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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071250
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/04 20120101AFI20240517BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20240517BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20240517BHJP
【FI】
G06Q20/04 314
A63F13/79
G06Q30/0207 324
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182092
(22)【出願日】2022-11-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】519041611
【氏名又は名称】レヴィアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小町 博幸
【テーマコード(参考)】
5L020
5L030
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA15
5L030BB26
5L049BB26
5L055AA15
(57)【要約】
【課題】リアルマネートレードにあたらずにユーザに対応する資産を譲渡可能とする。
【解決手段】情報処理システムSは、ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得する経験情報取得部134と、経験情報に基づくデータを入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質プログラムを、経験情報取得部134が取得した経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質プログラムに非代替性トークンを生成させ、当該基質プログラムに、生成された非代替性トークンを、ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせる非代替性トークン生成部135と、を有する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得する取得部と、
経験情報に基づくデータを入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質プログラムを、前記取得部が取得した前記経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質プログラムに非代替性トークンを生成させ、当該基質プログラムに、生成された非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせる非代替性トークン生成部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記基質プログラムには、前記非代替性トークンが有する少なくとも1つの内部値の決定に用いられるコード情報が含まれており、
前記非代替性トークン生成部は、前記取得部が取得した前記経験情報に基づくデータを入力変数として前記基質プログラムを実行することで、当該基質プログラムに、前記コード情報を含み、前記コード情報と前記入力変数とに基づいて前記内部値が決定された前記非代替性トークンを生成させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記非代替性トークン生成部は、前記基質プログラムを実行することにより前記非代替性トークンが生成されると、前記基質プログラムを消滅させる、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
基質プログラムを生成するための規格プログラムを実行することにより当該規格プログラムに基質プログラムを生成させる基質プログラム生成部をさらに有する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記規格プログラムは、コード情報を組み込むことにより基質プログラムを生成可能となり、
規格プログラムと前記コード情報とを受け付けると、当該規格プログラムに前記コード情報を組み込むことにより前記規格プログラムが基質プログラムを生成可能な状態にする有効化部をさらに有し、
前記基質プログラム生成部は、前記コード情報が組み込まれた規格プログラムを実行することによりプログラムを生成する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記基質プログラム生成部は、前記規格プログラムの所有者から前記規格プログラムの実行指示を受け付けることにより、前記規格プログラムに基質プログラムを生成させる、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記非代替性トークンを分解することにより、前記非代替性トークンから、前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報又は前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報に対応するコード情報を抽出可能である、
請求項2から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記非代替性トークンを分解可能な分解エンジニアから、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている非代替性トークンの譲受要求を受け付けるとともに、前記ユーザから、当該非代替性トークンの譲渡要求を受け付けることにより、当該非代替性トークンに関連付けられるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する変更部をさらに有する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記変更部は、前記分解エンジニアから前記ユーザのウォレットに格納されている非代替性トークンの譲受希望金額を受け付け、前記ユーザから、当該譲受希望金額による当該非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付けると、当該非代替性トークンに関連付けるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から、前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記ユーザ識別情報には、前記非代替性トークンとは異なる所定のトークンであって、内部値を有する所定のトークンが関連付けられており、
前記所定のトークンの内部値を、前記非代替性トークンに基づいて変化させる要求を取得すると、前記所定のトークンに含まれる内部値と、前記非代替性トークンに含まれる内部値とに基づいて、前記所定のトークンに含まれる内部値を更新する更新部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記更新部は、前記所定のトークンに含まれる内部値を更新すると、前記所定のトークンの更新に用いた前記非代替性トークンを消滅させる、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記ユーザ識別情報には、ユーザが所定の行為を行うための環境を提供する提供者が前記ユーザに付与し、前記所定の行為に対するユーザの経験に作用する所定のトークンであって、内部値を有する所定のトークンが関連付けられており、
前記ユーザから、前記提供者が提供するアイテムの取得を要求するアイテム取得要求を取得すると、前記所定のトークンに含まれる内部値が、前記提供者により定められた条件を満たしていることを条件として、前記ユーザにアイテムを付与する付与部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得するステップと、
経験情報に基づくデータを入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質プログラムを、取得した経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質プログラムに非代替性トークンを生成させ、当該基質プログラムに、生成された非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせるステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム内で使用されるアイテムをユーザ間で交換するための機能を実装したオンラインゲームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-187143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲーム内のアイテムをユーザ間で譲渡可能とする場合、ゲーム内の通貨を使わずに、現実の通貨でこれらのアイテムを売買する行為であるリアルマネートレードが行われることがある。ユーザがゲームをプレイすることにより獲得するアイテムは、ユーザに関連付けられた資産である。しかしながら、当該アイテムは、ゲームを運営する事業者の資産であることから、リアルマネートレードは、事業者の資産をユーザが譲渡する行為にあたり、健全といえなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、リアルマネートレードにあたらずにユーザに対応する資産を譲渡可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理システムは、ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得する取得部と、経験情報に基づくデータを入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質プログラムを、前記取得部が取得した前記経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質プログラムに非代替性トークンを生成させ、当該基質プログラムに、生成された非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせる非代替性トークン生成部と、を有する。
【0007】
前記基質プログラムには、前記非代替性トークンが有する少なくとも1つの内部値の決定に用いられるコード情報が含まれており、前記非代替性トークン生成部は、前記取得部が取得した前記経験情報に基づくデータを入力変数として前記基質プログラムを実行することで、当該基質プログラムに、前記コード情報を含み、前記コード情報と前記入力変数とに基づいて前記内部値が決定された前記非代替性トークンを生成させてもよい。
【0008】
前記非代替性トークン生成部は、前記基質プログラムを実行することにより前記非代替性トークンが生成されると、前記基質プログラムを消滅させてもよい。
前記情報処理システムは、基質プログラムを生成するための規格プログラムを実行することにより当該規格プログラムに基質プログラムを生成させる基質プログラム生成部をさらに有してもよい。
【0009】
前記規格プログラムは、コード情報を組み込むことにより基質プログラムを生成可能となり、前記情報処理システムは、規格プログラムと前記コード情報とを受け付けると、当該規格プログラムに前記コード情報を組み込むことにより前記規格プログラムが基質プログラムを生成可能な状態にする有効化部をさらに有し、前記基質プログラム生成部は、前記コード情報が組み込まれた規格プログラムを実行することによりプログラムを生成してもよい。
【0010】
前記基質プログラム生成部は、前記規格プログラムの所有者から前記規格プログラムの実行指示を受け付けることにより、前記規格プログラムに基質プログラムを生成させてもよい。
前記非代替性トークンを分解することにより、前記非代替性トークンから、前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報又は前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報に対応するコード情報を抽出可能であってもよい。
【0011】
前記情報処理システムは、前記非代替性トークンを分解可能な分解エンジニアから、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている非代替性トークンの譲受要求を受け付けるとともに、前記ユーザから、当該非代替性トークンの譲渡要求を受け付けることにより、当該非代替性トークンに関連付けられるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する変更部をさらに有してもよい。
【0012】
前記変更部は、前記分解エンジニアから前記ユーザのウォレットに格納されている非代替性トークンの譲受希望金額を受け付け、前記ユーザから、当該譲受希望金額による当該非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付けると、当該非代替性トークンに関連付けるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から、前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更してもよい。
【0013】
前記ユーザ識別情報には、前記非代替性トークンとは異なる所定のトークンであって、内部値を有する所定のトークンが関連付けられており、前記情報処理システムは、前記所定のトークンの内部値を、前記非代替性トークンに基づいて変化させる要求を取得すると、前記所定のトークンに含まれる内部値と、前記非代替性トークンに含まれる内部値とに基づいて、前記所定のトークンに含まれる内部値を更新してもよい。
前記更新部は、前記所定のトークンに含まれる内部値を更新すると、前記所定のトークンの更新に用いた前記非代替性トークンを消滅させてもよい。
【0014】
前記ユーザ識別情報には、ユーザが所定の行為を行うための環境を提供する提供者が前記ユーザに付与し、前記所定の行為に対するユーザの経験に作用する所定のトークンであって、内部値を有する所定のトークンが関連付けられており、前記情報処理システムは、前記ユーザから、前記提供者が提供するアイテムの取得を要求するアイテム取得要求を取得すると、前記所定のトークンに含まれる内部値が、前記提供者により定められた条件を満たしていることを条件として、前記ユーザにアイテムを付与する付与部をさらに有してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得するステップと、経験情報に基づくデータを入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質プログラムを、取得した経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質プログラムに非代替性トークンを生成させ、当該基質プログラムに、生成された非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リアルマネートレードにあたらずにユーザに対応する資産を譲渡可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る非代替性トークンのライフサイクルを説明する図である。
図2】情報処理システムの概要を説明する図である。
図3】非代替性トークンが生成されるまでの処理の詳細を説明する図である。
図4】取得用プログラムに係る処理を説明する図である。
図5】情報処理システムの構成を示す図である。
図6】情報処理システムが規格プログラムを受け付けてから基質プログラムが生成されるまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】ゲームユーザがゲームをプレイしてから非代替性トークンが生成されるまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
図8】ゲームユーザが非代替性トークンを分解エンジニアに売却する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[非代替性トークンの生成の概念]
本実施の形態に係る情報処理システムSの説明を行うにあたり、まず、本実施の形態に係る非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)のライフサイクルについて説明する。図1は、本実施の形態に係る非代替性トークンのライフサイクルを説明する図である。なお、以下の説明において、非代替性トークンをNFTともいう。
【0019】
本実施の形態に係る非代替性トークンは、ブロックチェーンにより管理される。非代替性トークンを生成するには、規格プログラムが必要となる。規格プログラムには、コード情報が複数組み込まれている。コード情報は、例えば、所定の規格により発行されたトークンである。コード情報は、非代替性トークンが有する少なくとも1つの内部値の決定に用いられる。
【0020】
非代替性トークンは、規格プログラムに基づいて一以上生成される。非代替性トークンには、規格プログラムに組み込まれている複数のコード情報と、複数のコード情報に所定の演算を行うことにより決定された内部値とが含まれている。非代替性トークンに含まれている複数のコード情報は、非代替性トークンを分解するためのプログラムである分解スマートコントラクトを実行することにより抽出可能である。
【0021】
分解スマートコントラクトは、規格プログラムに基づいて生成された一以上の非代替性トークンから、複数のコード情報を抽出するとともに、コード情報を抽出した非代替性トークンを消滅させるためのプロトコルである。ここで、トークンを消滅させるとは、トークンを取り出し不可能なウォレットに移動し、トークンを再利用できないようにすることである。
【0022】
非代替性トークンから抽出されたコード情報は、新たに非代替性トークンを生成するための新たな規格プログラムの有効化に用いることができる。そして、抽出されたコード情報に基づいて新たに有効化された規格プログラムに基づいて、抽出されたコード情報を含む新たな非代替性トークンが生成される。このように、非代替性トークンの生成、分解を繰り返すことにより、新たに生成される非代替性トークンは、古い非代替性トークンから抽出され、規格プログラムに含まれているコード情報を受け継ぐこととなる。したがって、コード情報は、非代替性トークンの遺伝子情報として機能する。
【0023】
図1に示すライフサイクルを有する非代替性トークンは、ユーザの体験をデータに変換し、当該データを経済的価値に変換するために用いられる。例えば、ユーザの体験は、ユーザがゲームをプレイすることにより金銭を得ることができるPlay-to-Earn、健康状態に基づいて金銭を得ることができるHealth-to-Earn、ユーザが学んだ経験に基づいて金銭を得ることができるLearn-to-Earn等を実現するために用いられる。本実施形態では、図1に示す非代替性トークンを用いてPlay-to-Earnを実現する情報処理システムSについて詳細に説明する。
【0024】
図2は、情報処理システムSの概要を説明する図である。図2に示すように、まず、開発エンジニアは、Play-to-Earnに対応するゲームを提供するゲームオーナから、非代替性トークンNを生成するプログラムである基質トークンEを生成可能な規格プログラムMの作成の依頼を受ける。ここで、ゲームオーナが提供するゲームは、例えば、インターネット等の通信ネットワーク上でゲームユーザに提供されるオンラインゲームである。
【0025】
開発エンジニアは、規格プログラムMの作成の依頼を受けると、規格プログラムMを作成する。規格プログラムMは、作成された段階では基質トークンEを生成することができず、複数のコード情報が組み込まれることにより、初めて基質トークンEを生成可能となる。規格プログラムMが基質トークンEを生成することができるようにすることを「有効化」という。また、コード情報が組み込まれた規格プログラムを、有効化された規格プログラムともいう。開発エンジニアは、規格プログラムMを有効化するために、コード情報を入手する。
【0026】
開発エンジニアは、開発エンジニア端末を用いて、作成した規格プログラムMを情報処理システムSにアップロードし、分解エンジニアから入手したコード情報を用いて規格プログラムMを有効化する。開発エンジニアは、ゲームオーナから、規格プログラムMの作成に係る報酬と引き換えに、有効化された規格プログラムMをゲームオーナに提供する。
【0027】
ゲームオーナは、オーナ端末を用いて、開発エンジニアから提供された規格プログラムMを実行することにより、基質トークンEを生成する。また、ゲームオーナは、ゲームユーザに対してゲームを提供する。
【0028】
ゲームユーザは、ユーザ端末を用いて、ゲームオーナから提供されたゲームをプレイする。ゲームユーザは、ゲームをプレイすることにより、ゲームの結果を示す結果情報を得ることができる。例えばゲームオーナが提供するゲームが魚釣りのゲームである場合、ゲームの結果情報は、釣れた魚を示す情報である。
【0029】
ゲームユーザは、ユーザ端末を用いて、ゲームの結果情報を情報処理システムSにアップロードする。情報処理システムSは、アップロードされたゲームの結果情報に基づくデータを入力変数として基質トークンEを実行することにより、基質トークンEに非代替性トークンNを生成させるとともに、生成した非代替性トークンNを、ゲームユーザに関連付けさせる。基質トークンEを実行することにより生成される非代替性トークンNは、ユーザのゲームの結果情報に基づいてユーザが生成したトークンであり、ユーザが所有する資産となる。このため、ユーザによる非代替性トークンNの譲渡は、ゲーム内のアイテムをゲーム外で現金等により譲渡する仕組みであるリアルマネートレードにあたらず、ユーザは、他人に非代替性トークンNを譲渡することができる。
【0030】
一方、非代替性トークンNには、図1において説明したようにコード情報が含まれている。非代替性トークンNに含まれているコード情報は、非代替性トークンを分解することにより抽出可能である。非代替性トークンNの分解は、分解コントラクトを実行することにより行うことができるものの、分解コントラクトを作成するには専門のスキルが必要となる。このため、非代替性トークンNの分解は、専門のスキルを有し、分解コントラクトを作成可能な分解エンジニアにより行われる。ここで、非代替性トークンNに含まれているコード情報は、非代替性トークンNを分解することにより抽出可能であることとしたが、これに限らない。非代替性トークンNを分解することにより、非代替性トークンNに含まれているコード情報の少なくとも一部の情報を含む、当該コード情報に対応するコード情報が抽出可能であってもよい。
【0031】
また、図1において説明したように、非代替性トークンNから抽出されたコード情報は、規格プログラムMに組み込むことができる。このため、分解エンジニアは、規格プログラムMに組み込むコード情報を所望する開発エンジニアに売却することを目的として、分解する非代替性トークンNを所望する。これに対し、ゲームユーザは、自身が所有する非代替性トークンNを、分解エンジニアに売却することができる。
【0032】
分解エンジニアは、分解コントラクトを作成し、当該分解コントラクトを実行することにより、ゲームユーザから購入した非代替性トークンNを分解し、非代替性トークンNからコード情報Cを抽出する。そして、分解エンジニアは、抽出したコード情報Cを開発エンジニアに売却する。このように、情報処理システムSは、非代替性トークンNから抽出したコード情報Cを新たな非代替性トークンNを生成するための規格プログラムMに還流させることができ、図1に示す非代替性トークンのライフサイクルを実現することができる。
【0033】
続いて、情報処理システムSにおける非代替性トークンが生成されるまでの処理の詳細について説明する。図3は、非代替性トークンが生成されるまでの処理の詳細を説明する図である。
【0034】
まず、開発エンジニアは、図2において説明したように規格プログラムを開発する場合、予め用意されている規格プログラムのテンプレートであるテンプレートプログラムを用いて、規格プログラムの開発を行う。また、開発エンジニアは、上述したようにコード情報を分解エンジニアから入手する。開発エンジニアは、作成した規格プログラムを情報処理システムSにアップロードするとともに、当該規格プログラムにコード情報を組み込み、規格プログラムを有効化する。
【0035】
規格プログラムには、図3に示すように、インスタンスとして、基質トークン生成ロジックが含まれている。基質トークン生成ロジックは、基質トークンの定義情報を規定するものである。基質トークンの定義情報は、例えば、基質トークンにおける、ゲームの結果情報に対する非代替性トークンの内部値の算出ルールを示す情報である。基質トークン生成ロジックに基づいて、基質トークン生成ロジックにおいて規定された定義情報が示す定義に対応する基質トークンが生成される。
【0036】
情報処理システムSは、有効化された規格プログラムを管理する。情報処理システムSは、有効化された規格プログラムに対して規格プログラムを識別するための規格プログラム識別情報であるプログラム番号を発行し、当該プログラム番号と、規格プログラムとを関連付けて、自身が有する記憶部に記憶させる。
【0037】
また、情報処理システムSは、規格プログラムに対して発行したプログラム番号を開発エンジニア端末に通知する。開発エンジニアは、情報処理システムSから通知された規格プログラムのプログラム番号を通知することにより、情報処理システムSに登録されている有効化された規格プログラムをゲームオーナに提供する。
【0038】
ゲームオーナは、基質トークンを管理するための基質トークン管理UI(ユーザインタフェース)を介して、情報処理システムSに対して、規格プログラムの実行を指示し、規格プログラムに基質トークンを生成させることができる。具体的には、ゲームオーナは、基質トークン管理UIにおいて、基質トークンを格納するためのゲームオーナのウォレットのアドレスを示すアドレス情報と、基質トークンを生成させる規格プログラムのプログラム番号と、生成する基質トークンの数量とを指定し、規格プログラムに基質トークンを生成させる基質トークン生成指示を情報処理システムSに送信する。
【0039】
基質トークン生成指示には、指定されたゲームオーナのウォレットのアドレス情報とプログラム番号と生成する基質トークンの数量とが含まれている。情報処理システムSは、基質トークン生成指示を受け付けると、当該生成指示に含まれているプログラム番号に関連付けられている規格プログラムを実行し、当該規格プログラムに、指定された数量の基質トークンを生成させる。ここで、情報処理システムSは、予め指定された暗号通貨であって、生成する基質トークンの量に対応する量の暗号通貨をゲームオーナから受け付けることにより基質トークン生成指示を受け付けるようにしてもよい。
【0040】
規格プログラムは、基質トークンを生成するためのプログラムである基質トークンビルダーと協働することにより、基質トークンを生成する。例えば、規格プログラムは、規格プログラムに組み込まれている複数のコード情報を基質トークンビルダーに受け渡す。基質トークンビルダーは、複数のコード情報を取得し、規格プログラムに含まれている基質トークン生成ロジックに基づいて基質トークンを生成する。基質トークンビルダーは、基質トークン生成ロジックが示す基質トークンの定義に対応するとともに、複数のコード情報を含む基質トークンを生成する。基質トークンビルダーは、新たなコード情報の生成に用いられた複数のコード情報を消滅させてもよい。
【0041】
基質トークンに含まれるコード情報は、非代替性トークンNが有する少なくとも1つの内部値の決定に用いられる。基質トークンビルダーは、基質トークン生成指示に含まれているアドレス情報に基づいて、生成した基質トークンをゲームオーナのウォレットに格納する。
【0042】
ゲームユーザは、ユーザ端末を用いてゲームオーナが提供するゲームをプレイし、ゲームの結果を得る。ゲームには、非代替性トークンの生成を情報処理システムSに指示するためのNFT発行API(Application Programming Interface)が設けられている。ゲーム端末は、ユーザの操作により、NFT発行APIを介して、ゲームの結果情報と、ゲームユーザのウォレットのアドレスを示すアドレス情報とを含み、非代替性トークンの生成を要求するNFT生成リクエストを情報処理システムSに送信する。
【0043】
情報処理システムSには、基質トークンと協働して非代替性トークンを生成するためのNFTインスタンスが設けられている。NFTインスタンスには、非代替性トークンを生成するためのNFT生成ロジックと、非代替性トークンに含まれる内部値を算出するための内部値算出ロジックとが含まれている。情報処理システムSは、ユーザ端末から取得したゲームの結果情報をNFT生成ロジックに入力し、NFT生成ロジックに、非代替性トークンを基質トークン側で生成するためのトークン生成用データを生成させる。NFT生成ロジックは、例えば、ゲームの結果情報と、内部値算出ロジックとに基づいて、トークン生成用データを生成する。
【0044】
NFTインスタンスは、生成されたトークン生成用情報を、ゲームオーナのウォレットに格納されている基質トークンに入力変数として入力するとともに、基質トークンに対して非代替性トークンの出力先としてゲームユーザのアドレス情報を指定し、基質トークンに非代替性トークンを生成させる。ここで、ゲームオーナのウォレットに対して基質トークンが複数格納されている場合、ゲームオーナ側で、ゲーム結果に基づいて基質トークンを選択する等の予め定められた選択ルールに基づいて、複数の基質トークンの中から実行する基質トークンを選択するようにしてもよい。そして、NFTインスタンスは、選択された基質トークンを実行するようにしてもよい。基質トークンは、トークン生成用情報に基づいて非代替性トークンを生成すると、当該非代替性トークンを、指定されたゲームユーザのアドレス情報が示すゲームユーザのウォレットに格納する。情報処理システムSは、基質トークンが非代替性トークンを生成したことに応じて、当該基質トークンを消滅させる。
【0045】
上述の説明では、非代替性トークンの生成及び消滅について説明したが、非代替性トークンは、コード情報を抽出するために分解されるだけではなく、他の用途で用いられてもよい。例えば、非代替性トークンとは異なる用途で用いられる所定のトークンがあり、当該所定のトークンの内部値を変化させるために用いられてもよい。
【0046】
例えば、ユーザのウォレットのアドレス情報(ユーザ識別情報)が示すユーザのウォレットには、ユーザがゲーム(所定の行為)をプレイするための環境を提供する提供者としてのゲームオーナがユーザに提供した、ゲームのプレイに対するユーザの結果に作用する所定のトークンである、内部値を有するゲーム用トークンが格納されている。非代替性トークンは、所定のトークンに含まれる内部値を変化させるために用いられる。
【0047】
所定のトークンは、ゲームのプレイに対するユーザの結果に作用するゲーム用トークンであることとしたが、これに限らず、当該ユーザの結果に作用しないトークンであってもよい。また、所定のトークンは、ゲームオーナにより提供されることとしたが、これに限らず、例えば、ゲームの販売促進者等によりユーザに提供されてもよい。
【0048】
ゲーム用トークンは、ゲームユーザのウォレットに格納されており、ゲーム結果に対して影響を与える複数の内部値が含まれている。ゲーム用トークンを利用してユーザがゲームをプレイすることにより、ゲーム用トークンに含まれる複数の内部値に基づくゲーム結果を取得することができる。例えば、ゲーム用トークンを用いてゲームをプレイする場合、ゲーム用トークンの内部値が高ければ高いほど、ゲームの結果が良くなるように、ゲームが設計されていてもよい。
【0049】
また、ゲーム用トークンは、他のゲーム用トークン及びゲームユーザにより生成された非代替性トークンを吸収することにより内部値を変化させる吸収プログラムが含まれている。例えば、ユーザ端末が、ユーザの操作に応じて、自身のウォレットに格納されている一以上のゲーム用トークンのいずれかを、内部値を変化させる対象である吸収トークンとして選択するとともに、吸収トークンに吸収させる被吸収トークンとして、他のゲーム用トークン又は非代替性トークンを選択し、吸収プログラムを実行する。吸収プログラムは、吸収トークンの内部値を変化させる吸収リクエストを情報処理システムSに送信する。吸収リクエストには、吸収トークンのアドレスと、非吸収トークンのアドレスとが含まれている。
【0050】
情報処理システムSは、吸収リクエストを取得すると、吸収トークンのアドレスと、非吸収トークンのアドレスとに基づいて吸収トークンと被吸収トークンとを特定する。情報処理システムSは、吸収トークンに含まれる内部値と、被吸収トークンに含まれる内部値とに基づいて、吸収トークンの内部値を更新する。例えば、被吸収トークンが他のゲーム用トークンである場合、吸収トークンに含まれる所定の内部値が、被吸収トークンに含まれる所定の内部値よりも高い場合には、吸収トークンに含まれる内部値が上昇しやすく、吸収トークンに含まれる所定の内部値が、被吸収トークンに含まれる所定の内部値以下である場合には、吸収トークンに含まれる内部値が下降しやすくなるように設計されている。情報処理システムSは、吸収トークンの内部値を更新すると、被吸収トークンを消滅させる。情報処理システムSは、吸収トークンの内部値を更新すると被吸収トークンを消滅させることとしたが、これに限らず、非吸収トークンを消滅させなくてもよい。
【0051】
なお、ゲーム用トークンが被吸収トークンを吸収する回数は制限されていてもよい。また、ゲーム用トークンは、他のゲームユーザ等との間で売買可能であってもよい。このようにすることで、ゲームユーザは、非代替性トークンを分解エンジニアに売却するだけでなく、ゲーム用トークンの内部値を上昇させるためにも用いることができる。
【0052】
また、ゲーム用トークンには、アイテムの取得を要求するための取得用プログラムが含まれている。例えば、ゲームオーナがアイテムの配布に係るイベントを実施している場合に、ゲームユーザがゲーム用トークンに含まれている取得用プログラムを実行することにより、アイテムの取得を要求することができる。ここで、アイテムは、例えばゲーム内で使用できるアイテムであるものとするが、これに限らず、クーポン等の特典やサービスであってもよい。
【0053】
図4は、取得用プログラムに係る処理を説明する図である。例えば、ユーザ端末が、図4に示すように、ゲームユーザが自身のウォレットに格納されているゲーム用トークンに含まれている取得用プログラムが実行されると、取得用プログラムは、ゲーム用トークンに含まれている内部値を含み、アイテムを取得するリクエストであるアイテム取得リクエストを情報処理システムSに記憶されているドローチェーンコントラクトに送信する。
【0054】
ドローチェーンコントラクトは、例えば、ゲームオーナが提供するスマートコントラクトである。ドローチェーンコントラクトは、取得用プログラムからアイテム取得リクエストを取得すると、アイテム取得リクエストに含まれているゲーム用トークンの内部値がゲームオーナにより予め定められたアイテムの付与条件を満たしているか否かを判定する。ドローチェーンコントラクトは、当該付与条件を満たしていると判定すると、ゲームユーザにアイテムを付与する。
【0055】
アイテムの付与条件は、例えば、アイテム取得リクエストの取得時刻が、ゲームオーナにより提供されるイベントの開催期間に含まれていること、アイテム取得リクエストが、イベントの開催期間中において初めてのリクエストであること、アイテム取得リクエストに含まれている内部値が予め定められた閾値を超えていること等である。
【0056】
また、ドローチェーンコントラクトは、ゲーム用トークンの内部値がアイテムの付与条件を満たしているか判定したことに応じて、当該判定の結果を含む、ドローチェーンの利用履歴を情報処理システムSの記憶部に記憶させる。このように、情報処理システムSの記憶部、すなわちブロックチェーンに対してリクエストの利用履歴を記憶することにより、利用履歴が改ざんされることを抑制することができる。
【0057】
[情報処理システムSの構成例]
続いて、情報処理システムSの構成例について説明する。図5は、情報処理システムSの構成を示す図である。情報処理システムSは、複数のコンピュータにより構成されており、ブロックチェーンを実現している。情報処理システムSは、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0058】
通信部11は、携帯電話回線やインターネット回線等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。
記憶部12は、例えば、情報処理システムSを構成する複数のコンピュータが有するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成されている。記憶部12は、情報処理システムSを機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部12は、情報処理システムSの制御部13を、規格プログラム受付部131、有効化部132、プログラム生成部としての基質トークン生成部133、経験情報取得部134、非代替性トークン生成部135、所有権変更部136、内部値更新部137、及びアイテム付与部138として機能させるプログラムを記憶する。
【0059】
制御部13は、例えば情報処理システムSを構成する複数のコンピュータが有するCPU(Central Processing Unit)等により構成されている。制御部13は、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、情報処理装置1に係る機能を制御する。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、規格プログラム受付部131、有効化部132、基質トークン生成部133、経験情報取得部134、非代替性トークン生成部135、所有権変更部136、内部値更新部137、及びアイテム付与部138として機能する。
【0060】
以下、制御部13の機能について、シーケンス図を参照しながら説明を行う。
図6は、情報処理システムSが規格プログラムを受け付けてから基質プログラムが生成されるまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0061】
規格プログラム受付部131は、開発エンジニアが使用する開発エンジニア端末から、規格プログラムと、規格プログラムに組み入れる複数のコード情報とを受け付ける(S1)。
有効化部132は、規格プログラム受付部131が規格プログラムと複数のコード情報とを受け付けると、当該規格プログラムに当該複数のコード情報を組み込むことにより、規格プログラムを有効化、すなわち、規格プログラムが基質トークンを生成可能な状態にする(S2)。情報処理システムSは、規格プログラムに複数のコード情報を組み込むことにより、規格プログラムが基質トークンを生成可能とすることで、開発エンジニアが、例えば分解エンジニアが非代替性トークンから抽出したコード情報を入手することを促進させることができる。
【0062】
有効化部132は、有効化された規格プログラムのプログラム番号を生成し、生成したプログラム番号と、規格プログラムとを関連付けて記憶部12に記憶させる(S3)。有効化部132は、生成したプログラム番号を開発エンジニア端末に送信することにより、当該プログラム番号を開発エンジニアに通知する(S4)。開発エンジニアは、例えば、開発エンジニア端末を用いて規格プログラムのプログラム番号をオーナ端末に通知する(S5)。
【0063】
基質トークン生成部133は、基質トークンを生成するための規格プログラムであって、複数のコード情報が組み込まれた規格プログラムを実行することにより、当該規格プログラムに基質トークンを生成させる。
【0064】
具体的には、基質トークン生成部133は、規格プログラムの所有者から、規格プログラムの実行指示を受け付けることにより、規格プログラムに基質トークンを生成させる。より具体的には、まず、基質トークン生成部133は、基質トークン管理UIを介して、規格プログラムの所有者であるゲームオーナから、規格プログラムのプログラム番号、ゲームオーナのウォレットのアドレス情報、基質トークンの生成個数を含む基質トークン生成指示を受け付けるとともに、生成個数に対応する暗号通貨を受け付ける(S6)。
【0065】
基質トークン生成部133は、基質トークンビルダーにより、基質トークン生成指示に含まれているプログラム番号に関連付けられている規格プログラムを実行し、当該規格プログラムに基質トークンを生成させる(S7)。生成された基質トークンは、基質トークン生成指示に含まれるアドレス情報が示すゲームオーナのウォレットに格納される(S8)。
【0066】
続いて、ゲームユーザがゲームをプレイしてから非代替性トークンが生成されるまでの処理の流れを説明する。図7は、ゲームユーザがゲームをプレイしてから非代替性トークンが生成されるまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0067】
経験情報取得部134は、例えば、記憶部12に記憶されているNFTインスタンスであり、ユーザが使用するユーザ端末から、ユーザが所定の行為を行った場合におけるユーザの経験を示す経験情報を取得する。具体的にはまず、ユーザが、ゲームオーナが提供するゲームをプレイする(S11)。その後、経験情報取得部134は、ゲームオーナが提供するゲーム内で提供されているNFT発行APIを介して、ゲームユーザによるゲームの結果情報(経験情報)と、ゲームユーザのウォレットのアドレスを示すアドレス情報とを含む、非代替性トークンの生成を要求するNFT生成リクエストをユーザ端末から取得する(S12)。
【0068】
非代替性トークン生成部135は、例えば、記憶部12に記憶されているNFTインスタンスであり、基質トークンと協働することにより、非代替性トークンを生成する。非代替性トークン生成部135は、経験情報取得部134が取得した経験情報としてのゲームの結果情報に基づくデータが入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質トークンを、経験情報取得部134が取得した経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質トークンに非代替性トークンを生成させる。そして、非代替性トークン生成部135は、当該基質トークンに、生成された非代替性トークンを、ゲームユーザを識別するためのユーザ識別情報としてのゲームユーザのウォレットのアドレス情報に関連付けさせる。
【0069】
具体的には、非代替性トークン生成部135は、経験情報取得部134がNFT生成リクエストを取得すると、NFT生成リクエストに含まれているゲームの結果情報をNFT生成ロジックに入力し、NFT生成ロジックから、ゲームの結果情報に基づくデータとして、基質トークンに含まれているコード情報を含む、非代替性トークンを基質トークン側で生成するためのトークン生成用データを取得する(S13)。
【0070】
非代替性トークン生成部135は、実行対象の基質トークンに対し、NFT生成リクエストに含まれているゲームユーザのウォレットのアドレス情報が示すアドレスを非代替性トークンの出力先として指示し、トークン生成用データを入力変数として当該基質トークンを実行する(S14)。これにより、非代替性トークン生成部135は、当該基質トークンに、当該基質トークンに含まれているコード情報を含み、当該コード情報と入力変数とに基づいて内部値が決定された非代替性トークンを生成させる。
【0071】
基質トークンは、トークン生成用情報と、自身に含まれているコード情報とに基づいて、非代替性トークンに含まれる内部値を決定し、決定した内部値と、当該コード情報とを含む非代替性トークンを生成する(S15)。基質トークンは、生成した非代替性トークンを、指定されたアドレスが示すゲームユーザのウォレットに格納する(S16)。非代替性トークン生成部135は、基質トークンを実行することにより非代替性トークンが生成されると、当該基質トークンを消滅させる(S17)。このようにすることで、情報処理システムSは、基質トークンを、ユーザが所有権を有し、基質トークンに含まれるコード情報を引き継いだ非代替性トークンに変換することができる。
【0072】
続いて、ゲームユーザが非代替性トークンを分解エンジニアに売却する際の処理の流れを説明する。図8は、ゲームユーザが非代替性トークンを分解エンジニアに売却する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0073】
所有権変更部136は、非代替性トークンを分解可能な分解エンジニアから、ゲームユーザのユーザ識別情報(ウォレットのアドレス情報)に関連付けられている非代替性トークンの譲受要求を受け付ける。所有権変更部136は、当該ゲームユーザから、当該非代替性トークンの譲渡要求を受け付けることにより、当該非代替性トークンに関連付けられるユーザ識別情報を、当該ユーザのユーザ識別情報から、当該分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する。
【0074】
例えば、所有権変更部136は、非代替性トークンに係る情報を分解エンジニアが使用する分解エンジニア端末に送信し(S21)、分解エンジニアに、非代替性トークンの譲受希望金額を決定させる。
【0075】
所有権変更部136は、分解エンジニアからゲームユーザのウォレットに格納されている非代替性トークンの譲受希望金額を受け付ける(S22)。所有権変更部136は、分解エンジニアから受け付けた譲受希望金額をユーザ端末に提示し(S23)、ゲームユーザから、当該譲受希望金額による当該非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付ける。例えば、所有権変更部136は、ユーザ端末から、非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付けたことを示す許諾情報を受信することにより、非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付ける。所有権変更部136は、ゲームユーザから非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付けると、当該非代替性トークンの売買が成立したと決定する。
【0076】
所有権変更部136は、非代替性トークンの売買が成立すると、分解エンジニア端末に、譲受希望金額に対応する暗号通貨を予め定められたウォレットのアドレスに送金する送金要求を送信し(S24)、分解エンジニアから譲受希望金額に対応する量の暗号通貨の入金を受け付ける。所有権変更部136は、予め定められたウォレットのアドレスに対し、分解エンジニアから譲受希望価格に対応する量の暗号通貨が入金されたことに応じて、当該譲受希望価格に対応する量の暗号通貨をユーザのウォレットに送金するとともに(S26)、当該非代替性トークンが格納されるウォレットを、ユーザのウォレットから、分解エンジニアのウォレットに変更する(S27)。ここで、所有権変更部136は、譲受希望価格から移転手数料を差し引いた金額に対応する量の暗号通貨をユーザのウォレットに送金してもよい。
【0077】
なお、上述の説明では、所有権変更部136が一人のゲームユーザが所有する非代替性トークンの所有権を移転させる例について説明したがこれに限らない。所有権変更部136は、複数のゲームユーザと、複数の分解エンジニアとの間で上述した非代替性トークンの所有権の移転を行うようにし、非代替性トークンの市場として機能してもよい。
【0078】
続いて、内部値更新部137及びアイテム付与部138の機能について説明する。
内部値更新部137は、ゲーム用トークンの内部値を非代替性トークンに基づいて変化させる要求を取得すると、ゲーム用トークンに含まれる内部値と、非代替性トークンに含まれる内部値とに基づいて、ゲーム用トークンに含まれる内部値を更新するとともに、当該非代替性トークンを消滅させる。
【0079】
例えば、内部値更新部137は、ゲーム用トークンに含まれている吸収プログラムから、吸収トークンに被吸収トークンを吸収させる吸収リクエストを取得する。内部値更新部137は、吸収リクエストを取得すると、吸収トークンに含まれる内部値と、被吸収トークンに含まれる内部値とに基づいて、吸収トークンの内部値を更新する。内部値更新部137は、吸収トークンの内部値を更新すると、被吸収トークンを消滅させる。
【0080】
アイテム付与部138は、例えばドローチェーンコントラクトである。アイテム付与部138は、ゲームユーザから、ゲームオーナが提供するアイテムの取得を要求するアイテム取得リクエストを取得すると、ゲーム用トークンに含まれる内部値が、ゲームオーナにより定められた条件を満たしていることを条件として、当該ゲームユーザにアイテムを付与する。
【0081】
例えば、アイテム付与部138は、ゲーム用トークンに含まれている取得用プログラムから、アイテム取得リクエストを取得する。アイテム付与部138は、アイテム取得リクエストに含まれている、ゲーム用トークンの内部値がゲームオーナにより予め定められた条件を満たしているか否かを判定する。アイテム付与部138は、当該条件を満たしていると判定すると、ゲームユーザにアイテムを付与する。
【0082】
[本実施形態における効果]
以上の通り、本実施形態に係る情報処理システムSは、ユーザが所定の行為を行った場合におけるユーザの経験を示す経験情報を取得し、取得した経験情報に基づくデータが入力変数として実行されると非代替性トークンを生成するプログラムである基質トークンを、取得した経験情報に基づくデータを入力変数として実行することにより、当該基質トークンに非代替性トークンを生成させ、当該基質トークンに、生成された非代替性トークンを、ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けさせる。このようにすることで、情報処理システムSは、リアルマネートレードに当たらずにユーザに対応する資産である非代替性トークンを譲渡可能とすることができる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0084】
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 規格プログラム受付部
132 有効化部
133 基質トークン生成部
134 経験情報取得部
135 非代替性トークン生成部
136 所有権変更部
137 内部値更新部
138 アイテム付与部
S 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得する取得部と、
非代替性トークンを生成するためのトークン生成用データを生成するインスタンスに、前記取得部が取得した前記経験情報を入力することにより、非代替性トークンを生成する非代替性トークン生成部と、
を有し、
前記インスタンスは、入力された前記経験情報と、予め定められた、前記非代替性トークンに含まれ、前記経験情報が示す経験を非代替性トークンに反映させるための内部値を算出するための内部値算出ロジックとに基づいて、トークン生成用データを生成し、生成したトークン生成用データを入力変数として基質プログラムに入力して前記基質プログラムを実行し、
前記基質プログラムは、前記インスタンスにより実行されると、非代替性トークンが有する少なくとも1つの前記内部値の決定に用いられるコード情報を含み、当該コード情報と、前記インスタンスから入力変数として入力された前記トークン生成用データとに基づいて、前記コード情報に所定の演算を行うことにより決定した前記内部値を含む非代替性トークンを生成し、生成した非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付ける、
情報処理システム。
【請求項2】
前記非代替性トークン生成部は、前記基質プログラムを実行することにより前記非代替性トークンが生成されると、前記基質プログラムを、基質プログラムを取り出し不可能なウォレットに移動することにより、前記基質プログラムを使用不可能とする、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
基質プログラムを生成するための規格プログラムを実行することにより当該規格プログラムに基質プログラムを生成させる基質プログラム生成部をさらに有する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記規格プログラムは、コード情報を組み込むことにより基質プログラムを生成可能となり、
規格プログラムと前記コード情報とを受け付けると、当該規格プログラムに前記コード情報を組み込むことにより前記規格プログラムが基質プログラムを生成可能な状態にする有効化部をさらに有し、
前記基質プログラム生成部は、前記コード情報が組み込まれた規格プログラムを実行することによりプログラムを生成する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記基質プログラム生成部は、前記規格プログラムの所有者から前記規格プログラムの実行指示を受け付けることにより、前記規格プログラムに基質プログラムを生成させる、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記非代替性トークン生成部は、前記基質プログラムに、コード情報を含む非代替性トークンを生成させ、
前記非代替性トークンから複数のコード情報を抽出するとともに、当該非代替性トークンを取り出し不可能なウォレットに移動して前記非代替性トークンを使用不可能とするプログラムが実行されると、当該プログラムが、前記非代替性トークンから、前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報又は前記非代替性トークンに含まれている前記コード情報に対応するコード情報抽出し、コード情報が抽出された後の前記非代替性トークンを、非代替性トークンを取り出し不可能なウォレットに移動して当該非代替性トークンが使用不可能とすることにより、当該非代替性トークンが分解される
請求項2からのいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記非代替性トークンを分解可能な分解エンジニアから、前記ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている非代替性トークンの譲受要求を受け付けるとともに、前記ユーザから、当該非代替性トークンの譲渡要求を受け付けることにより、当該非代替性トークンに関連付けられるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する変更部をさらに有する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記変更部は、前記分解エンジニアから前記ユーザのウォレットに格納されている非代替性トークンの譲受希望金額を受け付け、前記ユーザから、当該譲受希望金額による当該非代替性トークンの譲渡の許諾を受け付けると、当該非代替性トークンに関連付けるユーザ識別情報を、前記ユーザのユーザ識別情報から、前記分解エンジニアのユーザ識別情報に変更する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが実行する、ユーザが所定の行為を行った場合における前記ユーザの経験を示す経験情報を取得するステップと、
前記コンピュータが実行する、非代替性トークンを生成するためのトークン生成用データを生成するインスタンスに、取得した前記経験情報を入力することにより、非代替性トークンを生成するステップと、
前記インスタンスが実行する、入力された前記経験情報と、予め定められた、前記非代替性トークンに含まれ、前記経験情報が示す経験を非代替性トークンに反映させるための内部値を算出するための内部値算出ロジックとに基づいて、トークン生成用データを生成するステップと、
前記インスタンスが実行する、生成したトークン生成用データを入力変数として基質プログラムに入力して前記基質プログラムを実行するステップと、
前記基質プログラムが実行する、前記インスタンスにより実行されると、非代替性トークンが有する少なくとも1つの前記内部値の決定に用いられるコード情報を含み、当該コード情報と、前記インスタンスから入力変数として入力された前記トークン生成用データとに基づいて、前記コード情報に所定の演算を行うことにより決定した前記内部値を含む非代替性トークンを生成するステップと、
前記基質プログラムが実行する、生成した非代替性トークンを、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報に関連付けるステップと、
を有する情報処理方法。