IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャイラス エーシーエムアイ インクの特許一覧

<>
  • 特開-尿管ステント 図1
  • 特開-尿管ステント 図2A
  • 特開-尿管ステント 図2B
  • 特開-尿管ステント 図3A
  • 特開-尿管ステント 図3B
  • 特開-尿管ステント 図4
  • 特開-尿管ステント 図5
  • 特開-尿管ステント 図6
  • 特開-尿管ステント 図7
  • 特開-尿管ステント 図8
  • 特開-尿管ステント 図9
  • 特開-尿管ステント 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071402
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】尿管ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20240517BHJP
【FI】
A61F2/82
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032956
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2019067338の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】15/941,598
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュディ・エル・ワリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】フイ・タン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ホルマン
(57)【要約】
【課題】患者の不快感を最小限にしつつ、患者の体内に配置し、腎臓から膀胱への尿の排出のための経路を与えることができる、尿管ステントを提供する。
【解決手段】尿管ステントが提供される。本ステントは、第1の管腔部を画定する第1の壁を有する、第1の部分を含むことができる。本ステントは、第2の管腔部を画定する第2の壁を有する、第2の部分を更に含むことができる。第2の部分は、ステントに外部圧力がかかっているときに、実質的に閉鎖することが可能にされ得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管腔部を画定する第1の壁を有する、第1の部分と、
ステントに外部圧力がかかるときに、実質的に閉鎖することが可能な、第2の管腔部を画定する第2の壁を有する、第2の部分と、
を備える、ステント。
【請求項2】
前記第2の壁が、前記第1の壁より低いデュロメータを有する、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の壁及び前記第2の壁がポリマーから作製されている、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記第2の壁がキトサンから作製されている、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記第1の壁が、前記第2の壁よりも厚い、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記ステントが尿管ステントである、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
前記第2の部分が、患者の膀胱に留置される、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記第2の部分が、患者の尿管に置かれる、請求項6に記載のステント。
【請求項9】
前記外部圧力が、約30MPa~70MPaである、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
前記第2の部分が、外部圧力範囲が前記ステントにかかるときに、実質的に閉鎖されることが可能な管腔部を画定する、複数の壁を更に含む、請求項1に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置、より詳細には尿管ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
尿管ステントは、腎臓から膀胱への尿の排出を補助するために患者の体内に配置されてもよい。例えば、ある尿路結石の手技の後、結石又は腫瘍の小片又は断片が尿管に入り込むおそれがあり、これが腎臓から膀胱への尿の流れを妨害又は遮断することがある。尿管ステントは、尿管を拡張させる機能を有しており、結石又は結石の断片を尿が通り抜け、腎臓から膀胱へと流れることができるようにし得る。
【0003】
尿管ステントは、一般に、2つの対向する末端で終わる管状部材を備えている。管状部材は、尿が流れるのを可能にする。しかし、現在のステントは、排尿の間に患者にかなりの不快感をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、患者の不快感を最小限にしつつ、患者の体内に配置し、腎臓から膀胱への尿の排出のための経路を与えることができる、尿管ステントを提供することによって、現行技術を改善することが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、排尿の間に、患者への不快感を著しく最小化する尿管ステントを提供する。不快感の考えられる原因は、ステントから尿を排出している間に起こり得る。膀胱筋は、尿を押し出すとき、尿の一部をステントから腎臓に流して戻すことができる。尿の腎臓への逆流は、側腹痛の考えられる原因となり得る。
【0006】
ある種の実施形態により、ステントが提供される。本ステントは、第1の管腔部を画定する第1の壁を有する第1の部分及び第2の管腔部を画定する第2の壁を有する第2の部分を含むことができる。第2の部分は、ステントに外部圧力がかかるときに、実質的に閉鎖することが可能にされ得る。
【0007】
本明細書において開示されている対象物、特徴、実施形態の利点は、添付の図面と連携して以下の記載を参照することにより、よりよく理解することができる。図面は、本明細書に含まれる特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。明確にする目的で、各要素が、各図面に記されていないことがある。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに実施形態、原理及び概念を例示することに重点が置かれている。したがって、本開示の特徴及び利点は、添付の図面と連携させた、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細説明から一層明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】患者の腎臓、尿管及び膀胱に留置された、本発明のある種の実施形態による尿管ステントを例示している図である。
図2A】ある種の実施形態による、ステントの一部の断面図である。
図2B】ある種の実施形態による、ステントの一部の断面図である。
図3A】ある種の実施形態による、ステントの一部の横断面図である。
図3B】ある種の実施形態による、ステントの一部の横断面図である。
図4】ある種の実施形態による、ステントの一部の断面図である。
図5】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
図6】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
図7】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
図8】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
図9】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
図10】ステントのフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント(t)の部分の厚さをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの教示は、ステントを対象とする。ステントは、医療用ステントであってもよい。ステントは、尿管ステントなどの任意のステントであってもよい。尿管ステントは、患者における腎臓から膀胱への流体又は尿の排出を補助するよう機能することができる。例えば、ある尿路結石又は腫瘍の医学的手技の後、結石又は腫瘍の小片又は断片が尿管内に入り込むおそれがあり、これが、腎臓から膀胱への尿の流れを妨害又は遮断することがある。尿管ステントは、尿管を拡張させる機能を有することができ、これにより、結石又は結石の断片が流体又は尿を通り抜け、腎臓から膀胱へと流れをもたらすことができる。
【0010】
図1は、本発明の例となる実施形態によるステント100を例示している。ステント100は、患者の尿路10の内側に例示されている。ステント100の一方の端部は、患者の腎臓12の内側に留置され、反対側の端部は、患者の膀胱14内に留置されている。
【0011】
図2Aは、ある種の実施形態による、ステント100の部分を例示している。ステント100は、第1の部分102及び第2の部分104を含むことができる。第1の部分102は、第1の管腔部108を画定する第1の壁106を含むことができる。第2の部分104は、第2の管腔部112を画定する第2の壁110を含むことができる。第1及び第2の部分は、患者の尿路10に留置されてもよい。第2の部分104は、膀胱14内に留置することができる。一部の実施形態では、第2の部分104は、尿管部分16内に留置することができる。第1及び第2の部分は、一般に、1つの保持端部からもう一方の端部まで延在する、開口部又は内腔を含む中空部材とすることができる。
【0012】
第1の管腔部108及び第2の管腔部112は、ワイヤが管状部材を通り抜けて、患者へのステントの挿入及び除去を支援することが可能となるよう機能することができる。第1の管腔部108及び第2の管腔部112は、ワイヤを挿入及び除去することを可能にするのに好適なサイズ又は直径を有することができる。第1の管腔部108及び第2の管腔部112の直径は、約0.040インチ~約0.045インチの程度とすることができる。しかし、ステントの特定の使用に応じて、それよりも大きなサイズ及び小さなサイズを使用することができる。患者に一旦、挿入されると、第1の管腔部108及び第2の管腔部112はまた、尿又は他の流体が腎臓12から膀胱14に流れるのを可能にするよう機能することができる。
【0013】
第1の壁106及び第2の壁110は、任意の好適な厚さを有することができる。第1の壁106の厚さは、一般に、一定とすることができる。一部の実施形態では、第1の壁106の厚さは、ステントによりさまざまであってもよい。第2の壁110の厚さは、大きい方の断面と小さい方の断面との間のその長さに沿って、又はさまざまな形状に沿って、さまざまとなり得るか又は変わり得る。一部の実施形態では、第2の壁110の厚さは、第1の壁106未満である。
【0014】
一部の実施形態では、第1の壁106又は第2の壁110の厚さは、約0.1mm~約1.8mmの程度とすることができる。一部の構成では、第1の壁及び/又は第2の壁の直径は、2.3mm未満であることが好ましいことがある。第2の部分104及び/又は第1の部分102のサイズは、約1F~約16Fの程度のフレンチサイズ(F)を有することができる。しかし、ステントのための特定の使用に依存して、これより大きいか、小さいフレンチサイズを使用してもよい。
【0015】
ステント100の長さは、約50mm~約350mmの程度とすることができる。しかし、ステントの特定の用途に応じて、これより長い、又は短い長さを考えてもよい。
【0016】
図2Bは、ある種の実施形態による、ステント200に外部圧力がかかるときの、図2Aのステント100などのステント200を例示している。外部圧力は、尿管拘縮の蠕動圧、尿管中のステント周囲にかかる流体圧力、又は膀胱中の流体圧力とすることができる。図2Bに例示されているとおり、第2の部分204は、第1の部分102が開口されて流体が通過している間、外部圧力により、実質的に閉鎖している。一実施形態では、ステント100の第2の部分104は、外部圧力がステント100にかかっているときに、実質的に閉鎖することが可能になる。ステント100の第2の部分104は、外部圧力下では、閉鎖することができる。閉鎖は、材料特性、例えば、さまざまな幾何学形状、材料の非均質性、寸法などの差異により生じ得る。ステント100の第2の部分104を閉鎖することにより、流体、例えば尿は、ステント100から腎臓12の方向に戻ることができない。腎臓への尿及び/又は流体の逆流は、患者に著しい不快感をもたらすおそれがある。したがって、第2の部分104は、一方向弁として作用することができる。
【0017】
一部の実施形態では、第2の部分104/204の第2の壁110は、第1の部分102の第1の壁106より低いデュロメータを有する材料から作製することができる。したがって、第2の部分104が圧力下で閉鎖することを可能になるよう支援する。一部の実施形態では、第2の部分104/204は、第1の壁106よりも薄い厚さを有する、第2の壁110/210を有することができる。
【0018】
第1の管腔部108及び第2の管腔部112は、任意の断面サイズ又は形状を有することができる。例えば、第1の管腔部及び/又は第2の管腔部は、断面が、円筒状、丸形状、球状、矩形、正方形又はそれらの組合せであってもよい。
【0019】
図3A及び図3Bは、ある種の実施形態による、図2Aに例示されているステント100などのステントの部分の横断面図を例示している。図3Aは、円筒状断面を有するステント100を例示している。図3Bは、長円断面又は半長円断面を有するステント100を例示している。図3Bにおいて示されるとおり、ステント100は、円形外側表面、すなわち円筒形状及び長円形状の管腔部112を有することができる。
【0020】
第1の部分102及び第2の部分104は、任意の好適な断面を有することができる。例えば、第1の部分102及び第2の部分104の断面は、一般に、円形又は円筒形、六角形、楕円形、長円形又は任意の幾何学形状とすることができる。断面は、一般に、2つの対向する端部の間で一定とすることができる(すなわち、一般に、ステント100の長さ全体に沿って、円形である)。又は、第1の部分102及び第2の部分104の断面は、一般に、その長さ全体に沿って一定でなくてもよい(すなわち、ステントの一部分は、一般に、円形断面を有することができ、次の他の部分は、長円形又は平坦な断面を有することができる)。
【0021】
一部の実施形態では、ステント100は、ステント100と、尿管16又は膀胱14などの組織との間の接触領域を低減することにより、組織への刺激を最小限にするようになされている。一部の実施形態では、ステント100は、ステント100においてさまざまなデュロメータを有する材料を使用して、可撓性を高めることにより、組織への刺激を最小限にするようになされている。
【0022】
図4は、第1の部分302及び第2の部分304を有するステント300を例示している。第2の部分304は、ステント300に外部圧力がかかるときに、実質的に閉鎖することができる、管腔部312を画定する個々の壁310を有する、複数の部分を有することができる。
【0023】
一部の実施形態では、ステントは、1つ以上の材料から作製することができる。ステントの1つ以上の材料は、組織の癒着及び被覆に耐性を示すことができる。1つ以上の材料は、ステント及び/又は保持端部が、ステントが挿入される患者の内腔又は経路に適合し得るように、軟質であってもよく、又は可撓性であってもよい。1種以上の材料は、ステント及び/又は保持端部が、身体経路を支持するか、又は身体経路を特定の直径に維持するように、十分に強固であってもよい。
【0024】
ある種の実施形態によれば、ステントの1種以上の材料、第1の部分及び第2の部分は、キトサン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンブレンド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、シリコーンゴム、ナイロン、ポリエチレン若しくはポリテン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性C-Flex(登録商標)、Percuflex(登録商標)、Tecoflex(商標);Pebax(登録商標)、ステンレス鋼、金属、金属合金、ニチロール物質、ニッケル、チタン合金超合金、クロムコバルト、又はそれらの組合せを含むことができる。材料は、形状記憶材料を含んでいてもよい。第1の部分及び/又は第2の部分は、管状部材での硬質材料から、保持端部における軟質材料又は可撓性材料まで遷移する、2種類以上の材料を含んでいてもよい(すなわち、デュアルデュロメータ又はマルチデュロメータ)。材料は、流体と接触したとき、又は温度が向上したとき(例えば、ステントが患者の体内に配置されるとき)に膨張するようになされた、膨潤性ポリマーであってもよい。
【0025】
ステントは、ある方法にしたがって、患者の体内に挿入又は埋め込まれてもよい。本方法は、ガイドワイヤを患者に挿入する工程、及びガイドワイヤを膀胱に進め、次いで腎臓に進める工程を含むことができる。次いで、本方法は、ガイドワイヤの上にステントを載せるか、又は供給する工程を含む。本方法は、患者の体内でガイドワイヤに沿ってステントを押し込むか、又は供給する工程を含む。次に、ステントは、尿管を拡張させることができるよう患者の体内に留め、これにより、結石又は結石の断片を尿が通り抜け、腎臓から膀胱へと流れることができるようにすることができる。ステントは、患者内に恒久的に保持されてもよい。ステントは、生分解性材料から作製されていてもよく、この場合、ステントは、経時的に、患者の体内で溶解又は分解する。別のガイドワイヤを患者に挿入し、そのステントを介することにより、ステントが患者から取り出されてもよい。
【0026】
図5~10は、ステント(t)のフレンチサイズと材料とのさまざまな例となる実施形態の組合せによる、ステントにかかる圧力(Pcr)対ステント部分の厚さをプロットしたグラフである。図5~10は、さまざまな弾性率を有する材料から作製され、さまざまな壁の厚さで閉鎖する、3つの異なる長さを有する、第2の部分を有するステント用に、コンピュータモデル化したデータを例示している。すなわち、ステントの第2の部分は、ステントに約40~60cm H2Oの外部圧力がかかるときに閉鎖することができる。
【0027】
直交異方性の円筒形シェルの線形理論に関するFlugge式(以下の式1)を適用し、外部圧力がある状態でのステント100の不安定性を計算した。外部圧力は、ステント100を通るか、又はステント100の周囲を通る流体、患者の動きなどとすることができる。
【0028】
EQ.1:Pcr=[2πEt(t/R)1/2/[3(6)1/2(1-μ3/4RL]]10197.2
【0029】
上の式1において、R=ステント100の半径(mm);L=ステント100の長さ(mm);t=ステント100の厚さ(mm);Pcr=臨界圧(cmH2O、1MPa=10197.2cmH2O);E=弾性率(MPa);及びμ=ポアゾン比(μ=0.5を選択した)。
【0030】
初期灌流中の腎動脈内の圧力又は腎臓を流れる流体の経路の圧力は、約40~60cmH2O程度である。
【0031】
図5を具体的に参照すると、弾性率が11MPaを有するEVA材料から作製された5Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0032】
図5に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、40cm H2O~60cm H2Oの外部圧力範囲内に収まらない。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.23mm~0.27mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.17mm~0.2mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0033】
図6を具体的に参照すると、弾性率が12MPaを有するTPU材料から作製された5Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0034】
図6に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、40cm H2O~60cm H2Oの外部圧力範囲内に収まらない。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.22mm~0.26mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.17mm~0.2mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0035】
図7を具体的に参照すると、弾性率が11MPaを有するEVA材料から作製された8Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0036】
図7に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、約0.47mm~0.51mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる外部圧力範囲内に収まる。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.34mm~0.38mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.25mm~0.3mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0037】
図8を具体的に参照すると、弾性率が70MPaを有するEVA材料から作製された8Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0038】
図8に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、約0.23mm~0.25mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる外部圧力範囲内に収まる。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.15mm~0.17mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.12mm~0.15mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0039】
図9を具体的に参照すると、弾性率が12MPaを有するTPU材料から作製された8Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0040】
図9に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、約0.4mm~0.5mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる外部圧力範囲内に収まる。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.33mm~0.36mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.25mm~0.3mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0041】
図10を具体的に参照すると、弾性率が81MPaを有するPebax(登録商標)材料から作製された8Fr.サイズの3種類の異なるステントを試験した。
【0042】
図10に例示されているとおり、長さが300mmを有する第2の部分を有する第1のステントは、約0.18mm~0.25mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる外部圧力範囲内に収まる。長さが150mmを有する第2の部分を有する第2のステントは、約0.14mm~0.17mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。長さが75mmを有する第2の部分を有する第3のステントは、約0.13mm~0.15mmの壁の厚さでは、40cm H2O~60cm H2Oとなる圧力範囲内に収まる。
【0043】
本明細書に提示する説明及び例示は、本発明、その原理及びその実用的用途を当業者に知らせることを意図したものである。上述の説明は例示であり、限定するものではないことが理解される。当業者であれば、特定の使用の要件に最も適し得るように、本教示をその多数の形態で適合させて適用することができる。
【0044】
したがって、記述される本教示の特定の実施形態は、本教示を網羅しているか、又は限定しているものとして意図されているものではない。したがって、本教示の範囲は、上述の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。以下の特許請求の範囲における、本明細書に開示されている主題のいかなる態様の省略も、このような主題を放棄するものではなく、本発明者らがこのような主題を、開示されている発明の主題の一部であるとみなさなかったものと考えられるべきものでもない。
【0045】
複数の要素、又は工程は、単一の統合された要素、又は工程によって提供することができる。或いは、単一の要素、又は工程は、別個の複数の要素、又は工程に分割されることがある。
【0046】
要素、又は工程を説明する「1つの(a)」又は、「1つの(one)」という開示は、追加の要素、又は工程を除外することを意図しない。
【0047】
本明細書において「してもよい」という用語を使用することによって、含まれ「てもよい」あらゆる記載される属性は任意選択であるものとする。
【0048】
第1、第2、第3などの用語は、種々の要素、構成要素、領域、層及び/又は領域を記載するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又は領域は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又は領域を別の領域、層又は部分と区別するために使用されてもよい。「第1」、「第2」などの用語、及び他の数値的な用語は、本明細書で使用される場合、本文中で明確に示されている場合を除き、配列又は順序を暗示しない。したがって、以下に記載する第1の要素、構成要素、領域、層又は部分は、教示から逸脱しないかぎり、第2の要素、構成要素、領域、層又は部分と呼ばれてもよい。
【0049】
空間的に相対的な用語、例えば、「内側」、「外側」、「~より下(beneath)」、「~より下(below)」、「下部」、「~より上」、「上部」などは、図に示されるように、1つの要素又は特徴部と、別の要素又は特徴部との関係を記載するときの記載の容易さのために使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加え、使用時又は操作時に機器の異なる向きを包含することを意図され得る。例えば、図中の機器がひっくり返っている場合、他の要素又は特徴部「~より下(below)」、「~より下(beneath)」と記載された要素は、その他の要素又は特徴部「~より上」に配置されるだろう。したがって、この例の「~より下」との用語は、上及び下の両方の向きを包含し得る。機器は、他の方向を向いていてもよく(90度回転又は他の向き)、本明細書で使用される空間的に相対的な記載は、それにしたがって解釈される。
【0050】
特許出願及び特許出願公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれている。以下の特許請求の範囲から見つけられるような他の組合せも可能であり、それらもまた参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 尿路
12 腎臓
14 膀胱
16 尿管
100 ステント
102 第1の部分
104 第2の部分
106 第1の壁
108 第1の管腔部
110 第2の壁
112 管腔部
112 第2の管腔部
200 ステント
204 第2の部分
300 ステント
302 第1の部分
304 第2の部分
310 壁
312 管腔部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
少なくとも2つの第1の部分であって、前記少なくとも2つの第1の部分の各々が第1の壁を有し、
前記第1の壁は第1の管腔部を画定し、
前記少なくとも2つの第1の部分の各々は第1の最大幅を有する
少なくとも2つの第1の部分と、
前記少なくとも2つの第1の部分の間に長手方向に挿入された第2の部分であって、
前記第2の部分は、第2の管腔部を画定する第2の壁を有し、
前記第2の部分は、前記第1の最大幅より小さい第2の最大幅を有し、
ステントに40センチメートルH2O (cm H2O) から60 cm H2Oの外部圧力がかかるときに、前記第2の管腔部は、液体の逆流を最小化するために管腔部分沿いに初期の開放構成から閉構成に遷移するように構成される
第2の部分と、を備える
ステント。
【請求項2】
前記第1の管腔部は、前記外部圧力が前記ステントに印加されると実質的に開放されたままである
請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第2の管腔部を閉じると、液体が前記第1の管腔部に流入することを阻止する
請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントは尿管ステントであり、前記第2の管腔部は、患者の膀胱に配置されるサイズ及び形状である
請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記ステントは尿管ステントであり、前記第2の管腔部は、患者の尿管内に配置されるサイズ及び形状である
請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記第1の管腔部及び前記第2の管腔部の直径は1 mmから1.14 mmの間である
請求項1に記載のステント。
【請求項7】
前記第1の壁及び前記第2の壁の厚さは0.1 mmから1.8 mmの間である
請求項1に記載のステント。
【請求項8】
ステントであって、
複数の第1の部分であって、前記複数の第1の部分の各々が、第1の壁厚の第1の壁を有し、
前記第1の壁は第1の管腔部を画定する
複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分のうちの長手方向に分離された2つの第1の部分の間の第2の部分であって、第2の壁を有する第2の部分と
を備え、
前記第2の壁は、前記第1の壁厚より小さい第2の壁厚を有し、
前記第2の壁は、第2の管腔部を画定し、
前記第2の管腔部は、一方向弁を有し、
ステントに40センチメートルH2O (cm H2O) から60 cm H2Oの外部圧力に応答して、前記一方向弁は初期の開放構成から閉構成に遷移するように構成され、前記閉構成において、液体が前記複数の第1の部分のうちの少なくとも1つに逆流することが阻止される
ステント。
【請求項9】
前記第2の壁は前記第1の壁より低い硬度の材料から構成される
請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記ステントは、被験者の尿管を介して導入されるサイズおよび形状の尿管ステントであり、
前記ステントの一端は腎臓の内部に配置されるように構成され、前記ステントの反対側の一端は、膀胱の内部に配置されるように構成される
請求項8に記載のステント。
【請求項11】
ステントであって、
少なくとも2つの第1のセクションであって、前記少なくとも2つの第1のセクションの各々が第1の最大幅と、第1の壁厚の第1の壁とを有し、
前記第1の壁は第1の管腔部を画定する
少なくとも2つの第1のセクションと、
前記少なくとも2つの第1のセクションの間に長手方向に挿入された第2のセクションであって、前記第2のセクションは、
複数のサブセクションを有し、各サブセクションは第2の壁を有し、
各サブセクションの少なくとも一部分は、前記第1の最大幅より小さい第2の最大幅を有し、
前記複数のサブセクションのうちの各サブセクションは、前記少なくとも2つの第1のセクションより長さが短く、
前記第2のセクションが膀胱または尿管部分の少なくとも1つに配置されてステントに40センチメートルH2O (cm H2O) から60 cm H2Oの外部圧力がかかるときに、前記複数のサブセクションのうちの少なくとも1つは、個別に閉じるように構成される
第2のセクションと
を備えるステント。
【請求項12】
前記複数のサブセクションのうちの少なくとも1つは、略円形、略六角形、または略楕円形の断面を有する
請求項11に記載のステント。
【請求項13】
前記複数のサブセクションの各々は同様の断面を有する
請求項11に記載のステント。
【請求項14】
前記少なくとも2つの第1のセクションの断面は前記第2のセクションの断面と異なる
請求項11に記載のステント。
【請求項15】
前記複数のサブセクションのうちの少なくとも1つは一方向弁である
請求項11に記載のステント。
【請求項16】
前記第2の壁は、前記第1の壁より低い硬度の材料から構成される
請求項11に記載のステント。
【請求項17】
前記少なくとも2つの第1のセクションと前記第2のセクションとの少なくとも1つは形状記憶材料から構成される
請求項11に記載のステント。
【請求項18】
前記少なくとも2つの第1のセクションは前記第2のセクションとは異なる材料から構成される
請求項11に記載のステント。
【請求項19】
前記ステントは、被験者の尿管を介して導入されるサイズおよび形状の尿管ステントである
請求項11に記載のステント。
【外国語明細書】