(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071269
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器及び移動体用ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20240517BHJP
F28F 3/10 20060101ALI20240517BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20240517BHJP
F25B 31/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28F3/10
F28D9/02
F25B31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182122
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 侑太朗
(72)【発明者】
【氏名】宮地 智也
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA13
3L103BB37
3L103DD15
3L103DD57
3L103DD58
(57)【要約】
【課題】第1流体及び第2流体の漏れを防止しつつ、第1流体と第2流体とで好適に熱交換が可能なプレート式熱交換器を提供する。また、移動体への搭載性に優れた移動体用ヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】本発明のプレート式熱交換器1では、熱交換プレート3にプレート側壁部3i、3j及びプレート側連絡路31~38が設けられており、スペーサ5にスペーサ側壁部5i、5jが設けられている。スペーサ5のスペーサ本体6には、本体側連絡路61~64が設けられており、スペーサ5のシール材8には、シール側連絡路81~88が設けられている。スペーサ5は、第1特定連絡路に対して本体側連絡路61~64を連通させているときには、第2特定連絡路に対して本体側連絡路61~64を非連通とし、第2特定連絡路に対して本体側連絡路61~64を連通させているときには、第1特定連絡路に対して本体側連絡路61~64を非連通とする。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし、熱交換域が設けられているとともに、前記熱交換域周りに第1開口、第2開口、第3開口及び第4開口が貫設された複数枚の熱交換プレートと、
前記熱交換プレートを間に挟む板状をなし、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第1流体を流通させる第1流体路と、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの前記第1流体路を構成する開口以外の二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第2流体を流通させる第2流体路とを前記熱交換プレートに形成する複数枚のスペーサと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ及び前記各シール材を挟持する第1エンドプレート及び第2エンドプレートと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートを積層して締結する複数の締結部材とを備え、
前記第1エンドプレート又は前記第2エンドプレートには、前記第1流体路に前記第1流体を供給可能な第1流体供給口と、前記第1流体路から前記第1流体を排出可能な第1流体排出口と、前記第2流体路に前記第2流体を供給可能な第2流体供給口と、前記第2流体路から前記第2流体を排出可能な第2流体排出口とが設けられ、
前記第1流体路内の前記第1流体と前記第2流体路内の前記第2流体とで熱交換を行うプレート式熱交換器であって、
前記各スペーサは、スペーサ本体と、前記スペーサ本体の両面にそれぞれ設けられたシール材とを有し、
前記各熱交換プレートには、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域との間に位置し、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域とを仕切るプレート側壁部と、
前記第1開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第1プレート側連絡路と、
前記第2開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第2プレート側連絡路と、
前記第3開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第3プレート側連絡路と、
前記第4開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第4プレート側連絡路とが設けられ、
前記各スペーサには、前記熱交換域に臨む連通口と、
前記第1開口と連通する第1挿通口と、
前記第2開口と連通する第2挿通口と、
前記第3開口と連通する第3挿通口と、
前記第4開口と連通する第4挿通口と、
前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口との間に位置し、前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口とを非連通とするスペーサ側壁部とが設けられ、
前記スペーサ本体には、前記連通口と接続する一方で前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口とは非接続となる第1本体側連絡路及び第2本体側連絡路が設けられ、
前記各シール材には、前記第1プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第1シール側連絡路と、
前記第2プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第2シール側連絡路と、
前記第3プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第3シール側連絡路と、
前記第4プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第4シール側連絡路とが設けられ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第1流体路を構成する2つの開口は第1特定開口とされ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第2流体路を構成する2つの開口は第2特定開口とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第1特定開口と接続するプレート側連絡路は第1特定連絡路とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第2特定開口と接続するプレート側連絡路は第2特定連絡路とされ、
前記各スペーサは、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とし、
前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とすることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路はそれぞれ複数であり、
前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路はそれぞれ複数であり、
前記第1シール側連絡路、前記第2シール側連絡路、前記第3シール側連絡路及び前記第4シール側連絡路はそれぞれ複数である請求項1記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記各シール材には、前記第1挿通口及び前記第1シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第1環状凸部と、
前記第2挿通口及び前記第2シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第2環状凸部と、
前記第3挿通口及び前記第3シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第3環状凸部と、
前記第4挿通口及び前記第4シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第4環状凸部とが設けられている請求項1又は2記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口の少なくとも一つには前記締結部材が挿通されている請求項1記載のプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項1記載のプレート式熱交換器と、ハウジング内に圧縮機構及び電動モータが設けられた電動圧縮機とを備え、
前記プレート式熱交換器と前記電動圧縮機とは、前記締結部材によって締結されていることを特徴とする移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートの少なくとも一方が前記ハウジングを構成している請求項5記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート式熱交換器と、移動体用ヒートポンプ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のプレート式熱交換器が開示されている。このプレート式熱交換器は、複数枚の熱交換プレートと、複数個のガスケットと、固定フレームと、支え棒と、ガイドロッドと、可動フレームとを備えている。
【0003】
各熱交換プレートは板状をなしている。各熱交換プレートには、熱交換域が設けられているとともに、熱交換域周りに第1開口、第2開口、第3開口及び第4開口が貫設されている。各ガスケットは熱交換プレートの表面又は裏面に装着される。固定フレーム、支え棒、ガイドロッド及び可動フレームは、各熱交換プレート及び各ガスケットを積層して締結する。
【0004】
各熱交換プレートとしては、交互に積層される2組ずつが用意されている。各ガスケットは、一方側の熱交換プレートに対し、第1開口及び第2開口と熱交換域とを第1流体路として連通させるとともに、第3開口及び第4開口と熱交換域とを非連通とする。また、各ガスケットは、他方側の熱交換プレートに対し、第3開口及び第4開口と熱交換域とを第2流体路として連通させるとともに、第1開口及び第2開口と熱交換域とを非連通とする。
【0005】
固定フレームには、第1流体路に第1流体を供給可能な第1流体供給口と、第1流体路から第1流体を排出可能な第1流体排出口と、第2流体路に第2流体を供給可能な第2流体供給口と、第2流体路から第2流体を排出可能な第2流体排出口とが設けられている。
【0006】
このプレート式熱交換器は、各熱交換プレートをろう付けする必要なく、第1流体路内の第1流体と第2流体路内の第2流体とで熱交換を行うことができる。このため、このプレート式熱交換器は、ろう付けの手間を省いて製造コストの低廉化を実現できるとともに、各熱交換プレートの材料の選定に自由度を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種のプレート式熱交換器では、第1~4開口内を流通する第1流体や第2流体が熱交換域に不必要に漏れたり、プレート式熱交換器の外部に漏れたりすることを防止するために高いシール性が要求される。特に、高圧の第1流体や第2流体を用いる場合には、第1流体や第2流体の漏れが生じ易くなることから、より高いシール性が要求される。そして、このように高いシール性を要求しつつも、それによって、第1流体と第2流体との熱交換が損なわれることがないことも求められる。
【0009】
また、第1~4開口内を流通する第1流体や第2流体が漏れは、振動によっても生じるおそれがあることから、このようなプレート式熱交換器を備えた移動体用ヒートポンプ装置は、車両等の移動体への搭載性が懸念される。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、第1流体及び第2流体の漏れを防止しつつ、第1流体と第2流体とで好適に熱交換が可能なプレート式熱交換器を提供することを解決すべき課題としている。また、本発明は、このようなプレート式熱交換器を備え、移動体への搭載性に優れた移動体用ヒートポンプ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプレート式熱交換器は、板状をなし、熱交換域が設けられているとともに、前記熱交換域周りに第1開口、第2開口、第3開口及び第4開口が貫設された複数枚の熱交換プレートと、
前記熱交換プレートを間に挟む板状をなし、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第1流体を流通させる第1流体路と、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの前記第1流体路を構成する開口以外の二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第2流体を流通させる第2流体路とを前記熱交換プレートに形成する複数枚のスペーサと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ及び前記各シール材を挟持する第1エンドプレート及び第2エンドプレートと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートを積層して締結する複数の締結部材とを備え、
前記第1エンドプレート又は前記第2エンドプレートには、前記第1流体路に前記第1流体を供給可能な第1流体供給口と、前記第1流体路から前記第1流体を排出可能な第1流体排出口と、前記第2流体路に前記第2流体を供給可能な第2流体供給口と、前記第2流体路から前記第2流体を排出可能な第2流体排出口とが設けられ、
前記第1流体路内の前記第1流体と前記第2流体路内の前記第2流体とで熱交換を行うプレート式熱交換器であって、
前記各スペーサは、スペーサ本体と、前記スペーサ本体の両面にそれぞれ設けられたシール材とを有し、
前記各熱交換プレートには、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域との間に位置し、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域とを仕切るプレート側壁部と、
前記第1開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第1プレート側連絡路と、
前記第2開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第2プレート側連絡路と、
前記第3開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第3プレート側連絡路と、
前記第4開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第4プレート側連絡路とが設けられ、
前記各スペーサには、前記熱交換域に臨む連通口と、
前記第1開口と連通する第1挿通口と、
前記第2開口と連通する第2挿通口と、
前記第3開口と連通する第3挿通口と、
前記第4開口と連通する第4挿通口と、
前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口との間に位置し、前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口とを非連通とするスペーサ側壁部とが設けられ、
前記スペーサ本体には、前記連通口と接続する一方で前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口とは非接続となる第1本体側連絡路及び第2本体側連絡路が設けられ、
前記各シール材には、前記第1プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第1シール側連絡路と、
前記第2プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第2シール側連絡路と、
前記第3プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第3シール側連絡路と、
前記第4プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第4シール側連絡路とが設けられ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第1流体路を構成する2つの開口は第1特定開口とされ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第2流体路を構成する2つの開口は第2特定開口とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第1特定開口と接続するプレート側連絡路は第1特定連絡路とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第2特定開口と接続するプレート側連絡路は第2特定連絡路とされ、
前記各スペーサは、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とし、
前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とすることを特徴とする。
【0012】
本発明のプレート式熱交換器では、熱交換プレートとスペーサとが交互に積層される。そして、複数の締結部材が各熱交換プレート、各スペーサ、第1エンドプレート及び第2エンドプレートを締結する。
【0013】
ここで、各熱交換プレートにはプレート側壁部が設けられているため、各熱交換プレートの剛性を高くすることができる。また、各スペーサにはスペーサ側壁部が設けられているため、各スペーサの剛性も高くすることができる。これらにより、このプレート式熱交換器では、各熱交換プレート及び各スペーサに変形が生じ難く、締結部材によって、各熱交換プレート、各スペーサ、第1エンドプレート及び第2エンドプレートを強固に締結することができる。このため、第1~4開口内を流通する第1流体や第2流体が熱交換域に不必要に漏れたり、プレート式熱交換器の外部に漏れたりし難い。さらに、各熱交換プレート及び各スペーサの剛性が高く第1流体及び第2流体が漏れ難いことから、このプレート式熱交換器では、高圧の第1流体及び第2流体を用いることも可能である。
【0014】
また、このプレート式熱交換器において、例えば第2開口及び第3開口が第1特定開口であり、第1開口及び第4開口が第2特定開口である場合を想定すると、第2プレート側連絡路及び第3プレート側連絡路が第1特定連絡路となり、第1プレート側連絡路及び第4プレート側連絡路が第2特定連絡路となる。
【0015】
そして、このプレート式熱交換器では、スペーサが第2、3プレート側連絡路に対して第1、2本体側連絡路を連通させることにより、第2、3開口内を流通する第1流体は、第2、3プレート側連絡路及び第1、2本体側連絡路を経て熱交換域に流通する。この際、スペーサは、第1、4プレート側連絡路に対しては第1、2本体側連絡路を非連通とさせるため、第1、4開口内を流通する第2流体は熱交換域に流通することがない。反対に、スペーサは、第1、4プレート側連絡路に対して第1、2本体側連絡路を連通させているときには、第2、3プレート側連絡路に対して第1、2本体側連絡路を非連通とさせる。このため、第1、4開口内を流通する第2流体は熱交換域に流通する一方で、第1、4開口内を流通する第1流体は熱交換域に流通することがない。
【0016】
こうして、このプレート式熱交換器では、各熱交換プレートにプレート側壁部が設けられ、かつ、各スペーサにスペーサ側壁部が設けられていても、熱交換域に対して第1流体や第2流体を好適に流通させることができる。
【0017】
したがって、本発明のプレート式熱交換器は、第1流体及び第2流体の漏れを防止しつつ、第1流体と第2流体とで好適に熱交換が可能である。
【0018】
第1プレート側連絡路、第2プレート側連絡路、第3プレート側連絡路及び第4プレート側連絡路はそれぞれ複数であり得る。また、第1本体側連絡路及び第2本体側連絡路はそれぞれ複数であり得る。そして、第1シール側連絡路、第2シール側連絡路、第3シール側連絡路及び第4シール側連絡路はそれぞれ複数であることが好ましい。
【0019】
この場合には、熱交換域に流通する第1流体及び第2流体の流量を好適に確保することができる。
【0020】
各シール材には、第1挿通口及び第1シール側連絡路を囲みつつ熱交換プレートに向かって突出し、熱交換プレートと当接する第1環状凸部と、第2挿通口及び第2シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、熱交換プレートと当接する第2環状凸部と、第3挿通口及び第3シール側連絡路を囲みつつ熱交換プレートに向かって突出し、熱交換プレートと当接する第3環状凸部と、第4挿通口及び第4シール側連絡路を囲みつつ熱交換プレートに向かって突出し、熱交換プレートと当接する第4環状凸部とが設けられていることが好ましい。
【0021】
この場合には、第1~4開口を流通する第1流体や第2流体の漏れをより好適に防止できる。
【0022】
第1開口、第2開口、第3開口及び第4開口の少なくとも一つには締結部材が挿通されていることが好ましい。この場合には、プレート式熱交換器の設計の自由度を高くすることができる。
【0023】
本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、上記のプレート式熱交換器と、ハウジング内に圧縮機構及び電動モータが設けられた電動圧縮機とを備え、
前記プレート式熱交換器と前記電動圧縮機とは、前記締結部材によって締結されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の移動体用ヒートポンプ装置が備えるプレート式熱交換器は、上述のように第1流体や第2流体の漏れを好適に防止しつつ、第1流体と第2流体とで好適に熱交換が可能である。
【0025】
したがって、本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、車両等の移動体に対して優れた搭載性を発揮する。
【0026】
特に、この移動体用ヒートポンプ装置では、各熱交換プレート、各スペーサ、第1エンドプレート及び第2エンドプレートを締結する締結部材によって、プレート式熱交換器と電動圧縮機とが締結される。このため、プレート式熱交換器と電動圧縮機とを締結するための専用の部材を別途に用意する必要がない。これにより、この移動体用ヒートポンプ装置は、部品点数を削減して製造コストを低廉化しつつ、製造を容易化できる。
【0027】
第1エンドプレート及び第2エンドプレートの少なくとも一方がハウジングを構成していることが好ましい。この場合には、移動体用ヒートポンプ装置の一体性が向上するため、移動体への搭載性をより高くできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のプレート式熱交換器は、第1流体及び第2流体の漏れを防止しつつ、第1流体と第2流体とで好適に熱交換が可能である。また、本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、車両等の移動体に対して優れた搭載性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施例1のプレート式熱交換器の正面図である。
【
図2】
図2は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、
図1のD1方向から見た側面図である。
【
図3】
図3は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、
図1のD2方向から見た側面図である。
【
図4】
図4は、実施例1のプレート式熱交換器の分解図である。
【
図5】
図5は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、熱交換プレートの平面図である。
【
図6】
図6は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、スペーサ本体の平面図である。
【
図7】
図7は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、シール材の平面図である。
【
図8】
図8は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、スペーサの一方側の面の平面図である。
【
図9】
図9は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、スペーサの他方側の面の平面図である。
【
図10】
図10は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、第2エンドプレートの平面図である。
【
図11】
図11は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、第1エンドプレートと、各熱交換プレートと、各スペーサと、第2エンドプレートとが締結された状態を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、熱交換プレートとスペーサとを示す
図11の要部拡大斜視図である。
【
図13】
図13は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、
図11におけるA-A断面を示す要部拡大断面図である。
【
図14】
図14は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、
図11におけるB-B断面を示す要部拡大断面図である。
【
図15】
図15は、実施例1のプレート式熱交換器に係り、第1エンドプレートと、各熱交換プレートと、各スペーサと、第2エンドプレートとが締結された状態を示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施例1のプレート式熱交換器における冷媒とクーラントとの流れを示す模式斜視図である。
【
図17】
図17は、実施例2の移動体用ヒートポンプ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施例1)
図1~
図4に示すように、実施例1のプレート式熱交換器1は、4枚の熱交換プレート3と、5枚のスペーサ5と、1つの第1エンドプレート7と、1つの第2エンドプレート9と、13本のボルト11とからなる。なお、熱交換プレート3及びスペーサ5は、複数であれば各枚数は適宜設計可能である。
【0032】
図5に示すように、熱交換プレート3は、平面視で長辺及び短辺を有する長方形状の板状をなしている。各熱交換プレート3の四つの角部は面取りされている。各熱交換プレート3はアルミニウム合金製又はステンレス製である。
【0033】
熱交換プレート3の中央には、第1熱交換域4aと第2熱交換域4bとが区画されている。第1熱交換域4a及び第2熱交換域4bは、本発明における「熱交換域」の一例である。第1熱交換域4aと第2熱交換域4bとは互いに離隔した状態で隣接して配置されている。より具体的には、第1、2熱交換域4a、4bは、平面視で略六角形状に区画されている。また、第1、2熱交換域4a、4bは、熱交換プレート3における一方側の面を表面とし他方側の面を裏面とした場合に、裏面から表面に向かって突出する複数の谷と、表面から裏面に向かって凹む複数谷とが交互に複数列で構成された凹凸形状をなしている。
【0034】
また、熱交換プレート3には、第1~8開口3a~3hが設けられている他、第1プレート側壁部3iと第2プレート側壁部3jとが設けられている。第1プレート側壁部3i及び第2プレート側壁部3jは、本発明における「プレート側壁部」の一例である。
【0035】
第1~8開口3a~3hは、いずれも熱交換プレート3を貫通する同一の略円形をなしている。第1~4開口3a~3dは第1熱交換域4aの周囲に配置されており、第5~8開口3e~3hは第2熱交換域4bの周囲に配置されている。
【0036】
より具体的には、第1開口3aと第2開口3bとは、互いに離隔しつつ、第1熱交換域4aの長手方向の一端側に配置されている。第3開口3cと第4開口3dとは、互いに離隔しつつ、第1熱交換域4aの長手方向の他端側に配置されている。そして、第1開口3aと第3開口3cとは第1熱交換域4aの長手方向で整列しており、第2開口3bと第4開口3dとは第1熱交換域4aの長手方向で整列している。同様に、第5開口3eと第6開口3fとは、互いに離隔しつつ、第2熱交換域4bの長手方向の一端側に配置されている。第7開口3gと第8開口3hとは、互いに離隔しつつ、第2熱交換域4bの長手方向の他端側に配置されている。そして、第5開口3eと第7開口3gとは第2熱交換域4bの長手方向で整列しており、第6開口3fと第8開口3hとは第2熱交換域4bの長手方向に整列している。また、第2開口3bと第6開口3fとは互いに離隔して配置されており、第4開口3dと第8開口3hとは互いに離隔して配置されている。
【0037】
第1プレート側壁部3iは、第1~4開口3a~3dと第1熱交換域4aとの間に位置している。これにより、第1プレート側壁部3iは、第1熱交換域4aを囲いつつ、第1~4開口3a~3dと第1熱交換域4aとを仕切っている。第2プレート側壁部3jは、第5~8開口3e~3hと第2熱交換域4bとの間に位置している。これにより、第2プレート側壁部3jは、第2熱交換域4bを囲いつつ、第5~8開口3e~3hと第2熱交換域4bとを仕切っている。
【0038】
こうして、熱交換プレート3では、第1プレート側壁部3iにより、第1~4開口3a~3dと第1熱交換域4aとが繋がっておらず、また、第2プレート側壁部3jにより、第5~8開口3e~3hと第2熱交換域4bとが繋がっていない。
【0039】
また、熱交換プレート3には、第1~8プレート側連絡路31~38が設けられている。第1~8プレート側連絡路31~38は、それぞれ熱交換プレート3に3つずつ設けられている。各第1~8プレート側連絡路31~38は、いずれも熱交換プレート3を貫通している。
【0040】
各第1プレート側連絡路31は、それぞれ第1開口3aと第1熱交換域4aとの間に位置している。各第1プレート側連絡路31は、第1開口3aと接続している一方で、第1熱交換域4aとは非接続となっている。各第2プレート側連絡路32は、それぞれ第2開口3bと第1熱交換域4aとの間に位置している。各第2プレート側連絡路32は、第2開口3bと接続している一方で、第1熱交換域4aとは非接続となっている。各第3プレート側連絡路33は、それぞれ第3開口3cと第1熱交換域4aとの間に位置している。各第3プレート側連絡路33は、第3開口3cと接続している一方で、第1熱交換域4aとは非接続となっている。各第4プレート側連絡路34は、それぞれ第4開口3dと第1熱交換域4aとの間に位置している。各第4プレート側連絡路34は、第4開口3dと接続している一方で、第1熱交換域4aとは非接続となっている。
【0041】
各第5プレート側連絡路35は、それぞれ第5開口3eと第2熱交換域4bとの間に位置している。各第5プレート側連絡路35は、第5開口3eと接続している一方で、第2熱交換域4bとは非接続となっている。各第6プレート側連絡路36は、それぞれ第6開口3fと第2熱交換域4bとの間に位置している。各第6プレート側連絡路36は、第6開口3fと接続している一方で、第2熱交換域4bとは非接続となっている。各第7プレート側連絡路37は、それぞれ第7開口3gと第2熱交換域4bとの間に位置している。各第7プレート側連絡路37は、第7開口3gと接続している一方で、第2熱交換域4bとは非接続となっている。各第8プレート側連絡路38は、それぞれ第8開口3hと第2熱交換域4bとの間に位置している。各第8プレート側連絡路38は、第8開口3hと接続している一方で、第2熱交換域4bとは非接続となっている。
【0042】
より具体的には、3つの第1プレート側連絡路31は互いに離隔しつつ、第1開口3a側から第1熱交換域4aに向かって放射状に延びている。また、3つの第1プレート側連絡路31のうちの一つは、他の2つに比べて第1開口3a側から第1熱交換域4aに向かって長く延びている。詳細な説明を省略するものの、各第2~8プレート側連絡路32~38の形状についても同様である。なお、各第1~8プレート側連絡路31~38の形状及び個数は適宜設計可能である。
【0043】
また、熱交換プレート3には、5つのボルト穴3kが設けられている。各ボルト穴3kは、全て同一径の円孔であり、熱交換プレート3を貫通している。
【0044】
図13及び
図14に示すにように、各スペーサ5は、板状をなすステンレス製のスペーサ本体6と、ゴム製のシール材8とからなる。
【0045】
図6に示すように、スペーサ本体6には、第1本体側連通口10aと第2本体側連通口10bとが設けられている。第1、2本体側連通口10a、10bは、熱交換プレート3の第1、2熱交換域4a、4bに対応するように、スペーサ本体6にそれぞれ配置されている。第1、2本体側連通口10a、10bは、平面視で略六角形状をなしており、スペーサ本体6を貫通している。また、第1本体側連通口10aと第2本体側連通口10bとは互いに離隔しており、非接続となっている。
【0046】
また、スペーサ本体6には、第1~8本体側挿通口6a~6hが設けられている他、第1本体側壁部6iと第2本体側壁部6jとが設けられている。
【0047】
第1~8本体側挿通口6a~6hは、いずれもスペーサ本体6を貫通する同一の略円形をなしている。第1~4本体側挿通口6a~6dは、熱交換プレート3の第1~4開口3a~3dとそれぞれ対応するように、第1本体側連通口10aの周囲に配置されている。第5~8本体側挿通口6e~6hは、熱交換プレート3の第5~8開口3e~3hとそれぞれ対応するように、第2本体側連通口10bの周囲に配置されている。
【0048】
第1本体側壁部6iは、第1~4本体側挿通口6a~6dと第1本体側連通口10aとの間に位置している。第1本体側壁部6iは、第1本体側連通口10aを囲いつつ、第1~4本体側挿通口6a~6dと第1本体側連通口10aとを非連通としている。一方、第2本体側壁部6jは、第5~8本体側挿通口6e~6hと第2本体側連通口10bとの間に位置している。第2本体側壁部6jは、第2本体側連通口10bを囲いつつ、第5~8本体側挿通口6e~6hと第2本体側連通口10bとを非連通としている。
【0049】
また、スペーサ本体6には、第1~4本体側連絡路61~64が設けられている。第1~4本体側連絡路61~64は、それぞれスペーサ本体6に3つずつ設けられている。また、各第1、2本体側連絡路61、62は、第1本体側壁部6iの一部を切り欠きつつ、スペーサ本体6を貫通している。そして、各第3、4本体側連絡路63、64は、第2本体側壁部6jの一部を切り欠きつつ、スペーサ本体6を貫通している。
【0050】
3つの第1本体側連絡路61同士は、いずれも同一の形状である。各第1本体側連絡路61は、第1本体側連通口10aの長手方向の一方側に位置しており、第1本体側連通口10aと接続しつつ、第1本体側連通口10aから
図6の紙面の左上方に向かって延びている。3つの第2本体側連絡路62同士は、いずれも同一の形状である。各第2本体側連絡路62は、第1本体側連通口10aの長手方向の他方側に位置しており、第1本体側連通口10aと接続しつつ、第1本体側連通口10aから
図6の紙面の右下方に向かって延びている。
【0051】
3つの第3本体側連絡路63同士は、いずれも同一の形状である。各第3本体側連絡路63は、第2本体側連通口10bの長手方向の一方側に位置しており、第2本体側連通口10bと接続しつつ、第2本体側連通口10bから
図6の紙面の右上方に向かって延びている。3つの第4本体側連絡路64同士は、いずれも同一の形状である。各第4本体側連絡路は、第2本体側連通口10bの長手方向の他方側に位置しており、第2本体側連通口10bと接続しつつ、第2本体側連通口10bから
図6の紙面の左下方に向かって延びている。
【0052】
このように、スペーサ本体6では、各第1本体側連絡路61と各第2本体側連絡路62とがスペーサ軸O1を挟んで対称の形状となっている。同様に、各第3本体側連絡路63と各第4本体側連絡路64とがスペーサ軸O1を挟んで対称の形状となっている。また、各第1~4本体側連絡路61~64は、第1~8本体側挿通口6a~6hとは非接続となっている。なお、スペーサ軸O1については後述する。
【0053】
図7に示すように、シール材8には、第1シール側連通口12aと第2シール側連通口12bとが設けられている。第1、2シール側連通口12a、12bは、スペーサ本体6の第1、2本体側連通口10a、10bに対応するように、シール材8にそれぞれ配置されている。第1、2シール側連通口12a、12bは、平面視で略六角形状をなしており、シール材8を貫通している。また、第1シール側連通口12aと第2シール側連通口12bとは互いに離隔しており、非接続となっている。
【0054】
また、シール材8には、第1~8シール側挿通口8a~8hが設けられている他、第1シール側壁部8iと第2シール側壁部8jとが設けられている。
【0055】
第1~8シール側挿通口8a~8hは、いずれもシール材8を貫通する同一の略円形をなしている。第1~4シール側挿通口8a~8dは、スペーサ本体6の第1~4本体側挿通口6a~6dとそれぞれ対応するように、第1シール側連通口12aの周囲に配置されている。第5~8シール側挿通口8e~8hは、スペーサ本体6の第5~8本体側挿通口6e~6hとそれぞれ対応するように、第2シール側連通口12bの周囲に配置されている。
【0056】
第1シール側壁部8iは、第1~4シール側挿通口8a~8dと第1シール側連通口12aとの間に位置している。第1シール側壁部8iは、第1シール側連通口12aを囲いつつ、第1~4シール側挿通口8a~8dと第1シール側連通口12aとを非連通としている。一方、第2シール側壁部8jは、第5~8シール側挿通口8e~8hと第2シール側連通口12bとの間に位置している。第2シール側壁部8jは、第2シール側連通口12bを囲いつつ、第5~8シール側挿通口8e~8hと第2シール側連通口12bとを非連通としている。
【0057】
また、シール材8には、第1~8シール側連絡路81~88が設けられている。第1~8シール側連絡路81~88は、それぞれシール材8に3つずつ設けられている。各第1~8シール側連絡路81~88は、いずれもシール材8を貫通している。また、各第1~8シール側連絡路81~88は、熱交換プレート3の各第1~8プレート側連絡路31~38とそれぞれ同一の形状である。
【0058】
各第1シール側連絡路81は、それぞれ第1シール側挿通口8aと第1シール側連通口12aとの間に位置している。各第1シール側連絡路81は、第1シール側挿通口8aと接続している一方で、第1シール側連通口12aとは非接続となっている。各第2シール側連絡路82は、それぞれ第2シール側挿通口8bと第1シール側連通口12aとの間に位置している。各第2シール側連絡路82は、第2シール側挿通口8bと接続している一方で、第1シール側連通口12aとは非接続となっている。各第3シール側連絡路83は、それぞれ第3シール側挿通口8cと第1シール側連通口12aとの間に位置している。各第3シール側連絡路83は、第3シール側挿通口8cと接続している一方で、第1シール側連通口12aとは非接続となっている。各第4シール側連絡路84は、それぞれ第4シール側挿通口8dと第1シール側連通口12aとの間に位置している。各第4シール側連絡路84は、第4シール側挿通口8dと接続している一方で、第1シール側連通口12aとは非接続となっている。
【0059】
各第5シール側連絡路85は、それぞれ第5シール側挿通口8eと第2シール側連通口12bとの間に位置している。各第5シール側連絡路85は、第5シール側挿通口8eと接続している一方で、第2シール側連通口12bとは非接続となっている。各第6シール側連絡路86は、それぞれ第6シール側挿通口8fと第2シール側連通口12bとの間に位置している。各第6シール側連絡路86は、第6シール側挿通口8fと接続している一方で、第2シール側連通口12bとは非接続となっている。各第7シール側連絡路87は、それぞれ第7シール側挿通口8gと第2シール側連通口12bとの間に位置している。各第7シール側連絡路87は、第7シール側挿通口8gと接続している一方で、第2シール側連通口12bとは非接続となっている。各第8シール側連絡路88は、それぞれ第8シール側挿通口8hと第2シール側連通口12bとの間に位置している。各第8シール側連絡路88は、第8シール側挿通口8hと接続している一方で、第2シール側連通口12bとは非接続となっている。
【0060】
図13及び
図14に示すように、スペーサ5は、シール材8がスペーサ本体6の両面、すなわち、スペーサ本体6の一方側の面とスペーサ本体6の他方側の面とにそれぞれ設けられることで形成されている。こうして、スペーサ5では、スペーサ本体6と各シール材8とが一体をなしている。
【0061】
また、スペーサ5では、スペーサ本体6の一方側の面に設けられたシール材8がスペーサ5の一方側の面5X、すなわちスペーサ5の表面を構成している。そして、
図9に示すように、スペーサ本体6の他方側の面に設けられたシール材8がスペーサ5の他方側の面5Y、すなわちスペーサ5の裏面を構成している。
【0062】
また、スペーサ本体6の両面にシール材8が設けられることにより、第1本体側連通口10aと第1シール側連通口12aとが整合しつつ重なる。同様に、第2本体側連通口10bと第2シール側連通口12bとが整合しつつ重なる。こうして、第1本体側連通口10a及び第1シール側連通口12aは第1連通口50aを形成しており、第2本体側連通口10b及び第2シール側連通口12bは第2連通口50bを形成している。この結果、スペーサ5には、第1連通口50a及び第2連通口50bが設けられている。第1連通口50a及び第2連通口50bは、本発明における「連通口」の一例である。
【0063】
また、第1~8本体側挿通口6a~6hと第1~8シール側挿通口8a~8hとがそれぞれ整合しつつ重なることで第1~8挿通口5a~5hが形成されている。さらに、第1本体側壁部6iと第1シール側壁部8iとが当接することで第1スペーサ側壁部5iが形成されており、第2本体側壁部6jと第2シール側壁部8jとが当接することにより、第2スペーサ側壁部5jが形成されている。こうして、スペーサ5には、第1~8挿通口5a~5h、第1スペーサ側壁部5i及び第2スペーサ側壁部5jが設けられている。第1スペーサ側壁部5i及び第2スペーサ側壁部5jは、本発明における「スペーサ側壁部」の一例である。
【0064】
そして、スペーサ5では、第1~8挿通口5a~5hに対してシール材8の各第1~8シール側連絡路81~88がそれぞれ接続している。つまり、各第1~4シール側連絡路81~84は、第1~4挿通口5a~5dとそれぞれ接続する一方で第1連通口50aとは非接続となっている。また、各第5~8シール側連絡路85~88は、第5~8挿通口5e~5hとそれぞれ接続する一方で第2連通口50bとは非接続となっている。
【0065】
図8及び
図9に示すように、スペーサ5は、スペーサ5の板厚方向及び第1、2連通口50a、50bの長手方向に直交する方向に延びるスペーサ軸O1を有している。そして、スペーサ5は、スペーサ軸O1周りで一方側の面5Xと他方側の面5Y、つまり表面と裏面とが反転される。これにより、
図8に示す第1挿通口5a、第2挿通口5b、第5挿通口5e及び第6挿通口5fは、
図9ではそれぞれ第3挿通口5c、第4挿通口5d、第7挿通口5g及び第8挿通口5hとなる。同時に、
図8に示す第3挿通口5c、第4挿通口5d、第7挿通口5g及び第8挿通口5hは、
図9ではそれぞれ第1挿通口5a、第2挿通口5b、第5挿通口5e及び第6挿通口5fとなる。
【0066】
そして、
図8に示す各第1シール側連絡路81、各第2シール側連絡路82、各第5シール側連絡路85及び各第6シール側連絡路86は、
図9ではそれぞれ各第3シール側連絡路83、各第4シール側連絡路84、各第7シール側連絡路87及び各第8シール側連絡路88となる。同時に、
図8に示す各第3シール側連絡路83、各第4シール側連絡路84、各第7シール側連絡路87及び各第8シール側連絡路88は、
図9ではそれぞれ各第1シール側連絡路81、各第2シール側連絡路82、各第5シール側連絡路85及び各第6シール側連絡路86となる。
【0067】
また、スペーサ5では、各第1~8シール側連絡路81~88とスペーサ本体6とが重なることにより、各第1~4シール側連絡路81~84からスペーサ本体6の第1本体側壁部6iの一部が露出し、各第5~8シール側連絡路85~88から第2本体側壁部6jの一部が露出する。さらに、スペーサ5では、スペーサ本体6の各第1本体側連絡路61の一部が各第1シール側連絡路81又は各第3シール側連絡路83と重なり、各第2本体側連絡路62の一部が各第4シール側連絡路84又は各第2シール側連絡路82と重なる。そして、各第3本体側連絡路63の一部が各第5シール側連絡路85又は各第7シール側連絡路87と重なり、各第4本体側連絡路64の一部が各第8シール側連絡路88又は各第6シール側連絡路86と重なる。
【0068】
具体的には、スペーサ5が
図8に示す状態にあるとき、つまり、スペーサ5の一方側の面5Xが
図8の紙面の手前側に面している状態にあるときには、各第1本体側連絡路61の一部は各第1シール側連絡路81と重なり、各第2本体側連絡路62の一部は各第4シール側連絡路84と重なる。そして、各第3本体側連絡路63の一部は各第5シール側連絡路85と重なり、各第4本体側連絡路64の一部は各第8シール側連絡路88と重なる。
【0069】
こうして、スペーサ5が
図8に示す状態にあるときには、各第1本体側連絡路61の一部が各第1シール側連絡路81から露出し、各第2本体側連絡路62の一部が各第4シール側連絡路84から露出する。また、各第3本体側連絡路63の一部が各第5シール側連絡路85から露出し、各第4本体側連絡路64の一部が各第8シール側連絡路88から露出する。このため、各第1本体側連絡路61及び各第1シール側連絡路81を通じて第1挿通口5aが第1連通口50aに連通するとともに、各第2本体側連絡路62及び各第4シール側連絡路84を通じて第4挿通口5dが第1連通口50aに連通する。同様に、各第3本体側連絡路63及び各第5シール側連絡路85を通じて第5挿通口5eが第2連通口50bに連通するとともに、各第4本体側連絡路64及び各第8シール側連絡路88を通じて第8挿通口5hが第2連通口50bに連通する。
【0070】
そして、この際には、各第2シール側連絡路82及び各第3シール側連絡路83は、第1本体側壁部6i、ひいてはスペーサ本体6によって塞がれる。同様に、各第6シール側連絡路86及び各第7シール側連絡路87は、第2本体側壁部6jによって塞がれる。このため、各第2シール側連絡路82及び各第3シール側連絡路83は第1連通口50aと非連通となり、各第6シール側連絡路86及び各第7シール側連絡路87は第2連通口50bと非連通となる。この結果、第2、3挿通口5b、5cは第1連通口50aと非連通となり、第6、7挿通口5f、5gは第2連通口50bと非連通となる。
【0071】
一方、スペーサ5をスペーサ軸O1周りで反転させることにより、スペーサ5が
図9に示す状態にあるとき、つまり、スペーサ5の他方側の面5Yが
図9の紙面の手前側に面している状態にあるときには、各第1本体側連絡路61の一部は各第3シール側連絡路83と重なることで各第3シール側連絡路83から露出する。また、各第2本体側連絡路62の一部は各第2シール側連絡路82と重なることで各第2シール側連絡路82から露出する。さらに、各第3本体側連絡路63の一部は各第7シール側連絡路87と重なることで各第7シール側連絡路87から露出する。そして、各第4本体側連絡路64の一部は各第6シール側連絡路86と重なることで各第6シール側連絡路86から露出する。
【0072】
こうして、スペーサ5が
図9に示す状態にあるときには、各第1本体側連絡路61及び各第3シール側連絡路83を通じて第3挿通口5cが第1連通口50aに連通するとともに、各第2本体側連絡路62及び各第2シール側連絡路82を通じて第2挿通口5bが第1連通口50aに連通する。同様に、各第3本体側連絡路63及び各第7シール側連絡路87を通じて第7挿通口5gが第2連通口50bに連通するとともに、各第4本体側連絡路64及び各第6シール側連絡路86を通じて第6挿通口5fが第2連通口50bに連通する。
【0073】
そして、この際には、各第1シール側連絡路81及び各第4シール側連絡路84は、第1本体側壁部6i、ひいてはスペーサ本体6によって塞がれる。同様に、各第5シール側連絡路85及び各第8シール側連絡路88は、第2本体側壁部6jによって塞がれる。このため、各第1シール側連絡路81及び各第4シール側連絡路84は第1連通口50aと非連通となり、各第5シール側連絡路85及び各第8シール側連絡路88は第2連通口50bと非連通となる。この結果、第1、4挿通口5a、5dは第1連通口50aと非連通となり、第5、8挿通口5e、5hは第2連通口50bと非連通となる。なお、
図8及び
図9では、説明を容易にするため、各第1~8シール側連絡路81~88から露出する第1、2本体側壁部6i、6jについてメッシュハッチングを付して示している。
【0074】
さらに、スペーサ5には、5つのボルト穴5kが設けられている。各ボルト穴5kは、全て熱交換プレート3のボルト穴3kと同一径の円孔である。各ボルト穴5kは、スペーサ5、すなわち、スペーサ本体6及び両シール材8を貫通している。換言すれば、各ボルト穴5kは、スペーサ本体6及び両シール材8に形成されている。また、各ボルト穴5kは、ボルト穴3kと整合する位置に配置されている。
【0075】
また、スペーサ5において、シール材8には、第1~10環状凸部14a~14jが設けられている。第1~10環状凸部14a~14jは、シール材8からスペーサ5の外部に向かって突出している。
【0076】
第1環状凸部14aは、第1挿通口5a及び各第1シール側連絡路81を囲う環状に形成されている。第2環状凸部14bは、第2挿通口5b及び各第2シール側連絡路82を囲う環状に形成されている。第3環状凸部14cは、第3挿通口5c及び各第3シール側連絡路83を囲う環状に形成されている。第4環状凸部14dは、第4挿通口5d及び各第4シール側連絡路84を囲う環状に形成されている。第5環状凸部14eは、第5挿通口5e及び各第5シール側連絡路85を囲う環状に形成されている。第6環状凸部14fは、第6挿通口5f及び各第6シール側連絡路86を囲う環状に形成されている。第7環状凸部14gは、第7挿通口5g及び各第7シール側連絡路87を囲う環状に形成されている。第8環状凸部14hは、第8挿通口5h及び各第8シール側連絡路88を囲う環状に形成されている。
【0077】
上述のように、第1挿通口5aは、第1本体側挿通口6aと第1シール側挿通口8aとが重なることで形成されている。このため、第1環状凸部14aは、第1挿通口5aを囲うことにより、第1本体側挿通口6a及び第1シール側挿通口8aを囲っている。詳細な説明を省略するものの、第2~8環状凸部14b~14hについても同様である。
【0078】
第9環状凸部14iは、第1~8環状凸部14a~14h及び第1、2連通口50a、50bの外周側に配置されている。第9環状凸部14iは、第1~8環状凸部14a~14h及び第1、2連通口50a、50bを囲う略矩形の環状に形成されている。第10環状凸部14jは、第1連通口50aと第2連通口50bとの間であって、シール材8の略中央となる位置に配置されている。第10環状凸部14jは、シール材8の略中央に位置するボルト穴5kを囲う円環状に形成されている。
【0079】
図1~
図4に示すように、第1エンドプレート7は、スペーサ5の外形に沿う形状をなす板状されている。また、第1エンドプレート7には、各ボルト穴3k及び各ボルト穴5kと整合する位置にボルト穴7kが形成されている他、第1~8開口3a~3h及び第1~8挿通口5a~5hに整合する位置にボルト穴7kが形成されている。つまり、第1エンドプレート7には、13個のボルト穴7kが形成されている。
【0080】
図1~
図3に示すように、第2エンドプレート9は、第1エンドプレート7よりも板厚に形成されている。また、第2エンドプレート9は、熱交換プレート3、スペーサ5及び第1エンドプレート7よりも大きい略矩形状に形成されている。
【0081】
図10に示すように、第2エンドプレート9には、2つの第1流体供給口9a、9eと、2つの第1流体排出口9b、9fと、2つの第2流体供給口9c、9gと、2つの第2流体排出口9d、9hとが設けられている。これらの第1流体供給口9a、9eと、第1流体排出口9b、9fと、第2流体供給口9c、9gと、第2流体排出口9d、9hとは互いに非連通となっている。
【0082】
第1流体供給口9a、9eと、第1流体排出口9b、9fと、第2流体供給口9c、9gと、第2流体排出口9d、9hは、それぞれ一端が第2エンドプレート9における一方側の面9Xに開口しており、他端が第2エンドプレート9の側面9W(
図1~
図3参照)に開口している。
【0083】
より具体的には、一方側の面9Xにおいて、第1流体供給口9aは熱交換プレート3の第2開口3bに整合する位置に開口しており、第1流体供給口9eは第6開口3fに整合する位置に開口している。第1流体排出口9bは第3開口3cに整合する位置に開口しており、第1流体排出口9fは第7開口3gに整合する位置に開口している。第2流体供給口9cは第1開口3aに整合する位置に開口しており、第2流体供給口9gは第5開口3eに整合する位置に開口している。そして、第2流体排出口9dは第4開口3dに整合する位置に開口しており、第2流体排出口9hは第8開口3hに整合する位置に開口している。
【0084】
また、第2エンドプレート9には、各ボルト穴3k及び各ボルト穴5kと整合する位置にボルト穴9kが形成されている。さらに、第2エンドプレート9には、第1流体供給口9a、9e内、第1流体排出口9b、9f内、第2流体供給口9c、9g内及び第2流体排出口9d、9h内にも、それぞれボルト穴9kが形成されている。こうして、第1エンドプレート7と同様、第2エンドプレート9には13個のボルト穴9kが形成されている。各ボルト穴9kは第2エンドプレート9を貫通していない。また、各ボルト穴9kにはネジ溝が形成されている。
【0085】
このプレート式熱交換器1は、
図4に示すように、一方側から他方側にかけて、スペーサ5、熱交換プレート3、スペーサ5、熱交換プレート3、…、スペーサ5というように、スペーサ5と熱交換プレート3とが交互に積層される。この際、スペーサ5は交互にスペーサ軸O1で反転される。
【0086】
これにより、熱交換プレート3とスペーサ5とにおいて、第1開口3aと第1挿通口5aとが整合して重なりつつ連通し、第2開口3bと第2挿通口5bとが整合して重なりつつ連通し、第3開口3cと第3挿通口5cとが整合して重なりつつ連通し、第4開口3dと第4挿通口5dとが整合して重なりつつ連通する。また、第5開口3eと第5挿通口5eとが整合して重なりつつ連通し、第6開口3fと第6挿通口5fとが整合して重なりつつ連通し、第7開口3gと第7挿通口5gとが整合して重なりつつ連通し、第8開口3hと第8挿通口5hとが整合して重なりつつ連通する。
【0087】
また、各第1プレート側連絡路31と各第1シール側連絡路81とが整合して重なりつつ連通し、各第2プレート側連絡路32と各第2シール側連絡路82とが整合して重なりつつ連通し、各第3プレート側連絡路33と各第3シール側連絡路83とが整合して重なりつつ連通し、各第4プレート側連絡路34と各第4シール側連絡路84とが整合して重なりつつ連通する。さらに、各第5プレート側連絡路35と各第5シール側連絡路85とが整合して重なりつつ連通し、各第6プレート側連絡路36と各第6シール側連絡路86とが整合して重なりつつ連通し、各第7プレート側連絡路37と各第7シール側連絡路87とが整合して重なり連通し、各第8プレート側連絡路38と各第8シール側連絡路88とが整合して重なりつつ連通する。こうして、各第1~8シール側連絡路81~88は、それぞれ第1~8開口3a~3hと連通する。
【0088】
そして、スペーサ5の第1連通口50aが熱交換プレート3の第1熱交換域4aに臨みつつ第1熱交換域4aと連通し、第2連通口50bが第2熱交換域4bに臨みつつ第2熱交換域4bに連通する。
【0089】
また、第1エンドプレート7が最も一方側に配置され、第2エンドプレート9が最も他方側に配置される。こうして、第1エンドプレート7及び第2エンドプレート9が各熱交換プレート3及び各スペーサ5を挟持する。そして、13本のボルト11がボルト穴7k、5k、3kを挿通し、ボルト穴9kに螺合される。各ボルト11は、本発明における「締結部材」の一例である。
【0090】
ここで、
図11及び
図15に示すように、13本のボルト11のうち、8つのボルト11は、それぞれ第1~8開口3a~3hに挿通されつつ、第1流体供給口9a、9e内、第1流体排出口9b、9f内、第2流体供給口9c、9g内及び第2流体排出口9d、9h内にそれぞれ形成されたボルト穴9kに螺合される。より詳細には、第1~8開口3a~3hと第1~8挿通口5a~5hとが連通しているため、第1~8開口3a~3hに挿通されたボルト11は、第1~8挿通口5a~5hにも挿通されている。なお、
図11及び
図15では、説明を容易にするため第1エンドプレート7の図示を省略している。
【0091】
こうして、各熱交換プレート3、各スペーサ5、第1エンドプレート7及び第2エンドプレート9が締結され、プレート式熱交換器1が製造されている(
図1~
図3参照)。
【0092】
また、
図13及び
図14に示すように、プレート式熱交換器1では、熱交換プレート3に対して、スペーサ5のシール材8に設けられた第1~10環状凸部14a~14jがそれぞれ熱交換プレート3に当接しつつ熱交換プレート3を加圧する。この際、第1~8環状凸部14a~14hは、熱交換プレート3の第1~8開口3a~3h及び各第1~8プレート側連絡路31~38をそれぞれ囲んだ状態で熱交換プレート3に当接する。
【0093】
さらに、プレート式熱交換器1では、
図16に示すように、第2エンドプレート9の第1流体供給口9a、9eに対して冷媒Rの供給路が接続され、第1流体排出口9b、9fに対して冷媒Rの排出路が接続される。また、第2流体供給口9c、9gに対してクーラントLの供給路が接続され、第2流体排出口9d、9hに対してクーラントLの排出路が接続される。冷媒Rは本発明における「第1流体」の一例であり、クーラントLは本発明における「第2流体」の一例である。なお、冷媒Rの供給路及び排出路と、クーラントLの供給路及び排出路との図示は省略する。また、クーラントLに換えて水等を本発明における「第2流体」として用いても良い。
【0094】
これにより、このプレート式熱交換器1において、各スペーサ5は、
図11の黒色矢印で示すように、熱交換プレート3の第1、2熱交換域4a、4bに第1流体路F1を連通させて冷媒Rを流通させたり、
図15の白色矢印で示すように、第1、2熱交換域4a、4bに第2流体路F2を連通させてクーラントLを流通させたりする。
【0095】
具体的には、熱交換プレート3の第2開口3b、第3開口3c及び第1熱交換域4aの組み合わせと、第6開口3f、第7開口3g及び第2熱交換域4bの組み合わせとによって第1流体路F1が構成されている。そして、第1開口3a、第4開口3d及び第1熱交換域4aの組み合わせと、第5開口3e、第8開口3h及び第2熱交換域4bの組み合わせとによって第2流体路F2が構成されている。つまり、第2、3開口3b、3cは、本発明における「第1特定開口」に相当しており、第1、4開口3a、3dは、本発明における「第2特定開口」に相当している。そして、第2、3開口3b、3cにそれぞれ連通する第2、3プレート側連絡路32、33は本発明における「第1特定連絡路」に相当しており、第1、4開口3a、3dにそれぞれ連通する第1、4プレート側連絡路31、34は本発明における「第2特定連絡路」に相当している。
【0096】
また、このプレート式熱交換器1では、最も一方側に位置するスペーサ5と第1エンドプレート7、及び、最も他方側に位置するスペーサ5と第2エンドプレート9とによっても第1流体路F1が構成されている。こうして、このプレート式熱交換器1では、
図16に示すように、これらの各第1流体路F1と各第2流体路F2とが他方側から一方側に向かって交互に形成されている。
【0097】
上述のように、このプレート式熱交換器1では、スペーサ5をスペーサ軸O1周りで交互に反転させつつ、熱交換プレート3とスペーサ5とが積層される。このため、
図11に示すように、熱交換プレート3とスペーサ5と積層された状態において、スペーサ5の他方側の面5Yが
図11の紙面の手前側に面している状態では、各第2本体側連絡路62の一部が各第2シール側連絡路82と重なり、各第1本体側連絡路61の一部が各第3シール側連絡路83と重なり、各第3本体側連絡路63の一部が各第7シール側連絡路87と重なり、各第4本体側連絡路64の一部が各第6シール側連絡路86と重なる。
【0098】
このため、
図12及び
図13に示すように、各第2シール側連絡路82は、各第2本体側連絡路62及び第1連通口50aを通じて、第1熱交換域4aと連通する。この結果、
図11に示すように、熱交換プレート3とスペーサ5と積層された状態において、各第2本体側連絡路62、各第2シール側連絡路82、各第2プレート側連絡路32、第2挿通口5b及び第1連通口50aを通じて、第2開口3bは第1熱交換域4aと連通する。
【0099】
一方、
図12及び
図14に示すように、各第1シール側連絡路81と各第1プレート側連絡路31とは重なって連通するものの、各第1シール側連絡路81は、スペーサ本体6の第1本体側壁部6iに塞がれる。つまり、各第1シール側連絡路81と各第1本体側連絡路61とは非連通となる。このため、各第1シール側連絡路81は、第1連通口50a、ひいては第1熱交換域4aとは非連通となる。この結果、第1開口3aは第1熱交換域4aと非連通となる。
【0100】
また、この際、各第3シール側連絡路83についても、各第2シール側連絡路82と同様に第1熱交換域4aと連通する。そして、各第4シール側連絡路84は、各第2本体側連絡路62とは非連通となる。このため、各第4シール側連絡路84は、各第1シール側連絡路81と同様に第1熱交換域4aと非連通となる。こうして、第3開口3cは第1熱交換域4aと連通する一方、第4開口3dは第1熱交換域4aと非連通となる。同様に、各第6、7シール側連絡路86、87は第2熱交換域4bと連通し、各第5、8シール側連絡路85、88は第2熱交換域4bと非連通となる。このため、第6、7開口3f、3gは第2熱交換域4bと連通する一方、第5、8開口3e、3hは第2熱交換域4bと非連通となる。
【0101】
この結果、
図11の黒色矢印で示すように、第1流体供給口9aから供給された冷媒Rは第2開口3bから、各第2プレート側連絡路32、各第2シール側連絡路82及び各第2本体側連絡路62を経て、第1熱交換域4aに流通可能となる。そして、第1熱交換域4a内の冷媒Rは、各第1本体側連絡路61、各第3シール側連絡路83及び各第3プレート側連絡路33を経て第3開口3cに流通可能となる。また、第1流体供給口9eから供給された冷媒Rは第6開口3fから、各第6プレート側連絡路36、各第6シール側連絡路86及び各第4本体側連絡路64を経て、第2熱交換域4bに流通可能となる。そして、第2熱交換域4b内の冷媒Rは、各第3本体側連絡路63、各第7シール側連絡路87及び各第7プレート側連絡路37を経て第7開口3gに流通可能となる。そして、この間は、第2流体供給口9cから供給されたクーラントLは、第1開口3aから第1熱交換域4aへの流通が不可能となり、第2流体供給口9gから供給されたクーラントLは、第5開口3eから第2熱交換域4bへの流通が不可能となる。
【0102】
これに対し、
図15に示すように、熱交換プレート3とスペーサ5と積層された状態において、スペーサ5の一方側の面5Xが
図15の紙面の手前側に面している状態では、各第1本体側連絡路61の一部が各第1シール側連絡路81と重なり、各第2本体側連絡路62の一部が各第4シール側連絡路84と重なり、各第3本体側連絡路63の一部が各第5シール側連絡路85と重なり、各第4本体側連絡路64の一部が各第8シール側連絡路88と重なる。
【0103】
このため、上述の
図11に示す状態とは反対に、
図15に示すように、熱交換プレート3とスペーサ5と積層された状態において、各第1、4シール側連絡路81、84は第1熱交換域4aと連通する。また、各第2、3シール側連絡路82、83は、第1、2本体側連絡路61、62とは非連通となることで第1熱交換域4aと非連通となる。そして、各第5、8シール側連絡路85、88は第2熱交換域4bと連通する。また、各第6、7シール側連絡路86、87は、第3、4本体側連絡路63、64とは非連通となることで第2熱交換域4bと非連通となる。
【0104】
この結果、
図15の白色矢印で示すように、第2流体供給口9cから供給されたクーラントLは第1開口3aから、各第1プレート側連絡路31、各第1シール側連絡路81及び各第1本体側連絡路61を経て、第1熱交換域4aに流通可能となる。そして、第1熱交換域4a内のクーラントLは、各第2本体側連絡路62、各第4シール側連絡路84及び各第4プレート側連絡路34を経て第4開口3dに流通可能となる。また、第2流体供給口9gから供給されたクーラントLは第5開口3eから、各第5プレート側連絡路35、各第5シール側連絡路85及び各第3本体側連絡路63を経て、第2熱交換域4bに流通可能となる。そして、第2熱交換域4b内のクーラントLは、各第4本体側連絡路64、各第8シール側連絡路88及び各第8プレート側連絡路38を経て第8開口3hに流通可能となる。そして、この間は、第1流体供給口9aから供給された冷媒Rは、第2開口3bから第1熱交換域4aへの流通が不可能となり、第1流体供給口9eから供給された冷媒Rは、第6開口3fから第2熱交換域4bへの流通が不可能となる。
【0105】
こうして、このプレート式熱交換器1では、
図16に示すように、第1流体供給口9a、9eからそれぞれ供給された冷媒Rの一部は、各第1流体路F1のうちで最も他方側に位置する第1流体路F1に流入する。この第1流体路F1内の冷媒Rは第1流体排出口9b、9fからプレート式熱交換器1の外部に排出される。また、第1流体供給口9a、9eからそれぞれ供給された冷媒Rのうち、最も他方側に位置する第1流体路F1に流入した冷媒R以外の冷媒Rは、一方側に位置する第1流体路F1に順に流入する。これらの第1流体路F1内の冷媒Rについても、最も他方側の第1流体路F1を通じて第1流体排出口9b、9fと連通することにより、第1流体排出口9b、9fからプレート式熱交換器1の外部に排出される。
【0106】
同時に、第2流体供給口9c、9gからそれぞれ供給されたクーラントLは、各第2流体路F2のうちで最も他方側に位置する第2流体路F2に流入する。この第2流体路F2内のクーラントLは第2流体排出口9d、9hからプレート式熱交換器1の外部に排出される。また、第2流体供給口9c、9gからそれぞれ供給されたクーラントLのうち、最も他方側に位置する第2流体路F2に流入したクーラントL以外のクーラントLは、一方側に位置する第2流体路F2に順に流入する。これらの第2流体路F2内のクーラントLについても、最も他方側に位置する第2流体路F2を通じて第2流体排出口9d、9hと連通することにより、第2流体排出口9d、9hからプレート式熱交換器1の外部に排出される。
【0107】
この間、第1流体路F1と第2流体路F2とは熱交換プレート3によって仕切られているだけである。ここで、第1、2熱交換域4a、4bは、凹凸形状をなしており、第1、2熱交換域4a、4bにおける冷媒R及びクーラントLと熱交換プレート3との接触面積が大きくなっている。このため、熱交換プレート3を介して、冷媒RとクーラントLとが効果的に吸熱と放熱とを行う。こうして、このプレート式熱交換器1では、第1流体路F1内の冷媒Rと第2流体路F2内のクーラントLとで熱交換が行われる。
【0108】
ここで、このプレート式熱交換器1では、熱交換プレート3に第1、2プレート側壁部3i、3jが設けられているため、第1、2プレート側壁部3i、3jが存在しない構成に比べて各熱交換プレート3の剛性が高くなっている。また、各スペーサ5に第1、2スペーサ側壁部5i、5jが設けられているため、第1、2スペーサ側壁部5i、5jが存在しない構成に比べて各スペーサ5の剛性も高くなっている。これにより、このプレート式熱交換器1では、各熱交換プレート3及び各スペーサ5に変形が生じ難く、各ボルト11によって、各熱交換プレート3、各スペーサ5、第1エンドプレート7及び第2エンドプレート9を強固に締結することが可能となっている。そして、各ボルト11によって締結されることにより、第1プレート側壁部3iと第1スペーサ側壁部5iとが重なりつつ当接し、第2プレート側壁部3jと第2スペーサ側壁部5jとが重なりつつ当接する。
【0109】
こうして、このプレート式熱交換器1では、第1~8開口3a~3hを流通する冷媒RやクーラントLが第1、2熱交換域4a、4bに不必要に漏れ難くなっているとともに、冷媒RやクーラントLがプレート式熱交換器1の外部に漏れ難くなっている。さらに、このように各熱交換プレート3及び各スペーサ5の剛性が高く、冷媒RやクーラントLが漏れ難いことから、このプレート式熱交換器1では、高圧の冷媒R及びクーラントLを用いることも可能となっている。さらに、このプレート式熱交換器1では、各熱交換プレート3及び各スペーサ5の剛性を確保するために、各熱交換プレート3及び各スペーサ5の板厚を過度に大きくしたり、高い強度を有する材料で各熱交換プレート3及び各スペーサ5を形成したりする必要もない。
【0110】
また、上述のように、このプレート式熱交換器1では、各スペーサ5をスペーサ軸O1周りで交互に反転させつつ各熱交換プレート3に積層することにより、冷媒Rを第1、2熱交換域4a、4bに流通させたり、クーラントLを第1、2熱交換域4a、4bに流通させたりすることが可能となっている。このため、このプレート式熱交換器1では、各熱交換プレート3に第1、2プレート側壁部3i、3jが設けられ、かつ、各スペーサ5に第1、2スペーサ側壁部5i、5jが設けられていても、各第1流体路F1内の冷媒Rと各第2流体路F2内のクーラントLとで好適に熱交換を行うことが可能となっている。
【0111】
したがって、実施例1のプレート式熱交換器1は、冷媒R及びクーラントLの漏れを防止しつつ、冷媒RとクーラントLとで好適に熱交換が可能である。
【0112】
特に、このプレート式熱交換器1では、第1~8プレート側連絡路31~38、第1~4本体側連絡路61~64及び第1~8シール側連絡路81~88がそれぞれ3つずつ形成されている。このため、このプレート式熱交換器1では、第1~8プレート側連絡路31~38、第1~4本体側連絡路61~64及び第1~8シール側連絡路81~88を大型化することなく、第1、2熱交換域4a、4bに流通する冷媒R及びクーラントLの流量を好適に確保することが可能となっている。
【0113】
また、このプレート式熱交換器1では、各ボルト11によって、各熱交換プレート3及び各スペーサ5等が締結されることにより、スペーサ5のシール材8に設けられた第1~10環状凸部14a~14jがそれぞれ熱交換プレート3に当接しつつ熱交換プレート3を加圧する。また、スペーサ5と第1エンドプレート7とが重なる個所、及び、スペーサ5と第2エンドプレート9とが重なる個所においても、第1~10環状凸部14a~14jがそれぞれ第1、2エンドプレート7、9に当接しつつ第1、2エンドプレート7、9を加圧する。これらのため、スペーサ5と熱交換プレート3との間の他、スペーサ5と第1エンドプレート7との間及びスペーサ5と第2エンドプレート9との間がそれぞれ好適に封止される。この点においても、このプレート式熱交換器1では、第1~8開口3a~3hを流通する冷媒RやクーラントLが漏れ難くなっており、冷媒Rが各第1流体路F1を高い封止性を有して流通し、クーラントLが各第2流体路F2を高い封止性を有して流通する。
【0114】
また、このプレート式熱交換器1では、各ボルト11によって各熱交換プレート3及び各スペーサ5等が締結されるに当たって、第1~8開口3a~3hにそれぞれ一つずつボルト11が挿通されている。このため、このプレート式熱交換器1では、ボルト11の個数と同数のボルト穴3kを熱交換プレート3に形成する必要がなく、また、ボルト11の個数と同数のボルト穴5kをスペーサ5に形成する必要がない。このため、このプレート式熱交換器1では、各熱交換プレート3の他、スペーサ5、ひいてはスペーサ5を構成するスペーサ本体6及びシール材8の設計の自由度が高くなっている。
【0115】
(実施例2)
図17に示すように、実施例2の移動体用ヒートポンプ装置300は、実施例1のプレート式熱交換器1と同様のプレート式熱交換器210、230を用いている。ここで、プレート式熱交換器210、230は、実施例のプレート式熱交換器1よりも熱交換プレート3及びスペーサ5の積層枚数が多くなっている。また、プレート式熱交換器210、230では、第2エンドプレート9に設けられる第1流体供給口9a、9e、第1流体排出口9b、9f、第2流体供給口9c、9g及び第2流体排出口9d、9hの位置を一部変更している。さらに、図示を省略するものの、プレート式熱交換器210、230では、第2エンドプレート9に形成されたボルト穴9k(
図10参照)が第2エンドプレート9を貫通している。
【0116】
この移動体用ヒートポンプ装置300は、蒸発器21とされるプレート式熱交換器210と、凝縮器23とされるプレート式熱交換器230と、電動圧縮機250とを備えている。
【0117】
電動圧縮機250は、ハウジング本体250a内に圧縮機構250b及び電動モータ250cが設けられている。プレート式熱交換器210はハウジング本体250aの電動モータ250c側にボルト11によって一体に締結されている。一方、プレート式熱交換器230はハウジング本体250aの圧縮機構250b側にボルト11によって一体に締結されている。これにより、プレート式熱交換器210の第2エンドプレート9と、プレート式熱交換器230の第2エンドプレート9とは、電動圧縮機250のハウジング本体250aとともに移動体用ヒートポンプ装置300のハウジング300aを構成している。
【0118】
この移動体用ヒートポンプ装置300は、各プレート式熱交換器210、230と電動圧縮機250とが容易に一体とされている。特に、第2エンドプレート9がハウジング300aを構成しているため、各プレート式熱交換器210、230と電動圧縮機250とが高い一体性を有している。このため、この移動体用ヒートポンプ装置300では、配管や流路が簡素化されている。
【0119】
そして、各プレート式熱交換器210、230は、実施例1のプレート式熱交換器1と同様の作用を奏する。このため、各プレート式熱交換器210、230では冷媒RやクーラントLが漏れ難くなっているとともに、冷媒RとクーラントLとで好適に熱交換が可能となっている。このため、この移動体用ヒートポンプ装置300は、電気自動車等の移動体に対して優れた搭載性を発揮する。
【0120】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0121】
例えば、実施例1のプレート式熱交換器1において、第5~8開口3e~3h、第5~8プレート側連絡路35~38、第2プレート側壁部3j及び第2熱交換域4bを設けずに熱交換プレート3を構成しても良い。なお、この場合には、スペーサ本体6において第3、4本体側連絡路63、64等が省略されるとともに、シール材8において第5~8シール側連絡路85~88等が省略されることになる。実施例2の移動体用ヒートポンプ装置300におけるプレート式熱交換器210、230についても同様である。
【0122】
また、スペーサ5において、スペーサ本体6と各シール材8とを別体とし、各ボルト11によって各熱交換プレート3及び各スペーサ5等が締結されることで、スペーサ本体6と各シール材8とが一体化されても良い。
【0123】
また、第1エンドプレート7に第1流体供給口9a、9e、第1流体排出口9b、9f、第2流体供給口9c、9g及び第2流体排出口9d、9hを設けても良い。
【0124】
また、第1エンドプレート7に第1流体供給口9a、9e、第1流体排出口9b、9fを設け、第2エンドプレート9に第2流体供給口9c、9g及び第2流体排出口9d、9hを設けても良い。反対に、第2エンドプレート9に第1流体供給口9a、9e、第1流体排出口9b、9fを設け、第1エンドプレート7に第2流体供給口9c、9g及び第2流体排出口9d、9hを設けても良い。
【0125】
また、第1~8シール側連絡路81~88は、第1~8プレート側連絡路31~38とそれぞれ重なる形状となっていれば、第1~8開口3a~3hとは直接接続する形状とはなっていなくても良い。
【0126】
また、本明細書では以下の発明を含んでいる。
(付記1)
板状をなし、熱交換域が設けられているとともに、前記熱交換域周りに第1開口、第2開口、第3開口及び第4開口が貫設された複数枚の熱交換プレートと、
前記熱交換プレートを間に挟む板状をなし、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第1流体を流通させる第1流体路と、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうちの前記第1流体路を構成する開口以外の二つの開口と前記熱交換域とにより、前記熱交換域に第2流体を流通させる第2流体路とを前記熱交換プレートに形成する複数枚のスペーサと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ及び前記各シール材を挟持する第1エンドプレート及び第2エンドプレートと、
前記各熱交換プレート、前記各スペーサ、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートを積層して締結する複数の締結部材とを備え、
前記第1エンドプレート又は前記第2エンドプレートには、前記第1流体路に前記第1流体を供給可能な第1流体供給口と、前記第1流体路から前記第1流体を排出可能な第1流体排出口と、前記第2流体路に前記第2流体を供給可能な第2流体供給口と、前記第2流体路から前記第2流体を排出可能な第2流体排出口とが設けられ、
前記第1流体路内の前記第1流体と前記第2流体路内の前記第2流体とで熱交換を行うプレート式熱交換器であって、
前記各スペーサは、スペーサ本体と、前記スペーサ本体の両面にそれぞれ設けられたシール材とを有し、
前記各熱交換プレートには、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域との間に位置し、前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口と前記熱交換域とを仕切るプレート側壁部と、
前記第1開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第1プレート側連絡路と、
前記第2開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第2プレート側連絡路と、
前記第3開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第3プレート側連絡路と、
前記第4開口と接続する一方で前記熱交換域とは非接続となる第4プレート側連絡路とが設けられ、
前記各スペーサには、前記熱交換域に臨む連通口と、
前記第1開口と連通する第1挿通口と、
前記第2開口と連通する第2挿通口と、
前記第3開口と連通する第3挿通口と、
前記第4開口と連通する第4挿通口と、
前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口との間に位置し、前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口と前記連通口とを非連通とするスペーサ側壁部とが設けられ、
前記スペーサ本体には、前記連通口と接続する一方で前記第1挿通口、前記第2挿通口、前記第3挿通口及び前記第4挿通口とは非接続となる第1本体側連絡路及び第2本体側連絡路が設けられ、
前記各シール材には、前記第1プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第1シール側連絡路と、
前記第2プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第2シール側連絡路と、
前記第3プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第3シール側連絡路と、
前記第4プレート側連絡路と重なる一方で前記熱交換域とは非接続となる第4シール側連絡路とが設けられ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第1流体路を構成する2つの開口は第1特定開口とされ、
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口のうち前記第2流体路を構成する2つの開口は第2特定開口とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第1特定開口と接続するプレート側連絡路は第1特定連絡路とされ、
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路のうち、前記第2特定開口と接続するプレート側連絡路は第2特定連絡路とされ、
前記各スペーサは、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とし、
前記第2特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を連通させているときには、前記第1特定連絡路に対して前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路を非連通とすることを特徴とするプレート式熱交換器。
(付記2)
前記第1プレート側連絡路、前記第2プレート側連絡路、前記第3プレート側連絡路及び前記第4プレート側連絡路はそれぞれ複数であり、
前記第1本体側連絡路及び前記第2本体側連絡路はそれぞれ複数であり、
前記第1シール側連絡路、前記第2シール側連絡路、前記第3シール側連絡路及び前記第4シール側連絡路はそれぞれ複数である付記1記載のプレート式熱交換器。
(付記3)
前記各シール材には、前記第1挿通口及び前記第1シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第1環状凸部と、
前記第2挿通口及び前記第2シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第2環状凸部と、
前記第3挿通口及び前記第3シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第3環状凸部と、
前記第4挿通口及び前記第4シール側連絡路を囲みつつ前記熱交換プレートに向かって突出し、前記熱交換プレートと当接する第4環状凸部とが設けられている付記1又は2記載のプレート式熱交換器。
(付記4)
前記第1開口、前記第2開口、前記第3開口及び前記第4開口の少なくとも一つには前記締結部材が挿通されている付記1乃至3のいずれか1項のプレート式熱交換器。
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1項記載のプレート式熱交換器と、ハウジング内に圧縮機構及び電動モータが設けられた電動圧縮機とを備え、
前記プレート式熱交換器と前記電動圧縮機とは、前記締結部材によって締結されていることを特徴とする移動体用ヒートポンプ装置。
(付記6)
前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートの少なくとも一方が前記ハウジングを構成している付記5記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、電気自動車等の移動体に利用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1、210、230…プレート式熱交換器
3…熱交換プレート
3a~3h…第1~8開口
3i、3j…第1、2プレート側壁部(プレート側壁部)
4a、4b…第1、2熱交換域(熱交換域)
5…スペーサ
5a~5h…第1~8挿通口
5i、5j…第1、2スペーサ側壁部(スペーサ側壁部)
6…スペーサ本体
8…シール材
7…第1エンドプレート
9…第2エンドプレート
9a、9e…第1流体供給口
9b、9f…第1流体排出口
9c、9g…第2流体供給口
9d、9h…第2流体排出口
11…ボルト(締結部材)
14a~14h…第1~8環状凸部
31~38…第1~8プレート側連絡路
50a、50b…第1、2連通口(連通口)
61~64…第1~4本体側連絡路
81~88…第1~8シール側連絡路
250…電動圧縮機
250b…圧縮機構
250c…電動モータ
300…移動体用ヒートポンプ装置
300a…ハウジング
F1…第1流体路
F2…第2流体路
R…冷媒(第1流体)
L…クーラント(第2流体)