(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071378
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】清掃シート収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240517BHJP
A47L 13/17 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47L13/17 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023201129
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2022193159
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517284670
【氏名又は名称】西村六兵衛株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522468766
【氏名又は名称】有限会社グローバルビジョン
(72)【発明者】
【氏名】久本 豊
(72)【発明者】
【氏名】西村 富太郎
【テーマコード(参考)】
3B074
3E014
【Fターム(参考)】
3B074AA08
3B074AB05
3B074CC03
3E014LB03
3E014LB04
(57)【要約】
【課題】ロール状に巻かれた清掃シートを一般的な取出し方法「引上げる」だけで、ミシン目から1枚ずつ切離し取出すことのできる容器の提供。
【解決手段】清掃シートを保管する容器であって、前記清掃シートを前記容器の軸方向に引出す取出し口を備えており、前記取出し口は、基礎面と前記基礎面に形成されて前記シートが引出せるスリットを有し、前記基礎面は、前記基礎面の法線と前記軸方向とのなす角度が10°から90°の範囲に設定され、前記スリットは前記基礎面の傾斜方向と同一の方向に延在することを特徴とする清掃シート収納容器。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃シートを保管する容器であって、前記清掃シートを前記容器の軸方向に引出す取出し口を備えており、前記取出し口は、基礎面と前記基礎面に形成されて前記シートが引出せるスリットを有し、前記基礎面は、前記基礎面の法線と前記軸方向とのなす角度が10°から90°の範囲に設定され、前記スリットは前記基礎面の傾斜方向と同一の方向に延在することを特徴とする清掃シート収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前記清掃シートを引出す取出し口を備えた清掃シート収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれたウエットシートに代表される清掃シートは、取出し口が設けられた容器に収納されている。取出し口は、円筒形や角型の容器の上部に蓋をする形で取付けられ、清掃シートは取出し口から引出される。清掃シートは、一定の間隔でミシン目が入れられており、取出し口から引出されるときにミシン目から分断され、1枚ずつ引出される。清掃シートの取出し口は、ミシン目での分離を良好にするため、円形や星形などの貫通孔、十字形状などのスリットを設けたものが提案されている。しかしながらこの提案では、ミシン目で切れる場合もあれば、切れずに後続の清掃シートが引出されること、ねじれで詰まってしまい引出せなくなることも発生している。このため、特許文献1では、取出し口が容器の軸方向に対して角度をつけており、丸穴を通り、傾斜した取出し面とのこすれによりミシン目からの切取りが容易になる案が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
一定の間隔でミシン目が入れられロール状に加工された清掃シートは、引出すときにロールの巻き方向にねじれながら取出し口を通って取出される。ねじれが清掃シートを絡めてしまうこともしばしば起こり、その場合、特許文献1の提案、丸穴が開いているだけであれば、そこで詰まってしまい出なくなる。
【0005】
特許文献1では、清掃シートをミシン目で切れやすくすることだけを目的としているからである。
【0006】
この様な従来の技術に対し、本発明の目的は、一定の間隔でミシン目が入れられ、ロール状に巻かれたウエットシートに代表される清掃シートの取出しにおいて、ねじれて絡まったものを解くこと、ミシン目で切断可能にすることを実現する取出し口を備えた容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
清掃シートを保管する容器であって、前記清掃シートを前記容器の軸方向に引出す取出し口を備えており、前記取出し口は、基礎面と前記基礎面に形成されて前記シートが引出せるスリットを有し、前記基礎面は、前記基礎面の法線と前記軸方向とのなす角度が10°から90°の範囲に設定され、前記スリットは前記基礎面の傾斜方向と同一の方向に延在することを特徴とする清掃シート収納容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の取出し口を備えた容器を使用することで、清掃シートは必ず基礎面に開けられた容器軸方向のスリットを通ることとなり、そのスリットがねじれ絡まった清掃シートを解き、清掃シートが詰まって取出せないことを解消する。
【0009】
また、基礎面の傾斜方向と同一の方向に開けられたスリットにより、その頂点で大きな摩擦抵抗が発生し、引出した清掃シートと後続の清掃シートとは、後続の清掃シートの先端がスリットを通過した直後にミシン目で切離される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】取出し口斜視図(スリットから清掃シートを取出す様子)
【
図4】取出し口断面図(基礎面の法線と軸方向とのなす角度)
【
図6】取出し口断面図(清掃シートがミシン目でちぎれる様子)
【
図8】スリットの形成方向として適さないものの明示
【発明を実施するための形態】
【0011】
図を用いて本発明の実施形態を説明する。
図3は、本発明の一実施形態である取出し口断面図と容器の斜視図である。清掃シートは、例えば医療機関において、ドアノブ、椅子、机などを拭く用途で使用され、薬液含浸済み清掃シートに用いる不織布は、パルプ、コットン、レーヨンを混紡し、切断しやすいものが提案されている。
【0012】
薬液含浸済み清掃シートに使用される薬液は、アルコール、逆性石鹸であり、パルプ、コットン、レーヨンを混紡した不織布でも液剤の劣化が少ない。
【0013】
しかしながら、医療の現場ではエンベロープを有しないノロウイルスへの対策が重要であり、患者の嘔吐物処理には、1000ppmの塩素系薬剤(次亜塩素酸ナトリウム)で処理することが必須であり、薬液含浸済み清掃シートに使用される薬液は、次亜塩素酸ナトリウムであることが求められている。
【0014】
次亜塩素酸ナトリウムは、パルプ、コットン、レーヨンを混紡した不織布に含浸すると有効塩素濃度が速やかに低下(分解)してしまうので、除菌性能を長期間維持できないため、薬液含浸済みの除菌用ウエット清掃シートというものは存在しなかった。
【0015】
近年、不織布製造の技術が向上し、ポリエステルのみで構成された不織布を使用し、次亜塩素酸ナトリウム含浸済み除菌用ウエット清掃シートが開発され、提案されている。
【0016】
ただし、ポリエステル単独で構成される清掃シートは、従来からある取出し口では上方向に引き抜いても非常に丈夫でありミシン目から切断されない。
【0017】
切断するには、上方向ではなく、横から斜め上に引出すことを強要される。
【0018】
患者対応に忙しく追われる医療機関では、取出し方にとらわれることなく、通常の取出し方と同様に「引上げる」だけで使用できる清掃シートが求められている。
【0019】
そのため、スリットが形成された基礎面を有する取出し口を容器の軸方向に対して、角度をつけてセットしておくことで、不織布がスリットに次々に導かれ、その斜めに傾斜したスリットにより上方向に引出すだけでテンションがかかり、ミシン目から清掃シートを切断することができる。
【0020】
さらに、一定の間隔でミシン目が入れられ、ロール状に巻かれたウエットシートは、上部に引抜くとロール中心部からねじれ絡まった状態になるが、スリットがその絡まりを解し、スムーズに取り出すことができようになる。
【0021】
医療機関において、ドアノブ、椅子、机などを拭く薬液含浸済み除菌用ウエット清掃シートに使用する薬液には、次亜塩素酸ナトリウムが求められている。
【0022】
そのため、近年、不織布の製造の技術が向上し、清掃シートにポリエステルのみで構成された不織布を使用し、次亜塩素酸ナトリウム含浸済み除菌用ウエット清掃シートが開発され提案されているが、詰まって取出せない、ミシン目で切れにくいという課題があった。
【0023】
本発明により、通常の取出し方と同様に「清掃シートを引上げる」という動作を変えることなく、患者対応に忙しく追われる医療機関での手間を削減し、特に日々、次亜塩素酸ナトリウムを不織布に含浸しながら使用している医療機関での効果は大きい。
【0024】
少しでも患者さんと向き合う時間を確保したい医療機関での導入が一気に進むと考えている。
【0025】
図1、
図2は、取出し口3の斜視図である。清掃シート用の容器全体は、容器5と一方の端部を塞ぐ蓋部材である取出し口3を備えている。容器5と蓋部材である取出し口3は、いずれもポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂材料で形成されている。容器5は、底付きの略円筒形状の容器であり、軸方向の一方の端部が開口している。蓋部材である取出し口3は、容器5の端部の開口部を覆っており、内部に収納した清掃シートが乾燥するのを防いでいる。
図2に示す通り、清掃シートは基礎面2に開けられたスリット1を通り引出される。ここで基礎面2とは、取出し口3中央部に設けられた略円形の面であり、スリット1とは、基礎面2に設けられた筋状の貫通口である。
【0026】
図3は、容器5の斜視図と取出し口3の断面図である。容器5の軸方向8は、矢印で示している。基礎面2は、
図4に示す通り、基礎面2の法線10と前記軸方向8とのなす角度が10°から90°の範囲に設定される。
【0027】
ロール状に巻かれた清掃シートは、ロールの中心から引出され、必ず渦巻き状にねじれて引出される。その時でも
図5のようにスリット1を開けておけば、スリット1の摩擦抵抗により清掃シートのねじれが解かれて引き出せる。また、
図6のようにスリット1の摩擦抵抗により清掃シートが規則的に切断される。
【0028】
但し、ここで一番肝心なのは、スリット1が
図7のように基礎面2の傾斜方向と同一の方向11に開けられることであり、例えば一文字、十字に開けられたスリットの場合でも
図8のように基礎面2の傾斜方向と同一の方向11に開けられていないと、あまりに大きい摩擦(横に一文字の場合)、スリット1がクロスする部分での引っ掛かり(傾けられた十字の場合)により引出すこと自体が難しい。
図7のように基礎面2の傾斜方向と同一の方向11にスリット1が開けられることにより、通常の取出し方「清掃シートを引上げる」だけで常に清掃シートがスリット1に導かれスムーズに取出しができる。
【0029】
図9のように基礎面2の傾斜方向と同一の方向11にスリット1が開けられていればよく、スリット1の形状は、一文字、十字、スリット+丸穴、スリット+四角穴、スリット+三角穴でも構わない。
【符号の説明】
【0030】
1 スリット
2 基礎面
3 取出し口
4 引出された清掃シート
5 容器
6 ロール状に巻かれた清掃シート
7 ミシン目
8 容器の軸方向
9 基礎面の法線と軸方向とのなす角度
10 基礎面の法線
11 基礎面の傾斜方向と同一の方向
12 一文字のスリット(基礎面の傾斜方向に90°傾いて交わる例)
13 十字のスリット(基礎面の傾斜方向に45°傾いて交わる例)