(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071271
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】断面形状データ生成方法、断面形状データ生成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B22F 10/85 20210101AFI20240517BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240517BHJP
B22F 10/25 20210101ALI20240517BHJP
B22F 10/30 20210101ALI20240517BHJP
B23K 9/04 20060101ALN20240517BHJP
B23K 9/032 20060101ALN20240517BHJP
B23K 31/00 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
B22F10/85
B33Y50/00
B22F10/25
B22F10/30
B23K9/04 G
B23K9/04 Z
B23K9/032 Z
B23K31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182124
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】近口 諭史
【テーマコード(参考)】
4E081
4K018
【Fターム(参考)】
4E081BB03
4E081CA01
4E081CA08
4E081CA10
4E081CA11
4E081CA14
4E081CA19
4E081CA20
4K018CA44
4K018EA51
(57)【要約】
【課題】造形物を造形するにあたり、その造形物における積層造形に好適な断面形状データを容易に生成し、ユーザへの負担を軽減できる断面形状データ生成方法、断面形状データ生成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】断面形状データ生成方法は、造形物Wの3次元形状情報を取得する情報取得工程と、3次元形状情報における造形物Wが有する面A
iを識別する識別工程と、識別した面A
iに平行な造形物Wの切断面A
i,j(j=1~N)を、間隔をあけて生成する生成工程と、切断面A
i,jの面積分布を算出する演算工程と、面積分布の特徴量に基づいて、積層方向または造形物Wを母材13に設置させる設置面を決定する決定工程と、決定された積層方向または設置面A
iに対応する切断面A
i,jを断面形状データとして出力する出力工程と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成方法であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得工程と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別工程と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成工程と、
前記切断面の面積分布を算出する演算工程と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定工程と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力工程と、
を含む、
断面形状データ生成方法。
【請求項2】
前記決定工程において、前記面積分布ごとの前記特徴量を比較し、前記造形物の底面を決定する、
請求項1に記載の断面形状データ生成方法。
【請求項3】
前記特徴量は、識別した前記面の面積であって、前記面積分布の中で最大面積である、
請求項2に記載の断面形状データ生成方法。
【請求項4】
前記特徴量は、隣接する前記切断面において、識別した前記面側の切断面の面積が識別した前記面と反対側の切断面の面積以上である関係を満たす層の数である、
請求項2に記載の断面形状データ生成方法。
【請求項5】
前記特徴量は、前記面積分布の平均値であり、
前記決定工程において、前記平均値が最大となる値を基に前記積層方向または前記設置面を決定する、
請求項2に記載の断面形状データ生成方法。
【請求項6】
前記面積分布において、識別した前記面側の切断面と識別した前記面と反対側に隣接する切断面との面積の変化率が予め設定した閾値より大きい場合に、識別した前記面と反対側に隣接する切断面以降の層を複数の領域に分割する分割工程をさらに含み、
前記分割した領域ごとに前記識別工程から前記決定工程を実行し、それぞれの前記領域に対応する前記積層方向を決定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の断面形状データ生成方法。
【請求項7】
溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成装置であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得部と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別部と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成部と、
前記切断面の面積分布を算出する演算部と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定部と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力部と、
を有する、
断面形状データ生成装置。
【請求項8】
溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成するプログラムであって、
コンピュータに、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得機能と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別機能と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成機能と、
前記切断面の面積分布を算出する演算機能と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定機能と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力機能と、
を実現させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状データ生成方法、断面形状データ生成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産手段としての3Dプリンタのニーズが高まっており、特に金属材料への適用については航空機業界等で実用化に向けて研究開発が行われている。金属材料を用いた3Dプリンタは、レーザーやアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させて造形物を造形する。
【0003】
特許文献1には、工作物製品の三次元モデルを定義し、この三次元モデルにおけるツールの経路を描く一組の連続した相対空間座標からなる第二デ-タフアイルを作成し、第二デ-タフアイルの経路を相対的な動きが追従するように、加工テ-ブルに対し溶接ヘツドを位置決め操作する造形技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、造形物を積層造形する際には、積層造形の自由度の高さから様々な方向の断面から積層することが検討される。このとき、造形品質の観点では、造形しやすいスライス断面が多いことが求められ、生産性の観点では、トーチのパス数が少ないことなどが求められる。
【0006】
したがって、これら条件を考慮しつつ複雑な造形物を適切な積層方向でスライスして断面データを得るには、ノウハウや試行錯誤が必要となりやすく、設計者等のユーザの負担が大きかった。
【0007】
そこで本発明は、造形物を造形するにあたり、その造形物における積層造形に好適な断面形状データを容易に生成し、ユーザへの負担を軽減できる断面形状データ生成方法、断面形状データ生成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記の構成からなる。
(1) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成方法であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得工程と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別工程と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成工程と、
前記切断面の面積分布を算出する演算工程と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定工程と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力工程と、
を含む、
断面形状データ生成方法。
(2) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成装置であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得部と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別部と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成部と、
前記切断面の面積分布を算出する演算部と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定部と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力部と、
を有する、
断面形状データ生成装置。
(3) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成するプログラムであって、
コンピュータに、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得機能と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別機能と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成機能と、
前記切断面の面積分布を算出する演算機能と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定機能と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力機能と、
を実現させるための、
プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、造形物を造形するにあたり、その造形物における積層造形に好適な断面形状データを容易に生成し、ユーザへの負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、積層造形システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、造形制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、造形物の一例を示す造形物の斜視図である。
【
図4】
図4は、断面形状データ生成装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図5A】
図5Aは、造形物の3次元形状情報からなるモデルを示す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、造形物の3次元形状情報からなるモデルを示す模式図である。
【
図5C】
図5Cは、造形物の3次元形状情報からなるモデルを示す模式図である。
【
図6】
図6は、ゼブラ解析のイメージを示す模式図である。
【
図7A】
図7Aは、識別した面に基づいた切断面の生成について説明する模式図である。
【
図7B】
図7Bは、識別した面に基づいた切断面の生成について説明する模式図である。
【
図7C】
図7Cは、識別した面に基づいた切断面の生成について説明する模式図である。
【
図8A】
図8Aは、生成した切断面の面積分布を示すグラフである。
【
図8B】
図8Bは、生成した切断面の面積分布を示すグラフである。
【
図8C】
図8Cは、生成した切断面の面積分布を示すグラフである。
【
図9】
図9は、オーバーハング部位における切断面を示す模式図である。
【
図10】
図10は、領域を分割して積層方向を決定する場合について説明する造形物の概略側面図である。
【
図12】
図12は、切断面の面積が同一でオーバーハングを有する造形物の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで示す積層造形システムは、マニピュレータに保持された溶加材(溶接ワイヤ)を熱源装置によって溶融させて溶接ビードを形成し、形成された溶接ビードを所望の形状に繰り返し積層して、溶接ビードが積層されてなる造形物を造形するものである。断面形状データ生成装置は、このような造形物を造形する積層造形装置に使用される断面形状データを生成する。
【0012】
<積層造形システムの構成>
上記の制御情報修正装置が生成する制御情報によって動作される、積層造形システムの一構成例を説明する。
図1は、積層造形システムの全体構成を示す概略図である。
積層造形システム100は、造形制御装置15と、マニピュレータ17と、溶加材供給装置19と、マニピュレータ制御装置21と、熱源制御装置23とを含んで構成される。
【0013】
マニピュレータ制御装置21は、マニピュレータ17と、熱源制御装置23とを制御する。マニピュレータ制御装置21には不図示のコントローラが接続されて、マニピュレータ制御装置21の任意の操作がコントローラを介して操作者から指示可能となっている。
【0014】
マニピュレータ17は、例えば多関節ロボットであり、先端軸に設けたトーチ11には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ11は、溶加材Mを先端から突出した状態に保持する。トーチ11の位置及び姿勢は、マニピュレータ17を構成するロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。マニピュレータ17は、6軸以上の自由度を有するものが好ましく、先端の熱源の軸方向を任意に変化させられるものが好ましい。マニピュレータ17は、
図1に示す4軸以上の多関節ロボットの他、2軸以上の直交軸に角度調整機構を備えたロボット等、種々の形態であってもよい。
【0015】
トーチ11は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。シールドガスは、大気を遮断し、溶接中の溶融金属の酸化、窒化などを防いで溶接不良を抑制する。本構成で用いるアーク溶接法としては、被覆アーク溶接又は炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接又はプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、造形対象に応じて適宜選定される。ここでは、ガスメタルアーク溶接を例に挙げて説明する。消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ11は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。
【0016】
溶加材供給装置19は、トーチ11に向けて溶加材Mを供給する。溶加材供給装置19は、溶加材Mが巻回されたリール19aと、リール19aから溶加材Mを繰り出す繰り出し機構19bとを備える。溶加材Mは、繰り出し機構19bによって必要に応じて正方向又は逆方向に送られながらトーチ11へ送給される。繰り出し機構19bは、溶加材供給装置19側に配置されて溶加材Mを押し出すプッシュ式に限らず、ロボットアーム等に配置されるプル式、又はプッシュ-プル式であってもよい。
【0017】
熱源制御装置23は、マニピュレータ17による溶接に要する電力を供給する溶接電源である。熱源制御装置23は、溶加材Mを溶融、凝固させるビード形成時に供給する溶接電流及び溶接電圧を調整する。また、熱源制御装置23が設定する溶接電流及び溶接電圧等の溶接条件に連動して、溶加材供給装置19の溶加材供給速度が調整される。
【0018】
溶加材Mを溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザーとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビーム又はレーザーを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビーム又はレーザーにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、形成するビードの状態をより適正に維持して、積層構造物の更なる品質向上に寄与できる。また、溶加材Mの材質についても特に限定するものではなく、例えば、軟鋼、高張力鋼、アルミ、アルミ合金、ニッケル、ニッケル基合金など、造形物Wの特性に応じて、用いる溶加材Mの種類が異なっていてよい。
【0019】
造形制御装置15は、上記した各部を統括して制御する。
【0020】
上記した構成の積層造形システム100は、造形物Wの造形計画に基づいて作成された造形プログラムに従って動作する。造形プログラムは、多数の命令コードにより構成され、造形物の形状、材質、入熱量等の諸条件に応じて、適宜なアルゴリズムに基づいて作成される。この造形プログラムに従って、トーチ11を移動させつつ、送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶接ビードがベースである母材13上に形成される。つまり、マニピュレータ制御装置21は、造形制御装置15から提供される所定のプログラムに基づいてマニピュレータ17、熱源制御装置23を駆動させる。マニピュレータ17は、マニピュレータ制御装置21からの指令により、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ11を移動させて溶接ビードを形成する。このようにして溶接ビードを順次に形成、積層することで、目的とする形状の造形物Wが得られる。
【0021】
図2は、造形制御装置15の機能ブロック図である。造形制御装置15は、情報取得部31と、識別部33と、生成部35と、演算部37と、決定部39と、出力部41と、を含んで構成され、断面形状データ生成装置として機能する。
【0022】
上記の造形制御装置15は、例えば、PC(Personal Computer)などの情報処理装置を用いたハードウェアにより構成される。造形制御装置15の各機能は、不図示の制御部が不図示の記憶装置に記憶された特定の機能を有するプログラムを読み出し、これを実行することで実現される。記憶装置としては、揮発性の記憶領域であるRAM(Random Access Memory)、不揮発性の記憶領域であるROM(Read Only Memory)等のメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージを例示できる。また、制御部としては、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)などのプロセッサ、又は専用回路等を例示できる。造形制御装置15は、上記した形態のほか、ネットワーク等を介して積層造形システム100から遠隔から接続される他のコンピュータであってもよい。
【0023】
<造形物>
次に、上記の積層造形システム100によって造形する造形物Wの一例について説明する。
図3は、造形物Wの一例を示す造形物Wの斜視図である。
【0024】
図3に示すように、造形物Wは、複数のブロック部BL1,BL2,BL3,BL4を有している。これらのブロック部BL1,BL2,BL3,BL4は、それぞれ直方体形状に形成されており、ブロック部BL1にブロック部BL2が積み重ねられ、ブロック部BL2にブロック部BL3が積み重ねられ、さらに、ブロック部BL3の側面にブロック部BL4が造形されている。そして、ブロック部BL2は、ブロック部BL1に接合され、ブロック部BL3は、ブロック部BL2に接合され、ブロック部BL4は、ブロック部BL3に接合されている。
【0025】
<制御情報の生成手順>
次に、上記の造形物Wにおける断面形状データの生成処理について説明する。
図4は、断面形状データ生成装置による処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
(情報取得工程)
情報取得部31が、造形対象である造形物Wの3次元形状情報を取得する(ステップS1)。取得する3次元形状情報としては、例えば、市販のCAD編集ソフトなどで生成された造形物Wの情報であってよく、または、造形物Wの形状を形状計測センサによって3次元計測して取得した点群データ等であってよい。
【0027】
図5A~
図5Cは、造形物Wを各種の姿勢で表した3次元形状情報からなるモデルを示す模式図である。
図5Aは、ブロック部BL1,BL2,BL3が下方から順に重なるように配置されてブロック部BL4が側方へ延びる姿勢PAを表している。
図5Bは、ブロック部BL1,BL2,BL3が側方へ順に配置されてブロック部BL4が下方へ延びる姿勢PBを表している。
図5Cは、ブロック部BL3,BL2,BL1が下方から順に重なるように配置されてブロック部BL4がブロック部BL3から側方へ延びる姿勢PCを表している。
【0028】
(識別工程)
識別部33が、3次元形状情報における造形物Wが有する面を識別する(ステップS2)。造形物Wのモデルにおいて、面を区別して識別するには、例えば、ゼブラ解析、曲率解析、勾配解析などの表面解析手段を用いることができる。
【0029】
ゼブラ解析を用いる場合は、2つの面の間の連続性を評価して識別することができる。具体的には、2つの面について、位置、接線及び曲率が連続する場合、位置及び接線が連続する場合、位置のみが連続する場合があり、位置のみが連続する場合に2つの面をそれぞれ別の面として識別できる。
【0030】
図6は、ゼブラ解析のイメージを示す模式図である。
図6に示すように、平行線が投影されることで造形物Wの表面に縞模様(ゼブラライン)Zを付し、例えば、この縞模様Zの連続性が切り替わるところを境界として、互いに隣接する別々の2つの面として識別する。
【0031】
(生成工程)
生成部35が、識別した面Aiに平行な切断面Ai,j(j=1~N)を、間隔をあけて生成する(ステップS3)。切断面Ai,jは、例えば、識別した面Aiと平行で造形物Wと交差する十分に大きい複数の面を抽出することにより生成できる。このとき、複数生成する切断面Ai,jの間隔は、設計者が任意に指定してもよいが、造形物Wを造形する際に積層を予定する溶接ビードの高さ程度とするのが好ましい。これらの一連の切断面Ai,jの生成を識別した面Ai毎に行い、対応するインデックスj(j=1~N)を振る。
【0032】
図7A~
図7Cは、識別した面A
iに基づいた切断面A
i,jの生成について説明する模式図である。
図7Aは、ブロック部BL1,BL2,BL3が下方から順に重なるように配置された姿勢PAの造形物Wにおいて、ブロック部BL1の下面からなる面A
1に平行な切断面A
1,jを、間隔をあけて生成した場合を示している。
図7Bは、ブロック部BL1,BL2,BL3が側方へ配置された姿勢PBの造形物Wにおいて、ブロック部BL1の側面からなる面A
2に平行な切断面A
2,jを、間隔をあけて生成した場合を示している。
図7Cは、ブロック部BL3,BL2,BL1が下方から順に重なるように配置された姿勢PCの造形物Wにおいて、ブロック部BL3の上面からなる面A
3に平行な切断面A
3,jを、間隔をあけて生成した場合を示している。このように識別した面A
iごとに切断面A
i,jを生成する。
【0033】
(演算工程)
演算部37が、面Aiの面積Si及び生成した切断面Ai,jのそれぞれの面積Si,jを割り出し、その推移である面積分布を算出する(ステップS4)。この面積分布は、切断面Ai,jの生成の際に特定した面Aiごとに算出する。なお、面積分布を算出する際には、切断面Ai,jの生成の際に特定した面Aiから近い順に面積Si,jを割り出して傾向を出力する。なお、この面積分布を算出する際には、面積以外に、各切断面Ai,jにおける周長を割り出し、この周長の分布を併せて算出してもよい。
【0034】
図8A~
図8Cは、生成した切断面A
i,jのそれぞれの面積分布を示すグラフであり、切断面A
i,jに付したインデックスj(j=1~N)順に面積を表示している。
図8Aは、姿勢PAの造形物Wにおける面積分布を示している。
図8Bは、姿勢PBの造形物Wにおける面積分布を示している。
図8Cは、姿勢PCの造形物Wにおける面積分布を示している。なお、
図8A~
図8Cにおいて、切断面A
i,jの面積S
i,jは、特定した面A
iからの間隔順に表示してもよい。
【0035】
(決定工程)
決定部39が、算出した面積分布ごとに特徴量を抽出し、この特徴量に基づいて、溶接ビードの積層方向を決定する(ステップS5)。具体的には、各面積分布について、次式(1)を満たす層の数をカウントし、その層の数が最大となる面積分布を抽出する。
【0036】
Si,j≧Si,(j+1)…(1)
【0037】
ここで、面積分布が式(1)を満たし、特に、Si,j>Si,(j+1)となる場合に、切断面Ai,jは下層側の面積が大きくなる。これに対して、式(1)を満たさない場合、切断面Ai,jは上層の面積が大きくなり、オーバーハング部位が生じることとなる。このことから、面積分布が式(1)を満たす層の数が最大となる面積分布を特徴量として抽出することにより、造形物Wを造形する際に、溶接ビードを容易にかつ円滑に積層させることができる。なお、切断面Ai,jの数は、特定した面Aiによって異なるので、切断面Ai,jの全数に対して上式(1)が該当する層の数の割合を算出して比較してもよい。
【0038】
そして、面積分布が式(1)を満たす層の数が最大となる面積分布における面Aiを母材13に設置する設置面となる底面とし、各切断面Ai,jの配向方向を積層方向とする。なお、各切断面Ai,jの重心位置または中心位置の移動方向を配向方向と見なしても良い。
【0039】
図8A~
図8Cにおいて、互いに隣接して上式(1)を満たす切断面A
i,jの層の数のうち、さらに、識別した面A
i側が識別した面A
iと反対側よりも面積が大きい層Lsの数は、姿勢PAにおいて3層(
図8A参照)、姿勢PBにおいて2層(
図8B参照)、姿勢PCにおいて1層(
図8C参照)であり、姿勢PAの場合が最も多くなる。つまり、これらの姿勢PA,PB,PCの3例では、姿勢PAの場合を選択することにより、オーバーハング部位の発生を抑え、溶接ビードを容易にかつ円滑に積層させて造形物Wを造形できる。
【0040】
(出力工程)
出力部41が、決定された積層方向または設置面に対応する切断面を断面形状データとして出力する(ステップS6)。姿勢PA,PB,PCの3例では、決定工程で決定されて選択された姿勢PAの積層方向または設置面(
図7AにおけるA1)に対応する切断面(
図7AにおけるA1,j)を切断形状データとして出力する。そして、この出力された断面形状データに基づいて、積層造形システム100によって溶接ビードを積層させて造形物Wを造形すれば、オーバーハング部位の発生を抑えつつ造形物Wを円滑に造形できる。
【0041】
ここで、本構成例の処理を行わずに積層方向や設置面を決定する場合では、例えば、造形物Wのモデルを軸周りに何度も回転させながら底面とする面の面積を調べる必要がある。造形物Wのモデルを3つの回転軸で回転させる場合の組合せを考えると、組合せが膨大となって探索に時間がかかり、設計者等のユーザに大きな負担がかかる。
【0042】
これに対して、本構成例に係る断面形状データ生成方法によれば、造形する造形物Wの有する面Aiの情報を基に、溶融させた金属の積層方向または造形物Wを母材13に設置させる設置面を機械的に決定できる。つまり、造形物Wの有する面Aiに限定し積層方向または設置面を決定するので、造形物Wのモデルを3つの回転軸で回転させて探索する場合と比べ、有限個数のパターンでの検証で済み、設計者等のユーザへの負担を軽減できる。しかも、識別した面Aiに平行な切断面Ai,j(j=1~N)の面積分布を考慮するので、オーバーハング部位の有無や多寡を考慮して積層方向や設置面を決定できる。
【0043】
なお、母材13に設置させる設置面及び積層方向を決定する際に、特定した面Aiの面積Siと切断面Ai,jの面積Si,jとの関係においてSi≧Si,jが成り立つ面積分布を抽出し、そのときの特定した面Aiを母材13と接する設置面とし、複数の切断面Ai,jの配向方向を積層方向としてもよい。このように、設置面及び積層方向を決定すれば、溶接ビードを積層させる際に溶着量が比較的多い層を下側にでき、積層させる金属の垂れ量を抑えることができる。
【0044】
また、設置面及び積層方向を決定する際の特徴量としては、面積分布の平均値を採用してもよい。ここで、造形物Wを積層させる層数は、面積分布の平均値が大きいほど少なくて済む。したがって、面積分布の平均値が最大となる分布を選択することで、層数や溶接ビードのパス数を可能な限り節約できる積層方向や設置面の抽出が可能である。
【0045】
また、特徴量から抽出される面積分布が複数ある場合は、いずれかを任意に選択してもよい。
【0046】
ところで、
図5Aに示す姿勢PAにおいても、ブロック部BL3からブロック部BL4が側方へ突出する部分は、面積分布(
図8A参照)において、上式(1)のS
i,j≧S
i,(j+1)を満たさず、オーバーハング部位となる。このような場合、切断面A
i,jの面積分布に基づいて、造形物Wを複数の領域に分割してもよい。なお、オーバーハング部位があることによって生じる面積分布への影響を考慮して、面積変化率に予め閾値を定めておくのが好ましい。このようにすることで、オーバーハング部位として抽出すべき層を容易に特定できる。
【0047】
領域の分割に際しては、
図9に示すように、例えば、切断面A
i(j+1)を、切断面A
i,jの領域R1と同じ形の領域とそれ以外の余った領域R2とに分割する。その後は、それぞれの領域R1,R2に対して、識別工程(ステップS1)から決定工程(ステップS5)までの処理を実行すればよい。
【0048】
そして、
図10に示すように、主となる領域(ブロック部BL1,BL2,BL3)の積層方向(
図10における矢印D1)に対して、余った方の領域(ブロック部BL4)について個別に積層方向(
図10における矢印D2)を抽出することで、造形物Wの設置面に制約されない造形が可能となり、造形の難易度を大幅に低減できる。このとき、主たる積層方向(
図10における矢印D1)と従たる積層方向(
図10における矢印D2)の内積を計算し、母材13を支持するポジショナにおけるオーバーハング部位を造形する際に必要な回転角度を特定してもよい。
【0049】
ここで、オーバーハング部位を有する造形物を複数の領域に分割して積層方向を決定する場合の一例を説明する。
図11A~
図11Cは、オーバーハング部位を有する造形物の概略側面図である。
図11Aに示すように、この造形物W1は、複数のブロック部BL11,BL12,BL13,BL14,BL15を有している。ブロック部BL11の上部には、ブロック部BL12が積み重ねられ、ブロック部BL12から側方へ延びるブロック部BL13,BL14が造形され、さらに、ブロック部BL14から上方へ延びるブロック部BL15が造形されている。
【0050】
この造形物W1では、ブロック部LB11の底面を母材13への設置面として積層造形すると、積層方向D11に対して、下層よりも広がるブロック部BL13,BL14の部分がオーバーハング部位となる。したがって、この造形物W1の場合、
図11Bに示すように、ブロック部BL11,BL12の領域と、オーバーハング部位となるブロック部BL13の領域及びブロック部BL14,BL15の領域とに分割し、ブロック部BL13の領域及びブロック部BL14,BL15の領域について、それぞれ識別工程(ステップS1)から決定工程(ステップS5)までの処理を実行して積層方向D12,D13を設定する。
【0051】
さらに、ブロック部BL14,BL15の領域では、積層方向D13に対して、下層よりも広がるブロック部BL15の部分がオーバーハング部位となる。したがって、このブロック部BL14,BL15の領域では、
図11Cに示すように、ブロック部BL14の領域と、オーバーハング部位となるブロック部BL15の領域とに分割し、ブロック部BL15の領域について、識別工程(ステップS1)から決定工程(ステップS5)までの処理を実行して積層方向D14を設定する。
【0052】
このように、下層よりも広がる箇所が存在する場合に、細かく分割して個別の積層方向を設定することにより、オーバーハング部位の発生を抑えて円滑かつ良好に造形することができる。
【0053】
なお、
図12に示すように、斜めに傾いた柱状の造形物W2においては、底部の面A
iと、この面A
iに平行な切断面A
i,j(j=1~N)とが同一面積となることがある。つまり、この造形物W2では、切断面A
i,jにおいて、下層に対して上層の面積が同一であるにも関わらず、下層に対して上層が常にオーバーハングになる。このような造形物W2では、例えば、各切断面A
i,jの重心位置または中心位置の移動方向を配向方向と見なし、この配向方向を積層方向として設定しても良い。
【0054】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0055】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成方法であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得工程と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別工程と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成工程と、
前記切断面の面積分布を算出する演算工程と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定工程と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力工程と、
を含む、断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、造形する造形物の有する面の情報を基に、溶融させた金属の積層方向または造形物を母材に設置させる設置面を機械的に決定でき、ユーザへの負担を軽減できる。しかも、識別した面に平行な切断面の面積分布を考慮するので、オーバーハング部位の有無や多寡を考慮して積層方向や設置面を決定できる。
【0056】
(2) 前記決定工程において、前記面積分布ごとの前記特徴量を比較し、前記造形物の底面を決定する、(1)に記載の断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、造形する造形物の面ごとに切断面の面積分布を調べるので、造形物における底面に適した面を網羅的に探索できる。また、識別した面だけで特徴量を比較するので、比較範囲も有限個数で済み、造形物を立体的に回転させて底面を探索するような煩雑な処理を不要にできる。
【0057】
(3) 前記特徴量は、識別した前記面の面積であって、前記面積分布の中で最大面積である、(1)または(2)に記載の断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、最大面積の面を底面とするので、母材への設置が最も安定するだけでなく、溶融させた金属を積層させる際の垂れ量を抑制することができる。
【0058】
(4) 前記特徴量は、隣接する前記切断面において、識別した前記面側の切断面の面積が識別した前記面と反対側の切断面の面積以上である関係を満たす層の数である、(1)または(2)に記載の断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、オーバーハング部位の積層を可能な限り回避した積層方向もしくは設置面を探索できる。
【0059】
(5) 前記特徴量は、前記面積分布の平均値であり、
前記決定工程において、前記平均値が最大となる値を基に前記積層方向または前記設置面を決定する、(1)または(2)に記載の断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、面積分布の平均値が最大となる値を基に積層方向または設置面を決定する。ここで、造形物を積層させる溶融金属の層数は、面積分布の平均値が大きいほど少なくて済むので、面積分布の平均値が最大となる値を基に積層方向または設置面を決定すれば、トータルで必要となるパス数を抑制しやすい。
【0060】
(6) 前記面積分布において、識別した前記面側の切断面と識別した前記面と反対側に隣接する切断面との面積の変化率が予め設定した閾値より大きい場合に、識別した前記面と反対側に隣接する切断面以降の層を複数の領域に分割する分割工程をさらに含み、
前記分割した領域ごとに前記識別工程から前記決定工程を実行し、それぞれの前記領域に対応する前記積層方向を決定する、(1)~(5)のいずれか一つに記載の断面形状データ生成方法。
この断面形状データ生成方法によれば、明らかにオーバーハングが生じるときには、その部分で分割してオーバーハング部位に適した積層方向を分けて抽出することができる。
【0061】
(7) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成する断面形状データ生成装置であって、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得部と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別部と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成部と、
前記切断面の面積分布を算出する演算部と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定部と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力部と、
を有する、断面形状データ生成装置。
この断面形状データ生成装置によれば、造形する造形物の有する面の情報を基に、溶融させた金属の積層方向または造形物を母材に設置させる設置面を機械的に決定でき、ユーザへの負担を軽減できる。しかも、識別した面に平行な切断面の面積分布を考慮するので、オーバーハング部位の有無や多寡を考慮して積層方向や設置面を決定できる。
【0062】
(8) 溶融させた金属を積層方向へ繰り返し積層して造形物を製造する際に使用される前記造形物の断面形状データを生成するプログラムであって、
コンピュータに、
前記造形物の3次元形状情報を取得する情報取得機能と、
前記3次元形状情報における前記造形物が有する面を識別する識別機能と、
識別した前記面に平行な前記造形物の切断面を、間隔をあけて生成する生成機能と、
前記切断面の面積分布を算出する演算機能と、
前記面積分布の特徴量に基づいて、前記積層方向または前記造形物を母材に設置させる設置面を決定する決定機能と、
決定された前記積層方向または前記設置面に対応する前記切断面を断面形状データとして出力する出力機能と、
を実現させるための、プログラム。
このプログラムによれば、造形する造形物の有する面の情報を基に、溶融させた金属の積層方向または造形物を母材に設置させる設置面を機械的に決定でき、ユーザへの負担を軽減できる。しかも、識別した面に平行な切断面の面積分布を考慮するので、オーバーハング部位の有無や多寡を考慮して積層方向や設置面を決定できる。
【符号の説明】
【0063】
13 母材
15 造形制御装置(断面形状データ生成装置)
31 情報取得部
33 識別部
35 生成部
37 演算部
39 決定部
41 出力部
100 積層造形システム
Ai 面
Ai,j 切断面
W 造形物