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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007136
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20240111BHJP
   B65B 27/08 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G07D11/00
B65B27/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108386
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】下野 元喜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慎平
(72)【発明者】
【氏名】石崎 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】池本 保則
【テーマコード(参考)】
3E052
3E141
【Fターム(参考)】
3E052AA23
3E052BA03
3E052CA16
3E052CB04
3E052CB05
3E052CB07
3E052DB02
3E052FA08
3E052HA02
3E052JA01
3E052KA14
3E052KA16
3E052LA08
3E141AA02
3E141BA06
3E141EA06
(57)【要約】
【課題】結束不良を抑制することが可能となる紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣の少なくとも金種と方向とを識別する識別部31と、紙幣を集積させる集積部35,36と、集積部35,36により集積された所定枚数の集積紙幣を結束テープにより結束する結束部38と、集積部35,36の所定枚数分の集積紙幣の識別部31による識別結果に基づいて、結束部38が結束する結束テープの締め付け力を決定する結束テープ締め付け力決定手段74と、結束テープ締め付け力決定手段74が決定した締め付け力に応じて結束部38を制御する制御部72と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の少なくとも金種と方向とを識別する識別部と、
紙幣を集積させる集積部と、
前記集積部により集積された所定枚数の集積紙幣を結束テープにより結束する結束部と、
前記集積部の所定枚数分の集積紙幣の前記識別部による識別結果に基づいて、前記結束部が結束する結束テープの締め付け力を決定する結束テープ締め付け力決定手段と、
前記結束テープ締め付け力決定手段が決定した締め付け力に応じて前記結束部を制御する制御部と、
を有する
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記結束テープ締め付け力決定手段は、
前記集積部の所定枚数分の集積紙幣の前記識別部による識別結果に基づき、方向の異なる紙幣の混合度合いによって結束テープの締め付け力を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記識別部は、更に、同一金種であっても券種の新旧を識別可能であり、
前記結束テープ締め付け力決定手段は、
前記集積部の所定枚数分の集積紙幣の前記識別部による識別結果に基づき、券種の異なる紙幣の混合度合いによって結束テープの締め付け力を決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記識別部が識別した識別結果を基に当該紙幣が新券であるか流通券であるかを判定する新券・流通券判定手段を更に有し、
前記結束テープ締め付け力決定手段は、
前記集積部の所定枚数分の集積紙幣の前記新券・流通券判定手段による判定結果に基づき、新券および流通券の混合度合いによって結束テープの締め付け力を決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣処理装置の中には、バラ紙幣を所定枚数(例えば100枚)集積させて集積紙幣を作成し、当該集積紙幣に結束テープにより結束して小束を作成する結束処理を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この結束処理は、例えば、集積部により、表裏が揃えられた状態の所定枚数の集積紙幣を作成した後、結束部により、結束テープを当該集積紙幣に巻き付け、糊付けしてカットする処理となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5957356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙幣処理装置において、紙幣の結束処理を行う際の結束テープの締め付け力は、例えば金種ごとに設定されている。しかしながら、この場合、結束不良を生じてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、結束不良を抑制することが可能となる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一態様は、紙幣の少なくとも金種と方向とを識別する識別部と、紙幣を集積させる集積部と、前記集積部により集積された所定枚数の集積紙幣を結束テープにより結束する結束部と、前記集積部の所定枚数分の集積紙幣の前記識別部による識別結果に基づいて、前記結束部が結束する結束テープの締め付け力を決定する結束テープ締め付け力決定手段と、前記結束テープ締め付け力決定手段が決定した締め付け力に応じて前記結束部を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、結束不良を抑制することが可能となる紙幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図である。
図2】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の結束部を示す側面図である。
図3】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、入金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図4】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、収納処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図5】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、返却処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図6】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、バラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図7】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、小束紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図8】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、第1ローカル整理処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図9】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を概略的に示す側断面図であって、第2ローカル整理処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
図10】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の集積部の紙幣の向きを説明する平面図である。
図11】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の結束テープ締め付け力決定手段が用いる制御テーブルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を図1図11を参照して以下に説明する。本実施形態の紙幣処理装置11は、少なくとも紙幣についての結束処理を含む入出金処理を行うものである。以下では、バラ紙幣を所定の結束単位枚数である100枚集積させた、結束前の紙幣を集積紙幣と称し、集積紙幣を結束テープで結束した紙幣を小束紙幣と称す。
【0010】
図1に示すように、紙幣処理装置11は、その機体10の前面側の上部に入金部20、出金返却部21および出金リジェクト部22が設けられている。出金返却部21は入金部20の上側に、出金リジェクト部22は出金返却部21の上側に、それぞれ設けられている。
【0011】
入金部20は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、バラ紙幣入金処理時等にシャッタが開状態とされて機外からバラ紙幣が投入される。入金部20は、バラ紙幣が投入された後、シャッタを閉じてバラ紙幣を機内に繰り出す。入金部20には、機体前面側から見てバラ紙幣が左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。入金部20には、下部に、入金部20上に集積されたバラ紙幣を下端のものから一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて機内へ繰り出す入金繰出部24が設けられている。バラ紙幣は、紙幣処理装置11内で、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される。
【0012】
入金部20からバラ紙幣を繰り出す入金繰出部24は、入金部20に集積されたバラ紙幣のうちの最も下側のバラ紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを機内側に蹴り出す蹴出ローラ24aと、蹴出ローラ24aで蹴り出されたバラ紙幣を機内に繰り出す繰出ローラ24bと、繰出ローラ24bで機内に繰り出すバラ紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ24cとを有している。入金繰出部24の直後位置には、入金繰出部24から繰り出されたバラ紙幣に、複数枚重なった状態の重送、搬送方向に対し斜めの姿勢となる斜行、あるいは隣り合うバラ紙幣同士の搬送間隔が狭いニアフィード等の搬送異常があるか否かと、半券等の形状異常があるか否かとを光学的に検出する入口センサ25が設けられている。
【0013】
出金返却部21は、開閉可能な図示略のシャッタを有しており、バラ紙幣出金処理時等にシャッタが閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣が繰り出される。出金返却部21は、バラ紙幣が繰り出された状態で、シャッタを開く。これにより、出金返却部21からバラ紙幣が機外に取り出される。出金返却部21には、バラ紙幣入金処理時等にリジェクトされるバラ紙幣も繰り出される。出金返却部21には、機内から繰り出されたバラ紙幣が、機体前面側から見て左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置されることになる。
【0014】
出金リジェクト部22は、紙幣処理装置11の機体10から着脱不可となっている。出金リジェクト部22は、機内から繰り出されたバラ紙幣が、機体前面側から見て左右方向に長手方向を沿わせた姿勢で下から上に集積されて載置される。出金リジェクト部22の内部に収納されたバラ紙幣は、出金リジェクト部22の図示略の扉が開状態とされると、出金リジェクト部22から取り出される。
【0015】
紙幣処理装置11の後部には、通過するバラ紙幣の少なくとも金種と方向とを識別する識別部31が設けられている。識別部31は、通過するバラ紙幣について、真偽と、真紙幣の金種と、重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常の有無と、表裏の方向と、天地の方向とを識別する。
【0016】
入金部20、出金返却部21および出金リジェクト部22の後方には、バラ紙幣を整列させて所定の結束単位枚数(100枚)ずつ集積させる複数、具体的には2カ所の集積部35,36が設けられている。また、この集積部35,36の後方には、集積部35,36で集積された結束単位枚数のバラ紙幣を上方に搬送する昇降搬送部37が設けられている。また、集積部35,36の上方には、集積部35,36で集積され昇降搬送部37で搬送されてきた結束単位枚数の集積紙幣を結束テープにより結束して小束紙幣とする結束部38が設けられている。この結束部38の前側には、結束部38で作成された小束紙幣を機外に取り出し可能に繰り出す小束出金部39が設けられている。小束出金部39も開閉可能な図示略のシャッタを有しており、シャッタが閉状態とされて機内から小束紙幣が繰り出され、その後、シャッタが開かれることで小束紙幣が機外に取り出される。
【0017】
紙幣処理装置11の下部には、複数具体的には4個の同様の構造の一時貯留収納庫41が、上下左右の位置を合わせて前後に並んで配置されている。これら一時貯留収納庫41は、バラ紙幣を収納可能であって収納しているバラ紙幣を繰り出し可能な収納カセットであり、機体10から取り外し可能となっている。
【0018】
紙幣処理装置11において、最も奥側に配置された一時貯留収納庫41(A)、奥から2番目に配置された一時貯留収納庫41(B)、奥から3番目に配置された一時貯留収納庫41(C)および奥から4番目に配置された一時貯留収納庫41(D)は、いずれも、所定の単一金種のバラ紙幣を下から上に集積させた状態で入金確定前に一時貯留すると共に、入金確定後に繰り出し可能となるように収納するものである。
【0019】
一時貯留収納庫41(A)は、所定の単一の第1金種のバラ紙幣(例えば万円券)を、一時貯留収納庫41(B)は、所定の単一の第2金種のバラ紙幣(例えば五千円券)を、一時貯留収納庫41(C)は、所定の単一の第3金種のバラ紙幣(例えば千円券)を、一時貯留収納庫41(D)は、所定の単一の第4金種のバラ紙幣(例えば二千円券)を、それぞれ繰り出し可能に収納する。すなわち、紙幣処理装置11は、単一金種用の一時貯留収納庫41を複数個、金種別に有している。なお、一時貯留収納庫41は、複数個あれば良く、収納パターンは、それぞれが単一金種のバラ紙幣を収納するパターンに限らない。複数の一時貯留収納庫41のそれぞれについて、収納パターンを、単一金種のバラ紙幣を収納する一時貯留収納庫41と、所定の複数金種のバラ紙幣を混合で収納する一時貯留収納庫41と、全金種のバラ紙幣を混合で収納する一時貯留収納庫41との中から、適宜選択して設定することができる。
【0020】
一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれの上部には、それぞれの内部にバラ紙幣を取り込んで下から上に集積させるとともに内部のバラ紙幣を最上のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部42が設けられている。一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれには、バラ紙幣を収容する内部空間を上下に仕切る昇降可能かつ開閉可能なフラッパ43と、内部空間内を昇降するエレベータ44とが設けられている。
【0021】
取込繰出部42は、フラッパ43上あるいはエレベータ44上に集積されたバラ紙幣のうちの最上位置のバラ紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを一時貯留収納庫41外に向け蹴り出す蹴出ローラ42aと、蹴出ローラ42aで蹴り出されたバラ紙幣を一時貯留収納庫41外に繰り出す繰出ローラ42bと、繰出ローラ42bで一時貯留収納庫41外に繰り出すバラ紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ42cとを有している。繰出ローラ42bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ42cとでバラ紙幣を挟持して一時貯留収納庫41内に取り込む。
【0022】
フラッパ43は、水平に配置された一対の昇降支軸43aと、一対の板状のフラッパ本体43bとを有している。一方のフラッパ本体43bは一方の昇降支軸43aに支持されており、この昇降支軸43aを中心に回転可能となっている。他方のフラッパ本体43bは他方の昇降支軸43aに支持されており、この昇降支軸43aを中心に回転可能となっている。フラッパ43は、閉状態にあるとき、一方のフラッパ本体43bが一方の昇降支軸43aから他方の昇降支軸43aに向けて水平に延出し、他方のフラッパ本体43bが他方の昇降支軸43aから一方の昇降支軸43aに向けて水平に延出する。
【0023】
フラッパ43は、開状態にあるとき、一方のフラッパ本体43bが閉状態に対して90度回転して一方の昇降支軸43aから鉛直下方に延出することになり、他方のフラッパ本体43bが閉状態に対して90度回転して他方の昇降支軸43aから鉛直下方に延出することになる。フラッパ43は、一対の昇降支軸43aが常に高さを合わせて昇降することになり、一対のフラッパ本体43bは同期して開作動し、同期して閉作動する。一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれのフラッパ43は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降および開閉が制御される。
【0024】
フラッパ43は、閉状態にあるとき、これが設けられた一時貯留収納庫41を、フラッパ43を含むフラッパ43から上側の一時貯留領域部47と、フラッパ43より下側の収納領域部48とに区画する。言い換えれば、一時貯留収納庫41は、閉状態にあるフラッパ43によって、上部領域の一時貯留エリアである一時貯留領域部47と、下部領域の収納エリアである収納領域部48とに上下に区分けされる。
【0025】
フラッパ43は、閉状態にあるとき、一時貯留領域部47の底部を構成することになり、取込繰出部42から繰り出されたバラ紙幣を載置させ、下から上へと集積させる。その際に、フラッパ43は、取込繰出部42から繰り出されたバラ紙幣の量に応じて下降する。また、フラッパ43は、載置させたバラ紙幣の最上位置のバラ紙幣を、上昇して取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。この状態で、取込繰出部42がバラ紙幣を一枚ずつ分離して一時貯留領域部47から繰り出す。その際に、フラッパ43は、取込繰出部42から繰り出されたバラ紙幣の量に応じて上昇する。
【0026】
フラッパ43は、一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、開状態となることで、この一時貯留領域部47と同じ一時貯留収納庫41に設けられた直下の収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上に載置されているバラ紙幣に、載置させる。すなわち、一時貯留収納庫41(A)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(B)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(C)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納する。一時貯留収納庫41(D)のフラッパ43が開状態になると、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納する。
【0027】
フラッパ43が開状態にあるとき、このフラッパ43が設けられた一時貯留収納庫41の一時貯留領域部47と収納領域部48とが連続する状態になる。この状態で、収納領域部48のエレベータ44が上昇すると、このエレベータ44は、載置させたバラ紙幣のうちの最上位置のバラ紙幣を取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。この状態で、取込繰出部42がバラ紙幣を一枚ずつ分離して収納領域部48から繰り出す。その際に、エレベータ44は、取込繰出部42から繰り出されたバラ紙幣の量に応じて上昇する。一時貯留収納庫41(A)~41(D)のそれぞれのエレベータ44は、個別の駆動機構で駆動されることになり、単独で昇降および開閉が制御される。
【0028】
以上により、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、複数の金種別の一時貯留領域部47を有している。金種別の一時貯留領域部47は、それぞれが単一金種のバラ紙幣を取り込み可能かつ繰り出し可能に一時貯留することになり、それぞれの底部であるフラッパ43が開閉可能となっている。また、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、同一金種用の一時貯留領域部47の直下に設けられ、フラッパ43が開状態とされた同一金種用の一時貯留領域部47からバラ紙幣を受け入れて繰り出し可能に収納する収納領域部48を金種別に複数有している。
【0029】
紙幣処理装置11の下部には、一時貯留収納庫41(D)の前側に、機体10から取り外し可能であってバラ紙幣回収処理時に金種別の収納領域部48から繰り出されたバラ紙幣を取り込んで収納すると共に、バラ紙幣補充処理時に補充用のバラ紙幣が機外で装填され、装填されたバラ紙幣を繰り出す一括一時貯留部としての収納カセット部51が設けられている。収納カセット部51は、バラ紙幣を収納可能であって収納しているバラ紙幣を繰り出し可能となっている。収納カセット部51は金種別の一時貯留収納庫41(A)~41(D)と上下左右の位置を合わせて前後に並んでいる。
【0030】
収納カセット部51は、バラ紙幣を取り込み可能かつ繰り出し可能に収納するものであり、その上部には、内部にバラ紙幣を取り込むとともに内部のバラ紙幣を最上位置のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出す取込繰出部52が設けられている。収納カセット部51には、内部空間内を昇降するエレベータ53が設けられている。ここで、収納カセット部51には、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のような内部空間を上下に仕切るフラッパは設けられていない。
【0031】
取込繰出部52は、エレベータ53上に集積されたバラ紙幣のうちの最上位置のバラ紙幣の短手方向の中間部に当接して、これを収納カセット部51外に向けて蹴り出す蹴出ローラ52aと、蹴出ローラ52aで蹴り出されたバラ紙幣を収納カセット部51外に繰り出す繰出ローラ52bと、繰出ローラ52bで収納カセット部51外に繰り出すバラ紙幣を一枚ずつに分離する分離ローラ52cとを有している。繰出ローラ52bは、この繰り出し時とは逆向きに回転することで、連れ回りする分離ローラ52cとでバラ紙幣を挟持して収納カセット部51内に取り込む。
【0032】
収納カセット部51のバラ紙幣を取込繰出部52が収納カセット部51外に繰り出す際に、エレベータ53は、載置させたバラ紙幣のうちの最上位置のバラ紙幣を取込繰出部52の蹴出ローラ52aに当接させる。この状態で、取込繰出部52がバラ紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す。その際に、エレベータ53は、取込繰出部52から繰り出されたバラ紙幣の量に応じて上昇する。また、取込繰出部52が収納カセット部51内にバラ紙幣を繰り出す際に、繰出ローラ52bは、上記とは逆に回転することで、エレベータ53上にバラ紙幣を繰り出す。その際に、エレベータ53は、取込繰出部52から繰り出されたバラ紙幣の量に応じて下降する。
【0033】
紙幣処理装置11の内部には、バラ紙幣を搬送する搬送部61が各部を適宜繋ぐように設けられている。搬送部61は、バラ紙幣を、基本的にその短手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で移動させる。
【0034】
搬送部61は、機体10の前部に設けられた入金部20のバラ紙幣を機体10の後部に設けられた識別部31に向けて搬送し、さらに、機体10の前部に設けられた収納カセット部51に向けて搬送する搬送路61Aを有している。搬送路61Aは、入金部20の入金繰出部24から後方に、後述する搬送路61Jと搬送路61Mとの間まで延出した後、下方に延出し、その後、後方に延出して識別部31を通り、下側にて前向きに折り返して前方に延出して紙幣処理装置11の前端から下方に延出して収納カセット部51の取込繰出部52に繋がる。
【0035】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と識別部31との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Cと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Cの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(B)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Dと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Dの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(C)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Eと、搬送路61Aにおける収納カセット部51への接続位置と搬送路61Eの分岐位置との間から下方に分岐して一時貯留収納庫41(D)の取込繰出部42に繋がる搬送路61Fとを有している。
【0036】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける最も収納カセット部51側から上方に分岐した後に後方に延出して搬送路61Aの入金部20から識別部31に向かいつつ下方に延出する部分の下部に繋がる搬送路61Gと、搬送路61Aの搬送路61Fの分岐位置と搬送路61Gの分岐位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Gの途中位置に繋がる搬送路61Hと、搬送路61Gにおける搬送路61Hの接続位置と搬送路61Aへの接続位置との間位置から上方に分岐して搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と入口センサ25との間に繋がる搬送路61Jとを有している。
【0037】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と搬送路61Jの接続位置との間から後方に分岐した後、上方に延出し、その後、前方に延出して出金返却部21に繋がる搬送路61Kと、搬送路61Kの上部の途中位置から分岐して出金リジェクト部22に繋がる搬送路61Lとを有している。
【0038】
また、搬送部61は、搬送路61Aにおける搬送路61Gの接続位置と識別部31との間から上方に分岐して搬送路61Kにおける搬送路61Aからの分岐位置と搬送路61Lの分岐位置との間に接続される搬送路61Mと、搬送路61Aにおける搬送路61Mの分岐位置と識別部31との間から分岐して搬送路61Mの中間位置に繋がる搬送路61Nとを有している。搬送路61Nには、バラ紙幣の表裏を反転させる表裏反転部63が設けられている。
【0039】
また、搬送部61は、搬送路61Kにおける搬送路61Lの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して集積部35に繋がる搬送路61Pと、搬送路61Kにおける搬送路61Pの分岐位置と搬送路61Mの合流位置との間から後方に分岐して集積部36に繋がる搬送路61Qとを有している。
【0040】
識別部31は、搬送部61によって搬送されるバラ紙幣を識別することになり、一時貯留収納庫41(A)~41(D)および収納カセット部51は、識別部31によって識別したバラ紙幣を繰り出し可能に収納する。
【0041】
紙幣処理装置11は、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う操作表示部70と、紙幣処理装置11の全体を制御する制御装置部71とを有している。制御装置部71は、紙幣処理装置11の各部の作動を制御する制御部72と、各種情報を記憶する記憶部73とを有している。
【0042】
図2に示すように、結束部38は、上挟持部材101と下挟持部材102とを有している。下挟持部材102は、機体10に対して位置固定であり、上挟持部材101は、下挟持部材102の上側において機体10に対し昇降する。上挟持部材101および下挟持部材102は、図1に示す集積部35,36で結束単位枚数(100枚)集積されて昇降搬送部37で搬送されてきた集積紙幣を略山形状に屈曲させながら集積方向における両側から挟持する。
【0043】
結束部38は、これら上挟持部材101および下挟持部材102を囲むように設けられる、横長のトラック形状のテープ巻回ガイド104を有している。テープ巻回ガイド104は機体10に対して位置固定である。テープ巻回ガイド104はそれ自体の下側であって下挟持部材102の鉛直下方に開口部105が形成されている。テープ巻回ガイド104は、この開口部105を除いて上挟持部材101および下挟持部材102の外側を周回している。
【0044】
結束部38は、結束テープTを供給するテープ供給部106を有している。このテープ供給部106は、開口部105の下側の側方に設けられて結束テープTを上下で案内する上下一対の挿入ガイド107と、これら挿入ガイド107を介して結束テープTを送り出す上下一対のテープ供給ローラ108と、一対のテープ供給ローラ108を駆動するステッピングモータ109と、ステッピングモータ109とテープ供給ローラ108との間に設けられたトルクリミッタ110とを有している。一対の挿入ガイド107は、開口部105を介してテープ巻回ガイド104内のテープ巻回ガイド104と下挟持部材102との間に結束テープTを送り出す。
【0045】
結束部38には、テープ供給ローラ108で送り出された結束テープTのテープ巻回ガイド104内における位置を検出するためのテープセンサ112,113がテープ巻回ガイド104の周回方向に離間して複数設けられている。具体的には、テープ巻回ガイド104内のテープ巻回ガイド104と下挟持部材102との間を結束テープTが良好に通過したことを検出するため周回開始側において比較的開口部105に近い位置にテープセンサ112が設けられている。また、テープ巻回ガイド104内で上挟持部材101および下挟持部材102を周回するように良好に結束テープTが送られたことを検出するため周回終末側において比較的開口部105に近い位置にテープセンサ113が設けられている。
【0046】
結束部38は、テープ巻回ガイド104の開口部105の下側に、集積紙幣の周囲を周回するようにテープ供給部106から供給された結束テープTを切断する切断機構114と、テープ供給部106から送り出された結束テープTの切断側を結束テープTの先端側に熱接着させる接着機構115とを備えた切断接着ユニット116を有している。
【0047】
この切断接着ユニット116はその全体が機体10に対し昇降可能に設けられている。つまり、切断接着ユニット116は切断機構114および接着機構115を保持するユニットフレーム118が機体10に対し上下動可能に設けられている。
【0048】
ユニットフレーム118は、テープ供給部106側の壁板部119の上部に結束テープTを挿入させるテープ案内穴120が、上下一対の挿入ガイド107と隣り合うように形成されている。また、ユニットフレーム118は上昇することで開口部105からテープ巻回ガイド104内に入り込み壁板部119の上端の押さえ部121が下挟持部材102の下面におけるテープ供給部106側に当接可能となっている。つまり、ユニットフレーム118は下挟持部材102から僅かに下方に離間した待機位置から、上端の押さえ部121を下挟持部材102に強く押し付ける押付位置まで昇降可能となっている。
【0049】
切断機構114は、ユニットフレーム118の壁板部119のテープ供給部106に対し反対側に隣接配置され、この壁板部119に沿ってユニットフレーム118に対しスライドするカッタ123と、このカッタ123を固定状態で支持するとともにユニットフレーム118に対しスライド可能に支持される支持部材122とを有している。このカッタ123は、下限位置にあるとき上端の切れ刃124がテープ案内穴120よりも下側に位置してこのテープ案内穴120を完全に開口させる状態となり、この状態からテープ案内穴120を完全に塞ぐようにスライドすることで、切れ刃124でテープ案内穴120内を通る結束テープTを切断する。
【0050】
接着機構115は、カッタ123に対しテープ供給部106とは反対側に間隔をあけてヒータ126を有している。ヒータ126は、切断機構114の支持部材122に配置されて支持部材122と共に上下動する。ここで、ユニットフレーム118は鉛直上下に直線状に昇降することになり、切断機構114の支持部材122もユニットフレーム118に対し鉛直上下に直線状に昇降することになる。ヒータ126は支持部材122に対し鉛直上下に直線状に昇降可能であり、上方向に付勢されている。ここで、ヒータ126は水平に延在する上面が発熱する。ヒータ126は、ユニットフレーム118の昇降位置に拘わらず支持部材122が下限位置にあれば結束テープTに接触することはなく、ユニットフレーム118が押圧位置にあって支持部材122が上限位置に位置すると結束テープTに接触しこれを下挟持部材102側に強く押し付ける。
【0051】
次に、第1実施形態の紙幣処理装置11の主な処理について説明する。
【0052】
待機状態にあるとき、一時貯留収納庫41(A)~41(D)は、すべてが一時貯留領域部47を空の状態としており、収納領域部48に適宜のバラ紙幣を収納している。また、待機状態にあるとき、フラッパ43は、閉状態でバラ紙幣を受け入れ可能な上部の所定の待機位置に位置しており、エレベータ44は最下の待機位置に位置している。また、待機状態にあるとき、収納カセット部51は空の状態であり、収納カセット部51のエレベータ53はバラ紙幣を受け入れ可能な上部の所定の待機位置に位置している。
【0053】
[入金処理]
図3の太線は、機外から入金部20に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別および計数して一時貯留する入金処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、操作表示部70に入金処理の選択操作がなされると、制御部72は、入金処理を開始して入金繰出部24、搬送部61、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の各取込繰出部42および収納カセット部51の取込繰出部52を駆動する。すると、入金繰出部24は、入金部20に投入されたバラ紙幣を最下のものから順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、搬送路61Aが搬送することになる。入金繰出部24から繰り出されたバラ紙幣は、繰り出し直後に入口センサ25で、搬送異常の有無と形状異常の有無とが検出される。
【0054】
制御部72は、入口センサ25で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された異常紙幣については、図3に太実線から太一点鎖線に示すように、搬送路61Aの入金部20側の端部と搬送路61M,61Kとで出金返却部21に搬送する。すなわち、入口センサ25で搬送異常あるいは形状異常があることが検出された異常紙幣については、入金部20から識別部31に向かう搬送路61Aから分岐し、分岐後はこの搬送路61Aに交わることがない搬送路61M,61Kで、識別部31に搬送することなく出金返却部21に搬送する。他方、入口センサ25で搬送異常および形状異常のいずれも検出されなかったバラ紙幣については、図3に太実線で示すように、搬送路61Aで識別部31に搬送する。そして、この搬送中に識別部31がバラ紙幣を識別および計数することになり、制御部72は、識別部31で受け入れ可能と識別したバラ紙幣、すなわち取り扱い可能な金種の真券で正常搬送の正常紙幣を、図3に太実線で示すように、搬送路61C,61D,61E,61Fで金種別に振り分ける。
【0055】
これにより、金種別の一時貯留収納庫41(A)~41(D)が、それぞれ取込繰出部42によって、一時貯留領域部47の閉状態で待機位置にあるフラッパ43上にバラ紙幣を集積させることになる。すなわち、制御部72は、受け入れ可能と識別したバラ紙幣のうち、第1金種のバラ紙幣(例えば万円券)を一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に、第2金種のバラ紙幣(例えば五千円券)を一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に、第3金種のバラ紙幣(例えば千円券)を一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に、第4金種のバラ紙幣(例えば二千円券)を一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に、それぞれ一時貯留させる。
【0056】
以上の入金処理の作動を行うことによって、入金部20のバラ紙幣がなくなり、入金部20から繰り出されたすべてのバラ紙幣が、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の一時貯留領域部47および出金返却部21のいずれかに搬送されると、制御部72は、出金返却部21のシャッタを開いて出金返却部21からバラ紙幣を取り出し可能にするとともに、識別部31で受け入れ可能と判定して一時貯留収納庫41(A)~41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣の金種別の枚数および総額等を操作表示部70に表示させる。そして、制御部72は、操作表示部70への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となって入金処理を終了する。
【0057】
[収納処理]
入金処理後、操作表示部70への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部72は、入金を確定するとともに、入金処理にて一時貯留収納庫41(A)~41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留したバラ紙幣を、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の収納領域部48に収納する収納処理を行う。図4の太線は、この収納処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0058】
収納処理において、制御部72は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のうちバラ紙幣を一時貯留させているものの一時貯留領域部47のみについて、フラッパ43を開可能最下位置に位置させてから、フラッパ43を開いて、フラッパ43上にあったバラ紙幣を、収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上のバラ紙幣に受け渡す。
【0059】
具体的に、制御部72は、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に第1金種のバラ紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第1金種のバラ紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に第2金種のバラ紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第2金種のバラ紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に第3金種のバラ紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第3金種のバラ紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納させる。また、一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に第4金種のバラ紙幣が一時貯留されている場合は、この一時貯留領域部47の第4金種のバラ紙幣を同一金種用である一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納させる。
【0060】
フラッパ43を開いて、フラッパ43上のバラ紙幣を、収納領域部48のエレベータ44あるいはエレベータ44上のバラ紙幣に受け渡すと、制御部72は、一時貯留領域部47から収納領域部48にバラ紙幣を受け渡したフラッパ43を待機位置に戻し閉状態として収納処理を終了する。
【0061】
[返却処理]
入金処理後、操作表示部70への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部72は、入金を確定せず、入金処理にて一時貯留収納庫41(A)~41(D)の一時貯留領域部47および収納カセット部51に一時貯留したバラ紙幣をすべて、出金返却部21に繰り出す返却処理を行う。図5の太線は、この返却処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0062】
返却処理において、制御部72は、一時貯留収納庫41(A)~41(D)のうち一時貯留領域部47にバラ紙幣を一時貯留しているものについて、フラッパ43を上昇させて、このフラッパ43上のバラ紙幣のうち最上位置のバラ紙幣を取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、制御部72は、搬送部61を駆動し、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の取込繰出部42のうち、一時貯留しているバラ紙幣があるものを適宜の順に駆動する。
【0063】
例えば、一時貯留収納庫41(A)の一時貯留領域部47に一時貯留しているバラ紙幣がある場合、一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42が、この一時貯留領域部47のバラ紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、図5に太実線で示すように、搬送路61C,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。また、一時貯留収納庫41(B)の一時貯留領域部47に一時貯留しているバラ紙幣がある場合、この一時貯留領域部47のバラ紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61D,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。一時貯留収納庫41(C)の一時貯留領域部47に一時貯留しているバラ紙幣がある場合、この一時貯留領域部47のバラ紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61E,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。一時貯留収納庫41(D)の一時貯留領域部47に一時貯留しているバラ紙幣がある場合、この一時貯留領域部47のバラ紙幣を同様にして繰り出し、搬送路61F,61A,61Kで出金返却部21に搬送する。
【0064】
[バラ紙幣出金処理]
図6の太線は、操作表示部70へ入力されたバラ紙幣出金操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の指定された金種のものからバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。つまり、バラ出金処理において、制御部72は、搬送部61を駆動すると共に、入力された金種別の出金枚数に基づき、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納している第1金種のバラ紙幣を繰り出す場合、一時貯留収納庫41(A)のフラッパ43を待機位置で開作動させた後、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置されたバラ紙幣のうち、最上位置のバラ紙幣を一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、この取込繰出部42を駆動して、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44に載置されたバラ紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、図6に太実線で示すように、搬送路61C,61Aで識別部31に、バラ紙幣入金処理とは逆向きに搬送し、識別部31の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61Kでそのまま出金返却部21に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61Kで出金返却部21に、それぞれ搬送する。これにより、バラ紙幣出金操作に基づく第1金種の正常紙幣を出金返却部21に表裏を取り揃えながら繰り出す。なお、識別部31が搬送異常と識別したり、金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣については、図6に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト部22に搬送し、出金リジェクト部22に収納する。
【0065】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(B)の収納領域部48に収納している第2金種のバラ紙幣を繰り出す場合、制御部72は、同様にして、一時貯留収納庫41(B)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(B)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置されたバラ紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61D,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、上記と同様に表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0066】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(C)の収納領域部48に収納している第3金種のバラ紙幣を繰り出す場合、制御部72は、同様にして、一時貯留収納庫41(C)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(C)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置されたバラ紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61E,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、上記と同様に表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0067】
また、バラ出金処理において、一時貯留収納庫41(D)の収納領域部48に収納している第4金種のバラ紙幣を繰り出す場合、制御部72は、同様にして、一時貯留収納庫41(D)のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(D)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置されたバラ紙幣を最上位置のものから順に取込繰出部42で繰り出させて搬送路61F,61Aで識別部31に搬送することになり、識別部31の識別結果に基づいて、上記と同様に表裏を取り揃えながら、出金返却部21に搬送する。
【0068】
以上のようにして、入力された金種別の出金枚数のバラ紙幣を、金種別に、表裏を取り揃えながら出金返却部21に繰り出す。バラ紙幣出金処理の最後に、制御部72は、出金返却部21のシャッタを開いて出金返却部21からバラ紙幣を取り出し可能にする。
【0069】
[小束紙幣出金処理]
図7の太線は、操作表示部70へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、一時貯留収納庫41(A)~41(D)の指定された金種のものからバラ紙幣を結束して出金する小束紙幣出金処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0070】
つまり、小束紙幣出金処理において、制御部72は、搬送部61を駆動すると共に、入力された金種別の出金束数に基づき、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48に収納している第1金種のバラ紙幣を結束して出金する場合、一時貯留収納庫41(A)の待機位置のフラッパ43を開作動させた後、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44を上昇させて、このエレベータ44に載置されたバラ紙幣のうち、最上位置のバラ紙幣を一時貯留収納庫41(A)の取込繰出部42の蹴出ローラ42aに当接させる。それと共に、この取込繰出部42を駆動して、一時貯留収納庫41(A)のエレベータ44に載置されたバラ紙幣を最上位置のものから蹴出ローラ42aで蹴り出し繰出ローラ42bおよび分離ローラ42cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになる。
【0071】
そして、繰り出したバラ紙幣を、図7に太実線で示すように、搬送路61C,61Aで識別部31に搬送し、識別部31の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61K,61Pで集積部35に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Pで集積部35に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出す。なお、識別部31で重送、斜行あるいはニアフィード等の搬送異常と識別したり金種識別不良と識別した、正常紙幣以外のリジェクト紙幣については、図7に太実線から太破線で示すように、搬送路61A,61K,61Lによって出金リジェクト部22に搬送し、出金リジェクト部22に収納する。そして、指定された単一金種の結束単位枚数の集積紙幣を集積部35から、昇降搬送部37で搬送して、結束部38で結束を行い、小束出金部39に繰り出す。
【0072】
ここで、指定された単一金種のバラ紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出すと、この金種の出金束数が複数である場合、引き続き、一時貯留収納庫41(A)の収納領域部48からバラ紙幣を繰り出すことになり、反転が必要でない正常紙幣を、搬送路61A,61K,61Qで集積部36に、表裏反転が必要な正常紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61K,61Qで集積部36に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の正常紙幣を結束単位枚数だけ集積部36に繰り出して、上記と同様に、結束部38で結束を行い、小束出金部39に繰り出す。このように小束紙幣出金処理では、単一金種を複数束出金する場合、集積部35,36に結束単位枚数ずつ交互にバラ紙幣を集積させる。
【0073】
小束紙幣出金処理では、以上のような処理を、指定された金種毎に指定された束数分行うことになり、指定された全金種のそれぞれについて、指定された全束数の小束紙幣を小束出金部39に繰り出すことになる。小束紙幣出金処理の最後に、制御部72は、小束出金部39のシャッタを開いて小束出金部39から小束紙幣を取り出し可能にする。
【0074】
[ローカル整理処理]
制御部72は、操作表示部70への操作入力に基づいて、ローカル整理処理として、第1ローカル整理処理と、第2ローカル整理処理とを選択的に切り替えて行う。
【0075】
すなわち、制御部72は、操作表示部70の操作表示画面に、ローカル整理処理のメニューにおいて、第1ローカル整理処理モードと第2ローカル整理処理モードとを選択可能に表示させる。このとき、操作表示画面においては、操作者への案内ガイダンスとして、ローカル整理処理を行うバラ紙幣枚数が、入金部20にセット可能な枚数(例えば800枚)以下の場合は、第1ローカル整理処理モードを推奨し、バラ紙幣の入金部20へのセットを促す旨を表示させる。他方、入金部20にセット可能な枚数を超えてバラ紙幣を処理させる場合には、第2ローカル整理処理モードを推奨し、バラ紙幣を収納カセット部51(例えば最大2400枚のバラ紙幣を収納可能)に手装填して、この収納カセット部51の機体10へのセットを促す旨を表示させる。
【0076】
操作者が、ローカル整理処理として第1ローカル整理処理を選択し、その操作入力が操作表示部70へなされると、制御部72は、以下の第1ローカル整理処理の制御を行う。
【0077】
{第1ローカル整理処理}
図8の太線は、第1ローカル整理処理のルートを示している。この第1ローカル整理処理は、入金部20からバラ紙幣を一枚ずつ繰り出させ、そのうちの整理対象金種のバラ紙幣のみを、集積部35,36に指定枚数集積させる毎に結束部38で結束させる処理である。
【0078】
制御部72は、第1ローカル整理処理を開始すると、入金繰出部24および搬送部61を駆動する。すると、入金繰出部24は、入金部20に投入されたバラ紙幣を最下のものから順に、蹴出ローラ24aで蹴り出し繰出ローラ24bおよび分離ローラ24cで一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、搬送路61A,61J,61G,61H,61Aで識別部31に搬送し、識別部31で識別させる。
【0079】
そして、制御部72は、識別部31の識別結果から、結束対象金種の正常紙幣すなわち整理対象紙幣を、表裏反転が必要でない整理対象紙幣については搬送路61A,61L,61Pで集積部35に、表裏反転が必要な整理対象紙幣については搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61L,61Pで集積部35に、それぞれ搬送させる。これにより、整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出す。なお、識別部31の識別結果から、整理対象紙幣以外のバラ紙幣、すなわち搬送異常のバラ紙幣と金種識別不能を含む結束対象金種以外のバラ紙幣とについては、リジェクト紙幣として、図8に太実線から太一点鎖線で示すように、搬送路61A,61Kによって出金返却部21に繰り出させる。結束単位枚数の整理対象紙幣を集積部35から、昇降搬送部37で搬送させて、結束部38で結束させ、小束出金部39に繰り出させる。
【0080】
指定された整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出すと、制御部72は、引き続き入金部20から繰り出され識別部31で識別および計数されるバラ紙幣について、反転が必要でない整理対象紙幣を、搬送路61A,61L,61Qで集積部36に、表裏反転が必要な整理対象紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61L,61Qで集積部36に、それぞれ搬送する。これにより、指定された整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部36に繰り出させて、上記と同様に、結束部38で結束を行わせ、小束出金部39に繰り出させる。このように第1ローカル整理処理では、整理対象紙幣を複数束出金する場合、集積部35,36に結束単位枚数ずつ交互にバラ紙幣を集積させる。このような第1ローカル整理処理を入金部20に収納されているバラ紙幣がなくなるまで適宜繰り返して、入金部20内のバラ紙幣を全て繰り出させることになる。
【0081】
{第2ローカル整理処理}
操作者が、ローカル整理処理として第2ローカル整理処理を選択し、その操作入力が操作表示部70へなされると、制御部72は、以下の第2ローカル整理処理の制御を行う。
【0082】
図9の太線は、第2ローカル整理処理のルートを示している。この第2ローカル整理処理は、装置外部でバラ紙幣が装填された収納カセット部51からバラ紙幣を一枚ずつ繰り出させ、そのうちの整理対象金種のバラ紙幣のみを、集積部35,36に指定枚数集積させる毎に結束部38で結束させることによって、収納カセット部51内のバラ紙幣を全て繰り出させる処理である。
【0083】
制御部72は、第2ローカル整理処理を開始すると、収納カセット部51の取込繰出部52および搬送部61を駆動する。すると、取込繰出部52は、収納カセット部51のバラ紙幣を最上位置のものから一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、図9に太実線で示すように、搬送路61Aで識別部31に搬送させる。そして、この搬送中に識別部31がバラ紙幣を識別および計数することになる。
【0084】
そして、制御部72は、識別部31の識別結果から、結束対象金種の正常紙幣すなわち整理対象紙幣を、表裏反転が必要でない整理対象紙幣については搬送路61A,61L,61Pで集積部35に、表裏反転が必要な整理対象紙幣については搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61L,61Pで集積部35に、それぞれ搬送させる。これにより、整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出す。なお、識別部31の識別結果から、整理対象紙幣以外のバラ紙幣、すなわち搬送異常のバラ紙幣と金種識別不能を含む結束対象金種以外のバラ紙幣とについては、リジェクト紙幣として、図9に太実線から太一点鎖線で示すように、搬送路61A,61Kによって出金返却部21に繰り出させる。結束単位枚数の整理対象紙幣を集積部35から、昇降搬送部37で搬送させて、結束部38で結束させ、小束出金部39に繰り出させる。
【0085】
指定された整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部35に繰り出すと、制御部72は、引き続き収納カセット部51から繰り出され識別部31で識別および計数されるバラ紙幣について、反転が必要でない整理対象紙幣を、搬送路61A,61L,61Qで集積部36に、表裏反転が必要な整理対象紙幣を、搬送路61Aから搬送路61Nを介して表裏反転部63で表裏反転させた後、搬送路61M,61L,61Qで集積部36に、それぞれ搬送する。これにより、指定された整理対象紙幣を結束単位枚数だけ集積部36に繰り出させて、上記と同様に、結束部38で結束を行わせ、小束出金部39に繰り出させる。このように第2ローカル整理処理でも、整理対象紙幣を複数束出金する場合、集積部35,36に結束単位枚数ずつ交互にバラ紙幣を集積させる。このような第2ローカル整理処理を収納カセット部51に収納されているバラ紙幣がなくなるまで適宜繰り返して、収納カセット部51内のバラ紙幣を全て繰り出させることになる。
【0086】
上記した小束紙幣出金処理、第1ローカル整理処理および第2ローカル整理処理において結束部38により結束処理を行って小束紙幣を作成する場合、制御部72は、以下の結束処理を行う。なお、結束処理を行って小束紙幣を作成する処理としては、小束紙幣出金処理、第1ローカル整理処理および第2ローカル整理処理以外にも、小束紙幣出金処理と同様にして一時貯留収納庫41(A)~41(D)のバラ紙幣を小束紙幣にして紙幣処理装置11から回収する小束紙幣回収処理もある。制御部72は、結束処理を行う場合、すべて同様に以下の結束処理を行う。
【0087】
制御装置部71は、結束テープ締め付け力決定手段74を有している。結束テープ締め付け力決定手段74は、識別部31で識別後に集積部35あるいは集積部36に集積され、昇降搬送部37で結束部38に搬送されてくる、所定枚数分である結束単位枚数分の集積紙幣の各バラ紙幣の識別部31による識別結果に基づいて、結束部38が結束する結束テープTの締め付け力を決定する。
【0088】
記憶部73は、識別部31で識別後に集積部35あるいは集積部36で集積され、昇降搬送部37で結束部38に搬送されてくる集積紙幣のすべてのバラ紙幣の金種と表裏方向と天地方向とを記憶している。ここで、表裏反転部63を有していることから、集積部35,36において、バラ紙幣は、図10(a)に示すように鉛直方向上側が人物像のある表側となり且つ集積部35,36への進入方向前方が人物像の頭のある天側になる向きであるA方向と、図10(b)に示すように鉛直方向上側が表側となり且つ集積部35,36への進入方向前方が地側になる向きであるB方向とが混在する状態となるか、図10(c)に示すように鉛直方向上側が裏側となり且つ集積部35,36への進入方向前方が天側になる向きであるC方向と、図10(d)に示すように鉛直方向上側が裏側となり且つ集積部35,36への進入方向前方が地側になる向きであるD方向とが混在する状態となるか、のいずれかになる。いずれにするかは予め設定されている。ここでは、集積部35,36において、図10(a)に示すA方向と図10(b)に示すB方向とが混在する状態になるものとする。
【0089】
この場合、記憶部73は、集積部35,36に集積される集積紙幣のすべてのバラ紙幣について、金種と共に、それぞれのバラ紙幣が、図10(a)に示すA方向と、図10(b)に示すB方向とのうちのいずれであるのかを記憶している。
【0090】
[結束処理]
結束部38は、図2に示すように、上挟持部材101が上限位置にあり、ユニットフレーム118が下限の待機位置にあって、カッタ123およびヒータ126がともに下限位置にある状態が待機状態となっている。
【0091】
制御部72は、図1に示す集積部35,36のいずれか一方で結束単位枚数(100枚)集積された集積紙幣が、昇降搬送部37で搬送されて上挟持部材101と下挟持部材102との間に搬送されると、この集積紙幣に対して結束処理を行う。
【0092】
結束処理では、まず、制御部72は、ステッピングモータ109を正回転させ、一対のテープ供給ローラ108を正回転させて、一対のテープ供給ローラ108の間に挟まれた結束テープTを送り出させる。すると、結束テープTが一対の挿入ガイド107で案内されながら送り出されることになって、その先端部がユニットフレーム118のテープ案内穴120から出て、テープ巻回ガイド104の開口部105からテープ巻回ガイド104と下挟持部材102との間を通り、テープ巻回ガイド104の内面に沿って移動する。これにより結束テープTが一対の上挟持部材101および下挟持部材102の外側をほぼ一周するように周回する。
【0093】
制御部72は、結束テープTの先端部がテープセンサ113で検出された時点からステッピングモータ109を予め設定された所定のパルス数だけ正回転させる。すると、結束テープTの先端部は、下挟持部材102の下方であって切断接着ユニット116の壁板部119の上端の押さえ部121の上方を越えて、切断接着ユニット116のテープ供給部106とは反対側にある壁板部118に達する手前で停止する。
【0094】
上記のように結束テープTが送り出されると、制御部72は、上挟持部材101を下挟持部材102の方向に下降させ、これら上挟持部材101と下挟持部材102とで集積紙幣を集積方向における両側から挟持させる。すると、集積紙幣は、上挟持部材101および下挟持部材102の形状に倣って上側凸の山形に若干屈曲した状態で上挟持部材101と下挟持部材102とに挟持される。
【0095】
また、制御部72は、上挟持部材101の下降開始と同時に切断接着ユニット116を上昇させて押付位置に位置させ、壁板部119の上端の押さえ部121で結束テープTの先端側を下挟持部材102の下面に強い力で押し付ける。このとき、反対側の壁板部128の上端の位置は壁板部119の押さえ部121よりも若干低くされており、結束テープTを押し上げるものの下挟持部材102の下面に押し付けることはない。
【0096】
そして、上挟持部材101と下挟持部材102とで集積紙幣を挟持しかつ切断接着ユニット116の上端の押さえ部121で結束テープTを下挟持部材102に押し付けた状態で、制御部72は、ステッピングモータ109を逆回転させ、一対のテープ供給ローラ108を逆回転させる。すると、結束テープTは、押さえ部121で先端側が押さえられている一方、テープ供給部106側は切断接着ユニット116のテープ案内穴120を通っており押さえられていないため、結束テープTが一対のテープ供給ローラ108で巻き取られる。これにより、テープ巻回ガイド104の内周面に沿っていた結束テープTの輪が小さくなり、やがて結束テープTは上挟持部材101および下挟持部材102とこれらに挟持された集積紙幣とに巻き付けられて緊張状態となる。テープ供給部106は、一対のテープ供給ローラ108による結束テープTの締め付け力が所定値に達するとトルクリミッタ110が滑る。これにより、結束テープTの締め付け力がトルクリミッタ110で規定される所定値となる。
【0097】
制御部72は、結束テープTの巻き取り開始から、結束テープTが緊張状態になりトルクリミッタ110が滑る状態になったと見なすことができる所定時間経過すると、ステッピングモータ109を若干量正回転させ、一対のテープ供給ローラ108を若干量正回転させて結束テープTを緩めて締め付け量を調整する。その際の制御部72によるステッピングモータ109の正回転の回転量に対応する緩め駆動パルス数を、結束テープ締め付け力決定手段74が決定する。すなわち、結束テープ締め付け力決定手段74は、この緩め駆動パルス数によって決まる結束テープTの締め付け量、言い換えれば、結束テープTの締め付け力を決定する。
【0098】
ここで、結束部38は、集積紙幣の長手方向における中央よりも一側にずれた所定の帯掛け位置に結束テープTを巻き回すことになる。バラ紙幣は、例えばインク量の違いから、図10(a)に示すA方向の紙幣と図10(b)に示すB方向の紙幣とで帯掛け位置の厚さが異なっている。言い換えれば、A方向の紙幣とB方向の紙幣とで帯掛け位置の厚さに差がある。なお、この差は、金種毎に異なる可能性がある。結束テープ締め付け力決定手段74は、結束部38に搬送されてきた集積紙幣のすべてのバラ紙幣の金種と表裏方向と天地方向とを記憶部73から読み出し、これらに基づいて、ステッピングモータ109の緩め駆動パルス数、すなわち緩め駆動パルス数駆動後の結束テープTの締め付け力を以下のように決定する。ステッピングモータ109の緩め駆動パルス数が多いほど、結束テープTの締め付け力は低くなり、小束紙幣の湾曲の度合いが小さくなる。
【0099】
ここで、結束部38の集積紙幣は、図10(a)に示すA方向のバラ紙幣と、図10(b)に示すB方向のバラ紙幣とが混在する状態となる。結束テープ締め付け力決定手段74は、記憶部73のデータから集積紙幣のバラ紙幣のうち、A方向のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上であるか否かを判定する。そして、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、A方向のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上の場合、集積紙幣がA方向であると判定する。他方、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、A方向のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数未満の場合、集積紙幣がB方向であると判定する。この方向判断の基準枚数は、予め金種毎に紙幣処理装置11の実機による実験で割り出されて記憶部73に記憶されている。
【0100】
なお、方向判断の基準枚数は、結束単位枚数である100枚に対して半分の50枚とは限らない。A方向およびB方向のどちらでも巻き強さ(小束紙幣の湾曲量や結束テープTの締め付け力)が同程度になるように、紙幣処理装置11の実機にて様々なパターンを検証して基準枚数を設定する。基準枚数は、金種別に設定可能であり、全金種で共通とすることも可能である。
【0101】
記憶部73には、図11に示すような、複数の設定値1~4のそれぞれについての、千円券のA方向、千円券のB方向、二千円券のA方向、二千円券のB方向、五千円券のA方向、五千円券のB方向、万円券のA方向および万千円券のB方向のそれぞれのステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶されている。この制御テーブルは、予め紙幣処理装置11の実機による実験に基づいて設定されている。ここで、設定値1~4は、保守メニューおよびユーザー設定メニューでの操作表示部70への操作で選択設定可能となっている。その際に、操作者による判断が容易となるように、操作表示部70に、この制御テーブルを表示させる。
【0102】
設定値1においては、集積紙幣がA方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsa1は、A方向の千円券と帯掛け位置の厚さに差があるB方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsb1に対して、例えば駆動パルス数Nsb1以下となり、A方向の二千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nna1は、A方向の二千円券と帯掛け位置の厚さに差があるB方向の二千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nnb1に対して、例えば駆動パルス数Nnb1以下となり、A方向の五千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nga1は、A方向の五千円券と帯掛け位置の厚さに差があるB方向の五千円券であった場合の緩め駆動パルス数Ngb1に対して、例えば駆動パルス数Ngb1以下となり、A方向の万円券であった場合の緩め駆動パルス数Nma1は、A方向の万円券と帯掛け位置の厚さに差があるB方向の万円券であった場合の緩め駆動パルス数Nmb1に対して、例えば駆動パルス数Nmb1以下となっている。
【0103】
設定値2は、設定値1よりも結束テープTの締め付け力が高い設定となっている。設定値2においては、集積紙幣がA方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsa2は、B方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsb2に対して、例えば駆動パルス数Nsb2以下となり、緩め駆動パルス数Nsa1より小さくなっている。また、緩め駆動パルス数Nsb2は、緩め駆動パルス数Nsb1よりも小さくなっている。二千円券についても、例えばNna2≦Nnb2であり、Nna2<Nna1、Nnb2<Nnb1であり、五千円券についても、例えばNga2≦Ngb2であり、Nga2<Nga1、Ngb2<Ngb1であり、万円券についても、例えばNma2≦Nmb2であり、Nma2<Nma1、Nmb2<Nmb1である。
【0104】
設定値3は、設定値2よりも結束テープTの締め付け力が高い設定となっている。設定値3においては、集積紙幣がA方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsa3は、B方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsb3に対して、例えば駆動パルス数Nsb3以下となり、緩め駆動パルス数Nsa2より小さくなっている。また、緩め駆動パルス数Nsb3は、緩め駆動パルス数Nsb2よりも小さくなっている。二千円券についても、例えばNna3≦Nnb3であり、Nna3<Nna2、Nnb3<Nnb2であり、五千円券についても、例えばNga3≦Ngb3であり、Nga3<Nga2、Ngb3<Ngb2であり、万円券についても、例えばNma3≦Nmb3であり、Nma3<Nma2、Nmb3<Nmb2である。
【0105】
設定値4は、設定値3よりも結束テープTの締め付け力が高い設定となっている。設定値4においては、集積紙幣がA方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsa4は、B方向の千円券であった場合の緩め駆動パルス数Nsb4に対して、例えば駆動パルスNsb4以下となり、緩め駆動パルス数Nsa3より小さくなっている。また、緩め駆動パルス数Nsb4は、緩め駆動パルス数Nsb3よりも小さくなっている。二千円券についても、例えばNna4≦Nnb4であり、Nna4<Nna3、Nnb4<Nnb3であり、五千円券についても、例えばNga4≦Ngb4であり、Nga4<Nga3、Ngb4<Ngb3であり、万円券についても、例えばNma4≦Nmb4であり、Nma4<Nma3、Nmb4<Nmb3である。設定値4が、デフォルト値に設定されている。
【0106】
A方向およびB方向のどちらでも巻き強さ(小束紙幣の湾曲量や結束テープTの締め付け力)が同程度になるように、紙幣処理装置11の実機にて様々なパターンを検証して、上記制御テーブルが設定される。
【0107】
結束テープ締め付け力決定手段74は、このようにしてステッピングモータ109の緩め駆動パルス数を決定する。よって、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積部35あるいは集積部36で集積された所定枚数分の集積紙幣の識別部31による識別結果に基づき、方向の異なるバラ紙幣の混合度合いによって結束テープTの締め付け力を決定する。
【0108】
結束テープ締め付け力決定手段74が緩め駆動パルス数を決定すると、制御部72は、ステッピングモータ109を決定された緩め駆動パルス数だけ正回転で駆動して、停止させる。すると、テープ供給ローラ108が停止する。すなわち、制御部72は、結束テープ締め付け力決定手段74が決定した締め付け力に応じた締め付け量となるように結束部38を制御する。
【0109】
その後、制御部72は、押付位置にある切断接着ユニット116内で下限位置にあったカッタ123を支持部材122と共に上限位置まで上昇させる。すると、カッタ123はその上端の切れ刃124がテープ案内穴120の上端のエッジ部分と協働して結束テープTを切断する。
【0110】
結束テープTの切断の直後に近接するヒータ126が結束テープTの切断側部分を下から支持することになる。制御部72は、ヒータ126で結束テープTの切断側部分を、下挟持部材102の下面で上昇が規制された結束テープTの先端側部分に押し付けて熱接着させるようにヒータ126を支持部材122と共に上昇させる。これにより、結束テープTの先端側部分の表面側に切断側部分が熱接着される。そして、ヒータ126の上昇開始後、熱接着が行われたと見なせる所定時間が経過すると、制御部72はカッタ123およびヒータ126を支持部材122と共に切断接着ユニット116に対し下限位置まで下降させると同時に切断接着ユニット116も待機位置まで下降させる。このようにして集積紙幣に結束テープTが巻かれて結束された状態となる。
【0111】
カッタ123およびヒータ126が切断接着ユニット116に対し下限位置まで下降し切断接着ユニット116も待機位置まで下降すると、制御部72は、結束部38で結束された小束紙幣を小束出金部39に排出する。
【0112】
以上に述べた紙幣処理装置11は、結束テープ締め付け力決定手段74が、集積部35,36の所定枚数分の集積紙幣の識別部31による識別結果に基づいて、結束部38が結束する結束テープTの締め付け力を決定し、制御部72が、結束テープ締め付け力決定手段74が決定した締め付け力に応じて結束部38を制御する。よって、紙幣処理装置11は、より適正な締め付け力で結束テープTを締め付けることができるため、結束紙幣の緩巻きなどの結束不良を抑制することが可能となる。
【0113】
また、紙幣処理装置11は、結束テープ締め付け力決定手段74が、集積部35の所定枚数分の集積紙幣の識別部31による識別結果に基づき、方向の異なるバラ紙幣の混合度合いによって結束テープTの締め付け力を決定するため、方向の異なるバラ紙幣の混合度合いが異なる場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。すなわち、同一金種100枚で構成され表裏が揃えられた集積紙幣であっても、一律の集積紙幣の厚みになるとは限らない。例えば、金種が万円券で表面が揃っている場合でも、集積状態となっているバラ紙幣の向きは2パターン(A方向・B方向)があり、この2つの方向の違いのバラ紙幣の混合度合いによって集積紙幣の帯掛け位置の厚さが変わってしまう。紙幣処理装置11は、このような場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。言い換えれば、紙幣処理装置11は、集積紙幣の厚さが一定で無く変化した場合であっても、それに応じて最適な結束力により結束することが可能となる。
【0114】
ここで、海外紙幣では、セキュリティスレッドが施されているバラ紙幣が存在し、特に結束テープTが巻き付けられる帯掛け位置にセキュリティスレッドが重ねられるか否かで集積紙幣の帯掛け位置の厚さが変わる。またA方向およびB方向の混合度合いによっても集積紙幣の帯掛け位置の厚さが変化することが考えられる。このような場合にも、実施形態の制御は有効である。
【0115】
<変形例1>
結束テープ締め付け力決定手段74は、上記実施形態で述べた決定方法にかえて、以下の変形例1のように、結束テープTの締め付け力を決定方法しても良い。
識別部31は、同一金種であっても新旧の世代の異なる券種を識別可能である。結束テープ締め付け力決定手段74は、識別部31により識別された集積部35,36それぞれの所定枚数(100枚)分の集積紙幣の識別結果に基づいて、券種の混合度合いによって結束テープの締め付け力を決定する。
【0116】
この場合も、結束部38の集積紙幣は、新世代のバラ紙幣と、旧世代のバラ紙幣とが混在する状態となる。結束テープ締め付け力決定手段74は、記憶部73のデータから集積紙幣のバラ紙幣のうち、新世代のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上であるか否かを判定する。そして、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、新世代のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上の場合、集積紙幣が新世代であると判定する。他方、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、新世代のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数未満の場合、集積紙幣が旧世代であると判定する。この新旧判断の基準枚数は、上記と同様に、金種毎に予め紙幣処理装置11の実機による実験で割り出されて記憶部73に記憶されている。
【0117】
そして、記憶部73には、千円券の新世代、千円券の旧世代、二千円券の新世代、二千円券の旧世代、五千円券の新世代、五千円券の旧世代、万円券の新世代および万円券の旧世代のそれぞれについて、いずれとなるのかの切り分けの基準枚数およびステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶されている。これらの基準枚数および制御テーブルも、予め紙幣処理装置11の実機による実験に基づいて設定される。
【0118】
このような変形例1では、結束テープ締め付け力決定手段74が、集積部35,36の所定枚数分の集積紙幣の識別部31による識別結果に基づき、券種の異なる紙幣の混合度合いによって結束テープTの締め付け力を決定する。よって、券種の異なるバラ紙幣の混合度合いが異なる場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。すなわち、同一金種100枚で構成され表裏が揃えられた集積紙幣であっても、集積状態となっているバラ紙幣の券種が2パターン(新世代・旧世代)あり、この2つの券種違いのバラ紙幣の混合度合いによって集積紙幣の厚さが変わってしまう。変形例1の紙幣処理装置11は、このような場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。
【0119】
勿論、上記した実施形態と変形例1とを組み合わせても良い。この場合、記憶部73には、千円券のA方向かつ新世代、千円券のA方向かつ旧世代、千円券のB方向かつ新世代、千円券のB方向かつ旧世代、二千円券のA方向かつ新世代、二千円券のA方向かつ旧世代、二千円券のB方向かつ新世代、二千円券のB方向かつ旧世代、五千円券のA方向かつ新世代、五千円券のA方向かつ旧世代、五千円券のB方向かつ新世代、五千円券のB方向かつ旧世代、万円券のA方向かつ新世代、万円券のA方向かつ旧世代、万円券のB方向かつ新世代、万円券のB方向かつ旧世代のそれぞれについて、これらのいずれになるかの切り分けの基準枚数およびステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶される。これらの基準枚数および制御テーブルも、予め紙幣処理装置11の実機による実験に基づいて設定される。
【0120】
<変形例2>
結束テープ締め付け力決定手段74は、上記実施形態で述べた決定方法にかえて、以下の変形例2のように、結束テープTの締め付け力を決定方法しても良い。
【0121】
変形例2では、制御装置部71が、識別部31が識別した識別結果を基にバラ紙幣が未使用の新券であるか使用済みの流通券であるかを判定する新券・流通券判定手段を更に有する。
【0122】
そして、結束テープ締め付け力決定手段74が、集積部35,36それぞれの所定枚数(100枚)分の集積紙幣の、新券・流通券判定手段による判定結果に基づいて、新券および流通券の混合度合いによって結束テープTの締め付け力を決定する。
【0123】
この場合も、結束部38の集積紙幣は、新券のバラ紙幣と、流通券のバラ紙幣とが混在する状態となる。結束テープ締め付け力決定手段74は、記憶部73のデータから集積紙幣のバラ紙幣のうち、新券のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上であるか否かを判定する。そして、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、新券のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数以上の場合、集積紙幣が新券であると判定する。他方、結束テープ締め付け力決定手段74は、集積紙幣のバラ紙幣のうち、新券のバラ紙幣の枚数が所定の基準枚数未満の場合、集積紙幣が流通券であると判定する。この切り分けの基準枚数は、上記と同様に、金種毎に予め紙幣処理装置11の実機による実験で割り出されて記憶部73に記憶されている。
【0124】
そして、記憶部73には、千円券の新券、千円券の流通券、二千円券の新券、二千円券の流通券、五千円券の新券、五千円券の流通券、万円券の新券および万円券の流通券のそれぞれのステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶されている。この制御テーブルにおいては、集積紙幣において新券の割合が所定の基準枚数以上の場合、所定の基準枚数未満の場合よりも緩め量、すなわちステッピングモータ109の緩め駆動パルス数が少なくなるように設定される。この制御テーブルも、予め紙幣処理装置11の実機による実験に基づいて設定される。
【0125】
なお、新券の割合が最も多い第1の範囲、新券の割合が第1の範囲よりも少ない第2の範囲、新券の割合が第2の範囲よりも少なく最も少ない第3の範囲の3つの範囲に切り分けて、緩め駆動パルス数の制御テーブルを作成しても良い。この場合も、新券の割合が多いほど、緩め量は少なくなるように設定されることになる。
【0126】
このような変形例2では、結束テープ締め付け力決定手段74が、集積部35,36の所定枚数分の集積紙幣の新券・流通券判定手段による判別結果に基づき、新券および流通券の混合度合いによって結束テープTの締め付け力を決定する。よって、新券および流通券の混合度合いが異なる場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。すなわち、同一金種100枚で構成され表裏が揃えられた集積紙幣であっても、集積状態となっているバラ紙幣の使用度が2パターン(新券・流通券)あり、この2つの使用度違いのバラ紙幣の混合度合いによって集積紙幣の厚さが変わってしまう。変形例2の紙幣処理装置11は、このような場合に生じる結束紙幣の結束不良を抑制することが可能となる。
【0127】
勿論、上記した実施形態と変形例2とを組み合わせても良い。この場合、記憶部73には、千円券のA方向かつ新券、千円券のA方向かつ流通券、千円券のB方向かつ新券、千円券のB方向かつ流通券、二千円券のA方向かつ新券、二千円券のA方向かつ流通券、二千円券のB方向かつ新券、二千円券のB方向かつ流通券、五千円券のA方向かつ新券、五千円券のA方向かつ流通券、五千円券のB方向かつ新券、五千円券のB方向かつ流通券、万円券のA方向かつ新券、万円券のA方向かつ流通券、万円券のB方向かつ新券、万円券のB方向かつ流通券のそれぞれについて、いずれになるかの切り分けの基準枚数およびステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶される。これらの基準枚数および制御テーブルも、予め紙幣処理装置11の実機による実験に基づいて設定される。
【0128】
更に、上記した実施形態と変形例1と変形例2とを組み合わせても良い。この場合、記憶部73には、例えば、千円券を例にとると、A方向かつ新世代かつ新券、A方向かつ新世代かつ流通券、A方向かつ旧世代かつ新券、A方向かつ旧世代かつ流通券、B方向かつ新世代かつ新券、B方向かつ新世代かつ流通券、B方向かつ旧世代かつ新券、B方向かつ旧世代かつ流通券、のそれぞれについて、全金種分、これらのいずれになるかの切り分けの基準枚数およびステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルが記憶される。
【0129】
ここで、バラ紙幣が新券か流通券かを判定する第1の判定方法には、厚みセンサの検知結果を利用する方法がある。
【0130】
この場合、識別部31は、厚みセンサを備えており、バラ紙幣の厚みを検出可能となっている。
【0131】
新券・流通券判定手段は、識別部31が検出した厚み情報に基づいて、バラ紙幣が新券であるか、流通券であるかを判定する。すなわち、バラ紙幣の厚みが所定値以下であれば新券と判定し、所定値を超えれば流通券であると判定する。
【0132】
なお、ステッピングモータ109の緩め駆動パルス数を決める制御テーブルについては、金種と100枚集積の厚みの累計とで作成することも可能である。厚み情報を紙幣100枚分合算することにより、集積紙幣の厚みが判明するので、当該厚みを所定の閾値により区分けして、ステッピングモータ109の緩め駆動パルス数の制御テーブルを作成する。この方法は、新券・流通券の混合度合いに対応する、集積紙幣(100枚)の厚さを算出して制御テーブルを作成して、これを利用して制御するという方法となる。この方法は、バラ紙幣のそれぞれについての厚みにより新券・流通券を定義する必要もなく、新券・流通券の混合比で区分けするよりも、最適な締め付け力が算出可能である。
【0133】
バラ紙幣が新券か流通券かを判定する第2の判定方法には、連続するバラ紙幣の搬送方向の履歴により判定する方法がある。
【0134】
この第2の判定方法において、新券・流通券判定手段は、識別部31が識別する連続して搬送されるバラ紙幣の識別結果の履歴に基づいて、バラ紙幣が新券であるか、流通券であるかを判定する。
【0135】
例えば、上記バラ紙幣の識別情報に基づいて、搬送方向が所定の複数枚連続で揃っているバラ紙幣であるか否と、記番号が連続しているバラ紙幣であるか否かと、のうちの少なくとも一方によって、新券であるかどうかを判定する。すなわち、搬送方向が所定の複数枚連続で揃っているバラ紙幣である場合、新券であると判定する。また、記番号が連続している場合、新券であると判定する。これらのいずれの条件も満たさない場合、流通券であると判定する。
【0136】
なお、上記した実施形態、変形例1および変形例2の中からいずれかを選択可能とし、いずれを選択するかの選択画面を操作表示部70に表示させ、ユーザーによる選択指示を入力させるようにしても良い。
【0137】
結束テープ締め付け力決定手段74は、結束部38で結束処理を行う集積紙幣について、それを構成するバラ紙幣の、実施形態で述べた方向、変形例1で述べた券種および変形例2で述べた流通状態(新券・流通券)のうちの少なくともいずれか一つについての混合度合いによって、結束テープTの締め付け力を決定する。
【0138】
なお、海外紙幣では、紙の媒体である紙紙幣と、ポリマー素材を使った媒体であるポリマー紙幣とが同一金種で混在する場合も考えられ、この混合度合いによって集積紙幣の厚さが変化することが予想される。この場合、変形例1において、新世代にかえて紙紙幣とし、旧世代にかえてポリマー紙幣として、その混合度合いによって、ステッピングモータ109の緩め駆動パルス数を制御するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0139】
11…紙幣処理装置、31…識別部、35,36…集積部、38…結束部、72…制御部、74…結束テープ締め付け力決定手段、T…結束テープ.
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