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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071292
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ワッシャの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/20 20060101AFI20240517BHJP
   B21D 28/24 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B21D53/20
B21D28/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182156
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】594066176
【氏名又は名称】株式会社遠州
(71)【出願人】
【識別番号】592118815
【氏名又は名称】東洋発條工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 忠男
(57)【要約】
【課題】ワッシャに傾斜面を容易に形成する。
【解決手段】ワッシャ20が製造される際には、金属板材22からワッシャ20が下側に打ち抜かれて、金属板材22に打抜孔22Bが形成された後に、ワッシャ20が打抜孔22Bに戻されて、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される。このため、ワッシャ20が順送プレス加工により製造される場合でも、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gを形成でき、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gを容易に形成できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側から締結部材が押圧すると共に、裏側が締結対象を押圧し、かつ、表側又は裏側かつ外周側の角部に傾斜面が形成されるワッシャの製造方法であって、
原料材からワッシャが表側及び裏側の一方に打ち抜かれて前記原料材に打抜孔が形成された後に、ワッシャが前記打抜孔に戻されて、ワッシャの表側及び裏側の他方に前記傾斜面が形成されるワッシャの製造方法。
【請求項2】
前記原料材の前記打抜孔周面における肉厚が小さくされる状態でワッシャが前記打抜孔に戻される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項3】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材の前記打抜孔周面位置における肉厚が小さくされる請求項2に記載のワッシャの製造方法。
【請求項4】
ワッシャが前記打抜孔に対し表側及び裏側の他方に突出される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項5】
前記原料材の前記打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において凹部が形成される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項6】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材に前記凹部が形成される請求項5記載のワッシャの製造方法。
【請求項7】
ワッシャに前記傾斜面が形成される以後にワッシャの表側及び裏側の一方の面が面押しされる請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項8】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることでワッシャの表側及び裏側の一方かつ外周側の角部に別傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワッシャの外周側の角部に傾斜面が形成されるワッシャの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のスラストワッシャは、金属板から表側に打ち抜かれて形成されており、スラストワッシャの外周側かつ裏側の角部にバリが形成されている。
【0003】
ここで、このようなスラストワッシャでは、外周側かつ裏側の角部に傾斜面を容易に形成できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-32031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、ワッシャに傾斜面を容易に形成できるワッシャの製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のワッシャの製造方法は、表側から締結部材が押圧すると共に、裏側が締結対象を押圧し、かつ、表側又は裏側かつ外周側の角部に傾斜面が形成されるワッシャの製造方法であって、原料材からワッシャが表側及び裏側の一方に打ち抜かれて前記原料材に打抜孔が形成された後に、ワッシャが前記打抜孔に戻されて、ワッシャの表側及び裏側の他方に前記傾斜面が形成される。
【0007】
本発明の第2態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様のワッシャの製造方法において、前記原料材の前記打抜孔周面における肉厚が小さくされる状態でワッシャが前記打抜孔に戻される。
【0008】
本発明の第3態様のワッシャの製造方法は、本発明の第2態様のワッシャの製造方法において、前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材の前記打抜孔周面位置における肉厚が小さくされる。
【0009】
本発明の第4態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのワッシャの製造方法において、ワッシャが前記打抜孔に対し表側及び裏側の他方に突出される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される。
【0010】
本発明の第5態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのワッシャの製造方法において、前記原料材の前記打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において凹部が形成される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される。
【0011】
本発明の第6態様のワッシャの製造方法は、本発明の第5態様のワッシャの製造方法において、前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材に前記凹部が形成される。
【0012】
本発明の第7態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのワッシャの製造方法において、ワッシャに前記傾斜面が形成される以後にワッシャの表側及び裏側の一方の面が面押しされる。
【0013】
本発明の第8態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様~第7態様の何れか1つのワッシャの製造方法において、前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることでワッシャの表側及び裏側の一方かつ外周側の角部に別傾斜面が形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様におけるワッシャは、表側から締結部材が押圧すると共に、裏側が締結対象を押圧する。さらに、表側又は裏側かつ外周側の角部に傾斜面が形成される。
【0015】
本発明の第1態様のワッシャの製造方法では、原料材からワッシャが表側及び裏側の一方に打ち抜かれて原料材に打抜孔が形成された後に、ワッシャが打抜孔に戻されて、ワッシャの表側及び裏側の他方に傾斜面が形成される。このため、ワッシャが順送プレス加工により製造される場合でも、ワッシャの表側及び裏側の他方かつ外周側の角部に傾斜面を形成でき、ワッシャに傾斜面を容易に形成できる。
【0016】
本発明の第2態様のワッシャの製造方法では、原料材の打抜孔周面における肉厚が小さくされる状態で、ワッシャが打抜孔に戻される。このため、ワッシャを打抜孔に容易に戻すことができる。
【0017】
本発明の第3態様のワッシャの製造方法では、原料材からワッシャが打ち抜かれる前に、原料材が変形されて、原料材からワッシャが突出されることで、原料材の打抜孔周面位置における肉厚が小さくされる。このため、原料材の打抜孔周面における肉厚を容易に小さくできる。
【0018】
本発明の第4態様のワッシャの製造方法では、ワッシャが打抜孔に対し表側及び裏側の他方に突出される状態で、ワッシャに傾斜面が形成される。このため、ワッシャの表側及び裏側の他方かつ外周側の角部に傾斜面を容易に形成できる。
【0019】
本発明の第5態様のワッシャの製造方法では、原料材の打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において凹部が形成される状態で、ワッシャに傾斜面が形成される。このため、ワッシャに傾斜面を形成する金型の損傷を抑制できる。
【0020】
本発明の第6態様のワッシャの製造方法では、原料材からワッシャが打ち抜かれる前に、原料材が変形されて、原料材からワッシャが突出されることで、原料材に凹部が形成される。このため、原料材に凹部を容易に形成できる。
【0021】
本発明の第7態様のワッシャの製造方法では、ワッシャに傾斜面が形成される以後に、ワッシャの表側及び裏側の一方の面が面押しされる。このため、ワッシャの反りを抑制できる。
【0022】
本発明の第8態様のワッシャの製造方法では、原料材からワッシャが打ち抜かれる前に、原料材が変形されて、原料材からワッシャが突出されることで、ワッシャの表側及び裏側の一方かつ外周側の角部に別傾斜面が形成される。このため、ワッシャに別傾斜面を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る締結構造を示す断面図である。
図2】(A)~(D)は、本発明の第1実施形態におけるワッシャの製造工程の金型を示す断面図であり、(A)は、第1工程を示し、(B)は、第2工程を示し、(C)は、第3工程を示し、(D)は、第4工程を示している。
図3】(A)~(C)は、本発明の第1実施形態におけるワッシャの製造工程の金型を示す断面図であり、(A)は、第5工程を示し、(B)は、第6工程を示し、(C)は、第7工程を示している。
図4】(A)~(D)は、本発明の第1実施形態におけるワッシャの製造工程を示す断面図であり、(A)は、第1工程を示し、(B)は、第2工程を示し、(C)は、第3工程を示し、(A)は、第4工程を示している。
図5】(A)~(D)は、本発明の第1実施形態におけるワッシャの製造工程を示す断面図であり、(A)は、第5工程を示し、(B)は、第6工程を示し、(C)は、第7工程を示している。
図6】(A)は、本発明の第1実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第2実施形態のワッシャを示す断面図であり、(C)は、本発明の第3実施形態のワッシャを示す断面図である。
図7】(A)は、本発明の第4実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第5実施形態のワッシャを示す断面図である。
図8】(A)は、本発明の第6実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第7実施形態のワッシャを示す断面図である。
図9】(A)は、本発明の第8実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第9実施形態のワッシャを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る締結構造10が断面図にて示されている。なお、図面では、締結構造10の一側を矢印Aで示し、締結構造10の他側を矢印Bで示している。
【0025】
図1に示す如く、本実施形態に係る締結構造10には、締結対象を構成する第1締結対象としての板状の取付板12が設けられており、取付板12は、例えば各種の機械(自動車等の移動手段を含む)に設置される。また、取付板12には、第1貫通孔としての円状の取付孔12Aが貫通形成されている。
【0026】
取付板12には、締結相手としてのボルト14が設けられている。ボルト14の他側には、押圧部としての円板状又は多角形板状の頭部14Aが同軸上に設けられており、頭部14Aは、取付板12の他側に固定(例えば溶接)されると共に、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されている。ボルト14の一側には、略円柱状の脚部14Bが同軸上に設けられており、脚部14Bは、頭部14Aから一側に延出されて、取付孔12Aに貫通及び嵌合されている。また、脚部14Bの外周面には、雄ネジ14Cが形成されている。
【0027】
取付板12の一側には、締結対象を構成する第2締結対象としての板状の締結板16が設けられている。締結板16には、第2貫通孔としての円状の締結孔16Aが貫通形成されており、締結孔16Aは、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されると共に、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。
【0028】
締結板16の一側には、締結部材としての筒状のナット18が設けられている。ナット18の外周は、多角形状にされており、ナット18の内周面には、雌ネジ(図示省略)が形成されている。雌ネジは、ボルト14(脚部14B)の雄ネジ14Cと螺合されており、ナット18内には、脚部14Bが貫通されている。
【0029】
締結板16とナット18との間には、略円環板状のワッシャ20(座金)が設けられており、ワッシャ20内には、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。ワッシャ20の一側面及び他側面は、それぞれ表側面20A及び裏側面20Bにされており、表側面20A及び裏側面20Bは、それぞれナット18側及び締結板16側に配置されている。上述の如くボルト14の雄ネジ14Cとナット18の雌ネジとが螺合されて、ボルト14の頭部14Aとナット18との間に取付板12、締結板16及びワッシャ20が挟持されることで、取付板12と締結板16とが締結されており、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって他側に押圧されることで、ワッシャ20の裏側面20Bが締結板16を他側に押圧して、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。
【0030】
ワッシャ20(図6(A)参照)では、外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面又は別傾斜面としてのC面20Gが一様に形成されると共に、内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、内傾斜面としてのC面20Gが一様に形成される。ワッシャ20の外周側のC面20Gは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側のC面20Gは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。C面20Gのワッシャ20周方向に垂直な断面は、直線にされており、C面20Gと当該C面20Gに隣接する表側面20A、裏側面20B、外周面20C又は内周面20Dとの間の角度は、全て135°にされている。C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
本実施形態のワッシャ20は、図2の(A)~(D)、図3の(A)~(C)、図4の(A)~(D)及び図5の(A)~(C)に示す如く、原料材としての平板状の金属板材22に対する順送プレス加工により製造される。金属板材22に対する順送プレス加工では、順送金型に複数工程の金型が等間隔に設けられており、順送金型の1回のプレス動作で金属板材22に対し複数工程のプレス加工が同時に行われると共に、金属板材22の各加工部分(各ワッシャ20製造部分)が順送金型の各工程の金型に順送りされる。なお、図2の(A)~(D)、図3の(A)~(C)、図4の(A)~(D)及び図5の(A)~(C)では、上方を矢印UPで示している。
【0033】
図2(A)及び図4(A)に示す如く、第1工程では、金属板材22が上側の第1金型110と下側の第2金型112との間に挟まれる。第1金型110には、円柱状の第1孔110Aが上下方向に貫通形成されると共に、第2金型112の上端には、円錐台状の第2孔112Aが形成されており、第1孔110Aと第2孔112Aとは同軸上に配置されている。第2孔112Aの周面には、第2形成面112Bが同軸上に形成されており、第2形成面112Bは、上方へ向かうに従い第2孔112Aの径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。第1金型110の第1孔110A内には、略円柱状の第3金型114が移動可能に嵌入されており、第3金型114の下端には、第3形成面114Aが同軸上に形成されている。第3形成面114Aは、下方へ向かうに従い第3金型114の径方向内側へ向かう方向に傾斜されており、第3形成面114Aの最小径は、第2孔112Aの最大径と同一にされている。このため、第3金型114が下方に移動されることで、金属板材22が第3金型114の下方において下側に変位(変形)されて、金属板材22が第2金型112の第2孔112Aに侵入する。これにより、第3金型114の下端(第3形成面114Aを含む)によって金属板材22の上面に円錐台状の凹部22Aが形成されると共に、第2孔112Aの第2形成面112Bによって金属板材22の下面にワッシャ20の外周側のC面20Gが面押し形成される。
【0034】
図2(B)及び図4(B)に示す如く、第2工程では、金属板材22が上側の第4金型116と下側の第5金型118との間に挟まれて、第4金型116の下面が金属板材22の上面(凹部22Aを除く)に嵌合されると共に、第5金型118の上面が金属板材22の下面(外周側かつ下側のC面20Gを含む)に嵌合される。第4金型116には、円柱状の第4孔116Aが上下方向に貫通形成されると共に、第5金型118には、円柱状の第5孔118Aが上下方向に貫通形成されており、第4孔116Aと第5孔118Aとは、同軸上に配置されると共に、径が同一にされている。第4金型116の第4孔116A内には、円柱状の第6金型120(パンチ)が移動可能に嵌入されている。このため、第6金型120が下方に移動されて、金属板材22が第6金型120によって打ち抜かれることで、金属板材22にワッシャ20の内周面20Dが形成されると共に、第6金型120が第5金型118の第5孔118Aに嵌入される。
【0035】
図2(C)及び図4(C)に示す如く、第3工程では、金属板材22が上側の第7金型122と下側の第8金型124との間に挟まれて、第7金型122の下面が金属板材22の上面(凹部22Aを含む)に嵌合されると共に、第8金型124の上面が金属板材22の下面(外周側かつ下側のC面20Gを含む)に嵌合される。第7金型122には、円柱状の第7孔122Aが上下方向に貫通形成されると共に、第8金型124には、円柱状の第8孔124Aが上下方向に貫通形成されており、第7孔122Aと第8孔124Aとは同軸上に配置されると共に、第7孔122Aの径が第8孔124Aの径に比し大きくされている。第7金型122の第7孔122A内には、略円柱状の第9金型126が移動可能に嵌入されており、第9金型126の下端部(先端部)は、同軸上に縮径されている。第9金型126の下端部より上側には、第9形成面126Aが同軸上に形成されており、第9形成面126Aは、下方へ向かうに従い第9金型126の径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。このため、第9金型126が下方に移動されることで、第9金型126の下端部がワッシャ20の内周面20D及び第8金型124の第8孔124Aに嵌入されて、第9金型126の第9形成面126Aによって内周面20Dの上端にC面20Gが面押し形成される。
【0036】
図2(D)及び図4(D)に示す如く、第4工程では、金属板材22が上側の第9金型128と下側の第10金型130との間に挟まれて、第9金型128の下面が金属板材22の上面(凹部22A及び内周側かつ上側のC面20Gを含む)に嵌合されると共に、第10金型130の上面が金属板材22の下面(外周側かつ下側のC面20Gを含む)に嵌合される。第10金型130には、円柱状の第10孔130Aが上下方向に貫通形成されており、第10孔130A内には、略円柱状の第11金型132が移動可能に嵌入されている。第11金型132の上端(先端)には、第11形成面132Aが同軸上に形成されており、第11形成面132Aは、上方へ向かうに従い第11金型132の径方向内側へ向かう方向に傾斜されている。このため、第11金型132が上方に移動されることで、第11金型132の上端がワッシャ20の内周面20Dに圧入されて、第11金型132の第11形成面132Aによって内周面20Dの下端にC面20Gが面押し形成される。これにより、内周面20Dが打ち抜き形成される際に、内周面20Dの下側にバリが突出された場合でも、当該C面20Gが形成されて、当該バリがなくされる。
【0037】
図3(A)及び図5(A)に示す如く、第5工程では、金属板材22が上側の第13金型134と下側の第14金型136との間に挟まれて、第13金型134の下面が金属板材22の上面(凹部22Aを含む)に嵌合されると共に、第14金型136の上面が金属板材22の下面(外周側かつ下側のC面20Gを含む)に嵌合される。第13金型134には、円柱状の第13孔134Aが上下方向に貫通形成されると共に、第14金型136には、円柱状の第14孔136Aが上下方向に貫通形成されており、第13孔134Aと第14孔136Aとは、同軸上に配置されている。第13孔134Aと第14孔136Aとの径は、同一にされており、第13孔134Aと第14孔136Aとの径は、凹部22Aの最小径より小さくされると共に、外周側かつ下側のC面20Gの最小径より大きくされている。第13金型134の第13孔134A内には、円柱状の第15金型138(パンチ)が移動可能に嵌入されており、第14金型136の第14孔136A内には、円柱状の第16金型140が移動可能に嵌入されている。このため、第15金型138及び第16金型140が下方に移動されて、金属板材22からワッシャ20が第15金型138によって打ち抜かれることで、ワッシャ20の外周面20Cが形成されると共に、金属板材22に打抜孔22Bが形成されて、ワッシャ20及び第15金型138が第14金型136の第14孔136Aに嵌入される。そして、第15金型138及び第16金型140が上方に移動されることで、ワッシャ20が打抜孔22Bに嵌入される(戻される)と共に、ワッシャ20の上面が打抜孔22Bの上面より下側に配置される。
【0038】
図3(B)及び図5(B)に示す如く、第6工程では、金属板材22及びワッシャ20が上側の第17金型142と下側の第18金型144との間に挟まれて、第17金型142の下面が金属板材22の上面(凹部22Aを含む)に嵌合されると共に、第18金型144の上面がワッシャ20の下面に嵌合される。第17金型142には、円柱状の第17孔142Aが上下方向に貫通形成されると共に、第18金型144には、円柱状の第18孔144Aが上下方向に貫通形成されており、第17孔142Aと第18孔144Aとは、同軸上に配置されると共に、径が同一にされている。第17金型142の第17孔142A内には、略円柱状の第19金型146が移動可能に嵌入されており、第19金型146は、ワッシャ20の内周面20D内及び第18金型144の第18孔144A内に嵌入される。第17金型142の下端には、円錐台状の孔部142Bが同軸上に形成されており、孔部142Bの外周面は、第17形成面142Cにされて、下方へ向かうに従い第17金型142の径方向外側へ向かう方向に傾斜されている。このため、第18金型144が上方に移動されて、ワッシャ20が金属板材22の打抜孔22B上面より上方に移動されることで、ワッシャ20が第17金型142の孔部142Bに侵入して、第17金型142の第17形成面142Cによってワッシャ20の外周面20Cの上端にC面20Gが面押し形成される。これにより、外周面20Cが打ち抜き形成される際に、外周面20Cの上側にバリが突出された場合でも、当該C面20Gが形成されて、当該バリがなくされる。
【0039】
図3(C)及び図5(C)に示す如く、第7工程では、金属板材22が上側の第20金型148と下側の第21金型150との間に挟まれて、第20金型148の下面が金属板材22の上面(凹部22Aを除く)に嵌合されると共に、第21金型150の上面が金属板材22の下面に嵌合される。第20金型148には、円柱状の第20孔148Aが上下方向に貫通形成されると共に、第21金型150には、円柱状の第21孔150Aが上下方向に貫通形成されており、第20孔148Aと第21孔150Aとは、同軸上に配置されている。第20孔148Aの径は、ワッシャ20の外径より小さくされると共に、第21孔150Aの径は、ワッシャ20の外径より大きくされており、第20金型148の第20孔148A内には、円柱状の第22金型152が移動可能に嵌入されている。このため、第22金型152が下方に移動されて、第22金型152によりワッシャ20が金属板材22の打抜孔22Bから抜き落されることで、ワッシャ20が第21金型150の第21孔150Aを介して排出される。
【0040】
以上により、ワッシャ20が製造されており、ワッシャ20の上面は、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bの一方にされると共に、ワッシャ20の下面は、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bの他方にされる。
【0041】
このように、ワッシャ20では、外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、C面20Gが形成されている。このため、ワッシャ20のバリをなくすことができる。これにより、締結構造10の組立て時に、ワッシャ20のバリによる締結板16の傷付き及び削り取りを抑制できると共に、ワッシャ20からのバリの離脱及び締結板16の削りカスの発生を抑制できる。さらに、締結構造10の組立て時に、ワッシャ20の表側と裏側とを確認する必要をなくすことができる。
【0042】
ここで、上述の如く、第5工程において、金属板材22からワッシャ20が下側に打ち抜かれて、金属板材22に打抜孔22Bが形成された後に、ワッシャ20が打抜孔22Bに戻されて、第6工程において、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される。このため、ワッシャ20が順送プレス加工により製造される場合でも(金属板材22から打ち抜かれたワッシャ20が順送金型から取り出されなくても)、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gを形成でき、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gを容易に形成できる。
【0043】
また、第5工程では、金属板材22の打抜孔22B周面における肉厚が小さくされる状態で、ワッシャ20が打抜孔22Bに戻される。このため、ワッシャ20が打抜孔22Bに戻される際にワッシャ20が打抜孔22Bの周面との摩擦力を小さくでき、ワッシャ20を打抜孔22Bに容易に戻すことができる。
【0044】
さらに、第5工程において金属板材22からワッシャ20が打ち抜かれる前に、第1工程において、金属板材22が変形されて、金属板材22からワッシャ20が下側に突出される(凹部22Aとワッシャ20の下側かつ外周側のC面20Gとが形成される)ことで、金属板材22の打抜孔22B周面位置における肉厚が小さくされる。このため、金属板材22の打抜孔22B周面における肉厚を容易に小さくできる。
【0045】
しかも、第6工程では、ワッシャ20が打抜孔22Bに対し上側に突出される状態で、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される。このため、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gを容易に形成できる。
【0046】
また、第6工程では、金属板材22の打抜孔22B周囲に上側において凹部22Aが形成される状態で、第17金型142の第17形成面142Cによって、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される。このため、第17金型142の第17形成面142C径方向外側の部分の肉厚を凹部22Aによって大きく設定でき、第17金型142の第17形成面142C径方向外側の部分の損傷を抑制できる。
【0047】
さらに、第5工程において金属板材22からワッシャ20が打ち抜かれる前に、第1工程において、金属板材22が変形されて、金属板材22からワッシャ20が下側に突出されることで、金属板材22に凹部22Aが形成される。このため、金属板材22に凹部22Aを容易に形成できる。
【0048】
また、第6工程では、ワッシャ20の上側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される際に、第18金型144によってワッシャ20の下面が面押しされる。このため、ワッシャ20の反りを抑制できる。
【0049】
さらに、第5工程において金属板材22からワッシャ20が打ち抜かれる前に、第1工程において、金属板材22が変形されて、金属板材22からワッシャ20が下側に突出されることで、ワッシャ20の下側かつ外周側の角部にC面20Gが形成される。このため、ワッシャ20の下側かつ外周側の角部にC面20Gを容易に形成できる。
【0050】
[第2実施形態]
図6(B)には、本発明の第2実施形態に係る締結構造30のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0051】
本実施形態に係る締結構造30は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0052】
図6(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造30では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面又は別傾斜面としてのR面20Hが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、内傾斜面としてのR面20Hが一様に形成されている。ワッシャ20の外周側のR面20Hは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側のR面20Hは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。R面20Hのワッシャ20周方向に垂直な断面は、凸状の湾曲線(特に円弧)にされており、R面20Hと当該R面20Hに隣接する表側面20A、裏側面20B、外周面20C又は内周面20Dとは、全て滑らかに連続されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0053】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えてR面20Hが面押し形成される。
【0054】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0055】
[第3実施形態]
図6(C)には、本発明の第3実施形態に係る締結構造40のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0056】
本実施形態に係る締結構造40は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0057】
図6(C)に示す如く、本実施形態に係る締結構造40では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面又は別傾斜面としての角面20Iが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、内傾斜面としての角面20Iが一様に形成されている。ワッシャ20の外周側の角面20Iは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側の角面20Iは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。角面20Iのワッシャ20周方向に垂直な断面は、直線にされており、角面20Iと当該角面20Iに隣接する表側面20A又は裏側面20Bとの間の角度は、全て135°より大きい同一角度にされると共に、角面20Iと当該角面20Iに隣接する外周面20C又は内周面20Dとの間の角度は、全て135°より小さい同一角度にされている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0058】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えて角面20Iが面押し形成される。
【0059】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0060】
[第4実施形態]
図7(A)には、本発明の第4実施形態に係る締結構造50のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0061】
本実施形態に係る締結構造50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0062】
図7(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造50では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されている。C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)及びR面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0063】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えてR面20Hが面押し形成される。
【0064】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0065】
[第5実施形態]
図7(B)には、本発明の第5実施形態に係る締結構造60のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0066】
本実施形態に係る締結構造60は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0067】
図7(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造60では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されている。C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)及び角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0068】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えて角面20Iが面押し形成される。
【0069】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0070】
[第6実施形態]
図8(A)には、本発明の第6実施形態に係る締結構造70のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0071】
本実施形態に係る締結構造70は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0072】
図8(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造70では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)及びC面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0073】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えてR面20Hが面押し形成される。
【0074】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0075】
[第7実施形態]
図8(B)には、本発明の第7実施形態に係る締結構造80のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0076】
本実施形態に係る締結構造80は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0077】
図8(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造80では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)及び角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0078】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えてR面20H又は角面20Iが面押し形成される。
【0079】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0080】
[第8実施形態]
図9(A)には、本発明の第8実施形態に係る締結構造90のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0081】
本実施形態に係る締結構造90は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0082】
図9(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造90では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)及びR面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0083】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えてR面20H又は角面20Iが面押し形成される。
【0084】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0085】
[第9実施形態]
図9(B)には、本発明の第9実施形態に係る締結構造100のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0086】
本実施形態に係る締結構造100は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0087】
図9(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造100では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)及びC面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0088】
本実施形態のワッシャ20は、上記第1実施形態と同様の順送プレス加工により製造される。この場合、本実施形態のワッシャ20の形状に対応して、上記第1実施形態のC面20Gに代えて角面20Iが面押し形成される。
【0089】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0090】
なお、上記第1実施形態~第9実施形態において、第6工程と第7工程との間にワッシャ20の上面及び下面の少なくとも一方を面押しする工程を追加してもよい。これにより、ワッシャ20の反りを一層抑制できる。
【0091】
さらに、上記第1実施形態~第9実施形態では、ワッシャ20が対称面Sに対し面対称な形状にされる。しかしながら、ワッシャ20が対称面Sに対し面対称な形状にされなくてもよい。
【0092】
また、上記第1実施形態、第4実施形態~第6実施形態及び第9実施形態では、C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1が全て同一にされる。しかしながら、C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1が互いに相違されてもよい。
【0093】
さらに、上記第2実施形態、第4実施形態及び第6実施形態~第8実施形態では、R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2が全て同一にされる。しかしながら、R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2が互いに相違されてもよい。
【0094】
また、上記第3実施形態、第5実施形態及び第7実施形態~第9実施形態では、角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3が全て同一にされる。しかしながら、角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3が互いに相違されてもよい。
【0095】
さらに、上記第1実施形態~第9実施形態では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部とが同一の傾斜面と別傾斜面とにされると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部とが同一の内傾斜面にされる。しかしながら、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部とが異なる傾斜面と別傾斜面とにされてもよく、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部とが異なる内傾斜面にされてもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態~第9実施形態では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に傾斜面、別傾斜面又は内傾斜面が設けられる。しかしながら、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部の少なくとも1つに傾斜面、別傾斜面又は内傾斜面が設けられればよい。
【0097】
さらに、上記第1実施形態~第9実施形態では、ナット18と締結板16との間にワッシャ20が挟まれる。しかしながら、ボルト14(締結部材)の頭部14Aと取付板12(締結対象)との間にワッシャ20が挟まれてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 締結構造
12 取付板(締結対象)
16 締結板(締結対象)
18 ナット(締結部材)
20 ワッシャ
20G C面(傾斜面、別傾斜面)
20H R面(傾斜面、別傾斜面)
20I 角面(傾斜面、別傾斜面)
22 金属板材(原料材)
22A 凹部
22B 打抜孔
30 締結構造
40 締結構造
50 締結構造
60 締結構造
70 締結構造
80 締結構造
90 締結構造
100 締結構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の第5態様のワッシャの製造方法は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのワッシャの製造方法において、前記原料材の前記打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において前記打抜孔周囲外側に対する凹部が形成される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の第5態様のワッシャの製造方法では、原料材の打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において打抜孔周囲外側に対する凹部が形成される状態で、ワッシャに傾斜面が形成される。このため、ワッシャに傾斜面を形成する金型の損傷を抑制できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側から締結部材が押圧すると共に、裏側が締結対象を押圧し、かつ、表側又は裏側かつ外周側の角部に傾斜面が形成されるワッシャの製造方法であって、
原料材からワッシャが表側及び裏側の一方に打ち抜かれて前記原料材に打抜孔が形成された後に、ワッシャが前記打抜孔に戻されて、ワッシャの表側及び裏側の他方に前記傾斜面が形成されるワッシャの製造方法。
【請求項2】
前記原料材の前記打抜孔周面における肉厚が小さくされる状態でワッシャが前記打抜孔に戻される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項3】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材の前記打抜孔周面位置における肉厚が小さくされる請求項2に記載のワッシャの製造方法。
【請求項4】
ワッシャが前記打抜孔に対し表側及び裏側の他方に突出される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項5】
前記原料材の前記打抜孔周囲にワッシャの表側及び裏側の他方において前記打抜孔周囲外側に対する凹部が形成される状態でワッシャに前記傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項6】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることで前記原料材に前記凹部が形成される請求項5記載のワッシャの製造方法。
【請求項7】
ワッシャに前記傾斜面が形成される以後にワッシャの表側及び裏側の一方の面が面押しされる請求項1記載のワッシャの製造方法。
【請求項8】
前記原料材からワッシャが打ち抜かれる前に前記原料材が変形されて前記原料材からワッシャが突出されることでワッシャの表側及び裏側の一方かつ外周側の角部に別傾斜面が形成される請求項1記載のワッシャの製造方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3