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  • 特開-離型フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071215
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20200101AFI20240517BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240517BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240517BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C08J7/04 Z
B32B27/00 L
B32B27/18 Z
B32B27/16 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182049
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】595038198
【氏名又は名称】株式会社ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】康井 義成
(72)【発明者】
【氏名】荼木原 雄司
(72)【発明者】
【氏名】松本 充弘
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
【Fターム(参考)】
4F006AA35
4F006AB39
4F006AB42
4F006AB62
4F006BA12
4F006CA00
4F006EA03
4F100AK17B
4F100AK42A
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA30B
4F100EH23B
4F100EH46B
4F100JB14B
4F100JL14B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】離型膜部分を80℃以下で乾燥させるとともにUV照射によって硬化させることができ、樹脂フィルム基材の加熱による劣化を防止することができ、離型性を調整することができ、移行性も低い離型フィルムを提供すること。
【解決手段】薄膜状の樹脂フィルム基材2の一面側に離型樹脂成分による薄膜状の離型膜部3が形成されている離型フィルム1において、前記離型膜部分はUV硬化樹脂内にシリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分を含有していることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜状の樹脂フィルム基材の一面側に離型樹脂成分による薄膜状の離型膜部が形成されている離型フィルムにおいて、前記離型膜部分はUV硬化樹脂内にシリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分を含有していることを特徴とする離型フィルム。
【請求項2】
前記樹脂フィルム基材は12~188μmの厚さを有し、前記離型膜部分は80℃以下で乾燥されるとともにUV照射によって硬化されて0.6~0.7μmのドライ状態の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
前記樹脂フィルム基材はポリエチレンテレフタレートにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型フィルムに係り、特に樹脂フィルム基材の加熱による劣化を防止することができ、離型性を調整することができ、移行性も低い離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、一般民生用、工業用、医療用、宇宙用等の全分野において離型フィルムを利用することが盛んに行われるようになっている。
【0003】
このような離型フィルムとして、例えば、特許文献1には延伸ポリエステル樹脂フィルムからなる基材フィルムの少なくとも片面にフッ素樹脂からなるフィルムが積層されてなる積層フィルムが記載されている。
【0004】
また、電気部品用としては、例えば、特許文献2に示す離型フィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特快2006-049850号公報
【特許文献2】特開2022-101288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来において離型フィルムを製造する際には、樹脂フィルム基材の少なくとも1面に離型膜部分を薄膜状に塗布し、その後所定温度に加熱して離型膜部分を乾燥させて形成している。
【0007】
従来においては、離型膜部分を乾燥するために120℃~130℃以上に加熱するものであるために、樹脂フィルム基材をガラス転移点以上に加熱して性能劣化を発生させてしまうという不都合があった。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、離型膜部分を80℃以下で乾燥させるとともにUV照射によって硬化させることができ、樹脂フィルム基材の加熱による劣化を防止することができ、離型性を調整することができ、移行性も低い離型フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は鋭意研究し、樹脂フィルム基材表面に形成する離型膜部分を80℃以下で乾燥させるとともにUV照射によって硬化させることができる素材とすることによって、樹脂フィルム基材の加熱による劣化を防止することができ、離型性を調整することができ、移行性も低い離型フィルムを製造できることを発見して本発明を完成させた。
【0010】
前述した目的を達成するため本発明の第1の態様の離型フィルムは、薄膜状の樹脂フィルム基材の一面側に離型樹脂成分による薄膜状の離型膜部が形成されている離型フィルムにおいて、前記離型膜部分はUV硬化樹脂内にシリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分を含有していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様の離型フィルムは、前記樹脂フィルム基材は12~188μmの厚さを有し、前記離型膜部分は80℃以下で乾燥されるとともにUV照射によって硬化されて0.6~0.7μmのドライ状態の厚さを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様の離型フィルムは、前記樹脂フィルム基材はポリエチレンテレフタレートにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の離型フィルムによれば、離型膜部分を80℃以下で乾燥させるとともにUV照射によって硬化させることができ、樹脂フィルム基材の加熱による劣化を防止することができ、離型性を調整することができ、移行性も低い離型フィルムを提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る離型フィルムの一実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1を用いて本発明の離型フィルムの実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の離型フィルムの1実施形態を示す。
【0017】
本実施形態の離型フィルム1においては、薄膜状の樹脂フィルム基材2の少なくとも一面側に離型樹脂成分による薄膜状の離型膜部3が形成されている。
【0018】
この樹脂フィルム基材2としては、ガラス転移点が比較的高くしかもフィルム状態における耐熱性の高い樹脂素材より選択するとよく、本実施形態においてはPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いている。PETのガラス転移点は約70℃である。本実施例においては、前記樹脂フィルム基材2の厚さを12~188μmに形成している。
【0019】
また、離型膜部3としては、UV硬化樹脂内にリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分を含有させており、樹脂フィルム基材2の1面に溶融状態で塗布された後に、80℃以下で乾燥されるとともにUV照射によって硬化されて最終的に0.6~0.7μmのドライ状態の厚さに形成されている。UV硬化樹脂としては、常温状態でUV照射されて硬化する樹脂剤を用いるとよく、例えば、セイカビーム(登録商標)を用いるとよい。乾燥温度については、樹脂フィルム基材2のガラス転移点より低い温度とするとよい。樹脂フィルム基材2にPETを用いた場合には、PETのガラス転移点の約70℃より低い乾燥温度とするとよい。これによりPETからなる樹脂フィルム基材2の熱劣化を防止することができる。また、シリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分としては、公知の素材より選択するとよい。
【0020】
本実施形態の離型フィルム1はこのように形成されているので、離型膜部3を80℃以下という低温領域において乾燥させるとともにUV照射によって硬化させることができる。これにより、樹脂フィルム基材2の加熱による劣化を防止することができる。また、離型膜部3に含有される、シリコーン系およびまたはフッ素系の離型成分の材質、含有量などを目的に応じて調整することによって、離型性を調整することができる。更に、樹脂成分の移行性も低い離型フィルムを提供することができる。
【0021】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 離型フィルム
2 樹脂フィルム基材
3 離型膜部
図1