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特開2024-71291車両用シートフレーム及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071291
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】車両用シートフレーム及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182155
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大城 究人
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA15
3B087BB02
3B087BB25
3B087BD03
3B087DB03
(57)【要約】
【課題】車両の前突時において、シートクッションフレームの前端部の沈み込みの抑制を図ることが可能となる車両用シートフレーム及び車両用シートを得る。
【解決手段】フロントリンク50において、サイドフレーム22と縦壁部46の間に配置されたフロントリンク50からシート幅方向に沿って縦壁部46を跨ぐようにして鈎状に形成された鈎状片70を垂下させる。鈎状片70の横壁部70Aは、平面視で縦壁部46と重なるため、車両の前突時に、リアリンク52Aを介して、ライザー42に衝突荷重が伝達される際、リアリンク52Aに形成された鈎状片70がライザー42に当接する。鈎状片70は、フロントリンク50から鈎状に垂下されているため、当該鈎状片70がライザー42に当接し、鈎状片70が変形すると、当該鈎状片70の変形により衝突エネルギが吸収され、車両の前突の際、フロントパイプ30の沈み込みを抑制することが可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座可能なシートクッションをシート前後方向にスライド可能とし車体床部に設けられた左右一対のスライドレールの上方側にそれぞれ固定されたライザーと、
前記シートクッションの骨格とされるシートクッションフレームのうち、シート幅方向外側に配置されシート前後方向に延びる左右一対のサイドフレームと、
前記シートクッションにおける車両前後方向の前部及び後部に設けられ、前記シートクッションフレームを昇降可能にするリフターリンクと、
を備え、
前記ライザーは、
前記スライドレールに固定され、車両幅方向かつ車両前後方向に沿って配置された固定部と、
前記固定部からシート上下方向の上方側へ向かって立設された縦壁部と、
を含んで構成され、
前記リフターリンクのうち、前記シートクッションにおける車両前後方向の前部に設けられたフロントリンクは、
背面視で前記サイドフレームと前記縦壁部の間に位置し、シート前後方向に沿った方向を長手方向として配置され、長手方向の一端部がシート幅方向に沿って前記左右一対のサイドフレームの前端部間に架け渡された第1軸部を介して前記左右一対のサイドフレームに対してそれぞれ連結されると共に長手方向の他端部が前記ライザーに連結されたフロントリンク本体部と、
前記フロントリンク本体部から垂下され、シート幅方向に沿って平面視で前記縦壁部を跨ぐように鈎状に形成された鈎状片と、
を含んで構成されている車両用シートフレーム。
【請求項2】
前記鈎状片は、平面視で前記縦壁部を跨ぐように形成された横壁部を備え、前記シートクッションのダウンモースト位置において、前記横壁部と前記縦壁部の間にはシート上下方向に隙間が設けられている請求項1に記載の車両用シートフレーム。
【請求項3】
前記縦壁部は、前記固定部におけるシート幅方向の内端から立設され、
前記鈎状片は、
前記フロントリンク本体部の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲され、前記縦壁部のシート上下方向の上方側に配置された横壁部と、
前記横壁部の先端からシート上下方向の下方側へ向かって垂下され、前記シートクッションのダウンモースト位置において、平面視で前記縦壁部と対向可能な対向部と、
を含んで構成されている請求項1に記載の車両用シートフレーム。
【請求項4】
前記縦壁部の先端部には、シート幅方向の内側へ向かって円弧状に膨らむ円弧部が形成されている請求項1に記載の車両用シートフレーム。
【請求項5】
前記フロントリンク本体部の長手方向の他端部と前記ライザーは、シート幅方向に沿った第2軸部を介して連結され、前記鈎状片は、前記第2軸部を中心として、前記円弧部の略同一円周上に配置されている請求項4に記載の車両用シートフレーム。
【請求項6】
前記横壁部から前方側へ向かって延出され、当該横壁部が前記フロントリンク本体部の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲された屈曲量に対して徐々に小さくなるように前記フロントリンクの下端と繋がる補助片が形成されている請求項3に記載の車両用シートフレーム。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車両用シートフレームを備え、前記リフターリンクを介して、前記シートクッションフレームが昇降可能とされている車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートフレーム及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リフターリンク機構を備えたシートクッションフレームに関し、車両前面衝突時(以下、「車両の前突時」と称する)の乗員の潜り込み挙動(いわゆるサブマリン)を抑制するため、リフターリンク機構の前側リンクの左右連結を兼ねた前側パイプで乗員を支えるという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-93728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、リフターリンク機構の後方側がいわゆるリフターロック側となっており、リフターリンク機構の前方側はフリーとなっている。このため、車両の前突時において、シートクッションフレームの前端部に設けられサブマリンを受ける前側パイプの沈み込みの抑制が充分ではなく、前側パイプの沈み込みの抑制について、さらなる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、車両の前突時において、シートクッションフレームの前端部の沈み込みの抑制を図ることが可能となる車両用シートフレーム及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る車両用シートフレームは、乗員が着座可能なシートクッションをシート前後方向にスライド可能とし車体床部に設けられた左右一対のスライドレールの上方側にそれぞれ固定されたライザーと、前記シートクッションの骨格とされるシートクッションフレームのうち、シート幅方向外側に配置されシート前後方向に延びる左右一対のサイドフレームと、前記シートクッションにおける車両前後方向の前部及び後部に設けられ、前記シートクッションフレームを昇降可能にするリフターリンクと、を備え、前記ライザーは、前記スライドレールに固定され、車両幅方向かつ車両前後方向に沿って配置された固定部と、前記固定部からシート上下方向の上方側へ向かって立設された縦壁部と、を含んで構成され、前記リフターリンクのうち、前記シートクッションにおける車両前後方向の前部に設けられたフロントリンクは、背面視で前記サイドフレームと前記縦壁部の間に位置し、シート前後方向に沿った方向を長手方向として配置され、長手方向の一端部がシート幅方向に沿って前記左右一対のサイドフレームの前端部間に架け渡された第1軸部を介して前記左右一対のサイドフレームに対してそれぞれ連結されると共に長手方向の他端部が前記ライザーに連結された前記フロントリンク本体部と、前記フロントリンク本体部から垂下され、平面視でシート幅方向に沿って前記縦壁部を跨ぐように鈎状に形成された鈎状片と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様に係る車両用シートフレームでは、ライザー、左右一対のサイドフレーム及びリフターリンクを備えている。ライザーは、乗員が着座可能なシートクッションをシート前後方向にスライド可能とし車体床部に設けられた左右一対のスライドレールの上方側にそれぞれ固定されている。また、左右一対のサイドフレームは、シートクッションの骨格とされるシートクッションフレームのうち、シート幅方向外側に配置されており、シート前後方向に延びている。さらに、リフターリンクは、シートクッションにおける車両前後方向の前部及び後部に設けられており、当該リフターリンクによって、シートクッションフレームが昇降可能とされる。
【0008】
ここで、ライザーは、固定部及び縦壁部を含んで構成されている。固定部は、スライドレールに固定されており、車両幅方向かつ車両前後方向に沿って配置されている。一方、縦壁部は、固定部からシート上下方向の上方側へ向かって立設されている。
【0009】
また、リフターリンクのうち、シートクッションにおける車両前後方向の前部に設けられたフロントリンクは、フロントリンク本体部及び鈎状片を含んで構成されている。フロントリンク本体部は、背面視でサイドフレームと縦壁部の間に位置し、シート前後方向に沿った方向を長手方向として配置されている。
【0010】
フロントリンク本体部の長手方向の一端部は、シート幅方向に沿って左右一対のサイドフレームの前端部間に架け渡された第1軸部を介して当該左右一対のサイドフレームに対してそれぞれ連結されている。また、フロントリンク本体部の長手方向の他端部は、ライザーに連結されている。そして、当該フロントリンク本体部から鈎状片が垂下され、鈎状部は、平面視でシート幅方向に沿ってライザーの縦壁部を跨ぐように鈎状に形成されている。
【0011】
例えば、車両の前突時に、慣性により乗員に車両前後方向の前方側へ向かう衝突荷重が入力された場合、シートクッションフレームにおいて左右一対のサイドフレームの前端部間に架け渡された第1軸部を介してフロントリンク(フロントリンク本体部)に衝突荷重が伝達される。さらに、当該フロントリンクを介して、ライザーに衝突荷重が伝達される。
【0012】
本態様では、背面視でサイドフレームとライザーの縦壁部との間に配置されたフロントリンクから、平面視でシート幅方向に沿って縦壁部を跨ぐようにして鈎状に形成された鈎状片を垂下させる。これにより、本態様では、当該鈎状片の一部は、平面視で縦壁部と重なることになる。
【0013】
このため、車両の前突時に、当該フロントリンクを介して、ライザーに衝突荷重が伝達される際、本態様ではフロントリンクに形成された鈎状片がライザーに当接する。鈎状片は、フロントリンクから鈎状に垂下されているため、当該鈎状片がライザーに当接し鈎状片が変形すると、当該鈎状片の変形により衝突エネルギが吸収される。
【0014】
これにより、本態様では、フロントリンクに鈎状片が形成されていない場合と比較して、車両の前突の際、シートクッションフレームの前端部に配置された軸部の沈み込みを抑制することが可能となり、乗員の潜り込み挙動(いわゆるサブマリン)の抑制が可能となる。
【0015】
第2の態様に係る車両用シートフレームは、第1の態様に係る車両用シートフレームにおいて、前記鈎状片は、平面視で前記縦壁部を跨ぐように形成された横壁部を備え、前記シートクッションのダウンモースト位置において、前記横壁部と前記縦壁部の間にはシート上下方向に隙間が設けられている。
【0016】
第2の態様に係る車両用シートフレームでは、鈎状片は、平面視で縦壁部を跨ぐように形成された横壁部を備えている。そして、車両用シートのシートクッションの高さが一番低く設定されるシートクッションのダウンモースト位置において、当該横壁部とライザーの縦壁部の間にはシート上下方向に隙間が設けられている。つまり、車両用シートの通常の使用時では、フロントリンク(フロントリンク本体部)に形成された鈎状片の横壁部がライザーに形成された縦壁部と干渉しないように設定されている。
【0017】
第3の態様に係る車両用シートフレームは、第1の態様又は第2の態様に係る車両用シートフレームにおいて、前記縦壁部は、前記固定部におけるシート幅方向の内端から立設され、前記鈎状片は、前記フロントリンク本体部の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲され前記縦壁部のシート上下方向の上方側に配置された横壁部と、前記横壁部の先端からシート上下方向の下方側へ向かって垂下され前記シートクッションのダウンモースト位置において、平面視で前記縦壁部と対向可能な対向部と、を含んで構成されている。
【0018】
第3の態様に係る車両用シートフレームでは、ライザーは、縦壁部が固定部におけるシート幅方向の内端から立設されている。一方、フロントリンク(フロントリンク本体部)の鈎状片は、横壁部及び対向部を含んで構成されている。横壁部は、フロントリンク本体部の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲されており、ライザーに形成された縦壁部のシート上下方向の上方側に配置されている。対向部は、横壁部の先端からシート上下方向の下方側へ向かって垂下されており、シートクッションのダウンモースト位置において、平面視でライザーに形成された縦壁部と対向して形成されている。
【0019】
本態様では、車両の前突時に、フロントリンクを介して、ライザーに衝突荷重が伝達される際、フロントリンクに形成された鈎状片の一部を構成する横壁部がライザーの縦壁部に当接する。そして、当該横壁部を介して、鈎状片が変形することになるが、当該鈎状片の変形により衝突エネルギが吸収される。
【0020】
第4の態様に係る車両用シートフレームは、第1の態様~第3の態様の何れか1の態様に係る車両用シートフレームにおいて、前記縦壁部の先端部には、シート幅方向の内側へ向かって円弧状に膨らむ円弧部が形成されている。
【0021】
第4の態様に係る車両用シートフレームでは、縦壁部の先端部には円弧部が形成されている。この円弧部は、シート幅方向の内側へ向かって円弧状に膨らむ形状を成している。これにより、例えば、比較例として、縦壁部の先端部に円弧部が形成されていない場合、当該縦壁部におけるシート幅方向の寸法は、縦壁部の板厚となる。これに対して、本態様では、縦壁部の先端部に円弧部を形成することによって、円弧部による膨らみ分、縦壁部におけるシート幅方向の寸法を増大させることが可能となる。
【0022】
したがって、本態様では、例えば、車両の前突時に、フロントリンク(フロントリンク本体部)を介して、ライザーに衝突荷重が伝達された際、当該ライザーの倒れ込みが早かった場合でも、縦壁部に対してフロントリンクの鈎状片を引っ掛けることが可能となる。
【0023】
第5の態様に係る車両用シートフレームは、第1の態様~第4の態様の何れか1の態様に係る車両用シートフレームにおいて、前記フロントリンク本体部の長手方向の他端部と前記ライザーは、シート幅方向に沿った第2軸部を介して連結され、前記鈎状片は、前記第2軸部を中心として、前記円弧部の略同一円周上に配置されている。
【0024】
第5の態様に係る車両用シートフレームでは、フロントリンク(フロントリンク本体部)の長手方向の他端部とライザーは、シート幅方向に沿った第2軸部を介して連結されている。鈎状片は、この第2軸部を中心として、ライザーの縦壁部の先端部に形成された円弧部の略同一円周上に配置されている。これにより、車両の前突時に、フロントリンクを介して、ライザーに衝突荷重が伝達される際、フロントリンク本体部に形成された鈎状片がライザーに形成された円弧部に対して確実に干渉するようにしている。
【0025】
第6の態様に係る車両用シートフレームは、第1の態様~第5の態様の何れか1の態様に係る車両用シートフレームにおいて、前記横壁部から前方側へ向かって延出され、当該横壁部が前記フロントリンク本体部の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲された屈曲量に対して徐々に小さくなるように前記フロントリンク本体部の下端と繋がる補助片が形成されている。
【0026】
第6の態様に係る車両用シートフレームでは、横壁部からは補助片が前方側へ向かって延出されている。この補助片は、当該横壁部がフロントリンク(フロントリンク本体部)の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲された屈曲量に対して徐々に小さくなるようにフロントリンクの下端と繋がっている。これにより、鈎状片自体の剛性を向上させることが可能となり、当該鈎状片の変形により吸収される衝突エネルギを増大させることが可能となる。
【0027】
第7の態様に係る車両用シートは、第1の態様~第6の態様の何れか1の態様に係る車両用シートフレームを備え、前記リフターリンクを介して、前記シートクッションフレームが昇降可能とされている。
【0028】
第7の態様に係る車両用シートでは、リフターリンクを介して、シートクッションフレームが昇降可能とされており、第1の態様~第6の態様の何れか1の態様に係る車両用シートフレームによって得られる効果を享受することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートフレーム及び車両用シートは、車両の前突時において、シートクッションフレームの前端部の沈み込みの抑制を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る車両用シートを右斜め後方側から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係る車両用シートフレームの要部を示す概略断面図である。
図3】本実施形態に係る車両用シートの下部を示す側面図である。
図4】本実施形態に係る車両用シートフレームの要部を示す右斜め後方かつ下方側から見た斜視図である。
図5】本実施形態に係る車両用シートフレームの要部を拡大して示す要部拡大斜視図である。
図6】本実施形態に係る車両用シートフレームのダウンモースト位置を示す図5に対応する要部拡大斜視図である。
図7】本実施形態に係る車両用シートフレームにおいて、フロントリンクがライザーに当接した状態を示す図5に対応する要部拡大斜視図である。
図8】本実施形態に係る車両用シートフレームにおいて、フロントリンクの鈎状片がライザーに当接した状態を示す図5に対応する要部拡大斜視図である。
図9図8において、本実施形態に係る車両用シートフレームの要部を左斜め後方かつ下方側から見た斜視図である。
図10A】比較例としてのフロントリンク及びライザーを示す断面図である。
図10B】本実施形態に係る車両用シートフレームにおける作用を説明するための断面図である。
図11】比較例としての車両用シートの下部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態に係る車両用シートフレーム構造が適用された車両用シート12について説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RH、矢印IN、矢印OUTは、車両の前方(進行方向)、上方、右方、車幅方向の内側、外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0032】
(車両用シートフレーム構造の構成)
まず、本実施形態に係る車両用シートフレームが適用された車両用シートの構成について説明する。
【0033】
図1に示されるように、本実施の形態に係る車両用シートフレーム10が適用された車両用シート12は、乗員が着座するためのシートクッション14と、当該シートクッション14の後端部に下端部が接続されて乗員の上体を支持するシートバック16と、を備えており、シートバック16の上端部には、ヘッドレスト18が取り付けられている。
【0034】
当該車両用シート12は、乗員が車両前方を向いて着座するように設けられており、車両用シート12の前後方向、左右方向(シート幅方向)及び上下方向は、車両の前後左右上下の方向と一致している。また、本実施形態では、車両用シート12は右ハンドルの車両の運転席とされているが、左ハンドルの車両の運転席に適用されてもよいし、助手席又は後部座席に適用されてもよい。なお、左ハンドルの車両の運転席に対して本実施形態における構成が適用された場合には、左右の構成が本実施形態とは逆になる。
【0035】
ここで、当該シートクッション14は、シートクッションフレーム20を備えている。シートクッションフレーム20は、平面視で略矩形枠状を成しており、左右一対のサイドフレーム22、24と、当該シートクッションフレーム20の前部を構成するフロントフレーム26と、当該シートクッションフレーム20の後部を構成するリアパイプ28と、を含んで構成されている。
【0036】
当該左右一対のサイドフレーム22、24は、例えば板金材料によって長尺状に形成されており、前後方向に沿ってそれぞれ配置されている。なお、本実施形態では、前述のように、車両用シート12は右ハンドルの車両の運転席とされているため、サイドフレーム22は車両幅方向の内側に配置されており、サイドフレーム24は車両幅方向の外側に配置されている。
【0037】
また、フロントフレーム26は、例えば板金材料によって長尺状に形成されており、軸線方向(長手方向)が左右方向(シート幅方向)に沿って配置され、左右のサイドフレーム22、24の前端部間に架け渡されている。
【0038】
当該フロントフレーム26の斜め後方側には、フロントパイプ(第1軸部)30が設けられている。このフロントパイプ30は、シートクッションフレーム20の一部を構成すると共に、後述するリフターリンク32の一部を構成している。フロントパイプ30は、例えば金属製のパイプ材によって形成されており、軸線方向(長手方向)が左右方向に沿って配置され、左右のサイドフレーム22、24の前端部間に架け渡されている。
【0039】
このフロントパイプ30の長手方向の両端部は、左右のサイドフレーム22、24の前端部に形成された図示しない円形の貫通孔に挿通されると共に、かしめ等の手段によって抜止された状態で左右のサイドフレーム22、24に対してそれぞれ固定されている。これにより、左右のサイドフレーム22、24の前端部がフロントパイプ30によって左右方向に連結されている。
【0040】
また、リアパイプ28は、例えば金属製のパイプ材によって形成されており、軸線方向(長手方向)が左右方向に沿って配置され、左右のサイドフレーム22、24の後端部間に架け渡されている。
【0041】
このリアパイプ28の長手方向の両端部は、図示はしないが、左右のサイドフレーム22、24の後端部に形成された円形の貫通孔に挿通されると共に、かしめ等の手段によって抜止された状態で左右のサイドフレーム22、24に対してそれぞれ固定されている。これにより、左右のサイドフレーム22、24の後端部がリアパイプ28によってそれぞれ連結されている。
【0042】
一方、車体フロア(車体床部)33(図3参照)には、左右一対のスライドレール34が設けられており、当該スライドレール34に沿って車両用シート12がスライド可能とされている。当該左右一対のスライドレール34は、図2に示されるように、ロアレール36とアッパレール38とをそれぞれ有している。ロアレール36は、その長手方向を前後方向に沿って配置されており、ロアレール36の前端部及び後端部が取付ブラケット(図示省略)を介して車体フロア33(図3参照)に固定されている。
【0043】
左右のアッパレール38は、その長手方向を車両前後方向に沿ってそれぞれ配置されており、ロアレール36に対して長手方向に沿ってスライド可能にそれぞれ支持されている。但し、通常は、図示しないスライドロック機構によってロアレール36に対するアッパレール38のスライドが規制されており、ロック解除レバー40(図1参照)が操作されることにより、当該スライドロック機構によるスライド規制が解除されるようになっている。
【0044】
また、図1図2に示されるように、左右のアッパレール38の前端部及び後端部の上面には、ライザー42、54がそれぞれ固定されている。なお、車両用シート12の左側のスライドレール34側に固定されたライザー42は、連結部55を介してライザー54と繋がっており、ライザー42、54の板厚が同じ場合、当該連結部55がない場合と比較して高い剛性を有している。
【0045】
本実施形態では、図2に示されるように、車両用シート12の左側のスライドレール34側に固定されたライザー42は、シート幅方向に沿って切断したときの断面形状が、シート前後方向に沿った軸線を中心に反転させた略逆L字状を成しており、アッパレール38に締結固定された固定部44と、当該固定部44のシート幅方向の内端から起立しシート上下方向の上方側へ向かって立設された縦壁部46と、を含んで構成されている。そして、縦壁部46の先端部には、シート幅方向の内側へ向かって円弧状に膨らむ円弧部48が形成されている。なお、右側のライザー42は、左側のライザー42に対してシート前後方向に沿った軸線を中心に反転させた形状となっている。
【0046】
図4に示されるように、ライザー42の縦壁部46の前部側には、前方側へ向かうにつれて上方側へ向かって延出部47が延出されている。延出部47の先端は傾斜しており、傾斜面に沿って円弧部48と連続する円弧部49が形成されている。このように、円弧部48が円弧部49と連続して形成されることによって円弧部48が単独で形成された場合と比較して、当該円弧部48の剛性を向上させることが可能となる。
【0047】
また、縦壁部46の前部側と後部側の境界部分には、シート幅方向の外側へ向かって縦壁部46が突出するように凹み部46Aが形成されている。この凹み部46Aによって縦壁部46のシート上下方向に対する剛性を向上させている。なお、この延出部47に後述する軸部(第2軸部)51が設けられている。
【0048】
また、図1に示されるように、車両用シート12には、リフターリンク32が設けられている。このリフターリンク32によって、車両用シート12が左右のスライドレール34に対して上下(昇降)移動可能とされる。
【0049】
当該リフターリンク32は、左右のサイドフレーム22、24の前端部と左右のアッパレール38の前端部との間に設けられた左右一対のフロントリンク50と、左右のサイドフレーム22、24の後端部と左右のアッパレール38の後端部との間に設けられた左右一対のリアリンク52と、を備えている。
【0050】
左右のフロントリンク50は、例えば板金材料によって前後方向に沿って長尺状に形成されており、左右のフロントリンク50の長手方向の前端部は、左右のアッパレール38の前端部に固定されたライザー42の縦壁部46(延出部47)に対して軸部51を介して連結されている。これにより、左右のフロントリンク50は、軸部51を中心に回動可能とされている。
【0051】
また、左右のフロントリンク50の長手方向の後端部には、それぞれ円形の貫通孔50A(図4参照)が形成されている。各貫通孔50Aにはフロントパイプ30の長手方向の端部がそれぞれ挿通されており、フロントパイプ30を中心に左右のフロントリンク50がそれぞれ回動可能とされている。
【0052】
また、左右のリアリンク52は、例えば板金材料によって前後方向に沿って長尺状に形成されており、左右のリアリンク52の長手方向の前端部は、左右のアッパレール38の後端側に固定されたライザー54に形成された縦壁部56に対して軸部58を介して連結されている。これにより、左右のリアリンク52は、軸部58を中心に回動可能とされている。
【0053】
左右のリアリンク52の長手方向の後端部には、それぞれ円形の貫通孔(図示省略)が形成されている。各貫通孔には、リアパイプ28の長手方向の端部がそれぞれ挿通されており、リアパイプ28を中心に左右のリアリンク52がそれぞれ回動可能とされている。
【0054】
すなわち、以上のような構成により、リフターリンク32では、フロントリンク50、リアリンク52、サイドフレーム22、24及びアッパレール38(図2参照)によって四節リンク機構が構成され、シートクッションフレーム20が左右のスライドレール34に対して上下(昇降)移動可能に連結されている。
【0055】
なお、ライザー54は、シート幅方向に沿って切断したときの断面形状が略U字状を成しており、固定部44のシート幅方向の外端からは、縦壁部56と対向する縦壁部57(図3参照)がシート上下方向の上方側へ向かって立設されている。
【0056】
図3に示されるように、この縦壁部57の上端部には、アンカーボルト60及び図示しないナットを介して、バックル装置62の一部を構成するシートベルトステー64の下端部が締結されており、シートベルトステー64は、アンカーボルト60の軸芯回りに所定角度内を回動可能とされている。
【0057】
シートベルトステー64の上端部には、バックル66が固定されている。このバックル66には、三点式シートベルト装置のシートベルト68に取り付けられたタングプレート(図示省略)が連結される構成になっており、シートクッション14に着座した乗員Pがタングプレートをバックル66に連結することによって、乗員Pはシートベルト68によって拘束される。
【0058】
ところで、本実施形態では、ライザー42は、平面視で左右のフロントリンク50の下方側に配置されている。図2図4に示されるように、フロントリンク50の長手方向の後端部には、フロントリンク(フロントリンク本体部)50の下端から鈎状片70が垂下されている。なお、鈎状片70は、フロントリンク50とライザー42を連結する軸部51を中心として、ライザー42の縦壁部46の先端部に形成された円弧部48の略同一円周上に配置されている。
【0059】
左右のフロントリンク50は、例えば板金材料によって前後方向に沿って長尺状に形成されており、左右のフロントリンク50の長手方向の前端部は、左右のアッパレール38の前端部に固定されたライザー42の縦壁部46(延出部47)に対して軸部51を介して連結されている。これにより、左右のフロントリンク50は、軸部51を中心に回動可能とされている。
【0060】
フロントリンク50は、背面視でサイドフレーム22とライザー42の縦壁部46の間に配置されている。また、鈎状片70は、フロントリンク50から垂下されて、平面視でシート幅方向に沿って当該縦壁部46を跨ぐようにして鈎状に形成されている。
【0061】
鈎状片70について具体的に説明すると、当該鈎状片70は、横壁部70A及び対向部70Bを含んで構成されている。横壁部70Aは、フロントリンク50の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲されており、ライザー42の縦壁部46(円弧部48)のシート上下方向の上方側に配置され、平面視で当該縦壁部46を跨ぐように形成されている。
【0062】
また、対向部70Bは、横壁部70Aの先端からシート上下方向の下方側へ向かって垂下されており、ライザー42の縦壁部46の先端部に形成された円弧部48と対向するように形成されている。
【0063】
図5に示されるように、横壁部70Aの前方側及び後方側には、補助片72、74がそれぞれ横壁部70Aから延出されている。補助片72、74は、横壁部70Aがフロントリンク50の下端からシート幅方向の内側へ向かって屈曲された屈曲量に対して徐々に小さくなるように当該フロントリンク50の下端とそれぞれ繋がっている。
【0064】
(車両用シートの作用及び効果)
次に、本実施形態に係る車両用シートフレーム構造が適用された車両用シート12の作用及び効果について説明する。
【0065】
本実施形態では、図1に示されるように、車両用シートフレーム10は、ライザー42、サイドフレーム22、24及びリフターリンク32を備えている。ライザー42は、シートクッション14をシート前後方向にスライド可能とし車体フロア33(図3参照)に設けられたスライドレール34のアッパレール38(図2参照)に固定されている。
【0066】
リフターリンク32の前部側を構成する左右一対のフロントリンク50は、左右のサイドフレーム22、24の前端部と左右のアッパレール38の前端部との間に設けられ、シート前後方向に沿った方向を長手方向として配置されている。当該フロントリンク50の長手方向の一端部は、サイドフレーム22、24の前端部間に架け渡されたフロントパイプ30を介してサイドフレーム22に対してそれぞれ連結されており、フロントリンク50の長手方向の他端部は、ライザー42にそれぞれ連結されている。
【0067】
本実施形態では、図1図2に示されるように、ライザー42は、固定部44及び縦壁部46を含んで構成されている。固定部44は、スライドレール34のアッパレール38に固定されており、車両幅方向かつ車両前後方向に沿って配置されている。また、縦壁部46は、固定部44におけるシート幅方向の内端からシート上下方向の上方側へ向かって立設されている。
【0068】
ここで、フロントリンク50は、鈎状片70を含んで構成されている、フロントリンク50は、背面視でサイドフレーム22と縦壁部46の間に配置されており、鈎状片70は、当該フロントリンク50から垂下され、シート幅方向に沿ってライザー42の縦壁部46を跨ぐように鈎状に形成されている。
【0069】
図6には、シートクッション14のダウンモースト位置Qにおけるライザー42に対するフロントリンク50の回動位置が示されている。シートクッション14のダウンモースト位置Qでは、フロントリンク50の鈎状片70とライザー42の縦壁部46の間にはシート上下方向に隙間tが設けられている。
【0070】
例えば、車両の前突時に、慣性により乗員に車両前後方向の前方側へ向かう衝突荷重が入力された場合、シートクッション14にはシートクッションフレーム20においてサイドフレーム22、24の前端部間に架け渡されたフロントパイプ30を介してフロントリンク50に衝突荷重が伝達される。
【0071】
これにより、図7に示されるように、フロントリンク50は軸部51を中心に回動し、フロントリンク50の鈎状片70がライザー42の円弧部48側へ近づく。ここで、図5に示されるように、ライザー42の縦壁部46の前部側には、前方側へ向かうにつれて上方側へ向かって延出部47が延出され、延出部47の先端は傾斜し、この傾斜面に沿って、延出部47の先端部には、円弧部48と連続する円弧部49が形成されている。一方、図5に示されるように、横壁部70Aの前方側及び後方側には、横壁部70Aから延出され横壁部70Aの屈曲量に対して徐々に小さくなるようにそれぞれフロントリンク50の下端と繋がる補助片72、74が形成されている。
【0072】
このため、図7に示されるように、フロントリンク50の鈎状片70がライザー42の円弧部48側へ近づく過程で、まず、フロントリンク50の補助片72が、ライザー42の延出部47に形成された円弧部49に当接する。
【0073】
当該フロントリンク50が軸部51を中心にさらに回動すると、図8に示されるように、フロントリンク50の鈎状片70の横壁部70Aがライザー42の円弧部48に当接する。そして、図9に示されるように、横壁部70Aの変形により、フロントリンク50の鈎状片70の対向部70Bがライザー42の円弧部48の形状に沿うように変形する。
【0074】
例えば、比較例として、図10Aに示されるように、フロントリンク100において、鈎状片70(図10B)が形成されていない場合、車両の前突時に、フロントパイプ106(図11参照)を介してフロントリンク100に衝突荷重が伝達されると、フロントリンク100とライザー102の縦壁部104は対向して配置されているため、フロントリンク100はライザー102に干渉することなくそのまま下方側へ移動し、図11に示されるように、フロントパイプ106が沈み込む可能性がある。
【0075】
これに対して、本実施形態では、図10Bに示されるように、フロントリンク50において、背面視でサイドフレーム22と縦壁部46の間に配置されたフロントリンク50から鈎状片70が垂下し、シート幅方向に沿って縦壁部46を跨ぐように形成されている。
【0076】
このため、本実施形態では、車両の前突時に、フロントリンク50を介して、ライザー42に衝突荷重が伝達される際、フロントリンク50に形成された鈎状片70の横壁部70Aがライザー42の縦壁部46に当接(干渉)する。鈎状片70は、フロントリンク50から鈎状に垂下されているため、当該鈎状片70がライザー42に当接すると、横壁部70Aを介して鈎状片70が変形する。この鈎状片70の変形により衝突エネルギが吸収される。
【0077】
したがって、本実施形態では、フロントリンク50に鈎状片70が形成されていない場合と比較して、車両の前突の際、フロントパイプ30の沈み込みを抑制することが可能となり、いわゆるサブマリンの抑制が可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、図6に示されるように、シートクッション14のダウンモースト位置Qにおいて、フロントリンク50の鈎状片70とライザー42の縦壁部46の間にはシート上下方向に隙間tが設けられている。これにより、車両用シート12の通常の使用時において、フロントリンク50に形成された鈎状片70の横壁部70Aがライザー42に形成された縦壁部46と干渉しないようにすることができる。
【0079】
なお、当該隙間tについては必ずしも必要ではない。シートクッション14のダウンモースト位置Qにおいて、フロントリンク50の鈎状片70とライザー42の縦壁部46が当接した状態であってもよい。
【0080】
さらに、本実施形態では、ライザー42において、縦壁部46の先端部には円弧部48が形成されている。この円弧部48は、シート幅方向の内側へ向かって円弧状に膨らむ形状を成している。
【0081】
これにより、例えば、比較例として、図示はしないが、縦壁部46の先端部に円弧部48が形成されていない場合、当該縦壁部46におけるシート幅方向の寸法は、縦壁部46の板厚となる。
【0082】
これに対して、本実施形態では、縦壁部46の先端部に円弧部48を形成することによって、円弧部48による膨らみ分、縦壁部46におけるシート幅方向の寸法を増大させることが可能となる。
【0083】
したがって、本実施形態では、例えば、車両の前突時に、フロントリンク50を介して、ライザー42に衝突荷重が伝達された際、当該ライザー42の倒れ込みが早かった場合でも、縦壁部46に対してフロントリンク50の鈎状片70を引っ掛けることが可能となる。
【0084】
また、縦壁部46の先端部に当該円弧部48が形成されることによって、円弧部48が形成されていない場合と比較して、縦壁部46において剛性を向上させることが可能となる。但し、当該円弧部48は必ずしも必要ではない。
【0085】
また、本実施形態では、鈎状片70は、フロントリンク50とライザー42を連結する軸部51を中心として、ライザー42の縦壁部46の先端部に形成された円弧部48の略同一円周上に配置されている。これにより、車両の前突時に、フロントリンク50を介して、ライザー42に衝突荷重が伝達される際、フロントリンク50に形成された鈎状片70がライザー42に形成された円弧部48に対して確実に干渉するようにしている。
【0086】
さらに、本実施形態では、横壁部70Aの前方側及び後方側には、フロントリンク50の下端とそれぞれ繋がる補助片72、74がそれぞれ横壁部70Aから延出されている。これにより、鈎状片70自体の剛性を向上させることが可能となり、当該鈎状片70の変形により吸収される衝突エネルギを増大させることが可能となる。但し、当該補助片72、74は必ずしも必要ではない。
【0087】
また、本実施形態では、図2に示されるように、フロントリンク50は、サイドフレーム22のシート幅方向の内側に配置され、かつライザー42の固定部44におけるシート幅方向の内端から立設された縦壁部46とサイドフレーム22との間に配置されている。このため、フロントリンク50から垂下された鈎状片70は、平面視で当該縦壁部46を跨ぐようにシート幅方向の内側へ向かって横壁部70Aが屈曲されているが、これに限るものではない。
【0088】
例えば、図示はしないが、フロントリンク50が、サイドフレーム22のシート幅方向の外側に配置され、かつサイドフレーム22とライザー42の固定部44におけるシート幅方向の外端から立設された縦壁部46の間に配置されてもよい。この場合、鈎状片70は、シート幅方向の内側へ向かって横壁部70Aが屈曲される。つまり、鈎状片70の形状については、フロントリンク50と縦壁部46の配置によって適宜変更可能である。
【0089】
さらに、本実施形態では、車両用シート12の左側に配置されたフロントリンク50及びライザー42について説明したが、車両用シート12の右側に配置されたフロントリンク50及びライザー42についてもこれと略同じである。
【0090】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
10 車両用シートフレーム
12 車両用シート
14 シートクッション
20 シートクッションフレーム
22 サイドフレーム
24 サイドフレーム
30 フロントパイプ(第1軸部)
32 リフターリンク
42 ライザー
44 固定部(ライザー)
46 縦壁部(ライザー)
48 円弧部
50 フロントリンク(リフターリンク)
51 軸部(第2軸部)
52 リアリンク(リフターリンク)
54 ライザー
70 鈎状片
70A 横壁部(鈎状片)
70B 対向部(鈎状片)
72 補助片
Q ダウンモースト位置
t 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11