(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071201
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】光学式エンコーダ用反射板及び光学式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01D5/347 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182033
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 高士
(72)【発明者】
【氏名】外川 純也
(72)【発明者】
【氏名】石曽根 慶
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA37
2F103CA01
2F103CA03
2F103DA01
2F103DA13
2F103EA02
2F103EA12
2F103EA19
2F103EA20
2F103EB01
2F103EB12
2F103EB32
2F103GA01
2F103GA02
2F103GA04
2F103GA15
2F103GA16
(57)【要約】
【課題】製造が容易で且つ正確な信号が得られる光学式エンコーダ用反射体及び光学式エンコーダを提供すること。
【解決手段】光学式エンコーダの発光素子A1,A2から発射された光を反射して受光素子B1,B2に受光させる反射板160である。反射板160は光学式エンコーダの回転体140に取り付けられて反射面を構成する。透明なフィルム板161の一方の表面に、発光素子A1,A2から受けた光を高い反射率で反射する高反射部163を形成し、他方の表面に、低い反射率で反射する低反射部165を形成する。低反射部165には高反射部163をフィルム板161を介して露出させる開口部AA1を設ける。フィルム板161の高反射部163を形成した側の面を、回転体140に取り付ける。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式エンコーダが具備する回転体に取り付けられ、
前記光学式エンコーダが具備する発光素子から発射された光を反射して前記光学式エンコーダが具備する受光素子に受光させる光学式エンコーダ用反射板。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式エンコーダ用反射板であって、
前記光学式エンコーダ用反射板は、板部材の面上に、前記発光素子から受けた光を高い反射率で反射する高反射部と、低い反射率で反射する低反射部とを、前記回転体の回転方向に向かって形成して構成されていることを特徴とする光学式エンコーダ用反射板。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式エンコーダ用反射板であって、
前記板部材は透明板であり、当該透明板の一方の面に前記高反射部を形成し、他方の面に前記低反射部を形成したことを特徴とする光学式エンコーダ用反射板。
【請求項4】
請求項3に記載の光学式エンコーダ用反射板であって、
前記透明板の前記高反射部を形成した側の面を、前記回転体に取り付ける回転体取付面としたことを特徴とする光学式エンコーダ用反射板。
【請求項5】
回転体と、
前記回転体に取り付けられる請求項1乃至4の内の何れかに記載の光学式エンコーダ用反射板と、
前記光学式エンコーダ用反射板に光を照射する発光素子と、
前記光学式エンコーダ用反射板で反射された光を受光する受光素子と、
を具備することを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式エンコーダであって、
前記回転体を回転駆動する回転操作体をさらに具備し、
前記回転操作体の回転軸と、前記回転体の回転軸を、非平行に配置したことを特徴とする光学式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて電気的出力信号を変化させる光学式エンコーダに用いる反射板及び光学式エンコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学式エンコーダは、例えば特許文献1の
図1に示すように、回転体(11)に設けた円板(13)の下面に形成されたスケール部(14)の下面に、反射部(15a)と非反射部(15b)とを交互に円周状に配列するように形成し、このスケール部(14)に照射した光の反射の状態を光センサ(16)で検出し、これによって、回転体(11)の回転状態を検出するように構成されていた。
【0003】
そして、上記回転体(11)への反射部(15a)と非反射部(15b)の形成は、円板(13)の下面にアルミなどの金属材料を蒸着によってスケール部(14)を形成し、このスケール部(14)の下面をフォトエッチングすることによって行われていた。
【0004】
また従来、反射部と非反射部の形成方法は、上記方法に限られず、反射面となる回転体の下面に金属板を貼り付け、またはメッキによって金属層を形成し、その後これらをエッチングする方法などもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように、立体形状の回転体の反射面に直接金属層や金属板を設けてこれをエッチングなどすることで反射部と非反射部を形成する作業は煩雑であり、また製造設備も大掛かりになり、製造コストの増大を招いていた。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、製造が容易で低コスト化が図れ、且つ正確な信号が得られる光学式エンコーダ用反射板及び光学式エンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学式エンコーダが具備する回転体に取り付けられ、前記光学式エンコーダが具備する発光素子から発射された光を反射して前記光学式エンコーダが具備する受光素子に受光させる光学式エンコーダ用反射板にある。
本発明によれば、板状の光学式エンコーダ用反射板なので、容易且つ低コストに製造することができる。また板体に光の反射面を設けるので、精緻な反射面とすることができ、光学式エンコーダの出力信号を正確な出力信号とすることができる。そしてこの光学式エンコーダ用反射板を用いれば、これを立体形状の回転体に取り付けるだけで、容易に光学式エンコーダ用の反射面を有する回転体を構成することができる。
【0009】
また本発明は、上記特徴に加え、前記光学式エンコーダ用反射板は、板部材の面上に、前記発光素子から受けた光を高い反射率で反射する高反射部と、低い反射率で反射する低反射部とを、前記回転体の回転方向に向かって形成して構成されていることを特徴としている。
板部材としては例えばフィルム板があるが、硬質板などでも良い。
本発明によれば、板部材の表面に高反射部と低反射部を形成するので、精緻な高反射部と低反射部を容易に形成することができ、光学式エンコーダの出力信号を正確な出力信号とすることができる。
【0010】
また本発明は、上記特徴に加え、前記板部材は透明板であり、当該透明板の一方の面に前記高反射部を形成し、他方の面に前記低反射部を形成したことを特徴としている。
本発明によれば、高反射部と低反射部の両者を、透明板を構成する滑らかな両表面それぞれに形成するので、より精緻な高反射部と低反射部を形成することができる。即ち、高反射部(又は低反射部)の表面上に低反射部(又は高反射部)を形成した場合は、高反射部(又は低反射部)の表面は透明板の表面に比べて粗い表面となる場合が多く、上側に形成する低反射部(又は高反射部)を精緻に形成することが困難になるが、本発明においてはこの問題が解消できる。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記透明板の前記高反射部を形成した側の面を、前記回転体に取り付ける回転体取付面としたことを特徴としている。
本発明によれば、発光素子から発射された光を受ける高反射部の面が、透明板を透過したその反対側の面になる。透明板の表面は容易に滑らに形成できるので、当該表面に密着している高反射部の面も非常に滑らかに形成でき、このため透明板を透過してから高反射部で反射される反射光の乱反射は少なく、良好な反射光(鏡のような反射光)を得ることができる。
一方低反射部は、発光素子から発射された光を受ける面が透明板を透過しない側の面になるので反射光は乱反射し易いが、低反射部での反射光は少ない方が良いので、こちらも良好な反射光になる。
【0012】
また本発明は、回転体と、前記回転体に取り付けられる上記光学式エンコーダ用反射板と、前記光学式エンコーダ用反射板に光を照射する発光素子と、前記光学式エンコーダ用反射板で反射された光を受光する受光素子と、を具備することを特徴とする光学式エンコーダにある。
本発明によれば、上記光学式エンコーダ用反射板を回転体に取り付けることで、発光素子から発射される光の反射面を形成できるので、光学式エンコーダの製造を容易に行うことができる。また光学式エンコーダ用反射板を用いているので、高反射部や低反射部を精緻に形成することができ、容易に正確な信号を得ることができる。
【0013】
また本発明は、上記特徴に加え、前記回転体を回転駆動する回転操作体をさらに具備し、前記回転操作体の回転軸と、前記回転体の回転軸を、非平行に配置したことを特徴としている。
本発明によれば、回転体を直接回転操作する構造の光学式エンコーダではなく、回転体とは別の回転操作体を回転操作することで出力信号を変化させる光学式エンコーダに本発明を適用することができる。
また本発明によれば、回転操作体の設置位置に対して光学式エンコーダ用反射板や発光素子や受光素子の設置位置を任意に容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる光学式エンコーダ用反射板を用いれば、容易に光学式エンコーダ用の反射面を有する回転体を構成することができ、且つこれを用いた光学式エンコーダから正確な出力信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】光学式エンコーダ1-1を下側から見た斜視図である。
【
図3】光学式エンコーダ1-1の分解斜視図である。
【
図4】光学式エンコーダ1-1の側断面図(
図1のA-A断面概略図)である。
【
図5】光学式エンコーダ用回転体140及びフォトIC180を設置した部分近傍の側断面拡大図である。
【
図6】回転操作体70を下側から見た斜視図である。
【
図7】回転体140と反射板160の斜視図である。
【
図8】反射板160を示す拡大図であり、
図8(a)は平面図、
図8(b)は側断面図(
図8(a)のB-B断面矢視図)、
図8(c)は裏面図である。
【
図9】光学式エンコーダ機構130の一部分解斜視図である。
【
図10】フォトIC180を取り付けた回路基板200と取付台220を、下ケース10に取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【
図11】フォトセンサ180A(又は180B)と、高反射部163及び低反射部165の関係を示す概略説明図である。
【
図12】光学式エンコーダ1-2の概略断面図である。
【
図13】回転体260と反射板280を下側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を用いて構成された光学式エンコーダ1-1の斜視図、
図2は光学式エンコーダ1-1を下側から見た斜視図、
図3は光学式エンコーダ1-1の分解斜視図、
図4は光学式エンコーダ1-1の側断面図(
図1のA-A断面概略図)、
図5は下記する光学式エンコーダ用回転体140及びフォトIC180を設置した部分近傍の側断面拡大図(
図4の左側部分の側断面拡大図)である。これらの図に示すように、光学式エンコーダ1-1は、各種部品を組み込んだ下ケース10内に、取付板30と上ケース50とを収納し、その上に回転操作体70を被せるように設置して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは下ケース10から回転操作体70を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとするが、これは、光学式エンコーダ1-1を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。
【0017】
図6は回転操作体70を下側から見た斜視図である。回転操作体70はこの実施形態では操作つまみである。同図及び
図1~
図5に示すように、回転操作体70は合成樹脂成型品であり、リング形状に形成され、中央に円形の貫通孔71を有し、またその下面にリング状の凹部73を構成するために、貫通孔71側の内周壁75と、外周壁77と、内周壁75と外周壁77とをそれらの上辺側でつなぐ上面壁79とを有している。
【0018】
内周壁75の凹部73側の面(外周面)には円周方向に向かう凹凸からなるクリック弾接部81が形成されている。
【0019】
上面壁79の凹部73側の面(下面)には、下方向に向かって円筒状に突出する取付基部83と、取付基部83の下辺から所定間隔毎に下方向に向けて突出する小突起状の複数本の取付部85とが設けられている。
【0020】
上面壁79の下面の前記取付部85の外周側には、等間隔にリング状に全周にわたって配列された多数本の回転体駆動用歯87が設けられている。
【0021】
上ケース50は合成樹脂成型品であり、略円筒形状に形成され、その側壁51の下辺からは下方向に向けて複数本の小突起からなる取付部53が突出している。側壁51には、その下辺側を切り欠いた矩形凹状の一対のクリック機構挿入溝55,55が形成されている。クリック機構挿入溝55,55は、下記する下ケース10内に収納したクリック機構100,100を挿入できる形状寸法の溝である。側壁51には、その下辺側を切り欠いた半円形状の下記する光学式エンコーダ用回転体140を軸支する回転体軸支用凹部57が形成されている。回転体軸支用凹部57の両側の直線状の下辺は、下記する下ケース10の回転体軸支部27に当接する当接辺である。側壁51の上部の内周側には内側に向けて突出する薄板リング状の回転操作体係止部59が形成され、その中央に円形に貫通する回転操作体軸支孔61が形成されている。
【0022】
取付板30は合成樹脂成型品であり、薄板円板状に形成されている。取付板30の前記回転操作体70の各取付部85に対向する位置には、当該取付部85を挿通する小孔からなる被取付部31が形成されている。
【0023】
下ケース10は合成樹脂成型品であり、略円板状の底部11と、底部11の外周から上方向に向かって突出する略円筒状の側壁部13とを有している。底部11の中央には円形の貫通孔15が設けられている。底部11の上面の180°対向する位置には、一対の同一構造のクリック機構100,100が設置されている。底部11の前記上ケース50の各取付部53に対向する位置には、当該取付部53を挿通する小孔からなる被取付部17が形成されている。底部11の上面の所定位置には、光学式エンコーダ機構130が設置されている。光学式エンコーダ機構130を設置した底部11の部分には、下記する回路基板200の外部引出用ケーブル部203を、底部11を貫通して下方向に突出させるケーブル挿通孔19が形成されている。ケーブル挿通孔19は底部11の下面から突出する長円形筒状の突出部21内に形成されている。底部11上面のケーブル挿通孔19の両側位置には、上方向に突出する小突起状の取付台取付部23(下記する
図10に一方のみ示す)が一対設けられている。また側壁部13の光学式エンコーダ機構130が設置される部分には、略矩形状の凹部25が形成され、その直線状の下辺が回転体軸支部27となっている。
【0024】
クリック機構100は、下ケース10の底部11上面に固定されるケース101と、ケース101内に収納されるコイルバネからなる弾発手段103と、ケース101内に収納され弾発手段103によってケース101よりも内側(貫通孔15の中心方向)に向かってその弾接部107が突出する方向に付勢される合成樹脂製の弾接体105とを具備して構成されている。
【0025】
図9は光学式エンコーダ機構130の一部分解斜視図である。同図に示すように、光学式エンコーダ機構130は、光学式エンコーダ用回転体(以下「回転体」という)140と、反射板160と、フォトIC180と、回路基板200と、取付台220とを具備して構成されている。
【0026】
図10は、フォトIC180を取り付けた回路基板200と取付台220を、下ケース10に取り付ける前の状態を示す分解斜視図である。同図に示すように、取付台220は合成樹脂成型品であり、略コ字状で一方の面を基板取付面223とした取付基部221と、基板取付面223の表面から面に垂直に突出する一対の小突起からなる基板取付部225と、取付基部221の下面側に形成される図示しない小孔からなる一対の下ケース用被取付部とを具備して構成されている。
【0027】
回路基板200は、可撓性を有するフレキシブル回路基板であり、前記取付台220の基板取付面223と略同一矩形状の受発光素子取付面201と、受発光素子取付面201の外周辺に接続される外部引出用ケーブル部203とを有して構成されている。受発光素子取付面201の前記取付台220の基板取付部225に対向する位置には基板取付部225を挿入する小孔からなる被取付部205が形成されている。受発光素子取付面201には、フォトIC180が取り付けられている。
【0028】
フォトIC180は、2組のフォトセンサ180A,180Bと、当該2組のフォトセンサ180A,180Bの出力信号を処理する図示しない信号処理回路と、を具備して構成されている。各フォトセンサ180A,180Bは、それぞれ発光素子A1,A2と受光素子B1,B2とを有しており、それぞれ発光素子A1,A2から発射された光を受光素子B1,B2が受光することで、出力電圧が発生する。信号処理回路は、前記2組のフォトセンサ180A,180Bの出力信号を矩形状の電気信号に変換し且つその電流値を増幅して出力する回路である。
【0029】
図7は回転体140と反射板160を、
図9とは異なる角度から見た斜視図である。同図および
図9に示すように、回転体140は、略円柱状の軸部141の一端部側に歯車(外歯車)からなる駆動伝達部143を設けて構成されている。駆動伝達部143を構成する歯車は、前記回転操作体70に設けた回転体駆動用歯87に噛み合う寸法形状に形成されている。軸部141の外周面にはリング状の凹部からなる軸支部係止部145が形成されている。また駆動伝達部143の端面は反射板取付面147となっており、その中央には円柱の一部を切り欠いて非円形とした位置決め突起149が突設されている。回転体140は下記するように上下ケース50,10によって回転自在に軸支されるが、
図7に示すL1はその回転軸である。
【0030】
図8は反射板160を示す拡大図であり、
図8(a)は平面図、
図8(b)は側断面図(
図8(a)のB-B断面矢視図)、
図8(c)は裏面図である。これらの図に示すように、反射板160は、合成樹脂製のフィルム板(板部材、透明板)161の一方の面に高反射部163を形成し、もう一方の面に低反射部165を形成して構成されている。
【0031】
フィルム板161は、透明な合成樹脂フィルムを円板状に形成し、且つ中央に円形の一部を切り欠いて非円形とした係止孔167を設けて構成されている。フィルム板161の外径寸法は、前記回転体140の反射板取付面147(駆動伝達部143を構成する歯車の内側)に収まる寸法とされている。係止孔167の寸法形状は、前記回転体140の位置決め突起149を挿入して位置決めできる寸法形状としている。
【0032】
高反射部163はメタリック色彩であり、フィルム板161の一方の面のほぼ全体を覆うように均一な厚みで形成されている。高反射部163の形成は、メタリック色彩の加飾用インキを印刷することによって行われている。印刷方法としてこの実施形態では、スクリーン印刷を用いている。この実施形態では、高反射部163用のインキとして、アルミ粉と樹脂と溶剤と硬化剤を混錬したメタリック色彩(銀色の金属光沢を有する色彩)の加飾用インキを用いている。この結果、高反射部163をフィルム板161を介して見た場合は鏡面状になり、光を効果的に反射する面となる。
【0033】
低反射部165は暗色の色彩であり、フィルム板161のもう一方の面に均一な厚みで形成されている。印刷方法としてこの実施形態では、上記高反射部163と同様にスクリーン印刷を用いている。この実施形態では、上記低反射部165用のインキとして、カーボンブラック粉と樹脂と溶剤と硬化剤を混錬した暗色(黒色の色彩)の加飾用インキを用いている。この結果、低反射部165は反射し難い暗色(黒色)に形成された面となる。
【0034】
低反射部165は、これを当該低反射部165を形成した面側から見たとき、透明なフィルム板161を介して前記高反射部163全体を覆い、且つ、リング状に等間隔に扇形状の開口部AA1を設け、この開口部AA1内に前記高反射部163をフィルム板161を介して露出させる形状に形成されている。さらに具体的に説明すれば、フィルム板161を介して露出している扇形状の高反射部163と、当該露出している高反射部163に挟まれる扇形状の低反射部165は、何れもこの反射板160(即ち回転体140)の回転軸L1から放射状に延びる線上に高反射部163と低反射部165の左右両側辺が位置するように形成され、さらに低反射部165は、高反射部163の外周側をリング状に連結する外輪部(外側連結部)165Aと、高反射部163の内周側をリング状に連結する内輪部(内側連結部)165Bとを有することで開口部AA1を構成している。即ち、高反射部163は、その左右両側と外周側と内周側全体が低反射部165によって囲まれている。
【0035】
この反射板160のように、高反射部163と低反射部165の両者を、フィルム板161を構成する滑らかな両表面それぞれに形成すれば、非常に精緻な高反射部163と低反射部165を形成することができる。即ち、高反射部163(又は低反射部165)の表面上に低反射部165(又は高反射部163)を形成した場合は、高反射部163(又は低反射部165)の表面はフィルム板161の表面に比べて粗い表面となる場合が多く、上側に形成する低反射部165(又は高反射部163)を精緻に形成することが困難になるが、本反射板160によれば何れも精緻に形成することができる。
【0036】
さらにこの反射板160によれば、低反射部165を形成した側(回転体140を向く面の反対側の面側)から光を入射させることとすれば、高反射部163の光反射面は、透明なフィルム板161側の面になる。フィルム板161の面は滑らかなので、当該面に密着している高反射部163の面も非常に滑らかになっており、このためフィルム板161を透過してから高反射部163で反射される反射光の乱反射は少なく、良好な反射光(鏡面による反射光)を得ることができる。一方低反射部165は、光を反射する面がフィルム板161を透過しない側の面になるのでその表面は粗く、このため反射光は乱反射し易いが、低反射部165での反射光は少ない方が良いので、こちらも良好な反射光になる。
【0037】
また高反射部163を、精緻な形状にする必要がある開口部AA1を設けない印刷(フィルム板161全体に形成するだけの印刷)とし、一方低反射部165を精緻な形状にする必要がある開口部AA1を有する印刷としたのは、以下の理由による。即ち、この実施形態のように、高反射部163を、金属粉を混錬したメタリック色彩のインキを用いて形成した場合は、その外周辺(輪郭線)がにじみ易く(かすれ易く)て必ずしもその外周辺を精緻に形成できない。一方、この実施形態のように低反射部165の印刷をカーボン粉を混錬したインキを用いて行ったような場合は、その外周辺はにじみ難く精緻に形成できる。そこで、高反射部163を精緻な形状の不要な側とし、低反射部165を精緻な形状の必要な側とした。これによって低反射部165に形成した精緻な形状(内周辺)の開口部AA1内に高反射部163を露出させ、高反射部163の露出している外周辺を精緻に形成した。これによって、より精度の高いオンオフ信号(出力信号)を得ることができる。
【0038】
光学式エンコーダ1-1を組み立てるには、
図10に示すように、予め下ケース10の底部11上に前記一対のクリック機構100,100を取り付けておく。また予め回路基板200の受発光素子取付面201にフォトIC180を取り付けておく。
【0039】
また
図7において、回転体140の反射板取付面147に、両面接着シートによって、反射板160の高反射部163を形成した側の面を貼り付けておく。フィルム板161の高反射部163を形成した側の面を、回転体140に取り付ける回転体取付面という。このとき回転体140の位置決め突起149を反射板160の係止孔167に挿入し、位置決めする。
【0040】
次に
図10に示すように、取付台220の基板取付面223に、回路基板200の受発光素子取付面201を当接し、その際基板取付面223の基板取付部225を受発光素子取付面201の被取付部205に挿入し、基板取付部225の先端を熱カシメすることで固定する。
【0041】
次に、回路基板200の外部引出用ケーブル部203の先端側を、下ケース10のケーブル挿通孔19に挿入し、下ケース10に設けた取付台取付部23を取付台220に設けた図示しない小孔からなる一対の下ケース用被取付部に挿入し、取付台取付部23の上端を熱カシメすることによって、下ケース10に取付台220を固定する。このときの状態が
図9に示されている。
【0042】
そして、
図3に示すように、回転操作体70の下側に上ケース50と取付板30を配置し、そのとき回転操作体70の各取付部85を取付板30の各被取付部31に挿入し、取付板30の下面から突出する各取付部85の先端を熱カシメすることで、上ケース50を介して、回転操作体70と取付板30を一体に固定する。
【0043】
次に、上記回転操作体70などを取り付けた上ケース50の下側に下ケース10を配置し、その際、上ケース50の側壁51を下ケース10の側壁部13の内側に挿入する。このとき反射板160を取り付けた回転体140の軸支部係止部145に、下ケース10の回転体軸支部27と、上ケース50の回転体軸支用凹部57を挿入して回転体140を回転自在に軸支した上で、上ケース50の各取付部53を下ケース10の各被取付部17に挿入し、下ケース10の裏面側に突出する各取付部53の先端を熱カシメする。これによって光学式エンコーダ1-1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0044】
このとき、回転操作体70のクリック弾接部81に、クリック機構100,100の弾接部107が弾接している。また回転操作体70の回転体駆動用歯87が、回転体140の駆動伝達部143の歯に噛み合っている。また
図4に示すように、回転操作体70の回転軸L2と、回転体140の回転軸L1は直交するように交差している。
【0045】
以上のようにして組み立てられた光学式エンコーダ1-1の動作例を説明する。まず予め外部引出用ケーブル部203の先端側から電源を投入し、フォトIC180等の電子部品を起動しておく。そして回転操作体70を回転すると、これと連動して回転体140が回転駆動される。このとき回転操作体70の回転軸L2と、回転体140の回転軸L1は直交するように交差しているので、回転操作体70の設置位置に対して反射板160や受発光素子A1,A2,B1,B2の設置位置を任意に容易に変更することができる。
【0046】
図11は2つの内の一方のフォトセンサ180A(又は180B)と、高反射部163及び低反射部165の関係を示す概略説明図である。なお図示の都合上、回転体140の回転方向Eと、フォトセンサ180A(又は180B)に設けた一対の発光素子A1(又はA2)と受光素子B1(又はB2)の配列方向とを同一に示しているが、実際には両者の方向は直交している。
【0047】
同図に示すように、フォトセンサ180A(又は180B)の発光素子A1(又はA2)から発射された光は、反射板160に光が照射され、その照射位置は反射板160の回転位置に応じて、低反射部165に照射されたり、透明なフィルム板161を透過して高反射部163に照射されたりする。
【0048】
そして照射された部分が低反射部165の場合は当該光の多くは反射されずフォトセンサ180A(又は180B)の受光素子B1(又はB2)に受光されない。一方照射された部分が高反射部163の場合は当該光の多くが反射されてフォトセンサ180A(又は180B)の受光素子B1(又はB2)に受光される。従って、回転体140を回転すると、受光素子B1(又はB2)での受光状態に応じて、フォトセンサ180A(又は180B)からの出力信号が変化する。具体的には、高反射部163と低反射部165による反射状態の相違に応じたオンオフ信号が得られる。
【0049】
この実施形態によれば、低反射部165を形成した面側に外方から光を当てることとしたので、上述したように、高反射部163の光反射面は、透明なフィルム板161側の非常に滑らかな面、即ち鏡面状になる。このためフィルム板161を透過してから高反射部163で反射される反射光の乱反射は少なく、良好な反射光(鏡面による反射光)となる。一方低反射部165は、光を吸収する色彩である上に、光が入射する面が比較的粗くなるので反射光は乱反射し易く、受光素子B1(又はB2)に入射する反射光は少なく、良好な反射光(少ない反射光)になる。
【0050】
ところでこの実施形態においては、
図8(c)に示すように、高反射部163の外周全体を囲むように、低反射部165が形成されているので、より正確なオンオフ信号を得ることができる。即ち、各高反射部163は、黒色の低反射部165によってその外周辺と内周辺を含めて孤立している。このため、フォトセンサ180A(又は180B)の発光素子A1(又はA2)から発射された光の一部が外輪部165A又は内輪部165Bに相当する位置に照射されて反射されても、この反射光の光量を小さくでき、当該反射光がさらに他の部材に反射した後に受光素子B1(又はB2)に入射して誤動作する虞を確実に防止できる。このことから、より正確なオンオフ信号を得ることができる。
【0051】
両フォトセンサ180A,180Bは、回転体140の回転軸L1を中心にした同一円周上に位置し、且つ2つのフォトセンサ180A,180Bにそれぞれ対向する位置にある異なる高反射部163(または低反射部165)に対して円周方向に少しずれた位置となるように配置されている。このため、回転体140が回転した際に一方のフォトセンサ180A(又は180B)が対向する位置にある高反射部163(または低反射部165)を通過するタイミングと、他方のフォトセンサ180B(又は180A)が対向する位置にある高反射部163(または低反射部165)を通過するタイミングとが少しずれる。そしてこの出力信号は、外部引出用ケーブル部203に出力される。このようにして得られた出力信号を用いれば、位相がずれた一対のオンオフ波形を解析することで、回転体140(即ち回転操作体70)の回転方向や回転速度などを測定することができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
図12は、本発明の第2実施形態を用いて構成されている光学式エンコーダ1-2の概略断面図である。同図に示すように、光学式エンコーダ1-2は、回路基板230を収納したケース210と、反射板280を取り付けた回転体260と、カバー300とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは回路基板230から回転体260を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとするが、これは、光学式エンコーダ1-2を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。
【0053】
回路基板230は、硬質で略矩形状の絶縁基板231を有し、この絶縁基板231の中央に、貫通する位置決め孔233を形成し、その周囲を囲む位置に複数(この例では2つ)の貫通孔235を設けて構成されている。また絶縁基板231の上面の所定位置には、フォトIC250が設置され、また図示はしないが絶縁基板231の何れか1辺近傍の上面には、複数本の入出力用の端子板の一端が並列に接続されている。
【0054】
フォトIC250は、上記第1実施形態のフォトIC180と同様の構成であり、2組のフォトセンサを具備している。各フォトセンサは、それぞれ発光素子A1,A2と受光素子B1,B2とを有しており、それぞれ発光素子A1,A2から発射された光を受光素子B1,B2が受光することで、出力電圧が発生する。
【0055】
ケース210は、合成樹脂を上面が開放された略箱型に成形して構成されている。ケース210の上面側には、矩形凹状の収納部211が形成されている。収納部211の底面には、このケース210内にインサート成形した前記回路基板230の上面が露出している。回路基板230の上面中央には、ケース210の一部を構成する円形で柱状の軸部213が立設している。言い換えれば、ケース210は、回路基板230の下面側の底部215と、回路基板230の周囲を囲むように形成される側壁部217と、底部215から回路基板230の中央を貫通してその上面側に突出する軸部213とを具備して構成されている。
【0056】
図13は回転体260と反射板280を下側から見た分解斜視図である。同図及び
図12に示すように、回転体260は合成樹脂成型品であり、円板状の本体部261と、本体部261の上面中央から突出する円柱状のつまみ部(シャフト)263とを一体に成形して構成されている。本体部261の下面は反射板取付面263となっている。反射板取付面263の中央には、円形の凹部からなる軸受部265が形成されている。
【0057】
反射板280は、上記第1実施形態の反射板160と同様の構成である。即ち反射板280は、透明な合成樹脂フィルムを円板状に形成したフィルム板281の前記回転体260の反射板取付面263側を向く面上に上記高反射部163と同様のメタリック色彩の高反射部283を形成し、その反対側の面上に上記低反射部165と同様の暗色の色彩の低反射部285を形成し、且つ中央に円形の係止孔287を設けて構成されている。フィルム板281の外径寸法は、前記回転体260の反射板取付面263に収まる寸法としている。
【0058】
高反射部283はフィルム板281の一方の面のほぼ全体を覆うように均一な厚みで第1実施形態と同様の材料・方法で形成されている。低反射部285はフィルム板281のもう一方の面に均一な厚みで、リング状に等間隔に扇形状の開口部A2を設け、この開口部A2内に前記高反射部283をフィルム板281を介して露出させる形状に第1実施形態と同様の材料・方法で形成されている。
【0059】
カバー300は、金属板製であって、略矩形状で前記ケース210の収納部211を覆う寸法形状のカバー本体部301を有して構成されている。カバー本体部301の中央には、円筒状の軸受部303が形成され、その中央は貫通孔となっている。
【0060】
この光学式エンコーダ1-2を組み立てるには、予め回転体260の反射板取付面263に、反射板280の高反射部283を形成した側の面(回転体取付面)を両面接着シートによって貼り付ける。そしてケース210の収納部211内に回転体260の本体部261を収納する。このとき、ケース210の軸部213を、回転体260の軸受部265に挿入し、これによって回転体260を回転自在に支持すると同時に、軸部213の上面を軸受部265の底面に当接させることで、本体部261の下面と、フォトIC250の発光素子A1,A2及び受光素子B1,B2との間の離間距離を所定の離間距離とする。つまりケース210の軸部213と回転体260の軸受部265によって、回転体260の回転動作と、発光素子A1,A2及び受光素子B1,B2と反射板280間の離間距離の正確な設定と、を同時に行っている。
【0061】
次に、前記回転体260の本体部261を収納したケース210の上面にカバー300のカバー本体部301を被せてケース210の収納部211を塞ぐ。このとき同時に回転体260のつまみ部263をカバー280の軸受部303に挿入し、回転体260を回転自在に軸支する。そして、カバー300に設けた図示しないケース取付部によって、カバー300をケース210に固定する。これによって
図12に示す光学式エンコーダ1-2が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0062】
以上のようにして組み立てられた光学式エンコーダ1-2の動作例を説明する。まず予め回路基板230上のフォトIC250等の電子部品を起動しておく。そして回転体260を回転すると、上記第1実施形態の場合と同様に、受光素子B1(又はB2)での受光状態に応じて、フォトIC250からの出力信号が変化する。即ち、高反射部283と低反射部285による反射状態の相違に応じたオンオフ信号が得られる。
【0063】
この実施形態の場合も、フィルム板281の低反射部285を形成した面側から光を入射させることとしたので、上述したように、高反射部283の光反射面は、透明なフィルム板281側の非常に滑らかな面になる。このためフィルム板281を透過してから高反射部283で反射される反射光は減衰の小さい高反射部283として良好な反射光となり、一方低反射部285で反射される反射光は減衰の大きい低反射部285として良好な反射光となる。またこの実施形態の場合も、高反射部283の外周全体を囲むように低反射部285が形成されているので、より正確なオンオフ信号を得ることができる。
【0064】
以上詳細に説明したように、反射板160(280)は、光学式エンコーダ1-1(1-2)が具備する回転体140(260)に取り付けられ、光学式エンコーダ1-1(1-2)の発光素子A1,A2から発射された光を反射して受光素子B1,B2に受光させる構成を有している。ここで反射板160(280)は板状なので、容易且つ低コストに製造することができる。また板体に光の反射面を設けるので、精緻な反射面とすることができ、光学式エンコーダ1-1(1-2)の出力信号を正確な出力信号とすることができる。そしてこの反射板160(280)を用いれば、これを立体形状の回転体140(260)に取り付けるだけで、容易に光学式エンコーダ用の回転体140(260)を構成することができる。
【0065】
また上記実施形態では、反射板160(280)は、フィルム板161(281)の表面に、発光素子A1,A2から受けた光を高い反射率で反射する高反射部163(283)と、低い反射率で反射する低反射部165(285)とを、回転体140(260)の回転方向に向かって交互に形成することで作成されるので、高反射部163(283)と低反射部165(285)を精緻に形成することができ、光学式エンコーダ1-1(1-2)の出力信号を正確な出力信号とすることができる。
【0066】
また上記実施形態では、フィルム板161(281)を透明なフィルム板とし、当該フィルム板161(281)の一方の面に高反射部163(283)を形成し、他方の面に低反射部165(285)を形成したので、精緻な高反射部163(283)と精緻な低反射部165(285)をそれぞれ形成することができる。即ち、例えば高反射部163(283)の表面上に低反射部165(285)を形成した場合、高反射部163(283)の表面はフィルム板161(281)の表面に比べて粗い表面となる場合が多く、上側に形成する低反射部165(285)を精緻に形成することが困難になるが、本実施形態においてはこの問題が解消できる。
【0067】
また上記実施形態では、フィルム板161(281)の高反射部163(283)を形成した側の面を、回転体140(260)に取り付ける回転体取付面としたので、上述のように、当該フィルム板161(281)の面に密着している非常に滑らかな高反射部163(283)の面が反射面となり、この反射面で反射される反射光の乱反射は少なく、良好な反射光(鏡のような反射光)を得ることができる。一方低反射部165(285)は、発光素子A1,A2から発射された光を受ける面がフィルム板161(281)とは反対側の粗い面になるので、こちらも良好な反射光になる。
【0068】
また上記実施形態にかかる光学式エンコーダ1-1(1-2)によれば、反射板160(280)を回転体140(260)に取り付けるだけで、発光素子A1,A2から発射される光の反射面を形成できるので、光学式エンコーダ1-1(1-2)の製造を容易に行うことができる。
【0069】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記第1実施形態では、
図8(b)に示すように、高反射部163と低反射部165をフィルム板161の両面にそれぞれ形成したが、
図14に示すように、高反射部163-2と低反射部165-2をフィルム板161-2の同一面上に積層するように形成して反射板160-2を構成しても良い。その場合、フィルム板161-2は透明板でなくても良い。
【0070】
また上記第1実施形態では、回転操作体70と回転体140の両者の回転軸L1,L2を直交させ、これによって回転操作体70に対する反射板160などの設置位置を任意に変更可能としたが、場合によっては直交以外の角度で交差するように配置しても良い。さらに両者の回転軸は交わらなくても良く、即ち両者の回転軸は非平行に配置しても良い。
【0071】
また上記各実施形態では、何れも発光素子と受光素子を一体化したフォトIC(フォトセンサ)を用いた例を説明したが、発光素子と受光素子は別々の素子として構成し、これらをそれぞれ設置しても良い。
【0072】
また上記実施形態では高反射部と低反射部をスクリーン印刷によって形成したが、その代わりにパッド印刷などの他の各種印刷方法で形成しても良い。さらに高反射部と低反射部は印刷以外の方法で形成しても良い。
【0073】
また上記実施形態ではフィルム板として可撓性を有する合成樹脂フィルムを用いたが、合成樹脂板やその他の材質からなる硬質の板など、他の各種板部材を用いても良い。
【0074】
また上記実施形態では、高反射部を銀色のメタリック色彩としたが、銀色以外のメタリック色彩としても良いし、さらにはメタリック色彩以外の色彩であっても良く、要は低反射部よりも明度の高い色彩であれば良い。一方上記実施形態では、低反射部を黒色に形成したが、黒色以外の色彩であっても良く、要は高反射部よりも明度の低い色彩であれば良い。また上記実施形態では高反射部の外周全体を低反射部で囲む構成としたが、場合によっては外周部分(外側連結部)や内周部分(内側連結部)はこれを省略しても良い。
【0075】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
1-1 光学式エンコーダ
10 下ケース
30 取付板
50 上ケース
70 回転操作体
130 光学式エンコーダ機構
140 回転体
160 反射板(光学式エンコーダ用反射板)
161 フィルム板(板部材、透明板)
163 高反射部
165 低反射部
L2 回転操作体の回転軸
L1 回転体の回転軸
180 フォトIC
180A,180B フォトセンサ
A1,A2 発光素子
B1,B2 受光素子