(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071275
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】受配電設備の設置用基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 29/05 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
E02D29/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182130
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 光喜
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147AB01
(57)【要約】
【課題】本発明は 洞道の上方を覆うコンクリートの上部スラブをなくすことができ、洞道内に敷設する電気ケーブルの引き回しやレイアウトの妨げを生じさせない受配電設備の設置用基礎構造を提供することを課題とする。
【解決手段】受配電設備の設置用基礎構造は、底壁部2と立壁部3、4、5、6とで囲まれて成ると共に上方に開口した空間Sを形成する空間形成用構造体1を有し、立壁部3、4、5、6のうち対峙する立壁部5、6は、上方及び側方に開口した溝部18がそれぞれ形成されて、溝部18の側方の開口同士が対峙し、溝部18に柱状の硬質部材15の長手方向の両端部が装着されて、柱状の硬質部材15が空間形成用構造体1の対峙する立壁部5、6間にわたって架設されたものとなっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台とその上に載置される本体とで構成された受配電設備を複数設置可能な受配電設備の設置用基礎構造であって、
底壁部と複数の立壁部とで囲まれて成ると共に上方に開口した空間を形成する空間形成用構造体を有し、
前記複数の立壁部のうち一対の対峙する立壁部は、上方及び側方に開口した溝部がそれぞれ形成されて、前記溝部の側方の開口同士が対峙し、
前記溝部に柱状の硬質部材の長手方向の両端部が装着されて、前記柱状の硬質部材が前記空間形成用構造体の前記一対の対峙する立壁部間にわたって架設されていることを特徴とする受配電設備の設置用基礎構造。
【請求項2】
前記柱状の硬質部材は、
前記基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部のうち一方の柱状部が、前記柱状の硬質部材上に、前記柱状の硬質部材の長手方向に沿って載り、
前記基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部のうち他方の柱状部が、前記立壁部のうち前記溝部が形成された立壁部間に位置する立壁部上に、前記立壁部の空間の開口縁に沿って載ることができ、又は、前記柱状の硬質部材上に、前記柱状の硬質部材の長手方向に沿って載ることができるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の受配電設備の設置用基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチギア等の受配電設備を洞道等の空間の上に設置するための設置用基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるように、地盤の地下において、底壁と4つの縦壁と板状のコンクリート基礎とで囲まれた洞道が設けられ、板状のコンクリート基礎の上にスイッチギア等の受配電設備が設置される場合がある(なお、底壁、縦壁及びコンクリート基礎で成る構造物全体を基礎と称し、コンクリート基礎を上部スラブと称する場合もある。以下、同じ。)。洞道内には複数の電力ケーブルが敷設されており、これらの電力ケーブルは、コンクリート基礎の開口部から上部に導かれてスイッチギア等の受配電設備と接続されている。スイッチギア等の受配電設備と電力ケーブルの端末との接続作業は、一般的には作業員が洞道内に入って行う。
【0003】
そして、スイッチギア等の受配電設備は、例えば、特許文献2に示されるように、スイッチギア等の受配電設備の箱体状の本体が、枠体状のチャンネルベースの上に載せられ、箱状の本体の下部とチャンネルベースとが固定用ボルト等で固定されている。
【0004】
一方で、矢板の省略等による工事費の削減のために、地盤を掘削して形成する洞道の深さについて、従来の洞道の深さよりも浅くすること(例えば、深さを2m以下とすること)が求められる場合がある。もっとも、洞道の深さを浅くすると作業空間が狭くなり(天井が低くなり)、スイッチギア等の受配電設備と電力ケーブルの端末との接続作業等が困難になる。
【0005】
したがって、作業空間の確保のために、コンクリート基礎を省略し、チャンネルベース自体を基礎として、スイッチギア等の受配電設備の箱状の本体を支持することが考えられる。もっとも、チャンネルベースの強度ではスイッチギア等の受配電設備の本体の荷重に耐えきれないおそれがあるので、チャンネルベースを基礎としてスイッチギア等の受配電設備の本体を支持する構造を採択するのは好ましくない。
【0006】
この点、特許文献3では、並列に配置された複数の細長い第1の梁状部材(受桁と称する場合もある。以下、同じ。)と並列に配置された複数の細長い第2の梁状部材(受桁と称する場合もある。以下、同じ。)とを交差するかたちに組み付けて格子状とし、これらの格子状の開口部を薄肉のパネル状部材で塞ぐことで、コンクリート基礎の代わりに、スイッチギア等の受配電設備を設置するための床構造を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-127279号公報
【特許文献2】特開2017-99047号公報
【特許文献3】特開昭61-162662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3で示される床構造では、第1の梁状部材と第2の梁状部材とが交差した部位のそれぞれを下方から立設した柱状の支持部材で支持する構成となっている。このため、洞道内に電気ケーブルを敷設する際に、複数の立設した支持部材が電気ケーブルの引き回しないしレイアウトの妨げとなるという不具合を有する。また、交差する第1の梁状部材と第2の梁状部材とを必要とするので、梁状部材の数が多くなり、床構造全体でのコストが高くなるという不都合も有する。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みたもので、少ない数の受桁を用いて洞道等のこれまで閉鎖的な空間の上方を覆っていたコンクリートの板状部分をなくすことができ、洞道等の空間内に敷設する電気ケーブルに対して、空間内の引き回しやレイアウトの妨げを生じさせない受配電設備の設置用基礎構造を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明の受配電設備の設置用基礎構造は、基台とその上に載置される本体とで構成された受配電設備を複数設置可能な受配電設備の設置用基礎構造であって、底壁部と複数の立壁部とで囲まれて成ると共に上方に開口した空間を形成する空間形成用構造体を有し、前記複数の立壁部のうち一対の対峙する立壁部は、上方及び側方に開口した溝部がそれぞれ形成されて、前記溝部の側方の開口同士が対峙し、前記溝部に柱状の硬質部材の長手方向の両端部が装着されて、前記柱状の硬質部材が前記空間形成用構造体の前記一対の対峙する立壁部間にわたって架設されていることを特徴としている(請求項1)。受配電設備は、例えばスイッチギアである。基台は、チャンネルベースとも称される。本体は、例えば直方体形状の箱体状をなしている。空間には、例えば洞道等が含まれる。柱状の硬質部材は、例えばH型鋼等の鋼材である。立壁部の溝部の数や柱状の硬質部材の数は、設置する予定の受配電設備を並べる向きによっては、受配電設備の数より1つ少なくなる場合がある。
【0011】
これにより、洞道等として利用される、これまで密閉的であった空間に対して、その上方を覆うコンクリートでなる上部スラブをなくすことができ、その一方で柱状の硬質部材を用いることにより、受配電設備を空間の上に配置された状態で設置するための強度も確保することが可能である。更には、受配電設備が架設された状態で設置される柱状の硬質部材は、両端部が一対の対峙する立壁部の溝部に装着されることにより、これらの一対の立壁部間にわたって架設されるので、柱状の硬質部材の途中部分を下方から支持する支柱も不要とすることが可能である。
【0012】
そして、本発明の受配電設備の設置用基礎構造では、前記柱状の硬質部材は、前記基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部のうち一方の柱状部が、前記柱状の硬質部材上に、前記柱状の硬質部材の長手方向に沿って載り、前記基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部のうち他方の柱状部が、前記立壁部のうち前記溝部が形成された立壁部間に位置する立壁部上に、前記立壁部の空間の開口縁に沿って載ることができ、又は、前記柱状の硬質部材上に、前記柱状の硬質部材の長手方向に沿って載ることができるように配置されている(請求項2)。
【0013】
これにより、最初に2つの受配電設備を配置する場合には、一方の受配電設備の基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部について、溝部が形成された立壁部間に位置する一方の立壁部上と柱状の硬質部材上とに載り、他方の受配電設備の基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部について、2つの柱状の硬質部材上に載るようにして、2つの受配電設備を並列の配置することができる。よって、受配電設備の増設をする場合には、例えば、増設する受配電設備の基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部について、溝部が形成された立壁部間に位置する他方の立壁部上と柱状の硬質部材上とに載るようにすることで、3つの受配電設備を並列の配置することができ、受配電設備の増設に対し簡易に対応することが可能である。なお、柱状の硬質部材の本数によっては、増設する受配電設備の基台の長手方向に沿って延びると共に並行した柱状部について、2つの柱状の硬質部材上に載るようにすることで、受配電設備の増設に対応すること
も可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上に述べたように、本発明の受配電設備の設置用基礎構造によれば、上方に開口した空間を形成する空間形成用構造体を有した構成として、洞道等として利用される、これまで密閉的であった空間に対して、当該空間の上方を覆っていたコンクリートでなる上部スラブをなくし、代わりに対峙する立壁部間に柱状の硬質部材を架設するようにした。これにより、空間の深さを従来の洞道等の空間の深さよりも浅くしても、上部スラブの厚み分がなくなるので、作業員の空間内での作業の効率が低下することを抑制することができる。また、柱状の硬質部材を用いることで、受配電設備を空間の上に架設された状態で設置するための強度も確保することも可能である。更には、洞道の上方を覆っていたコンクリートでなる上部スラブをなくしたので、空間の形成のために使用されるコンクリート量も減少し、製造コストを低減することが可能となる。更にまた、柱状の硬質部材は、両端が立壁部の溝部に装着されて対峙する立壁部間に架設されるので、柱状の硬質部材の途中部分を下方から支持する必要がないことから、空間内に電気ケーブルを敷設する際に受配電設備の設置用基礎構造が電気ケーブルの引き回しやレイアウトの妨げにはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明が適用された受配電設備の設置用基礎構造の柱状の硬質部材が装着される前の状態を示した説明図であり、(a)は前記の状態の平面図、(b)は前記の状態の作業員の出入口部のある部位が現れた断面図(
図1(a)のI-I線断面図)、(c)は前記の状態の柱状の硬質部材が装着される溝部が現れた断面図(
図1(a)のII-II線断面図)である。
【
図2】上記の受配電設備の設置用基礎構造において、溝部に柱状の硬質部材が装着される工程を示した説明図である。
【
図3】上記の受配電設備の設置用基礎構造において、溝部に柱状の硬質部材が装着された状態を示した説明図であり、(a)は前記の状態の平面図、(b)は柱状の硬質部材が溝部に装着された状態が現れた断面図(
図3(a)のIII-III線断面図)である。
【
図4】上記の受配電設備の設置用基礎構造において、2つの並行な柱状の硬質部材の上に受配電設備の基台及び本体が設置される工程を示した説明図である。
【
図5】上記の受配電設備の設置用基礎構造において、受配電設備の基台及び本体が設置された状態を示した説明図であり、(a)は前記の状態の平面図、(b)は前記の状態の断面図(
図5(a)のIV-IV線断面図)である。
【
図6】溝部に柱状の硬質部材が装着され、しかも柱状の硬質部材が空間の開口縁の部位の上面と同一平面状になるように調整された状態を示す説明図であり、(a)は前記の状態を側方から見た断面図、(b)は前記の状態を正面から見た断面図(
図6(a)のV-V線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず、本発明の受配電設備の設置用基礎構造を用いて設置される受配電設備100について説明する。この実施形態では、受配電設備100の一例として、電力ケーブルの端末作業用の空間を確保するために下方に空間(洞道)を必要とするスイッチギアが示されている。受配電設備100は、
図4及び
図5に示されるように、基台101とその上に載置される本体102とで構成され、基台101と本体102とは図示しないボルト等の固定具によって固定される。基台101への本体102の固定は、基台101を後述する柱状の硬質部材15に載せた後にする場合と基台101を後述する柱状の硬質部材15に載せる前にする場合とが挙げられる。
【0018】
基台101は、例えば金属製のもので、チャンネルベースとも称され、この実施形態では、
図4及び
図5(b)に示されるように、当該基台101の長手方向に沿って延びると共に並行した並列の2つの柱状部101a、101aと、柱状部101aの長手方向の両端部にて2つの柱状部101a、101a間に配置された柱状部101b、101b(柱状部101aよりも短い)とにより四角形状(長方形状)の枠体を成している。そして、基台101は、柱状部101aの長手方向の途中部分の2箇所(但し、1個所でも3箇所以上でも可)において、柱状部101a、101a間に架設された柱状部101c、101cを有している。柱状部101a、101b、101cの上面は、同一平面状となって、本体102の下面がガタツキなく柱状部101a、101b、101cの上面に当接可能になっている。なお、この実施形態では、基台101の柱状部101b、101bは、
図4及び
図5に示されるように、その全部又は一部が立壁部5又は立壁部6の空間Sの開口縁部位の上面に載っており、これにより、基台101の安定性の向上が図られている。なお、基台101について、図示しないが、枠状ではなく、一枚の板状部材とすることを排除しない。
【0019】
本体102は、例えば直方形状の箱体のもので、この実施形態では、
図4や
図5に示されるように、少なくとも下面が基台101の枠体の外周よりも若干大きなものとなっている。スイッチギアの本体102である場合には、断路器と遮断器とが少なくとも本体102内に収容されている。
【0020】
次に、後述の柱状の硬質部材15とで本発明の受配電設備の設置用基礎構造を構成する空間形成用構造体1について説明する。
図1、
図3及び
図5では、空間形成用構造体1の一例が示されている。空間形成用構造体1は、この実施形態では、底壁部2と4つの立壁部3、4、5、6とで囲まれて成る略枡型の箱状部1aを主要部としている。底壁部2及び立壁部3、4、5、6は、コンクリートで形成されている。箱状部1aは、この実施形態では、地盤の地中に大部分が埋まるかたちで配置されており、上方に開口した空間Sを形成するためのものである。空間Sは、この実施形態では、前記受配電設備100との関係で、図示しない電力ケーブルが敷設される洞道として用いられる。すなわち、特に
図1(a)及び
図1(b)に示されるように、立壁部4に電力ケーブルを通す管路4aが複数(図では6つ)形成されていると共に立壁部6に電力ケーブルを通す管路6aが複数(図では6つ)形成されて、空間S外から空間S内に電力ケーブルを引き込み又は空間S内から空間S外に電力ケーブルを引き出すことが可能になっている。
【0021】
なお、立壁部3、4の空間Sの開口縁から空間Sと離れる方向にかけての厚みは、その上面に基台101の柱状部101a、101aの全部又は一部をグラツキなく載せることが可能な寸法を有している。また、立壁部5、6の空間Sの開口縁から空間Sと離れる方向にかけての厚みは、後述する溝部18を形成することが可能な寸法を有している。
【0022】
空間形成用構造体1は、この実施形態では、箱状部1aの立壁部5よりも外側に、作業員が空間S内に出入りするための出入口部1bが付設されている。出入口部1bは、人が通れる大きさで上方に開口した縦孔7を有した四角形の柱状をしている。縦孔7は、立壁部5と出入口部1bの立壁部5側の壁部とを貫通してなる横孔状の通孔8により空間Sと連通している。通孔8も人が通れる大きさである。そして、通孔8は、この実施形態では、
図1(b)に示されるように、箱状部1aの立壁部5と出入口部1bとの境界に上方に開口した開口部9を形成し、この開口部9から止水板10を落とすことで閉塞されることが可能になっている。
【0023】
また、空間形成用構造体1は、この実施形態では、箱状部1aの立壁部6よりも外側(出入口部1bとは反対側となる外側)に上面が平な台座1cが付設されている。そして、箱状部1aの立壁部6と台座1cとの境界には、上方に開口したスリット状のケーブルビット11が形成されており、ケーブルビット11は立壁部6に形成された複数の管路6aのそれぞれと連通している。
【0024】
なお、この実施形態では、
図1(b)に示されるように、縦孔7の空間Sよりも下方域をグレーチング蓋12で覆っている。また、この実施形態では、
図1(b)、
図1(c)、
図3(b)及び
図5(b)に示されるように、底壁部2の下方と台座1cの下方とにそれぞれ基礎砕石13、14が設けられている。
【0025】
さらに、受配電設備100を空間Sの上方に設置するための直接の基礎となる柱状の硬質部材15と、当該柱状の硬質部材15を空間形成用構造体1に装着するための溝部18について
図1から
図6を用いて説明する。
【0026】
柱状の硬質部材15は、この実施形態では、特に
図2、
図4及び
図6に示されるように、平板状の上側部15aと、平板状の底側部15bと、上側部15aと底側部15bとを連接する立板状の連接部15cと、で構成された直線状のH型の鋼材(H型鋼)が用いられている。柱状の硬質部材15は、その用いられ方から受桁とも称される。上側部15aと底側部15bとは便宜上の名称であり、柱状の硬質部材15を逆転させれば、上側部15aが底側部15bになり、底側部15bが上側部15aになることはもちろんである。
【0027】
柱状の硬質部材15の長手方向の寸法は、
図2及び
図3に示されるように、立壁部5に形成された後述の溝部18と立壁部6に形成された後述の溝部18との双方に、各端部が溝部18内に当該溝部18の側方の開口の縁より所定の範囲で入るかたちで、装着することが可能な寸法となっている。また、上側部15aは、柱状の硬質部材15を上方から見た場合の短手方向(水平方向)の寸法が、
図4に示されるように、その上面に基台101の柱状部101aの全部又は一部を安定した状態で載せるにあたり、
図5(a)に示されるように、2つの基台101(柱状部101a)を並べて載せることができるのみならず、更に基台101の上に基台101よりも大きな本体102を載せても、2つの本体102、ひいては2つの受配電設備100を並べて載せることが可能な寸法となっている。
【0028】
立壁部5の溝部18及び立壁部6の溝部18は、上方及び側方に開口した形状をなすもので、この実施形態では、2つずつ形成されている。もっとも、受配電設備100の設置数が4つ以上の場合には、柱状の硬質部材15の数が後述する受配電設備100の並びでは3つ以上に増えることに伴い、立壁部5、6の溝部18の数も3つ以上となる。立壁部5の溝部18の側方の開口と、立壁部6の溝部18の側方の開口とは、直線状の柱状の硬質部材15の両端部をそれぞれ装着することが可能なように、対峙する位置になっている。各溝部18の側方の開口からの柱状の硬質部材15の軸方向となる深度は、柱状の硬質部材15の端部が溝部18内に装着された後、受配電設備100が柱状の硬質部材15の上に設置されたときに、柱状の硬質部材15の端部にて受配電設備100を確実に支持することが可能な寸法となっている。
【0029】
そして、溝部18が立壁部5や立壁部6に形成される位置は、立壁部3又は立壁部4の空間Sの開口縁と柱状の硬質部材15との間隔や、基台101の一方の柱状部101aと他方の柱状部101aとの間隔に合わせたものとなっている。
【0030】
溝部18の内形状は、柱状の硬質部材15の端部が装着されたときに、受配電設備100の傾きを防止するために、柱状の硬質部材15の上側部15aの上面と立壁部3、4の上面とが同一平面状になる必要があると共に、溝部18の形成時のバラツキに対応することも必要である。これに伴い、本実施形態では、
図6に示されるように、溝部18の内形状を柱状の硬質部材15の外形状よりも大きく設定し、柱状の硬質部材15を溝部18に装着して柱状の硬質部材15が確実に固定されるように、ライナーやモルタル等の介在用部材20を用いて、柱状の硬質部材15の上側部15aの上面と立壁部3、4の上面とが同一平面状になるようにしている。
【0031】
本発明の空間形成用構造体1に柱状の硬質部材15を装着した後、受配電設備100を設置する手順の一例について、
図1から
図6を用いて以下に概説する。
【0032】
図1(a)及び
図1(c)に示される立壁部5の溝部18、18及び立壁部6の溝部18、18が空いた状態から、
図2に示されるように、柱状の硬質部材15の両端部を対峙する位置関係にある立壁部5の溝部18と立壁部6の溝部18とに装着する。このとき、必要に応じて柱状の硬質部材15の上側部15aの上面が立壁部3、4の上面と同一平面状になるように、
図6(a)に示されるように、柱状の硬質部材15の溝部18の下面との間の寸法を介在用部材20にて調整する。また、
図6(b)に示されるように、必要に応じて柱状の硬質部材15と溝部18との側方の空隙を介在用部材20にて埋める。
【0033】
これにより、
図3に示されるように、立壁部5と立壁部6との間に2つの柱状の硬質部材15が架け渡され、且つかかる柱状の硬質部材15は立壁部3、4の空間Sの開口縁と並行の状態となる。これに伴い、2つの受配電設備100を設置する場合で、その1つを2つの柱状の硬質部材15を直接の基礎とするかたちで設置するときには、
図4に示されるように、一方の受配電設備100については、柱状部101a、101aがそれぞれ柱状の硬質部材15の長手方向に沿ったかたちで載るように、基台101を柱状の硬質部材15、15に載置した後、本体102を基台101に載せて、基台101に本体102を固定する。他方の受配電設備100については、図示しないが、基台101の一方の柱状部101aが柱状の硬質部材15の長手方向に沿ったかたちで載り、基台101の他方の柱状部101aが立壁部4の空間Sの開口縁の部位に当該立壁部4の空間Sの開口縁に沿ったかたちで載るように、基台101を柱状の硬質部材15の上に載置して、基台101に本体102を固定する。もっとも、上記の一方の受配電設備100及び他方の受配電設備100において、基台101に本体102を先に固定した状態でもよいことは先述した通りである。
【0034】
このように受配電設備100を設置することにより、
図5(a)に示されるように、立壁部3と立壁部3側の柱状の硬質部材15との間は空き領域となるので、図示しないが縞鋼板等のプレート部材を立壁部3と柱状の硬質部材15とに架設して、受配電設備100の増設に備えることができる。すなわち、受配電設備100の増設を増設するときには、例えば、前記の図示しないプレート部材を外し、基台101を、その一方の柱状部101aが、柱状の硬質部材15に当該柱状の硬質部材15の長手方向に沿ったかたちで載り、その他方の柱状部101aが、立壁部3の空間Sの縁の部位に、当該立壁部3の空間Sの縁に沿ったかたちで載るようにして設置した後に、基台101に本体102を載置して固定するだけでよい。
【0035】
もっとも、図示しないが、基台101を、柱状部101a、101aが柱状の硬質部材15の長手方向と交差(例えば90度の角度で直交)するように、柱状の硬質部材15に載せた後、その基台101の上に本体102を載せて、基台101と本体102とを固定し、あるいは、予め本体102が固定された基台101を、柱状部101a、101aが柱状の硬質部材15の長手方向と交差(例えば90度の角度で直交)するように、柱状の硬質部材15に載せることで、受配電設備100を設置することを排除しない。
【0036】
このように、本発明では、受配電設備の設置用基礎構造として、空間形成用構造体1の対峙する立壁部5、6にそれぞれ溝部18を一又は複数形成し、立壁部5の溝部18と立壁部5の溝部18とに柱状の硬質部材15の端部を装着するようにしたことにより、柱状の硬質部材15の装着作業が簡易化し、且つ柱状の硬質部材15を装着するための位置決めも容易となった。
【符号の説明】
【0037】
1 空間形成用構造体
2 底壁部
3、4、5、6 立壁部
15 柱状の硬質部材
18 溝部
100 受配電設備
101 基台
101a 柱状部
102 本体
S 空間