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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071317
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/00 20060101AFI20240517BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240517BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20240517BHJP
   G06N 3/04 20230101ALI20240517BHJP
【FI】
B60W40/00
B60W60/00
G06N3/08
G06N3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206068
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2022182132
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241CA00
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D241DB32Z
3D241DB42Z
3D241DC18Z
3D241DC31Z
3D241DC42Z
3D241DC45Z
3D241DC46Z
3D241DC51Z
3D241DC53Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Level5では実現できなかった高性能な運転制御が実現可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】車両に関連する複数の情報を取得可能な情報取得部と、複数の情報毎に設けられ、複数の情報のうち予め定められた情報からインデックス値を推論する複数のチップと、複数のインデックス値に基づいて車両の運転制御を実行する運転制御部と、を備える。チップは、深層学習を用いた積分法による多変量解析により、インデックス値を推論する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関連する複数の情報を取得可能な情報取得部と、
複数の前記情報毎に設けられ、複数の当該情報のうち予め定められた情報からインデックス値を推論する複数のチップと、
複数の前記インデックス値に基づいて前記車両の運転制御を実行する運転制御部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記チップは、深層学習を用いた積分法による多変量解析により、前記インデックス値を推論する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を集約してインデックス値を推論するアンカーチップを備え、
前記運転制御部は、前記アンカーチップにより集約されたインデックス値に基づいて前記車両の運転制御を実行する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、10億分の1秒単位で複数の前記情報を取得し、
前記チップは、複数の前記情報を用いて、前記インデックス値の推論を10億分の1秒単位で実行し、
前記アンカーチップは、前記インデックス値を用いて、当該インデックス値の集約を10億分の1秒単位で実行し、
前記運転制御部は、集約された前記インデックス値を用いて、前記車両の運転制御を10億分の1秒単位で実行する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップ毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記重み付けは、学習済みモデルに前記情報を入力することで行われる請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップが前記インデックス値を算出する前記情報の種類毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報の種類は、優先度の高い情報と高くない情報とを含み、
前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップが前記インデックス値を算出する前記情報の優先度毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転機能を有する車両について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-035198号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施態様によれば、車両に関連する複数の情報を取得可能な情報取得部と、複数の前記情報毎に設けられ、複数の当該情報のうち予め定められた情報からインデックス値を推論する複数のチップと、複数の前記インデックス値に基づいて前記車両の運転制御を実行する運転制御部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0005】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記チップは、深層学習を用いた積分法による多変量解析により、前記インデックス値を推論する。
【0006】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を集約してインデックス値を推論するアンカーチップを備え、前記運転制御部は、前記アンカーチップにより集約されたインデックス値に基づいて前記車両の運転制御を実行する。
【0007】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記情報取得部は、10億分の1秒単位で複数の前記情報を取得し、前記チップは、複数の前記情報を用いて、前記インデックス値の推論を10億分の1秒単位で実行し、前記アンカーチップは、前記インデックス値を用いて、当該インデックス値の集約を10億分の1秒単位で実行し、前記運転制御部は、集約された前記インデックス値を用いて、前記車両の運転制御を10億分の1秒単位で実行する。
【0008】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップ毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する。
【0009】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記重み付けは、学習済みモデルに前記情報を入力することで行われる。
【0010】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップが前記インデックス値を算出する前記情報の種類毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する。
【0011】
本開示の一実施態様によれば、上記情報処理装置において、前記情報の種類は、優先度の高い情報と高くない情報とを含み、前記アンカーチップは、複数の前記チップにより推論された複数の前記インデックス値を、前記チップが前記インデックス値を算出する前記情報の優先度毎に予め定められた重み付けに基づいて集約する。
【0012】
本開示の一実施態様によれば、コンピュータを、前記情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】超高性能自動運転のAIの危険予測能力について概略的に示す図である。
図2】Central Brainを搭載した車両の一例を示す概略図である。
図3】情報処理装置の一例を示したブロック図である。
図4】インデックス値を用いた運転制御の一例を概略的に示す図である。
図5】インデックス値を用いた運転制御の一例を概略的に示す図である。
図6】情報処理装置として機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を概略的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
本開示の情報処理装置は、車両の制御に関連する多くの情報に基づいて、運転制御に必要なインデックス値を高精度に求めるものであってよい。したがって、本開示の情報処理装置は、少なくとも一部が車両に搭載されて、車両の制御を実現するものであってよい。
【0017】
また、本開示の情報処理装置は、Autonomous DrivingをLevel6によるAI/多変量解析/ゴールシーク/戦略立案/最適確率解/最適スピード解/最適コースマネジメント/エッジにおける多種センサ入力により得られたデータを基にリアルタイムで実現でき、デルタ最適解に基づいて調整される走行システムを提供し得る。
【0018】
図1は、本実施形態に係る超高性能自動運転のAIの危険予測の能力について概略的に示す。本実施形態においては、複数種類のセンサ情報をAIデータ化してクラウドに蓄積する。AIがナノセカンド(10億分の1秒)ごとに状況のベストミックスを予測、判断し、車両12の運行を最適化する。
【0019】
図2は、Central Brainを搭載した車両12の一例を示す概略図である。Central Brainは、本実施の形態に係る情報処理装置1の一例であってよい。Central Brainは、図2に示すように、複数のGate Wayが通信可能に接続されていてよい。本実施の形態に係るCentral Brainは、Gate Wayを介して取得した複数の情報に基づいて、LeveL6の自動運転を実現し得るものである。
【0020】
「Level6」とは、自動運転を表すレベルであり、完全自動運転を表すLevel5よりも更に上のレベルに相当する。Level5は完全自動運転を表すものの、それは人が運転するのと同等のレベルであり、それでも未だ事故等が発生する確率はある。Level6とは、Level5よりも上のレベルを表すものであり、Level5よりも事故が発生する確率が低いレベルに相当する。
【0021】
Level6における計算力は、Level5の計算力の1000倍程度である。したがって、Level5では実現できなかった高性能な運転制御が実現可能である。
【0022】
図3は、本開示の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示したブロック図である。本実施の形態に係る情報処理装置1は、情報取得部10と、チップ20と、アンカーチップ30と、運転制御部40と、を少なくとも含む。
【0023】
情報取得部10は、車両12に関連する様々な情報を取得することが可能なものである。この情報取得部10としては、例えば車両の各所に取り付けられたセンサや、図示しないサーバ等からネットワークを介して取得可能な情報を取得するための通信手段を含むことができる。情報取得部10に含まれるセンサとしては、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音センサ、超音波センサ、振動センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、電磁波センサ、温度センサ、湿度センサ、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報等が挙げられる。
【0024】
複数種類のセンサが取得可能な情報には、車速、車輪回転数、ヨーレート、ステアリング、及びブレーキ、空気抵抗、道路抵抗、道路要素(例えばゴミ)、滑り係数、地面(例えば道路)の温度や材質、外気温、地面の傾斜(tilt)、道路の凍結状態や水分量、それぞれのタイヤの材質や摩耗状況、あるいは空気圧、道路幅、追い越し禁止有無、対向車の有無、前後車両の車種情報、それらの車のクルージング状態、周囲の状況(鳥、動物、サッカーボール、事故車、地震、火事、風、台風、大雨、小雨、吹雪、霧、など)等が挙げられ、本実施の形態では、Level6の計算力を利用することで、これらの検知を10億分の1秒(ナノ秒)毎に実施することができる。
【0025】
かかる情報は、情報の種類に分けることが可能である。例えば、自動運転について優先度の高い情報と、高くない情報に分けられる。優先度の高い情報とは、安全運転に極めて大きな影響を与える要素となる情報などである。例えば、道路要素(例えばゴミ)や、周囲の状況(鳥、動物、サッカーボール、事故車、地震、火事、風、台風、大雨、小雨、吹雪、霧、など)等である。また、優先度の高くない情報は、優先度の高い情報に比べ、安全運転に与える影響が小さい要素となる情報等である。例えば、地面(例えば道路)の温度や材質、外気温、前後車両の車種情報等である。なお、優先度の高い情報や優先度の高くない情報は、上述したものに限定されず、車両12によって変更してもよいし、車両12の種類や車両12の用途等によって変更してもよい。また、情報は、優先度の高い情報と、高くない情報に分ける場合に限定されず、他の種類、例えば、緊急性の高い情報と高くない情報等に分けてもよいし、車両12に備えたセンサにより取得した情報と、図示しないサーバ等からネットワークを介して取得した情報等に分けてもよい。
【0026】
上述した情報取得部10に、車両の下部に設けられて走行する地面の温度、材質及びtiltを検出可能な車両下部センサを含んでいることは、特に留意すべき事項である。この車両下部センサを利用して、independent smart tiltを実行することができる。
【0027】
チップ20(20A、20B、20C、20D)は、複数の情報取得部10により取得される情報毎に設けられる。そして、複数の情報のうち予め定められた情報からインデックス値を推論する。例えば、情報取得部10が取得する情報が空気抵抗(A)の場合はチップ20Aが(式(2)参照)、情報が道路抵抗(B)の場合はチップ20Bが(式(3)参照)、情報が道路要素(C)の場合はチップ20Cが(式(4)参照)、情報が滑り係数(D)の場合はチップ20D(式(5)参照)が、それぞれインデックス値を算出する。ここで、チップ20は、本実施の形態では、Level6の計算力を利用することで、これらの推論を10億分の1秒(ナノ秒)毎に実施することができる。
【0028】
また、チップ20は、機械学習、より詳しくは深層学習(Deep Learning)を用いて、情報取得部10で取得した複数の情報から車両の制御に関連するインデックス化された値を推論することが可能なものであってよい。換言すると、チップ20はAI(Artificial Intelligence)で構成することができる。ここで、インデックス値は、例えば、車輪の回転スピン数、すなわち、車両の速度(V)である。なお、インデックス値は、車輪の回転スピン数に限定されず、車両12の運転制御に必要な他の要素であってもよい。
【0029】
このチップ20は、情報取得部10において多くのセンサ群等で収集したナノ秒毎のデータを、Level6の計算力を用い、下記式(1)に示すような積分法による多変量解析(例えば式(2)乃至(5)参照)を行うことで、正確なインデックス(index)値を求め得る。より詳しくは、Level6の計算力で各種Ultra High Resolutionのデルタ値の積分値を求めながら、エッジレベルで且つリアルタイムで各変数のインデックス化された値を求め、次のナノ秒に発生する結果を最も高い確率論値を取得し得る。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

ここで、式中のDLは深層学習を示し、A,B,C,Dは、空気抵抗、道路抵抗、道路要素(例えばゴミ)及び滑り係数等を示す。
【0030】
なお、チップ20にて得られた各変数のインデックス化された値は、Deep Learningの回数を増加させることによりさらに精緻化させ得る。例えば、タイヤや、モータの回転、ステアリング角度や、道路の材質、天気、ごみや二次曲線的減速時における影響、スリップ、バランス崩壊や再獲得のためのステアリングやスピードコントロールの仕方等の膨大なデータを用いてより正確なインデックス値を算出することができる。
【0031】
チップ20同士はお互いにデータの交換はせず、チップ20のそれぞれに割り当てられた役割のみを計算する。つまり、例えばチップ20Aが空気抵抗(A)からインデックス値を推論することを割り当てられている場合はそれのみを、チップ20Bが道路抵抗(B)からインデックス値を推論することを割り当てられている場合はそれのみを、計算する。これにより各チップ20の計算負荷を大幅に減らすことができ、チップ20から出力するデータ量も大幅に軽減することができる。そしてアンカーチップ30は、チップ20により推論された複数のインデックス値を集約してインデックス値を推論する。具体的には、チップ20Aが空気抵抗(A)から推論したインデックス値、チップ20Bが道路抵抗(B)から推論したインデックス値、チップ20Cが道路要素(C)から推論したインデックス値、チップ20Dが滑り係数(D)から推論したインデックス値、を集約してインデックス値を算出する(式6参照)。
【数6】

なお、式中のDLは深層学習を示し、A,B,C,D,…,Nは、空気抵抗から算出したインデックス値、道路抵抗から算出したインデックス値、道路要素から算出したインデックス値及び滑り係数から算出したインデックス値等を示す。
【0032】
アンカーチップ30は、例えば、空気抵抗(A)を加味して15スピン、道路抵抗(B)を加味して16スピン、道路要素(C)を加味して14スピンなどといった計算結果を出力した場合、アンカーチップ30が4輪のそれぞれのモータにどのくらいの車輪の回転スピン数で進む(加速・減速)すべきかを算出する。
【0033】
また、アンカーチップ30は、複数のチップ20毎に推論された複数のインデックス値を等しく扱うのではなく、チップ20毎に予め定められた重み付けに基づいて集約してもよい。例えば、チップ20Aが空気抵抗(A)から推論するインデックス値よりも、チップ20Cが道路要素(C)から推論するインデックス値の方が、重み付けの重みが高い場合は、道路要素(C)から推論するインデックス値を、空気抵抗(A)から推論するインデックス値よりも高く評価して集約したインデックス値を推論してもよい。自動運転に必要な複数の情報の重要度は、必ずしも等しくはなく、より重要度の高い情報によってインデックス値を推論することで、適切な自動運転を実現し得る。また、かかる重み付けに基づいた集約は、常時行われる場合の他、予め定められた状況になった場合に行われてもよい。例えば、車両12がカーブを曲がる状況である場合は、空気抵抗(A)から推論するインデックス値より、道路の摩擦係数の情報を使用するため道路抵抗から推論するインデックス値について重みを大きくしてもよい。
【0034】
また、かかる重み付けは、ユーザにより設定されてもよいし、又、学習済みモデルにセンサにより取得される情報を入力することで重み付けの重みを出力してもよい。ここで、学習済みモデルは、例えば、情報と、推論されたインデックス値とを教師データとして機械学習されたモデルである。また、学習済みモデルの生成は、ニューラルネットワークを用いて行われる。なお、学習済みモデルの生成は、ニューラルネットワークを用いて行われる場合に限定されず他の手法を用いてもよい。また、学習済みモデルの生成は、情報処理装置1が行ってもよいし、他の装置が行ってもよい。
【0035】
また、アンカーチップ30は、複数のチップ20により推論された複数のインデックス値を、チップ20がインデックス値を算出する情報の種類毎に予め定められた重み付けに基づいて集約してもよい。例えば、上述したように、情報の種類が、優先度の高い情報と高くない情報に分けられている場合に、優先度の高い情報に含まれる情報から推論されたインデックス値について、優先度の高くない情報に含まれる情報から推論されたインデックス値よりも重み付けの重みを高く設定してもよい。また、情報の種類が、緊急性の高い情報と高くない情報に分けられている場合に、緊急性の高い情報に含まれる情報から推論されたインデックス値について、緊急性の高くない情報に含まれる情報から推論されたインデックス値よりも重み付けの重みを高く設定してもよい。
【0036】
運転制御部40は、アンカーチップ30にて集約されたインデックス値に基づいて車両12の運転制御を実行する。この運転制御部40は、車両の自動運転制御を実現することが可能なものであってよい。詳しくは、複数のインデックス値から次のナノ秒に発生する結果を最も高い確率論値を取得し、当該確率論値を考慮した車両の運転制御を実施することができる。ここで、運転制御部40は、本実施の形態では、Level6の計算力を利用することで、これらの運転制御を10億分の1秒(ナノ秒)毎に実施することができる。
【0037】
図4及び図5は、インデックス値を用いた運転制御の一例を概略的に示す図である。
【0038】
上述した構成を備える情報処理装置1によれば、Level5の計算力よりも極めて大きなLevel6の計算力を用いて情報の解析や推論を実施できるため、従前とは比較にならないレベルの精緻な解析が可能となる。これにより、安全な自動運転のための車両制御を可能にする。さらには、上記のAIによる多変量解析によりLevel5の世界と比べて1000倍の価値の差を生み出すことができる。
【0039】
なお、どのチップ20に何のインデックス値を計算させるかについては、一つのインデックスにつき一つのチップ20に計算させることに限定されない。例えば、空気抵抗(A)についてのインデックス値と道路抵抗(B)についてのインデックス値の両方をチップAで計算できることが設計段階でわかっている場合は、一つのチップ20Aで複数のインデックスを計算させても良い。更には、空気抵抗(A)についてのインデックス値を計算するためにチップ20Aだけの計算能力では足りないことが設計段階でわかっている場合は、空気抵抗(A)についてのインデックス値の計算を受け持つのはチップ20Aとチップ20B、といった複数のチップで一つのインデックス値を計算しても良い。また、チップ20は予め定められた情報からインデックス値を推論する場合に限定されない。チップ20の負荷に応じて、他のチップ20にインデックス値を推論させてもよい。例えば、チップ20Aの負荷が重い場合は、チップ20Aに加え、チップ20Bもチップ20Aが処理する担当であった空気抵抗(A)についてのインデックス値の推論をしてもよい。また、チップ20の負荷が軽い場合は、1つのチップ20が複数のインデックス値の推論をしてもよい。
【0040】
また、チップ20の負荷に応じて、当該チップ20がインデックス値を推論する処理の処理能力を変動させてもよい。具体的には、車両12が平坦な道を進んでいる場合や、明らかに危険が少ない場所を走行している場合などの負荷が軽い場合は、それぞれのチップ20は、10億分の1秒毎に計算する必要は無く、スループットを低下させることなどにより、もっとゆっくりのスピードで計算してよい。ただし、危機を察知した場合(例えば、高速道路でトラックが燃えているのを発見した場合等)、必要なインデックス値の推論をフル稼働させる指示を出す。また、計算のペースを配分し、必要に応じて空気抵抗(A)を計算するチップ20A、道路抵抗(B)を計算するチップ20Bなどのそれぞれの強弱をつけてもよい。
【0041】
また、インデックス値の理論値は、クリスタライズされて記憶しておくようにしてもよい。例えば、複数の車両12が超長距離を走行し、莫大な走行データを蓄積しそれを深層学習をした結果、その瞬間の空気抵抗(A)の場合どのようなインデックス値であるか、その瞬間の情報が道路抵抗(B)の場合どのようなインデックス値であるか、その瞬間の情報が道路要素(C)の場合どのようなインデックス値、その瞬間の情報が滑り係数(D)の場合どのようなインデックス値であるかといった、理論値インデックス値として把握しておくことができる。それをクリスタライズ(結晶化)と呼ぶ。
【0042】
図6は、上述した情報処理装置(Central Brain)として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上述した各実施の形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、各実施の形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、各実施の形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0043】
各実施の形態に係るコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含んでいてよく、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されていてよい。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含んでいてよく、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されていてよい。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含んでいてよく、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されていてよい。
【0044】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作することにより各ユニットを制御し得る。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにすることができる。
【0045】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信することができる。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納することができる。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供することができる。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込むことができる。
【0046】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納することができる。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0047】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供され得る。このプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行され得る。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらすことができる。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0048】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込むことができる。
【0049】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0050】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックし得る。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0051】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供するものとすることができる。
【0052】
本実施の形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0053】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0054】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0055】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0057】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理装置
10 情報取得部
12 車両
20 チップ
30 アンカーチップ
40 車両制御部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1224 記憶装置
1230 ROM
1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6