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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071362
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】交換可能なポッドを有する履物製品
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/1467 20220101AFI20240517BHJP
   A43B 13/18 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A43B7/1467
A43B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192824
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】63/425,208
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フォーコニエ,シドニー
(72)【発明者】
【氏名】ボナン,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】ジラード,ロメイン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA02
4F050BA36
4F050BA40
4F050EA11
4F050GA20
4F050GA30
4F050HA56
4F050HA63
4F050JA01
4F050KA06
4F050KA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】交換可能なポッドを有するアウトソールおよびミッドソールを含む履物製品に関する。
【解決手段】履物製品は、スタビライザーに取り付けられたアッパーと、アウトソールと、第1のポッドと、第2のポッドとを含む。スタビライザーは下側面と第1の固定機構を有する。アウトソールは、第1の保持機構と内側面とを有する。第1の固定機構は、第1の保持機構によって保持される。下側面と内側面との間の容積がミッドソールキャビティを形成する。ミッドソールキャビティは、第1のポッドと第2のポッドを収容する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側面と第1の固定機構を有するスタビライザーに取り付けられたアッパーと、
第1の保持機構と内側面とを有するアウトソールと、
第1のポッドと、
第2のポッドと、を有し、
前記第1の固定機構は、前記第1の保持機構によって保持されるように構成され、
前記下側面と前記内側面との間の容積がミッドソールキャビティを形成し、
前記ミッドソールキャビティは、第1のポッドと第2のポッドを収容するように構成されている、履物製品。
【請求項2】
前記第1のポッドは第1の底面に対向する第1の上面を有し、前記第2のポッドは第2の底面に対向する第2の上面を有する、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
前記第1のポッドは前記下側面または前記内側面に固定される、請求項2に記載の履物製品。
【請求項4】
前記第1のポッドは接着剤または溶接によって固定される、請求項3に記載の履物製品。
【請求項5】
前記第1の固定機構はタブであり、前記第1の保持機構はタブによって選択的に保持されるように構成される開口部である、請求項1に記載の履物製品。
【請求項6】
前記第1の固定機構は前記アッパーの踵端部で前記第1の保持機構に固定され、前記スタビライザーは前記アッパーのつま先端部でアウトソールに成形される、請求項1に記載の履物製品。
【請求項7】
前記アウトソールは、前記第1の保持機構が前記第1の固定機構によって保持されていないとき、前記スタビライザーに対して回転するように構成される、請求項6に記載の履物製品。
【請求項8】
下側面と第1の固定機構を有するスタビライザーに取り付けられたアッパーと、
第1の保持機構と内側面とを有するアウトソールと、
少なくとも2つのポッドと、を有し、
前記第1の保持機構は、前記第1の固定機構によって選択的に保持されるように構成され、
前記下側面と前記内側面との間の容積が、前方ポッド領域を含むミッドソールキャビティを形成し、
前記前方ポッド領域は、前記少なくとも2つのポッドのうちの1つを収容するように構成され、前記少なくとも2つのポッドのうちの1つは、前記前方ポッド領域内で前記少なくとも2つのポッドのうちの他のポッドと交換されるように構成されている、履物製品。
【請求項9】
前記ミッドソールキャビティは、前記少なくとも2つのポッドのうちの1つを収容するように構成された後方ポッド領域をさらに備える、請求項8に記載の履物製品。
【請求項10】
前記第1の保持機構が前記第1の固定機構に固定されると、前記少なくとも2つのポッドのうちの1つが前記ミッドソールキャビティに保持される、請求項9に記載の履物製品。
【請求項11】
前記少なくとも2つのポッドは、第1のポッド、第2のポッド、および第3のポッドから構成され、前記第3のポッドは、前記第1のポッドまたは前記第2のポッドと交換されるように構成されている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記第1のポッドは第1の剛性を有し、前記第2のポッドは前記第1の剛性よりも高い第2の剛性を有し、前記第3のポッドは前記第2の剛性よりも高い第3の剛性を有する、請求項11に記載の履物製品。
【請求項13】
前記履物製品のクッション効果は、前記第1のポッドを前記第2のポッドまたは前記第3のポッドのいずれかと交換することにより調整できるように構成されている、請求項12に記載の履物製品。
【請求項14】
前記第1のポッドが前記前方ポッド領域に設けられ、前記第2のポッドが前記後方ポッド領域に設けられるとき、前記履物製品の前記後方ポッド領域に伴うクッション効果は、前記第1のポッドを前記第2のポッドと交換することによって調整されるように構成されている、請求項12に記載の履物製品。
【請求項15】
下側面および第1の固定機構を有するスタビライザーに取り付けられたアッパーを提供し、
前記スタビライザーに回動可能に固定され、第1の保持機構および内側面を有するアウトソールを提供し、
第1のポッドを提供し、
第2のポッドを提供する、履物製品のポッドの交換方法。
【請求項16】
前記第1の保持機構を前記第1の固定機構から解放し、前記アウトソールを前記スタビライザーから離れる方向に回動させることをさらに含む、請求項15に記載の履物製品のポッドの交換方法。
【請求項17】
前記第1のポッドと前記第2のポッドとを前記アウトソールまたは前記スタビライザーに固定することをさらに含む、請求項16に記載の履物製品のポッドの交換方法。
【請求項18】
接着剤または溶接を用いて、前記第1のポッドまたは前記第2のポッドを固定する、請求項17に記載の履物製品のポッドの交換方法。
【請求項19】
前記アウトソールを前記スタビライザーに向けて回転させ、前記第1の固定機構を前記第1の保持機構に固定することをさらに含む、請求項18に記載の履物製品のポッドの交換方法。
【請求項20】
前記第1のポッドまたは前記第2のポッドを前記アウトソールまたは前記スタビライザーに固定し、前記第1のポッドおよび前記第2のポッドとは異なる第3のポッドを提供し、前記第1のポッドまたは前記第2のポッドを前記第3のポッドと交換することを含む、
請求項15に記載の履物製品のポッドの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年11月14日に出願された米国仮出願第63/425,208号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、交換可能なポッドを有するアウトソールおよびミッドソールを含む履物製品に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の多くの靴または他の履物製品は、一般に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールとから構成されている。従来の靴は、靴を足に固定する前に使用者の足を受け入れる内部空間、すなわち、アッパーとソールの内面によって形成されるボイドまたはキャビティをさらに含む。ソールはアッパーの下面または境界に取り付けられ、アッパーと地面の間に位置する。その結果、ソールは通常、シューズを履いているときにユーザーに安定性とクッション性を提供する。場合によっては、ソールは、アウトソール、ミッドソール、インソールなどの複数のコンポーネントを含むことができる。アウトソールはソールの底面にトラクションを提供し、ミッドソールはアウトソールの内面に取り付けられ、ソールにクッション性または追加された安定性を提供することができる。例えば、ソールは、ソールに沿った1つまたは複数の所望の位置で安定性を高める特定の発泡体を含んでいてもよいし、発泡材は、使用者が走ったり、歩いたり、別の活動に従事しているときに、足や脚にかかる応力や衝撃エネルギーを低減することができる。ソールはまた、ソール全体の剛性を高め、使用中のエネルギー損失を低減するために、ソールに埋め込まれたプレートなどの追加コンポーネントを含むことができる。
【0004】
アッパーは一般にソールから上方に延び、足を完全にまたは部分的に包む内側のキャビティを画定する。多くの場合、アッパーは足の甲とつま先の領域、および内側と外側の側面を覆って広がっている。多くの履物製品は、アッパーの内側側面と外側側面の隙間を埋めるように甲の部分を横切って伸び、キャビティへの開口部を画定するタンを含むこともある。タンはまた、靴紐システムの下側で、アッパーの内側から外側にわたって配置され、靴の締め付けを調節できるようにすることもできる。タンはさらに、内部空間またはキャビティへの足の出し入れを可能とするために、使用者が操作可能であってもよい。さらに、靴紐システムは、アッパーまたはソールの特定の寸法を調整することを可能にし、それにより、アッパーは、さまざまなサイズおよび形状を有する多種多様な足の型に対応することができる。
【0005】
多くの靴のアッパーは、多種多様な材料で構成されることがあり、それらはアッパーを形成するために用いられ、靴の1つ以上の意図された用途に基づいて使用するために選択することができる。アッパーはまた、アッパーの特定の領域に特化したさまざまな素材からなる部分を含むこともできる。例えば、アッパーの前部や踵領域に隣接して、より高い抵抗力や剛性を提供するために、スタビライザーを追加することが望ましいことがある。これとは対照的に、靴の他の部分には、伸縮抵抗性、柔軟性、通気性、吸湿発散性などの特性を持たせるために、柔らかい織布を含めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の靴は、通常、ミッドソールおよびアウトソールを有しており、これらは、従来の靴においては個別に交換可能または分離されるように設計されていない。アウトソールまたはミッドソールが摩耗すると、従来の靴のほとんどは廃棄される。さらに、従来の靴は一般に、第1のミッドソールを第2のミッドソールに交換する機構を備えていない。その結果、従来の靴は、ミッドソールが提供する性能に制限され、さまざまな有益な構成を提供する複数のミッドソール要素の中から使用者が選択できるように設計されていないため、靴の用途をより幅広く選択することができない。したがって、アウトソールおよび/またはミッドソールの要素を選択的に交換できる履物製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で説明する履物製品は、さまざまな構成を有することができる。履物製品は、アッパーと、アッパーに接続されたソール構造とを有することができる。
【0008】
いくつかの態様において、履物製品は、スタビライザーに取り付けられたアッパーと、アウトソールと、第1のポッドと、第2のポッドとを含む。スタビライザーは下側面と第1の固定機構を有する。アウトソールは第1の固定機構と内側面とを有する。第1の固定機構は、第1の保持機構によって保持されるように構成されている。下側面と内側面との間の容積は、ミッドソールキャビティを形成する。ミッドソールキャビティは、第1のポッドと第2のポッドを収容するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のポッドは、第1の底面に対向する第1の上側面を有し、第2のポッドは、第2の底面に対向する第2の上側面を有する。いくつかの実施形態では、第1のポッドは、下側面または内側面に固定される。いくつかの実施形態では、第1のポッドは、接着剤によって、または溶接によって、下側面または内側面に固定される。いくつかの実施形態では、第1の固定機構はタブであり、第1の保持機構は、タブによって選択的に保持されるように構成された開口部である。いくつかの実施形態では、第1の保持機構はアッパーの踵端で第1の固定機構に固定され、スタビライザーはアッパーのつま先端でアウトソールに成型される。いくつかの実施形態では、アウトソールは、第1の固定機構が第1の保持機構によって保持されていないとき、スタビライザーに対して回転するように構成されている。
【0010】
いくつかの態様において、履物製品が、スタビライザーに取り付けられたアッパーと、アウトソールと、少なくとも2つのポッドとを含む。スタビライザーは下側面と第1の固定機構を有する。アウトソールは、第1の保持機構と内側面とを有する。第1の保持機構は、第1の固定機構によって選択的に保持されるように構成されている。下側面と内側面との間の空間は、前方ポッド領域を含むミッドソールキャビティを形成する。前方ポッド領域は、少なくとも2つのポッドのうちの1つを収容するように構成され、少なくとも2つのポッドのうちの1つは、前方ポッド領域内の少なくとも2つのポッドのうちの他のポッドと交換可能とされている。
【0011】
いくつかの実施形態では、ミッドソールキャビティは、少なくとも2つのポッドのうちの1つを収容するように構成された後方ポッド領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の保持機構が第1の固定機構に固定されると、少なくとも2つのポッドのうちの1つがミッドソールキャビティに保持される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのポッドは、第1のポッド、第2のポッド、および第3のポッドからなり、第3のポッドは、第1のポッドまたは第2のポッドと交換可能に構成されている。いくつかの実施形態では、第1のポッドは第1の剛性を有し、第2のポッドは第1の剛性よりも高い第2の剛性を有し、第3のポッドは第2の剛性よりも高い第3の剛性を有する。いくつかの実施形態において、履物製品の第1のクッション効果は、第1のポッドを第2のポッドまたは第3のポッドと交換することによって変更することができる。いくつかの実施形態では、第1のポッドを前方ポッド領域に挿入し、第2のポッドを後方ポッド領域に挿入することによって、第2のクッション効果を得ることができ、第1のポッドを第2のポッドまたは第3のポッドと交換することによって、第3のクッション効果を得ることができる。
【0012】
いくつかの態様において、履物製品のポッドを交換する方法は、下側面と第1の固定機構とを有するスタビライザーに取り付けられたアッパーを提供することを含む。この方法は、スタビライザーに回動可能に固定され、第1の保持機構と内側面とを有するアウトソールを提供することをさらに含む。さらに、この方法は、第1のポッドと第2のポッドを提供することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、この方法は、第1の保持機構を第1の固定機構から解放すること、およびアウトソールをスタビライザーから離れるように回動させることを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、第1のポッドおよび第2のポッドをアウトソールまたはスタビライザーに固定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、接着剤または溶接を用いて第1のポッドまたは第2のポッドを固定することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アウトソールをスタビライザーに向かって回転させ、第1の固定機構を第1の保持機構に固定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、第1のポッドまたは第2のポッドをアウトソールまたはスタビライザーに固定することと、第1のポッドおよび第2のポッドとは異なる第3のポッドを提供することと、第1のポッドまたは第2のポッドを第3のポッドと交換することとを含む。
【0014】
履物製品の他の態様(その特徴および利点を含む)は、本明細書の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。従って、履物製品のそのような側面はすべて、詳細な説明およびこの概要に含まれることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の一実施形態による、アッパーおよびソール構造を含む右足用の靴として構成された履物製品の底面および内側面の斜視図である。
図2図2は、左足用靴として構成された図1に示す履物製品の上面図である。
図3図3は、アッパーが取り外され、その上に使用者の足骨格構造が重ねられている、左足用の靴として構成された図1に示す履物製品の上面図である。
図4図4は、本開示の一実施形態による、第1のポッドおよび第2のポッドが示された左足用の靴として構成された履物製品の側面の概略図である。
図5図5は、図4に示す履物製品と共に使用するのに適した第1のポッドおよび第2のポッドの斜視図の概略図である。
図6図6は、図4に示す履物製品と共に使用するのに適した第3のポッドおよび第4のポッドの斜視図の概略図である。
図7図7は、第3のポッドおよび第2のポッドが示されている、図4に示す履物製品の側面図の概略図である。
図8図8は、アウトソールと、スタビライザーのタブまたは保持機構から切り離され、アッパーが隠れたスタビライザーとを備えた、図4に示す履物製品の側面図の概略図である。
図9図9は、スタビライザーおよびアウトソールの別の実施形態の側面図の概略図である。
図10図10は、図9に示すスタビライザーおよびアウトソールの斜視図の概略図である。
図11図11は、複数のリブを有する図9に示すスタビライザーおよびアウトソールの斜視図の概略図である。
図12図12は、少なくとも1つの溝を有する2つのポッドが示されている、図11に示すスタビライザーおよびアウトソールの斜視図の概略図である。
図13図13は、本開示の一実施形態による、複数のリブによって固定された少なくとも1つの溝をそれぞれ有する第1のポッドおよび第2のポッドを備えるように構成された、図4に示す履物製品の側面図の概略図である。
図14図14は、それぞれ周辺リップを備えて構成されたスタビライザーとアウトソールの側面図を概略的に示す図である。
図15図15は、ポッドの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明および添付の図面には、靴およびソール構造のさまざまな実施形態または構成が開示されている。靴またはソール構造の実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズを参照して開示されているが、靴またはソール構造の実施形態に関連する概念は、例えば、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、およびトラッククリートを含む、広範囲の履物製品および履物の形態に適用することができる。靴またはソール構造の概念は、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、ヒールなど、非競技用とみなされる履物製品にも適用することができる。履物製品に加えて、本明細書で説明する特定の概念は、ヘルメット、パッドまたは保護パッド、すね当て、および手袋を含む、他の種類の衣料品または他の運動用具にも適用し、組み込むことができる。さらに、本明細書に記載された特定の概念は、クッション、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の一般消費者製品または工業製品に組み込むことができる。従って、本明細書に記載された概念は、さまざまな製品に利用することができる。
【0017】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、本明細書に開示される実施形態を含むことができる履物製品、その他の製造品に使用される典型的な測定および製造手順を通して、これらの手順における不注意な誤りを通して、組成物または混合物を製造するためまたは方法を実施するために使用される成分の製造、供給源または純度の相違を通して、などによって生じることのある数値量の変動を指す。本開示全体を通して、用語「約(about)」および「およそ(approximately)」は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0018】
本開示は、履物製品、および/または履物製品の特定のコンポーネント、例えばアッパーおよび/またはソールまたはソール構造に向けられている。アッパーは、ニットコンポーネント、織布、および/または不織布から構成されてもよい。ニットコンポーネントは糸を編むことによって、織布テキスタイルは糸を織ることによって、そして不織布テキスタイルは一体の不織布ウェブの製造によって作製することができる。ニットテキスタイル(textile)には、経編み、緯編み、平編み、丸編み、および/または他の適切な編み作業によって形成されたテキスタイルが含まれる。ニットテキスタイルは、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、および/またはリブニット構造を有することができる。織布テキスタイルには、例えば、平織、綾織、サテン織、ドビン織、ジャカード織、二重織、および/または二重布織のような多数の織形態のいずれかの方法によって形成されたテキスタイルが含まれるが、これらに限定されない。不織布には、例えば、エアレイド法および/またはスパンレイド法によって作製された織物が含まれる。アッパーは、第1のヤーン、第2のヤーン、および/または第3のヤーンなどのさまざまな材料から構成されてもよく、これらはさまざまな特性またはさまざまな視覚特性を有していてもよい。
【0019】
図1図3は、アッパー102(図1および図2参照)およびソール構造104を含む履物製品100の例示的な実施形態を示す。アッパー102はソール構造104に取り付けられており、これらが一体となって、足を挿入することができる内部キャビティ106(図2参照)を画定している。参考までに、履物製品100は、前足領域108、中足領域110、および踵領域112を画定する。前足領域108は、一般に、つま先、母指球、および中足骨とつま先または指骨とをつなぐ関節を含む足の一部を包む履物製品100の部分に対応する。中足領域110は、前足領域108に近接し隣接しており、一般に、履物製品100のうち、足の土踏まずを包む部分に相当する。踵領域112は、中足領域110に近接し隣接しており、一般に、踵または踵骨、足首、および/またはアキレス腱を含む足の後部を包む履物製品100の部分に対応する。
【0020】
従来の履物におけるアッパーの多くは、継ぎ目の接着または縫合によって接合された複数の要素(例えば、テキスタイル、ポリマー発泡材、ポリマーシート、レザーおよび合成皮革)から形成される。いくつかの実施形態では、履物製品100のアッパー102は、ニット構造またはニットコンポーネントから形成される。さまざまな実施形態において、ニットコンポーネントは、アッパーに異なる特性を提供することができるさまざまな種類のヤーンを組み込むことができる。例えば、アッパー102のある領域は、第1の特性のセットを付与する第1の種類のヤーンから形成されてもよく、アッパー102の別の領域は、第2の特性のセットを付与する第2の種類のヤーンから形成されてもよい。この構成を用いると、アッパー102の異なる領域に対して特定のヤーンを選択することによって、アッパー102の特性がアッパー102全体にわたって変化する可能性を有する。
【0021】
図1および図2を参照すると、アッパー102を構成する材料(複数可)に関しては、特定の種類のヤーンがニットコンポーネントの領域に付与する特定の特性が、ヤーンのさまざまなフィラメントおよび繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存する可能性がある。例えば、綿はニット素材に柔軟な効果、生分解性、あるいは自然な美観を与えることができる。エラスタンとストレッチポリエステルはそれぞれ、ニットコンポーネントに所望の伸縮性と回復性を与えることができる。レーヨンは光沢があり吸湿性のある素材を、ウールは吸湿性を高めた素材を、ナイロンは耐摩耗性のある耐久性のある素材を、ポリエステルは疎水性のある耐久性のある素材を提供することができる。
【0022】
ニットコンポーネントの他の側面も、ニットコンポーネントの特性に影響を与え、所望の特性を提供するために変化させることができる。例えば、ニットコンポーネントを形成するヤーンは、モノフィラメントヤーンまたはマルチフィラメントヤーンを含むことができ、またはヤーンは、各々が2つ以上の異なる材料で形成されるフィラメントを含むことができる。さらに、ニットコンポーネントは、ニットコンポーネントの領域に特定の特性を付与するために、特定の編み工程を用いて形成されてもよい。従って、ヤーンを形成する材料およびヤーンの他の側面の両方が、アッパー102の特定の領域にさまざまな特性を付与するように選択することができる。
【0023】
引き続き図1および図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ニット構造の弾性は、ニット構造に横方向に力が加えられた後の、第1の非伸張状態におけるニット構造の幅または長さと、第2の伸張状態におけるニット構造の幅または長さとの比較に基づいて評価することができる。さらなる実施形態において、アッパー102はまた、追加の構造要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ヒールプレートまたはカバー(図示せず)を踵領域112に設けて、使用者の踵に付加的なサポートを提供することができる。いくつかの実施形態では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標なども、接着剤または熱成形プロセスを使用して外面に適用され、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アッパー102に関連する特性、例えば、ステッチタイプ、ヤーンタイプ、または異なるステッチタイプもしくはヤーンタイプに関連する特性、例えば、弾性、美的外観、厚さ、通気性、または耐スカッフ性を変化させることができる。
【0024】
ソール構造104は、アッパー102に接続または固定され、履物製品100が使用者によって着用されるとき、使用者の足と地面との間に延びる。ソール構造104は、アウトソール、ミッドソール、ヒール、バンプ、および/またはインソールを含むことのできる1つまたは複数のコンポーネントを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造は、使用者にトラクションを提供するとともにソール構造に構造的完全性を提供するアウトソール、クッションシステムを提供するミッドソール、および使用者の土踏まずを支持するインソールを含むことができる。さらに、インソールは、ストローベルボード、前足ボード、ラスティングボードなど、またはそれらの組み合わせであってもよく、インソールはアッパー102とソール構造104との間に設けられてもよく、またはインソールはアッパー102の一部として設けられてもよい。
【0025】
引き続き図1および図2を参照すると、さらに、インソールはアッパーの内部キャビティ内に配置することができ、履物製品を履いている間、使用者の足に直接接触することができる。さらに、アッパーは、例えば、使用者の足とアッパー、ソール、インソールなどとの間の摩擦を低減することによって、および/または吸湿発散特性を提供することによって、快適性を高めることができるライナー(図示せず)を含むこともできる。ライナーは、内部キャビティの全体を覆ってもよいし、その一部だけを覆ってもよい。一部の実施形態では、ライナーをアッパーに固定するため、および/または履物製品に美的要素を提供するために、結合部(図示せず)が内部キャビティの開口部を囲むことがある。
【0026】
図2および図3を参照すると、履物製品100は、外側側面114および内側側面116を画定する。使用者が靴を履いているとき、外側側面114は履物製品100の外側に面する部分に対応し、一方、内側側面116は履物製品100の内側に面する部分に対応する。このように、履物製品は、対向する外側側面114と内側側面116を有する。内側側面116と外側側面114は、図1の長手方向軸線Lと共平面である履物製品100の長手方向中心面または中心軸118に沿って互いに隣接している。本明細書でさらに説明されるように、中心軸118は、履物製品100の内側側面116と外側側面114との間の中央の中間軸を画定することができる。別の言い方をすれば、中心軸118は、履物製品100の後側の近位端120と履物製品100の前側の遠位端122の間に延び、履物製品100の中敷124、ソール構造104、および/またはアッパー102の中間を連続的に画定してもよく、すなわち、中心軸118は、踵領域112の後側の近位端120を通って前足領域108の前側の遠位端122まで延びる直線軸である。
【0027】
図3を参照すると、特に指定がない限り、履物製品100は、前足領域108、中足領域110、および踵領域112によって画定することができる。前足領域108は、一般に、一組の足指または指骨128、拇指球130、および足126の一組の中足骨134と一組の足指または指骨128とを連結する一組の関節132を含む足126の部分を包む履物製品100のつま先部に対応することができる。中足領域110は前足領域108に近接して隣接している。中足領域110は、一般に、足126の土踏まず136を包む履物製品100の部分と、足126の土踏まず138とに対応している。踵領域112は中足領域110に近接しており、中足領域110に隣接している。踵領域112は、一般に、踵骨または踵骨140、足首(図示せず)、および/またはアキレス腱(図示せず)を含む、足126の後方部分を包む履物製品100の部分に対応している。
【0028】
図1および図2を参照すると、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および外側側面114は、履物製品100の境界または領域を画定することを意図している。そのため、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および外側側面114は、一般的に履物製品100の一部を特徴付ける。本開示の特定の態様は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および/または外側側面114のうちの1つ以上と同程度の部分または要素を指す場合がある。さらに、アッパー102およびソール構造104の両方が、前足領域108、中足領域110、踵領域112内に、および/または内側側面116および/または外側側面114に沿った部分を有することを特徴としてもよい。したがって、アッパー102およびソール構造104、ならびに/またはアッパー102およびソール構造104の個々の部分は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、および/または内側側面116および/または外側側面114に沿って配置される部分を含むことができる。
【0029】
図2および図3を参照すると、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および外側側面114が詳細に示されている。前足領域108は、つま先端部142から履物製品100の最も幅の広い部分144まで延びている。最も幅の広い部分144は、つま先端部142の遠位部から、つま先端部142の反対側にある踵端部148の遠位部まで延びる、中心軸118に対して垂直な第1のライン146に沿って画定されるか、または測定される。中足領域110は、履物製品100の最も幅の広い部分144から最も薄い部分150まで延びている。履物製品100の最も薄い部分150は、中心軸118に対して垂直な第2のライン152を横切って測定された履物製品100の最も薄い部分として画定される。踵領域112は、最も薄い部分150から履物製品100の踵端部148まで延びている。
【0030】
前述の説明を考慮すれば、当業者には数多くの変更が明らかであり、その個々のコンポーネントを数多くの履物製品に組み込むことができることを理解すべきである。従って、履物製品100およびそのコンポーネントの態様は、前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および/または外側側面114の境界は、履物製品の間で異なる可能性があることを理解した上で、履物製品100の一般的な領域または部分を参照して説明することができる。しかしながら、履物製品100の態様およびその個々のコンポーネントは、履物製品100の正確な領域または部分を参照して説明することもでき、本明細書における添付の特許請求の範囲は、本明細書で説明する前足領域108、中足領域110、踵領域112、内側側面116、および/または外側側面114のこれらの境界に関連する制限を組み込むことができる。
【0031】
引き続き図2および図3を参照すると、内側側面116は、遠位端であるつま先端部142から始まり、前足領域108に沿って中足領域110に向かって履物製品100の内側に沿って外側に弓なりになっている。内側側面116は第1のライン146に達し、その点で内側側面116は中心軸118に向かって内側に弓なりに曲がる。内側側面116は、第1のライン146、すなわち最も幅の広い部分144から、第2のライン152、すなわち最も幅の薄い部分150に向かって伸びており、その点で、すなわち第1のライン146を横切ると、内側側面116は中足領域110に入り込む。第2のライン152に達すると、内側側面116は、中心軸118から離れて外側に湾曲し、そのポイントで、内側側面116は踵領域112内に延びる、すなわち、第2のライン152と交差する。その後、内側側面116は外側に反り、次に踵端部148に向かって内側に反り、内側側面116が中心軸118に接する点で終端する。
【0032】
外側側面114はまた、遠位端であるつま先端部142から始まり、前足領域108に沿って中足領域110に向かって履物製品100の外側に沿って弓なりになっている。外側側面114は第1のライン146に達し、その点で外側側面114は中心軸118に向かって、内側に弓なりに曲がっている。外側側面114は、第1のライン146、すなわち最も幅の広い部分144から、第2のライン152、すなわち最も幅の薄い部分150に向かって延び、そのポイントで外側側面114は中足領域110に入り、すなわち第1のライン146を横切る。第2のライン152に達すると、外側側面114は、中心軸118から離れて外側に湾曲し、そのポイントで、外側側面114は、第2のライン152と交差して踵領域112内に延びる。その後、外側側面114は外側に反り、次に踵端部148に向かって内側に反り、外側側面114が中心軸118に接する地点で終端する。
【0033】
図2を参照すると、アッパー102は、外側側面114および内側側面116に沿って、前足領域108、中足領域110、および踵領域112を横切って延び、使用者の足を収容して包む。完全に組み立てられたとき、アッパー102は内側面154と外側面156も含む。アッパー102の内側面154は内側を向き、一般に内部キャビティ106を画定し、アッパー102の外側面156は外側を向き、一般にアッパー102の外周または境界を画定する。アッパー102はまた、履物製品100の踵領域112に少なくとも部分的に位置する開口部158を含み、この開口部は内部キャビティ106への出入口を提供し、この開口部を通して足を出し入れすることができる。いくつかの実施形態では、アッパー102は、踵領域112の開口部158から足の甲に対応する領域にわたって前足領域108に近接する領域まで延びる甲領域160も含むことができる。甲領域160は、本実施形態のタン162が配置される領域と同様の領域を構成することができる。いくつかの実施形態では、アッパー102はタン162を含まない、すなわち、アッパー102はタンレスである。
【0034】
図1を参照すると、ソール構造104はミッドソール164とアウトソール166とを含む。アウトソール166は、踵領域112、中足領域110、および前足領域108にわたって、ソール構造104の底端または底面168を画定することができる。さらに、アウトソール166は、ソール構造104の接地係合部分であってもよいし、接地係合面を含んでもよく、そのインソールとは反対側であってもよい。図1に示されるように、アウトソール166の底面168は、さまざまな形状および構成を含むことができるトレッドパターン170を含んでいてもよい。アウトソール166は、ソール構造104に耐久性、耐摩耗性、耐摩耗性、またはトラクションを付与するために、1つまたは複数の材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、アウトソール166は、任意の種類のエラストマー材料、例えば、熱硬化性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーを含むゴム、または熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成することができる。いくつかの実施形態では、アウトソール166は最大95までのショアA硬度を規定することができる。さらに、アウトソール166は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち、付加製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造することができる。
【0035】
ミッドソール164は、例えばポリウレタン(PU)などの熱可塑性ポリウレタン材料、および/またはエチレン酢酸ビニル(EVA)、そのコポリマー、または同様の種類の材料から個別に構成されてもよい。他の実施形態では、ミッドソール164は、EVA-ソリッド-スポンジ(ESS)材料、EVA発泡体(例えば、PUMA(登録商標)ProfoamLiteTM、IGNITE発泡体)、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、オルガノシート、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンなど)、または超臨界発泡体であってもよい。ミッドソール164は、単一のポリマー材料であってもよいし、EVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、および/またはオレフィンブロックコポリマーなどの材料の混合物であってもよい。PEBA材料の一例はPRBAX(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ミッドソール164は、射出モールド、加硫、層ごとの印刷、すなわち、付加製造システムまたは方法などを含むプロセスによって製造することができる。
【0036】
図1を参照すると、ミッドソール164が超臨界発泡プロセスから形成される実施形態では、超臨界発泡体は、オートクレーブ、射出成形装置、または超臨界流体(例えば、CO、N、またはそれらの混合物)と、好ましくは溶融している材料(例えば、TPU、EVA、ポリオレフィンエラストマー、またはそれらの混合物)との混合を処理することができる、十分に加熱/加圧された容器内で行われる。例示的なプロセスの間、超臨界流体および溶融材料の溶液は、加圧された容器内に送り込まれ、その後、容器内の圧力が解放され、超臨界流体の分子が急速に気体に変換して材料内に小さなポケットを形成し、材料が発泡体に膨張する。さらなる実施形態では、ミッドソール164は、膨張プレス、射出機、ペレット膨張工程、冷間発泡工程、圧縮モールド技術、型抜き、またはそれらの任意の組み合わせの使用を含む、この技術分野で公知の代替方法を使用して形成することができる。例えば、ミッドソール164は、超臨界ガスを使用して材料を発泡させる初期発泡工程を含み、その後、特定の形状に圧縮成形または型抜きする工程を使用して形成することができる。
【0037】
図4を参照すると、履物製品200の別の実施形態は、アッパー204と、タン208と、紐212と、アッパー204に固定されたスタビライザー216とを有する。スタビライザー216は、溶接、接着剤、縫製、オーバーモールディング、締まりばめ、または当業者に理解され得る他の技術によってアッパー204に固定される。スタビライザー216は、前足領域108に位置するつま先端部142および踵領域112に位置する踵端部148においてアウトソール220に固定されるか、またはアウトソール220と一体的に形成される。いくつかの実施形態では、スタビライザー216をアウトソール220から分離するにはスタビライザー216またはアウトソール220のいずれかを損傷する必要があるように、スタビライザー216を溶接、接着剤、縫製、オーバーモールディング、または当業者に理解される他の技術によってアウトソール220に固定することができる。スタビライザー216は、下側面228を有するスタビライザー本体224を備える。
【0038】
図4の図示の実施形態では、アウトソール220はつま先端部142でスタビライザー216と一体的に形成され、踵端部148でスタビライザー216に締まりばめによって取り外し可能に取り付けられている。スタビライザー216は、第1の保持機構236(図4参照)によってアウトソール220の踵端部148に固定されるように構成された第1の固定機構232を有することができる。図4では、第1の固定機構232はタブであり、第1の保持機構236は開口部である。しかしながら、他の実施形態では、第1の保持機構236は、フック、留め金、またはスナップフィットで構成されたキャップとすることができ、第1の固定機構232は、フック、留め金、またはキャップを締まりばめで保持するように構成された固定具とすることができる。第1の保持機構236は、第1の固定機構232に選択的に固定されるように構成される。一実施形態では、第1の固定機構232は締まりばめによって第1の保持機構236内に保持される。スタビライザー216、アウトソール220、またはその両方の組み合わせは、第1の保持機構236を第1の固定機構232に固定、連結、保持するのに十分な可撓性を有するだけでなく、第1の保持機構236を第1の固定機構232から取り外し、交換、または切り離すのに十分な可撓性を有する。
【0039】
スタビライザー216とアウトソール220は、さまざまな構成に従って互いに取り付けられてもよいことが意図される。例えば、第1の固定機構232はアウトソール220に設けられてもよく、第1の保持機構236はスタビライザー216に設けられてもよく、スタビライザー216の一部がアウトソール220(図示せず)によって収容されてもよい。加えて、または代替的に、第1の固定機構232および第1の保持機構236は、つま先端部142に設けられてもよく、または履物製品200の他の領域に沿って設けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1の固定機構232は、特に締まりばめ、ねじ切り、ラッチ、ループ、または磁気要素によって第1の保持機構236内に保持される。引き続き図4を参照すると、アウトソール220は、1つのセグメント244と内側面248とを含むアウトソール本体240を含む。スタビライザー216は、長手方向軸線L(図1参照)と平行な長手方向で測ったときに、第1の長さ252を有し、アウトソール220は、長手方向に第2の長さ254を有する。第1の長さ252は第2の長さ254よりも短い。いくつかの実施形態では、アウトソール220がつま先端部142および踵端部148でスタビライザー216に固定されるとき、アウトソール220は少なくとも1つの突起(nub)256を有する。アウトソール220がつま先端部142および踵端部148でスタビライザー216に固定されているとき、内側面248の少なくとも一部は、スタビライザー216の下側面228から垂直に測った第1の間隔258または高さだけ間隔を空けている。第1の間隔258は、下側面228の長さおよび幅に沿って高さが変化してもよい。第1の間隔258の変化は、スタックの高さ、すなわち履物製品200における使用者の足と地面との間の距離の調整の変化に対応することが理解されるであろう。
【0040】
少なくとも1つ突起256は、アウトソール本体240の少なくとも1つのセグメント244の突出部であり、最初はつま先端部142または踵端部148に向かって延び、次につま先端部142または踵端部148の他方に向かって延びるように方向を変える。少なくとも1つの突起256は、アウトソール220の上部突起部材262と下部突起部材264との間にサスペンションキャビティ260を形成するアウトソール220の半円形または丸みを帯びた凸状に湾曲した突起を含む。上部突起部材262と下部突起部材264は、上部突起部材262と下部突起部材264の間に位置する中央部突起部材266に対して撓むように構成されている。さらに、上部突起部材262および下部突起部材264は、使用中に互いに対して相対的に変位するように構成されており、圧縮状態では、上部突起部材262および下部突起部材264は、中央部突起部材266に対して回転し、サスペンションキャビティ260を介して互いに対して垂直方向に変位するなどして、例えば並進することにより、圧縮状態(図示せず)に向かうように構成されている。
【0041】
図4に示された実施形態の上部突起部材262および下部突起部材264は、圧縮された状態(図示せず)で互いに接触してもよい。圧縮が解除されると、上部突起部材262および下部突起部材264は、例えば、少なくとも1つの突起256における中央部突起部材266に対して回転し、互いに移動するように変位させ、並進することによって静止状態に戻り、それによって、少なくとも1つの突起256およびそのサスペンションキャビティ260を膨張させることができる(図4参照)。図示さている実施形態では、少なくとも1つの突起256は履物製品200の最後部を形成し、アウトソール220の上部突起部材262と下部突起部材264との間で凸状に湾曲している。従って、中央部突起部材266は、履物製品200の最後部に配置され、踵端部148に近接するアッパー204の完全に後方に間隔をあけて配置されている。いくつかの実施形態では、中央部突起部材266は、履物製品200の踵端部148においてアッパー204と同軸に配置されてもよく、または、中央部突起部材266は、踵端部148に近接するアッパー204の前方に配置されてもよい。第1の間隔258は、スタビライザー216の下側面228に垂直に延びるアウトソール220の内側面248に沿って測った長さである。すなわち、アウトソール220はスタビライザー216から第1の間隔258だけ離れている。第1の間隔258は内側面248の長さおよび幅に沿って変化してもよい。スタビライザー216の下側面228とアウトソール220の内側面248は、スタビライザー216とアウトソール220の間にミッドソールキャビティ268を画定する。ミッドソールキャビティ268の形状は、少なくとも1つの突起256および第1の間隔258によって部分的に画定される。
【0042】
引き続き図4を参照すると、ミッドソールキャビティ268は、第1または前方ポッド領域272と、第2または後方ポッド領域276とを画定している。しかし、ミッドソールキャビティ268は、追加のポッド位置(図示せず)を有するように構成されてもよい。第1のポッド280は、前方ポッド領域272または後方ポッド領域276のいずれかに収容されるように構成され、第2のポッド284は、前方ポッド領域272または後方ポッド領域276に収容されるように構成される。いくつかの実施形態では、第3のポッド288(図6参照)は、前方ポッド領域272または後方ポッド領域276のいずれかに収容されるように構成され、第4のポッド292(図6参照)は、前方ポッド領域272または後方ポッド領域276に収容されるように構成される。すなわち、第1のポッド280、第2のポッド284、第3のポッド288、および第4のポッド292の各々は、前方ポッド領域272と後方ポッド領域276との間で交換可能であってもよい。図4図6を参照すると、第1のポッド280、第2のポッド284、第3のポッド288、または第4のポッド292は、前方ポッド領域272、後方ポッド領域276、またはその両方に収容されるように構成される。例えば、前方ポッド領域272および後方ポッド領域276は両方とも、第1のポッド280のうちの1つによって占有されることができる。第1のポッド280、第2のポッド284、第3のポッド288、および第4のポッド292は、ミッドソールキャビティ268内で交換可能または交換できるように構成されている。ただし、いくつかの実施形態では、4つ以上の異なるポッド280、284、288、292が利用可能であってもよい。本明細書において、ポッド領域272、276は、集合的にまたは個別に、ポッド位置として参照することができることが理解されるであろう。
【0043】
図4図6を参照すると、ポッド280、284、288、292の各々は、上面300、下面304、前面308、後面312、外側面316、および内側面320を有するポッド本体296を備える(図5および図6参照)。いくつかの実施形態または構成においては、上面300はスタビライザー216の下側面228に接触するように構成され、下面304はアウトソール220の内側面248に接触するように構成される。いくつかの実施形態または構成においては、上面300はアウトソール220の内側面248に接触し、下面304はスタビライザー216の下側面228に接触していてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれのポッド280、284、288、292が前方ポッド領域272または後方ポッド領域276に収容されるとき、それぞれのポッド280、284、288、292は、それぞれのポッド280、284、288、292の上面300に溶接または接着剤を塗布することによってスタビライザー216の下側面228に固定される。それぞれのポッド280、284、288、292が前方ポッド領域272または後方ポッド領域276に収容される場合、それぞれのポッド280、284、288、292は、それぞれのポッド280、284、288、292の下面304に溶接または接着剤を塗布することによって、アウトソール220の内側面248に固定することができる。
【0044】
それぞれのポッド280、284、288、292は、溶接または接着剤によって固定された後、ポッド本体296を内側面248または下側面228から切断またはこじ開ける(図示せず)ことによって取り外しまたは分離することができる。これは、第1の固定機構232を第1の保持機構236から解放し、アウトソール220をスタビライザー216から離れるように回転させることによって容易に行うことができる。その後、ポッド本体296を取り外すことができる。新しいポッド280、284、288、292を下側面228または内側面248に固定するか、前方ポッド領域272と後方ポッド領域276との間で入れ替えることができる。その後、アウトソール220をスタビライザー216に向かって回転させ、第1の固定機構232を第1の保持機構236に固定することができる。その後、さまざまなポッド280、284、288、292が下側面228と内側面248の両方に接触する。このようにして、履物製品200全体を廃棄することなく、さまざまなポッド280、284、288、292の交換、取り替え、または取り外しを行うことができる。
【0045】
図4図6を参照すると、ポッド280、284、288、292の各々は、剛性、反発力、変形、硬さ、および内側または横方向の支持の異なる特性量を有することができる。ポッド280、284、288、292は、例示的な履物製品100のミッドソール164によって提供されるクッション性と同様に、履物製品200にクッション性を提供する手段として機能することができる。例えば、ポッド280、284、288、292は、履物製品200の剛性、反発力、変形、および使用者が足踏みをするときに経験する全体的な剛性またはクッション効果の量を変更するために、交換、取り替え、または取り外すことができる。例えば、ポッド280、284、288、292の大きさは調節可能であってもよい。ポッド280、284、288、292は、履物製品200の第1の間隔258を増減させるために、拡張または収縮、もしくは交換または再配置されてもよく、これは積み重ねの高さ、すなわち履物製品200の中の使用者の足と地面との間の距離の変化に対応する。いくつかの実施形態において、ポッド280、284、288、292は、使用者の異なる生体力学を考慮してもよい。ポッド280、284、288、292は、必要に応じて配置され、また、カスタマイズされてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザーは、ソール構造104の前足領域108または踵領域112の剛性または高さを調整することができる。ポッド280、284、288、292は、履物製品200のより大きな部分を収容するために拡張することができる。
【0046】
図4および図7に図示された実施形態では、ミッドソールキャビティ268は、スタビライザー216の下側面228、アウトソール220の内側面248、および前方ポッド領域272の間に位置するつま先端キャビティ324を画定する。前方ポッド領域272に収容されるポッド280、284、288、292の前面308は、つま先端キャビティ324に面している。いくつかの実施形態では、ミッドソールキャビティ268は、スタビライザー216の下側面228、アウトソール220の内側面248、前方ポッド領域272、および後方ポッド領域276の間に位置する中足キャビティ328を画定する。後方ポッド領域276に受容されるポッド280、284、288、292の前面308および前方ポッド領域272に収容されるポッド280、284、288、292の後面312は、中足キャビティ328に面している。いくつかの実施形態では、ミッドソールキャビティ268は、スタビライザー216の下側面228、アウトソール220の内側面248、および後方ポッド領域276の間に位置する踵端キャビティ332を画定する。後方ポッド領域276に収容されるポッド280、284、288、292の後面312は、踵端キャビティ332に面している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突起256は、踵端キャビティ332またはつま先端キャビティ324の境界の一部を画定する。少なくとも1つの突起256が踵端キャビティ332またはつま先端キャビティ324の境界の一部を画定するとき、サスペンションキャビティ260は、対応する踵端キャビティ332またはつま先端キャビティ324を形成する空間の容積の一部である。いくつかの実施形態では、ポッド280、284、288、292は、ソール構造104に隠されているか、または埋め込まれていてもよい。
【0047】
図5および図6に図示された実施形態では、ポッド本体296のうちの1つ以上は、図1図3に図示された例示的な履物製品100のミッドソール164と同じ材料で作製されている。いくつかの実施形態では、それぞれのポッド280、284、288、292のそれぞれのポッド本体296の1つ以上は、それぞれのポッド280、284、288、292の別のものとは異なる材料で作製されている。いくつかの実施形態において、それぞれのポッド280、284、288、292のそれぞれのポッド本体296のうちの少なくとも1つは、オーゼティック材料を含む。オーゼティック材料およびその特性に関する考察は、2019年10月21日に出願され、2021年4月22日に米国特許公開第2021/0112917A1号として現在公開されている出願62/923,909に記載および開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれられる。オーゼティック材料は、負のポアソン比を示す材料によって部分的に特徴付けられ、プログラム可能に変形可能に構成されてもよい。オーゼティック材料を含むそれぞれのポッド本体296は、複数のキャビティまたは空洞336を画定する。複数の空洞336は、それぞれのポッド本体296によって生成することができるプログラム可能な変形を部分的に画定する。
【0048】
複数の空洞336の2つの特徴は、複数の空洞336の各々の大きさと、および複数の空洞336の各々の方向が含まれる。それぞれのポッド本体296が、第2のポッド284のような、複数の空洞336の各々についての第1の大きさ340を有し、これが、第3のポッド288のような、異なるそれぞれのポッド本体296の複数の空洞336についての第2の大きさ344と異なるとき、2つのそれぞれのポッド284、288のクッション効果またはプログラム可能な変形は、異なることがある。図6を参照すると、それぞれのポッド本体296が、第3のポッド288のような複数の空洞336のそれぞれについて、第4のポッド292のような異なるそれぞれのポッド本体296の複数の空洞336についての第2の方向352とは異なる第1の方向348を有するとき、2つのそれぞれのポッド288、292のクッション効果またはプログラム可能な変形は、異なっていてもよい。
【0049】
図4図7のそれぞれを参照すると、さまざまなポッド280、284、288、292の間のプログラム可能な変形またはクッション効果の違いは、ポッド280、284、288、292のうちの1つを別のポッド280、284、288、292と交換する、入れ替える、または取り替えることによって履物製品200に適用することができる。さらに、異なるサイズのポッド280、284、288、292を前方ポッド領域272および後方ポッド領域276に挿入できるように、ミッドソールキャビティ268内に空間を有することによって、アウトソール220は、同じミッドソールキャビティ268内に異なるサイズのポッド280、284、288、292を収容することができる。例えば、図4の履物製品200は、同じアウトソール220を使用しながら、サイズ9、10または11の男性用サイズの履物製品200を収容できるように構成されてもよい。異なるサイズのポッド280、284、288、292は、つま先端キャビティ324を大きくまたは小さくし、中足キャビティ328を大きくまたは小さくし、踵端キャビティ332を大きくまたは小さくし、ミッドソールキャビティ268の突起256を大きくまたは小さくする。履物製品200の異なるサイズに対応するためのこの汎用性は、アウトソール220および特定の状況ではポッド280、284、288、292の在庫量をより少なくすることにつながる可能性がある。
【0050】
いくつかの実施形態において、履物製品200は、アッパー204、ソール構造104またはアウトソール220、第1のポッド280、第2のポッド284、および第3のポッド288を有する。アウトソール220は、踵端部148またはつま先端部142のいずれかでアッパー204に取り外し可能に取り付けられている。第1のポッド280は、前足領域108内でアウトソール220とアッパー204との間に収容されるように構成されていてもよい。第2のポッド284は、踵領域112内でアッパー204とアウトソール220の間に収容されるように構成されてもよい。第3のポッド288は、第1のポッド280または第2のポッド284と交換できるように構成されていてもよい。いくつかの態様において、履物製品200においてポッド280、284、288、292を交換する方法は、下側面228および第1の固定機構232を有するスタビライザー216に取り付けられたアッパー102を提供することを含む。本方法は、スタビライザー216に回動可能に固定され、第1の保持機構236および内側面154を有するアウトソール220を提供することをさらに含む。さらに、本方法は、第1のポッド280および第2のポッド284を提供することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、第1の保持機構236を第1の固定機構232から解放し、アウトソール220をスタビライザー216から離れるように回動させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、第1のポッド280および第2のポッド284をアウトソール220またはスタビライザー216に固定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、接着剤または溶接を用いて第1のポッド280または第2のポッド284を固定することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アウトソール220をスタビライザー216に向かって回転させ、第1の固定機構232を第1の保持機構236に固定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、第1のポッド280または第2のポッド284をアウトソール220またはスタビライザー216に固定することと、第1のポッド280および第2のポッド284とは異なる第3のポッド288を提供することと、第1のポッド280または第2のポッド284を第3のポッド288と交換することとを含む。いくつかの実施形態において、第1のポッド280は、第2のポッド284の特性とは異なる特性を有し、これは、第3のポッド288の特性とは異なっている。例えば、第1のポッド280の特性は第1の剛性であってよく、第2のポッド284の特性は第2の剛性であってよく、第1の剛性は第2の剛性よりも剛性が低い。第1のポッド280の特性は、第1のポッド280が発泡材料で作製されることであってもよく、第2のポッド284の特性は、第2のポッド284が、プログラム可能な変形を有する複数の空洞336を画定するオーゼティック材料で作製されることであってもよい。
【0051】
引き続き全般的に図4図7を参照すると、履物製品200の着用者が前傾しているとき、前方ポッド領域272のポッド280、284、288、292は、履物製品200の着用者が直立または中立位置にあるときよりも多くの支持を提供する。履物製品200の着用者が後方に傾いているとき、例えば、履物製品200の踵端部148が足踏みの間に最初に地面に接触するところでは、後方ポッド領域276のポッド280、284、288、292は、履物製品200の着用者が直立または中立位置にあるときよりも多くの支持を提供する。それぞれのポッド280、284、288、292は、それぞれのポッド280、284、288、292が両方のポッド位置272、276に収容されるように構成されていると仮定して、前方ポッド領域272または後方ポッド領域276に所望に応じて割り当てることができるので、履物製品200は、さまざまな異なる所望のプログラム可能な変形構成に適応するように構成することができる。例えば、履物製品200の靴製造者が、テニスをプレーするために構成され最適化された履物製品200と、マラソンを走るために構成され最適化された別の履物製品200とを提供したいと望む場合、ポッド280、284、288、292の一方または両方を別のポッド280、284、288、292と交換するだけで、異なるプログラム可能な変形またはクッション効果を達成することができる。履物製品200のクッション効果は、第1のポッド280を第2のポッド284または第3のポッド288のうちの1つと交換することによって調整できるように構成されている。第1のポッド280が前方ポッド領域272に設けられ、第2のポッド284が後方ポッド領域276に設けられる場合、履物製品200の後方ポッド領域276に関連するクッション効果は、第1のポッド280を第2のポッド284と交換することによって調整されるように構成される。いくつかの実施形態において、ポッドの配置は、新たなクッション効果を達成する。本明細書において、クッション効果とは、反発性、減衰性、エネルギー回収、柔軟性、推進力、および剛性の特性を指す。
【0052】
図8を参照すると、図示された履物製品200は、アウトソール220とスタビライザー216とがつま先端部142において一体的に形成または固定されており、第1の保持機構236は踵端部148において第1の固定機構232から切り離されている。本実施形態では、第1の固定機構232はスタビライザー216上にあり、第1の保持機構236はアウトソール220上にある。アウトソール220はスタビライザー216のつま先端部142に位置するつま先軸356を中心に回動することができる。第3のポッド288および第2のポッド284は、アウトソール220の内側面248に固定され、スタビライザー216の下側面228から切り離されているか、または固定されていない状態で示されている。いくつかの実施形態において、ポッド280、284、288、292は、接着剤を除去することによって、またはそれぞれのポッド280、284、288、292の溶接材料(図示せず)を下側面228から切り離すことによって、スタビライザー216の下側面228から分離され、開放形状360を形成する。開放形状360は、それぞれのポッド280、284、288、292のうちの少なくとも1つを、アウトソール220の内側面248から切り離すことによって取り外し、交換、または交換することができ、あるいはそれぞれのポッド280、284、288、292のうちの少なくとも1つを、スタビライザー216の下側面228に再接続または再連結するために準備することができる。所望に応じて、第1の固定機構232を第1の保持機構236に再装着または再接続する。このようにして、履物製品200全体を廃棄することなく、それぞれのポッド280、284、288、292を交換または交換することができる。
【0053】
図9を参照すると、スタビライザー216およびアウトソール220の異なる実施形態が図示されており、スタビライザー216は、踵端部148に第1の固定機構232を有し、つま先端部142に第2の固定機構364を有する。アウトソール220は、踵端部148に第1の保持機構236を有し、つま先端部142に第2の保持機構368を有する。第1の固定機構232は踵端部148で第1の保持機構236に固定されるように構成されており、第2の固定機構364はつま先端部142で第2の保持機構368に固定されるように構成されている。アウトソール220は、少なくとも1つの突起256およびサスペンションキャビティ260を有し、それぞれ第1の保持機構236および第2の保持機構368に選択的に固定する際に、第1の固定機構232および第2の固定機構364の動きを容易にする。アウトソール220の第2の長さ254は、スタビライザー216とアウトソール220との間に形成されるミッドソールキャビティ268が前方ポッド領域272と後方ポッド領域276の両方を収容できるように、スタビライザー216の第1の長さ252よりも長い。いくつかの実施形態では、第1の保持機構236(図8参照)、第2の保持機構368、またはその両方がアウトソール220上に配置される。いくつかの実施形態では、第1の固定機構232、(図8参照)第2の保持機構368、またはその両方がスタビライザー216上に配置される。図9の図示の実施形態では、ポッド280、284、288、292はアウトソール220の内側面248に固定され、スタビライザー216の下側面228は、アウトソール220、スタビライザー216、またはアッパー204を廃棄することなく、取り外し、交換、または交換することができる。さらに、アウトソール220はスタビライザー216に接続されていないため、アッパー204とスタビライザー216を維持したままアウトソール220を廃棄して交換することもできる。
【0054】
図10図12を参照すると、第1の固定機構232および第2の固定機構364はそれぞれ、固定フランジ幅376を有する固定フランジ372を有する。固定フランジ372は、固定ベース幅384を画定する固定ベース380から延びている。図示さている実施形態では、第1の保持機構236および第2の保持機構368は、つま先端部142または踵端部148に対して斜めに配向されてもよく、これにより、第1の保持機構236および第2の保持機構368の保持を強化することができる。固定ベース380はスタビライザー本体224のアッパー表面388から延びている。第1の固定機構232は後方端392に隣接して配置され、第2の固定機構364は前方端396に隣接して配置される。一体に結合または組み立てられたとき、スタビライザー216の後方端392および前方端396は、アウトソール本体240の反対側の端部に配置される。いくつかの実施形態では、第1の保持機構236および第2の保持機構368は楕円形またはスロット形状であり、アウトソール220の内側面248からアウトソール220の外側面400まで延びている。アウトソール220は、第2の側壁408に対向する第1の側壁404を有し、楕円形またはスロット形状の第1の保持機構236および第2の保持機構368の最も広い直径が保持機構幅412を形成する。固定フランジ幅376は、保持機構幅412よりも広い固定ベース幅384よりも広い。他の実施形態では、固定ベース幅384と保持機構幅412は同じ幅であってもよいし、固定ベース幅384は保持機構幅412より狭くてもよい。
【0055】
図11および図12に示される実施形態では、アウトソール本体240は、内側面248に沿ってアウトソール220の第1の側壁404から第2の側壁408まで延びる複数のリブ416を含む。複数のリブ416の各々は、遠位端428および近位端432を含む。遠位端428は近位端432よりも幅広である。図示された実施形態では、遠位端428と近位端432は、第1の側壁404から第2の側壁408まで延びている。遠位端428は、中央開口部436を有し、この開口部は、内側面440を画定する。内側面440は、遠位端428を通って延びる内部キャビティ452をさらに画定し、これにより遠位端428の可撓性が増大する。いくつかの実施形態において、遠位端428は、中央開口部436を有しない。近位端432は、遠位端428をアウトソール本体240の内側面248に接続する。近位端432は、内側面248に対して曲がるのに十分な可撓性を有するように構成されている。
【0056】
図11および図12の図示の実施形態では、スタビライザー216は外側エッジ444および内側エッジ448を有し、いくつかの実施形態では、複数のリブ416はスタビライザー216の外側エッジ444から内側エッジ448までアウトソール220に向かって延びている。しかし、いくつかの実施形態では、複数のリブ416は、外側エッジ444、内側エッジ448、またはその両方まで延びていなくてもよい。複数のリブ416がスタビライザー216から延びるとき、近位端432は遠位端428をスタビライザー本体224の下側面228に接続し、近位端432は下側面228に対して曲がるのに十分な可撓性を有するように構成される。
【0057】
図12を参照すると、ポッド280、284、288、292のうちの少なくとも1つのポッド本体296は、複数のリブ416のうちの少なくとも1つを保持するように構成された溝幅460を有する少なくとも1つの溝456を有するように構成されている。溝幅460は、ポッド本体296の外側面316に沿った少なくとも1つの溝456の最も広い寸法である。少なくとも一つの溝456は、ポッド本体296の外側面316から内側面320まで延びている。少なくとも1つの溝456は、ポッド本体296の上面300または下面304のいずれかを通って延びている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溝456を有するポッド280、284、288、292は、ポッド280、284、288、292がアウトソール220またはスタビライザー216に保持されるように、複数のリブ416の上を滑るように構成されている。ポッド本体296の少なくとも1つの溝456は、スタビライザー216またはアウトソール220の複数のリブ416に、あるいはその両方に、溶接によって、または接着剤によって固定することができる。図示さている実施形態では、スタビライザー216の外側エッジ444およびアウトソール220の第1の側壁404は、スタビライザー216の内側エッジ448およびアウトソール220の第2の側壁408がポッド280、284、288、292の内側面320に位置合わせされているとき、ポッド280、284、288、292の外側面316に位置合わせされている。いくつかの実施形態では、ポッド280、284、288、292のそれぞれのスタビライザー216およびアウトソール220の側壁404、408またはエッジ444、448のうちの少なくとも1つは、履物製品200の外側側面114および内側側面116に対して、内側に収まるように構成され、内側に窪んでいてもよい。ポッド280、284、288、292は、接着剤または溶接によってポッド本体296の上面300および下面304を固定することに加えて、複数のリブ416がポッド280、284、288、292の対応する溝456によって保持されることによって、スタビライザー216(図13参照)およびアウトソール220に固定されてもよい。
【0058】
図13を参照すると、図示の実施形態の履物製品200は、前方ポッド領域272に第1のポッド280を有し、後方ポッド領域276に第2のポッド284を有する。複数のリブ416のうちの2つは、スタビライザー216の下側面228から延びて、第1のポッド280および第2のポッド284の上面300のそれぞれの溝456に挿入される。アウトソール220は、第1のポッド280および第2のポッド284の下面304のそれぞれの溝456に挿入されるようにアウトソール220の内側面248から延びる複数のリブ416のうちの4つを有する。図示さている実施形態では、第1のポッド280および第2のポッド284は、接着剤または溶接によってアウトソール220の内側面248およびスタビライザー216の下側面228に固定されている。接着剤または溶接は、複数のリブ416を対応する溝456に固定するために用いてもよい。複数のリブ416の各々の内部キャビティ452は、履物製品200の外側側面114から内側側面116まで延びている。
【0059】
図14に示される実施形態を参照すると、スタビライザー216は、外側エッジ444に沿って下側面228から下方に突出する第1の周辺リップ464を含み、アウトソール220は、第2の側壁408に沿って内側面248から上方に突出する第2の周辺リップ468を含む。第1の周辺リップ464はスタビライザー216と一体的に形成され、スタビライザー216と比較して相対的に剛性が高くなるように、剛性が低くなるように、または同程度の剛性を有するように構成することができる。第2の周辺リップ468はアウトソール220と一体的に形成され、アウトソール220と同程度の剛性を持つように、相対的に剛性が高くなるように、剛性が低くなるように、または同程度の剛性を持つように構成することができる。第1の周辺リップ464および第2の周辺リップ468は、アウトソール220またはスタビライザー216に固定されると、ポッド280、284、288、292が横方向にずれるのを防ぐ障壁を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、スタビライザー216は、第1の周辺リップ464が外側エッジ444ではなく内側エッジ448に配置されていてもよく、または第1の周辺リップ464が外側エッジ444および内側エッジ448の両方から延びていてもよい。いくつかの実施形態では、アウトソール220は、第2の側壁408よりもむしろ第1の側壁404上に配置された第2の周辺リップ468を有してもよいし、第1の側壁404および第2の側壁408の両方から延びる第2の周辺リップ468を有してもよい。第1の周辺リップ464および/または第2の周辺リップ468は、実質的につま先端部142から踵端部148まで延びるように図示されているが、第1の周辺リップ464および第2の周辺リップ468は、スタビライザー216またはアウトソール220の全長よりも短く延びていてもよい。さらに、第1の周辺リップ464および/または第2の周辺リップ468は、スタビライザー216またはアウトソール220のいずれかに向かって延びているが接触しないように構成されていてもよい。あるいは、第1の周辺リップ464および/または第2の周辺リップ468は、スタビライザー216またはアウトソール220のいずれかに接触するように構成されていてもよい。第1の周辺リップ464および/または第2の周辺リップ468の高さまたは形状は、平坦、波状、ギザギザ、起伏、または曲線に構成することができる。
【0060】
図5図6および図15を参照すると、ポッド280、284、288、292は、異なる方向で履物製品200に取り付けられるように構成されている。ポッド280、284、288、292の各々は、ポッド本体296の重心、すなわち幾何学的中心を通って上面300および下面304と交差するように延びる第1の中心軸またはZ軸472を規定する。さらに、ポッド280、284、288、292の各々は、ポッド本体296の重心を通って延びて前面308および後面312と交差する第2の中心軸またはX軸844を規定する。X軸484はZ軸に直交して配置される。さらに、ポッド280、284、288、292の各々は、重心を通って外側面316および内側面320と交差するように延びる第3の中心軸またはY軸480を規定する。Y軸480は、X軸484およびZ軸472に直交して配置される。ポッド280、284、288、292の各々は、それぞれのZ軸472、X軸484、またはY軸480、またはそれらの組合せを中心に回転することができる。図示された実施形態において、ポッド280、284、288、292は、Z軸472、X軸484、またはY軸480のうちの1つまたは複数に関して非対称であり、回転による再配向が、質量、機能特性または特徴、形状、サイズ、および外観の分布を調整するようになっている。いくつかの実施形態において、ポッド280、284、288、292の再配向は、第1の間隔258を調整することができ、従って、履物製品200の積み重ね高さを調整することができる。例えば、ポッド280、284、288、292の再配向は、1つ以上の方向(例えば、横方向から内側方向またはつま先から踵方向)に第1の間隔258を調整することができる。さらに、ポッド280、284、288、292の向きを変えて、異なるデザインまたは色を表示したり、異なる領域で支持または剛性を提供したり、異なるバイオメカニクスに対応したり、あるいはそれらを組み合わせたりすることができる。ポッド280、284、288、292の方向を変えることによって、使用者は、異なる種類の履物製品200および異なるサイズの履物製品200に同じポッド280、284、288、292を使用することができる。いくつかの実施形態では、ポッド280、284、288、292は、ソール構造104に露出してデザインまたはロゴを見せることができる。いくつかの態様では、ポッド280、284、288、292を回転させて、外側面316、内側面320、上面300、下面304、前面308、または後面312のいずれかに異なるデザイン要素を見せることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポッド280、284、288、292のうちの1つ以上は、例えば、電池、コンデンサ、圧電変換器、またはアウトソール220もしくはスタビライザー216内のような履物製品200内のソケットもしくは電気接点(図示せず)と直接的もしくは間接的に結合することができる任意の適切なエネルギー源のような電力貯蔵装置(図示せず)を含む。履物製品200は、例えば、視覚的通信もしくは表示、音声通信もしくは再生、センサーを介したデータ収集に基づく測定もしくは検出、無線通信、認証、電力貯蔵もしくはエネルギーハーベスティング、クッション効果、またはそれらの組み合わせなどのさまざまな機能を提供するために、それに埋め込まれ、または取り付けられ、ポッド280、284、288、292の電源(図15参照)と動作可能に結合された電気回路(図示せず)を含んでもよいことが意図さている。ポッド280、284、288、292のいずれかが、電気回路の他のコンポーネント(図示せず)、例えば、ディスプレイユニット、スピーカユニット、通信ユニット、センサーまたはトランスデューサ、認証ユニット、またはそれらの組み合わせを含むことができることがさらに意図さている。認証ユニットは、電子タグ、例えばNFCまたはRFIDタグ、または機械可読コード、または一意に配置された磁気素子、またはそれらの組み合わせを含むことができることが意図さている。さらなる実施形態において、ポッド280、284、288、292または履物製品200の1つ以上は、2023年7月5日に出願された米国特許出願第18/218,539号、2023年7月27日に出願された米国特許出願第18/227,009号、および2023年7月31日に出願された米国特許出願第18/228,114号に記載された靴における電子的特徴のような、異なる電子的特徴を含むことができる。
【0062】
他の実施形態では、他の構成が可能である。例えば、上述の説明において特定の実施形態に関して示した特定の特徴および特徴の組み合わせは、他の実施形態および他の組み合わせにおいて適宜用いることができる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれかは、他の実施形態に関連して開示される構造または方法論のいずれかを含むように変更することができる。さらに、本開示は、具体的に示された種類の履物製品に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物製品の態様は、任意の種類の履物、アパレル、または他の運動用具と協働するように変更することができる。
【0063】
前述したように、本発明を特定の実施形態および実施例に関連して上述したが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、数多くの他の実施形態、実施例、使用、変更、および実施形態、実施例および使用からの逸脱が、本明細書に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者には理解されるであろう。本明細書において引用される各特許および刊行物の開示の全体は、かかる各特許または刊行物が個別に本明細書に参照により組み込まれるかのように、参照により組み込まれる。本発明のさまざまな特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に対する数多くの変更は、前述の説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。従って、本明細書は例示的なものとしてのみ解釈され、当業者が本発明を製造および使用できるようにする目的で提示される。添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更に対する排他的権利は留保される。
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【外国語明細書】