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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071202
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182034
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥宜
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB10
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB36
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC11
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC64
5C062AC66
5C062AC69
5C062AC70
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF07
5C062AF14
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】キャリアシート原稿を含むバッチスキャンを行ったときに、インプリンターによりキャリアシート原稿にも印字されてしまい、再利用ができなくなる。
【解決手段】画像読取装置は、原稿を搬送しながら読み取る読み取り部と、搬送されている前記原稿に画像を印刷する印刷部と、制御部とを有し、読み取り対象の原稿が、再使用される所定の種類の原稿であるか否かを、読み取り部で読み取った画像データに基づいて判定し、原稿が所定の種類の原稿ではないと判定された場合には、印刷部により原稿に画像を印刷し、原稿が所定の種類の原稿であると判定された場合には、原稿を読み取って得た原稿画像に前記画像を合成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されている前記原稿に画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、読み取り対象の前記原稿が、再使用される所定の種類の原稿であるか、前記読み取り手段で読み取った原稿画像に基づいて判定し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿ではないと判定された場合には、前記印刷手段により前記原稿に前記画像を印刷し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿であると判定された場合には、当該原稿を読み取って得た前記原稿画像に前記画像を合成する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記所定の種類の原稿は、搬送される先頭部分に前記所定の種類の原稿であることを識別するための画像が形成されている
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段を更に有し、
前記画像は前記原稿の枚数を示す文字列を含む
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、継続モードが設定されている場合には、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、搬送エラーを生じた前記原稿を前記読み取り手段で読み取った画像データを破棄するか保存するかをユーザーに選択させるエラー通知画面を出力し、
前記画像データの破棄が選択された場合には、前記画像データを破棄し、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を前記ユーザーにより指定された値に設定する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザーにより指定された値が、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値である場合には、前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、継続モードが設定されていない場合には、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、前記原稿画像を破棄し、搬送エラーを生じた前記原稿に前記画像を印刷したか判定し、
印刷した場合には、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値に設定し、
前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない場合でも、前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿が前記所定の種類の原稿である場合には、当該原稿から読み取られた画像データに前記画像を合成する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、
搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、搬送エラーを生じた前記原稿を前記読み取り手段で読み取った画像データを破棄するか保存するかをユーザーに選択させるエラー通知画面を出力し、
前記画像データの破棄が選択された場合には、前記画像データを破棄し、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を前記エラー通知画面を介して前記ユーザーにより指定された値に設定する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザーにより指定された値が、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値である場合には、前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、
搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、前記読み取り手段により読み取られた前記原稿の画像データを破棄し、搬送エラーを生じた前記原稿に前記画像を印刷したか判定し、
印刷した場合には、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値に設定し、
前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、搬送されている前記原稿に画像を印刷する印刷手段と、制御手段とを有する画像読取装置により実行される画像読取方法であって、
前記制御手段が、読み取り対象の前記原稿が、再使用される所定の種類の原稿であるか、前記読み取り手段で読み取った原稿画像に基づいて判定し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿ではないと判定された場合には、前記印刷手段により前記原稿に前記画像を印刷し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿であると判定された場合には、当該原稿を読み取って得た前記原稿画像に前記画像を合成する
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項12】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、制御手段とを有する画像読取装置により実行される画像読取方法であって、
前記制御手段が、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、搬送エラーを生じた前記原稿を前記読み取り手段で読み取った画像データを破棄するか保存するかをユーザーに選択させるエラー通知画面を出力し、
前記画像データの破棄が選択された場合には、前記画像データを破棄し、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を前記エラー通知画面を介して前記ユーザーにより指定された値に設定する
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項13】
原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、制御手段とを有する画像読取装置により実行される画像読取方法であって、
前記制御手段が、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、前記読み取り手段により読み取られた前記原稿の画像データを破棄し、搬送エラーを生じた前記原稿に前記画像を印刷したか判定し、
印刷した場合には、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値に設定し、
前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置における画像読取制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に置かれた原稿を搬送し、画像を読み取る画像読取装置では、原稿にユーザーが設定した文字列を印字するインプリンター機能を有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-304245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術は、原稿の画像を読み取り、また、インプリントユニットで読み取りの完了を示すインプリント情報を原稿へ印字するものであり、読み取られた原稿へは必ずインプリントが行われる。そのため、繰り返し使用される原稿や台紙などの特定の読み取り対象に対してもインプリントが重ねて行われてしまい、再使用が困難になる。繰り返し使用される原稿や台紙などの特定の読み取り対象へのインプリントを許容すると、重ねてインプリントされた画像は判読や識別が困難なものとなりかねない。それを避けるためにインプリントを行わなければ、読み取り済みの原稿に所定の画像を印刷しておくというインプリントの効果は得ることができない。
【0005】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、インプリントの効果を妨げることなく、読み取り対象を繰り返し使用することを可能とする画像読取装置および画像読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の一側面によれば、原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されている前記原稿に画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、読み取り対象の前記原稿が、再使用される所定の種類の原稿であるか、前記読み取り手段で読み取った画像データに基づいて判定し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿ではないと判定された場合には、前記印刷手段により前記原稿に前記画像を印刷し、
前記原稿が前記所定の種類の原稿であると判定された場合には、当該原稿を読み取って得た原稿画像に前記画像を合成する
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【0007】
また本発明の他の側面によれば、原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、
搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、搬送エラーを生じた前記原稿を前記読み取り手段で読み取った画像データを破棄するか保存するかをユーザーに選択させるエラー通知画面を出力し、
前記画像データの破棄が選択された場合には、前記画像データを破棄し、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を前記ユーザーにより指定された値に設定する
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【0008】
また本発明のさらなる他の側面によれば、原稿を搬送しながら読み取る読み取り手段と、
搬送されて読み取られる前記原稿の枚数を保持してカウントするカウント手段と、
搬送されている前記原稿に、前記カウント手段により保持される前記枚数を示す文字画像を含む画像を印刷する印刷手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記原稿の読み取り時に搬送エラーが生じると、前記読み取り手段により読み取られた前記原稿の画像データを破棄し、搬送エラーを生じた前記原稿に前記画像を印刷したか判定し、
印刷した場合には、前記カウント手段によりカウントされる前記原稿の枚数を、前記カウント手段により保持されていた値よりも1小さい値に設定し、
前記搬送エラーの解消後に前記読み取り手段により最初に読み取られる前記原稿には前記画像を印刷しない
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればインプリントの効果を妨げることなく、特定の読み取り対象を繰り返し使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図。
図2】画像読取装置Aの制御部のブロック図。
図3】パスポートとキャリアシートによるキャリアシート原稿の一例を示す図
図4】継続モードオン時のユーザーへのエラー通知画面の一例を示す図
図5】継続モードオフ時のユーザーへのエラー通知画面の一例を示す図
図6】キャリアシート原稿にエラーが生じた際のエラー通知画面
図7】実施形態1における画像読取処理のフローチャート
図8】実施形態1における搬送エラー処理のフローチャート
図9】カウント値手動調整処理のフローチャート
図10】カウント値入力画面の一例を示す図
図11】カウント値自動調整処理のフローチャート
図12】実施形態2における画像読取処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[実施形態1]
本実施形態は、インプリントの効果を妨げることなく、キャリアシートなどの読み取り対象を繰り返し使用することを可能とするものである。加えて搬送エラー等のエラー発生後の読み取りの再開に際して、すべて正常に読み取られたようにインプリントを継続するものでもある。まず、本発明の一実施形態に係る画像読取装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0013】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、制御部8による制御の下で、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つ(1枚)ずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する。読み取られる搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。パスポートなどの冊子を読み取り対象とする場合には、読み取り対象のページを開いた状態でキャリアシートに挟み、それを読み取り対象とする。キャリアシートで挟まれた原稿をキャリアシート原稿と呼ぶ。キャリアシートは透明部材で構成され、冊子状の原稿を挟み込むことで搬送をサポートすることができる。またキャリアシート原稿であることを識別するための特定のマークが記されている。キャリアシートは一般的に何度も再使用することができる。
【0014】
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0015】
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0016】
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0017】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0018】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作業を持たせるようにしてもよい。
【0019】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0021】
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。第2搬送部20及び第3搬送部30の搬送速度を常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。よって、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0022】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらせばよい。こうすることにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0023】
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。つまりこのセンサは、媒体が重なって搬送される重送状態を検出する。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能である。本実施形態の場合には重送検出センサ40は超音波センサである。超音波センサは、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0024】
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサの一例である。このセンサは、シートの挙動や状態を検出するセンサであり、例えば第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0025】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0026】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60は画像読取ユニット70よりも上流側で、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能である。本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0027】
印字部9は、後述の印字制御部810の指示を受けて搬送される搬送媒体Sに任意の文字あるいは画像情報を印字するものである。本実施形態における印字部9は画像読取ユニット70の上流側に位置するが、画像読取ユニット70の下流側に存在してもよい。画像読取ユニット70の下流側に印字部9を配置する場合は、読み取った画像データは印字前のものであるため、読み取った画像データに対して後述する電子的な印字データの付加機能を使って印字データを付加してもよい。また、本構成では印字部9が原稿の裏面に印字される位置に配置されているが、経路RTの対向側に配置して表面に印字されるようにしてもよい。
【0028】
なお本実施形態で「印字」という用語を用いることがあるが、文字のみを印刷対象としているわけではなく、画像や図形を対象として含めてもよい。すなわち印字部9は文字のみならず他の画像を原稿に印刷できる。そのため「印字」を「印刷」や「画像形成」、「マーキング」「インプリント」「記録」などと呼ぶこともある。同様に印字部を印刷部や画像形成部、マーキング部、インプリンター、記録部などと呼んでもよい。さらに印字部9で印字される画像をインプリント画像と呼ぶこともある。
【0029】
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0030】
<制御部の構成>
図2を参照して制御部8について説明する。図2は、本実施形態に係る画像読取装置A制御部8のブロック図である。制御部8はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84、インターフェイス部85、アクチュエータ86、センサ87を有する。制御部8はさらに、画像処理部88、エラー通知部89、印字制御部810、印字文字列決定部811、印字文字列指定部812、印字文字列自動変更部813及び搬送枚数カウント部814を備える。
【0031】
CPU81は、記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。
【0032】
記憶部82は、例えばRAM、ROM等から構成される。例えば原稿から読み取った画像を一時的に保存したり、あるいは印字部9により印刷される文字や画像を含む他のデータや、後述するフローチャートの処理を実現するためのプログラムなどが記憶される。
【0033】
操作部83は、例えばスイッチやタッチパネルなどで構成され、表示を行い、またユーザーからの操作を受け付ける。
【0034】
通信部84は、CPU81に接続された情報処理装置との情報通信を行うインターフェイスである。
インターフェイス部85は、アクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェイスである。
【0035】
アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。
【0036】
センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60等が含まれる。
【0037】
画像処理部88は、画像読取ユニット70で読み取られた画像に対し種々の画像処理を施す。画像処理部88は、原稿から読み取られた画像データへの電子的な印字データの付加機能を備えている。また、画像処理部88は、後述のキャリアシート検出機能を備えている。なお、本構成では画像読取ユニット70で順次行われるライン単位の画像読み取り処理に対して、リアルタイムでキャリアシート検出を行う。本実施形態では、キャリアシート検出の判定が終わるまでは印字部9による搬送媒体Sへの印字処理は行わない。
【0038】
キャリアシートの検出は、キャリアシートの先端付近のマークに基づいて行われる。そのため図1に示したように画像読取ユニット70の上流に印字部9を配置すると、搬送媒体Sの先頭部分へは印字が行えない。なお、印字を行えない先頭部分の長さは、印字部9から画像読取ユニット70までの距離に依存し、本構成ではその距離が短いため実用上問題にならない。問題となる場合には、画像読取ユニット70の下流に印字部9を配置することや、専用のキャリアシート検出手段を印字部9の上流側に別途設けるなどで対処することができる。なおインプリントされる画像は原稿の先頭部分に記録されることが望ましい。これは例えば原稿の先頭部分に記録しておくことで、読み取り済みの原稿をスキャンした場合に、読み取り済みであることを読み取り開始後に短時間で検知でき、ユーザーへの通知や読み飛ばしなどの対応を迅速に開始できるためである。また先頭部分に画像を印刷することで原稿をユーザーが見た場合の視認性も高めることができる。
【0039】
エラー通知部89は、搬送中に発生したエラーを、通信部84を介して接続された情報処理装置に送信する。
【0040】
印字制御部810は、印字部9に対して後述の印字文字列決定部811で決定された文字列を印字するように指示する。
【0041】
印字文字列決定部811は、印字文字列指定部812でユーザーが任意に定めた文字列、あるいは印字文字列自動変更部813によって自動的に変更された文字列を決定する。
【0042】
搬送枚数カウント部814は搬送済みの搬送媒体Sの枚数を保持し、カウントする。
【0043】
<スキャン動作>
制御部8は、外部のPCまたは操作部83からの読み取り開始の指示(開始指示)を受けると画像のスキャン動作を開始する。開始指示には読み取りの解像度設定や、カラーやモノクロといった色分解能や色補正の情報等が含まれる。読取モードは複数あっても良く、搬送媒体Sの種類に応じて読取モードを設定できるようにしても良い。読取モードを変更することで搬送媒体Sに応じた最適な処理を行う。
【0044】
<レジストセンサの出力に応じた読み取り開始>
制御部8は、画像読取ユニット70によって第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sを読み取る。ここで読み取りの開始は、センサ87に含まれる媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングとなる。制御部8は設定された読み取りの解像度と搬送媒体Sの移動速度に応じて一定間隔で画像読取ユニット70から画像を読み取る。媒体検出センサ60をレジストセンサとも呼ぶ。
【0045】
<文字列印字機能>
本実施形態における画像読取装置Aは、印字文字列決定部811が決定した文字列を印字部9が搬送媒体Sに印字する機能であるインプリンター機能を備える。なお、インプリンター機能のオン/オフ、および、印字する文字列すなわちインプリント画像と印字する位置は、ユーザーにより定めることができる。これらの情報はユーザーにより入力されると記憶部82、特に不揮発性のメモリに保存される。
【0046】
また、印字文字列決定部811には、ユーザーは任意の文字列を指定することができるが、搬送済みの搬送媒体Sのカウント数、年月日、時間などの特殊文字を指定することもできる。またインプリント画像は文字列に限らず、文字列以外の画像や図形であってもよい。本実施形態ではインプリント画像は原稿の通し番号となるカウント値である。この値は搬送枚数カウント部814でカウントされる値であってよいが印字文字列決定部811で独自にカウントしてもよい。1回のスキャンで読み取る原稿束の先頭のカウント値を1としてもよいし、特に初期化を行うことなく、循環的なカウント値をそのまま利用してもよい。
【0047】
なお画像処理部88、エラー通知部89、搬送枚数カウント部814、印字文字列決定部811、印字文字列指定部812、印字文字列自動変更部813は、CPU81がプログラムを実行することで実現されるソフトウェアモジュールであってもよい。
【0048】
<継続モード>
本実施形態における画像読取装置Aは、搬送中にエラーが発生した際に、ユーザーがエラー画像を保存するか破棄するかを選択可能な継続モードを備える。継続モードのオン/オフはユーザーにより予め定めて設定することができる。設定は例えば画像読取装置Aに接続された情報処理装置や、操作部83から行うことができる。具体的には、継続モードオン時は、搬送中にエラーが発生した際に、通信部84を介してCPU81に接続された情報処理装置に図4に示すようなユーザーへのエラー通知画面を表示する。ユーザーはエラー画像を保存するか破棄するかを選択し、スキャンを再開する。
【0049】
継続モードオフ時は、搬送中にエラーが発生した際に、通信部84を介してCPU81に接続された情報処理装置に図5に示すようなユーザーへのエラー通知画面を表示する。エラー画像は破棄され、スキャンは終了する。継続モードがオンの状態を継続モード、継続モードがオフの状態を非継続モードと呼ぶことがある。
【0050】
ただし図4及び図5に示す通知画面は一例であり、継続モードオン時にはユーザーがエラー画像を保存するか破棄するかを選択可能であり、継続モードオフ時にはユーザーにエラーを通知しスキャンを終了するものであればどのようなものでもよい。また搬送中に発生したエラーは重送エラーだけでなく、ジャムエラー、カバーオープンエラー、スキャンキャンセルエラーなどでもよい。
【0051】
<印字データ付加機能>
本実施形態における画像読取装置Aは、読み取った画像データに対して、印字制御部810が決定した印字データを、画像処理部88により付加するアドオン機能を備える。付加できる印字データや印字位置はインプリンター機能で印字する場合と同等である。
【0052】
<キャリアシート検出機能>
画像処理部88は、読み取った画像データからキャリアシートを検出する機能を備える。この検出処理はライン単位の画像読み取り処理の最中にリアルタイムで行われる。キャリアシートの先端部には図3のようにキャリアシート検出模様があらかじめ印刷されている。画像処理部88はリアルタイム処理で搬送媒体Sの先端部分を読み取ったときに、キャリアシート検出模様が検知されたならそれはキャリアシート原稿であると判定する。なお、本例では規則的に白領域と黒領域が交互に現れる模様をキャリアシート検出模様としているが、別の模様に変更してもよい。また、キャリアシート検出機能として他の方法で代替できる場合はそちらを使用してもよい。さらにキャリアシートに限らず、再利用される所定の種類の原稿であれば、それを識別する模様などの情報を原稿に付加しておくことで所定の種類の原稿であることを判別することができる。
【0053】
<画像読み取り制御>
次に、本実施形態において画像読取装置Aにより画像読取を行う処理について説明する。
【0054】
図7は、本実施形態における画像読み取りのためのフローチャートである。以下の説明では読み取り処理のことをスキャンとも呼ぶ。図7の処理はCPU8により記憶部82に記憶したプログラムを実行することで実現される。
【0055】
まず、ステップS701でユーザーの読み取り開始指示を受け付け、ステップS702でスキャンを開始する。例えばユーザーによる操作部83や画像読取装置Aに接続された情報処理装置におけるスキャン開始操作に応じて画像読取が開始される。なお、画像読取装置Aは給紙された原稿が画像読み取りユニット70の位置に到達したときに読み取り処理を開始し、原稿が読み取りユニット70を通過すると、読み取り処理を自動で終了する。またインプリント画像であるカウント値を原稿束ごとに1から始める場合には、ここで初期化を行ってよい。
【0056】
ステップS703で、スキャン対象の原稿がキャリアシート原稿かどうかを判定する。キャリアシート原稿と判定された場合にはS706へ分岐する。キャリアシート原稿ではないと判定された場合には、S704において、スキップフラグがオンかオフかを判定する。スキップフラグは、後述の図9及び図11でセットされるフラグであり、インプリント処理をスキップするためのフラグである。
【0057】
スキップフラグがオンであると判定された場合には、S709へ分岐する。スキップフラグがオフであると判定された場合には、S705で、インプリントのために用意された画像(本例では文字画像)を指定された位置へと印刷する。
【0058】
ステップS706では、搬送中の原稿が、インプリント画像の付加が指定された位置まで読み取られるのを待機する。この位置はインプリント画像を印刷する位置と同じであってよい。この判定は例えば原稿の先端が媒体検出センサ60を通過してからの経過時間により判定してもよいし、他の方法であってもよい。付加位置までの読み取りが終了したなら、S707で、インプリント画像を、読み取り済みの原稿画像の指定位置に付加する。この付加は、指定されたインプリント画像の印刷位置への埋め込みあるいは合成により行ってよい。
【0059】
S709ではスキップフラグをリセットする。S710で次の原稿があるか判定し、あればS702に分岐して次の原稿のスキャンを開始し、無ければ処理を終了する。原稿の有無は載置された原稿をセンサ等で検知することで行える。
【0060】
図7の手順によってキャリアシート原稿については原稿にインプリント用の画像を印刷せず、読み取った原稿画像にインプリント用の画像を合成する。これによりキャリアシートの再使用が可能となる。なおスキップフラグについてはエラー処理の説明で併せて説明するが、原稿にインプリントを行ったにもかかわらずその原稿の画像が取得できなかった際に、再読み取り時に重ねてインプリントを行わないようセットされるフラグである。
【0061】
なお、S706ではインプリント画像を印刷する位置までの読み取りが終了するまで待機し、読み取られた時にその位置に対してインプリント画像を付加する態様について説明したが、これに限られない。例えばS706においてキャリアシート原稿全体が読み取られるまで待機し、読み取られた原稿画像全体に対してインプリント画像を付加する位置を判定してインプリント画像を付加するように構成してもよい。
【0062】
<エラー処理>
図8にエラー発生時、例えば搬送エラーが発生した際の処理の例を示す。図7の処理を実行して画像の読み取り中にエラーが発生すると、図7の処理が中断されて図8の処理が実行される。図8の処理はCPU8により記憶部82に記憶したプログラムを実行することで実現される。
【0063】
例えば搬送エラー等のエラーが発生すると、図8のエラー処理が開始されてまずステップS801で搬送や画像の読み取りを停止する。
【0064】
ステップS802で、継続モードがオンかの判定を行い、オンの場合はステップS803へ、オフの場合はステップS804へ進む。ステップS803ではカウント値手動調整処理を行う。カウント値手動調整処理は図9に示す手順で行う。一方継続モードがオフであれば、ステップ804でカウント値自動調整処理を行う。カウント値自動調整処理は図11に示す手順で行う。
【0065】
ステップS805で、ユーザーは例えば搬送中に発生したエラーを解除する。たとえば搬送路の途中に残った原稿を取り除くなどして改めて原稿の読み取りを再開できる状態にする。制御部8は、エラーが発生したと判定する元となったセンサ等の出力を確認し、エラーが解除されたかどうかを判定してもよい。
【0066】
ステップS806で、ユーザーはスキャンを再開しステップS703へ戻る。たとえば原稿読み取りを開始するための操作を操作部83や、接続されたホスト装置である情報処理装置から行えばよい。ステップS806は図7のステップS701に相当する処理であり、スキャンが再開されると図7のステップS702から処理が開始される。ただし、原稿束ごとにカウント値を1に初期化する場合であっても、ステップS806ではエラー後の再開であるため、カウント値の初期化を行わない。
【0067】
<カウント値手動調整処理>
図9に、ステップS803で実行されるカウント値手動調整処理の手順を示す。ステップS901で、エラー通知部89は通信部84を介してCPU81に接続された情報処理装置に対し、図4に示すエラー通知画面を表示する。エラーが生じたときに読み取り中の原稿がキャリアシート原稿であった場合には、図6のようにキャリアシート原稿であることを示すエラー通知画面としてもよい。ただし、図4図6は一例であり、ユーザーにエラー内容を通知可能で、エラーが発生した画像を破棄するか保存するか選択可能なものであればどのようなものでもよい。
【0068】
ユーザーはステップS901で表示されたエラー通知画面からエラー画像に対する処理を選択し、ステップS902ではそれを受け付ける。図4のように処理は「保存して継続」または「破棄して継続」のいずれかである。
【0069】
ステップS903では選択された処理が保存、すなわち「保存して継続」であるか判定する。保存して継続であれば、エラーを生じた際に読み取られた原稿画像は保存されたままとする。この場合には、エラーを生じた際に読み取り対象となっていた原稿の再読み取りは行われないことが選択されたものとし、カウント値の調整はされない。したがって保存して継続が選択された場合にはそのまま処理を終了する。
【0070】
一方ステップS903で「破棄して継続」が選択されたと判定した場合には、ステップS904で、保存されている最新の原稿画像を破棄する。ステップS905で、インプリンター機能による印字がオンかオフかの判定を行う。オンの場合はステップS906へ分岐し、オフの場合は処理を終了する。
【0071】
ステップS906で、印字する文字列の中にカウント値が含まれていた場合はステップS907へ分岐し、含まれていない場合は処理を終了する。ステップS907は印字文字列指定部812で行われるが、CPU81により行われてもよい。ステップS907では、図10に示すカウンタ入力画面を表示する。入力欄1001には初期値が表示されている。カウンタ入力画面に表示するカウント値の初期値は搬送枚数カウント部814でカウントされた値とする。ユーザーは入力欄1001に所望の値を設定することができる。ただし、図10は一例であり、インプリント画像を指定できるものであればどのようなものでもよい。
【0072】
ステップS908で、ユーザーがステップS907で印字文字列指定部812に、搬送枚数カウント部814でカウントしたカウント値より1小さい値を指定したか判定する。指定した場合はステップS909へ、それ以外の場合はステップS910へ進む。
【0073】
ステップS907でユーザーが印字文字列指定部812に搬送枚数カウント部814でカウントしたカウント値より1小さい値を指定したことは、エラーが発生した画像を1枚目として画像の読取をやり直すことが想定される。そのため、ステップS909で、エラーの解消後に画像読取再開後の1枚目すなわち最初の画像へのインプリント画像の印刷をスキップするためのフラグ(スキップフラグ)を立てる。
【0074】
ステップS910で、ステップS907でユーザーが指定した値にカウンタを更新する。
【0075】
以上の処理により、インプリント画像に含まれた原稿のカウント値をユーザーの所望の値に再設定することができる。また、エラーを生じた原稿から読み取りを再開する場合には、インプリント済みの原稿へのインプリントが繰り返し行われることを防止できる。また原稿がキャリアシート原稿であった場合にもスキップフラグはセットされるが、キャリアシート原稿については図7に示すようにスキップフラグは参照されることがないため、読み直された原稿画像にはインプリント画像が合成される。そしてインプリント画像にカウント値が含まれていれば、それはユーザーに指定された値となる。なお、これらのように原稿のカウント値を変更した場合に、ユーザーに対して現在のカウント値、次の原稿に印字されるカウント値あるいは印字内容を通知するとともに、ユーザーの手元にある原稿に印字されたインプリント画像の内容を確認することを促す通知をしてもよい。
【0076】
<カウント値自動調整処理>
図11に、ステップS804で実行されるカウント値自動調整処理の手順を示す。この処理は印字文字列自動変更部813により行われるが、CPU81がプログラムを実行することで行ってもよい。
【0077】
ステップS1101で、エラー通知部89は通信部84を介してCPU81に接続された情報処理装置に図5に示すエラー通知画面を表示する。このとき併せて搬送エラーを生じた原稿を読み取った画像データを破棄する。エラー通知画面に対してユーザーがOKボタンを選択してエラーの確認が行われたなら、ステップS1102でインプリンター機能による印字がオンかオフかの判定を行う。オンの場合はステップS1103へ分岐し、オフの場合は処理を終了する。
【0078】
ステップS1103で、印字する文字列の中にカウント値が含まれていた場合はステップS1104へ分岐し、含まれていない場合は処理を終了する。
【0079】
ステップS1104で、印字制御部810はエラーが発生した搬送媒体Sに対してインプリント画像の印字を行ったかの判定を行う。印字を行った場合はステップS1105へ分岐し、印字を行っていない場合は処理を終了する。なお印字を行ったか否かは、たとえば印刷完了フラグを設け、印字完了後に印字完了フラグをセットし、当該原稿の画像データを読み取り終えた時点で印字完了フラグをリセットする。こうすることで、印字完了フラグは、インプリント画像を原稿に印刷したが、読み取りが完了していないことを示すものとなるため、ステップS1104では印字完了フラグを参照してオンであれば印字を行ったと判定してよい。
【0080】
この段階ではステップS802にて継続モードではないと判定されているため、ユーザーはスキャンをやり直すと想定される。またエラーを生じた原稿からやり直すとすれば、ステップS1104にてインプリンターによる印字が行われたと判断したためスキャンをやり直す1枚目の原稿には既に印字が行われている。そのため、ステップS1105で、エラーの解消後の1枚目即ち最初の原稿への印字をスキップするスキップフラグを立て、スキャンをやり直す1枚目の画像には印字を行わないようにする。
【0081】
ステップS1106で、印字文字列自動変更部813はカウント値から1を減算する。これによりエラー発生前のカウント値に続けて続き番号を原稿に印刷することができる。
【0082】
以上の処理により、エラーを生じた原稿の再読み取りを行っても、インプリント画像の重複を防止でき、かつ、インプリント画像がカウント値を含むならばエラー前に続くカウント値を設定できる。すなわち搬送エラー等のエラー発生後の読み取りの再開に際して、すべて正常に読み取られたようにインプリントを継続することができる。また原稿がキャリアシート原稿であった場合にも、キャリアシート原稿についてはインプリントが行われないが、読み直された原稿画像にはインプリント画像が合成される。そしてインプリント画像にカウント値が含まれていても、それは再読み取りによるカウント値の欠落や重複を防止することができる。
【0083】
本実施形態によれば、インプリントの効果を妨げることなく、キャリアシートのような読み取り対象を繰り返し使用することが可能となる。加えて搬送エラー等のエラー発生後の読み取りの再開に際して、エラーが生じることなく正常に読み取られたかのようにインプリントを継続することができる。
【0084】
[変形例]
図7では、キャリアシート原稿の場合には、原稿画像の指定された位置にインプリント画像を埋め込むためにその位置まで画像読み取りが済むのを待ってから埋め込みを行っている。しかし、原稿全体の読み取りが済むまで待ってからインプリント画像の埋め込みを行ってもよい。
【0085】
また図8では継続モードか否かを判定しているが、いずれか一方のみが予め設定されていてもよい。その場合にはステップS802の判定は不要であり、ステップS803またはステップS804のいずれか一方が実行される。また、いずれか一方のみが設定されたモードが設定可能となっており、ユーザーが指定したいずれかのモードが実行されるように構成されていてもよい。
【0086】
[実施形態2]
実施形態2では、原稿の種類を判定せず、インプリント機能がオンであれば、原則的に原稿にインプリントを行う。ただしエラー処理は実施形態1と同様に図8図9図11に示したものと同様であってよい。また、画像読取装置の構成も図1,2に示したものと同様である。
【0087】
図12にその画像読み取り手順のフローチャートを示す。図7と同様にこの手順もCPU81によりプログラムを実行することで実現される。
【0088】
まず、ステップS1201でユーザーの読み取り開始指示を受け付け、ステップS1202でスキャンを開始する。例えばユーザーによる操作部83や画像読取装置Aに接続された情報処理装置におけるスキャン開始操作に応じて画像読取が開始される。なお、画像読取装置Aは給紙された原稿が画像読み取りユニット70の位置に到達したときに読み取り処理を開始し、原稿が読み取りユニット70を通過すると、読み取り処理を自動で終了する。またインプリント画像であるカウント値を原稿束ごとに1に初期化する場合には、ここで初期化を行ってよい。
【0089】
S1203において、スキップフラグがオンかオフかを判定する。スキップフラグは、図9及び図11でセットされるフラグであり、インプリント処理をスキップするためのフラグである。
【0090】
スキップフラグがオンであると判定された場合には、S1205へ分岐する。スキップフラグがオフであると判定された場合には、S1204で、インプリントのために用意された画像(本例では文字画像)を指定された位置へと印刷する。
【0091】
ステップS1205ではスキップフラグをリセットする。S1206で次の原稿があるか判定し、あればS1202に分岐して次の原稿のスキャンを開始し、無ければ処理を終了する。原稿の有無は載置された原稿をセンサ等で検知することで行える。
【0092】
図12の手順によって、キャリアシート原稿を取り扱えない画像読取装置であっても、搬送エラー等のエラーが読み取り中に発生した場合には、エラーを生じた原稿からの再読み取りを行っても、インプリントされるカウント値が重複したり、あるいは不連続となったりといった事態を防止できる。
【0093】
本実施形態によれば、搬送エラー等のエラー発生後の読み取りの再開に際して、エラーが生じることなく正常に読み取られたかのようにインプリントを継続することができる。
【0094】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。また、上述した各種処理や構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
A:画像読取装置、8:制御部、9:印字部、70:画像読取ユニット、80:制御部、88:画像処理部、810:印字制御部、811:印字文字列決定部、812:印字文字列指定部、813:印字文字列自動変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12