞り込む)が、EVタクシーと充電設備の1対1対応までは決めない。
【0026】
その後、絞り込まれたEVタクシー、充電設備のみを対象に、定式化にてEVタクシーと充電設備の1対1対応を決定する(詳細は後述)。例えば、EVタクシーを100台、充電設備を30か所に絞れば、変数の数が3000となり、問題規模が大幅に削減される。
【0027】
絞り込み後の処理は、例えば、最適化ソルバ17によって行うが、ほかに、以下のようなルールベースの処理でもよい。そうすれば、より高速化が期待できる。
・EVタクシーと充電設備の組合せのうち、消費電力が小さいものから順にマッチングさせる(消費電力が同じ場合はSOC(State of Charge)の低いEVタクシーを優先する)。
・充電器台数制約を超過した充電設備sをマッチング対象から除く。
【0028】
次に、
図1を参照して、最適化装置1について説明する。なお、
図1において、矢印は情報の主な流れを示すものであり、矢印がない部分を情報が流れる場合もある。
【0029】
最適化装置1は、イジングマシン11、処理部12、記憶部13、分散電源情報受信部14、入力部15、出力部16、最適化ソルバ17を有する。分散電源2は、最適化装置1に接続される。なお、最適化ソルバ17は必須の構成ではない。
【0030】
イジングマシン11は、例えば、量子アニーリング装置やシミュレーティッドアニーリング装置によって実現される。しかし、イジングマシン11は、それらに限定されず、QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)問題(QUBO型式の問題)を解くためのほかの装置やアルゴリズムであってもよい。また、イジングマシン11は、処理部12とは別の装置として実装して処理部12に接続してもよいし、あるいは、処理部12と同一の装置として実装してもよい。
【0031】
処理部12は、例えば、一以上のプロセッサを含む計算機である。記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive)など)、HDD(Hard Disk Drive)などである。記憶部13は、処理部12とは別の装置として実装し、処理部12に接続してもいいし、処理部12と同一の装置として例えば主記憶装置やキャッシュメモリとして実装してもよい。
【0032】
分散電源情報受信部14は、分散電源2および記憶部13に接続され、分散電源2から分散電源情報(詳細は後述)を受信する。入力部15は、処理部12に接続され、例えば、各種キー、ボタン、ダイヤルスイッチ、マウス、タッチパネルなどのうち一部または全部を含む。また、入力部15は、外部装置と電気的に接続される接続部であってもよい。
【0033】
出力部16は、処理部12に接続され、外部装置と電気的に接続される接続部であってもよいし、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-luminescence)表示装置などであってもよい。
【0034】
処理部12は、機能部として、絞り込み問題生成部121と、QUBO問題作成部122と、イジングマシン実行部123と、マッチング決定部124と、マッチング情報送信部125と、データ管理部126と、を備える。処理部12における各機能部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これら各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む。)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。マッチング情報送信部125は、分散電源2と接続される。
【0035】
記憶部13には、分散電源情報130と、コスト情報131と、二次二値最適化問題132と、QUBO問題133と、イジングマシン解134と、マッチング解135と、が保存される。
【0036】
分散電源情報130は、分散電源情報受信部14から受信した分散電源情報(例えば、充電設備における充電器の使用状況情報など)や、分散電源2(EVタクシー、充電設備)の位置情報などである。
【0037】
コスト情報131は、EVタクシーが充電設備で充電することに関する各種のコストや利益などの情報である。コスト情報131は、例えば、EVタクシーが充電設備まで走行することによる消費電力や、道路の混雑に関するコストや、充電によるインセンティブの利益などの情報である。コスト情報131は、入力部15とデータ管理部126を介して入力され、絞り込み問題生成部121において二次二値最適化問題132を作成する際に使用される。
【0038】
二次二値最適化問題132は、絞り込み問題生成部121において作成され、保存される。
【0039】
QUBO問題133は、QUBO問題作成部122において作成され、保存される。
【0040】
イジングマシン解134は、イジングマシン実行部123においてイジングマシン11を実行することで算出され、保存される。
【0041】
マッチング解135は、マッチング決定部124において決定され、保存される。
【0042】
絞り込み問題生成部121は、分散電源情報130やコスト情報131などに基づいて、計算対象の分散電源2を絞り込むための二次二値最適化問題を生成し、二次二値最適化問題132として保存する。
【0043】
二次二値最適化問題132は、例えば、充電設備および電気自動車の位置情報と、電気自動車(EVタクシー)の充電有無(充電するか否か)を表す2値変数および充電設備の使用有無(使用するか否か)を表す2値変数を用いて電気自動車と充電設備の組合せ使用時に生じるコストの合計値の最小化もしくは利益の合計値の最大化を目的とする目的関数と、電気自動車の充電電力の合計値が所定の交通需要を満たすという制約条件と、充電設備ごとの充電器の台数に関する制約条件と、を含む。
【0044】
また、絞り込み問題生成部121は、充電設備ごとの充電器の台数に関する制約条件を緩和した所定の緩和制約条件(つまり、EVタクシーが充電設備で充電のためにある程度の時間だけ待機することを許容した条件)を用いて、二次二値最適化問題132を生成するようにしてもよい。
【0045】
QUBO問題作成部122は、二次二値最適化問題132をQUBO問題に変換し、QUBO問題133として保存する。
【0046】
イジングマシン実行部123は、イジングマシン11を用いてQUBO問題133を解くことで計算対象の分散電源2を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解を出力し、イジングマシン解134として保存する。
【0047】
マッチング決定部124は、イジングマシン解134に基づいて、計算対象の分散電源2のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成し、マッチング解135として保存する。マッチング決定部124は、例えば、最適化ソルバ17を用いてマッチング解を生成する。
【0048】
マッチング情報送信部125は、マッチング解135を、マッチング解135に対応する分散電源2に送信する。送信先の分散電源2は、EVタクシーと充電設備の例であれば、EVタクシーは必須で、充電設備は任意である。EVタクシーは、充電のために、受信したマッチング解が示す充電設備に走行し、充電する。
【0049】
データ管理部126は、処理部12に対する入出力データを管理する。
【0050】
次に、定式化について具体的に説明する。目的関数は、上述の式(2)に示すように定式化したものとする。その場合、交通需要に関する制約条件を、以下の式(3)に示すように定式化する。
【数3】
【0051】
式(2)で説明した記号以外の記号の意味は、以下の通りである。
Demand:交通需要に対応する充電量(充電電力量)
CAPi:EViの蓄電池容量[kWh]
SOCi:EViの蓄電池残量[kWh]
【0052】
また、充電器台数に関する制約条件を、以下の式(4)に示すように定式化する。
【数4】
【0053】
各記号の意味は、以下の通りである。
CNUMj:充電設備jの充電器台数
【0054】
また、Ci,j(充電設備までの走行による消費電力)は、例えば、次式で求める。
Ci,j=EMi・Di,j
EMi:EViの電費の逆数[kWh/km]
Di,j:EViと充電設備jの距離[km]
【0055】
その他に、充電設備全体の電力が契約電力以下になる、という制約条件などを用いてもよい。
【0056】
また、上記は単一時間コマを対象とする想定だが、将来の複数時刻を対象に充電計画を策定するような定式化としてもよい。
【0057】
また、Demandについては、EVタクシー事業の運用者が手入力してもよいし、あるいは、交通統計情報から必要な走行距離に応じた充電需要を、機械学習手法などを用いて高精度に推定するなどして算出してもよい。
【0058】
次に、QUBO問題作成部122が二次二値最適化問題132をQUBO問題133に変換する場合の定式化は、以下の式(5)の通りである。
【数5】
【0059】
第1項は本来の目的関数である。第2項は交通需要の制約条件に対応するペナルティ項である。W1はそのペナルティ項に対する重みである。第3項は充電器台数の制約条件に対応するペナルティ項である。W2はそのペナルティ項に対する重みである。y1,n、y2,nは不等式制約を等式制約に変形する際のスラック変数を2値変数で表現するためのバイナリ変数である。ここでは、制約条件をなくす代わりに、制約条件に対応するペナルティ項を入れている。
【0060】
次に、マッチング決定部124がイジングマシン解134に基づいて計算対象の分散電源2のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解を生成する場合の定式化は、以下の式(6)~(9)に示す通りである。
【数6】
【0061】
なお、その他に、充電にかかる時間や、EVタクシーの充電設備までの移動時間や、所定のEV稼働率の確保などに関する制約条件を用いてもよい。その場合、EV稼働率は、時間ごとに変化するので時間方向に拡張した変数になる。また、各EVタクシーの充電電力量を連続値の変数として導入し、充電電力量に対するコストを同時に最適化しても良い。
【0062】
最適化ソルバ17は、二次二値最適化問題132を解くことが可能な装置、またはソフトウェアである。最適化ソルバ17は、処理部12と同一の装置に実装してもよいし、あるいは、処理部12とは異なるコンピュータとして実装してもよい。また、最適化ソルバ17は、例えば分枝限定法を実装したソフトウェアとして実現できる。最適化ソルバ17は、絞り込んだEVタクシーと充電設備について、二次二値最適化問題132を解く。
【0063】
次に、
図3を参照して、最適化装置1による処理について説明する。
図3は、第1実施形態の最適化装置1による処理を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS1において、絞り込み問題生成部121は、分散電源情報130やコスト情報131などに基づいて、計算対象の分散電源2の絞り込みに用いる二次二値最適化問題132を生成する。
【0065】
次に、ステップS2において、QUBO問題作成部122は、二次二値最適化問題132をQUBO問題133に変形する。
【0066】
次に、ステップS3において、イジングマシン実行部123は、イジングマシン11を用いてQUBO問題133を解くことで計算対象の分散電源2を絞り込んだ計算結果であるイジングマシン解134を生成する。
【0067】
次に、ステップS4において、マッチング決定部124は、イジングマシン解134に基づいて、絞り込んだ計算対象の分散電源2のうちの2つずつの対応付けを行った結果であるマッチング解135を生成する。
【0068】
次に、ステップS5において、マッチング情報送信部125は、マッチング解135を、マッチング解135に対応する分散電源2に送信する。
【0069】
図4は、
図3のステップS1の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、絞り込み問題生成部121は、分散電源情報130などを参照して、分散電源2(EVタクシー、充電設備)の状態(両者の位置、充電設備の使用状況など)を取得する。
【0070】
次に、ステップS102において、絞り込み問題生成部121は、コスト(上述の式(2)における「Ci,j」)を算出する。
【0071】
次に、ステップS103において、絞り込み問題生成部121は、二次の目的関数(例えば、上述の式(2))を算出する。
【0072】
次に、ステップS104において、絞り込み問題生成部121は、制約条件(例えば、上述の式(3)、(4))を算出する。
【0073】
次に、
図5は、
図3のステップS4の詳細の第1の例を示すフローチャートである。
図5の処理では、マッチング決定部124は、イジングマシン実行部123で絞り込んだ分散電源2の情報に基づき、絞り込んだ分散電源2に関する目的関数および制約条件を含む最適化問題を生成し、最適化問題を解くことでマッチング解を生成する。以下、詳述する。
【0074】
まず、ステップS401において、マッチング決定部124は、絞り込んだ分散電源2(EVタクシーと充電設備)に関する一次の目的関数(例えば、上述の式(6))を算出する。
【0075】
次に、ステップS402において、マッチング決定部124は、制約条件(例えば、上述の式(7)~(9))を算出する。
【0076】
次に、ステップS403において、マッチング決定部124は、最適化ソルバ17を用いて最適化問題を解く。なお、最適化ソルバ17は、例えば分枝限定法などが実装された汎用ソルバであってもよいし、あるいは、遺伝的アルゴリズムやタブーサーチなどのメタヒューリスティックス手法を実装してもよい。
【0077】
次に、
図6は、
図3のステップS4の詳細の第2の例を示すフローチャートである。この第2の例では、最適化ソルバ17を用いない。
図6の処理では、マッチング決定部124は、イジングマシン実行部123で絞り込んだ分散電源2の情報に基づき、分散電源2の組合せ使用時に生じるコストに基づいてマッチング解を逐次生成しつつ、制約違反が発生している対象の分散電源2をマッチング対象から除外する処理を繰り返し実行することで、マッチング解を生成する。以下、詳述する。
【0078】
まず、ステップS411において、マッチング決定部124は、マッチング対象の分散電源2があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS412に進み、Noの場合は処理を終了する。例えば、交通需要制約(充電電力量制約)を満たさなければYesとしてマッチングを続ける。
【0079】
ステップS412において、マッチング決定部124は、絞り込んだ分散電源2のうち、コストが小さい順にマッチングさせる。例えば、EVタクシーと充電設備の組合せの中から、消費電力が小さいものから順にマッチングさせる。その際、消費電力が同じ場合は、例えば、EVタクシーのSOCが低いものを優先する。
【0080】
次に、ステップS413において、マッチング決定部124は、制約条件を逸脱したマッチング対象があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS414に進み、Noの場合はステップS411に戻る。
【0081】
ステップS414において、マッチング決定部124は、制約違反(制約条件の逸脱)が発生している対象の分散電源2をマッチング対象から除外する。例えば、充電設備について、充電器台数制約を超過した時点でマッチング対象から除く。
【0082】
このように、第1実施形態の最適化装置1によれば、まず、イジングマシンを用いてQUBO問題を解くことで計算対象の分散電源2を絞り込み、その後に、絞り込んだ分散電源2についてマッチングを行うことで、分散電源2の組合せの最適化計算をより効率的に行うことができる。例えば、上述の従来技術で説明したような、EVタクシーが9339台で充電設備が2853基であるというくらいの数のオーダーの場合でも、実用的な時間で低コストの組合せを得ることができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の最適化装置1等の全体構成を示す機能ブロック図である。
図7の最適化装置1は、
図1の最適化装置1と比較して、将来定数予測部127が追加されている。
【0084】
将来定数予測部127は、二次二値最適化問題132における定数の将来時刻における値を予測する。具体的には、例えば、将来定数予測部127は、定数の現在時刻における値、および、分散電源情報受信部14から受信した分散電源情報130に基づいて、定数の将来時刻における値を予測する。
【0085】
ここで、二次二値最適化問題132における定数とは、例えば、上述の式(3)におけるDemand(交通需要に対応する充電量)である。
【0086】
図8は、第3実施形態における交通需要の算出に関する説明図である。(a)~(c)は、対象時刻の推定に用いる交通統計情報を示すグラフである。(a)は、対象時刻の交通需要(縦軸)と直前時刻の交通需要(横軸)との関係を示すグラフである。(b)は、対象時刻の交通需要(縦軸)と対象時刻の電気自動車の稼働率(横軸)との関係を示すグラフである。(c)は、対象時刻の交通需要(縦軸)と対象時刻の降水量(横軸)との関係を示すグラフである。
【0087】
そして、絞り込み問題生成部121は、例えば、重回帰分析などで対象時刻の交通需要と他方のデータ(直前時刻の交通需要、対象時刻の電気自動車の稼働率、対象時刻の降水量)の関係をモデル化し、そのモデルを用いて対象時刻の交通需要を推定して使用する。
【0088】
また、(d)~(f)は、将来時刻の推定に用いる交通統計情報を示すグラフである。(d)は、将来時刻の交通需要(縦軸)と現在の交通需要(横軸)との関係を示すグラフである。(e)は、将来時刻の交通需要(縦軸)と現在時刻までの電気自動車の稼働率の変化割合(横軸)との関係を示すグラフである。(f)は、将来時刻の交通需要(縦軸)と降水量の気象予報値(横軸)との関係を示すグラフである。
【0089】
そして、絞り込み問題生成部121は、例えば、重回帰分析などで将来時刻の交通需要と他方のデータ(現在の交通需要、現在時刻までの電気自動車の稼働率の変化割合、降水量の気象予報値)の関係をモデル化し、そのモデルを用いて将来時刻の交通需要を推定して使用する。
【0090】
このようにして、第2実施形態によれば、定数の将来時刻における値を予測して絞り込み問題の生成に使用することで、より高精度な絞り込み問題を生成することができる。
【0091】
なお、二次二値最適化問題132におけるこの予測の対象の定数は、交通需要に限定されない。当該定数としては、ほかに、上述のコスト「Ci,j」」やEVタクシーのSOCなども考えられ、それらの将来時刻における値を同様に予測して使用するようにしてもよい。
【0092】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態の概要を模式的に示す図である。上述の第1実施形態と第2実施形態では、分散電源2としてEVタクシーと充電設備の2種類を例にとって説明した。第3実施形態では、分散電源2は、再生可能エネルギー発電機(RE1、RE2、・・・)と、蓄電池(SB1、SB2、・・・)と、の2種類である。
【0093】
その場合、二次二値最適化問題132は、再生可能エネルギー発電機の使用有無を表す2値変数および蓄電池の使用有無を表す2値変数を用いて再生可能エネルギー発電機と蓄電池の組合せ使用時に生じるコスト(例えば、再エネから発電電力を送電線Tで蓄電池まで送るときの送電線利用料(託送コスト))の合計値の最小化もしくは利益の合計値の最大化を目的とする目的関数を含む。
【0094】
具体的には、再エネで生じた余剰電力を蓄電池で吸収(蓄電)したいが、その場合に、例えば、送電線利用料の合計値が最小になるような再エネと蓄電池の組合せを決定することに、本発明を利用することができる。
【0095】
現状の制度では託送コストは一律料金であるが、将来、制度設計が変わって距離や時間帯、系統混雑状況等に応じて託送コストが変化すると、効果が大きくなる。
【0096】
また、その他に想定されるコストを以下に列挙する。
・電力の個人間取引(P2P取引)が実現した場合の個別で契約した料金。
・仮想的な蓄電サービスにおけるコスト。例えば遠隔地に置かれている蓄電池の利用に対して蓄電池の種類等に応じて異なる従量コストが生じる場合の従量コスト。
【0097】
このように、第3実施形態によれば、再エネと蓄電池の組合せの最適化計算についても、第1実施形態、第2実施形態の場合と同様に、イジングマシンを用いてより効率的に行うことができる。
【0098】
本実施形態の最適化装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0099】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0100】
当該プログラムは、上述した各機能構成を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより各機能構成が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成される。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0102】
例えば、最適化問題を生成する際に、気象データなどの別のデータをさらに用いてもよい。
【0103】
また、第1実施形態での目的関数において、充電単価を可変としてもよい。例えば、走行時の消費電力だけでなく、充電費用も含めた目的関数としてもよい。その場合、充電単価は、例えば、アグリゲータによって決定してもよいし、あるいは、ノーダルプライス(追加電力需要に対してかかる追加電力供給コスト)に基づいて決定してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…最適化装置、2…分散電源、11…イジングマシン、12…処理部、13…記憶部、14…分散電源情報受信部、15…入力部、16…出力部、17…最適化ソルバ、121…絞り込み問題生成部、122…QUBO問題作成部、123…イジングマシン実行部、124…マッチング決定部、125…マッチング情報送信部、126…データ管理部、127…将来定数予測部、131…コスト情報、132…二次二値最適化問題、133…QUBO問題、134…イジングマシン解、135…マッチング解