(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007127
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】太陽光パネル清掃装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/32 20240101AFI20240111BHJP
H02S 40/10 20140101ALI20240111BHJP
【FI】
B08B1/04
H02S40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108366
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】517058912
【氏名又は名称】PV Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
【テーマコード(参考)】
3B116
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
3B116AA31
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA34
3B116BB21
5F151JA01
5F151JA15
5F251JA01
5F251JA15
(57)【要約】
【課題】手持ち式の太陽光パネル清掃装置において、従来のものより清掃能力を向上させた太陽光パネル清掃装置を提供する。
【解決手段】パネル面3を有する太陽光パネル1の清掃を行う太陽光パネル清掃装置10であって、太陽光パネル1のパネル面3に触れて作動する清掃部20と、清掃部20に一端部が接続されると共に他端部を作業者が持って操作する操作部50と、を有しており、清掃部20は、パネル面3に対して略垂直方向Sに延びる回転軸31を中心として回転する回転ブラシ部30を有しており、回転ブラシ部30は、回転軸31を中心とした所定範囲にブラシ32が形成されており、ブラシ32の間に間隙部33を有するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面を有する太陽光パネルの清掃を行う太陽光パネル清掃装置であって、
前記太陽光パネルの前記パネル面に触れて作動する清掃部と、
前記清掃部に一端部が接続されると共に他端部を作業者が持って操作する操作部と、
を有しており、
前記清掃部は、前記パネル面に対して略垂直方向に延びる回転軸を中心として回転する回転ブラシ部を有しており、
前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心とした所定範囲にブラシが形成されており、該ブラシの間に間隙部を有するように構成されていることを特徴とする太陽光パネル清掃装置。
【請求項2】
前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心として放射状に複数の前記ブラシが等間隔に形成されており、前記ブラシ同士の間に前記間隙部を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【請求項3】
前記回転ブラシ部は、前記ブラシにおける複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの発電能力の低下を防ぎ、効率良く発電等するために清掃を行う太陽光パネル清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電を行う太陽光パネルが知られている。また、このような太陽光パネルの発電能力の低下を防ぐために、太陽光を受光するパネル面を清掃する清掃装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献1のものよりも軽量で作業者が手持ちして清掃を行う清掃装置も知られている。例えば、柄の先に回転ブラシが付いており、この回転ブラシで太陽光パネルを清掃するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記したような手持ち式の清掃装置において、清掃能力をさらに高いものにしたいとの要望があった。
【0006】
そこで、本発明は、手持ち式の太陽光パネル清掃装置において、従来のものより清掃能力を向上させた太陽光パネル清掃装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、本発明は、パネル面を有する太陽光パネルの清掃を行う太陽光パネル清掃装置であって、前記太陽光パネルの前記パネル面に触れて作動する清掃部と、前記清掃部に一端部が接続されると共に他端部を作業者が持って操作する操作部と、を有しており、前記清掃部は、前記パネル面に対して略垂直方向に延びる回転軸を中心として回転する回転ブラシ部を有しており、前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心とした所定範囲にブラシが形成されており、該ブラシの間に間隙部を有するように構成されている太陽光パネル清掃装置としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明においては、前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心として放射状に複数の前記ブラシが等間隔に形成されており、前記ブラシ同士の間に前記間隙部を有するように構成されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記回転ブラシ部は、前記ブラシにおける複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部を有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転ブラシ部が、従来見られる回転軸を中心とした略円形の隙間のない目の詰まったブラシを有するものではなく、回転軸を中心として所定範囲にブラシが形成されていてブラシの間に間隙部を有するように構成されたものであるため、従来のものであるとパネル面から落とした汚れが目の詰まったブラシに留まってしまい、清掃能力が落ちてしまうものを、本発明では、パネル面から落とした汚れをブラシの間の間隙部から外部に排出して、清掃能力を維持したまま清掃を行うことができる。
【0011】
特に、回転ブラシ部から水(及び洗剤)を出してパネル面を洗浄するものでは、従来のものでは目の詰まったブラシにパネル面洗浄後の汚水が留まってしまい、その汚水を含んだブラシでその後の洗浄を行うため、洗浄能力が著しく落ちてしまっていたところを、本発明では、パネル面洗浄後の汚水をブラシの間隙部から流れ落としていくことができ、汚水を含まない状態でパネル面の洗浄を続けていけるため、特に洗浄能力を維持したまま洗浄を行うことができる。
【0012】
また、本発明において、複数のブラシが回転軸を中心に等間隔に放射状に形成されていると、より均一に汚れをブラシ同士の間の間隙部から外部に排出することができ、清掃能力を確実に維持して清掃を行うことができる。
【0013】
また、本発明において、回転ブラシ部が、ブラシにおける複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部を有していると、回転ブラシ部の構造を補強して強固にすることができ、耐久性を向上させ、高出力に耐えうる回転ブラシ部とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る太陽光パネル洗浄装置を示す斜視図である。
【
図2】同実施の形態に係る太陽光パネル洗浄装置を示す平面図である。
【
図3】同実施の形態に係る太陽光パネル洗浄装置を示す側面図である。
【
図4】同実施の形態に係る太陽光パネル洗浄置の回転ブラシ部を示す斜視図である。
【
図5】同実施の形態に係る太陽光パネル洗浄装置の回転ブラシ部を裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1~
図5には、本発明の実施の形態を示す。なお、ここでは、太陽光パネル清掃装置の一例として、太陽光パネルの表面に配置されているパネル面に水(又は洗浄液)を供給して洗浄を行う太陽光パネル洗浄装置について説明する。
【0017】
本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10は、
図1に示すような、太陽光パネル1の表面(パネル面3)の清掃を行う。この太陽光パネル洗浄装置10は、太陽光パネル1のパネル面3に触れて作動する清掃部20と、一端部が当該清掃部20と接続されて他端部を作業者が持って操作する操作部50とを有しており、作業者が操作部50を持って清掃部20をパネル面3上で移動させることで、清掃を行うようになっている。
【0018】
まず、本実施の形態の太陽光パネル1について説明する。
【0019】
一般に、太陽光パネル1は、パネル面3が傾斜した状態又はパネル面3が水平な状態で設置される。すなわち、太陽光パネル1を太陽光が当たる側(南側)から見て、パネル面3の後方(奥側)側面が前方(手前側)側面よりも上又は水平に位置する状態で設置される。また、ここでは、
図1及び
図2に示すように、複数の太陽光パネル1が、前後左右にパネル面3同士が略面一となるように並べて設置されるようになっている。
【0020】
また、それぞれの太陽光パネル1は、ガラス等で形成されたパネル面3と、その裏面側に配置された発電装置(図示省略)とを有するように構成されている。また、パネル面3は、アルミニウム等の金属で形成された縁部(図示省略)で囲われている。
【0021】
次に、本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10について説明する。
【0022】
本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10は、
図1~
図3に示すように、太陽光パネル1のパネル面3に触れて作動する2つの清掃部20と、当該清掃部20に一端部が接続されると共に他端部を作業者が持って操作する操作部50とを有する構成となっている。以下、各部位について詳述する。
【0023】
本実施の形態の清掃部20は、それぞれ、モータ21、回転ブラシ部30、水供給部(図示省略)等を有する構成となっている。このうち、モータ21は、回転ブラシ部30を回転させる動力源となるものであり、パネル面3に対して略垂直方向Sに延びる方向が回転軸31となるように配設されている。このモータ21は、後述する操作部50を介して作業者側にある電源装置(図示省略)及び操作装置(図示省略)とケーブルで接続されており、電源装置から電気の供給を受け、操作装置の信号で駆動するようになっている。
【0024】
また、回転ブラシ部30は、モータ21に接続されており、モータ21の動力で回転軸31を中心としてパネル面3上で回転作動するように構成されている。この回転ブラシ部30には、パネル面3に接する側にブラシ32が設けられている。このブラシ32は、目の詰まった均一の状態(例えば略円形状に均一に植毛された状態)に形成されたものではなく、回転軸31を中心とした所定範囲にブラシ32が形成されており、当該ブラシ32の間にブラシ32が植毛されていない間隙部33を有するように構成されている。また、本実施の形態の間隙部33は、回転軸31の軸方向Sに貫通した貫通孔として形成されている。
【0025】
また、本実施の形態では、複数のブラシ32が回転軸31を中心として放射状かつ等間隔に形成され、それぞれのブラシ32は略同一形状、略同じ大きさとなるように構成されている。具体的には、
図4及び
図5に示すように、回転ブラシ部30の裏面側(パネル面3に触れる側)に、4つの略扇形状の同一形状かつ同じ大きさのブラシ32が、回転軸31を中心として放射状で等間隔になるように(すなわち略90°ずつずれた位置に)配設されるように構成されており、それぞれのブラシ32の間に貫通孔に形成された間隙部33が設けられている。
【0026】
ここでは、間隙部33は回転軸31からブラシ32の外側まで至るように構成されている。また、ここでは、ブラシ32と当該ブラシ32の間の間隙部33が略同一形状、略同じ大きさとなるように構成されており、回転ブラシ部30におけるブラシ32が占める面積が回転ブラシ部30の裏面に対して略半分程度になるように構成されている。
【0027】
このような構成により、従来の目の詰まったブラシでは掻き出した汚れやこすり落とした汚れ、水を含んで浮き上がらせた汚れの汚水がブラシの内部で留まってしまう不具合について、ブラシ32の間の間隙部33で外側に汚れや汚水を排出することができ、内部に留まらないようにすることができる。その結果、よりパネル面3の清掃、洗浄を効率よく確実に行うことができる。
【0028】
また、本実施の形態では、回転ブラシ部30は、ブラシ32における複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部35を有している。この補強外形部35は、ブラシ32同士を繋ぐことで回転ブラシ部30の剛性を高めると共にブラシ32の挙動を安定させて、確実なパネル面3の清掃を行うことができ、回転ブラシ部30の耐久性を高めることができるようにするものである。ここでは、4つ全てのブラシ32の外側端部同士を繋ぐように4つの補強外形部35が形成されており、4つのブラシ32と4つの補強外形部とで略円形状を構成するようになっている。
【0029】
また、本実施の形態の操作部50は、長細形状の筒状の本体を有しており、その一端部を清掃部20に接続し、他端部を作業者が持って操作するように構成されている。ここでは、操作部50の一端部は2つに枝分かれしてそれぞれ回転ブラシ部30の中心部に接続されるようになっている。また、細長形状の筒状の本体の中に、清掃部20の水供給部(例えば、回転ブラシ部30の中心位置等)からパネル面3に供給する水(例えば純水やカルキ成分のない又は少ない水)を通す水供給管(図示省略)を有している。また、細長形状の筒状の本体の中には、電源装置及び操作装置から延びるケーブルが挿通されており、モータ21に繋がるように構成されている。なお、電源装置は、他の太陽光パネル清掃装置(例えば、自走して清掃を行う大がかりな装置)と共用のものを使用するようになっていても良い。このように電源装置を共用できると、それぞれの機器用に複数の電源装置を持ち運ぶ必要がなくなり、作業者の負担軽減に繋がる。また、操作装置も他の太陽光パネル清掃装置のものと共用可能となっていても良い。
【0030】
以上のように、本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10によれば、回転ブラシ部30が、従来見られる回転軸を中心とした略円形の隙間のない目の詰まったブラシを有するものではなく、回転軸31を中心として所定範囲にブラシ32が形成されていてブラシ32の間に間隙部33を有するように構成されたものであるため、従来のものであるとパネル面3から落とした汚れが目の詰まったブラシに留まってしまい、清掃能力が落ちてしまうものを、本実施の形態では、パネル面3から落とした汚れをブラシ32の間の間隙部33から外部に排出して、清掃能力を維持したまま清掃を行うことができる。
【0031】
特に、本実施の形態のように、回転ブラシ部30から水(及び洗剤)を出してパネル面3を洗浄するものでは、従来のものでは目の詰まったブラシにパネル面3洗浄後の汚水が留まってしまい、その汚水を含んだブラシでその後の洗浄を行うため、洗浄能力が著しく落ちてしまっていたところを、本実施の形態では、パネル面3洗浄後の汚水をブラシ32の間隙部33から流れ落としていくことができ、汚水を含まない状態でパネル面3の洗浄を続けていけるため、特に洗浄能力を維持したまま洗浄を行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10によれば、複数のブラシ32が回転軸31を中心に等間隔に放射状に形成されているため、より均一に汚れをブラシ32同士の間の間隙部33から外部に排出することができ、清掃能力を確実に維持して清掃を行うことができる。
【0033】
また、本実施の形態の太陽光パネル洗浄装置10によれば、回転ブラシ部30が、ブラシ32における複数の外側端部34同士を繋ぐ補強外形部35を有しているため、回転ブラシ部30の構造を補強して強固にすることができ、耐久性を向上させ、高出力に耐えうる回転ブラシ部30とすることができる。
【0034】
なお、以上説明した各実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。
【0035】
例えば、前記した実施の形態では、清掃部20において、回転ブラシ部30が2つ取り付けられているものを例に説明したが、これに限るものではなく、回転ブラシ部30が1つ又は3つ以上取り付けられたものであっても良い。
【0036】
また、回転ブラシ部30のブラシ32と間隙部33の大きさ、形状、数等も前記したものに限らず、適宜の大きさ、形状、数に構成されていれば良い。例えば、形状が異なる複数のブラシ32を有する構成となっていても良いし、間隙部33の形状や大きさもそれぞれ異なるように構成されていても良い。また、ブラシ32は直線的な扇形形状でなくても良く、例えば渦巻状の形状となっていて、それぞれのブラシ32の間に同じく渦巻状の間隙部33を有しているような構成となっていても良い。また、ブラシ32は複数のブロックに分かれていなくても良く、1つのブラシ32の中に間隙部33が形成されているような構成であっても良い。また、間隙部33は貫通孔に形成されていないものでも良く、ブラシの植毛がされていないだけで貫通していない構成であっても、汚れや汚水が外側に排出されるような構成となっていれば良い。
【0037】
また、前記した実施の形態では、水や洗浄液等を液体を用いて清掃を行うものについて説明したが、これに限るものではなく、液体以外のエアー等の気体を用いて汚れを吹き飛ばしながら清掃を行うものであっても良い。また、流体の供給方法は、霧状に噴射する方法や、パルス状に吐出する方法、流れ落とす方法等、どのような供給方法でも良い。
【0038】
また、前記したようなブラシと水を使用して洗浄するタイプの太陽光パネル清掃装置だけでなく、他の構成の清掃装置、例えば、ブラシのみで水を用いずにパネル表面を掃いて埃等を除去するタイプの太陽光パネル清掃装置に、本願発明を適用しても良い。
【0039】
また、操作部50の形状、構成等も適宜変更したものを使用しても良い。
【0040】
その他の構成についても、前記した実施の形態に限定されず、適宜の構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 太陽光パネル
3 パネル面
10 太陽光パネル洗浄装置(太陽光パネル清掃装置)
20 清掃部
30 回転ブラシ部
31 回転軸
32 ブラシ
33 間隙部
50 操作部
S 略垂直方向(軸方向)