(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071284
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】まくらぎ束グリップアタッチメント
(51)【国際特許分類】
E01B 29/06 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
E01B29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182145
(22)【出願日】2022-11-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和3年11月12日 ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/channel/UCEk_HK_XjNIZSB-0BL9ooOw https://www.youtube.com/watch?v=_joJtlXLRPI 公開者 大鉄工業株式会社 〔刊行物等〕 開催日 令和3年11月24日~26日 集会名、開催場所 第7回鉄道技術展2021 幕張メッセ 5・6・7・8ホール(〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1) 公開者 大鉄工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】森 章馬
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA03
2D057BA18
(57)【要約】
【課題】構造を簡素化できるバックホウ用のまくらぎ束グリップアタッチメントを提供する。
【解決手段】バックホウBHのアームBAに取り付けおよび取り外し可能なグリップアタッチメント1は、互いに平行に配置された複数本のまくらぎMを含むまくらぎ束MTを、まくらぎ束MTに含まれるまくらぎMの長さ方向に挟むことにより、まくらぎ束MTを掴む一対のハンドと、一対のハンドの間隔を増加および減少させる開閉アクチュエータとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なアタッチメントであって、
互いに平行に配置された複数本のまくらぎを含むまくらぎ束を、前記まくらぎ束に含まれる前記まくらぎの長さ方向に挟むことにより、前記まくらぎ束を掴む一対のハンドと、
前記一対のハンドの間隔を増加および減少させる開閉アクチュエータと、を備える、まくらぎ束グリップアタッチメント。
【請求項2】
平面視で前記一対のハンドの間に配置されており、前記まくらぎ束に含まれる2本以上の前記まくらぎの上面に当てられる高さ調整バーをさらに備える、請求項1に記載のまくらぎ束グリップアタッチメント。
【請求項3】
前記高さ調整バーの一部は、前記まくらぎの幅方向における前記一対のハンドの端の位置を示す目安となっている、請求項2に記載のまくらぎ束グリップアタッチメント。
【請求項4】
前記まくらぎ束グリップアタッチメントは、前記一対のハンドを開閉可能に保持するメインフレームをさらに備え、
前記メインフレームは、前記一対のハンドよりも前記まくらぎの幅方向に短い、請求項1~3のいずれか一項に記載のまくらぎ束グリップアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本のまくらぎを含むまくらぎ束を掴むバックホウ用のまくらぎ束グリップアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、複数本のまくらぎを掴む装置が開示されている。この装置は、1本のまくらぎを掴む一対の爪がそれぞれに設けられた4つのユニットと、隣接するユニットの間隔を増加および減少させる手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、一対の爪を1本のまくらぎごとに設ける必要があり、構造が複雑になる。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、構造を簡素化できるバックホウ用のまくらぎ束グリップアタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なアタッチメントであって、互いに平行に配置された複数本のまくらぎを含むまくらぎ束を、前記まくらぎ束に含まれる前記まくらぎの長さ方向に挟むことにより、前記まくらぎ束を掴む一対のハンドと、前記一対のハンドの間隔を増加および減少させる開閉アクチュエータと、を備える、まくらぎ束グリップアタッチメントを提供する。
【0007】
前記実施形態において、以下の特徴の少なくとも1つを、前記まくらぎ束グリップアタッチメントに加えてもよい。
【0008】
平面視で前記一対のハンドの間に配置されており、前記まくらぎ束に含まれる2本以上の前記まくらぎの上面に当てられる高さ調整バーをさらに備える。
【0009】
高さ調整バーは、まくらぎ束に含まれる全てのまくらぎの上面に接触してもよい。高さ調整バーが2本以上のまくらぎの上面に接触するのであれば、高さ調整バーは、まくらぎ束に含まれる全てのまくらぎの上面に接触しなくてもよい。
【0010】
前記高さ調整バーの一部は、前記まくらぎの幅方向における前記一対のハンドの端の位置を示す目安となっている。
【0011】
前記目安となる前記高さ調整バーの前記一部は、前記幅方向における前記高さ調整バーの端であってもよいし、前記高さ調整バーに設けられた目印であってもよい。前記目印は、前記高さ調整バーに刻まれた刻印または前記高さ調整バーの表面に塗られた塗料であってもよいし、これら以外であってもよい。
【0012】
前記目安となる前記高さ調整バーの前記一部の前記幅方向への位置は、前記幅方向における前記一対のハンドの前記端の位置と一致していてもよいし、前記一対のハンドで前記まくらぎ束を掴むのに支障がない程度(例えば数cm程度)であれば、当該端の位置に対して前記幅方向にずれていてもよい。
【0013】
前記まくらぎ束グリップアタッチメントは、前記一対のハンドを開閉可能に保持するメインフレームをさらに備え、前記メインフレームは、前記一対のハンドよりも前記まくらぎの幅方向に短い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構造を簡素化できるバックホウ用のまくらぎ束グリップアタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るまくらぎ束グリップアタッチメントの使用例を示す概略図である。
【
図2】同まくらぎ束グリップアタッチメントの他の使用例を示す概略図である。
【
図3】一対のハンドが閉位置に配置されたまくらぎ束グリップアタッチメントの正面図である。
【
図4】一対のハンドが開位置に配置されたまくらぎ束グリップアタッチメントの正面図である。
【
図5】まくらぎ束グリップアタッチメントの平面図である。
【
図6】まくらぎ束グリップアタッチメントの左側面図である。
【
図8】まくらぎ束グリップアタッチメントをまくらぎ束の上方に配置する前の状態を示す平面図である。
【
図9】まくらぎ束グリップアタッチメントをまくらぎ束の上方に配置した後の状態を示す正面図である。
【
図10】一対のハンドがまくらぎ束を掴んでおり、一対のハンドの下端部が2本の角材によってまくらぎ束の下に形成された空間に差し込まれた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
以下では、特に断りがない限り、基準状態のまくらぎ束グリップアタッチメント1について説明する。基準状態は、一対のハンド14が閉状態であり、一対のハンド14によって掴まれたまくらぎMの下面MLが水平であり、同まくらぎMが平面視でバックホウBHのアームBAと直交する状態である。
【0018】
以下では、一対のハンド14によって掴まれたまくらぎMの幅方向を前後方向と、同まくらぎMの長さ方向を左右方向と、それぞれ定義する。上下方向は、左右方向および前後方向の両方に直交する方向(鉛直方向)である。
図3において紙面に直交する方向がグリップアタッチメント1の前後方向であり、
図3における紙面の左右方向がグリップアタッチメント1の左右方向である。バックホウBHの運転席に向かう方向が前方向であり、バックホウBHの運転席から離れる方向が後方向である。以下の説明において、「内側」は、左右方向におけるグリップアタッチメント1の中央に近づく方向を、「外側」は、左右方向におけるグリップアタッチメント1の中央から離れる方向を、それぞれ意味する。
【0019】
最初に、まくらぎ束グリップアタッチメント1の概要について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るグリップアタッチメント1の使用例を示す概略図である。
図2は、同グリップアタッチメント1の他の使用例を示す概略図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、グリップアタッチメント1は、バックホウBHのアームBAに取り付けられるバックホウBHの付属品であり、バックホウBHの操作に応じて動作する。バックホウBHは、軌道上および陸上の両方で走行可能な軌陸バックホウであってもよいし、軌道上および陸上の一方だけで走行可能な軌道用または陸上用バックホウであってもよい。
【0022】
グリップアタッチメント1は、まくらぎ束MTの取り下ろしまたは積み込みを含む積卸などを行うためのアタッチメントである。バックホウBHは、車両または地面上に置かれた1つのまくらぎ束MT、または、上下に積み重ねられた複数本のまくらぎ束MTの一番上に位置する最上段のまくらぎ束MTをグリップアタッチメント1で掴み、グリップアタッチメント1およびアームBAで吊り上げる。その後、バックホウBHは、吊り上げた1つのまくらぎ束MTを、車両、地面、または別のまくらぎ束MTの上に置く。
【0023】
図1および
図2は、複数本のまくらぎ束MTを車両から道床に1束ずつ降ろす例を示している。
図1に示す例では、自走式の陸上用車両の荷台の上で上下に積み重ねられた複数本のまくらぎ束MTが、陸上用の一対の無限軌道を地面に接触させたバックホウBHによって1束ずつ降ろされる。
図2に示す例では、バックホウBHによって牽引される軌道用車両の上で上下に積み重ねられた複数本のまくらぎ束MTが、軌道用の複数の車輪を一対のレールに接触させたバックホウBHによって1束ずつ降ろされる。
【0024】
まくらぎ束MTは、互いに平行に配置された同一規格の複数本(例えば3本または4本)のまくらぎMによって構成されている。長さ、幅、高さ、および重量などのまくらぎMの諸元は、いずれのまくらぎMも同じである。1つのまくらぎ束MTを構成する全てのまくらぎMは、まくらぎMの長さ方向におけるまくらぎMの両端が揃うように、車両、地面、または別のまくらぎ束MTなどの上に配置される。1つのまくらぎ束MTを構成する全てのまくらぎMは、規則的に配置されているだけで、相対的な位置関係は拘束されていない。必要であれば、相対的なまくらぎMの移動をバンドなどで制限または防止してもよい。
【0025】
次に、グリップアタッチメント1の構造について説明する。
【0026】
図3および
図4は、グリップアタッチメント1の正面図である。
図3は、一対のハンド14が閉位置に配置された状態を示しており、
図4は、一対のハンド14が開位置に配置された状態を示している。
図5は、グリップアタッチメント1の平面図である。
【0027】
図3および
図4に示すように、グリップアタッチメント1は、バックホウBHのアームBA(
図1参照)に着脱可能に固定されるベースフレーム3と、ベースフレーム3に対して90度以上(例えば360度)回転可能なメインフレーム6と、ベースフレーム3に対してメインフレーム6を回転させる旋回モータ4とを備えている。グリップアタッチメント1は、さらに、まくらぎ束MTを掴む(グリップする)一対のハンド14と、一対のハンド14をメインフレーム6に対して移動させる開閉アクチュエータ9と、一対のハンド14をメインフレーム6に連結する一対の開閉アーム10とを備えている。
【0028】
グリップアタッチメント1によって掴まれるまくらぎMは、PC(プレストレストコンクリート)まくらぎである。まくらぎMは、木まくらぎなどのPCまくらぎ以外のまくらぎであってもよい。まくらぎMは、レールの下に配置される平面視で長方形状の上面MUと、道床の上に配置される平面視で長方形状の下面MLとを含む。まくらぎMは、さらに、下面MLの長辺から上面MUの長辺に延びる一対の側面MSと、下面MLの短辺から上面MUの短辺に延びる一対の端面MEとを含む。端面MEは、鉛直または概ね鉛直な平面である。
【0029】
図3は、水平な2本の連結ピン2によってベースフレーム3がバックホウBHのアームBAに固定される例を示している。ベースフレーム3は、メインフレーム6の上に配置されている。旋回モータ4も、メインフレーム6の上に配置されている。旋回モータ4は、バックホウBHから電力が供給されることにより回転する電動モータである。旋回モータ4は、バックホウBHから圧油が供給されることにより回転する油圧モータであってもよい。
【0030】
一対のハンド14、開閉アクチュエータ9、および一対の開閉アーム10は、メインフレーム6に取り付けられている。後述する高さ調整バー22も、メインフレーム6に取り付けられている。旋回モータ4がメインフレーム6をベースフレーム3に対して回転させると、一対のハンド14、開閉アクチュエータ9、一対の開閉アーム10、および高さ調整バー22も、メインフレーム6と同じ方向に同じ移動量および移動速度でベースフレーム3に対して回転する。
【0031】
開閉アクチュエータ9は、まくらぎ束MTが一対のハンド14によって掴まれる閉状態(
図3に示す状態)と、まくらぎ束MTが一対のハンド14によって掴まれない開状態(
図4に示す状態)との間で、一対のハンド14の状態を切り替える。
図3および
図4は、各ハンド14がメインフレーム6に対して閉位置(
図3に示す位置)と開位置(
図4に示す位置)との間で移動可能である例を示している。各ハンド14が閉位置に配置されると、一対のハンド14は閉状態になる。各ハンド14が開位置に配置されると、一対のハンド14は開状態になる。
【0032】
一方のハンド14は、一方の開閉アーム10を介してメインフレーム6に取り付けられている。他方のハンド14は、他方の開閉アーム10を介してメインフレーム6に取り付けられている。一対の開閉アーム10をメインフレーム6に対して移動させると、一対のハンド14も、一対の開閉アーム10と同じ方向に同じ移動量および移動速度でメインフレーム6に対して移動する。
図3および
図4は、ハンド14および開閉アーム10がメインフレーム6に対して水平な直線まわりに回転可能である例を示している。ハンド14は、メインフレーム6に対して水平に平行移動可能であってもよい。
【0033】
図5は、1つのハンド14ごとに1つ設けられた2つの油圧シリンダ9が開閉アクチュエータ9である例を示している。油圧シリンダ9は、油圧アクチュエータの一例である。開閉アクチュエータ9は、両方のハンド14を移動させる1つの油圧アクチュエータであってもよい。開閉アクチュエータ9は、1つ以上の電動アクチュエータであってもよいし、1つ以上の油圧アクチュエータと1つ以上の電動アクチュエータとを備えていてもよい。
【0034】
油圧シリンダ9は、開閉アーム10とメインフレーム6との間に介在している。
図5は、油圧シリンダ9のロッドが開閉アーム10に連結され、油圧シリンダ9のシリンダチューブがメインフレーム6に連結された例を示している。油圧シリンダ9の一端は、開閉アーム10に対して水平な直線まわりに回転可能である。油圧シリンダ9の他端は、メインフレーム6に対して水平な直線まわりに回転可能である。油圧シリンダ9が伸縮すると、ハンド14および開閉アーム10は、メインフレーム6に対して回転する。
【0035】
図5は、メインフレーム6が、左右に延びる水平な姿勢で前後に間隔を空けて平行に配置された断面四角形の2本の中空の角パイプ7と、左右方向における2本の角パイプ7の中央部に掛け渡されたセンタープレート8とを含む例を示している。ベースフレーム3は、センタープレート8の上方に配置されており、平面視でセンタープレート8に重なっている。2本の角パイプ7の水平で平坦な下面は、グリップアタッチメント1の基準面に相当するメインフレーム6の下面6Lである。
【0036】
各開閉アーム10は、角パイプ7の右端または左端から下方に延びている。各開閉アーム10は、ハンド14をメインフレーム6に連結する1つ以上の連結アーム11と、開閉アクチュエータ9の動力をハンド14に伝達する伝達アーム12とを含む。
図5は、前後に間隔を空けて平行に配置された2つの連結アーム11の間に1つの伝達アーム12が配置されており、連結アーム11と伝達アーム12との間で前後に水平に延びる2本の連結パイプ13によって2つの連結アーム11が伝達アーム12に連結された例を示している。
【0037】
図3および
図4に示すように、ハンド14は、連結アーム11および伝達アーム12の内側に配置されている。ハンド14は、連結アーム11および伝達アーム12に固定されている。油圧シリンダ9は、伝達アーム12に連結されており、伝達アーム12に対して水平な直線まわりに回転可能である。連結アーム11は、メインフレーム6に対して水平な直線まわりに回転可能である。メインフレーム6に対する2つの連結アーム11の回転中心C1は、同一軸線上に配置されている。油圧シリンダ9に対する伝達アーム12の回転中心C2は、連結アーム11の回転中心C1を通る水平な直線に対してずれている。伝達アーム12の回転中心C2は、油圧シリンダ9の動力が開閉アーム10に加わる油圧シリンダ9の作用点に相当する。
【0038】
次に、ハンド14について説明する。
【0039】
図6は、グリップアタッチメント1の左側面図である。
図7は、
図3の一部を拡大した図である。
【0040】
図6および
図7に示すように、ハンド14は、まくらぎ束MTの右側または左側に配置されるグリッププレート15と、まくらぎ束MTの下側に配置されるサポートプレート18を含む。ハンド14は、まくらぎ束MTの前側および後ろ側に配置される一対のストッパープレート19とを含む。連結アーム11および伝達アーム12は、グリッププレート15に固定されている。サポートプレート18およびストッパープレート19は、グリッププレート15、連結アーム11、および伝達アーム12を介してメインフレーム6に支持されている。
【0041】
図6および
図7は、グリッププレート15が、鉛直な姿勢で前後および上下に延びる長方形状のベースプレート16と、ベースプレート16の内側で鉛直な姿勢で前後および上下に延びる長方形状の1つ以上の保護プレート17とを含む例を示している。この例では、複数の保護プレート17が間隔を空けて前後に直線状に配列されている。各保護プレート17は、対応するベースプレート16に固定されている。1つのグリッププレート15に設けられた全ての保護プレート17の内側の平面は、前後および上下に延びる鉛直な1つの平面内に配置されている。
【0042】
複数の保護プレート17の内側の平面は、ベースプレート16の内側の平面がまくらぎMから離れた状態で、まくらぎMの端面MEに接触する。保護プレート17は、樹脂などのベースプレート16よりも柔らかい材料で形成されている。したがって、ベースプレート16をまくらぎMの端面MEに接触させる場合に比べて、まくらぎMの端部を保護できる。
【0043】
保護プレート17は、ベースプレート16よりも前後に短く、ベースプレート16よりも上下に短い。保護プレート17は、ベースプレート16よりも分厚い(左右方向に長い)。上下方向への保護プレート17の長さは、上下方向へのベースプレート16の長さ以下であってもよい。左右方向への保護プレート17の長さ(厚み)は、左右方向へのベースプレート16の長さ以下であってもよい。
【0044】
サポートプレート18は、ベースプレート16の下側の長辺から内側に延びている。一対のストッパープレート19は、ベースプレート16の2つの短辺から内側に延びると共に、サポートプレート18の2つの短辺から上方に延びている。サポートプレート18は、水平な姿勢で前後および左右に延びる長方形状である。ストッパープレート19は、鉛直な姿勢で上下および左右に延びる直角不等辺三角形状である。サポートプレート18の内側の端とストッパープレート19の内側の端とは、保護プレート17の内側の平面(後述するグリップ面20)よりも内側に配置されている。
【0045】
ベースプレート16、サポートプレート18、およびストッパープレート19は、厚みが等しいまたは概ね等しい平板である。前後方向へのサポートプレート18の長さは、前後方向へのベースプレート16の長さと等しい。左右方向へのサポートプレート18の長さは、上下方向へのベースプレート16の長さよりも短い。左右方向へのサポートプレート18の長さは、左右方向へのストッパープレート19の長さの最大値と等しい。上下方向へのストッパープレート19の長さの最大値は、上下方向へのベースプレート16の長さと等しい。これらの寸法は、一例であり、これに限れるものではない。
【0046】
前後方向へのグリッププレート15の長さは、まくらぎMの幅の2倍以上である。左右方向へのサポートプレート18の長さは、まくらぎMの長さの半分未満である。左右方向へのサポートプレート18の長さは、まくらぎMの高さよりも短くてもよい。メインフレーム6の下面6Lに相当する2本の角パイプ7の下面からサポートプレート18の上面(後述するサポート面21)までの上下方向への距離は、まくらぎMの高さ以上である。グリッププレート15は、まくらぎMよりも上下に短い。ベースプレート16と保護プレート17とのうちの少なくとも一方は、まくらぎMよりも上下に長くてもよい。
【0047】
ハンド14は、まくらぎMの端面MEに接触する平坦なグリップ面20と、まくらぎMの下面MLに接触する平坦なサポート面21とを含む。グリップ面20は、1つの平面であってもよいし、1つの平面内で互いに離れた複数の平面であってもよい。サポート面21についても同様である。
図6および
図7に示す例では、1つのグリッププレート15に設けられた全ての保護プレート17の鉛直で平坦な内側の平面がグリップ面20に相当し、サポートプレート18の水平で平坦な上面がサポート面21に相当する。
【0048】
一対のハンド14が開位置に配置されているとき、一対のハンド14のグリップ面20の間隔と一対のハンド14のサポート面21の間隔(サポート面21の内側の端同士の間隔)とは、まくらぎMの長さよりも広い(
図4参照)。一対のハンド14を閉位置に移動させると、一対のハンド14のグリップ面20の間隔は、まくらぎMの長さに一致するまたは概ね一致し、一対のハンド14のサポート面21の間隔は、まくらぎMの長さよりも短くなる。このとき、一対のハンド14のサポート面21は、互いに等しい高さに配置される。
【0049】
図7に示すように、ハンド14が閉位置に配置されているとき、ハンド14のサポート面21は、メインフレーム6に対する開閉アーム10の回転中心(連結アーム11の回転中心C1)の真下に配置される。2つのサポート面21でまくらぎ束MTを持ち上げたとき、まくらぎMの重量は、メインフレーム6に対する開閉アーム10の回転中心の真下を含む位置でハンド14に作用する。したがって、2つのサポート面21でまくらぎ束MTを持ち上げたときに開閉アーム10をメインフレーム6に対して内側または外側に回転させるモーメントの発生を防止できる、もしくは、当該モーメントを小さくすることができる。
【0050】
次に、高さ調整バー22について説明する。以下では、
図3~
図5を参照する。
【0051】
グリップアタッチメント1は、ベースフレーム3等に加えて、1本以上の高さ調整バー22を備えている。
図3~
図5は、前後に水平に延びる2本の高さ調整バー22が設けられた例を示している。2本の高さ調整バー22は、まくらぎ束MTに含まれる2本以上のまくらぎMの上面MUに接することにより、まくらぎ束MTの上面からメインフレーム6の下面6Lまでの上下方向への距離を一定に維持するものである。
【0052】
図3~
図5に示すように、2本の高さ調整バー22は、一対のハンド14よりも内側に配置されている。
図3~
図5は、2本の高さ調整バー22が左右対称な位置に配置された例を示している。高さ調整バー22は、メインフレーム6から下方に延びるブラケット23を介してメインフレーム6に支持されている。ブラケット23は、ボルトによって着脱可能にメインフレーム6に固定されている。ブラケット23をメインフレーム6に固定する位置を上下に移動させることにより、メインフレーム6に対する高さ調整バー22の位置を上下に移動させることができる。
【0053】
高さなどのまくらぎMの諸元は、まくらぎMの種類によって変わり得る。メインフレーム6に対する上下方向への高さ調整バー22の位置をまくらぎMの高さに応じて調整することにより、高さ調整バー22をまくらぎMの上面MUに当てたときに、まくらぎ束MTとメインフレーム6との間隔を適切な値に維持することができる。これにより、どのような種類のまくらぎMであっても一対のハンド14によって適切な位置でまくらぎ束MTを掴むことができる。まくらぎ束MTが上下に集積されている場合は、ハンド14が上から2番目のまくらぎ束MT(グリップアタッチメント1によって掴まれたまくらぎ束MTの真下に配置されるまくらぎ束MT)に触れることを防止できる(
図10参照)。
【0054】
図3~
図5は、高さ調整バー22が前後に水平に延びる直線状のバーである例を示している。
図3および
図4は、高さ調整バー22の外周面が正方形の筒状である例を示している。高さ調整バー22の外周面は、円や長方形などの正方形以外の形状であってもよい。
図3および
図4に示す例では、水平で平坦な高さ調整バー22の下面が高さ調整バー22の下端22Lに相当する。高さ調整バー22の下端22Lは、メインフレーム6の下面6Lよりも下方に配置されている。2本の高さ調整バー22の下端22Lは、互いに等しい高さに配置されている。
【0055】
ハンド14が閉位置に配置されているとき、ハンド14のサポート面21は、高さ調整バー22の下端22Lよりも下方に配置されている。このとき、サポート面21から高さ調整バー22の下端22Lまでの上下方向への最短距離は、まくらぎMの高さ以上である。
図3は、同距離がまくらぎMの高さと等しいまたは概ね等しい例を示している。ハンド14が閉位置に配置されているとき、サポート面21の内側の端から高さ調整バー22の下端22Lまでの左右方向への最短距離は、サポート面21から高さ調整バー22の下端22Lまでの上下方向への最短距離よりも短くてもよいし、同距離以上であってもよい。
【0056】
図3および
図4は、一対のレールが配置される一対の凹部MCがまくらぎMの上面MUに設けられた例を示している。まくらぎMの上面MUの右端部、中央部、および左端部は、凹部MCの底面よりも上方に配置されている。まくらぎMの上面MUの右端部および左端部は、いずれも、水平または概ね水平な平面である。まくらぎMの上面MUの右端部および左端部は、まくらぎMの長さ方向にまくらぎMを二等分する鉛直な平面に関して対称である。右側の高さ調整バー22の下端22Lは、まくらぎMの上面MUの右端部に接触し、左側の高さ調整バー22の下端22Lは、まくらぎMの上面MUの左端部に接触する。
【0057】
左右方向における2本の高さ調整バー22の間隔は、一対の凹部MCの外側の端の間隔よりも広い。したがって、2本の高さ調整バー22をまくらぎMに接触させる前に2本の高さ調整バー22が左右方向におけるまくらぎMの中央に対して左右にずれていたとしても、2本の高さ調整バー22の一方を凹部MCに落下させずに、2本の高さ調整バー22をまくらぎMの上面MUの右端部および左端部に接触させることができる。
【0058】
図5に示すように、各ハンド14は、メインフレーム6よりも前後に長い。ハンド14の前端14fは、メインフレーム6の前端よりも前方に配置されており、ハンド14の後端14bは、メインフレーム6の後端よりも後方に配置されている。2つのハンド14は、前後方向における2つのハンド14の前端14fの位置が一致または概ね一致し、前後方向における2つのハンド14の後端14bの位置が一致または概ね一致するように配置されている。ハンド14の前端14fからメインフレーム6の前端までの前後方向への距離は、メインフレーム6の後端からハンド14の後端14bまでの前後方向への距離と等しいまたは概ね等しい。
【0059】
高さ調整バー22は、平面視でメインフレーム6に重なるようにメインフレーム6の下方に配置されている。ハンド14と同様に、高さ調整バー22は、メインフレーム6よりも前後に長い。前後方向への高さ調整バー22の長さは、前後方向へのハンド14の長さと等しいまたは概ね等しい。各高さ調整バー22は、前後方向における高さ調整バー22の前端22fの位置が前後方向におけるハンド14の前端14fの位置に一致または概ね一致し、前後方向における高さ調整バー22の後端22bの位置が前後方向におけるハンド14の後端14bの位置に一致または概ね一致するように配置されている。
【0060】
平面視において、ハンド14の前端14fと高さ調整バー22の前端22fとは、左右に延びる1つの直線上に配置されている。同様に、平面視において、ハンド14の後端14bと高さ調整バー22の後端22bとは、左右に延びる1つの直線上に配置されている。したがって、高さ調整バー22の前端22fおよび後端22bは、前後方向における一対のハンド14の前端14fおよび後端14bの位置を示す目安となる。前後方向に関して高さ調整バー22の端(前端22fまたは後端22b)とまくらぎ束MTの端とを揃えると、ハンド14の端(前端14fまたは後端14b)もまくらぎ束MTの端に揃う。したがって、一対のハンド14を開位置に配置しているときでも、高さ調整バー22を位置合わせ用の基準として用いることにより、ハンド14の端をまくらぎ束MTの端と容易に合わせることができる。
【0061】
次に、グリップアタッチメント1の使用例について説明する。
【0062】
図8は、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置する前の状態を示す平面図である。
図9は、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置した後の状態を示す正面図である。
図10は、一対のハンド14がまくらぎ束MTを掴んでおり、一対のハンド14の下端部が2本の角材24によってまくらぎ束MTの下に形成された空間に差し込まれた状態を示す概略図である。
【0063】
以下の説明では、「把持すべき1つのまくらぎ束MT」を、単に、「まくらぎ束MT」という。特に断りがない限り、以下の説明における「全てのまくらぎM」は、把持すべき1つのまくらぎ束MTに含まれる全てのまくらぎMを意味し、「各まくらぎM」は、把持すべき1つのまくらぎ束MTに含まれる全てのまくらぎMのそれぞれを意味する。
【0064】
グリップアタッチメント1で1つのまくらぎ束MTを掴むとき、バックホウBH(
図1参照)の運転手は、バックホウBHを操作することにより、一対のハンド14を開位置に位置させた状態で、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置する。このとき、バックホウBHの運転手は、必要に応じて、各高さ調整バー22が平面視で各まくらぎMに直交または概ね直交するように、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に移動させながら、もしくは、まくらぎ束MTの上方に移動させた後に、旋回モータ4にメインフレーム6を回転させる。
【0065】
さらに、バックホウBHの運転手は、
図8において2本の太線の矢印で示すように、バックホウBH側の高さ調整バー22の端(前端22f)を、バックホウBH側のまくらぎ束MTの端の真上付近に位置させる。なお、
図8では、一対のハンド14が開位置ではなく閉位置に配置された例を示している。高さ調整バー22の端を目測でまくらぎ束MTの端に合わせると、ハンド14の端も概ねまくらぎ束MTの端に合う。これにより、前後方向に関してハンド14の端とまくらぎ束MTの端とが概ね揃った状態で、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置することができる。
【0066】
まくらぎ束MTがバックホウBHの運転手の目線付近に配置されている場合、バックホウBHの運転手がまくらぎ束MTに対する前後方向へのグリップアタッチメント1の位置を把握しづらいことがある。
図1は、このような場合の一例(運搬車両の荷台からまくらぎ束MTを取り卸す例)を示している。この場合、グリップアタッチメント1を適切な位置に配置するまでに長時間を要することがある。前記のように高さ調整バー22の一部を目安とすれば、このような時間を短縮できる。
【0067】
グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置したときに、2本の高さ調整バー22がまくらぎ束MTに対して前後に傾いていたり、左右に傾いていたりする(一方の高さ調整バー22からまくらぎ束MTまでの最短距離が、他方の高さ調整バー22からまくらぎ束MTまでの最短距離とは異なる)ことがある。このような場合、バックホウBHの運転手は、アームBAの姿勢を変更することにより、各高さ調整バー22から各まくらぎMまでの最短距離が等しいまたは概ね等しくなるように、グリップアタッチメント1の姿勢を変更する。
【0068】
各高さ調整バー22が平面視で各まくらぎMに直交または概ね直交し、各高さ調整バー22から各まくらぎMまでの最短距離が等しいまたは概ね等しくなるように、グリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置した後、
図9において太線の矢印で示すように、バックホウBHの運転手は、バックホウBHを操作することにより、グリップアタッチメント1の姿勢を維持しながらグリップアタッチメント1を下降させ、各高さ調整バー22を各まくらぎMの上面MUに接触させる。
【0069】
その後、バックホウBHの運転手は、各高さ調整バー22が各まくらぎMの上面MUに接触した状態で、バックホウBHを操作することにより、一対のハンド14を開位置から閉位置に移動させる。これにより、
図10に示すように、一対のハンド14が各まくらぎMの両端面MEに接触し、各まくらぎMが一対のハンド14によって挟まれる。さらに、各ハンド14のサポートプレート18が、各まくらぎMの下に配置される。この状態で、グリップアタッチメント1を上昇させると、各ハンド14のサポートプレート18の上面が、各まくらぎMの下面MLに接触し、各まくらぎMがグリップアタッチメント1によって持ち上げられる。
【0070】
図10は、まくらぎ束MTが厘木とよばれる木製の角材24(例えば45mm角程度の角材24)の上に置かれた例を示している。この例の場合、一対のハンド14を開位置から閉位置に移動させると、各ハンド14のサポートプレート18が、2本の角材24によってまくらぎ束MTの下に形成された空間に入り、まくらぎ束MTの下に配置される。このとき、各ハンド14のサポートプレート18が、別のまくらぎ束MTや地面などの角材24の下にある物に接触することなく、まくらぎ束MTの下に配置される。まくらぎ束MTがバラストなどの地面の上に直接配置されている場合は、各ハンド14のサポートプレート18が、まくらぎ束MTと地面との間に差し込まれ、まくらぎ束MTの下に配置される。
【0071】
一対のハンド14を閉位置に移動させ、まくらぎ束MTをグリップアタッチメント1で掴んだ後、バックホウBHの運転手は、バックホウBHを操作することにより、まくらぎ束MTをグリップアタッチメント1と共に持ち上げ、持ち上げたまくらぎ束MTを、車両、地面、または別のまくらぎ束MTなどの目的地の上方まで移動させる。このとき、バックホウBHの運転手は、空中にある各まくらぎMの下面MLとまくらぎ束MTが置かれる平面とが平行または概ね平行になるように、グリップアタッチメント1の姿勢を変更してもよい。
【0072】
バックホウBHの運転手は、持ち上げたまくらぎ束MTを目的地の上方まで移動させた後、まくらぎ束MTをグリップアタッチメント1と共に下降させ目的地に置く。このとき、まくらぎ束MTは、2本の角材24の上に置かれてもよいし、バラストなどの地面の上に直接置かれてもよい。その後、バックホウBHの運転手は、一対のハンド14を閉位置から開位置に移動させ、一対のハンド14を各まくらぎMから離す。その後、バックホウBHの運転手は、グリップアタッチメント1を上昇させ、目的地上のまくらぎ束MTからグリップアタッチメント1を退避させる。
【0073】
次に、本実施形態に係る効果について説明する。
【0074】
本実施形態では、開閉アクチュエータ9によって一対のハンド14を閉じると、一方のハンド14がまくらぎMの一方の端面MEに接触し、他方のハンド14がまくらぎMの他方の端面MEに接触する。これにより、互いに平行に配置された複数本のまくらぎMを含むまくらぎ束MTを一対のハンド14で掴むことができる。この状態で開閉アクチュエータ9によって一対のハンド14を開くと、一対のハンド14が各まくらぎMから離れ、一対のハンド14によるまくらぎ束MTのグリップが解除される。一対のハンド14で複数本のまくらぎMを掴むので、1本のまくらぎMごとに一対のハンド14を設ける場合に比べて、グリップアタッチメント1の構造を簡素化できる。
【0075】
本実施形態では、一対のハンド14を開いた状態でグリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方からまくらぎ束MTに近づけることにより、平面視で一対のハンド14の間に配置された高さ調整バー22をまくらぎMの上面MUに当てる。この状態で、一対のハンド14を閉じ、一対のハンド14でまくらぎ束MTを掴む。したがって、目測でグリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置して一対のハンド14を閉じる場合に比べて、まくらぎ束MTとグリップアタッチメント1との間隔を安定させることができ、意図した位置で一対のハンド14をまくらぎMに接触させることができる。
【0076】
さらに、高さ調整バー22を2本以上のまくらぎMの上面MUに接触させるので、複数本のまくらぎMとグリップアタッチメント1との間隔を安定させることができる。加えて、高さ調整バー22のような高さを調整する部材をまくらぎMごとに設けるのではなく、1本の高さ調整バー22を2本以上のまくらぎMの上面MUに接触させるので、グリップアタッチメント1の構造を簡素化できる。特に、高さ調整バー22を2本以上設けて、間隔を空けて左右に配置すれば、複数本の高さ調整バー22をまくらぎ束MTに当てることにより、グリップアタッチメント1に対するまくらぎ束MTの姿勢を安定させることができる。
【0077】
本実施形態では、高さ調整バー22の一部が前後方向におけるまくらぎ束MTの端の真上またはその付近に位置するようにグリップアタッチメント1をまくらぎ束MTの上方に配置する。その後、グリップアタッチメント1を下降させ、高さ調整バー22を2本以上のまくらぎMの上面MUに当てる。この状態で一対のハンド14を閉じ、一対のハンド14でまくらぎ束MTを掴む。
【0078】
一対のハンド14でまくらぎ束MTを掴む前に、前後方向における一対のハンド14の端を、前後方向におけるまくらぎ束MTの端に一致させるまたは近づけるので、一対のハンド14がまくらぎ束MTに対して前後方向にずれた状態でまくらぎ束MTが掴まれることを防止することができる。さらに、高さ調整バー22の一部を利用して前後方向への位置調整を行うので、追加の部材を設けなくてもよい。
【0079】
本実施形態では、一対のハンド14をメインフレーム6に対して移動させることにより、一対のハンド14を開閉する。メインフレーム6は、一対のハンド14よりも前後方向に短い。したがって、前後方向へのメインフレーム6の長さが、前後方向への一対のハンド14の長さ以上である場合に比べてグリップアタッチメント1を軽量化できる。
【0080】
前後方向に関してメインフレーム6の端が一対のハンド14の端と一致または概ね一致しているのであれば、メインフレーム6の端をまくらぎ束MTの端に合わせれば、前後方向に関して一対のハンド14をまくらぎ束MTに対して適切な位置に配置できるものの、メインフレーム6が一対のハンド14よりも前後方向に短いので、このようにできない場合がある。高さ調整バー22の一部を利用して前後方向への位置調整を行えば、このような場合でもグリップアタッチメント1を適切な位置に配置できる。
【0081】
グリップアタッチメント1を用いない場合、治具が取り付けられたまくらぎ束MTを複数の作業員で監視しながらバックホウBHなどの建設機械で吊り上げ、吊り上げたまくらぎ束MTを目的地で降ろすことがある。この場合、建設機械の運転手とまくらぎ束MTを監視する複数の作業員とが必要である。グリップアタッチメント1を用いれば、このような工法に比べて、施工効率を向上させることができ、作業員を減らすことができる。さらに、前記の工法ではまくらぎ束MTを目的地に降ろす際にまくらぎ束MTが揺れるかもしれないが、グリップアタッチメント1を用いれば、まくらぎ束MTの姿勢を安定させながらまくらぎ束MTを目的地に置くことができる。
【0082】
次に、他の実施形態について説明する。
【0083】
ハンド14からサポートプレート18およびストッパープレート19の少なくとも一方を省略してもよい。
【0084】
ハンド14のグリッププレート15から保護プレート17を省略し、ベースプレート16だけをグリッププレート15に設けてもよい。この場合、ベースプレート16の鉛直で平坦な内側の平面がグリップ面20に相当する。サポートプレート18およびストッパープレート19の少なくとも一方を、ベースプレート16および保護プレート17のような2枚以上のプレートで構成してもよい。
【0085】
開閉アクチュエータ9は、一方のハンド14をメインフレーム6に対して移動させずに、他方のハンド14をメインフレーム6に対して移動させることにより、一対のハンド14を閉状態と開状態との間で切り替えてもよい。この場合、一方のハンド14は、メインフレーム6に対して移動可能であってもよいし、メインフレーム6に固定されていてもよい。
【0086】
前後方向へのメインフレーム6の長さは、前後方向へのハンド14の長さ以上であってもよい。前後方向へのメインフレーム6の長さが前後方向へのハンド14の長さと等しいまたは概ね等しい場合、メインフレーム6の端を前後方向おける一対のハンド14の端の位置を示す目安としてもよい。この場合、前後方向における高さ調整バー22の端を前後方向におけるハンド14の端に揃えなくてもよい。
【0087】
前後方向への高さ調整バー22の長さは、前後方向へのハンド14の長さよりも長いまたは短くてもよい。グリップアタッチメント1から高さ調整バー22を省略してもよい。
【0088】
前述の全ての構成の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0089】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0090】
1:まくらぎ束グリップアタッチメント、2:連結ピン、3:ベースフレーム、4:旋回モータ、6:メインフレーム、6L:メインフレームの下面、7:角パイプ、8:センタープレート、9:開閉アクチュエータ、油圧シリンダ、10:開閉アーム、11:連結アーム、12:伝達アーム、13:連結パイプ、14:ハンド、14b:ハンドの後端、14f:ハンドの前端、15:グリッププレート、16:ベースプレート、17:保護プレート、18:サポートプレート、19:ストッパープレート、20:グリップ面、21:サポート面、22:高さ調整バー、22L:高さ調整バーの下端、22b:高さ調整バーの後端、22f:高さ調整バーの前端、23:ブラケット、24:角材、BA:アーム、BH:バックホウ、C1:連結アームの回転中心、C2:伝達アームの回転中心、M:まくらぎ、MC:まくらぎの凹部、ME:まくらぎの端面、ML:まくらぎの下面、MS:まくらぎの側面、MT:まくらぎ束、MU:まくらぎの上面