(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007132
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】眼科撮影装置および眼科撮影制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108376
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 光
(72)【発明者】
【氏名】青野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FB05
(57)【要約】
【課題】光を走査させることによる被検眼の撮影に要する時間を適切に短縮させることが可能な眼科撮影装置および眼科撮影制御プログラムを提供する。
【解決手段】制御部は、走査位置設定ステップと部分画像データ取得ステップを繰り返し実行する。走査位置設定ステップでは、制御部は、画像データの一部である部分画像データを取得するための、光走査部による光の走査位置を設定する。部分画像データ取得ステップでは、制御部は、設定された走査位置に光を走査させる駆動信号を光走査部に印加することで、光走査部を駆動させつつ部分画像データを取得する。制御部は、複数回実行される部分画像データ取得ステップの合間に、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を光走査部に印加することで、画像取得時とは別個の動作を光走査部に実行させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の組織の画像を撮影する眼科撮影装置であって、
光を出射する光源と、
前記光源によって出射された光を偏向する偏向部を有し、前記組織上における光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を前記組織上で走査する光走査部と、
前記光走査部によって走査された光が照射された前記組織からの光を受光する受光素子と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、
前記画像データの一部である部分画像データを取得するための、前記光走査部による光の走査位置を設定する走査位置設定ステップと、
前記走査位置設定ステップにおいて設定された前記走査位置に光を走査させる駆動信号を、前記光走査部に印加することで、前記光走査部を駆動させつつ前記受光素子を介して前記部分画像データを取得する部分画像データ取得ステップと、
を繰り返し実行すると共に、
前記画像データを取得するために複数回実行される前記部分画像データ取得ステップの合間に、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで前記光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を前記光走査部に印加することで、前記画像データを取得するための動作とは別個の動作を前記光走査部に実行させる継続駆動ステップを実行することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科撮影装置であって、
前記継続駆動ステップでは、前記制御部は、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで、前回実行された前記部分画像データ取得ステップにおける前記走査位置上に光を走査させる前記継続駆動信号を、前記光走査部に印加することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の眼科撮影装置であって、
前記継続駆動ステップでは、前記制御部は、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで、前回実行された前記部分画像データ取得ステップにおける前記走査位置の一部に光を走査させる前記継続駆動信号を、前記光走査部に印加することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項4】
請求項1に記載の眼科撮影装置であって、
前記被検眼の前記組織の正面画像を撮影する正面観察光学系をさらに備え、
前記走査位置設定ステップでは、前記制御部は、前記正面観察光学系によってリアルタイムに撮影された前記正面画像と、過去に撮影された前記正面画像の位置ずれを検出し、検出した前記位置ずれに基づいて次回の前記走査位置を設定することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の眼科撮影装置であって、
前記継続駆動ステップでは、前記制御部は、前記走査位置設定ステップにおいて前記位置ずれが生じていない場合に設定される次回の前記走査位置の少なくとも一部に、光を繰り返し走査させる前記継続駆動信号を、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで前記光走査部に印加することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項6】
請求項1に記載の眼科撮影装置であって、
前記制御部は、
前記継続駆動信号による前記光走査部の1回の駆動である単位継続駆動の処理が完了した際に、前記走査位置設定ステップにおける次の前記走査位置の設定が完了していなければ、前記継続駆動信号による前記光走査部の前記単位継続駆動を繰り返し、
前記単位継続駆動の処理が完了した際に、前記走査位置設定ステップにおける次の前記走査位置の設定が完了していれば、次の前記部分画像データ取得ステップに移行することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項7】
被検眼の組織の画像を撮影する眼科撮影装置において実行される眼科撮影制御プログラムであって、
前記眼科撮影装置は、
光を出射する光源と、
前記光源によって出射された光を偏向する偏向部を有し、前記組織上における光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を前記組織上で走査する光走査部と、
前記光走査部によって走査された光が照射された前記組織からの光を受光する受光素子と、
制御部と、
を備え、
前記眼科撮影制御プログラムが前記眼科撮影装置の前記制御部によって実行されることで、
1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、
前記画像データの一部である部分画像データを取得するための、前記光走査部による光の走査位置を設定する走査位置設定ステップと、
前記走査位置設定ステップにおいて設定された前記走査位置に光を走査させる駆動信号を、前記光走査部に印加することで、前記光走査部を駆動させつつ前記受光素子を介して前記部分画像データを取得する部分画像データ取得ステップと、
を前記眼科撮影装置によって繰り返し実行させると共に、
前記画像データを取得するために複数回実行される前記部分画像データ取得ステップの合間に、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで前記光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を前記光走査部に印加することで、前記画像データを取得するための動作とは別個の動作を前記光走査部に実行させる継続駆動ステップ
を前記眼科画像撮影装置に実行させることを特徴とする眼科撮影制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼の組織上で光を走査させることで組織の画像を撮影する眼科撮影装置、および、眼科撮影装置において実行される眼科撮影制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検眼の組織上で光を走査させることで組織の画像を撮影する眼科撮影装置が知られている。眼科画像撮影装置は、1つの画像の撮影動作中に、光の走査位置の設定と、設定した走査位置に光を走査させるための光走査部の駆動制御を繰り返し実行する場合がある。例えば、特許文献1に記載の眼科撮影装置は、被検眼の組織のライブ画像と、断層画像の取得位置が設定された正面画像の位置ずれに基づいて、光の走査位置を補正する。眼科撮影装置は、補正した走査位置に光を走査させるように光走査部の駆動を制御することで、予め設定された被検眼上の取得位置に測定光をトラッキングさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像の撮影時間が長引くと、被検者の負担、および、被検眼が撮影中に動くことによる画質の劣化のリスク等が増大する。従って、眼科撮影装置では、画像の撮影時間を極力短縮することが望ましい。本願の発明者は、1つの画像の撮影動作中に、1つの走査位置に光を走査させるための光走査部の駆動が終了してから、次の走査位置に光を走査させるための光走査部の駆動が実際に開始されるまでの時間を短縮することで、画像の撮影時間を短縮する手法を新たに見出した。
【0005】
本開示の典型的な目的は、光を走査させることによる被検眼の撮影に要する時間を適切に短縮させることが可能な眼科撮影装置および眼科撮影制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科撮影装置は、被検眼の組織の画像を撮影する眼科撮影装置であって、光を出射する光源と、前記光源によって出射された光を偏向する偏向部を有し、前記組織上における光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を前記組織上で走査する光走査部と、前記光走査部によって走査された光が照射された前記組織からの光を受光する受光素子と、制御部と、を備え、前記制御部は、1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、前記画像データの一部である部分画像データを取得するための、前記光走査部による光の走査位置を設定する走査位置設定ステップと、前記走査位置設定ステップにおいて設定された前記走査位置に光を走査させる駆動信号を、前記光走査部に印加することで、前記光走査部を駆動させつつ前記受光素子を介して前記部分画像データを取得する部分画像データ取得ステップと、を繰り返し実行すると共に、前記画像データを取得するために複数回実行される前記部分画像データ取得ステップの合間に、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで前記光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を前記光走査部に印加することで、前記画像データを取得するための動作とは別個の動作を前記光走査部に実行させる継続駆動ステップを実行する。
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科撮影制御プログラムは、被検眼の組織の画像を撮影する眼科撮影装置において実行される眼科撮影制御プログラムであって、前記眼科撮影装置は、光を出射する光源と、前記光源によって出射された光を偏向する偏向部を有し、前記組織上における光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を前記組織上で走査する光走査部と、前記光走査部によって走査された光が照射された前記組織からの光を受光する受光素子と、制御部と、を備え、前記眼科撮影制御プログラムが前記眼科撮影装置の前記制御部によって実行されることで、1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、前記画像データの一部である部分画像データを取得するための、前記光走査部による光の走査位置を設定する走査位置設定ステップと、前記走査位置設定ステップにおいて設定された前記走査位置に光を走査させる駆動信号を、前記光走査部に印加することで、前記光走査部を駆動させつつ前記受光素子を介して前記部分画像データを取得する部分画像データ取得ステップと、を前記眼科撮影装置によって繰り返し実行させると共に、前記画像データを取得するために複数回実行される前記部分画像データ取得ステップの合間に、次の前記部分画像データ取得ステップが開始されるまで前記光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を前記光走査部に印加することで、前記画像データを取得するための動作とは別個の動作を前記光走査部に実行させる継続駆動ステップを前記眼科画像撮影装置に実行させる。
【0008】
本開示に係る眼科撮影装置および眼科撮影制御プログラムによると、光を走査させることによる被検眼の撮影に要する時間が適切に短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】眼科撮影装置1の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】画像の撮影方法の一例を説明するための説明図である。
【
図4】眼科撮影装置1が実行する眼科撮影処理のフローチャートである。
【
図5】継続駆動信号の生成方法の第1態様および第3態様が採用された場合の、第1光走査部14Xに印加される駆動信号の大きさを時間経過と共に示すグラフの一例である。
【
図6】継続駆動信号の生成方法の第2態様および第3態様が採用された場合の、第1光走査部14Xに印加される駆動信号の大きさを時間経過と共に示すグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本開示で例示する眼科撮影装置は、被検眼の組織の画像を撮影する。眼科撮影装置は、光源、光走査部、受光素子、および制御部を備える。光源は光を出射する。光走査部は、光源によって出射された光を偏向する偏向部を有し、組織上における光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を組織上で走査する。受光素子は、光走査部によって走査された光が照射された組織からの光を受光する。制御部は、1回の画像データの取得処理(複数の走査位置を含む走査パターン(例えば、マップスキャン等の走査パターン)に従った画像データの取得)の開始から終了までの間に、走査位置設定ステップと部分画像データ取得ステップを繰り返し実行する。走査位置設定ステップでは、制御部は、画像データの一部である部分画像データを取得するための、光走査部による光の走査位置を設定する。部分画像データ取得ステップでは、走査位置設定ステップにおいて設定された走査位置に光を走査させる駆動信号を、光走査部に印加することで、光走査部を駆動させつつ受光素子を介して部分画像データを取得する。さらに、制御部は、画像データを取得するために複数回実行される部分画像データ取得ステップの合間に、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号を光走査部に印加することで、画像データを取得するための動作とは別個の動作を光走査部に実行させる継続駆動ステップを実行する。
【0011】
従来の眼科撮影装置は、1つの走査位置に対応する(つまり、1つの走査位置に光を走査させるための)光走査部の駆動が完了すると、新たに設定される走査位置に対応する光走査部の駆動を開始させるまで、光走査部の駆動を一旦停止させていた。しかし、光走査部には、駆動を一旦停止させると、その後、駆動信号の印加を開始してから実際に駆動が再開されるまでに時間を要するという特性がある。光走査部の一旦停止後の駆動再開に時間を要する原因として、例えば、制御部が光走査部へ駆動信号の印加を開始してから、光走査部からのフィードバック信号がドライバによって受信されるまでの間に時間を要することが考えられる。この場合、ドライバは、フィードバック信号を受信するまで次の駆動を開始できないので、光走査部の駆動の再開に時間を要する。また、光走査部が備える偏向部の追従性が足りないことが原因で、駆動の再開に時間を要する場合もある。さらに、従来の眼科装置は、光走査部の走査を一旦停止させる際に、組織上の同一位置に継続して光が照射され続けてしまうことを防ぐために、光の照射位置が撮影画角外となるように偏向部を駆動させる場合もあった。この場合、次の走査位置に光を走査させるまでの時間はさらに長くなる。
【0012】
これに対し、本開示における眼科撮影装置では、画像データを取得するために複数回実行される部分画像データ取得ステップの合間に、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで光走査部の駆動を継続させる継続駆動信号が、光走査部に印加される。つまり、繰り返し実行される部分画像データ取得ステップの合間に、画像データを取得するための動作とは別個の動作を敢えて光走査部に実行させることで、光走査部の駆動を継続させる。その結果、光走査部の駆動状態は、継続駆動信号による駆動(以下、「継続駆動」という)の状態から、次の部分画像データ取得ステップにおける駆動状態へ、駆動停止を介さずに移行する。従って、1つの走査位置に対応する光走査部の駆動が終了してから、次の走査位置に対応する光走査部の駆動が実際に開始されるまでの時間が適切に短縮される。
【0013】
つまり、本開示の眼科撮影装置では、複数回実行される部分画像取得ステップの各々の合間が度々発生する場合もあるが、光走査部に対する継続駆動信号の印加によって、各々の合間が短縮される。各々の合間の短縮が積み重なることで、結果的に撮影時間自体が適切に短縮される。
【0014】
なお、以下に例示する実施形態では、眼科撮影装置は、1つの画像データを取得するために複数回実行される部分画像データ取得ステップの合間(つまり、複数の走査位置の各々に対する光の走査の合間)に、光走査部の駆動が常に継続されるように、継続駆動信号を光走査部に印加する。つまり、以下に例示する実施形態では、光走査部は、1つの走査位置に対応する駆動が終了してから、次の走査位置に対応する駆動が開始されるまで、一度も停止することはない(換言すると、以下に例示する実施形態では、複数の走査位置の各々に対する光の走査の合間に、光走査部への駆動信号の印加が停止することは無い)。しかし、継続駆動信号による光走査部の駆動は、少なくとも、次の走査位置に対応する駆動が開始される時点で実行されていればよい。従って、例えば、制御部が、1つの走査位置に対応する駆動の終了後に、光走査部への駆動信号の印加を一旦停止させ、その後すぐに継続駆動信号を印加する場合等も、従来に比べて撮影時間は適切に短縮される。
【0015】
また、制御部は、継続駆動中に光源から組織に向けた光の照射を一旦停止又は遮断させてもよいし、継続駆動中も光の照射を継続させてもよい。なお、走査位置は、光を走査させる組織上の位置(以下説明する実施形態では、光を走査させる走査ラインの組織上の位置)を示す。
【0016】
以下で説明する実施形態では、光を走査させることで被検眼の組織の画像を撮影する眼科撮影装置として、眼底を撮影するOCT装置を例示する。しかし、本開示で例示する技術を適用できる眼科撮影装置は、眼底を撮影するOCT装置に限定されない。例えば、眼底の二次元正面画像を撮影するレーザ走査型検眼装置(SLO)、および、被検眼の前眼部を撮影するOCT装置等、光走査部を非共振駆動させて組織を撮影する種々の眼科撮影装置に、本開示で例示する技術を適用できる。
【0017】
以下で説明する実施形態では、光走査部として2つのガルバノスキャナが用いられる。しかし、前述した駆動信号(継続駆動信号を含む)によって駆動される光走査部は、光の照射位置および速度を制御可能な状態で光を組織上で走査する光走査部であればよく、ガルバノスキャナに限定されない。例えば、光走査部として、非共振の態様で偏向部(ミラー等)を揺動させる光走査部を用いることが可能である。非共振駆動によって揺動される光走査部は、ピエゾスキャナまたはMEMSスキャナ等であってもよい。また、眼科撮影装置には、照射位置および速度を制御可能な光走査部(例えば、非共振駆動によって揺動される光走査部)が複数設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。眼科撮影装置が、上記の光走査部を複数備える場合、継続駆動信号は、複数の光走査部の各々に対して印加されてもよいし、一部の光走査部にのみ印加されてもよい。また、眼科撮影装置は、非共振駆動によって揺動される光走査部と、その他の走査部(例えば、共振駆動される光走査部、または、偏向部を連続して回転させる光走査部等)を共に備えていてもよい。この場合、継続駆動信号は、非共振駆動によって揺動される光走査部の少なくともいずれかに印加されればよい。なお、非共振駆動によって揺動される光走査部は、共振駆動される光走査部とは異なり、駆動信号の大きさに応じて偏向部による光の振れ角を厳密に制御できるという特性を有する。
【0018】
継続駆動ステップでは、制御部は、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで、前回実行された部分画像データ取得ステップにおける走査位置上に光を走査させる継続駆動信号を、光走査部に印加してもよい。この場合、制御部は、前回の部分画像データ取得ステップで用いられた駆動信号を、そのまま継続駆動信号として用いればよいので、継続駆動信号を新たに生成する必要が無い。よって、より簡易な制御で適切に撮影時間が短縮される。
【0019】
継続駆動ステップでは、制御部は、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで、前回実行された部分画像データ取得ステップにおける走査位置の一部に光を走査させる継続駆動信号を、光走査部に印加してもよい。この場合、制御部は、前回の走査位置に光を走査させた際の駆動信号を利用して継続駆動信号を生成できるので、制御が複雑になり難い。また、前回の走査位置の全体に光を走査させる継続駆動信号を用いる場合に比べて、1回の継続駆動に要する時間を短縮することが容易となる。従って、光走査部の継続駆動中に次の走査位置の設定が完了した場合に、継続駆動が終了してから、次の走査位置に対応する光走査部の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮され易くなる。
【0020】
眼科撮影装置は、被検眼の組織の正面画像を撮影する正面観察光学系をさらに備えてもよい。走査位置設定ステップでは、制御部は、正面観察光学系によってリアルタイムに撮影された正面画像と、過去に撮影された正面画像の位置ずれを検出し、検出した位置ずれに基づいて次回の走査位置を設定してもよい。この場合、眼科撮影装置は、被検眼の撮影対象組織が撮影中に動いてしまった場合でも、組織の動きによって生じた位置ずれに応じて次の走査位置を設定することで、組織上の適切な位置に複数の走査位置をその都度設定することができる。つまり、眼科撮影装置は、組織の動きに対して光の走査位置を追従させるトラッキング処理を実行することができる。さらに、光走査部に継続駆動信号が印加されることで、1つの走査位置に対応する光走査部の駆動が終了してから、次の走査位置に対応する光走査部の駆動が実際に開始されるまでの時間が適切に短縮される。よって、トラッキングを利用した高品質の画像の撮影時間が、適切に短縮される。
【0021】
眼科撮影装置は、OCT光源から出射された光を測定光と参照光に分岐し、組織によって反射された測定光と、参照光の干渉光を受光することでOCT信号を取得するOCT装置であってもよい。眼科撮影装置は、OCTアンジオデータの取得(撮影)中に、走査位置設定ステップ、部分画像データ取得ステップ、および継続駆動ステップを実行してもよい。OCTアンジオデータは、被検眼の同一位置に関して異なる時間に取得された少なくとも2つのOCT信号が演算処理されることで生成されるモーションコントラストデータである。つまり、OCTアンジオデータを取得する際には、眼科撮影装置は、同一の走査位置上に光を複数回走査させる必要がある。従って、従来の技術では、撮影時間を短縮すること困難であった。しかし、本願で例示する技術を適用することで、OCTアンジオデータの撮影時間が適切に短縮される。また、眼科撮影装置は、前述したトラッキング処理を実行しつつOCTアンジオデータを取得(撮影)する際に、走査位置設定ステップ、部分画像データ取得ステップ、および継続駆動ステップを実行してもよい。この場合、トラッキングを利用した高品質のOCTアンジオデータの撮影時間が、適切に短縮される。
【0022】
ただし、OCTアンジオデータ以外の画像データを取得する際に、本開示で例示する技術を採用することも可能である。例えば、眼科撮影装置(OCT装置)は、同一の走査ライン上で光を複数回走査させることで撮影された複数の断層画像を加算平均処理する際に、走査位置設定ステップ、部分画像データ取得ステップ、および継続駆動ステップを実行してもよい。この場合にも、眼科撮影装置はトラッキング処理を実行してもよい。また、前述したように、本開示で例示する技術を、OCT装置以外の眼科撮影装置に適用することも可能である。
【0023】
継続駆動ステップでは、制御部は、走査位置設定ステップにおいて正面画像間の位置ずれが生じていない場合に設定される次回の走査位置の少なくとも一部に、光を繰り返し走査させる継続駆動信号を、次の部分画像データ取得ステップが開始されるまで光走査部に印加してもよい。画像の撮影中、被検眼は固視されているので、被検眼が撮影中に動かない場合も多く、被検眼が動いてしまった場合でも移動量は僅かである場合も多い。従って、正面画像間の位置ずれ(つまり、被検眼の組織の位置ずれ)が生じていないと仮定した場合の次の走査位置(以下、「予想走査位置」という場合もある)と、検出された位置ずれに基づいて実際に設定される次の走査位置の間の距離は、短くなる場合が多い。よって、眼科撮影装置は、光走査部の継続駆動中に、予想走査位置の少なくとも一部に光を繰り返し走査させることで、実際に設定された次の走査位置に基づく光走査部の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮され易くなる。
【0024】
なお、走査位置設定ステップでは、制御部は、正面観察光学系によってリアルタイムに撮影された正面画像と、前回の走査位置を設定する際に撮影された正面画像の位置ずれ(つまり、前回の走査位置設定時の組織と、現在の組織の位置ずれ)に基づいて、次回の走査位置を設定してもよい。この場合、継続駆動ステップでは、制御部は、前回の走査位置を設定する際に撮影された正面画像に基づいて、予想走査位置を設定したうえで、継続駆動信号を生成してもよい。この場合、前回の走査位置設定時からの組織の位置ずれが生じてないと仮定されたうえで、光走査部の継続駆動が実行される。よって、継続駆動の精度がさらに向上し易くなる。また、制御部は、継続駆動中に、予想走査位置の全体に光を繰り返し走査させてもよいし、予想走査位置の一部に光を繰り返し走査させてもよい。
【0025】
また、制御部は、走査位置設定ステップにおいて正面画像間の位置ずれが生じていない場合に設定される次回の走査位置のうち、少なくとも走査開始地点の位置に基づいて、継続駆動信号を生成してもよい。具体的には、制御部は、次回の走査開始地点の近傍で光の走査が継続されるように、継続駆動信号を生成してもよい。制御部は、継続駆動中の走査位置の一部に次回の走査開始地点が含まれるように、継続駆動信号を生成してもよい。この場合、実際に設定された次の走査位置に基づく光走査部の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮され易くなる。
【0026】
ここで、次の走査位置に対応する光走査部の駆動が開始される前に光走査部を継続駆動させる技術は、前述したトラッキング処理を実行しない場合にも有用である。例えば、1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、形状、長さ、角度等の少なくともいずれかが互いに異なる複数の走査位置を設定する場合(例えば、同心円状に配置された複数の環状の走査位置の各々に光を走査させるラジアルスキャン、または、環状の走査位置から直線状の走査位置に切り替えるスキャンを実行する場合等)等でも、光走査部を継続駆動させることで撮影時間は適切に短縮される。また、偏向部の慣性力等の影響で、1つの走査位置に対する光の走査が終了した後、次の走査位置に対する光の走査を開始させるまでの間に時間を要する場合等(例えば、1つの走査位置に対する走査の角度と、次の走査位置に対する走査の角度が大幅に異なる場合等)でも、光走査部を継続駆動させることで撮影時間は適切に短縮される。
【0027】
制御部は、継続駆動信号による光走査部の1回の駆動である単位継続駆動の処理が完了した際に、走査位置設定ステップにおける次の走査位置の設定が完了していなければ、継続駆動信号による光走査部の単位継続駆動を繰り返してもよい。制御部は、単位継続駆動の処理が完了した際に、走査位置設定ステップにおける次の走査位置の設定が完了していれば、次の部分画像データ取得ステップに移行してもよい。この場合、次の走査位置の設定が完了するタイミングに関わらず、光走査部の駆動状態が、継続駆動の状態から次の走査位置に基づく駆動状態へ円滑に移行する。
【0028】
<実施形態>
以下、本開示に係る典型的な実施形態の1つについて説明する。一例として、本実施形態の眼科撮影装置1は、被検眼Eの眼底組織を撮影対象(被検体)とし、眼底組織の二次元断層画像、三次元断層画像、OCTアンジオグラフィー(OCTアンジオデータ)、二次元正面画像(例えば、測定光の光軸に沿う正面方向から組織を見た場合の、組織の三次元断層画像に基づいて生成されるEnface画像)等の少なくともいずれかを撮影することが可能なOCT装置である。ただし、前述したように、本開示で例示する技術を適用できる眼科撮影装置は、眼底組織を撮影するOCT装置に限定されない。また、被検眼E以外の生体組織(例えば、皮膚、消化器、脳等)を撮影する撮影装置にも、本開示で例示する技術を適用できる。なお、OCT画像とは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の原理に基づいて撮影される画像である。
【0029】
(眼科撮影装置の概略構成)
図1を参照して、本実施形態の眼科撮影装置1の概略構成について説明する。本実施形態の眼科撮影装置1は、被検眼EのOCT画像を撮影する。眼科撮影装置1は、OCT光学系10と制御ユニット30を備える。OCT光学系10は、光源(OCT光源)11、カップラー(光分割器)12、測定光学系13、参照光学系20、受光素子22、および正面観察光学系23を備える。
【0030】
光源11は、画像を撮影するための光(本実施形態ではOCT光)を出射する。カップラー12は、光源11から出射された光を、測定光と参照光に分割する。また、本実施形態のカップラー12は、被検体(本実施形態では被検眼Eの眼底組織)によって反射された測定光と、参照光学系20によって生成された参照光を合波して干渉させる。つまり、本実施形態のカップラー12は、OCT光を測定光と参照光に分岐する分岐光学素子と、測定光の反射光と参照光を合波する合波光学素子を兼ねる。なお、分岐光学素子および合波光学素子の少なくともいずれかの構成を変更することも可能である。例えば、カップラー以外の素子(例えば、サーキュレータ、ビームスプリッタ等)が使用されてもよい。
【0031】
測定光学系13は、カップラー12によって分割された測定光を被検体に導くと共に、被検体によって反射された測定光をカップラー12に戻す。測定光学系13は、光走査部14、照射光学系17、およびフォーカス調整部18を備える。光走査部14は、駆動部15によって駆動されることで、測定光の光軸に交差する二次元方向に測定光を偏向(走査)させることができる。本実施形態では、互いに異なる方向に測定光を偏向させることが可能な2つのガルバノミラーが、光走査部14として用いられている。光走査部14の詳細については、
図2を参照して後述する。照射光学系17は、光走査部14よりも光路の下流側(つまり被検眼E側)に設けられており、測定光を被検眼Eの組織に照射する。フォーカス調整部18は、OCT光学系10のフォーカス位置を、OCT光学系10の測定光の光軸方向(つまり、組織の深さ方向)に調整する。一例として、本実施形態のフォーカス調整部18は、照射光学系17が備える光学部材(例えばレンズ)を測定光の光軸に沿う方向に移動させることで、測定光のフォーカスを調整する。
【0032】
参照光学系20は、参照光を生成してカップラー12に戻す。本実施形態の参照光学系20は、カップラー12によって分割された参照光を反射光学系(例えば、参照ミラー)によって反射させることで、参照光を生成する。しかし、参照光学系20の構成も変更できる。例えば、参照光学系20は、カップラー12から入射した光を反射させずに透過させて、カップラー12に戻してもよい。参照光学系20は、測定光と参照光の光路長差を変更する光路長差調整部21を備える。本実施形態では、参照ミラーが光軸方向に移動されることで、光路長差が変更される。なお、光路長差を変更するための構成は、測定光学系13の光路中に設けられていてもよい。
【0033】
受光素子22は、光走査部14によって走査された光が照射された組織からの光を受光する。詳細には、本実施形態の受光素子22は、カップラー12によって生成された測定光と参照光の干渉光を受光することで、干渉信号を検出する。本実施形態では、フーリエドメインOCTの原理が採用されている。フーリエドメインOCTでは、干渉光のスペクトル強度(スペクトル干渉信号)が受光素子22によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって複素OCT信号が取得される。フーリエドメインOCTの一例として、Spectral-domain-OCT(SD-OCT)、Swept-source-OCT(SS-OCT)等を採用できる。また、例えば、Time-domain-OCT(TD-OCT)等を採用することも可能である。
【0034】
本実施形態では、SD-OCTが採用されている。SD-OCTの場合、例えば、光源11として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられると共に、干渉光の光路における受光素子22の近傍には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトロメータ)が設けられる。SS-OCTの場合、例えば、光源11として、出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられる。この場合、光源11は、ファイバーリング共振器、および波長選択フィルタを備えていてもよい。波長選択フィルタには、例えば、回折格子とポリゴンミラーを組み合わせたフィルタ、および、ファブリー・ペローエタロンを用いたフィルタ等がある。
【0035】
正面観察光学系23は、被検体の組織(本実施形態では被検眼Eの眼底)の正面画像を撮影するために設けられている。本実施形態における正面画像とは、OCTの測定光の光軸に沿う方向(正面方向)から組織を見た場合の二次元の画像である。正面観察光学系23の構成には、例えば、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、眼底カメラ、および、二次元の撮影範囲に赤外光を一括照射して正面画像を撮影する赤外カメラ等の少なくともいずれかの構成を採用できる。また、本実施形態の眼科撮影装置1は、組織の三次元OCTデータを取得し、測定光の光軸に沿う方向(正面方向)から組織を見た場合の画像(所謂「Enface画像」)を、正面画像として取得してもよい。Enface画像が取得される場合、正面観察光学系23は省略されてもよい。つまり、OCT光学系10が正面観察光学系を兼用してもよい。
【0036】
制御ユニット30は、眼科撮影装置1の各種制御を司る。制御ユニット30は、CPU31、RAM32、ROM33、および不揮発性メモリ(NVM)34を備える。CPU31は各種制御を行うコントローラ(制御部)である。RAM32は各種情報を一時的に記憶する。ROM33には、CPU31が実行するプログラム、および各種初期値等が記憶されている。NVM34は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。後述する眼科撮影処理(
図4参照)を実行するための眼科撮影制御プログラムは、NVM34に記憶されていてもよい。
【0037】
制御ユニット30には、マイク36、モニタ37、および操作部38が接続されている。マイク36は音を入力する。モニタ37は、各種画像を表示する表示部の一例である。操作部38は、ユーザが各種操作指示を眼科撮影装置1に入力するために、ユーザによって操作される。操作部38には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、フットスイッチ等の種々のデバイスを用いることができる。なお、マイク36に音が入力されることで各種操作指示が眼科撮影装置1に入力されてもよい。この場合、CPU31は、入力された音に対して音声認識処理を行うことで、操作指示の種類を判別してもよい。
【0038】
本実施形態では、OCT光学系10および制御ユニット30が1つの筐体に内蔵された一体型の眼科撮影装置1を例示する。しかし、眼科撮影装置1は、筐体が異なる複数の装置を備えていてもよいことは言うまでもない。例えば、眼科撮影装置1は、OCT光学系10を内蔵する光学装置と、光学装置に有線または無線で接続されるPCとを備えていてもよい。この場合、光学装置が備える制御部とPCの制御部が、共に眼科撮影装置1の制御ユニット30として機能してもよい。
【0039】
(光走査部)
図2を参照して、本実施形態の光走査部14について詳細に説明する。本実施形態の眼科撮影装置1は、第1光走査部14Xと第2光走査部14Yを備える。第1光走査部14Xおよび第2光走査部14Yは、共に、偏向部4(4X,4Y)を非共振駆動によって揺動回転させることで、組織上で光を走査する。非共振駆動される光走査部14は、共振駆動される光走査部とは異なり、駆動信号の大きさに応じて偏向部による光の振れ角を厳密に制御できるという特定を有する。つまり、本実施形態の光走査部14は、光の照射位置および速度を制御可能な状態で、光を組織上で走査することができる。一例として、本実施形態の第1光走査部14Xおよび第2光走査部14Yには、共にガルバノスキャナが用いられている。しかし、光走査部として、ガルバノスキャナ以外のデバイス(例えば、ピエゾスキャナまたはMEMSスキャナ等)が用いられてもよい。
【0040】
本実施形態では、第1光走査部14Xの偏向部4X揺動軸はY方向に延びており、偏向部4XはY方向に交差(本実施形態では垂直に交差)するX方向に光を走査する。第2光走査部14Yの偏向部4Yの揺動軸はX方向に延びており、偏向部4YはY方向に光を走査する。その結果、第1光走査部14Xおよび第2光走査部14Yを経た光は、被検眼Eの組織上で二次元方向に走査される。
【0041】
第1光走査部14Xの偏向部4Xには、揺動軸を介して駆動部15Xが接続されている。駆動部15Xには、偏向部4Xを回転(揺動)させるアクチュエータ(例えばモータ等)と、偏向部4Xの位置(角度)を検出するポテンショメータが内蔵されている。同様に、第2光走査部14Yの偏向部4Yには、揺動軸を介して駆動部15Yが接続されている。駆動部15Yには、偏向部4Yを回転(揺動)させるアクチュエータと、偏向部4Yの位置(角度)を検出するポテンショメータが内蔵されている。なお、駆動部15X,駆動部15Yの各々には、アクチュエータによる偏向部4X,4Yの駆動を実際に制御するドライバが含まれている。ドライバは、CPU31から印加される駆動信号に従って、アクチュエータの駆動を制御する。
【0042】
CPU31は、第1光走査部14Xの駆動部15X、および第2光走査部14Yの駆動部15Yの各々に駆動信号を印加する。駆動部15(15X,15Y)は、印加された駆動信号の大きさに応じて、偏向部4(4X,4Y)による光の振れ角(つまり、偏向部4X,4Yの角度)を厳密に制御する。また、駆動部15X,15Yの各々のドライバは、ポテンショメータによって取得された偏向部4X,4Yの位置(角度)を示すフィードバック信号に基づいて偏向部4X,4Yの駆動を制御することで、より正確に第1光走査部14Xおよび第2光走査部14Yを駆動させることができる。
【0043】
ここで、光走査部14X,14Yの駆動開始時には、光走査部14Y,14Yへ駆動信号の印加が開始されてから、光走査部14X,14Yからのフィードバック信号がドライバによって受信されるまでの間に、ある程度の時間を要する。ドライバは、フィードバック信号を受信するまで、次の光走査部14X,14Yの駆動を制御できない。従って、光走査部14X,14Yの駆動を停止させている状態から、駆動を再開させるためには、ある程度の時間を要する。また、光走査部14X,14Yが備える偏向部4X,4Yの追従性が足りないことが原因で、駆動の再開に時間を要する場合もある。光走査部14X,14Yの駆動の再開に長い時間を要すると、画像の撮影時間を短縮することが困難となる。そこで、本実施形態の眼科撮影装置1は、後述する眼科撮影処理を実行することで、画像の撮影時間の短縮を図る。
【0044】
(画像の撮影方法の一例)
図3を参照して、本実施形態における画像の撮影方法の一例について説明する。本実施形態では、測定光のスポットが、光走査部14によって二次元の撮影領域55内で走査されることで、撮影領域55におけるOCTアンジオデータが取得(撮影)される。OCTアンジオデータは、被検眼の同一位置に関して異なる時間に取得された少なくとも2つのOCT信号が演算処理されることで生成されるモーションコントラストデータである。OCTアンジオデータには、組織における血管網の灌流情報が含まれるので、診断等に有用である。
【0045】
図3に示すように、本実施形態の眼科撮影装置1は、測定光の光軸に交差する方向に広がる二次元の撮影領域55内に、測定光のスポットを走査させる走査位置(走査ライン)58を、等間隔で複数設定する。
図3に示す例では、1番目の走査位置581、2番目の走査位置582、3番目の走査位置583、4番目の走査位置584の順に走査位置58が等間隔で並べられており、最後の走査位置はK番目の走査位置58Kとなっている。眼科撮影装置1は、各々の走査位置58上に、測定光のスポットを複数回(一例として、本実施形態では2回ずつ)走査させることで、二次元の撮影領域55におけるOCTアンジオデータを撮影する。
【0046】
本実施形態では、説明を簡略化するために、複数の走査位置58の各々が延びる方向をX方向、組織の深さ方向(つまり、測定光の光軸に沿う方向)をZ方向、X方向とZ方向に共に垂直に交差する方向をY方向とする。この場合、光をY方向に走査する第2光走査部14Yの駆動量および駆動時間は、光をX方向に走査する第1光走査部14Xの駆動量および駆動時間に比べて非常に小さくなる。従って、以下では、駆動量および駆動時間が大きい第1光走査部14Xの駆動方法を例示して、本開示に係る技術の説明を行う。ただし、第2光走査部14Yの駆動方法についても、第1光走査部14Xの駆動方法と同様の方法が採用されてもよいことは言うまでもない。
【0047】
(眼科撮影処理)
図4~
図6を参照して、本実施形態の眼科撮影装置1が実行する眼科撮影処理について説明する。前述したように、
図4に例示する眼科撮影処理1は、
図3に例示した撮影方法で被検眼Eの眼底のOCTアンジオデータを撮影する場合の処理である。ただし、
図4に例示する処理の少なくとも一部は、OCTアンジオデータ以外の画像(例えば、二次元断層画像、三次元断層画像、加算平均画像、二次元正面画像等)を撮影する場合にも適用できる。眼科撮影装置1のCPU31は、NVM34に記憶された眼科撮影制御プログラムに従って、
図4に示す眼科撮影処理を実行する。
【0048】
まず、CPU31は、組織(本実施形態では被検眼Eの眼底)の初期基準正面画像を取得する。初期基準正面画像とは、複数の走査位置58を設定するための最初の基準となる画像である。本実施形態では、正面観察光学系23によって撮影された被検眼Eの組織の二次元正面画像が、初期基準正面画像として取得される。
【0049】
CPU31は、S1で取得された初期基準正面画像上に、画像データを取得する撮影領域55(
図3参照)を設定すると共に、設定した撮影領域55内に複数の仮走査位置を設定する(S2)。仮走査位置とは、撮影中における被検眼Eの組織の位置ずれ(移動)が全く生じないと仮定した場合の、光(測定光)の走査位置である。つまり、被検眼Eの組織が撮影中に全く移動しない場合には、S2で設定された仮走査位置に光が走査されるように光走査部14が駆動されることで、撮影領域55内の全ての画像の撮影が完了する。その後、画像の撮影開始を指示するトリガが入力されるまで(S4:NO)、S4の処理が繰り返されて待機状態となる。
【0050】
画像の撮影開始を指示するトリガが入力されると、CPU31は、以後に設定する複数の走査位置58の順番を特定するカウンタNの値を、初期値である「1」に設定する(S5)。
【0051】
次いで、CPU31は、撮影開始時の継続駆動信号を生成し、生成した継続駆動信号の光走査部14への印加を開始する(S6)。撮影開始時の継続駆動信号とは、1番目の走査位置581に光を走査させるための光走査部14の駆動が開始されるまで、光走査部14の駆動を継続させるための駆動信号である。前述したように、停止状態の光走査部14に駆動信号を印加してから、実際に光走査部14の駆動が開始されるまでの間には、一定の時間を要する。しかし、光走査部14の駆動を継続させている間に、駆動信号を切り替える場合には、切り替えられた新たな駆動信号に基づく光走査部14の駆動が開始されるまでの時間は短縮され易くなる。従って、撮影開始時の継続駆動信号が光走査部14に印加されることで、光走査部14を停止状態から駆動状態に切り替える場合に比べて、1番目の走査位置581に対応する光走査部14の駆動が短時間で開始され易くなる。
【0052】
なお、撮影開始時の継続駆動信号の生成方法は、適宜選択できる。一例として、本実施形態では、CPU31は、被検眼Eの組織の移動による位置ずれが生じていないと仮定し、S2で設定された1番目の仮走査位置の少なくとも一部、または、仮走査位置の走査開始地点を含む任意の位置に光を走査させる駆動信号を、撮影開始時の継続駆動信号として生成する。画像の撮影中、被検眼Eは固視されているので、被検眼Eが撮影中に動かない場合も多く、被検眼Eが動いてしまった場合でも移動量は僅かである場合も多い。従って、1番目の仮走査位置、またはその近傍に光が操作されるように、撮影開始時の継続駆動信号が生成されることで、光走査部14の駆動状態が、撮影開始時の継続駆動信号に基づく駆動状態から、後に設定される1番目の走査位置581に対応する駆動状態へ移行するまでの時間が、さらに短縮され易くなる。
【0053】
次いで、CPU31は、N番目の走査位置58を設定する処理(S8~S10)と、光走査部14の継続駆動に関する処理(S11~S13)を、並行して(パラレルで)実行する。
【0054】
まず、N番目の走査位置58を設定する処理(S8~S10)について説明する。CPU31は、正面観察光学系23によってリアルタイムに撮影された組織(眼底)の正面画像(以下、「リアルタイム正面画像」という)を取得する(S8)。CPU31は、リアルタイム正面画像と、正面観察光学系23によって過去に撮影された(つまり、リアルタイム正面画像の撮影時よりも前に撮影された)正面画像である基準正面画像の位置ずれを検出することで、組織の移動による位置ずれを検出する(S9)。一例として、本実施形態では、N-1番目の走査位置58を設定する際に正面観察光学系23によって撮影された正面画像(N=1の場合は、S1で取得された初期基準正面画像)を、基準正面画像として使用する。ただし、基準正面画像を変更することも可能である。例えば、S9では、S1で取得された初期基準正面画像が常に基準正面画像として使用されてもよい。
【0055】
なお、リアルタイム正面画像と基準正面画像の位置ずれを検出するための具体的な方法も、適宜選択できる。例えば、CPU31は、リアルタイム正面画像と基準正面画像の各々に対して公知の画像処理を行うことで特徴位置(例えば特徴点等)を検出し、検出した各々の特徴位置を比較することで、位置ずれを検出してもよい。なお、位置ずれの検出は、眼科画像撮影装置1とは異なるデバイス(眼科画像撮影装置1に接続されたデバイス)の制御部によって実行されてもよい。
【0056】
CPU31は、S9で検出された位置ずれを補正したN番目の走査位置58を設定する。本実施形態では、CPU31は、S9で検出された位置ずれの方向、距離、および回転角度に合わせて、S2で設定されたN番目の仮走査位置の位置および角度を補正することで、N番目の走査位置58を設定する。その結果、組織の動きに対して走査位置58を追従させるトラッキング処理が適切に実行される。その後、処理はS12へ移行した後、N番目の走査位置58に基づく部分画像データの取得処理(S15)へ移行する。部分画像データとは、眼科撮影処理によって取得される組織の画像データの一部である。
【0057】
次に、光走査部14の継続駆動に関する処理(S11~S13)について説明する。CPU31は、光走査部14に対して繰り返し印加される場合がある継続駆動信号のうち、1回の継続駆動信号による光走査部14の駆動(以下、「単位継続駆動」という)の処理が完了したか否かを判断する(S11)。一例として、本実施形態のS11では、光走査部14に対する1回の継続駆動信号の印加が完了したか否かが判断される。単位継続駆動の処理が完了していなければ(S11:NO)、S11の処理が繰り返されて待機状態となる。
【0058】
単位継続駆動の処理が完了すると(S11:YES)、CPU31は、次回の走査位置58の設定(つまり、S8~S10において実行されるN番目の走査位置58の設定)が完了したか否かを判断する(S12)。N番目の走査位置58の設定が完了していなければ(S12:NO)、N番目の走査位置58に基づく部分画像データの取得処理は未だ実行できない。従って、CPU31は、光走査部14に対する継続駆動信号の印加を再度実行し(S13)、処理はS11へ戻る。つまり、次回の走査位置58の設定が完了するまで、光走査部14の単位継続駆動が繰り返される。
【0059】
単位継続駆動の処理が完了し(S11:YES)、且つ、次回の走査位置58の設定が完了していれば(S12:YES)、CPU31は、継続駆動中の光走査部14に対して、次回(N番目)の走査位置58に光を走査させる駆動信号を印加し、N番目の走査位置58に対応する部分画像データを、受光素子22による受光信号に基づいて取得する(S15)。つまり、光走査部14の駆動状態が、継続駆動の状態から、次の走査位置58に光を走査させるための駆動状態へ、駆動停止を介さずに移行する。その結果、N番目の走査位置58に光を走査させるための光走査部14の駆動が短時間で開始されるので、撮影時間が適切に短縮される。
【0060】
N番目の走査位置58に基づく部分画像データの取得処理が完了すると(S16:YES)、CPU31は、全ての画像データの取得処理(つまり、複数の走査位置58の全てに基づく画像データの取得処理)が完了したか否かを判断する(S18)。全ての画像データの取得処理が完了していなければ(S18:NO)、CPU31は、次回の走査位置58に基づく部分画像データ取得処理(S15)が開始されるまで光走査部14の駆動を継続させるために継続駆動信号を生成し、生成した継続駆動信号の光走査部14への印加を開始する(S19)。継続駆動信号の具体的な生成方法は、
図5および
図6を参照して後述する。
【0061】
次いで、CPU31は、走査位置58の順番を特定するカウンタNの値に「1」を加算する(S20)。その後、N番目の走査位置58を設定する処理(S8~S10)と、光走査部14の継続駆動に関する処理(S11~S13)が、再度並行して実行される。全ての画像データの取得処理が完了すると(S18:YES)、眼科撮影処理は終了する。
【0062】
(継続駆動信号の生成方法)
図5および
図6を参照して、継続駆動信号の具体的な生成方法(S19)の一例について説明する。
図5および
図6は、光走査部14に印加される駆動信号(本実施形態では駆動電圧の電圧値)の大きさを時間経過と共に示すグラフである。
図5および
図6では、横軸が時間を、縦軸が駆動信号の大きさを表す。実線で示すグラフが、光走査部14に印加される駆動信号の大きさである。また、参考として、印加される駆動信号に従って駆動される実際の光走査部14の角度を点線で示している。光走査部14の実際の角度は、印加される駆動信号に対して僅かに遅れて変化する。
【0063】
なお、本実施形態では、第1光走査部14Xと第2光走査部14Yの両方に対して継続駆動信号が印加される。しかし、前述したように、以下では、駆動量および駆動時間が大きい第1光走査部14Xの駆動方法のみを例示して説明を行うことで、説明を簡略化する。
【0064】
また、
図5および
図6に示す例では、所謂トラッキング処理(
図4のS8~
図10参照)が行われる結果、被検眼Eの組織のX方向の位置ずれが適宜補正されるように、各々の走査位置58に光を走査させるための駆動信号が生成されている(図中のC1、C2、C3参照)。
【0065】
継続駆動信号の生成方法の第1態様について説明する。第1態様では、CPU31は、次回の走査位置58に対応する光走査部14の駆動処理および部分画像データの取得処理が開始されるまで、前回の走査位置58上の全体に光を繰り返し走査させる継続駆動信号を生成する。その結果、
図5に示すように、第1態様によると、前回の走査位置58に対応する駆動処理で用いられた駆動信号(
図5に示す「N番目の走査位置の駆動」の駆動信号)が、そのまま継続駆動信号として用いられる。従って、CPU31は、継続駆動信号を新たに生成する必要が無い。よって、より簡易な制御で適切に撮影時間が短縮される。(なお、
図5に示す例では、1回の単位継続駆動の処理中に、次回の走査位置58の設定が完了している。その結果、継続駆動が複数回繰り返されることなく、次の走査位置に対応する駆動処理が開始されている。)
【0066】
継続駆動信号の生成方法の第2態様について説明する。第2態様では、CPU31は、次回の走査位置58に対応する光走査部14の駆動処理および部分画像データの取得処理が開始されるまで、前回の走査位置58の一部(
図6に示す例では、走査位置58における走査開始地点を含む一部)に光を繰り返し走査させる継続駆動信号を生成する。その結果、
図6に示すように、第2態様によると、前回の走査位置58に光を走査させた際の駆動信号を利用して継続駆動信号を生成できるので、信号の生成処理が複雑になり難い。また、第1態様に比べて、1回の単位継続駆動に要する時間を短縮することが容易となる。従って、光走査部14の継続駆動中に次回の走査位置58の設定が完了した場合に、継続駆動の処理が終了してから、次回の走査位置58に対応する光走査部14の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮され易くなる。
【0067】
なお、
図6に示す例では、継続駆動信号に基づく光走査部14の動作の理解を容易にするために、1回の単位継続駆動における駆動量(駆動周期)を実際の駆動量よりも大きく表現している。その結果、
図6に示す例では、継続駆動信号に基づく光走査部14の動作波形がギザギザに見えている。しかし、1回の単位継続駆動における駆動量は、極力小さくすることが望ましい。本実施形態では、安定した状態で駆動できる範囲の最小の駆動量で光走査部14を単位継続駆動させるための継続駆動信号(例えば、光走査部14の仕様として許容される最小テーブルサイズの制御波形の駆動信号等)が、光走査部14に印加される。その結果、継続駆動の処理が終了してから、次回の走査位置58に対応する光走査部14の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮される。
【0068】
また、継続駆動信号の波形は、
図6に示すギザギザの波形に限定されない。つまり、走査部14が停止しなければ、継続駆動信号の波形は任意の波形でよい。
【0069】
また、前回の走査位置58の少なくとも一部に光を走査させない場合でも、安定した状態で駆動できる範囲の最小の駆動量で光走査部14を単位継続駆動させる処理を適用することで、撮影時間が適切に短縮される。例えば、次回の走査開始地点の近傍(例えば、後述する次回の予想走査位置における走査開始地点を含む位置)において、安定した状態で駆動できる範囲の最小の駆動量で光走査部14を単位継続駆動させるように、継続駆動信号が生成されてもよい。この場合、撮影時間がさらに短縮され易くなる。
【0070】
継続駆動信号の生成方法の第3態様について説明する。第3態様では、CPU31は、次回の走査位置58を設定するための正面画像間の位置ずれの検出処理(
図4のS8,S9参照)において位置ずれが生じていないと仮定した場合に設定される、次回の走査位置58(予想走査位置)の少なくとも一部(本実施形態では、予想走査位置における走査開始地点を含む位置)に、光を繰り返し走査させる継続駆動信号を生成する。画像の撮影中には被検眼Eは固視されているので、被検眼Eが撮影中に動かない場合も多く、被検眼Eが動いてしまった場合でも移動量は僅かである場合も多い。従って、被検眼の組織の位置ずれが生じていないと仮定した場合の次の予想走査位置と、検出された位置ずれに基づいて実際に設定される次回の走査位置58の間の距離は、短くなる場合が多い。よって、第3態様によると、実際に設定された次回の走査位置58に対応する光走査部14の駆動状態へ移行するまでの平均時間が、さらに短縮され易くなる。
【0071】
例えば、CPU31は、N番目の走査位置58に対応する光走査部14の駆動が終了した際には、位置ずれが生じない場合のN+1番目の走査位置58(予想走査位置)を、N番目の走査位置58を設定する際にS8で取得された正面画像に基づいて設定してもよい。CPU31は、設定した予想走査位置に光を走査させる駆動信号を、継続駆動信号生成してもよい。この場合、前回の走査位置58の設定時からの組織の位置ずれが生じてないと仮定されたうえで、光走査部14の継続駆動が実行される。よって、継続駆動の精度がさらに向上し易くなる。
【0072】
なお、CPU31は、継続駆動中に、予想走査位置の全体に光を繰り返し走査させてもよいし、予想走査位置の一部に光を繰り返し走査させてもよい。また、CPU31は、継続駆動中に、予想走査位置の走査開始地点を含む任意の走査位置上に、光を繰り返し走査させてもよい。一例として、
図3に示す例では、組織上に設定される複数の走査位置58のX方向の範囲は一定であり、Y方向の位置のみが異なる。つまり、
図3に示す例では、組織の位置ずれが生じていない場合には、N番目の走査位置58に対応する第1光走査部14Xへの駆動信号と、N+1番目の走査位置58に対応する第1光走査部14Xへの駆動信号は同一となる。従って、第3態様において、継続駆動中に予想走査位置の全体に光を走査させる場合には、第1光走査部14Xに印加される駆動信号のグラフは
図5と同様となる。また、第3態様において、継続駆動中に予想走査位置の一部にのみに光を走査させる場合には、第1光走査部14Xに印加される駆動信号のグラフは
図6と同様となる。なお、
図3に示す例では、組織の位置ずれが生じていない場合には、N番目の走査位置58に対応する第2光走査部14Yへの駆動信号と、N+1番目の走査位置58に対応する第2光走査部14Yへの駆動信号は、僅かに異なる。
【0073】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。上記実施形態で例示した複数の技術の一部のみを採用することも可能である。例えば、撮影開始時の継続駆動信号の印加処理(S6)を省略してもよい。また、光走査部14に継続駆動信号を印加する処理は、トラッキング処理(S8,S9)を実行しない場合にも有用である。例えば、1回の画像データの取得処理の開始から終了までの間に、走査位置58を複数回設定する場合(例えば、同心円状に配置された複数の環状の走査位置の各々に光を走査させるラジアルスキャンを実行する場合等)等でも、光走査部14を継続駆動させることで撮影時間は適切に短縮される。また、継続駆動信号の生成方法も、前述した第1態様~第3態様のみに限定されるものではない。つまり、継続駆動信号の具体的な内容(継続駆動信号の印加によって光が走査される位置等)が変更される場合でも、光走査部14の駆動状態を、継続駆動の状態から次回の走査位置58に対応する駆動状態へ、駆動停止を介さずに移行させることで、撮影時間は適切に短縮される。
【0074】
なお、
図4のS8~S10で次回の走査位置58を設定する処理は、「走査位置設定ステップ」の一例である。
図4のS15で走査位置58に基づいて部分画像データを取得する処理は、「部分画像データ取得ステップ」の一例である。
図4のS6,S11~S13,S19で光走査部14に継続駆動信号を印加する処理は、「継続駆動ステップ」の一例である。
【符号の説明】
【0075】
1 眼科撮影装置
4(4X,4Y) 偏向部
11 光源
14(14X,14Y) 光走査部
15(15X,15Y) 駆動部
22 受光素子
23 正面観察光学系
31 CPU
34 NVM
55 撮影領域
58 走査位置