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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071194
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】平面状材料の見積もりシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20240517BHJP
【FI】
G06Q30/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182020
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】510280970
【氏名又は名称】ワークアップ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 周一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
(57)【要約】
【課題】平面状材料の価格を発注者の操作によって算出し、見積書として出力するためのシステムの提供を目的とする。
【解決手段】見積書情報生成手段、見積書データベース、見積書情報検索手段、および見積書表示手段を有する見積もりシステムであって、見積書情報生成手段が、見積もり条件の適否を判定する機能、見積書情報を生成する機能、および見積書情報に見積書番号を付与する機能を備え、見積もり条件が2種の寸法を含み、見積書情報が価格を含み、見積書データベースが、見積書情報と見積書番号とを対応付けて格納する機能を備え、見積書情報検索手段が、見積書情報を見積書データベースで検索して取得する機能を備え、見積書表示手段が、価格を表示する機能、価格を非表示とする機能、見積もり条件または見積書番号の入力に応じて、見積書情報を表示する機能を備える、見積もりシステムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見積書情報生成手段、
見積書データベース、
見積書情報検索手段、および
見積書表示手段を有する見積もりシステムであって、
前記見積書情報生成手段が、
入力された見積もり条件が適正か否かを判定する機能、
前記見積もり条件が適正な場合、前記見積もり条件に応じて所定の計算式に基づく見積書情報を生成する機能、および
前記見積書情報に見積書番号を付与する機能を備え、
前記見積もり条件が2種の寸法を含み、
前記見積書情報が価格を含み、
前記見積書データベースが、前記見積書情報と前記見積書番号とを対応付けて格納する機能を備え、
前記見積書情報検索手段が、入力された見積書番号に対応する見積書情報を、前記見積書データベースで検索して取得する機能を備え、
前記見積書表示手段が、
適正な見積もり条件が入力されると、前記見積書情報生成手段によって生成した価格を表示する機能、
適正な見積もり条件が入力されていない場合、価格を非表示とする機能、
見積もり条件と見積書発行請求とが入力されると、前記見積書情報生成手段によって生成した見積書情報を表示する機能、および
見積書番号と見積書発行請求とが入力されると、前記見積書情報検索手段によって取得された見積書情報を表示する機能
を備える、
見積もりシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状材料の価格を発注者の操作によって算出し、見積書として出力するための見積もりシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
厚紙に代表される平面状材料は、多くの小売店では、A4、B5等の規格に則った寸法で販売されている。しかしながら、規格とは異なる寸法で使用したい場面もしばしばある。このような場合、必要な寸法よりも大きいものを購入し、手作業で裁断する必要がある。裁断には時間や労力を要し、きれいな仕上がりを得るには相応の技能が必要である。
【0003】
裁断業者に発注する場合、納品物を規定し、費用を含む条件が見合うか、見積もりを取って確認することになる。昨今は、働き方の価値観の多様化やテレワークの推進などにより、商取引に関わる関係者が一堂に会する機会は少なくなっている。そのため、情報の発信と受信とに時間差があることが多く、迅速な意思決定や円滑な取引の妨げとなっている。特に、同じ企業の作業担当者と管理者であっても、対面する機会は減少している。
【0004】
企業では、担当者が取引の条件を検討した後、取引先とすり合わせて見積もりを作成し、見積もりに対する管理者の承認を得て、取引先に正式に発注するような、煩雑な手続きが行われることもある。このような場合、見積もり作成にも情報共有にも時間と労力を要する。そのため、各段階における作業を迅速化すること、および情報の共有を容易にすることが求められている。
【0005】
特許文献1には、入力された見積もり条件に基づく見積もり金額を算出し、注文数量毎の見積もり金額を並べて表示する見積もりプログラムが開示されている。しかしながら、購入物の寸法条件を変動させながら、即時に見積もり価格を取得する構成は開示されておらず、なお改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-121977公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、平面状材料の価格を発注者の操作によって算出し、見積書として出力するための見積もりシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、
見積書情報生成手段、
見積書データベース、
見積書情報検索手段、および
見積書表示手段を有する見積もりシステムであって、
見積書情報生成手段が、
入力された見積もり条件が適正か否かを判定する機能、
見積もり条件が適正な場合、見積もり条件に応じて所定の計算式に基づく見積書情報を生成する機能、および
見積書情報に見積書番号を付与する機能を備え、
見積もり条件が2種の寸法を含み、
見積書情報が価格を含み、
見積書データベースが、見積書情報と見積書番号とを対応付けて格納する機能を備え、
見積書情報検索手段が、入力された見積書番号に対応する見積書情報を、見積書データベースで検索して取得する機能を備え、
見積書表示手段が、
適正な見積もり条件が入力されると、見積書情報生成手段によって生成した価格を表示する機能、
適正な見積もり条件が入力されていない場合、価格を非表示とする機能、
見積もり条件と見積書発行請求とが入力されると、見積書情報生成手段によって生成した見積書情報を表示する機能、および
見積書番号と見積書発行請求とが入力されると、見積書情報検索手段によって取得された見積書情報を表示する機能
を備える、
見積もりシステムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平面状材料の価格を即時に算出することができ、見積書の共有も簡便に行うことができる。したがって、取引に関する時間および作業負担を低減し、取引を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の見積もりシステムを示す概略図である。
図2】本発明に用いる情報処理装置の例示的なハード構成を示すブロック図である。
図3】本発明の見積もりシステムにおける見積もり条件入力画面の一例である。
図4】本発明の見積もりシステムにおける価格計算の具体例である。
図5】本発明の見積もりシステムにおける見積書の一例である。
図6】本発明の見積もりシステムにおける、見積書情報の生成、格納および表示に関する情報処理プロセスを示す図である。
図7】本発明の見積もりシステムにおける、見積書の表示手順を表すフローチャートである。
図8】本発明の見積もりシステムにおける、見積書番号の入力による、見積書情報の復元に関する情報処理プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は特許請求の範囲によって規定され、本明細書に記載する実施形態は、本発明を不当に限定することを意図するものではない。
【0012】
<システム構成>
図1は、本発明の見積もりシステムを示す概略図である。見積書データベース101には、平面状材料の原価、寸法の上限値および下限値、利益率等の価格計算に必要な情報、見積もりに使用する計算式、これまでに生成された見積書情報などを格納することができる。
【0013】
見積書データベース101は、サーバ102と接続され、情報の送受信が可能である。接続の方法は、インターネットまたはイントラネットのような有線または無線通信であってもよく、あるいは、サーバ102がデータベース機能を備え、見積書データベース101の全体または一部を内蔵してもよい。
【0014】
サーバ102は、見積もりに関する情報の取得、見積もり条件の適否の判定、見積書データベース101に格納する情報の生成、生成した情報の見積書データベース101への格納および格納された情報の更新、見積書データベース101からの情報の取得、見積もりに関する情報の出力、ならびにユーザ端末103に表示する画面の生成等を行う。これらの処理は、コンピュータプログラムを通じて行われる。言い換えれば、サーバ102は、コンピュータプログラムによって構築された、見積書情報生成手段104、見積書情報検索手段105、および見積書表示手段106を有する。
【0015】
ユーザ端末103は、発注者となりうる個人または法人が保有する通信機器、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット等を指す。サーバ102とユーザ端末103とは、インターネットを介して、必要に応じて情報の送受信が可能となる。
【0016】
見積書情報生成手段104は、ユーザ端末103によって入力された見積もり条件を取得し、これが適正か否かを判定し、適正であれば所定の計算式に適用して、見積書情報を生成する手段である。見積もり条件には、例えば、平面状材料の種類および2種の寸法、発注数量、ならびに割引条件の有無が含まれる。見積書情報には価格が含まれる。2種の寸法とは、縦方向の寸法と横方向の寸法とが対応しうる。
【0017】
見積書情報生成手段104はさらに、個別の見積もり条件に対して見積書番号を付与する。見積書番号とは、見積もり条件を一意的に指定する数字、文字、記号等の配列である。同一の見積もり条件が複数の見積書番号に対応することはありうるが、1つの見積書番号は1つの見積もりのみに対応する。
【0018】
見積書情報検索手段105は、ユーザ端末103によって入力された見積書番号を取得し、これを使用して見積書データベース101を検索し、対応する見積書情報を取得する手段である。
【0019】
見積書表示手段106は、見積書情報生成手段104が生成した見積書情報、または見積書情報検索手段105が取得した見積書情報を、所定の形式に変換して、ユーザ端末103に出力する手段である。なお、出力される情報は、見積書情報の一部であってもよい。所定の形式とは、ブラウザソフトウェアを通じて表示されるweb画面、およびPDF(Portable Document Format)等である。これらにおいて、発注者が入力した見積もり条件、算出された価格等の情報が、人間が認識しやすいように配置された状態で表示される。
【0020】
見積書表示手段106は、入力された見積もり条件が適正であると見積書情報生成手段104によって判定された場合、見積書情報に含まれる価格を、web画面上に表示することができる。これによって、発注者は、見積もり条件に対応する価格を即時に認識することができ、見積もり条件を変動させながら詳細に検討することができる。その一方で、入力された見積もり条件が適正でないと判定された場合、見積書表示手段106は、価格を非表示とする。これによって、実施不可能な見積もり条件が入力された場合に、その条件で検討や発注が行われることを防止することができる。
【0021】
見積書表示手段106は、見積もり条件が入力された状態で見積書発行請求が入力されたとき、入力された見積もり条件に対応する見積書情報を所定の形式に変換して、ユーザ端末103に出力する。さらに、見積書表示手段106は、見積書番号が入力された状態で見積書発行請求が入力されたとき、入力された見積書番号に対応する見積書情報を所定の形式に変換して、ユーザ端末103に出力する。
【0022】
サーバ102またはユーザ端末103として用いられうる情報処理装置の例示的なハード構成を、図2に示す。情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)201、入力装置202、主記憶装置203、出力装置204、補助記憶装置205、クロック装置206、および通信装置209を備える。
【0023】
CPU201は中央処理装置とも呼ばれ、システム内の各装置に命令を送り、その動作を制御する制御装置207と、デジタルデータの演算処理を行う演算装置208とを備える。
【0024】
CPU201は、主記憶装置203または補助記憶装置205に記憶されているプログラムと共働して、本発明の各手段として機能する。さらに、CPU201は、主記憶装置203や補助記憶装置205に情報を格納する格納手段や、これらに格納されている情報を更新する更新手段として機能する。
【0025】
制御装置207は、クロック装置206が発するクロックのタイミングに従い、入力装置202から入力されたデータ、または主記憶装置203に予め与えられた手順(例えばプログラムやソフトウエア)を読み込む。入力されたデータおよび読み込んだ内容は、演算装置208の制御に基づいて、主記憶装置203、出力装置204、および補助記憶装置205等の内部の機器や外部の機器等に送信される。
【0026】
入力装置202は、各種データを入力するための装置であり、例えばキーボード、マウス、ポインティングディバイス、タッチパネル、マウスパッド、CCDカメラ、各種記憶媒体の読み取り装置等が挙げられる。
【0027】
主記憶装置203は、一般にメモリと呼ばれる装置であり、処理装置および内部記憶装置において、命令を実行するために使われるアドレス可能な記憶空間を指す。主記憶装置203は、主として半導体記憶素子により構成され、入力したプログラムやデータを格納、保持する。また、制御装置207の指示に従って、この格納保持されているデータを、例えばレジスタに読み出す。主記憶装置203を構成する半導体記憶素子としては、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)が挙げられる。
【0028】
出力装置204は、演算装置208の演算結果等を出力するための装置であり、例えばPC用ディスプレイ装置、スマートフォンやタブレットが備える表示画面、プリンタなどの印刷装置、音声出力装置等が該当する。
【0029】
補助記憶装置205は、主記憶装置203の記憶容量を補うための装置であり、例えば磁気ディスク装置、光ディスク装置、半導体ディスク装置等による、フロッピーディスク、ハードディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO等が該当する。補助記憶装置205は、各種データベースを構築するためのデータを格納するための記憶手段として機能する。
【0030】
通信装置209は、外部装置と通信を行うための装置であり、接続されるネットワークに応じて適宜データの送受信やデジタル-アナログ変換等を行う。ここで、上記各装置は、アドレスバスまたはデータバスにより相互に接続されている。
【0031】
<見積もり条件の入力>
見積もり条件の指定は、見積もり条件入力画面を通じて行われる。見積もり条件入力画面は、ユーザ端末103がインターネットを介してサーバ102にアクセスすることによって、ユーザ端末103に表示される。図3は、見積もり条件入力画面の一例である。
【0032】
この例では、見積もり条件として、平面状材料の種類、横方向の寸法、縦方向の寸法、発注する数量が採用されている。これらの条件を入力する方法としては、ドロップダウンリスト、直接入力、およびレンジスライダー等がある。
【0033】
ドロップダウンリストとは、所定の箇所をクリックまたはタップすると選択肢が表示され、その中から1つを選択する入力形式である。図3の例では平面状材料の種類の選択に使用されている。直接入力とは、キーボード等を使用して、数字や文字列を入力する入力形式である。図3の例では、各寸法および発注する数量に使用されている。レンジスライダーとは、所定の箇所でドラッグ等の操作を行うと、範囲内の特定の値が指定される入力形式である。図3の例では、各寸法および発注する数量に使用されている。1つの条件に複数の入力形式が与えられている場合、一方の入力形式を、すなわち図3の例では直接入力またはレンジスライダーの値を変化させると、他方の表示も変化することが好ましい。
【0034】
<見積もり条件の判定>
見積もり条件が入力されると、見積書情報生成手段104は、入力された見積もり条件が適正である否かを判定する。「適正でない」とは、例えば、入力された数値条件が上限値を超える場合、または下限値未満である場合である。さらに、数値でない値が入力された場合、整数でない数値が入力された場合、所定の数の倍数でない場合などに、適正でない見積もり条件として判定してもよい。
【0035】
適正な見積もり条件が入力された場合、後述するステップを介して、見積書表示手段106が、その見積もり条件に対応する価格を表示する。適正でない見積もり条件が入力された場合、後述するステップを介して、価格は非表示となる。さらに、入力された見積もり条件が適正でないことを表すメッセージを表示してもよい。なお、いずれの条件も入力されていない場合も、適正でない見積もり条件が入力された場合と同様に処理することができる。
【0036】
<価格の算出>
本発明の見積もりシステムでは、適正な見積もり条件が入力された場合、所定の計算式に基づいて価格が計算される。以下に、計算式の一例を示す。発注者によって指定された見積もり条件は、平面状材料の種類が「白ボール6号」の台紙、横方向の寸法が「210mm」、縦方向の寸法が「297mm」、発注する数量が「1000枚」であるものとする。その一方で、受注者が定める計算条件として、1枚当たりの断裁賃が「1円」、ロス補償率が「20%」、利益率が「22.4%」であるものとする。また、白ボール6号の断裁前の寸法は、横方向が「800mm」、縦方向が「1100mm」であり、原価は70円である。
【0037】
まず、断裁後枚数、すなわち、断裁前の台紙1枚から生成可能な納品物の枚数を計算する。断裁前後の台紙がいずれも長方形である場合、2種類の配置方法がある。一方は、断裁前の長手方向と断裁後の長手方向とが一致する配置であり、この配置をAとする。他方は、断裁前の長手方向と断裁後の長手方向とが一致しない配置であり、この配置をBとする。AとBとのうち、より多くの納品物を生成可能な配置が採用される。
【0038】
上記の例において、配置Aにおける断裁前台紙の長手方向は、1100÷297=3.7であるため、3枚の納品物が配置可能である。その垂直方向は、800÷210=3.8であるため、3枚の納品物が配置可能である。したがって、配置Aでは、3×3より9枚の納品物を得ることができる。同様に、配置Bにおける断裁前台紙の長手方向は、1100÷210=5.2であるため、5枚の納品物が配置可能である。その垂直方向は、800÷297=2.6であるため、2枚の納品物が配置可能である。したがって、配置Bでは、5×2より10枚の納品物を得ることができる。得られる納品物は、A<Bであるため、配置Bが採用される。
【0039】
次に、断裁後の台紙1枚当たりの原価を計算する。この値は、断裁前の台紙の原価を、断裁後に得られる納品物の枚数で除算することによって得られる。すなわち、計算式は、断裁前原価÷断裁後枚数である。上記の例では、70÷10=7であるため、断裁後台紙原価は7円である。
【0040】
次に、加工後原価を計算する。この値は、断裁後台紙原価に加工に要する断裁賃を加算することによって得られる。すなわち、計算式は、断裁後台紙原価+断裁賃である。上記の例では、7+1=8であるため、加工後原価は8円である。
【0041】
次に、管理原価を計算する。断裁を行う場合、20%程度のロスが発生すると想定される。これに伴う費用を補償するため、所定のロス補償率を考慮した費用を請求する。すなわち、計算式は、加工後原価×(1+ロス補償率)である。上記の例では、8×(1+20%)であるため、管理原価は9.6円である。
【0042】
次に、総原価を計算する。総原価とは、納品物全体に要する管理原価である。計算式は、管理原価×発注数量である。上記の例では、9.6×1000=9600であるため、総原価は9600円である。
【0043】
最後に、販売価格を計算する。販売価格とは、総原価に、受注者の利益を加えた金額である。計算式は、総原価×(1+利益率)である。上記の例では、9600×(1+22.4%)であるため、販売価格は11750円である。以上の計算を、図4にまとめる。
【0044】
<見積書情報>
見積書情報とは、発注者が指定した見積もり条件、それに基づく計算により得られた価格、および発注者情報を含む、情報のセットである。所望により、見積書情報が生成した日付等をさらに含んでもよい。本発明の見積もりシステムでは、生成した見積書情報は、見積書番号と対応付けて見積書データベース101に格納される。見積書番号とは、見積もり条件を一意的に指定する数字、文字、記号等の配列である。このような見積書番号は、例えば、見積書が生成した日付を表す数字に、その日に生成した見積書情報の個数を表す連番を後続させることによって生成することができる。所望により、このような配列に対して、順序の交換および文字の置換等を行って暗号化してもよい。
【0045】
<見積書の出力>
本発明の見積もりシステムでは、生成した見積書情報を、見積書の形態で出力することができる。見積書には、見積書番号、発注者名、見積もり条件、価格等が記載される。図5に、出力された見積書の一例を示す。
【0046】
<見積書情報生成、格納および表示の情報処理プロセス>
図6は、見積書情報の生成、見積書データベース101への格納およびユーザ端末103への表示に関する、情報処理プロセスである。なお、単にサーバ102と称する場合、サーバ102のうち、名称を示して記載した各手段を除いた部分を指す。ステップ601において、ユーザ端末103がサーバ102にアクセスし、見積もり条件入力画面の生成請求を行う。
【0047】
ステップ602において、サーバ102がユーザ端末103に見積もり条件入力画面を生成するための情報を送信し、ユーザ端末103に当該画面が表示される。見積もり条件入力画面の例は、図3に示した通りである。
【0048】
ステップ603において、発注者はユーザ端末103を通じて、見積もり条件入力画面上で見積もり条件を入力する。見積もり条件は、即時にサーバ102に送信される。見積もり条件の入力方法は上述の通りである。
【0049】
ステップ604において、サーバ102の見積書情報生成手段104が、見積もり条件が適正か否かを判定する。判定の詳細は上述の通りである。適正であると判定された場合、所定の計算式に基づいて、入力された見積もり条件に応じた見積書情報を生成する。所定の計算式および見積書情報は、上述の通りである。見積もり条件が適正でないと判定された場合は、見積書情報を生成せずにステップ605に移行する。
【0050】
ステップ604の判定において適正であると判定された場合、ステップ605において、サーバ102の見積書表示手段106が、ユーザ端末103に、見積書情報の一部である価格を送信する。これによって、ユーザ端末103に見積もり条件に対応する価格が表示される。
【0051】
ステップ604の判定において適正でないと判定された場合、ステップ605において、サーバ102の見積書表示手段106が、ユーザ端末103に、価格を非表示とする指示を送信する。これによって、ユーザ端末103に価格が表示されていた場合、価格が非表示化される。価格が表示されていなかった場合は、依然として非表示のままである。このとき、見積書表示手段106が、所定のメッセージを表示する指示をユーザ端末103に送信し、入力された見積もり条件が適正でないことを通知してもよい。なお、ステップ604の判定において適正でないと判定された場合、ステップ606以降を行うことはできない。
【0052】
ステップ606において、発注者が見積もり条件入力画面上で、見積書発行請求を行う。見積書発行請求は、図3の例では、「見積書を発行」と記載されたボタンのクリックまたはタップによって行うことができる。
【0053】
ステップ607において、サーバ102の見積書情報生成手段104が、見積書情報に見積書番号を付与する。見積書番号は上述の通りである。続いて、見積書情報生成手段104が、見積書情報と見積書番号とを見積書データベース101に送信し、見積書情報と見積書番号とが紐付けられた形態で見積書データベース101に格納される。
【0054】
ステップ608において、サーバ102の見積書表示手段106が、ユーザ端末103に見積書情報を送信する。これによって、ユーザ端末103に、所定の形態の見積書が表示される。見積書の例は図5に示した通りである。
【0055】
<見積書情報の復元>
本発明の見積もりシステムにおいて、適正な見積もり条件が入力された状態で見積書発行請求をすることで、見積書を表示することができるのは前述の通りである。さらに、見積書番号が入力された状態で見積書発行請求をすることで、以前に生成された見積書情報を復元することができる。これによって、発注者は、都度見積もり条件を入力する必要がなくなる。したがって、見積書を共有することが容易となる。図7に、見積書を表示する手順に関するフローチャートを示す。
【0056】
<見積書情報復元の情報処理プロセス>
図8は、見積書番号の入力によって見積書情報を復元するための情報処理プロセスである。なお、単にサーバ102と称する場合、サーバ102のうち、名称を示して記載した各手段を除いた部分を指す。ステップ801において、ユーザ端末103がサーバ102にアクセスし、見積もり条件入力画面の生成請求を行う。
【0057】
ステップ802において、サーバ102がユーザ端末103に見積もり条件入力画面を生成するための情報を送信し、ユーザ端末103に当該画面が表示される。見積もり条件入力画面の例は、図3に示した通りである。
【0058】
ステップ803において、発注者はユーザ端末103を通じて、見積もり条件入力画面上で見積書番号を入力する。発注者はさらに、当該画面上で見積書発行請求を行う。見積書発行請求は、図3の例では、「見積書番号読込」と記載されたボタンのクリックまたはタップによって行うことができる。これによって、見積書番号がサーバ102に送信される。
【0059】
ステップ804において、サーバ102の見積書情報検索手段105が、見積書データベース101を検索し、見積書番号に対応する見積書情報を取得する。なお、見積書番号に対応する見積書情報が取得できない場合、該当する見積書情報が存在しないことを表す情報を取得する。
【0060】
ステップ805において、サーバ102の見積書表示手段106が、ステップ804において取得した情報をユーザ端末103に送信する。これによって、ユーザ端末103に、所定の形態の見積書、または見積書番号に対応する見積書が存在しない旨が表示される。見積書の例は図5に示した通りである。
【0061】
<他の実施形態>
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出すことによっても、達成されることはいうまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実行されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
【0062】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
【0063】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図6~8に示すプロセスを実行するプログラムコードが格納されることになる。
【0064】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8