(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007139
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240111BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108391
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】新舘 均
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄裕
(72)【発明者】
【氏名】秋谷 安司
(72)【発明者】
【氏名】佐野 達郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬間 信幸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事の分野において、デジタル技術を用いて各工事現場から得られる情報を活用可能とする。
【解決手段】工事現場の現場情報を収集する現場情報収集部10と、現場情報を蓄積する情報蓄積部20と、を少なくとも有する工事支援システムである。現場情報には(a)使用製品情報、(b)作業映像情報、(c)作業実績情報、(d)設計管理値情報、(e)作業結果情報、(f)工具管理情報、(g)現場環境情報または(h)所要時間情報などが含まれており、これらの現場情報を用いて、故障リスクの算出、不具合原因の推定、作業者の技能評価および作業改善資料の生成等に活用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事用の工事支援システムであって、
工事現場の現場情報を収集する、現場情報収集部と、
前記現場情報を蓄積する、情報蓄積部と、
を少なくとも有することを特徴とする、
電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項2】
前記現場情報に基づいて、工事現場での使用製品の経年故障リスクを算出する、故障リスク算出部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項3】
前記現場情報に基づいて、工事現場での不具合原因を推定する、不具合原因推定部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項4】
前記現場情報に基づいて、作業者の技能を評価する、作業者評価部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項5】
前記現場情報に基づいて、工事現場での作業改善情報を生成する、作業改善情報生成部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項6】
作業者の現在地情報を収集する、現在地情報収集部と、
前記現場情報および前記現在地情報に基づいて、工事現場を担当する作業者を選定する、作業者選定部、を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項7】
前記作業者と、工事現場外の作業支援者との間で、視覚的およびまたは聴覚的な情報伝達を可能とする、情報伝達部を更に有することを特徴とする、
請求項1に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項8】
前記現場情報が、(a)使用製品情報、(b)作業映像情報、(c)作業実績情報、(d)設計管理値情報、(e)作業結果情報、(f)工具管理情報、(g)現場環境情報および(h)所要時間情報、を含むことを特徴とする、
請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項9】
電力ケーブル延線工事または接続工事用の工事支援システムであって、
工事現場の現場情報を収集する、現場情報収集部と、
作業者の現在地情報を収集する、現在地情報収集部と、
前記現場情報を蓄積する、情報蓄積部と、
前記現場情報に基づいて、工事現場での経年故障リスクを算出する、故障リスク算出部と、
前記現場情報に基づいて、工事現場での不具合原因を推定する、不具合原因推定部と、
前記現場情報に基づいて、作業者の技能を評価する、作業者評価部と、
前記現場情報に基づいて、工事現場での作業改善情報を生成する、作業改善情報生成部と、
前記現場情報および前記現在地情報に基づいて、工事現場を担当する作業者を選定する、作業者選定部と、
前記作業者と、工事現場外の作業支援者との間で、視覚的およびまたは聴覚的な情報伝達を可能とする、情報伝達部と、
を少なくとも有することを特徴とする、
電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【請求項10】
前記作業者が装着する、ウェアラブルカメラと、
前記作業者が保有する、情報処理端末と
ネットワークを介して情報の送受信を可能に構成した、サーバと、
を少なくとも具備し、
前記現場情報が、(a)使用製品情報、(b)作業映像情報、(c)作業実績情報、(d)設計管理値情報、(e)作業結果情報、(f)工具管理情報、(g)現場環境情報および(h)所要時間情報、を含み、
前記ウェアラブルカメラが、前記現場情報収集部として、前記(b)作業映像情報を収集し、
前記情報処理端末が、前記現場情報収集部および前記現在地情報収集部として、前記(a)使用製品情報、(c)作業実績情報、(d)設計管理値情報、(e)作業結果情報、(f)工具管理情報、(g)現場環境情報、(h)所要時間情報、および現在地情報を収集し、
前記サーバが、前記情報蓄積部として、前記現場情報および現在地情報を蓄積する、
ことを特徴とする、
請求項9に記載の電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル延線工事または電力ケーブル接続工事用の工事支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設業において、デジタル技術を導入することで、工事日数の短縮や、コストの削減、技能労働者の減少に伴う補完等の実現が期待されている。
例えば、特許文献1には、ステレオカメラによる撮影データを用いて工事の進捗状況を把握する施工管理システムが開示されている。
また、特許文献2には、重機の位置をGPSにて特定しながら建設工事の施工管理を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-186551号公報
【特許文献2】特開2007-162223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、建設業法上、電気工事業に属する、電力ケーブルの延線工事や電力ケーブルの接続工事の分野では、上記したデジタル技術の導入が順調に進んでいない、という実情がある。
【0005】
よって、本発明は、電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事の分野において、デジタル技術を用いて各工事現場から得られる情報を活用可能とする手段の提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明は、電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事用の工事支援システム(以下、単に「工事支援システム」ともいう。)であって、工事現場の現場情報を収集する、現場情報収集部と、前記現場情報を蓄積する、情報蓄積部と、を少なくとも有するよう構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事の分野において、各工事現場から得られる情報をビッグデータとして活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る工事支援システムの全体構成を示す図。
【
図2】実施例2に係る工事支援システムの全体構を示す成図。
【
図7】実施例3に係る工事支援システムの全体構成を示す図。
【
図8】実施例4に係る工事支援システムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
なお、本発明は、各実施例で説明した各部のうち、少なくとも何れか1つを含んだ構成や、各部の全てを含んだ構成も権利範囲に含まれる。
また、本発明は、各部を、ハードウェアおよびソフトウェアを任意に組み合わせて実現することができるほか、各部を個別の装置とする構成や、複数の各部を一つの装置に組み込んで一体化した構成等を採用することもできる。
また、本発明において、現場の数、各部の数、各部の配置場所、各現場における構成の異同は特段限定しない。
【実施例0010】
<1>全体構成(
図1)
図1に、本発明の実施例1に係る工事支援システムの全体構成を示す。
本実施例に係る工事支援システムは、現場情報収集部10および情報蓄積部20を具備しており、両者は互いに、ネットワークを介して情報の送受信を可能に構成している。
以下、各部の詳細について説明する。
【0011】
<2>現場情報収集部(
図1)
現場情報収集部10は、工事現場の現場情報を収集する機能を有する。
現場情報収集部10は、工事現場に派遣されている作業者が保有する情報処理端末(ノートPC、タブレット、スマートフォン)にインストールされたアプリケーション、情報処理端末のWEBブラウザ上で実行されるWEBアプリケーション、情報処理端末に組み込まれているハードウェアの制御プログラム等によって実現することができる。
【0012】
<2.1>現場情報
現場情報とは、工事現場で収集可能な情報である。
工事現場で収集可能な情報とは、いわゆる5W3Hに相当する以下に示す情報を対象とすることができる。
・When(いつ):作業日時など
・Where(どこで):作業場所、作業環境など
・Who(誰が):作業者
・What(何を):工事現場で使用する製品名や工事名など
・Why(なぜ):工事の目的(新規布設、ケーブル張替、解体など)
・How(どのように):作業内容、作業件数など
・How many(どれくらい):作業時間、作業数量(ケーブル何条延線、ケーブル端末何個敷設)、作業人数など
・How much(いくら):製品価格、工事費用など
【0013】
現場情報をカテゴリ別に分類した際の一例を以下に説明する。
なお、各現場情報には、いわゆる、ハッシュタグとも呼ばれる検索ワード(例:#○○○)を付加してもよい。
【0014】
(a)使用製品情報
使用製品情報とは、工事現場において使用する製品や部品の追跡等に使用される情報である。
使用製品情報には、ロット番号、諸元情報、生産時期情報などが含まれる。
使用製品情報は、ロット番号を介して、当該製品のメーカーで管理している工場記録等と紐付けておくこともできる。
【0015】
(b)作業映像情報
作業映像情報とは、作業内容の記録・保存や、今後の研修資料等への活用等に使用される情報である。
作業映像情報には、作業者等が撮影した、工事現場での作業内容を撮影した映像データや、定点カメラによって撮影された映像データなどが含まれる。
【0016】
(c)作業実績情報
作業実績情報とは、作業者の実績評価等に使用される情報である。
作業実績情報には、作業完了後に、作業者の手入力によって得られる、作業者情報、作業内容、作業件数などが含まれる。
【0017】
(d)設計管理値情報
設計管理値情報とは、作業者による作業時に、予め定められている設計管理値を満たしているか否かを判定するための情報である。
設計管理値情報には、電力ケーブルの接続作業時に、その都度作業者の確認作業後の手入力等で得られる、各種の寸法測定値などが含まれる。
【0018】
(e)作業結果情報
作業結果情報とは、作業の完了時に、所定通りに作業が行われているか否かを確認するための情報である。
作業結果情報には、作業者の手入力等で得られる、作業毎に取り決めてある確認項目などが含まれる。
【0019】
(f)工具管理情報
工具管理情報とは、作業者が使用する工具の追跡や、派遣する作業者の選定等に使用される情報である。
工具管理情報には、工具毎に予め付与されている、識別番号、名称、型番、使用年数、管理記録などが含まれる。
【0020】
(g)現場環境情報
現場環境情報とは、工事現場の環境を把握するための情報である。
現場環境情報には、作業者の手入力またはアプリケーションによる自動計測等で得られる、現場の天候、気温、湿度、その他の環境条件などが含まれる。
【0021】
(h)所要時間情報
所要時間情報とは、作業者が作業に要した時間を把握するための情報である。
所要時間情報には、作業者の手入力またはアプリケーションによる自動計測等で得られる、作業の開始時間および終了時間、作業時間などが含まれる。
【0022】
<3>情報蓄積部(
図1)
情報蓄積部20は、現場情報収集部10で収集した現場情報を蓄積する機能を有する。
情報蓄積部20は、データセンター等に設置したサーバ等によって実現することができる。
【0023】
<4>使用例(
図1)
次に、本実施例に係る工事支援システムの使用例について説明する。
工事現場において、作業者が作業を行う際または作業完了後に、作業者の手入力またはアプリケーションによる自動入力等によって収集された現場情報は、ネットワークを介して、作業者による任意のタイミングまたは自動的に情報蓄積部20へと送信される。
情報蓄積部20で受信した現場情報は、所定のアクセス管理が施されて、本システムの提供者や利用者によって閲覧または編集可能な状態で蓄積される。
蓄積された現場情報は、発注者および受注者での工事内容の記録・保管、受注者側での作業者の研修資料の作成は技能評価の算出などへの活用が期待できる。
【0024】
<5>まとめ
本実施例に係る工事支援システムによれば、電力ケーブルの延線工事または電力ケーブルの接続工事の分野において、各工事現場から得られる情報をビッグデータとして活用することができる。
また、故障リスク算出部30、不具合原因推定部40、作業者評価部50および作業改善情報生成部60による出力には、過去の情報や結果を教師データとしてニューラルネットワークを機械学習させたプログラムなどを用いても良い。
<3>不具合原因推定部(
図2)
不具合原因推定部40は、情報蓄積部20で蓄積してある現場情報に基づいて、工事現場での不具合原因を推定する機能を有する。
不具合原因の推定に用いる現場情報には、実施例1で説明した、(a)使用製品情報、(b)作業映像情報、(c)作業実績情報、(d)設計管理値情報、(e)作業結果情報、(f)工具管理情報、および(g)現場環境情報などを含めることができる。
例えば(a)使用製品情報からは、工事で使用した各製品の耐用年数や、その他の現場での故障履歴等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(b)作業映像情報からは、当該作業映像と適切に行われた作業映像との対比による作業内容の同一性等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(c)作業実績情報からは、作業を担当した作業者の技能レベル等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(d)設計管理値情報からは、実際に測定した設計管理値と、好ましい管理値との差分等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(e)作業結果情報からは、確認項目の漏れ等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(f)工具管理情報からは、工事で使用した工具の使用年数等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。
また(g)現場環境情報からは、現場の天候、気温、湿度等について、好ましい施工環境との差分等が、不具合原因と因果関係があるものと考えられる。