(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007131
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】部品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
B65G47/30 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108373
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000107240
【氏名又は名称】ジェーシーシーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 昭博
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩司
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA03
3F081AA22
3F081BA04
3F081BC01
3F081CA05
3F081CB09
3F081CC18
3F081CE02
3F081EA09
3F081EA15
(57)【要約】
【課題】先に供給した部品を後に供給した部品より先に搬送することができる部品搬送装置を提供すること。
【解決手段】部品搬送装置1は、滞留部2に供給された部品100を数本ずつ水平姿勢のまま下流側X2に送り出す分離機構3と、分離機構3から送り出された部品100を水平姿勢のまま下流側X2に搬送するリニアフィーダ機構4と、リニアフィーダ機構4によって搬送された部品100を水平姿勢のまま下流側X2に搬送する第1ピックアップ機構5と、第1ピックアップ機構5が搬送した部品100が載置される載置部6と、部品100の底部100aが上流側X1または下流側X2の何れかの方向を向いているか検知する検知部9と、検知部9の検知結果に基づいて、部品100の底部100aが下方Z2となるように部品を水平姿勢から垂直姿勢に回転させてから次工程に搬送する搬送機構7と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向の一端に底部を有し他端が開口した円筒形状の部品を搬送する部品搬送装置において、
複数本の前記部品が供給される滞留部と、
前記滞留部に供給された前記部品を数本ずつ水平姿勢のまま下流側に送り出す分離機構と、
前記分離機構から送り出された前記部品を前記軸心方向が搬送方向に沿った状態で水平姿勢のまま下流に搬送するリニアフィーダ機構と、
前記リニアフィーダ機構によって搬送された前記部品を持ち上げて水平姿勢のまま下流側に搬送する第1ピックアップ機構と、
前記第1ピックアップ機構が搬送した前記部品が水平姿勢のまま載置される載置部と、
前記第1ピックアップ機構が前記部品を持ち上げた高さ位置において、前記部品の前記底部が上流側または下流側の何れかの方向を向いているか検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置された前記部品を前記底部が下方となるように前記部品を水平姿勢から垂直姿勢に回転させてから次工程に搬送する搬送機構と、を有することを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置された前記部品の前記底部が所定の方向を向くように前記載置部を回転させる回転機構と、前記載置部に載置された前記部品を把持する把持部および前記把持部を90°の角度範囲で回転させる回転駆動部を備える第2ピックアップ機構と、を備え、
前記第2ピックアップ機構は、前記部品を前記載置部から前記次工程に搬送する際に、回転駆動部を駆動して、前記把持部を一方側に90°回転させることを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、前記載置部に載置された前記部品を把持する把持部および前記把持部を180°の角度範囲で回転させる回転駆動部を備える第2ピックアップ機構を備え、
前記第2ピックアップ機構は、前記部品を前記載置部から前記次工程に搬送する際に、前記検知部の検知結果に基づいて、回転駆動部を駆動して、前記把持部を一方側に90°または他方側に90°回転させることを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記第1ピックアップ機構が前記部品を持ち上げた高さ位置において、前記搬送方向に沿った上流側から前記部品に光線を照射することによって、前記部品の前記底部が何れかの方向を向いている検知する光センサであることを特徴する請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記分離機構は、斜め上向きに傾いた傾斜壁と、前記傾斜壁との間に前記滞留部を構成するとともに上下方向に延びる第1固定板と、前記第1固定板に対して前記滞留部とは反対側で対向する第2固定板と、前記第1固定板の前記滞留部の側の面に沿って上下方向に移動する第1可動板と、前記第1固定板と前記第2固定板との間で上下方向に移動する第2可動板と、振動部と、を備え、
前記第1固定板、前記第1可動板、および前記第2可動板の上端部は、それぞれ、前記滞留部の側が斜め上向きに傾いており、
前記第1可動板は、上方に移動する際に、前記滞留部に滞留する複数本の前記部品のうち一部の前記部品を、前記第1可動板の前記上端部によって水平姿勢のまま、前記第1固定板の前記上端部に対して上方まで掬い上げ、
前記第2可動板は、上方に移動する際に、前記第1可動板の前記上端部が前記第1固定板の前記上端部に対して上方まで移動することによって、前記第1可動板から前記第1固定板の上を通って前記第2可動板の前記上端部まで移動した前記部品を、前記第2可動板
の前記上端部よって水平姿勢のまま、前記第2固定板の上端部に対して上方まで掬い上げ、
前記振動部は、前記第2可動板の前記上端部が前記第2固定板の上端部に対して上方まで移動することによって、前記第2可動板の前記上端部から前記第2固定板の前記上端部に移動した前記部品を、前記部品の前記軸心方向に向けて移動させる振動を前記第2固定板に加えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の部品搬送装置。
【請求項6】
前記第2固定板の前記上端部は、前記滞留部の側が斜め上向きに傾いた傾斜面と、前記傾斜面に対して前記滞留部の側とは反対側に位置して前記傾斜面とともに前記部品をガイドするガイド溝を構成するガイド面とを備えることを特徴とする請求項5に記載の部品搬送装置。
【請求項7】
前記リニアフィーダ機構は、前記部品の前記搬送方向に延びるとともに前記軸心方向が前記搬送方向に沿った状態で前記部品を水平姿勢のまま搬送するためのスリット状の搬送路を備えるスリット部材と、前記スリット部材の下方に位置して前記搬送路に沿って前記部品を搬送する搬送ベルト機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項8】
前記リニアフィーダ機構は、前記搬送路の下流側の端部まで前記部品が達したか検知する位置検知部を備え、
前記搬送ベルト機構は、前記部品が前記搬送路の前記下流側の端部に達したことを前記位置検知部が検知すると、前記部品の搬送を停止することを特徴とする請求項7に記載の部品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状の部品を搬送する部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸心方向の一端に底部を有し他端が開口した円筒形状の部品を搬送する部品搬送装置は、特許文献1に記載されている。同文献の部品搬送装置は、電子部品などの製造システムに組み込まれる。同文献の部品搬送装置は、振動パーツフィーダと直線振動パーツフィーダとを備える。振動パーツフィーダは、部品を多数収容するとともに部品を整列させて排出するボウルと、ボウルに振動を与える駆動部とを備える。直線振動パーツフィーダは、振動パーツフィーダによって排出された部品を一列に移送する直線状のトラフと、トラフに直線振動を与える駆動部とを備える。ここで、搬送される部品は、ボウルの上流部分では、軸心方向が水平方向となった状態で搬送されるが、ボウルの下流部分とトラフの上流部分において、軸心方向が水平状態から垂直方向となるように姿勢が起こされる。そして、姿勢が起こされた部品は、トラフの下流部分において、完全に起立姿勢とされ搬送される。
【0003】
また、姿勢が起こされた部品は、トラフの搬送経路上において、光センサによって、部品の上下の向きがチェックされる。部品の底部が上方となっている場合には、空気噴出ノズルから噴出された空気によって、この部品は、トラフの搬送経路上からボウルに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部品搬送装置では、トラフの下流まで搬送された部品は、ピックアップ機構などによって、起立姿勢のまま、トラフから次工程に搬送される。ここで、底部が上方となっていることにより、トラフの搬送経路上からボウルに戻された部品は、ボウル内において、他の部品と衝突するので、部品の表面に傷が付きやすい。また、部品の表面に傷が付く際に、鉄粉が発生するので、部品が汚れる場合がある。さらに、先に供給された部品がトラフの搬送経路上からボウルに戻されると、後に供給された部品が先に供給された部品より先に次工程に搬送されるという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、先に供給した部品を後に供給した部品より先に搬送することができる部品搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、軸心方向の一端に底部を有し他端が開口した円筒形状の部品を搬送する部品搬送装置において、複数本の前記部品が供給される滞留部と、前記滞留部に供給された前記部品を数本ずつ水平姿勢のまま下流側に送り出す分離機構と、前記分離機構から送り出された前記部品を前記軸心方向が搬送方向に沿った状態で水平姿勢のまま下流側に搬送するリニアフィーダ機構と、前記リニアフィーダ機構によって搬送された前記部品を持ち上げて水平姿勢のまま下流側に搬送する第1ピックアップ機構と、前記第1ピックアップ機構が搬送した前記部品が水平姿勢のまま載置される載置部と、前記第1ピックアップ機構が前記部品を持ち上げた高さ位置において、前記部品の前記
底部が上流側または下流側の何れかの方向を向いているか検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置された前記部品を前記底部が下方となるように前記部品を水平姿勢から垂直姿勢に回転させてから次工程に搬送する搬送機構と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る部品搬送装置において、リニアフィーダ機構は、分離機構から送り出された部品を軸心方向が搬送方向に沿った状態で水平姿勢のまま下流側に搬送する。第1ピックアップ機構がリニアフィーダ機構から載置部に部品を搬送する際、検知部は、第1ピックアップ機構が部品を持ち上げた高さ位置において、部品の底部が上流側または下流側の何れかの方向を向いているか検知する。そして、搬送機構は、載置部に水平姿勢のまま載置された部品を次工程に搬送する際に、検知部の検知結果に基づいて、部品の底部が下方となるように部品を水平姿勢から垂直姿勢に回転させる。このため、部品搬送装置は、検知部の検知結果に基づいて、部品の底部を下方にしてから次工程に搬送するので、部品の底部が上方を向いたものを排除する従来の構成と比較して、部品の表面に傷をつけることなく、先に供給した部品を後に供給した部品より先に搬送することができる。
【0009】
本発明において、前記搬送機構は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記載置部に載置された前記部品の前記底部が所定の方向を向くように前記載置部を回転させる回転機構と、前記載置部に載置された前記部品を把持する把持部および前記把持部を90°の角度範囲で回転させる回転駆動部を備える第2ピックアップ機構と、を備え、前記第2ピックアップ機構は、前記部品を前記載置部から前記次工程に搬送する際に、回転駆動部を駆動して、前記把持部を一方側に90°回転させることが好ましい。ここで、把持部には把持部を動作させるためのケーブルが接続される。この場合、回転駆動部が把持部を180°の角度範囲で回転させた場合、部品搬送装置のレイアウトによっては、ケーブルが絡まる恐れがある。よって、かかる構成によれば、検知部の検知結果に基づいて、載置部に載置された部品の底部が所定の方向を向いているので、回転駆動部は、把持部を一方側に90°回転させれば、部品の底部を下方に向けることができる。このため、回転駆動部は、把持部を90°の角度範囲で回転させるので、把持部を180°の角度範囲で回転させた場合と比較して、ケーブルが絡まることを抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記搬送機構は、前記載置部に載置された前記部品を把持する把持部および前記把持部を180°の角度範囲で回転させる回転駆動部を備える第2ピックアップ機構を備え、前記第2ピックアップ機構は、前記部品を前記載置部から前記次工程に搬送する際に、前記検知部の検知結果に基づいて、回転駆動部を駆動して、前記把持部を一方側に90°または他方側に90°回転させることが好ましい。このようにすれば、検知部の検知結果に基づいて、把持部を180°の角度範囲で回転させることにより部品の底部を下方Z2に向けることができるので、搬送機構の構成を簡素にすることができる。
【0011】
本発明において、前記検知部は、前記第1ピックアップ機構が前記部品を持ち上げた高さ位置において、前記搬送方向に沿った上流側から前記部品に光線を照射することによって、前記部品の前記底部が何れかの方向を向いている検知する光センサであることが好ましい。このようにすれば、第1ピックアップ機構がリニアフィーダ機構から載置部に部品を搬送する経路において、光センサによって、部品の底部が向く方向を容易に検知することができる。
【0012】
本発明において、前記分離機構は、斜め上向きに傾いた傾斜壁と、前記傾斜壁との間に前記滞留部を構成するとともに上下方向に延びる第1固定板と、前記第1固定板に対して前記滞留部とは反対側で対向する第2固定板と、前記第1固定板の前記滞留部の側の面に沿って上下方向に移動する第1可動板と、前記第1固定板と前記第2固定板との間で上下方向に移動する第2可動板と、振動部と、を備え、前記第1固定板、前記第1可動板、お
よび前記第2可動板の上端部は、それぞれ、前記滞留部の側が斜め上向きに傾いており、前記第1可動板は、上方に移動する際に、前記滞留部に滞留する複数本の前記部品のうち一部の前記部品を、前記第1可動板の前記上端部によって水平姿勢のまま、前記第1固定板の前記上端部に対して上方まで掬い上げ、前記第2可動板は、上方に移動する際に、前記第1可動板の前記上端部が前記第1固定板の前記上端部に対して上方まで移動することによって、前記第1可動板から前記第1固定板の上を通って前記第2可動板の前記上端部まで移動した前記部品を、前記第2可動板の前記上端部よって水平姿勢のまま、前記第2固定板の上端部に対して上方まで掬い上げ、前記振動部は、前記第2可動板の前記上端部が前記第2固定板の上端部に対して上方まで移動することによって、前記第2可動板の前記上端部から前記第2固定板の前記上端部に移動した前記部品を、前記部品の前記軸心方向に向けて移動させる振動を前記第2固定板に加えることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、第1可動板によって掬い上げた部品をさらに第2可動板によって持ち上げて第2固定板の上端部に移すことができる。このため、分離機構は、少ない部品を確実に水平姿勢にしてリニアフィーダ機構に供給するので、分離機構とリニアフィーダ機構との間等において部品が搬送経路の外に脱落するという事態が発生しにくい。よって、先に投入した部品を後に投入した部品より先に下流側に搬送することができる。
【0014】
本発明において、前記第2固定板の前記上端部は、前記滞留部の側が斜め上向きに傾いた傾斜面と、前記傾斜面に対して前記滞留部の側とは反対側に位置して前記傾斜面とともに前記部品をガイドするガイド溝を構成するガイド面とを備えることが好ましい。このようにすれば、傾斜面が滞留部の側が斜め上方に傾いているので、部品が第2可動板の上端部から第2固定板の上端部に移動しやすい。また、傾斜面とガイド面とによってガイド溝が構成されているので、第2固定板の上端部に移動した部品は、第2固定板の上端部から落下しにくい。
【0015】
本発明において、前記リニアフィーダ機構は、前記部品の前記搬送方向に延びるとともに前記軸心方向が前記搬送方向に沿った状態で前記部品を水平姿勢のまま搬送するためのスリット状の搬送路を備えるスリット部材と、前記スリット部材の下方に位置して前記搬送路に沿って前記部品を搬送する搬送ベルト機構とを備えることが好ましい。このようにすれば、搬送路に部品を水平姿勢のまま整列させた状態で、搬送路に沿って前記部品を搬送することができる。
【0016】
本発明において、前記リニアフィーダ機構は、前記搬送路の下流側の端部まで前記部品が達したか検知する位置検知部を備え、前記搬送ベルト機構は、前記部品が前記搬送路の前記下流側の端に達したことを前記位置検知部が検知すると、前記部品の搬送を停止することがこのましい。このようにすれば、リニアフィーダ機構は、搬送路の下流側の端部まで確実に部品を搬送することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る部品搬送装置においては、検知部の検知結果に基づいて、部品の底部を下方にしてから次工程に搬送するので、部品の表面に傷をつけることなく、先に供給した部品を後に供給した部品より先に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】滞留部および分離機構を説明する断面斜視図である。
【
図3】リニアフィーダ機構を説明する斜視図である。
【
図4】一方側から見た第1ピックアップ機構、載置部および搬送機構の斜視図である。
【
図5】他方側から見た第1ピックアップ機構、載置部および搬送機構の斜視図である。
【
図8】第1ピックアップ機構および搬送機構の動作を説明する図である。
【
図9】第1ピックアップ機構および搬送機構の動作を説明する図である。
【
図10】第1ピックアップ機構および搬送機構の動作を説明する図である。
【
図11】第1ピックアップ機構および搬送機構の動作を説明する図である。
【
図12】第1ピックアップ機構および搬送機構の動作を説明する図である。
【
図13】実施形態2の部品搬送装置において、搬送機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用した部品搬送装置1を説明する。
図1は、実施形態1の部品搬送装置1の斜視図である。
【0020】
(搬送システムの全体構成)
図1に示す本形態の部品搬送装置1は、電解コンデンサの製造ラインに組み込まれて使用される。部品搬送装置1は、部品100を上流側から下流側に向けて整列させてから、次工程の挿入装置10に搬送する。部品100は、軸心方向の一端に底部100aを有し他端が開口した円筒形状を備える。部品100は、アルミ製である。部品100の内部には、次工程の挿入装置10において、コンデンサ素子およびゴムキャップが挿入される。
【0021】
部品搬送装置1は、複数本の部品が供給される滞留部2と、滞留部2に供給された部品100を分離して送り出す分離機構3と、分離機構3から送り出された部品100を直線状に搬送するリニアフィーダ機構4と、を有する。分離機構3は、滞留部2に供給された部品100を数本ずつ水平姿勢のまま下流側に送り出す。リニアフィーダ機構4は、分離機構3から送り出された部品100を軸心方向が搬送方向に沿った状態で水平姿勢のまま下流側に搬送する。ここで、以下の説明では、互いに直交する3方向を、それぞれX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向とする。X軸方向は、リニアフィーダ機構4が部品100を搬送する搬送方向に沿った方向であり、上流側がX1、下流側がX2である。Z軸方向は、上下方向であり、上方がZ1であり、下方がZ2である。
【0022】
部品搬送装置1は、リニアフィーダ機構4によって搬送された部品100を下流側X2に搬送する第1ピックアップ機構5と、第1ピックアップ機構5が搬送した部品100が載置される載置部6と、を有する。第1ピックアップ機構5は、部品100を持ち上げて水平姿勢のまま載置部6に載置する。
【0023】
部品搬送装置1は、第1ピックアップ機構5が部品100を持ち上げた高さ位置において、部品100の底部100aが上流側X1または下流側X2の何れかの方向を向いているか検知する検知部9と、検知部9の検知結果に基づいて、載置部6に載置された部品100を部品100の底部100aが下方Z2となるように部品100を水平姿勢から垂直姿勢に回転させてから挿入装置10に搬送する搬送機構7と、を有する。
【0024】
(滞留部)
図2は、滞留部2および分離機構3を説明する断面斜視図である。
図1および
図2に示すように、滞留部2は、分離機構3のY1側に位置する。
図2に示すように、滞留部2は、複数本の部品100を収容するボックス20の内部空間に形成されている。ボックス20は、上方Z1が開口している。ボックス20の底部21は、Y1側が上方Z1に傾斜している。ボックス20のY2側は、分離機構3に接続している。
【0025】
(分離機構)
図2に示すように、分離機構3は、斜め上向きに傾いた傾斜壁31と、傾斜壁31との
間に滞留部2を構成するとともにZ軸方向に延びる第1固定板32と、第1固定板32に対して滞留部2とは反対側で対向する第2固定板33と、備える。傾斜壁31は、ベース板部310の上端部に形成されている。傾斜壁31は、ボックス20の底部21と連続して形成されており、Y1側が上方Z1に傾斜している。
【0026】
分離機構3は、第1固定板32の滞留部2の側の面320に沿ってZ軸方向に移動する第1可動板34と、第1固定板32と第2固定板33との間でZ軸方向に移動する第2可動板35と、振動部36と、を備える。第1固定板32の上端部321、第1可動板34の上端部341、および第2可動板35の上端部351は、それぞれ、滞留部2の側が斜め上向きに傾いている。
【0027】
第2固定板33の上端部331は、滞留部2の側が斜め上向きに傾いた傾斜面332と、傾斜面332に対して滞留部2の側とは反対側に位置するガイド面333とを備える。傾斜面332とガイド面333とは、部品100をガイドするガイド溝334を構成する。本例では、ガイド溝334は、断面V字形状を備える。また、本例では、ガイド面333は、上端部331のY2側の側面に取り付けられた板部材335のY1側の面に設けられている。
【0028】
第1可動板34は、連結部材342を介して伝達機構39およびリニアガイド37に接続されている。第2可動板35は、連結部材352を介して伝達機構39およびリニアガイド37に接続されている。伝達機構39には、モータ38の駆動力が伝達される。よって、第1可動板34および第2可動板35は、伝達機構39を介してモータ38の駆動力が連結部材342、352に伝達されることにより、Z軸方向に移動する。振動部36は、第2固定板33のY2側に配置されており、第2固定板33を振動させる。
【0029】
(リニアフィーダ機構)
図3は、リニアフィーダ機構4を説明する斜視図である。
図3に示すように、リニアフィーダ機構4は、搬送路40を形成するスリット部材41と、スリット部材41の下方Z2に位置して搬送路40に沿って部品100を搬送する搬送ベルト機構42とを備える。スリット部材41は、X軸方向に延びる2つの板部材411により構成されている。2つの板部材411は、Y軸方向に並べられて配置されており、2つの板部材411の間にスリット状の搬送路40が形成される。搬送路40は、部品100の搬送方向であるX軸方向に延びるとともに、部品100の軸心方向がX軸方向に沿った状態で部品100を水平姿勢のまま搬送するように形成されている。搬送ベルト機構42は、搬送ベルト43と、搬送ベルト43を駆動する駆動部44とを備える。搬送ベルト43は、スリット部材41の下方Z2に位置し、駆動部44の駆動力により、部品100を搬送路40に沿ってX2側に搬送する。
【0030】
リニアフィーダ機構4は、搬送路40の下流側X2の端部40aまで部品100が達したか検知する位置検知部45を備える。本例では、位置検知部45は、光センサである。位置検知部45が、部品100が搬送路40の下流側X2の端部40aに達したことを検知すると、搬送ベルト機構42は、駆動部44の駆動を停止して、部品100の搬送を停止する。また、第1ピックアップ機構5により部品100が搬送されると、搬送ベルト機構42は、位置検知部45が部品を検知するまで、駆動部44を駆動して、部品100を搬送する。
【0031】
(第1ピックアップ機構)
図4は、一方側から見た第1ピックアップ機構5、載置部6および搬送機構7の斜視図である。
図5は、他方側から見た第1ピックアップ機構5、載置部6および搬送機構7の斜視図である。
図4および
図5に示すように、第1ピックアップ機構5は、搬送路40の
下流側X2の端部40aにおいて部品100を把持する把持部51と、把持部51を支持する支持部材52と、支持部材52が固定されたベース部材81と、ベース部材81をZ軸方向に移動させる第1駆動部82と、第1駆動部82が固定された連結部材83と、連結部材83をX軸方向移動させる第2駆動部84とを備える。把持部51は、部品100を把持する把持部材511と、把持部材511をY軸方向に移動させる駆動部512とを備える。駆動部512は、電動アクチュエータなどからなる。駆動部512が把持部材511を移動させることにより、把持部51は、部品100を把持する。
【0032】
第1駆動部82は、電動シリンダからなる。第1駆動部82は、支持部材52およびベース部材81を介して、把持部51をZ軸方向に移動させる。第2駆動部84は、電動シリンダからなる。第2駆動部84は、支持部材52、ベース部材81、第1駆動部82および連結部材83を介して、把持部51をX軸方向に移動させる。
【0033】
(載置部)
図4および
図5に示すように、載置部6は、部品100の両端部分をそれぞれ支持する1対の支持部材61と、部品100の両端部をX軸方向に位置決めする1対の位置決め部材62とを備える。支持部材61は、X軸方向で互いに対向し、部品100の下方Z2側を支持する。位置決め部材62は、X軸方向で互いに対向し、部品100のX軸方向の両端部を位置決めする。なお、位置決め部材62のX軸方向の間隔は、駆動部63により可変する。よって、搬送される部品100の長さ寸法に応じて、位置決め部材62のX軸方向の間隔は変更される。
【0034】
(検知部)
図4に示すように、検知部9は、把持部51より上流側X1であって、リニアフィーダ機構4より上方Z1に配置されている。検知部9は、光線を照射することで物体を検知する光センサである。本例では、光センサとして、レーザー変位計を用いている。検知部9は、第1ピックアップ機構5が部品100を持ち上げた高さ位置において、上流側X1から部品100に光線を照射することによって、部品100の底部100aが上流側X1または下流側X2の何れかの方向を向いているか検知する。
【0035】
(搬送機構)
図4および
図5に示すように、搬送機構7は、載置部6を回転させる回転機構70と、載置部6に載置された部品100を一方側に90°回転させてから部品100を挿入装置10に搬送する第2ピックアップ機構71と、を備える。回転機構70は、エアシリンダなどで構成されており、載置部6の下方Z2に配置されている。回転機構70は、検知部9の検知結果に基づいて、載置部6を、Z軸方向を中心として180°回転させる。
【0036】
第2ピックアップ機構71は、載置部6に載置された部品100を把持する把持部72と、把持部72を回転可能に支持する支持部材73と、支持部材73が固定されたベース部材81と、ベース部材81をZ軸方向に移動させる第1駆動部82と、第1駆動部82が固定された連結部材83と、連結部材83をX軸方向移動させる第2駆動部84とを備える。
【0037】
把持部72は、部品100を把持する1対の把持部材721と、把持部材721を開閉させる駆動部722とを備える。駆動部722は、電動アクチュエータなどからなる。駆動部722の側面には、駆動部722に電力を供給するためのケーブル723が接続されている。駆動部722が把持部材721を開閉させることにより、把持部72は、部品100を把持する。
【0038】
本例の第2ピックアップ機構71のベース部材81、第1駆動部82、連結部材83お
よび第2駆動部84は、第1ピックアップ機構5と共通する。第1駆動部82は、支持部材73およびベース部材81を介して、把持部72をZ軸方向に移動させる。第2駆動部84は、電動シリンダからなる。第2駆動部84は、支持部材73、ベース部材81、第1駆動部82および連結部材83を介して、把持部72をX軸方向に移動させる。よって、第1駆動部82および第2駆動部84は、把持部51および把持部72を同時に、X軸方向およびZ軸方向に移動させる。
【0039】
第2ピックアップ機構71は、把持部72を支持部材73に対してY軸方向を中心として回転させる回転駆動部74を備える。回転駆動部74は、モータからなる駆動部75と、駆動部75の駆動力を把持部72に伝達するベルト76とを備える。ベルト76は、支持部材73の内部に配置されている。ベルト76は、把持部72と駆動部75の出力部との間で掛け渡されている。本例では、駆動部75は、ベルト76を介して、90°の角度範囲で把持部72を回転させる。
【0040】
(挿入装置)
図1に示すように、挿入装置10は、部品搬送装置1の下流側X2に配置されている。挿入装置10は、部品100をチャックする複数のチャック部11と、チャック部11が複数配置されたベース部12と、ベース部12を回転させる駆動部13と、チャック部11に部品100を押し込む押込み機構14と、不図示の素子挿入部と、を備える。駆動部13はモータなどからなる。押込み機構14は、押込み部材15と、押込み部材15をZ軸方向に移動させる駆動部16とを備える。駆動部16は、電動シリンダからなる。
【0041】
(分離機構の動作)
分離機構3の動作について説明する。
図6および
図7は、分離機構3の動作を説明する図である。
図6に示す状態から
図7に示す状態に、分離機構3が動作する際、第1可動板34は、上方Z1に移動する際に、滞留部2に滞留する複数本の部品100のうち一部の部品100を、第1可動板34の上端部341によって水平姿勢のまま、第1固定板32の上端部321に対して上方Z1まで掬い上げる。その後、第1可動板34の上端部341は、滞留部2の側が斜め上向きに傾いているので、部品100は、第1固定板32の上端部321に移動する。同様に、第2可動板35は、上方Z1に移動する際に、第1可動板34の上端部341が第1固定板32の上端部321に対して上方まで移動することによって、第1可動板34から第1固定板32の上を通って第2可動板35の上端部351まで移動した部品100を、第2可動板35の上端部351よって水平姿勢のまま、第2固定板33の上端部331に対して上方Z1まで掬い上げる。その後、第2可動板35の上端部351は、滞留部2の側が斜め上向きに傾いているので、部品100は、第2固定板33の上端部331に移動する。
【0042】
図6に示すように、第1可動板34および第2可動板35が下方Z2に移動すると、傾斜壁31に位置する部品100は、第1可動板34の上端部341に移動する。また、第1固定板32の上端部321に位置する部品100は、第2可動板35の上端部351に移動する。第1可動板34および第2可動板35がZ軸方向に移動する間、振動部36は、第2固定板33の上端部331に移動した部品100を、部品100の軸心方向に向けて移動させる振動を第2固定板33に加える。これにより、部品100は、第2固定板33の上端部331からリニアフィーダ機構4の搬送路40に送り出される。
【0043】
このように分離機構3は、少ない部品100を確実に水平姿勢にしてリニアフィーダ機構4に供給するため、分離機構3とリニアフィーダ機構4との間等において部品100が搬送経路の外に脱落するという事態が発生しにくい。
【0044】
(第1ピックアップ機構および搬送機構の動作)
第1ピックアップ機構5および搬送機構7の動作について説明する。
図8~
図12は、第1ピックアップ機構5および搬送機構7の動作を説明する図である。ここでの説明では、載置部6に部品100が載置された状態から説明する。
図8に示すように、第1ピックアップ機構5は、把持部材511を開いた状態で待機している。まだ、第2ピックアップ機構71は、把持部材721を開いた状態で待機している。搬送ベルト43により、搬送路40の下流側X2まで部品100が搬送されると、位置検知部45は、部品100が搬送路40の下流側X2の端部40aに達したことを検知し、搬送ベルト機構42は、駆動部44の駆動を停止して、部品100の搬送を停止する。
【0045】
その後、
図9に示すように、第1ピックアップ機構5は、駆動部512を駆動させて、把持部材511により、搬送路40の下流側X2の端部40aまで搬送された部品100を把持する。また、第2ピックアップ機構71は、駆動部722を駆動させて、把持部材721により、載置部6に載置された部品100を把持する。次に、
図10に示すように、第1駆動部82を駆動して、第1ピックアップ機構5の把持部51および第2ピックアップ機構71の把持部72を上方Z1に移動させる。検知部9は、第1ピックアップ機構5が部品100を持ち上げた高さ位置において、上流側X1から部品100に光線Lを照射することによって、部品100の底部100aが何れかの方向を向いているか検知する。
【0046】
次に、
図11に示すように、第1ピックアップ機構5および第2ピックアップ機構71は、第2駆動部84を駆動して、把持部51および把持部72を下流側X2に移動させる。これにより、把持部51は、載置部6の上方Z1まで移動する。また、把持部72は、チャック部11の上方Z1まで移動する。ここで、把持部72が載置部6から部品100を持ち上げてから挿入装置10に搬送する際、駆動部75は、把持部72を一方側CCWに90°回転させる。後述するように、載置部6に載置された部品100の底部100aは所定の方向を向いているので、駆動部75は、把持部72を一方側CCWに90°回転させれば、部品100の底部100aを下方Z2に向けることができる。
【0047】
次に、第1ピックアップ機構5は、第1駆動部82を駆動して、把持部51を下方Z2に移動させて、部品100を水平姿勢のまま載置部に載置する。また、第2ピックアップ機構71は、第1駆動部82を駆動して、把持部72を下方Z2に移動させて、部品100をチャック部11に挿入する。この際、押込み機構14は、第2ピックアップ機構71と共同して、押込み部材15を下方Z2に移動させて、部品100をチャック部11に押し込む。
【0048】
ここで、挿入装置10は、部品100がチャック部11に押し込まれると、押込み部材15を上方Z1に退避させるとともに、駆動部13を駆動してベース部12を回転させる。その後、チャック部11に挿入された部品100には、素子挿入部によって、コンデンサ素子およびゴムキャップが挿入される。コンデンサ素子等が挿入された部品100は、ピックアップ機構などによって、チャック部11から取り出されるとともに、次工程に搬送される。
【0049】
図12に示すように、部品100が載置部6に載置されるとともに、部品100がチャック部に押し込まれると、第1ピックアップ機構5および第2ピックアップ機構71は、第1駆動部82を駆動して、把持部51および把持部72を上方Z1に移動させる。次に、第1ピックアップ機構5および第2ピックアップ機構71は、第1駆動部82を駆動して、第1ピックアップ機構5の把持部51および第2ピックアップ機構71の把持部72をX1方向に移動させた後、
図8に示すように、把持部51および把持部72を待機状態とする。ここで、把持部72がX1方向に移動する際、第2ピックアップ機構71は、駆動部75を駆動させて、把持部72を他方側CWに90°回転させて、把持部72を待機
状態とする。
【0050】
また、
図12に示すように、部品100が載置部6に載置されると、回転機構70は、検知部9の検知結果に基づいて、載置部6を180°回転させる。より具体的には、検知部9が部品100の底部100aが上流側X1を向いていると検知した場合には、回転機構70は載置部6を回転させない。一方、検知部9が部品100の底部100aが下流側X2を向いていると検知した場合には、第1ピックアップ機構5が載置部6に部品100を載置した後に、回転機構70は、載置された部品100の底部100aが上流側X1を向くように、載置部6を180°回転させる。これにより、載置部6に載置された部品100の底部100aは、所定の方向を向く。
【0051】
(作用効果)
本形態に係る部品搬送装置1において、リニアフィーダ機構4は、分離機構3から送り出された部品100を軸心方向が搬送方向に沿った状態で水平姿勢のまま下流側X2に搬送する。第1ピックアップ機構5がリニアフィーダ機構4から載置部6に部品100を搬送する際、検知部9は、第1ピックアップ機構5が部品100を持ち上げた高さ位置において、部品100の底部100aが上流側X1または下流側X2の何れかの方向を向いているか検知する。そして、搬送機構7は、載置部6に水平姿勢のまま載置された部品100を挿入装置10に搬送する際に、検知部9の検知結果に基づいて、部品100の底部100aが下方Z2となるように部品を水平姿勢から垂直姿勢に回転させる。このため、部品搬送装置1は、検知部9の検知結果に基づいて、部品100の底部100aを下方Z2にしてから挿入装置10に搬送するので、部品100の底部100aが上方Z1を向いたものを排除する従来の構成と比較して、部品100の表面に傷をつけることなく、先に供給した部品100を後に供給した部品100より先に搬送することができる。
【0052】
本形態において、搬送機構7は、検知部9の検知結果に基づいて、載置部6に載置された部品100の底部100aが所定の方向を向くように載置部6を回転させる回転機構70と、載置部6に載置された部品100を把持する把持部72および把持部72を90°の角度範囲で回転させる回転駆動部74を備える第2ピックアップ機構71と、を備える。第2ピックアップ機構71は、部品100を載置部6から挿入装置10に搬送する際に、回転駆動部74を駆動して、把持部72を一方側に90°回転させる。ここで、載置部6に載置された部品100の底部100aが所定の方向を向いていない場合には、回転駆動部74は、検知部9の検知結果に基づいて、把持部72を一方側または他方側に90°回転させなければ、部品100の底部100aを下方Z2に向けることができない。これに対し、本形態では、検知部9の検知結果に基づいて、載置部6に載置された部品100の底部100aが所定の方向を向いているので、回転駆動部74は、把持部72を一方側に90°回転させれば、部品100の底部100aを下方Z2に向けることができる。よって、回転駆動部74が把持部72を180°の角度範囲で回転させた場合と比較して、回転駆動部74は、把持部72を90°の角度範囲で回転させるので、ケーブル723が絡まることを抑制することができる。
【0053】
本形態において、検知部9は、第1ピックアップ機構5が部品100を持ち上げた高さ位置において、搬送方向に沿った上流側から部品100に光線Lを照射することによって、部品100の底部100aが何れかの方向を向いている検知する光センサである。よって、検知部9は、第1ピックアップ機構5が部品100を搬送する経路において、部品100の底部100aが向く方向を容易に検知することができる。
【0054】
本形態において、分離機構3は、斜め上向きに傾いた傾斜壁31と、傾斜壁31との間に滞留部2を構成するとともにZ軸方向に延びる第1固定板32と、第1固定板32に対して滞留部2とは反対側で対向する第2固定板33と、第1固定板32の滞留部2の側の
面320に沿ってZ軸方向に移動する第1可動板34と、第1固定板32と第2固定板33との間でZ軸方向に移動する第2可動板35と、振動部36と、を備える。第1固定板32上端部321、第1可動板34の上端部341、および第2可動板35の上端部351は、それぞれ、滞留部2の側が斜め上向きに傾く。第1可動板34は、上方Z1に移動する際に、滞留部2に滞留する複数本の部品100のうち一部の部品100を、第1可動板34の上端部341によって水平姿勢のまま、第1固定板32の上端部321に対して上方Z1まで掬い上げる。これにより、部品100は、水平姿勢のまま、第1可動板34の上端部341から第1固定板32の上端部321に移動する。また、第2可動板35は、上方Z1に移動する際に、第1可動板34から第1固定板32の上を通って第2可動板35の上端部351まで移動した部品100を、第2可動板35の上端部351よって水平姿勢のまま、第2固定板33の上端部331に対して上方Z1まで掬い上げる。これにより、部品100は、水平姿勢のまま、第2可動板35の上端部351から第2固定板33の上端部331に移動する。振動部36は、第2可動板35の上端部351から第2固定板33の上端部331に移動した部品100を、部品100の軸心方向に向けて移動させる振動を第2固定板33に加える。
【0055】
よって、第1可動板34によって掬い上げた部品100をさらに第2可動板35によって持ち上げて第2固定板33の上端部331に移すことができる。このため、分離機構3は、少ない部品100を確実に水平姿勢にしてリニアフィーダ機構4に供給するので、分離機構3とリニアフィーダ機構4との間等において部品100が搬送経路の外に脱落するという事態が発生しにくい。よって、先に投入した部品100を後に投入した部品100より先に下流側X2に搬送することができる。
【0056】
本形態において、第2固定板33の上端部331は、滞留部2の側が斜め上向きに傾いた傾斜面332と、傾斜面332に対して滞留部2の側とは反対側に位置して傾斜面332とともに部品をガイドするガイド溝334を構成するガイド面333とを備える。よって、傾斜面332が滞留部2の側が斜め上方に傾いているので、部品100が第2可動板35の上端部351から第2固定板33の上端部331に移動しやすい。また、傾斜面332とガイド面333とによってガイド溝334が構成されているので、第2固定板33の上端部331に移動した部品100は、第2固定板33の上端部331から落下しにくい。
【0057】
本形態において、リニアフィーダ機構4は、部品100の搬送方向に延びるとともに軸心方向が搬送方向に沿った状態で部品100を水平姿勢のまま搬送するためのスリット状の搬送路40を備えるスリット部材41と、スリット部材41の下方に位置して搬送路40に沿って部品を搬送する搬送ベルト機構42とを備える。よって、搬送路40に部品100を水平姿勢のまま整列させた状態で、搬送路40に沿って部品100を搬送することができる。
【0058】
本形態において、リニアフィーダ機構4は、搬送路40の下流側X2の端部40aまで部品100が達したか検知する位置検知部45を備える。搬送ベルト機構42は、部品100が搬送路40の下流側X2の端に達したことを位置検知部45が検知すると、部品100の搬送を停止する。よって、リニアフィーダ機構4は、搬送路40の下流側X2の端部40aまで確実に部品を搬送することができる。
ある。
【0059】
(実施形態2)
次に実施形態2の部品搬送装置1Aについて説明する。実施形態2の部品搬送装置1Aは、搬送機構7の構成が実施形態1の部品搬送装置1の搬送機構7とは相違する。よって、実施形態2では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合
がある。
図13は、実施形態2の部品搬送装置1Aにおいて、搬送機構7を説明する図である。
【0060】
(搬送機構)
図13に示すように、搬送機構7は、第2ピックアップ機構71を備える。第2ピックアップ機構71は、載置部6に載置された部品100を把持する把持部72と、把持部72を支持する支持部材73と、支持部材73が固定されたベース部材81と、ベース部材81をZ軸方向に移動させる第1駆動部82と、第1駆動部82が固定された連結部材83と、連結部材83をX軸方向移動させる第2駆動部84とを備える。把持部72は、部品100を把持する把持部材721と、把持部材721をY軸方向に移動させる駆動部722とを備える。
【0061】
第2ピックアップ機構71は、把持部72を支持部材73に対してY軸方向を中心として回転させる回転駆動部74を備える。回転駆動部74は、モータからなる駆動部75と、駆動部75の駆動力を把持部72に伝達するベルト76とを備える。ベルト76は、支持部材73の内部に配置されている。駆動部75は、ベルト76を介して、180°の角度範囲で把持部72を回転させる。
【0062】
本例では、第2ピックアップ機構71は、検知部9の検知結果に基づいて、部品100を一方側CCWに90°または他方側CWに90°回転させてから部品100を挿入装置10に搬送する。より具体的には、第1ピックアップ機構5が持ち上げた部品100の底部100aが上流側X1を向いていると検知部9が検知すると、第2ピックアップ機構71は、把持部72によって載置部6から部品100を持ち上げてから挿入装置10に搬送する際、把持部72を一方側CCWに90°回転させて部品100の底部100aを下方Z2に向けてから、挿入装置10のチャック部11に部品100を搬送する。一方、第1ピックアップ機構5が持ち上げた部品100の底部100aが下流側X2を向いていると検知部9が検知すると、第2ピックアップ機構71は、把持部72によって載置部6から部品100を持ち上げてから挿入装置10に搬送する際、把持部72を他方側CWに90°回転させて部品100の底部100aを下方Z2に向けてから、挿入装置10のチャック部11に部品100を搬送する。
【0063】
本形態の部品搬送装置1Aにおいて、第2ピックアップ機構71は、部品100を載置部6から挿入装置10に搬送する際に、検知部9の検知結果に基づいて、把持部72を一方側CCWに90°または他方側CWに90°回転させることにより、部品100の底部100aを下方Z2に向けることができる。よって、実施形態1のように検知部9の検知結果に基づいて載置部6を回転機構70によって回転させる構成と比較して、本形態の部品搬送装置1Aは、搬送機構7の構成を簡素にすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…部品搬送装置、1A…部品搬送装置、2…滞留部、3…分離機構、4…リニアフィーダ機構、5…第1ピックアップ機構、6…載置部、7…搬送機構、9…検知部、10…挿入装置、11…チャック部、12…ベース部、13…駆動部、14…押込み機構、15…押込み部材、16…駆動部、20…ボックス、21…底部、31…傾斜壁、32…第1固定板、33…第2固定板、34…第1可動板、35…第2可動板、36…振動部、37…リニアガイド、38…モータ、39…伝達機構、40…搬送路、41…スリット部材、42…搬送ベルト機構、43…搬送ベルト、44…駆動部、45…位置検知部、51…把持部、52…支持部材、61…支持部材、62…位置決め部材、63…駆動部、70…回転機構、71…第2ピックアップ機構、72…把持部、73…支持部材、74…回転駆動部、75…駆動部、76…ベルト、81…ベース部材、82…第1駆動部、83…連結部材、84…第2駆動部、100…部品、100a…底部、310…ベース板部、320…面
、321…上端部、331…上端部、332…傾斜面、333…ガイド面、334…ガイド溝、341…上端部、342…連結部材、351…上端部、352…連結部材、411…板部材、511…把持部材、512…駆動部、721…把持部材、722…駆動部、723…ケーブル、L…光線