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特開2024-71396皮膚特性を改善する方法、デバイス、及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071396
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】皮膚特性を改善する方法、デバイス、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031122
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2021505197の分割
【原出願日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】62/712,562
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518242846
【氏名又は名称】ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス ロサノ ホエル エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン ライク
(72)【発明者】
【氏名】ファム リンダ
(72)【発明者】
【氏名】フランジニアス ジョージ ジュニア
(57)【要約】
【課題】被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善するためのシステム、構成物、及び方法を提供すること。
【解決手段】これらのシステム、構成物、及び方法は、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却するように構成される。一部の実施形態では、脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であって、
脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで前記被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階、
を含み、
前記脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%未満が破壊されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却する段階は、いずれの皮膚悪影響も生じないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記悪影響は、色素沈着過剰、色素沈着低下、不要な水疱形成、不要な瘢痕化、永久的な望ましくない変質、及び醜い傷痕から構成される群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪細胞シグナリングの変更は、TGF-β、TNF-α、IL-1β、IL-6、MCP-1、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、アシル化刺激タンパク質、α1酸性糖タンパク質、ペントラキシン-3、IL-1受容体アンタゴニスト、マクロファージ移動阻害因子、及びSAA3から構成される群から選択された1又は2以上のサイトカインの発現の増加をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記発現の増加は、真皮層、皮下層、又はその両方に生じることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪細胞シグナリングの変更は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、及びコンドロイチン硫酸)、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン、フィブロネクチン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、バーシカン、アグレカン、ルミカン、デコリン、グリピカン、テナシン、シンデカン、インテグリン、ディスコイジンドメイン受容体、ペルレカン、N-CAM、ICAM、VCAM、焦点接着キナーゼ、基質メタロプロテアーゼ、及びRho-キナーゼから構成される群から選択された1又は2以上の細胞外基質成分の増加をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上の細胞外基質成分の増加は、表皮層、真皮層、皮下層、又はその組合せに生じることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1又は2以上の改善された皮膚特性は、皮膚厚みの増大、新たなコラーゲン含有量の増加、皮膚の張りの増加、皮膚の滑らかさの増加、皮膚の引き締まり、真皮/表皮水和作用の増加、真皮再構成、及び線維性中隔の肥厚化から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位の近位に治療ユニットを適用することによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記治療ユニットの温度が、約-18℃から約0℃であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位での表皮の温度を約-15℃から約5℃に下げることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位での表皮の温度が約10分から約25分にわたって約-15℃から約5℃の温度であった後で中断されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃よりも低く下げないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃から約30℃に下げることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位の7mm下方の前記皮下脂肪層の前記温度が約10分から約25分にわたって約3℃から約30℃の温度であった後で中断されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記冷却する段階は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が3℃よりも低く下がる前に中断されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記冷却する段階は、単一治療セッション中に再加温期間によって分離されて2回又は3回以上繰り返されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であって、
ターゲット部位での表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって前記被験者の皮膚上の該ターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、該冷却が、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更をもたらす前記適用する段階と、
前記ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度が+3Cの温度よりも低く下がる前に前記冷却要素を除去する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であって、
ターゲット部位での表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって前記被験者の皮膚上の該ターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、該冷却が、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更をもたらす前記適用する段階と、
前記ターゲット部位の下の皮下脂肪層全体の温度がそこにある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるレベルまで低下する前に前記冷却要素を除去する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ターゲット部位の約7mm下方の前記皮下脂肪層の前記温度は、前記冷却要素の適用中に約3℃から約15℃に低下することを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項23】
前記皮下脂肪層全体内の前記皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊されることを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%のいずれか未満が破壊されることを特徴とする請求項20から請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善するためのシステムであって、
治療ユニットと、
前記治療ユニットと通信する冷却ユニットを有し、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで前記被験者の皮膚をターゲット部位で冷却するように構成されたアプリケータと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項26】
前記治療ユニットの温度が、約-18℃から約0℃であることを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位での表皮の温度を約-15℃から約5℃に下げることを特徴とする請求項25又は請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位での表皮の温度が約10分から約25分にわたって約-15℃から約5℃の温度であった後で中断されることを特徴とする請求項25から請求項27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃よりも低く下げないことを特徴とする請求項25から請求項28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃から約30℃に下げることを特徴とする請求項25から請求項29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が約10分から約25分にわたって約3℃から約30℃の温度であった後で中断されることを特徴とする請求項25から請求項30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、前記ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が3℃よりも低く下がる前に中断されることを特徴とする請求項25から請求項31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記アプリケータが前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、単一治療セッション中に再加温期間によって分離されて2回又は3回以上繰り返されることを特徴とする請求項25から請求項32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、1又は2以上の皮膚特性の改善が生成されることを特徴とする請求項25から請求項33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊されることを特徴とする請求項25から請求項34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%未満が破壊されることを特徴とする請求項25から請求項35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記アプリケータが前記ターゲット部位で前記被験者の皮膚を冷却する時に、該冷却は、いずれの皮膚悪影響も生じないことを特徴とする請求項25から請求項36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
悪影響が、色素沈着過剰、色素沈着低下、不要な水疱形成、不要な瘢痕化、永久的な望ましくない変質、及び醜い傷痕から構成される群から選択されることを特徴とする請求項25から請求項37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、該変更は、TGF-β、TNF-α、IL-1β、IL-6、MCP-1、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、アシル化刺激タンパク質、α1酸性糖タンパク質、ペントラキシン-3、IL-1受容体アンタゴニスト、マクロファージ移動阻害因子、及びSAA3から構成される群から選択された1又は2以上のサイトカインの発現の増加をもたらすことを特徴とする請求項25から請求項38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、発現の増加が、真皮層、皮下層、又はその両方に生じることを特徴とする請求項25から請求項39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、該変更は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、及びコンドロイチン硫酸)、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン、フィブロネクチン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、バーシカン、アグレカン、ルミカン、デコリン、グリピカン、テナシン、シンデカン、インテグリン、ディスコイジンドメイン受容体、ペルレカン、N-CAM、ICAM、VCAM、焦点接着キナーゼ、基質メタロプロテアーゼ、及びRho-キナーゼから構成される群から選択された1又は2以上の細胞外基質成分の増加をもたらすことを特徴とする請求項25から請求項40のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、1又は2以上の細胞外基質成分の増大が、表皮層、真皮層、皮下層、又はその組合せに生じることを特徴とする請求項25から請求項41のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、前記1又は2以上の改善された皮膚特性は、皮膚厚みの増大、新たなコラーゲン含有量の増加、皮膚の張りの増加、皮膚の滑らかさの増加、皮膚の引き締まり、真皮/表皮水和作用の増加、真皮再構成、及び線維性中隔の肥厚化から構成される群から選択されることを特徴とする請求項25から請求項42のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本国際出願は、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2018年7月31日出願の米国仮特許出願第62/712562号の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表皮層と表皮の直下のより厚い真皮層とで構成される。皮下層としても公知の皮下区域は真皮の直下に位置する。この皮下脂肪層は、脂肪を蓄えて真皮を下に位置する筋肉及び骨に固定するように機能する。
【0003】
クリオリポリシスは、制御方式でターゲット組織を冷却することによって皮下脂肪内の脂質豊富細胞(例えば、脂肪細胞)を破壊し、脂肪の容積を低減してより細く美的に好ましい外観をもたらす非侵襲的方法である。低温が表皮に印加され、脂質豊富細胞(例えば、脂肪細胞)を損傷するのに十分な期間にわたって皮下層をターゲット温度まで冷却する。これらの細胞は、次に分解され、脂質は、身体によって時間と共に除去される。
【0004】
クリオリポリシス的な脂肪除去は、皮下脂肪層の温度を有意な数の脂肪細胞を損傷するのに十分に長い期間にわたって十分に低い温度まで下げることを必要とする。様々な具体的なプロトコルがこれを達成するために開発されている。一般的に、脂質豊富ターゲット組織(例えば、皮下脂肪)は、約10秒から30分の間隔にわたって約10℃の温度から約-25℃まで下げられる(例えば、米国特許第7、367、341号明細書を参照)。ある一定のプロトコルでは、複数の冷却サイクルが単一治療セッションの進行にわたって利用され、冷却サイクルは、非冷却サイクルによって分離される。治療セッションは、数日、数週、又は数ヶ月の進行にわたって数回繰り返される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,367,341号明細書
【特許文献2】米国特許第7,854,754号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0077201号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0077211号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0287839号明細書
【特許文献6】米国特許出願第13/830,027号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/0022518号明細書
【特許文献8】米国特許出願第13/830,413号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2011/0238051号明細書
【特許文献10】米国特許第8,285,390号明細書
【特許文献11】米国特許第8,275,442号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Schmidt,B.A.、外1名「真皮内脂肪細胞は皮膚創傷治癒中に線維芽細胞の補充を媒介する」、Development(Cambridge)、2013年 第140巻(第7号)、1517-1527頁
【非特許文献2】Cohen,ML.「ヒトの皮膚の熱特性測定」、評論雑誌J.Invest.Dermatol.、69号、333-338頁、1977年
【非特許文献3】Duck,F.A.「組織の物理特性」、参考図書Academic Press、1990年
【非特許文献4】Jimenez Lozano,J.N.、外3名「皮膚及び皮下組織の高周波加熱における線維性中隔の効果」、Computational study,Lasers in Surgery and Medicine、第45号(第5巻)、326-338頁、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低温治療は、ある一定の条件下で脂肪細胞及び非脂肪細胞に影響を及ぼして損傷する可能性がある。従って、クリオリポリシスの適用を制限する1つの要因は、低温への過剰露出による周囲表皮への損傷の可能性である。この理由から、脂肪除去プロトコルは、非脂肪細胞への損傷を防止する又は最小にするために露出時間を制限する及び/又はある一定の閾値よりも高い温度に保つことを一般的に求めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であり、脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する。ある一定の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊される。ある一定の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%未満が破壊される。一部の実施形態では、この冷却する段階は、いずれの皮膚悪影響も生じない。ある一定の実施形態では、その悪影響は、色素沈着過剰、色素沈着低下、不要な水疱形成、不要な瘢痕化、永久的な望ましくない変質、及び醜い傷痕から構成される群から選択される。ある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングのこの変更は、TGF-β、TNF-α、IL-1β、IL-6、MCP-1、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、アシル化刺激タンパク質、α1酸性糖タンパク質、ペントラキシン-3、IL-1受容体アンタゴニスト、マクロファージ移動阻害因子、及びSAA3から構成される群から選択される1又は2以上のサイトカインの発現の増加をもたらす。一部の実施形態では、この発現の増加は、真皮層、皮下層、又はその両方で生じる。ある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングのこの変更は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、及びコンドロイチン硫酸)、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン、フィブロネクチン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、バーシカン、アグレカン、ルミカン、デコリン、グリピカン、テナシン、シンデカン、インテグリン、ディスコイジンドメイン受容体、ペルレカン、N-CAM、ICAM、VCAM、焦点接着キナーゼ、基質メタロプロテアーゼ、及びRho-キナーゼから構成される群から選択される1又は2以上の細胞外基質成分の増加をもたらす。一部の実施形態では、1又は2以上の細胞外基質成分の増加は、表皮層、真皮層、皮下層、又はその組合せに生じる。ある一定の実施形態では、この1又は2以上の改善された皮膚特性は、皮膚の厚みの増加、新たなコラーゲン含有量の増加、皮膚の張りの増加、皮膚の滑らかさの増加、皮膚の引き締まり、真皮/表皮水和作用の増加、真皮再構成、及び線維性中隔の肥厚化から構成される群から選択される。
【0009】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であり、この脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する。ある一定の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位の近位に治療ユニットを適用することによって実行される。ある一定の実施形態では、この治療ユニットの温度は、約-18℃から約0℃である。一部の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位での表皮の温度を約-15℃から約5℃に下げる。ある一定の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位での表皮の温度が約10分から約25分にわたって約-15℃から約5℃の温度であった後で中断される。ある一定の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃よりも低く下げない。一部の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃から約30℃に下げる。ある一定の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が約10分から約25分にわたって約3℃から約30℃の温度であった後で中断される。一部の実施形態では、この冷却する段階は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が3℃よりも低く下がる前に中断される。ある一定の実施形態では、この冷却する段階は、単一治療セッション中に再加温期間によって分離されて2回又は3回以上繰り返される。
【0010】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更をもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度が+3℃の温度よりも低く下がる前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法である。ある一定の実施形態では、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度は、、冷却要素の適用中に約3℃から約15℃に低下する。ある一定の実施形態では、皮下脂肪層全体での皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊される。一部の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%のいずれか未満が破壊される。
【0011】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更をもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の下の皮下脂肪層全体の温度がそこにある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるレベルまで低下する前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法である。ある一定の実施形態では、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度は、冷却要素の適用中に約3℃から約15℃に低下する。ある一定の実施形態では、皮下脂肪層全体での皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊される。一部の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%のいずれか未満が破壊される。
【0012】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者内の新規コラーゲン形成を増大する方法であり、この脂肪細胞シグナリングの変更は、新規コラーゲン形成を増大する。ある一定の実施形態で本明細書に同じく提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更と新規コラーゲン形成の増大とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度が+3℃の温度よりも低く下がる前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者内の新規コラーゲン形成を増大する方法である。ある一定の実施形態で本明細書に更に提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が脂肪細胞シグナリングの変更と新規コラーゲン形成の増大とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の下の皮下脂肪層全体の温度がそこにある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるレベルまで低下する前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者内の新規コラーゲン形成を増大する方法である。ある一定の実施形態では、コラーゲン形成は、真皮脂肪層内で増大する。ある一定の実施形態では、コラーゲン形成は、表皮基底接合部(例えば、基底膜を真皮に取り付ける)、真皮、及び線維性中隔内で増大する。
【0013】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者の皮膚弛緩を低減する方法であり、この脂肪細胞シグナリングの変更は、皮膚弛緩を低減する。ある一定の実施形態で本明細書に同じく提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更と皮膚弛緩の低減とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度が+3℃の温度よりも低く下がる前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の皮膚弛緩を低減する方法である。ある一定の実施形態で本明細書に更に提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更と皮膚弛緩の低減とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の下の皮下脂肪層全体の温度がそこにある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるレベルまで低下する前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の皮膚弛緩を低減する方法である。
【0014】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む皮膚厚みを増大する方法であり、脂肪細胞シグナリングの変更は、皮膚厚みの増大を生じる。ある一定の実施形態で本明細書に同じく提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更と皮膚厚みの増大とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の約7mm下方の皮下脂肪層の温度が+3℃の温度よりも低く下がる前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の皮膚厚みを増大する方法である。ある一定の実施形態で本明細書に更に提供するのは、ターゲット部位の表皮を約-15℃から約5℃に冷却するのに十分な期間にわたって被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に冷却要素を適用する段階であって、この冷却が1又は2以上の脂肪細胞シグナリング事象の変更と皮膚厚みの増大とをもたらす上記適用する段階と、ターゲット部位の下の皮下脂肪層全体の温度がそこにある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるレベルまで低下する前に冷却要素を除去する段階とを含む被験者の皮膚厚みを増大する方法である。
【0015】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、本明細書に開示する方法に使用するためのシステムである。一部の実施形態で本明細書に同じく提供するのは、治療ユニットと、治療ユニットと通信する冷却ユニットを有するアプリケータとを含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善するためのシステムであり、アプリケータは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却するように構成される。一部の実施形態では、この治療ユニットの温度は、約-18℃から約0℃である。ある一定の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、ターゲット部位での表皮の温度を約-15℃から約5℃に下げる。ある一定の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、約10分から約25分にわたってターゲット部位での表皮の温度が約-15℃から約5℃の温度であった後で中断される。一部の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃よりも低く下げない。ある一定の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度を約3℃から約30℃に下げる。ある一定の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、約10分から約25分にわたってターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が約3℃から約30℃の温度であった後で中断される。一部の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、ターゲット部位の7mm下方の皮下脂肪層の温度が3℃の温度よりも低く下がる前に中断される。ある一定の実施形態では、このアプリケータが被験者の皮膚を冷却する時に、この冷却は、単一治療セッション中に再加温期間によって分離されて2回又は3回以上繰り返される。一部の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、1又は2以上の皮膚特性の改善が生成される。
【0016】
一部の実施形態で本明細書に提供するのは、治療ユニットと、治療ユニットと通信する冷却ユニットを有するアプリケータとを含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善するためのシステムであり、アプリケータは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却するように構成される。一部の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の10%未満が破壊される。ある一定の実施形態では、皮下脂質豊富細胞の1%、2%、3%、4%、5%、又は7%未満が破壊される。ある一定の実施形態では、アプリケータが被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する時に、この冷却は、皮膚のいずれの悪影響も生じない。一部の実施形態では、この悪影響は、色素沈着過剰、色素沈着低下、不要な水疱形成、不要な瘢痕化、永久的な望ましくない変質、及び醜い傷痕から構成される群から選択される。ある一定の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、この変更は、TGF-β、TNF-α、IL-1β、IL-6、MCP-1、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、アシル化刺激タンパク質、α1酸性糖タンパク質、ペントラキシン-3、IL-1受容体アンタゴニスト、マクロファージ移動阻害因子、及びSAA3から構成される群から選択される1又は2以上のサイトカインの発現の増加をもたらす。一部の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、発現のこの増加は、真皮層、皮下層、又はその両方に生じる。ある一定の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、この変更は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、及びコンドロイチン硫酸)、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン、フィブロネクチン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、バーシカン、アグレカン、ルミカン、デコリン、グリピカン、テナシン、シンデカン、インテグリン、ディスコイジンドメイン受容体、ペルレカン、N-CAM、ICAM、VCAM、焦点接着キナーゼ、基質メタロプロテアーゼ、及びRho-キナーゼから構成される群から選択される1又は2以上の細胞外基質成分の増加をもたらす。ある一定の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、1又は2以上の細胞外基質成分のこの増加は、表皮層、真皮層、皮下層、又はその組合せに生じる。ある一定の実施形態では、アプリケータが脂肪細胞シグナリングを変更する時に、この1又は2以上の改善された皮膚特性は、皮膚厚みの増大、新たなコラーゲン含有量の増加、皮膚の張りの増加、皮膚の滑らかさの増加、皮膚の引き締まり、真皮/表皮水和作用の増加、真皮再構成、及び線維性中隔の肥厚化から構成される群から選択される。
【0017】
本特許又は本出願ファイルは,カラーに実行された少なくとも1枚の図面を含有する。カラー図面を有するこの特許又は特許出願公報の複写は,要求及び必要な費用の支払い時に米国特許商標庁によって提供されることになる。
【0018】
図面では、同一参照番号は、類似の要素又は行為を識別する。図面内の要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状及び角度は、縮尺通りに描かれない場合があり、これらの要素の一部は、図面の読み易さを改善するために任意に拡大かつ位置決めされている。更に、描かれているような要素の特定形状は、特定要素の実際の形状に関していずれの情報も伝えることを意図しておらず、図面内での認識を容易にするように専ら選択されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のTGF-β mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、皮膚及び脂肪組織内のTGF-β mRNA発現に変化のない対照(未処置組織)の図である。
図1B-1D】(図1B) 原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のTGF-β mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、処置後3週であり、処置後の真皮及び皮下脂肪組織内のTGF-β mRNAの発現上昇を表すCy5の強いシグナルを示すスライドの図である。(図1C) 原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のTGF-β mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、処置後3週であり、脂肪細胞(矢印)の周りのTGF-β mRNAの発現上昇を示す真皮の拡大図である。(図1D) 原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のTGF-β mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、処置後3週であり、脂肪細胞(矢印)の周りのTGF-β mRNAの発現上昇を示す皮下脂肪の拡大図である。
図2A】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のコラーゲンCOL1A1 mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:COL1A1 mRNA=Cy5,赤色であり、核=TRITC,青色であり、COL1A1 mRNAの発現を表す皮膚及びコラーゲン構造にのみCy5に対する陽性シグナルを示す対照(未処置組織)の図である。
図2B】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織内のコラーゲンCOL1A1 mRNA発現に関する制御式表皮冷却の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:COL1A1 mRNA=Cy5,赤色であり、核=TRITC,青色であり、皮下脂肪組織内のCOL1A1 mRNA発現のシグナル上昇を示す処置後3週サンプルの図である。
図3A】制御式表皮冷却に続く脂肪細胞の近くのコラーゲン合成を示す代表的な脂肪組織断面であり、コラーゲン=マッソンのトリクロム,青色であり、脂肪細胞の周りにコラーゲン染色を示さない対照(未処置)の図である。
図3B】制御式表皮冷却に続く脂肪細胞の近くのコラーゲン合成を示す代表的な脂肪組織断面であり、コラーゲン=マッソンのトリクロム,青色であり、脂肪細胞の周りにコラーゲン染色のない処置後1週の図である。
図3C】制御式表皮冷却に続く脂肪細胞の近くのコラーゲン合成を示す代表的な脂肪組織断面であり、コラーゲン=マッソンのトリクロム,青色であり、脂肪細胞の周りに陽性コラーゲン染色(新たに合成されたコラーゲン)を示す処置後3週の図である。
図3D】制御式表皮冷却に続く脂肪細胞の近くのコラーゲン合成を示す代表的な脂肪組織断面であり、コラーゲン=マッソンのトリクロム,青色であり、新たに合成されたコラーゲン(矢印)を示す処置後3週サンプルの拡大図である。
図4】制御式表皮冷却に応答した大腿皮膚厚み変化のヒストグラムであり、皮膚厚み測定値が、製造業者のコンパニオン解析ソフトウエアを使用して20人のヒト被験者にわたって270のターゲット部位で50MHz超音波を使用して得られ、ヒストグラムが、全270のターゲット部位にわたるベースライン厚みと最終処置後12週の厚みとの間の差の分布を示す図である。
図5A】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者1、部位1、ベースライン(1.42mm)の図である。
図5B】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者1、部位1、最終処置後12週(2.05mm)の図である。
図5C】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者1、部位2、ベースライン(1.28mm)の図である。
図5D】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者1、部位2、最終処置後12週(1.77mm)の図である。
図5E】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者2、部位1、ベースライン(0.96mm)の図である。
図5F】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者2、部位1、最終処置後12週(1.19mm)の図である。
図5G】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者2、部位2、ベースライン(1.05mm)の図である。
図5H】2人の被験者の2つの異なる部位の皮膚厚みに対する制御式表皮冷却の効果の代表的な画像であり、皮膚が、画像の中心での不均一なエコー帯として示され、上部の明るい層が、超音波ライナ(薄い超エコー帯)であり、結合ゲルが、皮膚とライナの間に位置し(顕著に低エコーの帯)、被験者2、部位2、最終処置後12週(1.23mm)の図である。
図6A】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織でのTGF-β mRNAのシグナリング深度での制御式表皮冷却の異なる治療持続時間の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、-11℃で20分にわたる治療の後の被験者の部位であり、脂肪の中へのTGF-β mRNAのシグナリングの深度が約5ミリメートル(mm)であることを示す図である。
図6B】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織でのTGF-β mRNAのシグナリング深度での制御式表皮冷却の異なる治療持続時間の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、-11℃で35分にわたる治療の後の被験者の部位であり、脂肪の中へのTGF-β mRNAのシグナリングの深度が約9ミリメートル(mm)であることを示す図である。
図6C】原位置交雑によって可視化された皮膚及び脂肪組織でのTGF-β mRNAのシグナリング深度での制御式表皮冷却の異なる治療持続時間の効果を示す代表的な組織断面であり、蛍光擬似カラー:TGF-β mRNA=Cy5,黄色であり、核=TRITC,青色であり、-11℃で60分にわたる治療の後の被験者の部位であり、脂肪の中へのTGF-β mRNAのシグナリングの深度が約14.5ミリメートル(mm)であることを示す図である。
図7】冷却カップ、皮膚、脂肪、及び筋肉組織層を示すターゲット治療領域に対する制御式冷却に関する計算生体熱伝達モデルの断面図である。
図8】11℃で35分にわたる制御式冷却治療に対する組織内の温度分布の断面図(図7に描いた生体熱伝達モデル)であり、カラーバーが、摂氏での温度範囲を示し、0、2、及び5℃に対する等温線が、冷却された組織範囲の基準として含まれ、過渡的生体熱伝達3次元モデルが、市販の有限要素解析ソフトウエア(COMSOL Multiphysics v5.0、COMSOL・インコーポレーテッド、バーリントン、マサチューセッツ州)を使用して解かれたことを示す図である。
図9A】-11℃での制御式冷却治療に対する組織内の2色(黄色-青色)マップの断面図であり、カラーマップが、黄色が温度T≦5℃での組織を表して濃い青色がT>5℃での組織を表すような5℃の閾値温度(Ts)で分割され、10分のTdである異なる治療持続時間(Td)に対するシミュレーションを提示する図である。
図9B】-11℃での制御式冷却治療に対する組織内の2色(黄色-青色)マップの断面図であり、カラーマップが、黄色が温度T≦5℃での組織を表して濃い青色がT>5℃での組織を表すような5℃の閾値温度(Ts)で分割され、20分のTdである異なる治療持続時間(Td)に対するシミュレーションを提示する図である。
図9C】-11℃での制御式冷却治療に対する組織内の2色(黄色-青色)マップの断面図であり、カラーマップが、黄色が温度T≦5℃での組織を表して濃い青色がT>5℃での組織を表すような5℃の閾値温度(Ts)で分割され、35分のTdである異なる治療持続時間(Td)に対するシミュレーションを提示する図である。
図9D】-11℃での制御式冷却治療に対する組織内の2色(黄色-青色)マップの断面図であり、カラーマップが、黄色が温度T≦5℃での組織を表して濃い青色がT>5℃での組織を表すような5℃の閾値温度(Ts)で分割され、60分のTdである異なる治療持続時間(Td)に対するシミュレーションを提示する図である。
図10A】異なる治療持続時間(Td)及び-5℃のTappである異なる印加された制御式冷却温度(Tapp)に対する脂肪内モデルの対称軸(図7参照)に沿う温度プロファイルを示す図である。
図10B】異なる治療持続時間(Td)及び-11℃のTappである異なる印加された制御式冷却温度(Tapp)に対する脂肪内モデルの対称軸(図7参照)に沿う温度プロファイルを示す図である。
図10C】異なる治療持続時間(Td)及び-15℃のTappである異なる印加された制御式冷却温度(Tapp)に対する脂肪内モデルの対称軸(図7参照)に沿う温度プロファイルを示す図である。
図11】異なる治療持続時間と-11℃の制御式冷却温度Tappとに対する脂肪内の対称軸に沿う温度プロファイルであり、曲線が、2℃の温度閾値(Ts)で解析され(破線)、シグナリング深度が、異なる持続時間(Td)、矢印、に対して評価された図である。
図12】-5℃、-11℃(図11に示す例示的計算)、及び-15℃のTappである異なる制御式冷却温度に対する2℃のTsの閾値温度でのシグナリング深度曲線を示す図である。
図13】-5℃、-11℃、及び-15℃のTappである異なる制御式冷却温度に対する5℃のTsの閾値温度でのシグナリング深度曲線を示す図である。
図14】-11℃のTapp及び2℃、4℃、及び5℃のTsでの観察されたシグナリング深度(生体内試験からの組織断面で測定されたもの、図6Aから6C参照)と理論的なシグナリング深度曲線(生体熱伝達モデルからのもの)との比較を示す図である。
図15】本発明の技術の実施形態により被験者の皮下脂質豊富ターゲット区域から非侵襲的に熱を除去するための治療システムの部分概略等角投影図である。
図16】本発明の技術の実施形態により図15のシステムに使用するのに適するコンピュータシステムソフトウエアモジュールとコンピュータデバイスの副構成要素とを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の本発明の説明は、単に本発明の様々な実施形態を例示することを意図するに過ぎない。従って、本明細書に議論する具体的な修正は、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく様々な均等物、変更、及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろうし、そのような同等実施形態は本発明に含められるものとすることは理解される。
【0021】
本明細書全体を通して「一実施例」、「実施例」、「一実施形態」、又は「実施形態」への言及は、その実施例に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特徴が本発明の技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書を通して様々な箇所での「一例では」、「実施例では」、「一実施形態」、又は「実施形態」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施例に言及している訳ではない。更に、具体的な特徴、構造、ルーチン、ステージ、又は特性は、本発明の技術の1又は2以上の実施例にあらゆる好ましい方法で組み合わせることができる。本明細書に与える表題は便宜上のものであり、本発明の技術の範囲又は意味を制限する又は解釈することを意図していない。
【0022】
本明細書に提供する方法、システム、及びデバイスは、下に位置する皮下脂質豊富細胞に有意な損傷を引き起こすには不十分な温度及び時間で実行される表皮冷却が、下に位置する皮下脂質豊富細胞に有意な損傷(例えば、20%を超える損傷)を引き起こすのに十分な温度及び時間で表皮冷却が実行された場合に他に生じると考えられる皮膚外観の改善を含む隣接する真皮層及び表皮層での様々な有益な効果を引き起こすのに十分な表皮、真皮、及び皮下脂肪における1又は2以上の脂肪細胞シグナリング経路を活性化するという予期せぬ発見に基づくものである。一部の実施形態では、真皮層及び表皮層(例えば、皮膚)に対する有益な効果は、被験者の皮下層への変化をもたらす1又は2以上の脂肪細胞シグナリング経路の活性化に応じて生じる。例えば、被験者の皮下層、真皮層、及び/又は表皮層でのコラーゲンの生成の増加は、改善された皮膚外観をもたらすことができる。
【0023】
これらの予期せぬ発見は、以下で説明する実験例によって例証され、それらは、ある温度及び時間で実行される制御式表皮冷却の投与が真皮及び皮下脂肪の両方においてTGF-β mRNA発現の有意な増加をもたらし、皮下脂肪に対する効果が最も顕著であることを示している。本明細書に使用するような「制御式冷却」又は「制御式表皮冷却」という用語は、交換可能に使用され、下に位置する皮下脂質豊富細胞に有意な損傷を引き起こすには不十分な温度及び時間で実行される被験者の表皮の冷却を指すことができる。実施される制御式冷却はまた、脂肪中のコラーゲンCOL1A1 mRNA発現の有意な増加をもたらし、皮下層及び真皮層及び/又は表皮層のような治療される脂肪組織の近くでコラーゲン合成が付随して増加する。コラーゲン生成の増加は、例えば、目に見える皺及び筋が少なく、又は皺及び筋がそれほど目立たない、より引き締まった、より滑らかな皮膚を含む多くの有益な美容効果と関連している。これらの結果に基づいて、制御式表皮冷却が皮膚厚みに及ぼす効果をヒト被験者で評価した。被験者は、最後の治療から12週後に大腿の皮膚厚みの有意な増加を示している。
【0024】
本明細書に使用する用語「制御式サブ-クリオリポリシス的冷却」及び「サブ-クリオリポリシス」は、表皮の制御式冷却及び冷却される表皮の下方にある隣接する真皮層及び皮下層のあらゆる付随する冷却を指し、それは皮下脂肪細胞に対する有意な損傷又は破壊を生じない。言い換えれば、皮下脂肪細胞の20%又はそれよりも多くを損傷するという結果にはならない。
【0025】
ある一定の有益な皮膚効果は、これまでにクリオリポリシス的な脂肪除去手順と関連して観察されていたが、これらの利点は、皮下層にわたる皮下脂質豊富細胞に対する有意な損傷及び/又は破壊の結果であると仮定されていた。本明細書に開示する結果は、皮下層の脂質豊富細胞に損傷を与えない又は最小限に損傷するサブ-クリオリポリシス的な冷却(例えば、制御式冷却)を使用しても有益な皮膚効果が得られる可能性があるという第1の指標を与える。いずれの特定の理論にも縛られる意図はないが、クリオリポリシス(例えば、約-11℃の温度を有し、約35分にわたって皮膚に適用される皮膚面アプリケータによって送出される冷却治療)中に生じる特定のシグナリング事象も、サブ-クリオリポリシス的な冷却プロトコルの使用中に誘発されると考えられる。しかし、被験者の皮下層にわたる皮下脂質豊富細胞に有意な損傷及び/又は破壊を引き起こすクリオリポリシスとは異なり、サブ-クリオリポリシス的な冷却プロトコルは、同じ又はほぼ類似の有意な損傷及び/又は破壊を引き起こさない。被験者の皮下層の上側3分の1又は約上側3分の1がクリオリポリシスとサブ-クリオリポリシスとで同じ、類似の、又はほぼ類似の温度まで及び/又はその温度を使用して治療されるとは言え、被験者の皮下層の上側3分の1に印加される温度持続時間は、クリオリポリシスと比べてサブ-クリオリポリシス中は短い。サブ-クリオリポリシス中に使用されるより短い温度持続時間は、クリオリポリシスと比べて被験者への損傷が低減され、破壊及び/又は損傷する脂肪細胞が少ないという結果をもたらす一方、サブ-クリオリポリシス的又はクリオリポリシス的療法に続く被験者内のシグナリング事象の同じ、類似の、又はほぼ類似のレベル、量、タイプ、及び/又は程度を維持すると考えられる。
【0026】
ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な損傷をもたらさない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者内の脂肪細胞シグナリングを変更する方法である。ある一定の実施形態では、これらの方法は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する。従って、本明細書に同じく提供するのは、脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な損傷をもたらさない程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階を含む被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法である。これらの方法を使用して改善可能な皮膚特性の例は、厚み、張り、滑らかさ、引き締まり、真皮/表皮の水和作用、及びコラーゲン含有量を含むがこれらに限定されない。従って、ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、皮膚及び/又は線維性中隔の厚みを増大する方法、コラーゲン生成を増大する方法、コラーゲン含有量を増大する方法、皮膚の張りを増大する方法、皮膚の滑らかさを増大する方法、皮膚の引き締まりを増大する方法、及び被験者の真皮及び/又は表皮の水和作用を増大する方法である。ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法は、真皮再構成、再生的再構成、皮膚の治癒(例えば、創傷治癒)、又は皮膚治癒応答の強化に対して使用することができる。
【0027】
本明細書に使用する「ターゲット部位」とは、制御式冷却を受ける被験者の表皮の一部分(例えば、被験者の皮膚の外面)を指す。制御式冷却が、被験者の皮膚と直接接触した状態に配置された治療ユニット(例えば、冷却ユニット)を使用して行われる実施形態では、ターゲット部位は、少なくとも、治療ユニットと直接接触する皮膚の部分とその下方の皮膚とを含む。
【0028】
これらの実施形態のある一定のものでは、ターゲット部位への制御式冷却の印加は、ターゲット部位と接触領域から半径方向内方に延びる被験者の身体の一部分とを含む「治療部位」を発生させることができ、例えば、治療部位の少なくとも一部を含む被験者の身体の当該部分は、治療ユニットと直接接触する皮膚の当該部分から半径方向に少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、少なくとも約5mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約30mm、少なくとも約40mm、又は少なくとも約50mm延びる。他の実施形態では、治療部位は、被験者の身体又は被験者の身体の少なくとも大部分を含むことができる。これらの実施形態では、ターゲット部位に印加される制御式冷却は、1又は2以上の全身性シグナリング事象又はほぼ全身性シグナリング事象をもたらすことができ、被験者の1又は2以上のシグナリング経路を活性化することができる。
【0029】
一部の実施形態では、被験者の表皮は、約-40℃から約10℃の温度範囲のターゲット温度に又は約-25℃から約5℃、約-20℃から約5℃、又は約-15℃から約5℃の温度範囲のターゲット温度まで制御可能に冷却することができる。ある一定の実施形態では、被験者の皮下層は、被験者の皮膚(例えば、被験者の皮膚の下面)から約15mm、約10mm、約9mm、約8mm、約7mm、約6mm、約5mm、約4mm、約3mm、約2mm、約1mm、又は約1mm未満下方で上述のターゲット温度のあらゆる範囲にあるターゲット温度まで冷却することができる。いずれの特定の理論にも縛られる意図はないが、制御式冷却(例えば、サブ-クリオリポリシス的な冷却)が上述の深度のいずれかで達成され、それにより、サブ-クリオリポリシス的に冷却された組織において1又は2以上のシグナリング事象を誘発することができると考えられる。これらの実施形態では、1又は2以上のシグナリング事象は、被験者の皮膚面から上述の深度のいずれかよりも更に下方の組織では誘発されない。一部の実施形態では、被験者の表皮(例えば、表皮層)は、サブ-クリオリポリシス及び/又はクリオリポリシス中に少なくとも約5℃まで冷却される。
【0030】
被験者の表皮をある一定の温度まで冷却することに加えて、本発明の技術を使用して被験者の真皮層の約1mmから約20mm下にある被験者の皮下層(例えば、皮下脂肪層)を冷却することができる。一部の実施形態では、被験者の皮下層は、被験者の真皮層から約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約9mm、約14mm、約18mm、又は約20mm下方で約-25℃から約20℃、又は約-15℃から約15℃、又は約0℃から約15℃に冷却することができる。制御式冷却の印加前では、上述の深度のいずれかにある被験者の皮下層は、約35℃から約40℃、例えば、約37℃であるとすることができる。本発明の開示の方法は、一部の実施形態では、上述の深度での皮下温度を決定するのに有益な公知の技術を使用して被験者の真皮層の少なくとも約20mm下まで被験者のベースライン皮下温度を決定する段階を含むことができる。
【0031】
方法のタイプ又は開示する方法のパラメータに限定する意図はないが、温度(例えば、真皮、表皮、及び/又は皮下の温度)を決定するための例示的方法は、ある一定の組織(例えば、皮膚、脂肪、筋肉)及びそれらの構成物に独特な間接測定(例えば、熱伝達方程式)及び直接測定を含む。一部の実施形態では、直接測定は、電気インピーダンス測定、光学測定、及び/又は結晶化測定を実行するように構成されるような温度を直接的に測定する及び/又は決定するように構成された1又は2以上のシステム及び/又はデバイスを使用して実行される。そのようなシステムは、制御ユニットへのフィードバックとして特に表皮、真皮、及び/又は脂肪細胞から温度情報を抽出するように構成された検出器を含むことができる。検出された温度情報は、入力された特性及び/又はパラメータに基づいて制御ユニットで分析することができる。例えば、脂肪細胞の温度は、検出器で検出された表皮の温度に基づいて計算によって決定することができる。従って、治療システムは、1又は2以上の脂肪細胞の温度を非侵襲的に測定することができる。次にこの情報は、例えば、冷却/加熱要素及び治療インタフェースのエネルギ/温度を調節することによる治療ユニットの連続的なフィードバック制御のために制御ユニットに使用され、それにより、周囲の表皮及び真皮が過度に損傷を受けないように治療の温度及び時間を制御しながらもターゲット脂肪細胞の最適な治療温度を維持することができる。一部の実施形態では、冷却/加熱要素は、約-10℃から約42℃までの範囲で調節可能な温度を提供することができる。自動温度測定及び制御シーケンスを繰り返して、手順が完了するまでそのような温度範囲を維持することができる。
【0032】
脂質豊富細胞を冷却することによる脂肪組織の低減は、組織冷却がターゲット組織の物理的処置(例えば、マッサージ)を伴う場合に、より一層有効であり得ることに注意されたい。本発明の実施形態による治療ユニットは、振動デバイスのような組織マッサージデバイスを含むことができる。これに代えて、冷却/加熱要素の機械的な振動又は運動を提供するために圧電変換器を治療ユニット内に使用することができる。検出器は、治療の有効性をモニタするために及び/又は周囲組織への損傷を防ぐために皮膚粘性の変化を検出するためのフィードバックデバイスを含むことができる。例えば、振動検出デバイスを使用してターゲット組織又は周囲組織の共振周波数のあらゆる変化を検出することができ、これらの組織は、治療ユニットに収容された振動デバイスで機械的に移動するか又は振動させた場合に組織粘性の変化を示すことができる。
【0033】
表皮及び/又は真皮が冷却治療によって損傷を受けないことを更に保証するために、光学検出器/フィードバックデバイスを使用して表皮の光学特性の変化をモニタすることができ(氷形成が生じた場合は散乱が増大する)、電気フィードバックデバイスを使用して表皮内の氷形成によって生じる表皮の電気インピーダンスの変化をモニタすることができ、及び/又は超音波フィードバックデバイスを使用して皮膚内での氷形成をモニタする(実際には回避する)ことができる。あらゆるそのようなデバイスは、皮膚の損傷を防止するか又は最小にするために治療を中断又は調節するシグナリング制御ユニットを含むことができる。
【0034】
本発明の実施形態による治療システムは、いくつかの構成及び計器を含むことができる。異なるタイプの手順、構成、及び/又は計器に対して設計されたアルゴリズムを制御ユニットに関して含むことができる。治療システムは、プローブコントローラと、脂肪細胞の最小侵襲性温度測定のためのプローブとを含むことができる。有利なことに、プローブは脂肪細胞のより正確な温度を測定することができ、それにより、治療ユニットの制御と治療の有効性とを改善することができる。
【0035】
治療部位への損傷を回避するために、制御式冷却は、温度に反比例した期間にわたって行うことができる。例えば、一部の実施形態では、治療ユニットをターゲット部位に配置し、約10秒から約2時間の時間範囲の時間にわたって冷却が印加される。これらの実施形態では、ターゲット温度が例えば約-40℃の場合に、より短い時間(例えば、約10秒)が使用され、ターゲット温度が例えば約10℃の場合に、より長い時間(例えば、約2時間)が使用される。一部の実施形態では、ターゲット温度は、約-15℃から約0℃の温度範囲にあり、冷却は、約10分から約25分にわたって印加される。他の実施形態では、ターゲット温度は、約-40℃から約0℃の温度範囲にあり、冷却は、約10秒から約25分にわたって印加される。表皮温度は、制御式冷却治療の適用前、適用中、及び/又は適用後に標準的な温度測定デバイス、システム、及び/又は方法を使用して連続的又は断続的にモニタすることができる。
【0036】
皮下脂質豊富細胞の「破壊」と皮下脂質豊富細胞の「損傷」は、本明細書で交換可能に使用され、細胞の殺滅、細胞の破砕、及び/又は細胞の結晶化を指す。皮下脂質豊富細胞に関連して「有意な破壊」と「有意な損傷」は、本明細書で交換可能に使用され、皮下脂質豊富細胞の特定集団(例えば、ターゲット部位の特定距離内にある及び/又はターゲット部位下方の特定深度にある及び/又はターゲット部位の容積にわたる又はターゲット部位の容積全体の特定の割合にわたるなどのターゲット部位下方の皮下脂質豊富細胞の特定容積内にある全ての皮下脂質豊富細胞)内の約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約7%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.1%未満の皮下脂質豊富細胞を指す。一部の実施形態では、制御式冷却は、皮下脂質豊富細胞に結晶化を引き起こすには不十分であるが、それでも皮下脂質豊富細胞に損傷又は有意な損傷を引き起こすことができる。
【0037】
本明細書に使用する「脂肪細胞シグナリング」とは、脂肪細胞によって開始され、脂肪細胞に関わり、又は他に脂肪細胞からの応答を誘発するものであって、脂肪細胞がシグナリング経路の一部でなかったとすれば他に脂肪細胞が誘発されない又は関わらないあらゆるシグナリング経路を指す。更に、脂肪細胞シグナリングはまた、恒常状態に戻るまで不活性又は活性であるか又は断続的に不活性及び/又は断続的に活性を含むそれらの何らかの組合せに留まることができる事象の不活性又は活性カスケードを指す。従って、脂肪細胞シグナリングは、脂肪細胞が損傷を受けた後に1又は2以上のケモカイン又はサイトカインが放出され、これらが免疫細胞及び/又は炎症性細胞(例えば、マクロファージ)を引きつけ、それらが最後にTGF-β又は他のサイトカインを放出することができる1又は2以上の事象を含む。脂肪細胞シグナリングは、サイトカイン、ケモカイン、アディポカイン、ペプチド、転写因子(例えば、TGF-βの発現又はTGF-βに関わる1又は2以上のシグナリング事象に関連付けられる転写因子)、核酸、糖類又は他の糖又は炭水化物系分子、及び脂質から構成される群から選択される1又は2以上の分子に関わっている。これらの分子はまた、塩、塩基、リン酸塩、エステル、エーテル、アルキル、又はそれらのあらゆる他の誘導体を含むことができる。サイトカイン及び脂肪細胞シグナリングに関与する他の分子は、本明細書では脂肪細胞シグナリング分子と呼ぶことができる。
【0038】
本明細書に使用する脂肪細胞シグナリングを「変更する」とは、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子のレベルを治療前のベースラインレベルから増加又は低減することを意味する。脂肪細胞シグナリング分子の増加又は低減は、真皮層、皮下脂肪層、又はその両層で観察される場合がある。
【0039】
ある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子の増加とすることができる(例えば、発現(当該分子をコード化する核酸又は当該分子自体)、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子の生成及び/又は分泌における増加)。この増加は、シグナルが「オン」になったこと、すなわち、以前は不活性又はほぼ不活性であった脂肪細胞シグナルの活性化を表すことができ、又は単にシグナルが治療前のレベルと比べて上方調整されたことを表すことができる。
【0040】
ある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子の低減とすることができる(例えば、発現(当該分子をコード化する核酸又は当該分子自体)、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子の生成及び/又は分泌における低減)。この低減は、シグナルが完全に「オフ」になったこと(すなわち、以前は活性であった脂肪細胞シグナルの不活性化)を表すことができ、又は単にシグナルが治療前のレベルと比べて下方調整されたことを表すことができる。
【0041】
ある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の脂肪細胞シグナリング分子の増加と、1又は2以上の異なる脂肪細胞シグナリング分子の同時的な低減とすることができる。
【0042】
本明細書に開示する方法のある一定の実施形態では、冷却に対する直接的及び/又は間接的な応答によって増加又は低減する脂肪細胞シグナリング分子のうちの1又は2以上は、サイトカイン、アディポカイン、及びケモカインである。例えば、ある一定の実施形態では、本明細書に開示する方法は、腫瘍成長因子β(「TGF-β」)、腫瘍壊死因子α(「TNF-α」)、インターロイキン1β(「IL-1β」)、インターロイキン6(「IL-6」)、及び単球走化性タンパク質1(「MCP-1」)、レプチン、アディポネクチン、レジスチン、アシル化刺激タンパク質、α1酸性糖タンパク質、ペントラキシン-3、IL-1受容体アンタゴニスト、マクロファージ移動阻害因子、及び血清アミロイドA3(「SAA3」)の発現の増加を引き起こすことができる。ある一定の実施形態では、サイトカインレベルの増加又は低減は、被験者の真皮層、皮下脂肪層、又はその両層で生じる。一部の実施形態では、脂肪細胞シグナリング分子のうちの1又は2以上は、1又は2以上の外因性過程に応答して発現され、放出され、誘発され、発現中断され、分解され、又は他に変更される。低酸素状態にある時に、脂肪細胞は、1又は2以上のサイトカインの発現を増大する及び/又は1又は2以上のサイトカインを放出することができる。例えば、外因性過程は、被験者の血液微小循環によって与えられるような被験者の酸素及び/又は栄養供給の変化に起因して又は血管狭窄の長期化に起因して引き起こされた又は他に影響を受けた低酸素状態の脂肪細胞を含む。従って、ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、TGF-βレベルを増大するのには十分であるが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるには不十分な程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却することにより、被験者の真皮層、皮下脂肪層、又はその両方においてTGF-βレベルを増大する段階を含む被験者内のサイトカイン(例えば、TGF-β)レベルを増大する方法である。
【0043】
本明細書に開示する方法のある一定の実施形態では、冷却に対する直接的及び/又は間接的な応答によって増加又は低減する脂肪細胞シグナリング分子のうちの1又は2以上は、細胞外基質成分である。例えば、ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、及びコンドロイチン硫酸)、フィブリノーゲン、ラミニン、フィブリン、フィブロネクチン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、バーシカン、アグレカン、ルミカン、デコリン、グリピカン、テナシン、シンデカン、インテグリン、ディスコイジンドメイン受容体、ペルレカン、及び/又はそれらと結合する分子、例えば、以下に限定されるものではないが、細胞接着分子(例えば、N-CAM、ICAM、VCAM)、焦点接着キナーゼ、基質メタロプロテアーゼ、及びRho-キナーゼ)のような分子の増加を引き起こすことができる。ある一定の実施形態では、これらの増加は、被験者の真皮層、皮下脂肪層、又はその両方におけるコラーゲンの生成及び/又は含有量の増加をもたらす。一部の実施形態では、1又は2以上の細胞外基質成分に対する1又は2以上の変更(例えば、ECM再構成)は、被験者の脂肪細胞に関連付けられる。これらの変更は、治療前の被験者の皮膚の手触りと比べてより堅い、硬い、張りがあるなどの被験者の皮膚の手触り、又はそのように知覚された触感をもたらすことができる。しかし、これらの変化は、皮膚自体に直接影響を与えるのではなく、むしろ、被験者の皮膚に直接的又は間接的に結合した1又は2以上の構造に影響を与える場合がある。ある一定の実施形態では、ECM再構成は、再構成が終了すると治療前の被験者のコラーゲン基質と比べてより強固な(例えば、コラーゲン線維の密度、強度、及び/又は長さがより大きい)コラーゲン基質をもたらす閾値を有することができる。
【0044】
従って、ある一定の実施形態で本明細書に提供する方法は、コラーゲン生成を増大する及び/又はコラーゲン含有量を増大するのに十分であるが、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるには不十分な程度まで被験者の皮膚をターゲット部位で冷却することにより、被験者内のコラーゲン生成を増大する及び/又はコラーゲン含有量を増大する方法である。これらの方法は、真皮層、皮下脂肪層、又はその両方においてコラーゲン生成及び/又はコラーゲン含有量の増加をもたらすことができる。
【0045】
本明細書で提供する方法のある一定の実施形態では、脂肪細胞シグナリングは、治療の進行中にのみ変更される(すなわち、冷却が中断された時点又はその前後で、シグナリングは治療前のベースラインレベル付近に戻る)。他の実施形態では、冷却が中断された後もある期間にわたって脂肪細胞シグナリングは変更されたままである。例えば、脂肪細胞シグナリングは、冷却が中断された後に2分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、12時間、16時間、24時間、36時間、48時間、3日、5日、7日、10日、15日、30日、60日、90日、120日、150日、又は150日を超える日数にわたって変更された状態に留まる場合がある。
【0046】
同じく、ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、開示する方法を実行するためのデバイス及びシステムである。ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法は、被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に適用される治療ユニットを利用する。ある一定の実施形態で本明細書に提供するのは、図19に関してより詳細に説明するようなそのような治療ユニットを有するデバイス及びシステムである。
【0047】
本明細書に開示する方法のある一定の実施形態では、表皮冷却に続いて皮下脂質豊富細胞の有意な破壊が存在しないのは、脂肪細胞の有意な破壊をトリガするのに十分な長さの期間にわたって十分に低い温度に皮下層が冷却されないことの結果であるとすることができる。これは、表皮冷却にクリオリポリシス手順に通常使用されるよりも高い温度、クリオリポリシス手順に通常使用されるよりも短い冷却持続時間、又はその組合せを使用する結果であるとすることができる。
【0048】
本明細書に開示する方法のある一定の実施形態では、表皮冷却に続いて皮下脂質豊富細胞の有意な破壊が存在しないのは、脂肪細胞の破壊をトリガするのに十分な期間にわたって皮下層が冷却されないことの結果である。これらの実施形態では、皮下層は、十分に長い持続時間にわたって皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じると考えられる温度まで冷却することができるが、有意な破壊が生じる前に冷却が中断される。
【0049】
本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、表皮冷却は、ターゲット部位で表皮の近くに治療ユニットを適用することによって実行され、治療ユニットは、クリオリポリシスに必要な深度まで下に位置する組織を冷却しないが、制御式サブ-クリオリポリシス的冷却を達成するように冷却する。
【0050】
本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、表皮冷却は、ターゲット部位で表皮の近くに治療ユニットを適用することによって実行され、治療ユニットは、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるほどには低くない温度に設定される。これらの実施形態では、治療ユニットの温度は、クリオリポリシス的な手順に使用される温度よりも高い。この相対的に高い温度のために、治療ユニットの適用は、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じる程度まで皮下層の温度を低減することはない。
【0051】
上記で詳細に説明したように、表皮冷却(例えば、制御式冷却)は、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるには不十分な期間にわたってターゲット部位で表皮の近くに治療ユニットを適用することによって実行される。これらの実施形態では、治療ユニットが表皮の近くにある期間は、クリオリポリシスに使用される期間よりも短い。ある一定の実施形態では、この相対的に短い露出は、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じる程度まで治療ユニットが皮下層の温度を低減しないことを意味する。他の実施形態では、この相対的に短い露出は、皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じる可能性がある程度まで治療ユニットが皮下層の温度を低減するが、当該破壊を生じるには短過ぎる期間にわたって温度を低減することを意味する。ある一定の実施形態では、治療ユニットは、ある期間(例えば、クリオリポリシスに使用される時間の1/2、1/4、1/8、又は1/10)にわたって表皮の近くに適用することができる。
【0052】
上記で詳細に説明したように、治療ユニットが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるには不十分な期間にわたって表皮の近くに適用される本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、治療ユニットは、クリオリポリシスに使用することができる温度に又はその温度付近に設定される。他の実施形態では、治療ユニットは、クリオリポリシスに使用することができる温度よりも高い温度に設定される(すなわち、冷却は、クリオリポリシスに使用される場合よりも高い温度かつ短い期間で実行される)。
【0053】
本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、複数の(すなわち、2又は3以上の)冷却サイクルは、連続的な冷却サイクルが非冷却サイクル及び好ましくは能動再加温のサイクルで分離された単一治療セッションの進行にわたって利用される場合がある。例えば、ある一定の実施形態では、治療ユニットは、第1の冷却サイクルに対してターゲット部位で表皮の近くに適用され、第1の非冷却サイクルに対して取り外され、次に、第2の冷却サイクルに対して再び適用することができる。この過程は、望ましい結果を達成するのに必要なサイクル数だけ繰り返すことができる。これに代えて、治療ユニットは、冷却及び加温/再加温のサイクルの全てに対してターゲット部位で表皮の近くに適用されたままとすることができ、治療ユニットは、精密に制御可能な冷却/加熱要素を有する。例えば、熱電クーラーは、熱電クーラーに掛かる電圧を単に逆転させることにより、冷却して次に再加温するのに使用することができる。ある一定の実施形態では、非冷却サイクルは、予め決められた期間とすることができる。他の実施形態では、非冷却サイクルは可変とすることができる。例えば、ある一定の実施形態では、非冷却サイクルは、皮下層、真皮層、又は表皮の温度が上昇してターゲット温度に戻る(例えば、治療前のベースライン温度に戻る)のに十分な期間とすることができる。ある一定の実施形態では、非冷却サイクルは、受動加温を利用することができる(すなわち、皮膚は、何ら関与することなく自然に温まってベースライン又は他の予め決められた温度に戻ることができる)。他の実施形態では、非冷却サイクルは能動加温を利用し、表皮温度をベースライン温度又は他の予め決められた温度に戻すことができる。
【0054】
本明細書に提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、複数(すなわち、2又は3以上)の治療セッションを実行することができる。例えば、治療セッションは、望ましい結果を達成するか又は維持するために適宜繰り返すことができる。ある一定の実施形態では、治療セッションは、予め決められた間隔で(例えば、約2日毎、約5日毎、約1週毎、約1ヶ月毎、約2、3、又は4ヶ月毎に)固定期間にわたって繰り返すことができる。これに代えて、治療セッションは、必要ベースで繰り返すことができる。
【0055】
本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスの一部の実施形態では、ターゲット部位への表皮冷却治療の適用中に第1の温度から第2の温度へ、第3の温度へ、第4の温度へのように温度に勾配を与えることができる。温度は、ランプアップさせることができ(例えば、第1の温度は第2の温度よりも低く、第2の温度は第3の温度よりも低く、第3の温度は第4の温度よりも低いなど)、又はランプダウンさせることができる(例えば、第1の温度は第2の温度よりも高く、第2の温度は第3の温度よりも高く、第3の温度は第4の温度よりも高いなど)。これらの実施形態では、治療持続時間の一部にわたって又は治療全体を通して温度に勾配を与えることができる。
【0056】
本明細書に開示する方法のある一定の実施形態では、表皮冷却は、ターゲット部位の下にある皮下脂肪層の温度を有意に低減しない。他の実施形態では、表皮冷却は、下に位置する皮下脂肪層の温度を低減するが、上述のように特定の深度までしか低減しないとすることができる。例えば、ある一定の実施形態では、表皮冷却は、被験者の真皮層の約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約9mm、約14mm、約18mm、又は約20mm下方で又はそれ未満では皮下組織の温度を有意には低減しない。一実施形態では、表皮冷却は、皮膚面の約5mmから約7mm下にある下に位置する皮下脂肪層の温度を治療前のベースライン温度から下げることができるのに対して、約7mm又はそれよりも深い位置にある下に位置する皮下脂肪層は、ベースラインから十分には冷却されない。これらの実施形態では、約5mmから約7mmよりも下方の皮下脂肪層の冷却の程度及び/又は冷却の持続時間は、これらのより深い層にある皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じるには不十分である。上述のように、本発明の開示の方法は、治療ユニットをターゲット部位に配置してサブ-クリオリポリシス的な冷却を適用することにより、ターゲット区域の表面を約-40℃から約10℃に約5分から約2時間にわたって冷却する段階を含む。一部の実施形態では、ターゲット温度は、約-15℃から約0℃の温度範囲にあり、冷却は、約10分から約25分にわたって印加される。他の実施形態では、ターゲット温度は、約-40℃から約0℃の温度範囲にあり、冷却は、約10秒から約25分にわたって印加される。ある一定の実施形態では、皮下組織温度の有意な低減とは、ベースライン温度から約1℃又はそれよりも大きい低減を指す。ベースライン温度は、制御式冷却を適用する前に個々の被験者について決定することができる。従って、ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法は、1又は2以上の指定された深度にある皮下組織のベースライン温度を決定する段階を含む。
【0057】
ある一定の実施形態では、サブ-クリオリポリシス的な制御式冷却は、皮膚面の少なくとも約5mmから約10mm下に位置する皮下組織の温度を予め決められた最低温度に又はそれよりも高く維持する。例えば、サブ-クリオリポリシス的な制御式冷却は、皮膚面の少なくとも約5mmから約10mm下に位置する皮下組織の温度を約20℃、約15℃、約10℃、約5℃、約4℃、約3℃、約2℃、約1℃、約0℃、又は約-5℃という予め決められた最低温度に又はそれよりも高く維持することができる。
【0058】
本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスのある一定の実施形態では、制御式サブ-クリオリポリシス的冷却は、クリオリポリシス的な脂肪除去に関連付けられると考えられるよりも少ない程度まで表皮層及び/又は真皮層を冷却する。
【0059】
制御式サブ-クリオリポリシス的冷却は、クリオリポリシス的な脂肪除去に関連付けられる悪影響リスクを低減すると期待される。例えば、より高い温度及び/又はより短い露出時間のために、制御式サブ-クリオリポリシス的冷却は、色素沈着低下又は色素沈着過剰を含む表皮損傷のリスクを低減すると期待される。
【0060】
ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスに使用する治療ユニットは、クリオリポリシス的な脂肪除去に使用される治療ユニットと同じか又は類似である。これらの実施形態では、治療ユニットは、脂肪除去をもたらす程度まで皮下脂肪層を冷却することができるが、そのような方式では使用されない。例えば、治療ユニットは、脂肪除去に使用されるよりも高い温度に設定することができ(すなわち、より少なく冷却する)、又はより短い期間にわたって又はより少ない冷却サイクルに対して適用することができる。そのような治療ユニットの利点は、それがクリオリポリシス的な脂肪除去又は本明細書で提供するサブ-クリオリポリシス的な方法のいずれかに使用することができるということである。
【0061】
ある一定の実施形態では、本明細書で提供する方法、システム、及びデバイスに使用する治療ユニットは、クリオリポリシス的な脂肪除去に使用される治療ユニットとは異なる。これらの一部の実施形態では、治療ユニットは、クリオリポリシス的な脂肪除去に必要である程度まで皮下層を冷却することができない可能性がある。例えば、治療ユニットは、皮下層を有意に冷却するのに必要な程度まで冷却することができないように設計される場合がある。これに代えて、治療ユニットはフィードバック機構を組み込むことができ、それにより、真皮冷却のターゲットレベルに達した時又は皮下層が冷却を示し始めた時に治療ユニットの温度は上昇する。そのような治療ユニットの利点は、皮下層の意図しない過剰冷却のリスクを低減し、従って、低温冷却に関連付けられた1又は2以上の有害事象(例えば、色素沈着過剰、色素沈着低下、不要な水疱形成、不要な瘢痕化、永久的な望ましくない変質、皮膚の凍結、感覚の喪失(例えば、永久的及び/又は一時的なもの)、及び醜い傷痕)のリスクを低減することができるということである。ある一定の実施形態では、本明細書に開示する治療方法、システム、及びデバイスは、浮腫を引き起こす。他の実施形態では、本明細書に開示する治療方法、システム、及びデバイスは、治療上有効量の浮腫(例えば、被験者に対する1又は2以上の望ましい及び/又は有益な効果に寄与する浮腫の量)を誘発する。しかし、一部の実施形態では、本明細書に開示する治療方法、システム、及びデバイスは、一過性の局所的な発赤、紫斑、及び/又は痺れを引き起こす可能性がある。
【0062】
他の実施形態では、本明細書に開示する治療方法、システム、及びデバイスは、真皮内脂肪細胞が皮膚創傷治癒中に線維芽細胞の補充を媒介することが公知であるように創傷治癒を促進することができる(Schmidt,B.A.,Horsley,V.「真皮内脂肪細胞は皮膚創傷治癒中に線維芽細胞の補充を媒介する(Intradermal adipocytes mediate fibroblast recruitment during skin wound healing)」(2013)、Development(Cambridge)、第140巻(第7号)、1517-1527頁)。いずれの特定の理論にも縛られる意図はないが、被験者の皮膚に関連付けられた細胞外基質の修復は、被験者の皮膚を取り囲む又は他にそれに関連付けられた組織で、組織内で、又は組織において創傷治癒を誘発、促進、改善、又は他に媒介すると期待される。
【0063】
コラーゲン生成の増加に加えて、本明細書で提供する制御式非クリオリポリシス的な冷却方法は、例えば、エラスチン線維、糖タンパク質、及びタンパク質多糖類のうちの1又は2以上を含む皮膚細胞外基質の1又は2以上の追加の成分を増大することができる。本明細書で提供する方法がエラスチンの形成、分解、及びデノボ合成(再構成)、及び/又はネイティブエラスチンの修復を促進する実施形態では、これらの変化は、治療された脂肪組織又はその近くのトロポエラスチン発現の上方調整によって媒介される場合がある。
【0064】
いずれの仮説にも縛られることなく、制御式サブ-クリオリポリシス的冷却に続いて観察されるコラーゲン生成及び皮膚厚みの変化は、皮下脂肪内の損傷又は刺激された細胞(例えば、前脂肪細胞、脂肪細胞、局所線維芽細胞、炎症性細胞、幹細胞)がサイトカイン/成長因子(例えば、TGF-β、PDGF、bFGF、IGF)を放出する結果である可能性があり、これは、次は、真皮脂肪及び皮膚内の隣接した結合組織細胞(例えば、線維芽細胞、筋線維芽細胞)を刺激して細胞外基質成分(例えば、コラーゲン、エラスチン)を合成する。
【0065】
例えば、TGF-βは、いくつかの結合組織遺伝子の発現の重要なメディエータであることは公知である。TGF-βシグナリングは、セリン/トレオニンプロテインキナーゼであるその同族細胞膜受容体へのリガンド結合によって誘発される。細胞膜受容体は、I型又はII型受容体(TGFβRI及びTGFβRII)に分類される。II型受容体は構成的活性型である。リガンドが結合すると、II型受容体はI型受容体に近づき、リン酸化させて活性化する。カノニカルなシグナリングでは、受容体の活性化は、SMADとして公知の転写因子群(TF)のC末端のリン酸化を誘発する。リン酸化されたSMADは、次に、コメディエータであるSMAD、SMAD4と複合体を形成し、SMAD4は核に移動して遺伝子プロモータと結合する。様々なTF及び補因子と協働して、これらの複合体は何百もの遺伝子の転写を制御する。この又は他の類似の経路により、組織の制御式サブ-クリオリポリシス的冷却とTGF-βの放出とにより、近くの線維芽細胞及び/又は他の修復細胞が増殖して細胞外基質成分を合成することができる。TGF-βの存在下での皮膚細胞によるコラーゲン及びエラスチン合成の調整に関する証拠は広く研究されている[1-10]。
【0066】
当業者は、本明細書に説明する様々な実施形態を組み合わせることができること認識するであろう。例えば、本明細書に開示する様々な治療方法からの段階は、満足の行く又は改善したレベルの治療を達成するために組み合わせることができる。
【0067】
本明細書に使用する用語「約」は、説明した値又は値の範囲の10%以内を意味する。
【0068】
図15を参照すると、この図は、腹部区域1502又は別の適切な区域のような患者又は被験者1501の皮下脂質豊富ターゲット区域から非侵襲的に熱を除去するための治療システム1500の一例を示す部分概略等角投影図である。アプリケータ1504は、被験者1501の皮下脂質豊富ターゲット区域を冷却するか又はそこから熱を除去するために協働する被験者1501のターゲット区域と治療ユニット1506とを係合させることができる。アプリケータ1504は印加システムの一部とすることができ、アプリケータ1504は、被験者1501のいずれの皮膚又は皮下の脂質豊富ターゲット区域からも熱を除去することができるように異なる身体部位に適する様々な構成、形状、及びサイズを有することができる。例えば、吸引アプリケータ、ベルトアプリケータ(そのいずれもマッサージ又は振動機能と組み合わせて使用することができる)のような異なるタイプのアプリケータを治療中に適用することができる。各アプリケータ1504は、顎、頬、腕、大胸部、大腿、ふくらはぎ、臀部、腹部、「おなかの贅肉」、背中、及び乳房などのような患者の身体の識別された部分を治療するように設計することができる。例えば、吸引アプリケータは、背中の領域に適用することができ、ベルトアプリケータは、マッサージ又は振動の有無に関わらず大腿領域の周りに適用することができる。治療システム100と共に使用するために様々に使用可能又は適応可能である例示的アプリケータ及びそれらの構成は、例えば、本発明の同一出願人による米国特許第7、854、754号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0077201号明細書、第2008/0077211号明細書、及び第2008/0287839号明細書に説明されており、それらの内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。更に別の実施形態では、システム1500はまた、アプリケータ1504に組み込まれた又はアプリケータと共に使用するように構成された患者保護デバイス(図示せず)を含むことができ、これは、アプリケータが患者の皮膚に直接接触しないように防ぎ、それによって患者間の相互汚染の可能性を低減し、アプリケータの洗浄要件を最小にする。患者保護デバイスはまた、様々なストレージデバイス、コンピュータデバイス、及び無線周波数識別(RFID)構成要素のような通信デバイスを含む又は組み込むことができ、例えば、その使用をモニタ及び/又は計量することを可能にする。例示的患者保護デバイスは、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている本発明の同一出願人による米国特許出願公開第2008/0077201号明細書に説明されている。
【0069】
本発明の例では、システム1500はまた、治療ユニット1506と、アプリケータ1504と治療ユニット1506の間の供給及び戻り流体ライン1508a-bとを含むことができる。治療ユニット1506は、被験者及び/又は被験者のターゲット区域と係合するように構成された接続されたアプリケータ1504の温度を上昇又は下降させることができるデバイスである。治療ユニット1506は、循環する冷却液からヒートシンクへ熱を移し、流体ライン1508a-bを通してアプリケータ1504に冷えた冷却液を供給することができる。代わりに、治療ユニット1506は、加温期間にわたってアプリケータ1504に温かい冷却液を循環させることができる。更に別の実施形態では、治療ユニット1506は、アプリケータ1504を通して冷却液を循環させ、アプリケータ内に組み込まれた1又は2以上のペルチェ型熱電素子への電力供給を制御することにより、アプリケータの温度を上昇又は下降させることができる。循環冷却液の例は、水、グリコール、合成熱伝達流体、オイル、冷媒、及び/又はあらゆる他の適切な熱伝導流体を含む。流体ライン1508a-bは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、及び/又は特定の循環冷却液を収容することができる他の材料から構築されたホース又は他の導管とすることができる。治療ユニット1506は、冷凍ユニット、冷却塔、熱電式チラー、又は冷却液から熱を除去することができるあらゆる他のデバイスとすることができる。一実施形態では、治療ユニット1506は、冷却液を収容して供給するように構成された流体チャンバ1505を含むことができる。これに代えて、治療ユニット1506に代えて又は治療ユニット1506と併せて、上水道(例えば、水道水)を使用することができる。他の実施形態では、アプリケータ1504は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている米国特許出願第13/830,027号明細書に説明されているような望ましい温度プロファイルを達成することができる流体冷却式アプリケータとすることができる。当業者は、治療ユニット、チラー、及び/又はアプリケータを本明細書に説明するものに限定する必要がないような使用可能ないくつかの他の冷却技術があることを認識するであろう。
【0070】
システム1500は、例えば、アプリケータ1504とエネルギ発生ユニット1507の間の電力ライン1509a-bを通して皮膚層又は皮下層の冷却された脂質豊富細胞から更に直接の情報を得るために必要に応じてターゲット領域にエネルギを印加するエネルギ発生ユニット1507を含むことができる。一実施形態では、エネルギ発生ユニット1507は、高電圧又は低電圧の電流を発生させ、アプリケータ1504内の1又は2以上の電極(例えば、カソード、アノード)にそれぞれ電力ライン1509a、1509bを通して送出することができる高電圧又は低電圧パルス発生器のような電気穿孔パルス発生器とすることができる。他の実施形態では、エネルギ発生ユニット1507は、RFパルスのようなRFエネルギを発生させ、電力ライン1509a、1509bを通して又は他の電力ライン(図示せず)に送出することができる可変給電式RF発生器を含むことができる。更に別の実施形態では、エネルギ発生ユニット1507は、マイクロ波パルス発生器、超音波パルスレーザ発生器、又は高周波超音波(HIFU)フェーズドシグナル発生器、又はエネルギを印加するのに適する他のエネルギ発生器を含み、例えば、皮膚層又は皮下層の冷却された脂質豊富細胞から更に直接の情報を得るようにすることができる。一部の実施形態(例えば、RF戻り電極、単極構成を使用する場合の電圧帰還など)では、システム1500は、アプリケータ1504とは別々に配置された戻り電極1511を含むことができ、電力ライン1509c(点線に示す)は、存在する場合に戻り電極1511とエネルギ発生ユニット1507とを電気接続することができる。追加の実施形態では、システム1500は、本明細書に説明するエネルギモダリティ発生ユニットの組合せのいずれか1つのような1よりも多いエネルギ発生ユニット1507を含むことができる。エネルギ発生ユニットと1又は2以上の電極を有するアプリケータとを有するシステムは、本発明の同一出願人による米国特許出願公開第2012/0022518号明細書及び米国特許出願第13/830、413号明細書に説明されている。
【0071】
図示の例では、アプリケータ1504は、少なくとも1つの治療ユニット1506に関連付けられる。アプリケータ1504は、振動、マッサージ、及び/又はパルス駆動効果を生成するために機械的エネルギを供給することができる。アプリケータ1504は、治療部位に振動エネルギ又は他の機械的エネルギを供給するために偏心錘付きモータ、又は油圧モータ、電気モータ、空気圧モータのような他の振動モータ、ソレノイド、他の機械的モータ、圧電加振器のような1又は2以上のアクチュエータを含むことができる。別の例は、いずれかの望ましい組合せで単一アプリケータ1504に接続して使用する複数のアクチュエータを含む。例えば、偏心錘付きアクチュエータは、アプリケータ1504の1つのセクションに関連付けることができ、一方で空気圧モータは、同じアプリケータ1504の別のセクションに関連付けることができる。これは、例えば、治療システム1500のオペレータに被験者1501の単一領域内又は複数領域間における脂質豊富細胞の差別的治療に対するオプションを与えることになる。アプリケータ1504との様々な組合せ及び構成において、1又は2以上のアクチュエータ及びアクチュエータタイプの使用が可能である。
【0072】
アプリケータ1504は、1又は2以上の熱交換ユニットを含むことができる。各熱交換ユニットは、1又は2以上ペルチェ型熱電素子を含む又はそれに関連付けることができ、アプリケータ104は、カスタム空間冷却プロファイル及び/又は時間変化する冷却プロファイルを生成するために複数(例えば、1と50の間、10と45の間、15と21の間、約100など)の個別制御式熱交換ゾーンを有することができる。各カスタム治療プロファイルは、1又は2以上のセグメントを含むことができ、各セグメントは、指定された持続時間、ターゲット温度、及び振動、マッサージ、吸引、及び他の治療モードのような特徴に関する制御パラメータを含むことができる。複数の個別制御式熱交換ユニットを有するアプリケータは、本発明の同一出願人による米国特許出願公開第2008/0077211号明細書及び第2011/0238051号明細書に説明されており、それらの内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。
【0073】
システム1500は、アプリケータ1504と作動的に結合された電源1510とコントローラ1514とを更に含むことができる。一実施形態では、電源1510は、被験者1501から熱を除去するためにアプリケータ1504に直流電圧を供給することができる。コントローラ1514は、制御ライン1516を通してアプリケータ1504の近くに配置されたセンサ(図示せず)によって処理パラメータをモニタし、取りわけ、処理パラメータに基づいて熱除去速度及び/又はエネルギ送出速度を調節することができる。コントローラ1514は、更に処理パラメータをモニタして、例えば、その全体が引用により本明細書に組み込まれている本発明の同一出願人による米国特許第8、275、442号明細書に説明されているようなカスタム治療プロファイル又は患者固有の治療計画に定められた治療パラメータのような治療パラメータに基づいてアプリケータ1504を調節することができる。
【0074】
コントローラ1514は、電気ライン1512を通して又は代わりに無線又は光通信リンクを通してアプリケータ1504とデータを交換することができる。制御ライン1516及び電気ライン1512は、支持構造なしで図15に示されていることに注意されたい。これに代えて、制御ライン1516及び電気ライン1512(及び流体ライン108a-b及び電力ライン1509a-bを含むがこれらに限定されない他のライン)を導管などに束ねるか又はそれらが導管を伴ってそのようなラインを保護し、人間工学的快適性を高め、不要な動き(及び従って被験者1501からの熱除去及び/又は被験者1501へのエネルギ送出が非効率的になる可能性)を最小にし、及びシステム1500に美的外観を提供することができる。そのような導管の例は、可撓性ポリマー、織物、又は複合シース、調節可能なアームなどを含む。そのような導管(図示せず)は、被験者1501の治療のために導管を定位置に(調節可能な継手などを通して)「固定」するように設計することができる。
【0075】
コントローラ1514は、いずれかのプロセッサ、プログラマブル論理コントローラ、分散制御システム、及びセキュアプロセッサなどを含むことができる。セキュアプロセッサは、アクセス制御式物理インタフェース、不正開封防止閉じ込め、物理的な不正開封を検出して応答するための手段、セキュアストレージ、及びコンピュータ実行可能な命令の遮蔽された実行を有する集積回路として実施することができる。一部のセキュアプロセッサはまた、暗号化アクセラレータ回路を提供する。同じく、セキュアストレージは、セキュアフラッシュメモリ、セキュアシリアルEEPROM、セキュアフィールドプログラマブルゲートアレイ、又はセキュア特定用途向け集積回路として実施することができる。
【0076】
別の態様では、コントローラ1514は、入力デバイス1518(タッチスクリーンとして示す)からデータを受信し、出力デバイス1520にデータを送信し、及び/又は制御パネル(図示せず)とデータを交換することができる。入力デバイス1518は、キーボード、マウス、スタイラス、タッチスクリーン、プッシュボタン、スイッチ、ポテンショメータ、スキャナ、マイクロフォンのようなオーディオ構成要素、又はユーザ入力を受け入れるのに適するあらゆる他のデバイスを含むことができる。出力デバイス1520は、ディスプレイ又はタッチスクリーン、プリンタ、ビデオモニタ、媒体読取装置、スピーカのようなオーディオデバイス、それらのあらゆる組合せ、又はユーザフィードバックを提供するのに適するあらゆる他の1又は複数のデバイスを含むことができる。
【0077】
図15の実施形態では、出力デバイス1520は、入力デバイス1518と出力デバイス1520の両方として機能するタッチスクリーンである。制御パネルは、視覚インジケータデバイス又は制御器(例えば、表示灯、数値ディスプレイなど)及び/又は音声インジケータデバイス又は制御器を含むことができる。制御パネルは、入力デバイス1518及び/又は出力デバイス1520とは別々の構成要素とすることができ、デバイスの1又は2以上と統合することができ、デバイスの1又は2以上と部分的に統合することができ、別の場所にあるなどとすることができる。代替例では、制御パネル、入力デバイス1518、出力デバイス1520、又はその部品(本明細書に説明する)は、アプリケータ1504に収容される、それに取り付けられる、又はそれと統合される場合がある。この例では、コントローラ1514、電源1510、制御パネル、治療ユニット1506、入力デバイス1518、及び出力デバイス1520は、持ち運びのための車輪1526付きラック1524で運ばれる。代替実施形態では、コントローラ1514は、マルチモダリティアプリケータ1504及び/又は上述の患者保護デバイスに収容される、それに取り付けられる、又はそれと統合される場合がある。更に別の実施形態では、様々な構成要素は、治療部位に固定して設置することができる。アプリケータ1504、治療ユニット1506の構成要素及び/又は作動に関する更なる詳細及び他の構成要素は、本発明の同一出願人による米国特許出願公開第2008/0287839号明細書に見出すことができる。
【0078】
作動において及び治療プロトコルを開始する入力の受信時に、コントローラ1514は、1又は2以上の電源1510、1又は2以上の治療ユニット1506、及び1又は2以上のアプリケータ1504に規定された治療計画の各セグメントを通して循環させることができる。その際、電源1510及び治療ユニット1506は、熱電クーラー(例えば、TEC「zones」)のようなアプリケータ1504の1又は2以上の機能的構成要素に冷却液及び電力を供給して冷却サイクルを開始し、例えば、振動、マッサージ、吸引などのような機能又はモードを起動する。
【0079】
1又は2以上のアプリケータ1504、患者の皮膚、患者保護デバイス、又は他の場所、又はその組合せに対して近位の温度センサ(図示せず)を使用して、コントローラ1514は、温度又は熱流束がターゲットの温度又は熱流束に十分に近いか否かを決定することができる。身体のある領域(例えば、脂肪組織)がターゲット温度に冷却又は加熱されたとしても、実際は、身体のその領域は、例えば、身体の自然な加熱及び冷却の変動のためにターゲット温度に近いが又はターゲット温度に等しくない可能性があることは認められるであろう。従って、本発明のシステムは、組織をターゲット温度に加熱又は冷却し、又はターゲット熱流束を供給するよう試みることができるが、センサは、十分に近い温度又は熱流束を測定する場合がある。ターゲット温度に達していない場合に、ターゲット温度又は「設定値」を維持するために電力を増加又は低減して熱流束を変化させ、脂質豊富な皮下脂肪組織に選択的に影響を与えることができる。
【0080】
規定されたセグメント持続時間が満了すると、コントローラ1514は、次の治療プロファイルセグメントに示された温度及び持続時間を適用することができる。一部の実施形態では、温度は、電力以外の又はそれに加えた変数を使用して制御することができる。
【0081】
一部の実施形態では、熱流束測定は、治療の投与中に起こり得る他の変化又は異常を示すことができる。例えば、熱流束センサによって検出される温度の上昇は、皮膚又は下に位置する組織(すなわち、真皮組織)における凍結事象を示すことができる。熱流束センサによって検出されるような温度の上昇はまた、例えば、アプリケータを皮膚のより温かい領域と接触させることのようなアプリケータに関連付けられた移動を示すことができる。フィードバックデータの収集及び温度測定のモニタの方法及びシステムは、本発明の同一出願人による米国特許第8、285、390号明細書に説明されている。
【0082】
アプリケータ1504はまた、処理治療フィードバックを検出するための追加のセンサを含むことができる。追加のセンサは、処理パラメータの中でも特に組織インピーダンス、治療印加力、アプリケータとの組織接触、被験者1501の皮膚とのエネルギ相互作用を測定するために含めることができる。
【0083】
一実施形態では、皮膚層又は皮下層の脂質豊富細胞からの熱除去に関連付けられたフィードバックデータをリアルタイムで収集することができる。そのようなフィードバックデータのリアルタイム収集及び処理を治療投与と連携して使用して、皮下脂肪組織を変更するか又は低減するのに使用される処理パラメータが正しくかつ実質的に与えられることを保証することができる。
【0084】
システム1500の例は、治療領域内の非脂質豊富細胞に対してほぼ付随的な損傷なしに脂質豊富細胞を損傷させる、傷付ける、破砕する、又は他に低減するアプリケータ1504を提供することができる。一般的に、脂質豊富細胞は、非脂質豊富細胞にはそれほど影響を与えない低温にそのような細胞を露出することにより、選択的に影響を受ける(例えば、損傷する、傷付く、又は破砕する)可能性があると考えられる。更に、上述のように、凍結保護剤を治療部位の被験者1501の皮膚に局所的に投与する及び/又はアプリケータ1504と共に使用して、利点の中でも特に治療中に(例えば、真皮及び表皮の皮膚層にある)非脂質豊富組織の凍結防止を助け、選択的に治療領域の脂質豊富細胞から直接の情報を得て、有益にかつ美容的に皮下脂肪組織を変更し、汗腺を治療し、及び/又は皮脂分泌を低減することができる。その結果、皮下脂肪組織及び腺上皮細胞のような脂質豊富細胞が損傷を受ける可能性があるのに対して、表面の非脂質豊富細胞が更に低い温度に露出される場合でも、同じ領域内の他の非脂質豊富細胞(例えば、真皮及び表皮の皮膚細胞)はほぼ損傷を受けない。一部の実施形態では、アプリケータ104で与えられる機械的エネルギは、影響を受けた脂質豊富細胞を機械的に破砕することにより、脂質豊富細胞に対する効果を更に高めることができる。1つの作動モードでは、アプリケータ1504は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている本発明の同一出願人による米国特許第7、854、754号明細書に開示されたデバイスのような手持ち式デバイスをもたらすように構成することができる。
【0085】
被験者の皮膚に対して圧力又は吸引タイプの力と共にアプリケータ1504を適用するか又は皮膚に押圧することは、効率的な治療を達成するのに有利である可能性がある。一般的に、被験者1501の体内温度は約37℃であり、血液循環は一定の体温を維持するための一機構である。その結果、治療する領域の皮膚及び皮下層を流れる血流は、皮下脂肪の冷却を打ち消す熱源と見なすことができる。従って、対象組織を冷却するのは、そのような組織から熱を除去するだけでなく、この組織を循環する血液の熱も除去しなければならない。従って、例えば、アプリケータを圧力と共に適用するなどの手段により、治療領域を流れる血流を一時的に低減するか又は排除することで組織冷却の効率を改善し、真皮及び表皮を通じた過度の熱損失を回避することができる。更に、吸引により身体から皮膚を引き離すことができ、これはターゲットとされた下に位置する組織の冷却を助けることができる。
【0086】
システム1500(図15)を使用していくつかの前処置及び治療方法を実行することができる。方法の特定の実施例を本明細書に説明するが、当業者は、本発明のシステムが実行することができる他の方法を識別することができる。更に、本明細書に説明する方法は、様々な方法で変更することができる。例示的に、図示の論理部の順序を再配置することができ、サブステージを並行して実行することができ、図示の論理部を省略することができ、他の論理部を含むことができる等々である。
【0087】
図16は、本発明の開示の実施形態によるコンピュータデバイス1600の副構成要素を示す概略ブロック図である。コンピュータデバイス1600は、プロセッサ1601、メモリ1602(例えば、SRAM、DRAM、フラッシュ、又は他のメモリデバイス)、入力/出力デバイス1603、及び/又はサブシステム及び他の構成要素1604を含むことができる。コンピュータデバイス1600は、広範な計算処理、格納、感知、画像処理、及び/又は他の機能のいずれかを実行することができる。コンピュータデバイス1600の構成要素は、単一ユニットに収容されるか又は複数の相互接続したユニットにわたって(例えば、通信ネットワーク上で)分散される場合がある。コンピュータデバイス1600の構成要素は、適宜、ローカル及び/又はリモートのメモリストレージデバイスと、広範なコンピュータ可読媒体のいずれかとを含むことができる。
【0088】
図16に示すように、プロセッサ1601は、ソフトウエアモジュールのようなプロセッサ1601を実行するための複数の機能モジュール1606を含むことができる。ソースコード(すなわち、従来のプログラミング言語)の様々な実施は、コンピュータ可読ストレージ媒体上に保存されるか又は搬送波で伝送媒体上に具現化される場合がある。プロセッサのモジュール1606は、入力モジュール808、データベースモジュール1610、処理モジュール1612、出力モジュール1614、及び必要に応じて表示モジュール1616を含むことができる。
【0089】
作動において、入力モジュール1608は、図15に関して上述した1又は2以上の入力デバイスを通してオペレータ入力1619を受信し、受信した情報又は選択を更に別の処理のために他の構成要素に伝達する。データベースモジュール1610は、患者記録、治療データセット、治療プロファイル及び手術記録、及び他のオペレータ活動を含む記録を編成してデータストレージ(例えば、内部メモリ1602、外部データベースなど)との間でこれらの記録の保存及び検索を容易にする。単層ファイルシステム、階層型データベース、リレーショナルデータベース、分散型データベースなどのようなあらゆるタイプのデータベース構成を利用することができる。
【0090】
図示の例では、処理モジュール1612は、センサ(例えば、温度測定構成要素)及び/又は他のデータソースからのセンサ読取値1618に基づいて制御変数を生成することができ、出力モジュール1614は、オペレータ入力を外部コンピュータデバイスに及び制御変数をコントローラ1914(図15)に伝達することができる。表示モジュール1616は、処理パラメータ、センサ読取値1618、出力信号1620、入力データ、治療プロファイル、及び規定された作動パラメータを変換し、表示画面、プリンタ、スピーカシステムなどのような1又は2以上の接続された表示デバイスを通して送信するように構成することができる。好ましい表示モジュール1616は、コントローラ1614がセンサ読取値1618又は治療進行の他のステータスを出力デバイス1620(図15)上に表示することを可能にするビデオドライバを含むことができる。
【0091】
様々な実施形態では、プロセッサ1601は、標準的な中央演算処理ユニット又はセキュアプロセッサとすることができる。セキュアプロセッサは、データ又はプログラミング論理部を抽出しようとする高度な攻撃に耐えることができる専用プロセッサ(例えば、縮小命令セットプロセッサ)とすることができる。セキュアプロセッサは、外部デバッガがセキュアプロセッサの実行又はレジスタをモニタすることを可能にするデバッグピンを持たなくてもよい。他の実施形態では、本発明のシステムは、セキュアフィールドプログラマブルゲートアレイ、スマートカード、又は他のセキュアデバイスを採用することができる。
【0092】
メモリ1602は、標準メモリ、セキュアメモリ、又は両メモリタイプの組合せとすることができる。セキュアプロセッサ及び/又はセキュアメモリを採用することにより、本発明のシステムは、データ及び命令が高度に安全であること、及び復号のような機密性の高い作動が観察から遮蔽されることの両方を保証することができる。
【0093】
適切なコンピュータ環境及び他のコンピュータデバイス及びユーザインタフェースは、「身体整形用途のための治療計画システム及び方法(TREATMENT PLANNING SYSTEMS AND METHODS FOR BODY CONTOURING APPLICATIONS)」という名称の本発明の同一出願人による米国特許第8、275、442号明細書に説明されており、その内容全は引用により本明細書に組み込まれている。
【実施例0094】
TGF-β発現に対する制御式クリオリポリシス的冷却の効果
本発明の譲渡人であるZeltiq Aestheticsインコーポレーテッドから入手可能な市販のCoolAdvantage Petite(商標)治療ユニットを-11℃の制御式冷却温度に設定し、ヒト被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に35分の治療持続時間にわたって適用した。
【0095】
皮膚及び脂肪層でのTGF-β mRNA発現に対する表皮冷却の効果をInvitrogen viewRNA(登録商標)ISHアッセイプロトコルを使用するホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルのRNA原位置交雑(RNA-ISH)染色により評価した。プローブは、ヒトTGF-β1遺伝子(Thermofisher,#VA6-17264)であった。
【0096】
治療の3週間後に、被験者は、脂肪内でのTGF-β mRNA発現の有意な増加を示すが(図1Bから1D)、皮膚のTGF-β mRNAレベルにはほとんど又は全く変化がなかった。この増加は、脂肪細胞の周りで真皮及び界面皮下脂肪の両方で観察され(図1C及び1D)、皮下層(図1B)でより高い発現を示している。未処置の組織(対照)は、皮膚でも皮下脂肪でもTGF-β mRNAの発現を示さなかった(図1A)。
【実施例0097】
コラーゲン発現に対する制御式クリオリポリシス的冷却の効果
-11℃に設定したCoolAdvantage Petite治療ユニットをヒト被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に35分にわたって適用した。
【0098】
皮膚及び脂肪層でのコラーゲン発現に対する表皮冷却の効果をInvitrogen viewRNA(商標)ISHアッセイプロトコルを使用するホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルのRNA-ISH染色により評価した。プローブは、ヒトCOL1A1(Thermofisher,#VA6-18298)であった。
【0099】
治療の3週間後に、被験者は、皮下脂肪組織においてコラーゲン、COL1A1 mRNAレベルの有意な増加を示す(図2A(未処置)と2B(治療済み)を比較されたい)。未処置部位の皮下脂肪組織は、COL1A1 mRNAの変化又はシグナルの上昇を示さなかった(図2A)。
【0100】
コラーゲン mRNAの上方調整は、新規コラーゲン合成に重要である(mRNAからタンパク質へのセントラルドグマ)。制御式サブ-クリオリポリシス的冷却に続くmRNAの上方調整によってコラーゲン合成が実際に存在したか否かを確認するために、組織サンプルをマッソンのトリクロムで染色した(青の染色部=コラーゲン)。制御式サブ-クリオリポリシス的冷却後に、治療した脂肪細胞の周りに線維状コラーゲンレベルの有意な増加が観察された(図3A(未処置)及び3B(処置後1週)に関して3A(未処置)及び3C(処置後3週)を比較されたい)。治療した脂肪細胞の周囲でのコラーゲンの拡大図を図3Dに示している。この証拠は、制御式サブ-クリオリポリシス的冷却に続くCOL1A1及びTGF-β mRNAの存在下における新規コラーゲンの形成を確証するものである。
【実施例0101】
皮膚厚みに対する制御式サブ-クリオリポリシス的冷却の効果
-14℃に設定した浅い表面のためのプロトタイプアプリケータ(大腿の曲率に適合するように設計されており、Zeltiq Aesthetics・インコーポレーテッドから入手可能)の治療ユニットを1回の治療につき20分にわたって20人の被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に適用した。
【0102】
大腿の皮膚厚みを測定することにより、皮膚厚みに対する表皮冷却の効果を評価した。50MHzを使用する超音波(DermaScan,Cortex Technology・インコーポレーテッド)を実行して皮膚の断面を表す画像を生成した。皮膚は、画像の中心に不均一なエコー帯として示されている。画像の説明、左から右:明るい薄層が超音波ライナ(薄い超エコー層)、水性の結合のための透過ゲル(顕著な低エコー層)、皮膚の表皮/真皮(不均一なエコー帯)、皮下脂肪(顕著な低エコー層)と続く。生体内皮膚厚みを測定するために製造業者の解析ソフトウエアを使用する画像処理を使用した。治療前にベースライン皮膚厚み測定値を得た。処置後の皮膚厚みの測定値は、最終治療の12週後に得たものである。
【0103】
20人の被験者にわたって、合計270のターゲット部位を評価した。被験者は、1.45±0.29mmという平均ベースライン厚み測定値を示している。治療12週後の平均厚み測定値は、1.57±0.31mmであり、ベースラインからの全体的な平均増加量は、0.11±0.27mmであった。全ターゲット部位にわたる皮膚厚み変化の分布を示すヒストグラムを図4に示している。2人の異なる被験者で観察された特定変化の例を図5に示している。被験者1は、第1の部位では、ベースラインの1.42mmから治療12週後の2.05mmへの変化を示し(図5Aと5Bを比較)、第2の部位では1.28mmから1.77mmへの変化を示す(図5Cと5Dを比較)。被験者2は、第1の部位でベースラインの0.96mmから治療12週後の1.19mmへの変化を示し(図5Eと5Fを比較)、第2の部位で1.05mmから1.23mmへの変化を示す(図5Gと5Hを比較)。
【実施例0104】
ターゲット部位でのシグナリング深度に対する制御式サブ-クリオリポリシス的冷却の治療持続時間の効果
-11℃に設定したCoolAdvantage Petite治療ユニットをヒト被験者の皮膚上のターゲット部位の近位に20、35、及び60分という治療持続時間にわたって適用した。
【0105】
皮膚及び脂肪層でのTGF-β mRNA発現に対する表皮冷却の効果をInvitrogen viewRNA(商標)ISHアッセイプロトコルを使用するホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルのRNA原位置交雑(RNA-ISH)染色により評価した。プローブは、ヒトTGF-β1遺伝子(Thermofisher,#VA6-17264)であった。
【0106】
図6Aから6Cに示すように、治療の持続時間を増大することにより、被験者の皮下脂肪層内へのTGF-β mRNA発現の深度が約5mm(図6Aの20分治療)から約9mm(図6Bの35分治療)、約14.5mm(図6Cの60分治療)まで増加する。
【実施例0107】
ターゲット部位での温度分布及びシグナリング深度に対する制御式サブ-クリオリポリシス的冷却の効果:理論及び実験
図7に示すように、CoolAdvantage Petiteの計算上の3次元モデルを生成し、全ての関連の物理的境界条件及び初期条件と共に生体内試験に関する幾何学的立体及び組織特性を組み入れた。過渡的生体熱伝達モデリングは、市販の有限要素解析ソフトウエア(COMSOL Multiphysics v5.0、COMSOL・インコーポレーテッド、バーリントン、マサチューセッツ州)を使用して実行した。生体熱伝達モジュールを使用して、冷却温度及び治療持続時間の関数として温度分布と深度の関係を決定した。熱特性と代表的な寸法を表1に示している。
【表1】
【0108】
表1のデータは、Cohen,ML.「ヒトの皮膚の熱特性測定(Measurement of the thermal properties of human skin)」、評論雑誌J.Invest.Dermatol.69号、333-338頁、1977年;Duck,F.A.「組織の物理特性(Physical Properties of Tissues)」、参考図書Academic Press 1990年;Jimenez Lozano,J.N.,Vacas-Jacques,P.,Anderson,R.R.,Franco,W.「皮膚及び皮下組織の高周波加熱における線維性中隔の効果(Effect of fibrous septa in radiofrequency heating of cutaneous and subcutaneous tissues)」、Computational study,Lasers in Surgery and Medicine、第45号(第5巻)、326-338頁、2013年から抜粋したものである。
【0109】
図8は、-11℃で35分にわたって印加中の治療部位での組織内温度分布の断面図を示している。0、2、及び5℃の等温線は、これらの特定温度以下の温度まで冷却された組織の範囲を強調表示している。参考までに、閾値温度(Ts)は、シグナリング事象(例えば、TGF-β及び/又はCOL1A1 mRNAの発現増加)がトリガされる限界温度として定義することができる。そうすることで、シグナリング組織及び非シグナリング組織を取り囲む組織領域をマップすることができる。温度閾値は、異なる細胞タイプ、分子内容物、及び他の生物学的特性の間で変化する可能性がある。閾値温度5℃での組織内シグナリング容積範囲における治療持続時間(Td)の効果を図9Aから9Dに示している。図9Aから9Dに示すように、Ts≦5℃の組織(シグナリングを受けている組織)の容積は、固定冷却温度(Tapp)で10分(図9A)から20分(図9B)、35分(図9C)、60分(図9D)までなどのように治療持続時間と共に増加する。
【0110】
同様に、Tappを変えて組織内でのシグナリングの範囲を変化させることができる(図10Aから10Cを比較されたい)。これらの曲線を計算して脂肪の中への最大シグナリング深度(対称線における温度プロファイル、図7参照)を定量化し、Td、Tapp、及びTsの変化に対するシグナリング深度の変化を調べた。冷却温度を変化させるための温度プロファイルを図10A(Tapp=-5℃)、図10B(Tapp=-11℃)、及び図10C(Tapp=-11℃)に示しており、ここで、色付き曲線は特定の治療持続時間(Td)を表している。
【0111】
固定条件、例えば、冷却温度(Tapp=-11℃)及び特定の閾値温度(Ts=2℃)の場合に、図11に示すように、シグナリング脂肪深度は、いずれの治療持続時間(Td)についても評価することができる。図11の治療持続時間を5分から60分に設定し、シグナリング脂肪深度を各曲線について評価した(矢印)。類似の曲線を生成して特定の閾値Ts=2℃(図12)及びTs=5℃(図13)での特定の治療持続時間(Td)に対するシグナリング深度でのTappの効果を調べることができる。
【0112】
理論値と生体内試験の間でのシグナリング深度の比較を固定冷却温度(CoolAdvantage Petite、Tapp=-11℃)と様々な治療持続時間とに対して図14に示している。2、4、及び5℃の閾値温度の曲線は、図6Aから6Cに提示した生体内試験の結果と比較され、TGF-β1 mRNAの発現増加との密接な相関関係を示している。これらの成果は、本明細書に提示する特定のサブ-クリオリポリシス的な冷却条件及び方法を使用してシグナリング応答が制御可能であることを裏付ける証拠を示している。
【0113】
上述のように、サブ-クリオリポリシス的な冷却は、被験者に1又は2以上のシグナリング事象を誘発することができるが、サブ-クリオリポリシス的な冷却治療プロトコルに関連付けられたパラメータは、被験者の皮下層に有意な損傷をもたらさない(例えば、被験者の脂肪の容積は、クリオリポリシス的な冷却で観察されるように、美容的に少なくとも約20%低減するということはない)。1又は2以上のシグナリング事象が約2℃、約3℃、又は約5℃で誘発され、被験者の皮下脂肪の美容的低減が約2℃、約5℃、及び約10℃で生じる一方、美容的脂肪低減を達成するために、被験者の皮下脂肪層は、被験者の皮膚面の少なくとも約10mm下まで処置される(例えば、2℃、5℃、又は10℃のいずれかまで冷却される)。対照的に、サブ-クリオリポリシス的な冷却は、上側皮膚面から約7、8、又は9mmを超えて下方の皮下層の脂肪が有意に損傷しない(例えば、深い皮下層の脂肪は影響を受けることが少ない)温度及び/又は治療時間を使用することによって達成される。
【0114】
治療の持続時間、アプリケータ温度、シグナリング閾値温度、及び治療領域の厚みは、図10から14に表すようなグラフ、図表、及び他の図解を使用して選択し、サブ-クリオリポリシス的な冷却を達成することができる(例えば、皮下脂肪を有意に破壊することなく、1又は2以上のシグナリング事象を誘発する)。例えば、アプリケータ温度が約-11℃であり、シグナリング温度が約2℃である場合に、1mmから12mmの被験者の皮下層内の望ましい深度でこのシグナリング温度を達成するのに必要な治療持続時間を図11から決定することができる。別の例として、図14から18及びそこにある原理を使用して、約-5℃から約-15℃のアプリケータ温度を選択し、約2、4、又は5℃のシグナリング温度を達成することができる。同じく、シグナリング温度を達成する被験者の皮下層内の望ましい深度と、このシグナリング深度を達成するのに必要な治療の治療持続時間とを決定することができる。
【0115】
これに加えて、損傷を受ける被験者の皮下層(例えば、脂肪層)の厚みは、被験者の皮膚層の厚みに関連する可能性がある(例えば、より厚い皮膚層を有する被験者は、皮膚が適切に影響を受けることができるように適切なシグナリングをもたらすためにより厚い脂肪層が損傷を受ける必要がある可能性がある)。従って、サブ-クリオリポリシス的な冷却に対して選択されるパラメータは、被験者の皮下層でのシグナリング深度を被験者の皮膚層の約0.5倍、約1倍、約2倍、又は約3倍の係数の厚みであるように選べるように、被験者の皮下層の厚みを考慮に入れる場合もある。この係数は、1又は2以上のシグナリング事象が被験者の皮下層で生じる持続時間に依存する場合がある。例えば、約-25℃のアプリケータ温度は、約-15℃のアプリケータ温度よりも急速に被験者の皮下層内へより深く冷却することができるが、1又は2以上の望ましいシグナリング事象が十分に他に誘発されない場合に、治療の持続時間は、約-15℃と比較して約-25℃でより長くなる可能性がある。
【0116】
追加の実施形態
本発明の技術の様々な実施形態を上記に説明している。上述した詳細は、開示する実施形態を当業者が製造して使用することを可能にするのに十分な方式で実施形態を説明するために提供したことは認められるであろう。しかし、詳細及び利点のいくつかは、一部の実施形態を実施するのに必要でない場合がある。更に、一部の公知の構造又は機能は、様々な実施形態の関連する説明を不要に曖昧にしないように詳細に示していない又は説明していない場合がある。一部の実施形態は、本発明の技術の範囲に入る可能性があるが、図に関して詳細に説明していない場合がある。更に、様々な実施形態の特徴、構造、又は特性は、あらゆる適切な方式で組み合わせることができる。更に、当業者は、上述したものと類似の機能を実行するのに使用することができる他の技術がいくつか存在することを認識するであろう。処理又はブロックを所与の順序で提示するが、代替実施形態は、異なる順序でステージを有するルーチンを実行し、又は異なる順序でブロックを有するシステムを採用することができ、一部の処理又はブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は変更することができる。これらの処理又はブロックの各々は、様々な異なる方法で実施することができる。同じく、処理又はブロックは、連続して実行されるものとして示される場合もあるが、これらの処理又はブロックは、代わりに並行に実行することができ、又は異なる時間に実行することができる。本明細書に与える見出しは便宜上のものであり、説明する技術の範囲又は意味を説明するものではない。
【0117】
本明細書に使用する用語は、識別された実施形態の詳細説明と併せて使用されている場合でも最も広範で合理的な方式で解釈されるように意図している。
【0118】
関連上明らかに他の意味を意味しない限り、本明細書全体を通して「含む」及び「含んでいる」などのような語は、限定的又は網羅的な意味とは対照的に包含的な意味で、すなわち、「含むがこれに限定されない」という意味に解釈しなければならない。単数又は複数を使用する語もそれぞれ複数又は単数を包含する。2又は3以上の項目のリストに関する語「又は」の使用は、その語の以下の解釈の全てを網羅する:リスト内項目のいずれか、リスト内項目の全て、及びリスト内項目のあらゆる組合せを網羅する。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」いう句は、当業者が慣例で理解すると考えられるような意味を意図している(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、及び/又はA、B、及びCを共に有するなどのシステムを含むがこれらに限定されないことになる)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合に、一般的にそのような構成は、当業者が慣例で理解すると考えられるような意味を意図している(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、及び/又はA、B、及びCを共に有するなどのシステムを含むがこれらに限定されないことになる)。
【0119】
本明細書に説明した機能ユニットの一部は、それらの実施の独立性をより特別に強調するためにモジュールと名付けている。例えば、モジュール(例えば、図20に関連して説明したモジュール)は、異なるタイプのプロセッサを実行するソフトウエアに実施することができる。例えば、実行可能コードの特定されたモジュールは、例えば、オブジェクト、プロシージャ、又は関数として編成することができるコンピュータ命令の1又は2以上の物理的又は論理的ブロックを有することができる。コンピュータ命令の特定されたブロックは、物理的にまとめて配置する必要はなく、論理的に結合された場合にモジュールを有してモジュールに関する目的を達成する異なる位置に保存された異種の命令を有することができる。
【0120】
モジュールはまた、カスタムVLSI回路又はゲートアレイ、論理チップ、トランジスタ、又は他の個別構成要素のような既製の半導体を有するハードウエア回路として実施することができる。モジュールはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理部、プログラマブル論理デバイスのようなプログラマブルハードウエアデバイスに実施することができる。
【0121】
実行可能コードのモジュールは、単一命令又は多くの命令とすることができ、更に複数の異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラム間で、及び複数のメモリデバイスにわたって分散させることができる。同様に、作動データは、識別して本明細書ではモジュール内に挿入することができ、あらゆる適切な形態に具現化し、あらゆる適切なタイプのデータ構造内に編成することができる。作動データは、単一データセットとして収集することができ、又は異なるストレージデバイスにわたるものを含む異なる位置に分散させることができ、少なくとも部分的に単にシステム又はネットワーク上の電子信号として存在することができる。
【0122】
本明細書に引用したいずれの特許、出願、及び他の参考文献も引用により本明細書に組み込まれている。必要に応じて、説明した技術の態様を変更して上述の様々な参照文献のシステム、機能、及び概念を採用し、更に別の実施形態を提供することができる。
【0123】
これら及び他の変更は、上述の詳細説明に照らして行うことができる。以上の説明ではある一定の実施形態を詳述し、かつ考えられる最良のモードを説明したが、どのように詳述したとしても様々な変更が可能である。実施の詳細は、本明細書に開示する技術に包含されるが、かなり変化する可能性がある。上述のように、技術の特定の特徴又は態様を説明する時に使用される特定の用語は、それが関連する技術のいずれかの特定の特性、特徴、又は態様にその用語を限定するために本明細書で再定義されることを意味するものと見なすべきではない。
【0124】
以上の内容は、単に本発明の様々な実施形態の例示を意図するものに過ぎない。上記で説明した特定の修正は、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく様々な均等物、変更、及び修正が可能であることは当業者には明らかであろうし、そのような同等な実施形態は、本明細書に含まれることになることは理解される。本明細書に引用した全ての参考文献は、本明細書に完全に説明されているかのように引用によって組み込まれている。
図1A
図1B-1D】
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の1又は2以上の皮膚特性を改善する方法であって、
脂肪細胞シグナリングを変更するが皮下脂質豊富細胞の有意な破壊を生じない程度まで前記被験者の皮膚をターゲット部位で冷却する段階、
を含み、
前記脂肪細胞シグナリングの変更は、1又は2以上の皮膚特性の改善を生成する、
ことを特徴とする方法。
【外国語明細書】