(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071186
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20240517BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/60 301N
H01L21/92 602J
H01L21/92 603F
H01L21/92 604R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182008
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江成 裕司
(72)【発明者】
【氏名】利根川 丘
【テーマコード(参考)】
5F033
5F044
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH17
5F033HH33
5F033MM13
5F033PP06
5F033PP15
5F033PP27
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR22
5F033SS11
5F033VV07
5F044EE01
5F044EE04
5F044EE06
5F044EE21
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させ、製造コストの増加を抑制する。
【解決手段】半導体基板SUBの上面上には、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜IL上には、ソースパッドSPと、ソースパッドSPよりも小さい平面積を有するケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPとが形成されている。ソースパッドSP上には、第1メッキ層PL1が形成されている。ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上には、それぞれ第2メッキ層PL2が形成されている。第1メッキ層PL1の最表面の材料は、貴金属以外の金属からなり、第2メッキ層PL2の最表面の材料は、貴金属からなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記上面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成された第1パッドと、
前記層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドと、
前記第1パッド上に形成された第1メッキ層と、
前記第2パッド上に形成された第2メッキ層と、
を備え、
前記第1メッキ層の最表面の材料は、貴金属以外の金属からなり、
前記第2メッキ層の最表面の材料は、貴金属からなる、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1メッキ層は、前記第1メッキ層の最表面の材料からなる第1メッキ膜を含み、
前記第2メッキ層は、前記第1メッキ膜と同じ材料からなる第2メッキ膜と、前記第2メッキ膜上に形成された第3メッキ膜と、前記第3メッキ膜上に形成され、且つ、前記第2メッキ層の最表面の材料からなる第4メッキ膜とを含み、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜、前記第2メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、
前記第2メッキ膜の厚さは、前記第3メッキ膜および前記第4メッキ膜の各々の厚さよりも大きい、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料は、銅であり、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、パラジウムであり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、金である、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1メッキ層は、前記第1メッキ層の最表面の材料からなる第1メッキ膜を含み、
前記第2メッキ層は、第3メッキ膜と、前記第3メッキ膜上に形成され、且つ、前記第2メッキ層の最表面の材料からなる第4メッキ膜とを含み、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜を構成する材料と異なり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なる、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1メッキ膜を構成する材料は、銅であり、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、パラジウムであり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、金である、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜上に形成された第1配線と、
前記第1配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、
前記第1配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に形成された第2開口部と、
を備え、
前記第1パッドは、前記第1開口部内で露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部内で露出している前記第1配線の前記第2部分である、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜下に位置する前記半導体基板には、MOSFETが形成され、
前記第1パッドおよび前記第2パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜上に形成された第1配線および第2配線と、
前記第1配線および前記第2配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、
前記第2配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に形成された第2開口部と、
を備え、
前記第1パッドは、前記第1開口部内で露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部内で露出している前記第2配線の前記第2部分である、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記層間絶縁膜下に位置する前記半導体基板には、MOSFETが形成され、
前記第1パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続され、
前記第2パッドは、前記MOSFETのドレイン領域または前記MOSFETのゲート電極に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1メッキ層上に形成された半田層と、
前記半田層上に形成されたクリップと、
前記第2メッキ層上に形成されたワイヤボンディングと、
を更に備える、半導体装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1パッドの平面積は、前記第2パッドの平面積の100倍以上である、半導体装置。
【請求項12】
(a)上面を有する半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の前記上面上に、層間絶縁膜を形成する工程、
(c)前記層間絶縁膜上に、第1パッドと、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドとを形成する工程、
(d)スパッタリング法によって、前記第1パッド上および前記第2パッド上に、シード層を形成する工程、
(e)電解メッキ法によって、前記第1パッド上の前記シード層上に、第1メッキ膜を形成すると共に、前記第2パッド上の前記シード層上に、第2メッキ膜を形成する工程、
(f)電解メッキ法によって、前記第2メッキ膜上に、第3メッキ膜を形成する工程、
(g)電解メッキ法によって、前記第3メッキ膜上に、第4メッキ膜を形成する工程、
を備え、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜、前記第2メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、
前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料は、貴金属以外の金属からなり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、貴金属からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2メッキ膜の厚さは、前記第3メッキ膜および前記第4メッキ膜の各々の厚さよりも大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料は、銅であり、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、パラジウムであり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、金である、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
(h)前記(a)工程と前記(b)工程の間で、前記半導体基板に、MOSFETを形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c1)前記層間絶縁膜上に、第1配線を形成する工程、
(c2)前記第1配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c3)前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第1開口部を形成すると共に、前記第1配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第2開口部を形成する工程、
を含み、
前記第1パッドは、前記第1開口部内で露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部内で露出している前記第1配線の前記第2部分であり、
前記第1パッドおよび前記第2パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続されている、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
(h)前記(a)工程と前記(b)工程の間で、前記半導体基板に、MOSFETを形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c4)前記層間絶縁膜上に、第1配線および第2配線を形成する工程、
(c5)前記第1配線および前記第2配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c6)前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第1開口部を形成すると共に、前記第2配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第2開口部を形成する工程、
を備え、
前記第1パッドは、前記第1開口部から露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部から露出している前記第2配線の前記第2部分であり、
前記第1パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続され、
前記第2パッドは、前記MOSFETのドレイン領域または前記MOSFETのゲート電極に電気的に接続されている、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
(a)上面を有する半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の前記上面上に、層間絶縁膜を形成する工程、
(c)前記層間絶縁膜上に、第1パッドと、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドとを形成する工程、
(d)スパッタリング法によって、前記第1パッド上および前記第2パッド上に、シード層を形成する工程、
(e)電解メッキ法によって、前記第1パッド上の前記シード層上に、第1メッキ膜を形成する工程、
(f)電解メッキ法によって、前記第2パッド上の前記シード層上に、第3メッキ膜を形成する工程、
(g)電解メッキ法によって、前記第3メッキ膜上に、第4メッキ膜を形成する工程、
を備え、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜を構成する材料と異なり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、
前記第1メッキ膜を構成する材料は、貴金属以外の金属からなり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、貴金属からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1メッキ膜を構成する材料は、銅であり、
前記第3メッキ膜を構成する材料は、パラジウムであり、
前記第4メッキ膜を構成する材料は、金である、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
(h)前記(a)工程と前記(b)工程の間で、前記半導体基板に、MOSFETを形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c1)前記層間絶縁膜上に、第1配線を形成する工程、
(c2)前記第1配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c3)前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第1開口部を形成すると共に、前記第1配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第2開口部を形成する工程、
を含み、
前記第1パッドは、前記第1開口部内で露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部内で露出している前記第1配線の前記第2部分であり、
前記第1パッドおよび前記第2パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続されている、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
(h)前記(a)工程と前記(b)工程の間で、前記半導体基板に、MOSFETを形成する工程、
を更に備え、
前記(c)工程は、
(c4)前記層間絶縁膜上に、第1配線および第2配線を形成する工程、
(c5)前記第1配線および前記第2配線を覆うように、前記層間絶縁膜上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c6)前記第1配線の第1部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第1開口部を形成すると共に、前記第2配線の第2部分を露出させるように、前記第1絶縁膜に、第2開口部を形成する工程、
を備え、
前記第1パッドは、前記第1開口部から露出している前記第1配線の前記第1部分であり、
前記第2パッドは、前記第2開口部から露出している前記第2配線の前記第2部分であり、
前記第1パッドは、前記MOSFETのソース領域に電気的に接続され、
前記第2パッドは、前記MOSFETのドレイン領域または前記MOSFETのゲート電極に電気的に接続されている、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、パッド上に形成されたメッキ層を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の信頼性を高めるなどの要求から、半導体基板上に形成された配線の一部であるパッド上に、OPM(Over Pad Metal)電極と呼ばれる導電性層が形成された構造が提案されている。このOPM電極には、ボンディングワイヤまたはクリップなどの外部接続用部材が接続される。
【0003】
また、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置では、半導体基板の上面上に、ボンディングワイヤなどのような外部接続用部材と接続するための複数のパッドが設けられている。上記複数のパッドは、例えば、ソースパッド、ゲートパッド、ドレインパッドおよびケルビンパッドなどである。ソースパッドは、MOSFETのソース領域に電気的に接続され、ゲートパッドは、MOSFETのゲート電極に電気的に接続され、ドレインパッドは、MOSFETのドレイン領域に電気的に接続される。ケルビンパッドおよびソースパッドは、それぞれ同一の配線の一部であり、互いに異なる領域に位置している。ケルビンパッドおよびドレインパッドは、それぞれMOSFETのソース領域およびドレイン領域からの信号を取得するために設けられたパッドである。
【0004】
例えば、特許文献1には、半導体基板にパワーMOSFETを形成し、各パッド上に、OPM電極としてニッケル膜、パラジウム膜および金膜を形成する技術が開示されている。これらのニッケル膜、パラジウム膜および金膜は、無電解メッキ法によって形成されている。無電解メッキ法は、各パッド上に一括してOPM電極を形成できるので、製造工程数の低減および製造コストの削減という点で効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者らは、パワーMOSFETを備えた半導体装置において、無電解メッキ法によって、ニッケル膜、パラジウム膜および金膜が順次積層されたOPM電極について検討を行った。その結果、一部のパッドで、金の析出不良が発生し、パラジウム膜上の一部で金膜が形成されないという不具合(金膜の未着)が発生することが判った。特に、ケルビンパッドおよびドレインパッドにおいて、そのような不具合が発生し易いということが判った。
【0007】
パワーMOSFETを備えた半導体装置では、ソースパッドの平面積が、半導体基板の平面積の大部分を占有する。それ故、ソースパッドと同一の配線として一体化しているケルビンパッドでは、メッキ膜の形成に必要な電子がソースパッドに集中し易くなる。その結果、小面積のケルビンパッドにおいて、電子供給が不足し、金膜の未着が発生し易いということが判った。特に、金膜の未着は、ソースパッドの平面積がケルビンパッドの平面積の100倍以上になると発生し易いことが判った。
【0008】
また、ドレインパッドは、半導体基板の下面に形成されているドレイン領域に電気的に接続されているが、メッキ膜の形成時には、メッキ膜の形成に必要な電子が半導体基板の下面に集中しやすい。これにより、ドレインパッドでも、電子供給が不足し、金膜の未着が発生し易いということが判った。
【0009】
このような金膜の未着は、パッドとボンディングワイヤとの接続時に、接着不良などの不具合の要因となる。従って、実装時の歩留まりが低下する問題がある。また、不良を検出するための検査工程の追加が必要となり、製造コストが増加する。
【0010】
また、大面積のソースパッド上には、貴金属である金膜が形成される。金膜は、貴金属の中でも比較的高価な材料であるので、大面積のソースパッド全面に金膜を形成すると、製造コストが増加する。
【0011】
本願の主な目的は、小面積のパッドで発生する金膜の未着を抑制することで、半導体装置の信頼性を向上させることにある。また、本願の他の目的は、製造コストの増加を抑制することにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
一実施の形態に係る半導体装置は、上面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記上面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された第1パッドと、前記層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドと、前記第1パッド上に形成された第1メッキ層と、前記第2パッド上に形成された第2メッキ層と、を備える。前記第1メッキ層の最表面の材料は、貴金属以外の金属からなり、前記第2メッキ層の最表面の材料は、貴金属からなる。
【0014】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)上面を有する半導体基板を用意する工程、(b)前記半導体基板の前記上面上に、層間絶縁膜を形成する工程、(c)前記層間絶縁膜上に、第1パッドと、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドとを形成する工程、(d)スパッタリング法によって、前記第1パッド上および前記第2パッド上に、シード層を形成する工程、(e)電解メッキ法によって、前記第1パッド上の前記シード層上に、第1メッキ膜を形成すると共に、前記第2パッド上の前記シード層上に、第2メッキ膜を形成する工程、(f)電解メッキ法によって、前記第2メッキ膜上に、第3メッキ膜を形成する工程、(g)電解メッキ法によって、前記第3メッキ膜上に、第4メッキ膜を形成する工程、を備える。前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜、前記第2メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、前記第1メッキ膜および前記第2メッキ膜の各々を構成する材料は、貴金属以外の金属からなり、前記第4メッキ膜を構成する材料は、貴金属からなる。
【0015】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)上面を有する半導体基板を用意する工程、(b)前記半導体基板の前記上面上に、層間絶縁膜を形成する工程、(c)前記層間絶縁膜上に、第1パッドと、前記第1パッドよりも小さい平面積を有する第2パッドとを形成する工程、(d)スパッタリング法によって、前記第1パッド上および前記第2パッド上に、シード層を形成する工程、(e)電解メッキ法によって、前記第1パッド上の前記シード層上に、第1メッキ膜を形成する工程、(f)電解メッキ法によって、前記第2パッド上の前記シード層上に、第3メッキ膜を形成する工程、(g)電解メッキ法によって、前記第3メッキ膜上に、第4メッキ膜を形成する工程、を備える。前記第3メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜を構成する材料と異なり、前記第4メッキ膜を構成する材料は、前記第1メッキ膜および前記第3メッキ膜の各々を構成する材料と異なり、前記第1メッキ膜を構成する材料は、貴金属以外の金属からなり、前記第4メッキ膜を構成する材料は、貴金属からなる。
【発明の効果】
【0016】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上でき、製造コストの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図12】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
【
図13】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0020】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に
図1~
図4を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。半導体装置100は、半導体素子としてトレンチゲート構造のMOSFETを含む。
【0021】
図1は、半導体装置100である半導体チップの平面図である。
図1は、主に半導体基板SUBの上方に形成された配線パターンを示している。
図1に示されるように、半導体基板SUBの大部分はソース配線SWで覆われている。ソース配線SWの周囲には、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWが設けられている。
【0022】
後述するように、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWは、絶縁膜IF1によって覆われている。絶縁膜IF1には、開口部OP1および複数の開口部OP2が設けられている。開口部OP1内で露出しているソース配線SWの一部が、ソースパッドSPである。開口部OP2内で露出しているソース配線SWの一部が、ケルビンパッドKPである。開口部OP2内で露出しているゲート配線GWの一部が、ゲートパッドGPである。開口部OP2内で露出しているドレイン配線DWの一部が、ドレインパッドDPである。ソースパッドSPおよびケルビンパッドKPは、それぞれ同一のソース配線SWの一部であるが、互いに異なる領域に位置している。
【0023】
なお、ケルビンパッドKPは、MOSFETのソース領域NSからの信号を取得するために設けられた信号パッドである。ドレインパッドDPは、MOSFETのドレイン領域NDからの信号を取得するために設けられた信号パッドである。
【0024】
ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPの各々の平面積は、ソースパッドSPの平面積よりも小さい。ソースパッドSPの平面積は、例えばケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPの各々の平面積の100倍以上である。
【0025】
図2および
図3を用いて、ソースパッドSP、ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPの各々の下方の構造について説明する。複数のMOSFETは、主にソース配線SW(ソースパッドSP)の下方に形成され、層間絶縁膜IL下の半導体基板SUBに形成されている。
【0026】
まず、
図2を用いて、MOSFETの基本的な構造について説明する。
図2に示されるように、半導体装置100は、上面および下面を有するn型の半導体基板SUBを備える。半導体基板SUBを構成する材料は、シリコンである。半導体基板SUBは、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。ここでは、n型の半導体基板SUB自体がドリフト領域NVを構成している。なお、ドリフト領域NVは、n型のシリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型の半導体層であってもよい。本願では、そのようなn型のシリコン基板およびn型の半導体層からなる積層体も半導体基板SUBであるとして説明する。
【0027】
半導体基板SUBの上面において、半導体基板SUB中には、半導体基板SUBの上面から所定の深さに達するトレンチTRが形成されている。トレンチTRの内部には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEが形成されている。ゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜である。ゲート電極GEは、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜である。
【0028】
半導体基板SUBの上面において、半導体基板SUB中には、トレンチTRの深さよりも浅くなるように、p型のボディ領域PBが形成されている。ボディ領域PB内には、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。
【0029】
半導体基板SUBの下面において、半導体基板SUB中には、n型のドレイン領域NDが形成されている。ドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。半導体基板SUBの下面上には、ドレイン電極DEが形成されている。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。半導体基板SUB(ドレイン領域ND、ドリフト領域NV)には、ドレイン電極DEからドレイン電位が供給される。
【0030】
半導体基板SUBの上面上には、トレンチTRを覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜からなる。層間絶縁膜IL中には、ソース領域NSおよびボディ領域PBに達する孔CHが形成されている。孔CHの底部において、ボディ領域PBには、高濃度拡散領域PRが形成されている。高濃度拡散領域PRは、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する。
【0031】
層間絶縁膜IL上には、ソース配線SWが形成されている。ソース配線SWは、孔CHの内部に埋め込まれ、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRに電気的に接続され、これらの不純物領域にソース電位を供給する。
【0032】
図2に示されるように、ケルビンパッドKPは、層間絶縁膜IL上に形成され、ソースパッドSPと同一のソース配線SWの一部である。ケルビンパッドKPの下方の半導体基板SUBには、MOSFETが形成されておらず、ボディ領域PB、ドリフト領域NV、ドレイン領域DRおよびドレイン電極DEが形成されている。すなわち、ケルビンパッドKPとMOSFETとは互いに重なっていない。ケルビンパッドKPの直下には、孔CHが形成されておらず、ケルビンパッドKPは、直接的には半導体基板SUBに接続されていない。
【0033】
図3に示されるように、ゲート配線GW(ゲートパッドGP)は、層間絶縁膜IL上に形成されている。ゲート配線GWの下方の半導体基板SUBには、MOSFETが形成されていないが、トレンチTR、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEの各々の一部が形成されている。すなわち、ゲート配線GWとMOSFETとは互いに重なっていない。層間絶縁膜ILには、ゲート電極GE上に位置するように、孔CHが形成されている。ゲート配線GWは、孔CHの内部に埋め込まれ、ゲート電極GEに電気的に接続され、ゲート電極GEにゲート電位を供給する。
【0034】
図3に示されるように、ドレイン配線DW(ドレインパッドDP)は、層間絶縁膜IL上に形成されている。ドレインパッドDPの下方の半導体基板SUBには、MOSFETが形成されておらず、ボディ領域PBのようなp型の不純物領域も形成されていない。すなわち、ドレインパッドDPは、MOSFETやボディ領域PBと重なっていない。層間絶縁膜ILには、ドリフト領域NV上に位置するように、孔CHが形成されている。ドレイン配線DWは、孔CHの内部に埋め込まれ、半導体基板SUBに電気的に接続されている。従って、ドレイン配線DWは、半導体基板SUB(ドリフト領域NV、ドレイン領域ND)を介してドレイン電極DEと導通している。
【0035】
後述のように、ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPは、それぞれボンディングワイヤBWによって、他の半導体チップまたは配線基板などの外部電子機器に電気的に接続される。ケルビンパッドKPおよびドレインパッドDPを介して、ソース領域NSおよびドレイン領域NDから外部電子機器へ所定の信号を伝達できる。
【0036】
ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWは、それぞれ同じ製造工程で形成され、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜であり、上記導電性膜は、例えばアルミニウム膜である。ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWの各々の厚さは、例えば2μm以上且つ6μm以下である。
【0037】
図4は、ソースパッドSP、ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPと、外部接続用部材であるクリップCLおよびボンディングワイヤBWとが電気的に接続されている様子を示す断面図である。これらの接続には、OPM電極として形成されているシード層SD1、メッキ層PL1およびメッキ層PL2が適用されている。なお、ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPに形成されるOPM電極の構造は、それぞれ同じであるので、以降では、ケルビンパッドKPを主な代表例として説明する。
【0038】
図4に示されるように、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWを覆うように、層間絶縁膜IL上には、絶縁膜IF1が形成されている。絶縁膜IF1は、例えば、酸窒化シリコン膜または窒化シリコン膜である。なお、絶縁膜IF1は、酸化シリコン膜と、上記酸化シリコン膜上に形成された酸窒化シリコン膜または窒化シリコン膜との積層膜であってもよい。
【0039】
絶縁膜IF1には、開口部OP1および複数の開口部OP2が形成されている。
図1で説明したように、各開口部内で露出している各配線の一部が、それぞれ各パッドを構成する。
【0040】
ソースパッドSP上には、シード層SD1が形成されている。シード層SD1は、例えばクロム(Cr)と銅(Cu)との積層膜である。シード層SD1の厚さは、例えば1μm以上且つ2μm以下である。
【0041】
シード層SD1上には、メッキ層PL1が形成されている。メッキ層PL1の最表面の材料は、貴金属以外の金属からなる。実施の形態1におけるメッキ層PL1は、メッキ膜PF1を含む。ここでは、メッキ膜PF1がメッキ層PL1の最表面を構成する。メッキ膜PF1を構成する材料は、例えば銅(Cu)である。また、メッキ膜PF1の厚さは、例えば10μm以上且つ20μm以下である。
【0042】
メッキ膜PF1上には、メッキ膜PF1の外周を覆うように、絶縁膜IF2が形成されている。絶縁膜IF2は、例えばポリイミド膜のような樹脂膜である。絶縁膜IF2から露出しているメッキ膜PF1上に、外部接続用部材が形成される。
【0043】
ソースパッドSPおよびメッキ膜PF1の各々の平面積は、他のパッドおよびメッキ膜PF4と比較して十分に大きい。従って、メッキ層PF1上には、半田層SLが形成され、半田層SL上には、クリップCLが形成されている。クリップCLは、金属板であり、例えば銅板である。半田層SLの厚さは、例えば100μm以上且つ200μm以下である。ソースパッドSPは、半田層SLおよびクリップCLを介して、他の半導体チップまたは配線基板などの外部電子機器に電気的に接続される。
【0044】
ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上には、それぞれシード層SD1が形成されている。シード層SD1上には、メッキ層PL2が形成されている。メッキ層PL2の最表面の材料は、貴金属からなる。実施の形態1におけるメッキ層PL2は、メッキ膜PF2、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4を含む。ここでは、メッキ膜PF4がメッキ層PL2の最表面を構成する。
【0045】
メッキ膜PF2は、メッキ膜PF1と同じ製造工程で形成される。従って、メッキ膜PF2を構成する材料は、メッキ膜PF1を構成する材料と同じであり、例えば銅(Cu)である。また、メッキ膜PF2の厚さは、例えば10μm以上且つ20μm以下である。メッキ膜PF3を構成する材料は、貴金属であり、例えばパラジウム(Pd)である。メッキ膜PF4を構成する材料は、貴金属であり、例えば金(Au)である。メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4の各々の厚さは、メッキ膜PF2の厚さよりも薄く、例えば1μm以上且つ3μm以下である。
【0046】
なお、本願で説明する「貴金属」とは、化合物が形成され難く、希少性のある元素を意味する。また、「貴金属」とは、単極電位が銀(Ag)以上に大きい元素である、と言い換えることもできる。具体的には、「貴金属」は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)またはオスミウム(Os)である。
【0047】
メッキ膜PF4上には、メッキ膜PF4の外周を覆うように、絶縁膜IF2が形成されている。絶縁膜IF2から露出しているメッキ膜PF4上に、外部接続用部材が形成される。
【0048】
ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPの各々の平面積は、ソースパッドSPと比較して小さい。また、各メッキ膜PF4の平面積は、メッキ膜PF1と比較して小さい。従って、メッキ膜PF4上には、半田層SLを介してクリップCLを接続させることが難しいので、ボンディングワイヤBWが形成されている。ボンディングワイヤBWを構成する材料は、例えば金(Au)または銅(Cu)である。ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPは、ボンディングワイヤBWを介して、他の半導体チップまたは配線基板などの外部電子機器に電気的に接続される。
【0049】
ボンディングワイヤBWとの密着性を向上させるため、および、メッキ層PL2の表面の酸化を防止するために、メッキ層PL2の最表面には、メッキ膜PF4が適用される。ボンディングワイヤBWの接着時における応力を緩和するために、メッキ膜PF2の厚さは、十分に大きくされている。また、メッキ膜PF2を構成する銅が、メッキ膜PF4の表面まで拡散する可能性がある。その銅の拡散を防止するために、メッキ膜PF3が設けられている。
【0050】
なお、ソースパッドSP上のメッキ膜PF1も銅からなるので、メッキ膜PF1の表面(メッキ層PL1の表面)には、自然酸化物が形成される場合がある。しかし、半田層SLの形成時には、メッキ膜PF1の表面に対してフラックス処理が行われるので、その際に起こる還元反応によって、上記自然酸化物が除去される。従って、メッキ膜PF1と半田層SLとの接続が良好に行われる。
【0051】
このように、実施の形態1では、大面積のソースパッドSP上に、貴金属からなるメッキ膜を形成していない。従って、製造コストの増加を抑制することができる。
【0052】
また、後述の「半導体装置の製造方法」で説明するが、実施の形態1では、メッキ膜PF1~PF4は、電解メッキ法によって形成されている。上述の課題で説明したように、無電解メッキ法を用いた場合には、特にケルビンパッドKPおよびドレインパッドDPにおいて、金膜の未着が発生し易いという問題があった。それ故、ボンディングワイヤBWとの接続時に、接着不良などの不具合が発生し易いので、歩留まりが低下する問題があった。実施の形態1のメッキ膜PF1~PF4では、それら問題を解消できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができ、製造コストの増加を抑制することができる。
【0053】
<半導体装置の製造方法>
以下に
図5~
図11を用いて、実施の形態1における半導体装置100の製造方法に含まれる各製造工程について説明する。本願の主な特徴は、各パッドと、各パッドの上方の構造体とにあるので、
図5~
図11では、それらの構造体の製造工程について説明している。
図5の製造工程について説明する前に、
図2および
図3を参照して、MOSFETの製造工程と、各パッドの下方の構造体との製造工程について簡単に説明する。
【0054】
まず、上面および下面を有するn型の半導体基板SUBを用意する。次に、半導体基板SUBの上面において、フォトリソグラフィ技術およびエッチング処理によって、半導体基板SUB中にトレンチTRを形成する。次に、トレンチTRの内部に、例えば熱酸化法またはCVD法によって、ゲート絶縁膜GIを形成する。
【0055】
次に、トレンチTRの内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上に、例えばCVD法によって、例えばn型の多結晶シリコン膜を形成する。次に、異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTRの外部に形成されている上記多結晶シリコン膜を除去する。このようにして、トレンチTRの内部を埋め込むように、ゲート電極GEが形成される。
【0056】
次に、半導体基板SUBの上面において、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えばホウ素(B)を導入することで、半導体基板SUB中に、p型のボディ領域PBを選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えば砒素(As)を導入することで、ボディ領域PB内に、n型のソース領域NSを選択的に形成する。
【0057】
次に、トレンチTRを覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面上に、層間絶縁膜ILを形成する。次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、層間絶縁膜IL中に、複数の孔CHを形成する。ソース配線SWが形成される領域では、複数の孔CHは、ソース領域NSおよびボディ領域PBに達するように形成される。次に、イオン注入法によって、例えばホウ素(B)を導入することで、孔CH1の底部におけるボディ領域PBに、p型の高濃度拡散領域PRを形成する。
【0058】
また、ゲート配線GWが形成される領域では、複数の孔CHは、ゲート電極GEに達するように形成される。また、ドレイン配線DWが形成される領域では、複数の孔CHは、半導体基板SUB(ドリフト領域NV)に達するように形成される。
【0059】
次に、層間絶縁膜IL上に、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWを形成する。まず、層間絶縁膜IL上に、スパッタリング法またはCVD法によって、例えば窒化チタン膜からなるバリアメタル膜と、例えばアルミニウム膜からなる導電性膜との積層膜を形成する。次に、上記積層膜をパターニングすることで、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWを形成する。
【0060】
ソース配線SWは、孔CHの内部に埋め込まれ、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRに電気的に接続される。ゲート配線GWは、孔CHの内部に埋め込まれ、ゲート電極GEに電気的に接続される。ドレイン配線DWは、孔CHの内部に埋め込まれ、ドリフト領域NVと、この後に形成されるドレイン領域NDとに電気的に接続される。次に、半導体基板SUBの下面において、イオン注入法によって、例えば砒素(As)などを導入することで、半導体基板SUB中に、n型のドレイン領域NDを形成する。次に、半導体基板SUBの下面下に、スパッタリング法によって、ドレイン電極DEを形成する。
【0061】
【0062】
図5に示されるように、まず、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWを覆うように、層間絶縁膜IL上に、例えばCVD法によって絶縁膜IF1を形成する。次に、ソース配線SW、ゲート配線GWおよびドレイン配線DWの各々の一部を露出させるように、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、絶縁膜IF1に、開口部OP1および複数の開口部OP2を形成する。
図1で説明したように、各開口部内で露出している各配線の一部が、それぞれ各パッドを構成する。
【0063】
次に、スパッタリング法によって、ソースパッドSP上、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上、ドレインパッドDP上および絶縁膜IF1上に、シード層SD1を形成する。シード層SD1は、例えばクロム(Cr)と銅(Cu)との積層膜である。
【0064】
図6に示されるように、シード層SD1上に、ソースパッドSP、ケルビンパッドKP、ゲートパッドGPおよびドレインパッドDPの上方を開口するパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。
【0065】
図7に示されるように、電解メッキ法によって、ソースパッドSP上のシード層SD1上にメッキ膜PF1を形成すると共に、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上の各シード層SD1上に、それぞれメッキ膜PF2を形成する。メッキ膜PF1およびメッキ膜PF2の各々を構成する材料は、例えば銅(Cu)である。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0066】
図8に示されるように、メッキ膜PF1を覆い、且つ、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上の各メッキ膜PF2を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。
【0067】
図9に示されるように、電解メッキ法によって、各メッキ膜PF2上に、メッキ膜PF3を形成する。続いて、電解メッキ法によって、各メッキ膜PF3上に、メッキ膜PF4を形成する。メッキ膜PF3を構成する材料は、貴金属であり、例えばパラジウム(Pd)である。メッキ膜PF4を構成する材料は、貴金属であり、例えば金(Au)である。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP2を除去する。以上により、ソースパッドSP上に、メッキ膜PF1を含むメッキ層PL1が形成され、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上に、メッキ膜PF2、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4を含むメッキ層PL2が形成される。
【0068】
図10に示されるように、ウェットエッチング処理によって、メッキ膜PF1~PF4から露出しているシード層SD1を除去する。
【0069】
図11に示されるように、まず、メッキ膜PF1およびメッキ膜PF4を覆うように、塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる絶縁膜IF2を形成する。次に、絶縁膜IF2がメッキ膜PF1およびメッキ膜PF4の各々の外周に残されるように、絶縁膜IF2の一部を開口する。
【0070】
その後、以下の製造工程を経ることで、
図4に示される構造体が得られる。
【0071】
まず、絶縁膜IF2から露出しているメッキ膜PF1の表面に対して、フラックス処理を実施する。メッキ膜PF1の表面には、メッキ膜PF4のような酸化を防止するための膜が形成されていないので、メッキ膜PF1の表面に自然酸化物が形成される場合がある。上記フラックス処理の還元反応によって、上記自然酸化物が除去される。また、上記フラックス処理によって、半田のぬれ性を向上させる。次に、メッキ膜PF1上に半田ペーストを印刷した後、リフロー処理を行うことで、メッキ膜PF1上に半田層SLを形成する。次に、半田層SL上に、クリップCLを接続させる。
【0072】
次に、メッキ膜PF4上に、ボンディングワイヤBWを接続させる。ボンディングワイヤBWは、例えば金(Au)または銅(Cu)である。ボンディングワイヤBWおよびクリップCLのような外部接続用部材によって、半導体装置100は、他の半導体チップまたは配線基板などの外部電子機器に電気的に接続される。なお、ボンディングワイヤBWの製造工程と、半田層SLおよびクリップCLの製造工程とは、何れが先であってもよい。
【0073】
(実施の形態2)
以下に
図12を用いて、実施の形態2における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0074】
実施の形態2では、シード層SL2およびメッキ層PL2の構成が、実施の形態1と異なる。
【0075】
シード層SL2を構成する材料は、例えばパラジウム(Pd)である。シード層SD2の厚さは、例えば1μm以上且つ2μm以下である。ソースパッドSP上のシード層SD2上には、実施の形態1と同様のメッキ層PL1(メッキ膜PF1)が形成されている。
【0076】
ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上のシード層SD1上には、メッキ層PL2が形成されている。メッキ層PL2の最表面の材料は、貴金属からなる。実施の形態2におけるメッキ層PL2は、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4を含む。ここでは、メッキ膜PF4がメッキ層PL2の最表面を構成する。
【0077】
実施の形態2でも、メッキ膜PF3を構成する材料は、貴金属であり、例えばパラジウム(Pd)である。また、メッキ膜PF4を構成する材料は、貴金属であり、例えば金(Au)である。
【0078】
実施の形態2でも、大面積のソースパッドSP上に、貴金属からなるメッキ膜を形成していないので、製造コストの増加を抑制することができる。また、実施の形態2でも、メッキ膜PF2、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4は、電解メッキ法によって形成されている。従って、特にケルビンパッドKPおよびドレインパッドDPにおいて、金膜の未着が発生し易いという問題を抑制でき、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0079】
また、実施の形態2では、実施の形態1と異なり、メッキ層PL2に、銅(Cu)からなるメッキ膜PF2が含まれていない。電解メッキ法によってメッキ膜PF3を形成する際には、パラジウムのメッキ液(Pdメッキ液)が使用されるが、下地に銅からなるメッキ膜PF2が露出していると、Pdメッキ液が銅による汚染を受ける場合がある。そうすると、次にPdメッキ液を使用するまでに、Pdメッキ液を清浄化する必要があり、製造の遅延の要因となる。従って、実施の形態2では、シード層SD2上に、直接、パラジウムからなるメッキ膜PF3を形成している。
【0080】
一方で、実施の形態1では、メッキ膜PF2は、ボンディングワイヤBWの接着時における応力を緩和する役割を担っていた。従って、応力の緩和という観点においては、実施の形態1の方が、実施の形態2よりも優れている。しかし、本願発明者らの検討によれば、金からなるメッキ膜PF4の厚さが十分に大きければ、ボンディングワイヤBWの衝撃をメッキ膜PF4で吸収することができる。そのようなメッキ膜PF4の厚さは、例えば3μm以上である。また、メッキ膜PF3の厚さも、例えば3μm以上である。
【0081】
<実施の形態2における半導体装置の製造方法>
以下に
図13~
図19を用いて、実施の形態2における半導体装置100の製造方法に含まれる各製造工程について説明する。実施の形態2の製造工程は、
図5で説明した絶縁膜IF1、開口部OP1および開口部OP2を製造する工程までは、実施の形態1の製造工程と同じである。
【0082】
図13に示されるように、スパッタリング法によって、ソースパッドSP上、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上、ドレインパッドDP上および絶縁膜IF1上に、シード層SD2を形成する。シード層SD2は、例えばパラジウム(Pd)である。
【0083】
図14に示されるように、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上の各シード層SD2を覆い、且つ、ソースパッドSP上のシード層SD2を開口するパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。
【0084】
図15に示されるように、電解メッキ法によって、ソースパッドSP上のシード層SD2上に、メッキ膜PF1を形成する。メッキ膜PF1を構成する材料は、例えば銅(Cu)である。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP3を除去する。
【0085】
図16に示されるように、メッキ膜PF1を覆い、且つ、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上の各シード層SD2を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。
【0086】
図17に示されるように、電解メッキ法によって、各シード層SD2上に、メッキ膜PF3を形成する。続いて、電解メッキ法によって、各メッキ膜PF3上に、メッキ膜PF4を形成する。メッキ膜PF3を構成する材料は、貴金属であり、例えばパラジウム(Pd)である。メッキ膜PF4を構成する材料は、貴金属であり、例えば金(Au)である。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP2を除去する。以上により、ソースパッドSP上に、メッキ膜PF1を含むメッキ層PL1が形成され、ケルビンパッドKP上、ゲートパッドGP上およびドレインパッドDP上に、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4を含むメッキ層PL2が形成される。
【0087】
図18に示されるように、ウェットエッチング処理によって、メッキ膜PF1、メッキ膜PF3およびメッキ膜PF4から露出しているシード層SD2を除去する。
【0088】
図19に示されるように、まず、メッキ膜PF1およびメッキ膜PF4を覆うように、塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる絶縁膜IF2を形成する。次に、絶縁膜IF2がメッキ膜PF1およびメッキ膜PF4の各々の外周に残されるように、絶縁膜IF2の一部を開口する。
【0089】
その後、実施の形態1と同様の手法によって、半田層SL、クリップCLおよびボンディングワイヤBWを形成することで、
図12に示される構造体が得られる。
【0090】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 半導体装置
BW ボンディングワイヤ
CH 孔
CL クリップ
DE ドレイン電極
DP ドレインパッド
DW ドレイン配線
GE ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
GP ゲートパッド
GW ゲート配線
IF1、IF2 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
KP ケルビンパッド
ND ドレイン領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
PB ボディ領域
PF1~PF4 メッキ膜
PL1、PL2 メッキ層
PR 高濃度拡散領域
RP1、RP2 レジストパターン
SD1、SD2 シード層
SL 半田層
SP ソースパッド
SUB 半導体基板
SW ソース配線
TR トレンチ