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特開2024-71405二軸配向細孔性膜、合成物、ならびに製造および使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071405
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】二軸配向細孔性膜、合成物、ならびに製造および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/00 20060101AFI20240517BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20240517BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240517BHJP
   B29C 67/20 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/48 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/66 20060101ALI20240517BHJP
   B01D 71/38 20060101ALI20240517BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C08J9/00 A CES
C08J9/00 CEW
C08J9/00 CEZ
C08J9/00 CFD
C08J9/00 CFG
B29C55/12
B29C44/00 E
B29C67/20 B
B01D69/02
B01D69/00
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/26
B01D71/32
B01D71/56
B01D71/48
B01D71/52
B01D71/66
B01D71/38
B32B5/24 101
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033889
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022191517の分割
【原出願日】2011-03-11
(31)【優先権主張番号】61/313,152
(32)【優先日】2010-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/044,708
(32)【優先日】2011-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ルミエールズ,ジェラルド,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ハミストン,カール,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヤー,チャールズ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】フィールズ,タイロン,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブラスウェル,マイケル,エー.
(72)【発明者】
【氏名】プロクター,ロナルド,エー.
(57)【要約】
【課題】二軸配向細孔性膜、二軸配向細孔性膜を含む合成物、二軸配向微細孔性膜、二軸配向大細孔性膜、電池分離体、濾過媒体、湿度制御媒体、平薄板膜、液体保持媒体、および同様のもの、関連する方法、製造方法、使用方法を提供する。
【解決手段】微細孔性膜は、乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔および0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップ(1)と、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップ(2)であって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップ(3)と、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔性膜であって、
乾燥伸長工程により作られる細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層であって、前記乾燥伸長工程が、
重合体を少なくとも単一層の非細孔性前駆体に押出成形するステップと、
前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含むステップと、
を含む、層
を備える、細孔性膜であり、
前記細孔性膜が実質的に丸形状の細孔を有し、前記細孔が、0.25乃至8.0の範囲内の球形度因数、0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、100秒未満のJISガーリー透過性、少なくとも0.04ミクロンの平均流動細孔径、少なくとも0.07ミクロンのアクアポアサイズ、および140psiよりも大きい水頭圧を有し、前記細孔性膜が、湿度制御、選択的な湿気の通過、および/または液体水の遮断のためのものであることを特徴とする、細孔性膜。
【請求項2】
前記二軸伸長の機械方向の伸長が、同時の機械方向の伸長を伴う横方向の伸長のステップを含み、前記二軸伸長が、横方向の弛緩のステップをさらに含む、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項3】
前記非細孔性前駆体の二軸伸長が、機械方向の伸長の追加的なステップをさらに含む、請求項2に記載の細孔性膜。
【請求項4】
前記乾燥伸長工程が、
同時制御される機械方向の弛緩を伴う横方向の伸長を含む二軸伸長が後に続く機械方向の伸長のステップ、および、横方向の弛緩を伴う同時の機械方向の伸長を伴う第2の横方向の伸長のステップ、または
前記二軸伸長より前に細孔性中間体を形成するための機械方向の伸長のステップ
を随意に含むかまたはさらに含む、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項5】
前記非細孔性前駆体の二軸伸長が、
前記機械方向の伸長、同時の記載方向の伸長を伴う追加的な横方向の伸長、および横方向の弛緩、および
前記非細孔性前駆体の複数の別個で重ね合わされた層または重ねの同時の二軸伸長であって、前記重ねの何れも前記伸長工程の最中に共に結合されない、および、前記重ねの全てが前記伸長工程の最中に共に結合される、のうち1つである、二軸伸長
のうち少なくとも1つを随意に含む、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項6】
前記細孔性重合体薄膜は、
少なくとも約8ミクロンの厚さ、少なくとも約300kgf/cmの横方向の引張強さ、約0.025未満の平均流動細孔径の標準偏差、少なくとも約80psiの水侵入圧、および少なくとも約8,000g/m-日のWVTR、
90℃にて約1.0未満、105℃にて約1.5未満、および120℃にて3.0未満のうち少なくとも1つの横方向の収縮率、
約8ミクロン乃至80ミクロンの範囲内の厚さ、および
約65%乃至90%の細孔率、約1.0乃至5.0の範囲内の横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約20秒未満のJISガーリー透過性、少なくとも約0.05ミクロンの平均流動細孔径、少なくとも約0.08ミクロンのアクアポアサイズ、および約145psiよりも大きい水頭圧
のうち少なくとも1つを随意に有するかまたはさらに有する、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項7】
前記非細孔性前駆体が、
膨張薄膜および溝穴鋳型薄膜のうち1つ、単一層押出成形および多層押出成形のうち少なくとも1つにより形成される単一層前駆体、ならびに共押出成形および積層のうち少なくとも1つにより形成される多層前駆体
のうち少なくとも1つである、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項8】
前記細孔性膜が、前記細孔性重合体薄膜の少なくとも片側に結合された少なくとも1つの不織層、織層、または接合層をさらに含む、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項9】
前記重合体が、ポリオレフィン、フルオロ炭素、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリ硫化物、硫化ポリフェニル、ポリビニルアルコール、それらの共重合体、それらの混合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項10】
前記実質的に丸形状の細孔が、約0.75乃至1.25の範囲内の縦横比、および約0.25乃至8.0の範囲内の球形度因数のうち少なくとも1つを有する、請求項1に記載の細孔性膜。
【請求項11】
請求項1に記載の細孔性膜を備える、濾過膜、湿度制御膜、気体および/または液体の分離膜、選択的な湿気の通過および液体水の遮断用の膜、および多層膜構造のうち少なくとも1つ。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載の細孔性膜を備える電池分離体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2011年3月10日に出願された係属中の米国特許出願通し番号第13/044,708号の恩恵およびそれに対する優先権を主張し、かつ、2010年3月12日に出願された米国仮特許出願通し番号第61/313,152号の恩恵およびそれに対する優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、二軸配向細孔性膜、二軸配向細孔性膜を含む合成物、二軸配向微細孔性膜、二軸配向大細孔性膜、電池分離体、濾過媒体、湿度制御媒体、平薄板膜、液体保持媒体、および同様のもの、関連する方法、製造方法、使用方法、および同様のものを対象にする。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
微細孔性重合体膜が既知であり、様々な工程により作ることができ、それにより膜が作られる工程は、膜の物理的特質に重大な影響を及ぼすことがある。例えば、ケスティング,ロバート・E.、合成重合膜、構造上の視点、第2版、ジョン・ワイリー&サンズ、ニューヨーク州、ニューヨーク、(1985年)(Kesting, Robert E., Synthetic Polymeric Membranes, A Structural Perspective, Second Edition, John Wiley & Sons, New York, NY, (1985))を参照されたい。微細孔性重合体膜を作るための3つの異なる既知の工程としては、乾燥伸長工程(CELGARD工程としても知られている)、湿潤工程、および粒子伸長工程が挙げられる。
【0004】
乾燥伸長工程(CELGARD工程)は、細孔形成が、非細孔性で、半結晶性で、押出成形された重合体前駆体を機械方向に伸長すること(MD伸長)に起因する工程を指す。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、ケスティング、同書、290-297ページ(Kesting, Ibid, pages 290-297)を参照されたい。そのような乾燥伸長工程は、湿潤工程および粒子伸長工程とは異なる。一般的に、相反転工程、抽出工程、またはTIPS工程としても知られている湿潤工程では、重合原材料が加工油(時として可塑剤と称される)と混合され、この混合物は押出成形され、その後、加工油が除去されるときに細孔が形成される(こうした薄膜を、その油の除去の前または後に伸長することができる)。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、ケスティング、同書、237-286ページ(Kesting, Ibid, pages 237-286)を参照されたい。
【0005】
一般的に、粒子伸長工程では、重合原材料が粒子状物と混合され、この混合物は押出成形され、重合体および粒子状物の間の界面が伸長力のために破断するときに、細孔が伸長の最中に形成される。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,057,061号および第6,080,507号を参照されたい。
【0006】
さらに、こうした異なる形成工程から生じる膜は、通常は物理的に異なり、それによりそれぞれが作られる工程は、典型的に一方の膜を他方と区別する。例えば、乾燥伸長工程の膜は、機械方向(MD)での前駆体の伸長のためにスリット形状の細孔を有することがある(例えば、図1-3を参照されたい)。湿潤工程の膜は、油または可塑剤、および、機械方向(MD)での、および横の機械方向つまり横方向(TD)での前駆体の伸長のために、より丸い細孔およびレース状の外観を有する傾向がある(例えば、図4を参照されたい)。他方では、粒子伸長工程の膜は、粒子状物および機械方向の伸長(MD伸長)が細孔を形成する傾向があるため、楕円形状の細孔を有することがある(例えば、図5Aを参照されたい)。従って、各膜を、その製造方法により他方と区別することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
乾燥伸長工程により作られる膜は、平薄板膜、電池分離体、中空繊維、および同様のものを含む、ノース・カロライナ州、シャーロットのLLC、Celgardにより販売されている、様々なCELGARD(登録商標)の乾燥伸長細孔性膜のように、優れた商業的成功を経験しているものの、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、または同様のことのために、それらの少なくとも選択されている物理的特質を改良、修正、または増強する必要性がある。
【0008】
塵、塵ダニ、カビ、微生物、細菌、犬のフケ、臭気、および気体等の、空気伝達汚染物質を除去または低減する空気濾過器の使用は、概して既知である。従来的に、空気濾過器は、比較的小さい体積内に大きい濾過領域を提供するために、ひだ付けされかつ長方形の枠または支持体内に配置されるか、または波形の楕円または円筒に折り畳まれる細孔性材料のバット、マット、または薄板から形成される濾過器媒体を含む。
【0009】
少なくとも特定の空気濾過器が商業的成功を経験しているものの、より広い範囲の濾過または分離の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、または同様のことのために、改良された濾過媒体または濾過器の必要性がある。
【0010】
選択的な気体の通過および液体の遮断用の細孔性材料の使用が既知である。例えば、ノース・カロライナ州、シャーロットのLLC、Celgardの事業部、Membrana-Charlotteにより販売されている、LIQUI-CEL(登録商標)の中空繊維膜接触器が、液体を脱気または脱泡するために用いられる。より具体的には、LIQUI-CEL(登録商標)の膜接触器は、世界中の超小形電子工学、製薬、電力、食品、飲料、工業、写真、インク、および分析の市場において、液体の脱気のために広範に用いられる。
【0011】
濾過または分離の工程用の細孔性材料の使用が既知である。例えば、ドイツ、ヴッパータールのMembrana GmbHにより、または、両方ともシャーロットのCelgard,LLCおよびDaramic,LLCにより市販または販売されている様々な平薄板膜が、濾過または分離の工程のために用いられる。より具体的には、そのような平薄板膜は、固体粒子および液体を、液体から気体を、気体から粒子を、および同様のものを分離するために用いられている。
【0012】
濾過または分離の工程用の、特定のそのような細孔性材料が商業的成功を経験しているものの、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、または同様のことのために、改良された細孔性材料の必要性がある。
【0013】
選択的な湿気(湿蒸気)の通過、および、液体水、液体乾燥剤、または他の水溶液の遮断用の細孔性材料の使用が既知であることがある。そのような液体乾燥剤系では、温度および湿度を、水蒸気を吸収または放出する塩溶液(または乾燥剤)により制御することができる。
【0014】
選択的な水蒸気(熱および水分)の通過および気体(排気および吸気)の遮断用の細孔性材料の使用が、熱および湿気が換気システム内の補給空気および排気の間で交換されるエネルギー回収換気(ERV)に関連して既知であることがある。
【0015】
選択的な純水または真水の通過、および塩または塩水の遮断用の細孔性材料の使用も、逆浸透濾過器(RO濾過器)等の細孔性材料が、純水(真水)がそこを通過することを可能にするが、塩を引き留める逆浸透脱塩に関連して既知である。高圧での塩水をもって、真水は細孔性材料に押し通され、真水流を形成する。
【0016】
選択的な水蒸気または湿気(湿蒸気)の通過、および液体塩水の遮断用の細孔性材料の使用も、高電荷密度膜等の細孔性材料が塩水を引き留めるが、無塩の水蒸気を通して塩水および真水を分離することができる蒸気脱塩に関連して既知であることがある。高圧での塩水をもって、真水は塩水から放出し、細孔性材料を通じて移動し、凝縮して真水流を形成することができる。
【0017】
選択的な気体または湿気(湿蒸気)の通過、および水等の液体の遮断用の細孔性材料の使用は、継続的に加湿されたままでなければならない陽子交換膜(PEM)を有する水素燃料電池等の燃料電池に関連して既知であることがある。湿蒸気の形態にある廃水は、細孔性材料を通過することができ、廃水保持区画内に収集するかまたは排出することができる。
【0018】
選択的な気体または湿気(湿蒸気)の通過、および液体水または塩水の遮断用の、ことによると特定のそのような細孔性材料は、Dow Chemicalにより販売されているRO膜、または、W.L.Gore,BHAにより販売されている拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜、および他のもののように、限られた経済的成功を経験し得たものの、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、または同様のことのために、改良された細孔性材料の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の概要
本発明の少なくとも選択されている細孔性の材料、薄膜、層、膜、積層物、共押出成形、または合成物の実施形態に従い、いくつかの改良領域は、スリット以外の細孔形状、丸形状の細孔、増加した横方向の引張強さ、MDおよびTDの物理的特性の平衡、例えば、湿気輸送および水頭圧に関連する高性能、低減したガーリー、平衡した物理的特性を伴う高細孔性、細孔径および細孔径分布を含む細孔構造の均一性、増強された耐久性、他の細孔性材料とのそのような膜の合成物、そのような膜の合成物または積層物、細孔性不織材を有する薄膜または層、被覆膜、共押出成形膜、積層膜、所望の湿気輸送(または湿蒸気輸送)、水頭性能、および物理的強さの特性を有する膜、望ましい膜特長の損失を伴わないより物理的に有害な環境内における有用性、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能の組み合わせ、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定していること、高い引張強さを有すること、それらの組み合わせ、および/または同様のものを含むことがある。
【0020】
乾燥伸長工程により作られる特定の膜が優れた商業的成功を経験しているものの、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、それらの少なくとも選択されている物理的特質を改良、修正、または増強する必要性がある。本発明の乾燥伸長工程の膜の少なくとも選択されている実施形態に従い、いくつかの改良領域は、スリット以外の細孔形状、丸形状の細孔、増加した横方向の引張強さ、MDおよびTDの物理的特性の平衡、細孔径および細孔径分布を含む細孔構造の均一性、例えば、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭圧に関連する高性能、低減したガーリー、平衡した物理的特性を伴う高細孔性、増強された耐久性、他の細孔性材料とのそのような膜の合成物、細孔性不織材とのそのような膜の合成物または積層物、被覆膜、共押出成形膜、積層膜、所望の湿気輸送、水頭性能、および物理的強さの特性を有する膜、望ましい膜特長の損失を伴わないより物理的に有害な環境内における有用性、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能の組み合わせ、それらの組み合わせ、および/または同様のものを含むことがある。
【0021】
少なくとも選択されていることによると好適な実施形態に従い、本発明の細孔性膜は、ことによると好ましくは、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定しており、高い引張強さ、およびそれらの組み合わせを有する、乾燥伸長工程の、細孔性の膜、薄膜、層、または合成物である。こうした特性は、それを以下の用途のために理想的な膜または薄膜にすると思われ、それらのそれぞれ(空気濾過を除く)は、選択的な湿蒸気(または他の気体)の通過および液体水(または他の液体)の遮断を伴うことがある:
1.HVAC:
a.液体乾燥剤(LD)空気調節(温度および湿度の制御)
b.水系空気調節(温度および湿度の制御)
c.エネルギー回収換気(ERV)
2.脱塩:蒸気脱塩用途
3.燃料電池:加湿ユニット
4.液体および/または空気の濾過:濾過器
【0022】
液体および空気の濾過の場合には特に、本発明の少なくとも選択されている実施形態の独特の細孔構造は、耐久性、高効率、狭い細孔径分布、および均一の流速の恩恵等の、特定の明確な恩恵を有する実施形態、材料、または膜を提供することができる。
【0023】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の単一層または多層の重合体膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている膜または薄膜を、その片側または両側上の不織材料等の、細孔性の支持材料または層と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている膜および合成製造物は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0024】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の、ポリプロピレンまたはポリエチレン(単層PPまたはPE)等の単層ポリオレフィン(PO)の膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層PO膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている単層POの膜または薄膜を、その片側または両側上のポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)等の、細孔性の支持物または材料と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている単層PPの膜および合成製造物は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0025】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレン(多層PPおよび/またはPE)等の多層ポリオレフィン(PO)の膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている多層PO膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている多層POの膜または薄膜を、その片側または両側上のポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)等の、細孔性の支持物または材料と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物は、好ましくは優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができ、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがあり、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがあり、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能の独特の組み合わせを有することがあり、かつ、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0026】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の単層重合体膜、例えば、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)の単層膜等の、単層(1つ以上の重ねを有することがある)ポリオレフィン(PO)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層重合体膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている単層重合体の膜または薄膜を、不織重合体材料、例えば、その片側または両側上のPO不織材料(細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)および/または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)等)等の、細孔性不織材料と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物は、好ましくは、優れた湿気輸送(または湿蒸気輸送)およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている単層重合体の膜および合成製造物は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、湿蒸気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0027】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の多層重合体膜、例えば、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)の多層膜等の、多層(2つ以上の層)ポリオレフィン(PO)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている多層重合体膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている多層重合体の膜または薄膜を、その片側または両側上のPO不織材料(細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)および/または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)等)等の、細孔性の支持物または材料と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている多層重合体の膜および合成製造物は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0028】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、選択されている膜または合成物、例えば、単層、二層、または三層の膜の表面、頂部、または前部(A側)のSEMにおいて、以下の細孔縦横比を有する(例えば、細孔のうち1つ以上(好ましくは、平均を確かめるために細孔のうちいくつか)を測定することによる、機械方向(MD)(長さ)、および横の機械方向(TD)(幅)における細孔開口部の物理的寸法に基づく):
典型:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
好適:
0.75乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
最好適:
0.85乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
【0029】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、MD/TD細孔縦横比が1.0であった場合に、その時三次元つまり3Dの細孔球形度の因数または比(MD/TD/ND)の範囲は、1.0乃至8.0以上、ことによると好適な1.0乃至2.5、および、最もことによると好適な1.0乃至2.0以下であり得た(機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法、例えば、表面、頂部、または前部(A側)、あるいは表面、底部、または後部(B側)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のMDおよびTDを測定すること、および、横断面、深さ、または高さ(C側)(長さまたは幅の横断面のどちらかまたは両方とも)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のNDを測定することに基づく(同じ細孔のND、MD、およびTDの寸法を測定することは困難であることがあるため、ND寸法はMDおよびTDの寸法とは異なる細孔を有することがある)。
【0030】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の細孔縦横比を有する(選択されている単層および三層の膜の頂部または前部(A側)のSEMにおいて細孔を測定することに基づく、機械方向(MD)(長さ)、および横の機械方向(TD)(幅)における細孔開口部の物理的寸法に基づく:
機械方向MD(長さ)および横方向TD(幅)の縦横比範囲に対する典型的な数:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
【0031】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の三次元つまり3Dの細孔球形度の因数または比を有する(機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法、例えば、選択されている膜、層、または合成物の、例えば、選択されている単層および三層の膜の、表面、頂部、または前部(A側)、表面、底部、または後部(B側)、および横断面、深さ、または高さ(C側)(長さまたは幅の横断面のどちらかまたは両方とも)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のMDおよびTDを測定することに基づく(同じ細孔のND、MD、およびTDの寸法を測定することは困難であることがあるため、ND寸法はMDおよびTDの寸法とは異なる細孔を有することがある):
例えば:
典型:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
0.50乃至7.50の範囲内のMD/ND寸法比
0.50乃至5.00の範囲内のTD/ND寸法比
好適:
0.75乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
1.0乃至2.5の範囲内のMD/ND寸法比
1.0乃至2.5の範囲内のTD/ND寸法比
最好適:
0.85乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
1.0乃至2.0の範囲内のMD/ND寸法比
1.0乃至2.0の範囲内のTD/ND寸法比
【0032】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の細孔球形度の因数または比を有する(選択されている単層および三層の膜の頂部または前部(A側)、ならびに長さおよび横断面(C側)のSEMにおいて細孔を測定することに基づく、機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法に基づく:
機械方向MD(長さ)、横方向TD(幅)、および厚さ方向ND(垂直高さ)の球形度の因数または比の範囲に対する典型的な数:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
0.50乃至7.50の範囲内のMD/ND寸法比
0.50乃至5.00の範囲内のTD/ND寸法比
【0033】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、微細孔性膜が乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔と、0.5乃至6.0、好ましくは0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比と、を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む。
【0034】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、細孔性膜が修正された乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔、0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有し、かつ、従前の乾燥伸長膜と比較して低いガーリーを有し、従前の乾燥伸長膜と比較してより大きくかつより均一の平均流動細孔径、または、低いガーリーおよびより大きくかつより均一の平均流動細孔径の両方を有する。
【0035】
従来の乾燥伸長工程により作られる特定の膜が優れた商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された、それらの少なくとも選択されている物理的特質が提供されている。
【0036】
少なくとも特定の空気濾過器が商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の濾過および分離の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された濾過媒体が提供されている。
【0037】
濾過または分離の工程用の少なくとも特定の平薄板細孔性材料が商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された細孔性材料が提供されている。
【0038】
選択的な気体または湿気(湿蒸気)の通過、および液体水または塩水の遮断用の特定の細孔性材料が、Dow Chemicalにより販売されているRO膜、W.L.Gore,BHAにより販売されているePTFE膜、および他のもののように商業的成功を経験し得たものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された細孔性材料が提供されている。
【0039】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、空気濾過器カートリッジは、微細孔性膜等の少なくとも1つのひだ付けされた細孔性膜を含む。
【0040】
図面の記載
本発明の様々な態様または実施形態を例解する目的のために、目下例示的である形態が図面内に示されているが、本発明が、示されている実施形態、正確な配列または手段に限定されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】CELGARD(登録商標)の単層の、従来の乾燥伸長の、ポリプロピレンの、電池分離体の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図2】先行技術の乾燥伸長膜(単一重ね膜)の写真である。
図3】先行技術の乾燥伸長膜(多重ね膜、積層されその後伸長された重ね)の写真である。
図4】CELGARD(登録商標)の単層の、湿潤工程の、ポリエチレンの電池分離体の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図5A】粒子伸長膜の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図5B】粒子伸長膜の写真(SEM横断面の顕微鏡写真)である。
図6】本発明の1つの実施形態に従う膜(単一重ね膜、二軸配向工程)の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図7】本発明の別の実施形態に従う膜(多重ね膜、共に積層されその後伸長された重ね、二軸配向工程)の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図8】本発明のなお別の実施形態に従う膜(多重ね膜、共押出成形されその後伸長された重ね、二軸配向工程)の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図9】本発明の二軸配向膜の製造方法の少なくとも1つの実施形態に従う、例示的なTD伸長工程の図式的表現である。
図10】20,000Xの倍率における従来のCELGARD(登録商標)2500の膜(PP単層、乾燥伸長工程)の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図11】5,000Xの倍率における図10の膜の写真(SEM表面の顕微鏡写真)である。
図12】20,000Xの倍率における図10および11の膜の写真(SEM横断面の顕微鏡写真)である。
図13】本発明の別の膜の実施形態に従う膜試料B(PP単層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図14】本発明の別の膜の実施形態に従う膜試料B(PP単層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図15図13および14の膜試料Bの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図16図13および14の膜試料Bの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図17図13乃至16の膜試料Bの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図18図13乃至16の膜試料Bの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図19】本発明のさらに別の膜または合成物の実施形態に従う膜試料C([試料Bの]PP単層/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図20】本発明のさらに別の膜または合成物の実施形態に従う膜試料C([試料Bの]PP単層/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図21】本発明のさらに別の膜または合成物の実施形態に従う膜試料C([試料Bの]PP単層/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図22図19乃至21の膜試料Cの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図23図19乃至21の膜試料Cの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図24図19乃至21の膜試料Cの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図25図19乃至24の膜試料Cの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図26図19乃至24の膜試料Cの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図27】不織PP層が上にある(反転されている)、図19乃至26の膜試料Cの写真(615Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図27A図27の膜試料Cの単層PP層の一部の写真(3,420Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である(図27中の長方形に注目されたい)。
図28】本発明のなお別の膜の実施形態に従う膜試料A(単層PP、非崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図29】本発明のなお別の膜の実施形態に従う膜試料A(単層PP、非崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図30図28および29の膜試料Aの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図31図28および29の膜試料Aの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図32】本発明の別の実施形態に従う膜または合成物の試料G([試料Aの]PP単層、非崩壊泡、二軸配向工程/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図33】本発明の別の実施形態に従う膜または合成物の試料G([試料Aの]PP単層、非崩壊泡、二軸配向工程/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図34】本発明の別の実施形態に従う膜または合成物の試料G([試料Aの]PP単層、非崩壊泡、二軸配向工程/不織PP、積層されている[熱+圧力])の各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図35図32乃至34の膜試料Gの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図36図32乃至34の膜試料Gの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図37図32乃至34の膜試料Gの各々の写真(20,000X、5,000X、および1,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図38図32乃至37の膜試料Gの各々の写真(20,000Xおよび3,420Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図39図32乃至37の膜試料Gの各々の写真(20,000Xおよび3,420Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図40】不織PP層が上にある(反転されている)、図32乃至39の膜試料Gの写真(615Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図40A図40の膜試料Gの単層PP層の一部の写真(3,420Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である(図40中の長方形に注目されたい)。
図41】本発明のさらに別の膜の実施形態に従う膜試料E(PP単層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図42】本発明のさらに別の膜の実施形態に従う膜試料E(PP単層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図43図41および42の膜試料Eの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図44図41および42の膜試料Eの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図45図41乃至44の膜試料Eの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図46図41乃至44の膜試料Eの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM横断面の顕微鏡写真)である。
図47】本発明のなお別の膜の実施形態に従う膜試料F(単層PP、非崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図48】本発明のなお別の膜の実施形態に従う膜試料F(単層PP、非崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図49図47および48の膜試料Fの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図50図47および48の膜試料Fの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図51】本発明のさらになお別の膜の実施形態に従う膜試料D(共押出成形されたPP/PE/PP三層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図52】本発明のさらになお別の膜の実施形態に従う膜試料D(共押出成形されたPP/PE/PP三層、崩壊泡、二軸配向工程)の各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面A(頂部)の顕微鏡写真)である。
図53図51および52の膜試料Dの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
図54図51および52の膜試料Dの各々の写真(20,000Xおよび5,000Xの倍率におけるSEM表面B(底部)の顕微鏡写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の記載
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、微細孔性膜は好適な修正された乾燥伸長工程(二軸配向工程)により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔と、0.5乃至6.0、好ましくは0.5乃至5.0、最も好ましくは0.5乃至4.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比と、を有する。微細孔性膜等の細孔性膜は、そこを通じて複数の細孔を有する、薄く、しなやかで、重合体の薄板、箔、または薄膜である。そのような膜は、単一重ねまたは多重ね、単一または多重の層、合成物、積層物、および同様のものであってよく、かつ、質量転移膜、圧力調整器、濾過膜、医療機器、電気化学的貯蔵機器用の分離体、燃料電池における使用のための膜、および/または同様のものを含むが、それらに限定されない多種多様な用途において用いることができる。
【0043】
本発明の膜の少なくとも選択されている実施形態は、乾燥伸長工程(CELGARD工程としても知られている)の修正版により作られる。その乾燥伸長工程は、細孔形成が非細孔性前駆体を伸長することに起因する工程を指す。参照により本明細書に組み込まれている、ケスティング,R.、合成重合膜、構造上の視点、第2版、ジョン・ワイリー&サンズ、ニューヨーク州、ニューヨーク、(1985年)、290-297ページ(Kesting, R., Synthetic Polymeric Membranes, A structural perspective, Second Edition, John Wiley & Sons, New York, NY, (1985), pages 290-297)を参照されたい。その乾燥伸長工程は、上記で論じられているように、湿潤工程および粒子伸長工程と区別される。
【0044】
本発明の少なくとも選択されている膜の実施形態を、少なくとも2つの点において従前の乾燥伸長膜と区別することができる:1)実質的に丸形状の細孔、および2)0.5乃至6.0、好ましくは0.5乃至5.0、最も好ましくは0.5乃至4.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比。
【0045】
本発明の少なくとも選択されている膜の実施形態を、少なくとも5つの点において従前の乾燥伸長膜と区別することができる:1)実質的に丸形状の細孔、2)0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、3)0.025乃至0.150μmの範囲内の平均流動細孔径、4)JISガーリーが0.5乃至200秒の範囲内にある、高い気体または湿気の透過性、および(5)140psiよりも高い水頭圧。
【0046】
細孔形状に関しては、細孔は、好ましくは実質的に丸形状であることを特徴とする。例えば、図6-8、13-16、19、20、22、23、28-31、32、33、35、36、41-44、47-50、および51-54を参照されたい。この細孔形状は、従前の従来の乾燥伸長膜のスリット形状の細孔と対比される。図1-3およびケスティング、同書(Kesting, Ibid)を参照されたい。さらに、本膜の細孔形状は、縦横比、細孔の幅(TD)に対する長さ(MD)の比を特徴とすることがある。本膜の1つの実施形態では、縦横比は0.75から1.25に及ぶ。これは、5.0よりも大きい従前の乾燥伸長膜の縦横比と対比される。下記の表Iを参照されたい。
【0047】
横方向(TD)の引張強さに対する機械方向(MD)の引張強さの比に関しては、1つの実施形態では、この比は0.5乃至6.0、好ましくは0.5乃至5.0の間にある。この比は、10.0よりも大きい先行技術の膜の対応する比と対比される。下記の表Iを参照されたい。
【0048】
米国特許第6,602,593号は、乾燥伸長工程により作られる微細孔性膜を対象にし、そこで、結果として生じる膜は、0.12乃至1.2の、機械方向の引張強さに対する横方向の引張強さの比を有する。その時に、そのTD/MD引張比は、前駆体が押出成形される際に少なくとも1.5の膨張比により得られる。
【0049】
本膜の少なくとも選択されている実施形態は、以下のものをさらに特徴とすることがある:0.03乃至0.30ミクロン(μm)の範囲内の平均細孔径、20-80%の範囲内の細孔率、および/または250Kg/cmよりも大きい横方向の引張強さ。先の値は例示的な値であり、かつ限定的であることを意図されず、従って、単に本膜の少なくとも選択されている実施形態を表すと見なされるべきである。
【0050】
本膜の少なくとも選択されている実施形態は、以下のものをさらに特徴とすることがある:0.30乃至1.0ミクロン(μm)の範囲内の細孔径、および約1.0乃至1.10の範囲内の平均縦横比。先の値は例示的な値であり、かつ限定的であることを意図されず、従って、単に本膜の少なくとも選択されている実施形態を表すと見なされるべきである。
【0051】
本膜の少なくとも選択されていることによると好適な実施形態は、以下のものをさらに特徴とすることがある:0.05乃至0.50ミクロン(μm)の範囲内の平均アクアポア(Aquapore)サイズ、40-90%の範囲内の細孔率、および/または250Kg/cmよりも大きい横方向の引張強さ。先の値は例示的な値であり、かつ限定的であることを意図されず、従って、単に本膜の少なくとも選択されていることによると好適な実施形態を表すと見なされるべきである。
【0052】
本膜において用いられる好適な重合体は、熱可塑性重合体であることを特徴とすることがある。こうした重合体は、半結晶性重合体であることをさらに特徴とすることがある。1つの実施形態では、半結晶性重合体は、20%乃至80%の範囲内の結晶度を有する重合体であってよい。そのような重合体を、以下の群から選択してよい:ポリオレフィン類、フルオロ炭素類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリアセタール類(つまりポリオキシメチレン類)、ポリ硫化物類、ポリビニルアルコール類、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせ。ポリオレフィン類が好適であることがあり、ポリエチレン類(LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、それらの共重合体、およびそれらの混合物を挙げることができる。フルオロ炭素類としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロルトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、フッ化ポリビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)樹脂、それらの共重合体、およびそれらの混合物を挙げることができる。ポリアミド類としては、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ナイロン10/10、ポリフタルアミド(PPA)、それらの共重合体、およびそれらの混合物を挙げることができるが、それらに限定されない。ポリエステル類としては、テレフタル酸ポリエステル(PET)、テレフタル酸ポリブテン(PBT)、テレフタル酸ポリ-1-4-シクロヘキシレンジメチレン(PCT)、および液晶重合体(LCP)を挙げることができる。ポリ硫化物類としては、硫化ポリフェニル、その共重合体、およびその混合物が挙げられるが、それに限定されない。ポリビニルアルコール類としては、エチレン-ビニルアルコール、その共重合体、およびその混合物が挙げられるが、それに限定されない。
【0053】
本膜の少なくとも特定の実施形態としては、周知であるように、他の原料を含むことがある。例えば、そうした原料としては、充填剤(典型的には膜の費用を低減するために用いられるが、そうでなければ膜の製造に全く著しい影響を及ぼさない不活性粒子状物)、抗静電剤、抗遮断剤、抗酸化剤、(製造を容易にする)潤滑剤、着色剤、および/または同様のものを挙げることができる。
【0054】
様々な材料を、膜の特性を修正または増強するために重合体に添加してよい。そのような材料としては、(1)130℃未満の溶融温度を有するポリオレフィン類またはポリオレフィン数量体が挙げられるが、それらに限定されず、(2)無機充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、珪藻土、滑石、白陶土、合成シリカ、雲母、粘土、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および/または同様のもの、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されず、(3)エラストマーとしては、エチレン-プロピレン(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)、スチレン-ブタジエン(SBR)、スチレンイソプレン(SIR)、エチリデンノルボルネン(ENB)、エポキシ、およびポリウレタン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されず、(4)湿潤剤としては、エトキシ化アルコール類、一級重合カルボン酸類、グリコール類(例えば、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール類)、官能化ポリオレフィン類などが挙げられるが、それらに限定されず、(5)潤滑剤、例えば、シリコーン、フルオロ重合体、Kemamide(登録商標)、オレアミド、ステアラミド、エルカミド、ステアリン酸カルシウム、または他の金属性ステアリン酸塩、(6)難燃剤、例えば、臭素化難燃剤、リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アルミナ三水和物、およびリン酸エステル、(7)架橋剤または連結剤、(8)重合体加工助剤(可塑剤または加工油、例えば、10重量%の加工油等だが、それらに限定されない)、および(9)ポリプロピレン用ベータ核化剤を含む、任意の種類の核化剤。(しかしながら、少なくとも好適な本膜は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,368,742号に開示されているように、いかなるベータ核化ポリプロピレン(BNPP)も明確に除外する。ポリプロピレン用ベータ核化剤は、ポリプロピレン中にベータ結晶の創出を引き起こす物質である。)
【0055】
本膜は、単一重ね膜でも多重ね膜でもよい。多重ね膜に関しては、本二軸配向膜は多重ね膜の1つの重ねまたは層であってよく、または、本膜は多重ね膜の重ねの全てであってよい。本膜が多重ね膜の重ねの全て未満である場合には、被覆、積層、または結合の工程を介して多重ね膜を作ってもよい。本膜が多重ね膜の全ての重ねである場合には、積層または押出成形の工程(共押出成形等)を介して多重ね膜を作ってもよい。さらに、多重ね膜を、同じ材料または異なる材料の重ねで作ってもよい。
【0056】
本膜は、好ましくは、前駆体の膜が二軸伸長される(すなわち、機械方向にだけでなく、横の機械方向にも伸長される)修正された乾燥伸長工程により作られる。この工程は、下記でより詳細に論じられることになる。
【0057】
概して、先の膜を作るための工程は、非細孔性(単一層または多層)前駆体を押出成形するステップと、その後前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップと、を含む。随意に、非細孔性前駆体を伸長より前に焼鈍してよい。1つの実施形態では、二軸伸長は、同時制御される機械方向の弛緩を伴う、機械方向の伸長および横方向の伸長を含む。機械方向の伸長および横方向の伸長は、同時でも逐次的でもよい。1つの実施形態では、機械方向の伸長の後に、同時の機械方向の弛緩を伴う横方向の伸長が続く。この工程は、下記でより詳細に論じられる。
【0058】
押出成形は、概して従来的である(従来的とは、乾燥伸長工程に対して従来的ということを指す)。押出成形機は、溝穴鋳型(平坦な前駆体用)または環状鋳型(パリソンまたは泡の前駆体用)を有することがある。後者の場合には、膨張パリソン技術を使用してよい(例えば、前駆体が押出成形される際の1.5未満の膨張比(PUR))。しかしながら、非細孔性前駆体の複屈折率は、従来の乾燥伸長工程においてほどに高い必要はない。例えば、<1.0の溶融流動指数(MFI)を有するポリプロピレン樹脂から、>35%の細孔率を有する膜を製造する従来の乾燥伸長工程では、前駆体の複屈折率は>0.0130であることになるだろう一方で、本膜があれば、PPの前駆体の複屈折率は0.0100ほどに低くあり得るだろう。別の実施例、ポリエチレン樹脂からの>35%の細孔率を有する膜では、前駆体の複屈折率は>0.0280であることになるだろう一方で、本膜があれば、PEの前駆体の複屈折率は0.0240ほどに低くあり得るだろう。
【0059】
焼鈍(随意)を、1つの実施形態では、T-80℃およびT-10℃(式中、Tは重合体の溶融温度である)の間の温度にて、別の実施形態では、T-50℃およびT-15℃の間の温度にて行ってよい。いくつかの材料、例えば、ポリブテン等の、押出成形後に高い結晶性を有するものは、全く焼鈍を必要としないことがある。追加的な随意のステップを行うことができ、例えば、熱硬化、抽出、除去、屈曲、スリット入れ、および/または同様のものであるが、それらに限定されない。
【0060】
機械方向の伸長を、低温伸長または高温伸長または両方として、かつ単一のステップまたは多数のステップとして行ってよい。1つの実施形態では、低温伸長を<T-50℃にて、別の実施形態では、<T-80℃にて行ってよい。1つの実施形態では、高温伸長を<T-10℃にて行ってよい。1つの実施形態では、合計の機械方向の伸長は50-500%の範囲内に、別の実施形態では、100-300%の範囲内にあり得る。機械方向の伸長の最中に、前駆体が横方向に収縮することがある(従来)。
【0061】
横方向の伸長は、同時制御される機械方向の弛緩を含む。これは、前駆体が横方向に伸長される際に(TD伸長)、前駆体が、制御されて、機械方向に緊縮(すなわち、弛緩)することを同時に許される(MD弛緩)。横方向の伸長を、低温ステップ、または高温ステップ、または両方の組み合わせとして行ってよい。1つの実施形態では、合計の横方向の伸長は100-1200%の範囲内に、別の実施形態では、200-900%の範囲内にあり得る。1つの実施形態では、制御される機械方向の弛緩は5-80%に、別の実施形態では、15-65%の範囲内に及ぶことがある。1つの実施形態では、横の伸長を多数のステップにて行ってよい。横方向の伸長の最中に、前駆体は機械方向に収縮することを許容されることも許容されないこともある。多重ステップの横方向の伸長の一実施形態では、第1の横方向のステップは、制御される機械方向の弛緩を伴う横の伸長、その後同時の横および機械方向の伸長、およびその後横方向の弛緩を含み、機械方向の伸長または弛緩を全く含まないことがある。
【0062】
随意に、前駆体は、周知であるように、機械方向および横方向の伸長の後に熱硬化を受けることがある。
【0063】
先の膜および工程の実施形態は、以下の非限定的な実施例にさらに例解されている。
【実施例0064】
実施例
他に記載されていない限り、本明細書で報告されている試験値、厚さ、細孔性、引張強さ、および縦横比を、以下のように決定した:厚さ-Emveco Microgage 210-Aのマイクロメータを用いるASTM-D374、細孔性-ASTM D-2873、引張強さ-Instron Model 4201を用いるASTM D-882、および縦横比-SEM顕微鏡写真から得た測定値。
【0065】
以下の実施例を、注記がない場合を除いて、従来の乾燥伸長技術により製造した。
【0066】
実施例1.ポリプロピレン(PP)樹脂を、2.5インチ(6.35cm)の押出成形機を用いて押出成形する。その押出成形機の溶融温度は221℃である。重合体溶融物を、円形鋳型に送給する。その鋳型の温度を220℃に設定し、重合体溶融物を吹き込み空気により冷却する。押出成形した前駆体は、27マイクロメートル(μm)の厚さおよび0.0120の複屈折率を有する。その後、その押出成形した薄膜を150℃にて2分にわたり焼鈍した。その後、その焼鈍した薄膜を室温にて20%に低温伸長し、その後228%に高温伸長し、140℃にて32%に弛緩させる。その機械方向(MD)伸長した薄膜は、16.4μmの厚さ、および25%の細孔率を有する。その後、そのMD伸長した薄膜を、140℃にて50%のMD弛緩をもって300%に横方向(TD)伸長する。その完成した薄膜は、14.1μmの厚さ、および37%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは550Kg/cmである。図6を参照されたい。
【0067】
実施例2.ポリプロピレン(PP)樹脂を、2.5インチ(6.35cm)の押出成形機を用いて押出成形する。その押出成形機の溶融温度は220℃である。重合体溶融物を円形鋳型に送給する。その鋳型の温度を200℃に設定し、重合体溶融物を吹き込み空気により冷却する。押出成形した前駆体は、9.5μmの厚さおよび0.0160の複屈折率を有する。HDPE樹脂を、2.5インチ(6.35cm)の押出成形機を用いて押出成形する。その押出成形機の溶融温度は210℃である。重合体溶融物を円形鋳型に送給する。鋳型の温度を205℃に設定し、重合体溶融物を空気により冷却する。押出成形した前駆体は、9.5μmの厚さおよび0.0330の複屈折率を有する。2つのPP層および1つのPE層を共に積層し、PP/PE/PP三層薄膜を形成する。積層圧延温度は150℃である。その後、積層した三層薄膜を125℃にて2分にわたり焼鈍する。その後、その焼鈍した薄膜を室温にて20%に低温伸長し、その後160%に高温伸長し、113℃にて35%に弛緩させる。そのMD伸長した薄膜は、25.4μmの厚さ、および39%の細孔率を有する。その後、そのMD伸長した薄膜を、115℃にて30%のMD弛緩をもって400%にTD伸長する。その完成した薄膜は、19.4μmの厚さおよび63%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは350Kg/cmである。図7を参照されたい。
【0068】
実施例3.PP樹脂およびHDPE樹脂を、共押出成形鋳型を用いて押出成形し、PP/PE/PP三層薄膜を形成する。PPに対する押出成形機の溶融温度は243℃であり、PEに対する押出成形機の溶融温度は214℃である。その後、重合体溶融物を、198℃に設定する共押出成形鋳型に送給する。重合体溶融物を、吹き込み空気により冷却する。その押出成形した薄膜は、35.6μmの厚さを有する。その後、その押出成形した前駆体を、125℃にて2分にわたり焼鈍する。その後、その焼鈍した薄膜を室温にて45%に低温伸長し、247%に高温伸長し、113℃にて42%に弛緩させる。そのMD伸長した薄膜は、21.5μmの厚さおよび29%の細孔率を有する。その後、そのMD伸長した薄膜を、115℃にて50%のMD弛緩をもって450%にTD伸長する。その完成した薄膜は、16.3μmの厚さおよび59%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは570Kg/cmである。
【0069】
実施例4.PP樹脂およびHDPE樹脂を、実施例3でのものと同じ方法で共押出成形してMD伸長する。その後、そのMD伸長した薄膜を、115℃にて65%のMD弛緩をもって800%にTD伸長する。その完成した薄膜は、17.2μmの厚さおよび49%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは730Kg/cmである。図8を参照されたい。
【0070】
実施例5.PP樹脂およびPB樹脂を、共押出成形鋳型を用いて押出成形する。PPに対する押出成形機の溶融温度は230℃であり、PBに対する押出成形機の溶融温度は206℃である。その後、重合体溶融物を、210℃に設定する共押出成形鋳型に送給する。その後、重合体溶融物を、吹き込み空気により冷却する。その押出成形した薄膜は、36.0μmの厚さを有する。その後、その押出成形した前駆体を、105℃にて2分にわたり焼鈍する。その後、その焼鈍した薄膜を20%に低温伸長し、105℃にて155%に高温伸長し、その後35%に弛緩させる。その後、そのMD伸長した薄膜を、110℃にて20%のMD弛緩をもって140%にTD伸長する。その完成した薄膜は、14.8μmの厚さおよび42%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは286Kg/cmである。
【0071】
実施例6.PP樹脂およびPE樹脂を、共押出成形鋳型を用いて押出成形し、PP/PE/PP三層薄膜を形成する。PPに対する押出成形機の溶融温度は245℃であり、PEに対する押出成形機の溶融温度は230℃である。その後、重合体溶融物を、225℃に設定する共押出成形鋳型に送給する。重合体溶融物を、吹き込み空気により冷却する。その押出成形した薄膜は、27μmの厚さおよび0.0120の複屈折率を有する。その後、その押出成形した前駆体を、115℃にて2分にわたり焼鈍する。その後、その焼鈍した薄膜を室温にて22%に低温伸長し、254%に高温伸長し、120℃にて25%に弛緩させる(合計の機械方向の伸長=251%)。そのMD伸長した薄膜は、15μmの厚さおよび16%の細孔率を有する。その後、そのMD伸長した薄膜を、130℃にて50%のMD弛緩をもって260%にTD伸長し、130℃にて各方向での50%および216%の同時のMDおよびTDの伸長が後に続き、最後にその薄膜をMD(100%)に固着させ、130℃の温度にてTDに57.6%弛緩することを許容する。その完成した薄膜は、7.6μmの厚さおよび52%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは513Kg/cmである。
【0072】
実施例7.ポリプロピレンおよびポリエチレンの1つまたは複数の樹脂を、共押出成形鋳型を用いて押出成形し、PP/PE/PP三層薄膜を形成する。PPに対する押出成形機の溶融温度は222℃であり、PEに対する押出成形機の溶融温度は225℃である。その後、重合体溶融物を、215℃に設定する共押出成形鋳型に送給する。重合体溶融物を、吹き込み空気により冷却する。その押出成形した薄膜は、40μmの厚さおよび0.0110の複屈折率を有する。その後、その押出成形した前駆体を、105℃にて2分にわたり焼鈍する。その後、その焼鈍した薄膜を室温にて36%に低温伸長し、264%に高温伸長し、109℃にて29%に弛緩させる(合計の機械方向の伸長=271%)。そのMD伸長した薄膜は、23.8μmの厚さおよび29.6%の細孔率を有する。その後、そのMD伸長した薄膜を、110℃にて75%のMD弛緩をもって1034%にTD伸長する。その完成した薄膜は、16.8μmの厚さおよび46%の細孔率を有する。完成した薄膜のTD引張強さは1037Kg/cmである。
【0073】
以下の表Iにおいて、先の実施例の結果を要約し、2つの商業的に利用可能な乾燥伸長膜と比較する:Com A)CELGARD(登録商標)2400(単一重ねのポリプロピレン膜)(図2を参照されたい)、およびCom B)CELGARD(登録商標)2300(三層のポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン)(図3を参照されたい)。
【表1】
【0074】
本発明の膜の少なくとも選択されている実施形態に従い:
-単層PPの空気濾過膜に対して、≦2.5乃至~25の好適なJISガーリー。
-単層PPのHEPA/ULPA膜に対して、≦0.5乃至~5の好適なJISガーリー。
-膜の全域にわたる好適な丸い細孔構造および非常に均一の細孔構造。
【0075】
本発明の少なくとも選択されていることによると好適な実施形態に従い、好適な膜は下記のものを有するか、またはそのものである:
乾燥工程により作られ、全く油/溶媒が添加されない。
高い細孔率:40-90%
非常に疎水性。
>140psiの水頭圧、>80psiの水侵入圧。
毛細管流動の細孔測定法/アクアポア試験/SEMを特徴とするような独特の細孔構造:少なくとも約0.04の毛細管流動により測定される平均流動細孔径、狭い範囲の細孔径を有する、均一で、丸く、または非スリット型の細孔構造。少なくとも約0.07ミクロンのアクアポアサイズ。高い気体/空気/湿気の透過性:1.0乃至100のJISガーリー、毛細管流動細孔測定法を特徴とするような高い流速、≧8,000g/m-日のWVTR。
平衡したMD/TD強度:TD強度(>300kg/cm)。
低いTD収縮率:≦2%の90℃におけるTD収縮率。
好適なPP重合体:MFI=0.1乃至10.0、>45%の重合体の結晶度。
好適なPE重合体:MFI=0.01乃至5.0、>50%の結晶度。
ASTM D-1238法で試験されるMFI。
【0076】
下記は、本発明の選択されている実施形態に従う8つの膜(A-GおよびM)、合成物、または積層物、および比較試料Com Cについての試験結果である:
【表2】
WVTR試験は、湿気勾配法を用いるASTM F2298-03に基づく。
【0077】
動的湿気透過セルを用いる、水蒸気拡散抵抗および被服材料の気流抵抗のための試験法。
試験条件:95%の頂部セルの湿度、5%の底部セルの湿度、90%の湿気勾配。
周囲温度。
【0078】
厚さを、Emveco Microgage 210Aのマイクロメータを用いて、ASTM-D374に基づいて測定した。
JISガーリーを、OHKENの透過性試験器を用いることにより、気体透過性試験で測定する。
JISガーリーを、100ccの空気が4.8インチ(12.2cm)の水の低圧にて1平方インチ(6.45cm)の薄膜を通過するのに必要とされる、秒における時間と定義する。
細孔率を、ASTM D2873という方法により測定する。
穿刺強さを、ASTM D3763に基づいてInstron Model 4442を用いて測定する。その測定を、その膜の幅の全域にわたり行って、平均化した穿刺エネルギー(穿刺強さ)を、試験試料を穿刺するのに必要とされる力と定義する。
引張特性を、Instron Model 4201を用いるASTM-882基準を用いて試験する。
収縮率を、修正したASTM-2732-96の手順を用いて、90℃にて60分にわたり測定する。
【0079】
平均流動細孔径、起泡点の細孔径を、ASTM F316-86基準に基づいて毛細管流動分析で測定した。
水頭圧を、ASTM D3393-91に基づいて測定した。
水侵入を、ASTM F316-93(湿潤流体-水、68.8ダイン/cm。気体:空気。)により試験した。
【0080】
好適ではないが、充填されており、非細孔性で超高分子量のポリエチレン膜を、本発明の伸長工程における前駆体として用いることができるだろう。
【0081】
また、本発明の膜を、追加的な耐久性のために不織基体に片側または両側に積層してよいか、あるいは、それを親水性にするために界面活性剤で被覆することができる。
【0082】
少なくとも選択されている実施形態に従い、本発明は下記のものを対象にすることがある:
【0083】
同時の伸長および弛緩をもって膨張薄膜を二軸伸長し、空気、湿蒸気、および他の気体への高水準の透過性、しかし高水準の疎水性を必要とする用途において有用な製造物を製造すること。そのような用途は、液体乾燥剤HVACシステム、膜脱塩、換気、燃料電池の湿気制御、液体濾過、および同様のもの等の、膜に基づく湿度および温度の制御システムを含むことがある。少なくとも選択されている実施形態に従い、本発明は、以下の特性を有する膜を対象にすることがある:
【表3】
【0084】
本発明のことによると好適な実施形態に従い、その膜は、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定しており、高い引張強さの膜である。こうした特性は、それを以下の用途のために理想的な薄膜にすると思われ、それらのそれぞれ(空気濾過を除く)は、選択的な湿蒸気の通過および液体水の遮断を伴うことがある:
1.HVAC:
2.液体乾燥剤(LD)空気調節
3.水系空気調節
4.エネルギー回収換気(ERV)
5.脱塩
6.RO脱塩
7.蒸気脱塩
8.燃料電池
9.液体および/または空気の濾過
液体および空気の濾過の場合には特に、独特の細孔構造は、いくつかの明確な恩恵を有することがある。
【0085】
少なくとも選択されている実施形態に従い、好適な積層製造物は、所望の巨視物理的特性と組み合わされる所望の膜湿気輸送性能の組み合わせを有することがある。
【0086】
少なくとも選択されている実施形態に従い、好適な単層PP製造物は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有することがある一方で、湿気輸送(湿蒸気輸送)および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。その膜は珍しく高細孔率(>60%)も有することがあるが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持する。また、その膜を、積層PP不織材と一体に製造することができる。結果として生じる積層製造物は、優れた湿蒸気輸送およびさらにより改良された水頭性能を依然として保持することができる。また、結果として生じる製造物は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、その製造物は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で用いられるという追加された利点を有することがある。
【0087】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、その膜は、それを以下の用途のために理想的な薄膜にすると思われることがある、独特の細孔の構造および分布または特性を有することがある:
高効率の空気濾過、
HEPA/ULPA用途、
近零放出の塵除去用途(清浄室、真空袋、覆面、手術着、塵袋、カートリッジ)、
濾過用途:
○高効率のHVAC濾過器媒体
○HEPA/ULPA媒体
○濾過膜合成物
液体濾過、
防護衣服、
機能性衣服/演技スポーツ用着用物、
医療用布、
および同様のもの。
【0088】
本発明の少なくとも選択されている細孔性の材料、薄膜、層、膜、積層物、共押出成形、または合成物の実施形態に従い、いくつかの改良領域は、スリット以外の細孔形状、丸形状の細孔、増加した横方向の引張強さ、MDおよびTDの物理的特性の平衡、例えば、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭圧に関連する高性能、低減したガーリー、平衡した物理的特性を伴う高細孔性、細孔径および細孔径分布を含む細孔構造の均一性、増強された耐久性、他の細孔性材料とのそのような膜の合成物、そのような膜の合成物または積層物、細孔性不織材を有する薄膜または層、被覆膜、共押出成形膜、積層膜、所望の湿気輸送、水頭性能、および物理的強さの特性を有する膜、望ましい膜特長の損失を伴わないより物理的に有害な環境内における有用性、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送(または湿蒸気輸送)性能の組み合わせ、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定していること、高い引張強さを有すること、それらの組み合わせ、および/または同様のものを含むことがある。
【0089】
乾燥伸長工程により作られる特定の膜が優れた商業的成功を経験しているものの、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、それらの少なくとも選択されている物理的特質を改良、修正、または増強する必要性がある。本発明の乾燥伸長工程の膜の少なくとも選択されている実施形態に従い、いくつかの改良領域は、スリット以外の細孔形状、丸形状の細孔、増加した横方向の引張強さ、MDおよびTDの物理的特性の平衡、細孔径および細孔径分布を含む細孔構造の均一性、例えば、湿気輸送(湿蒸気輸送)および水頭圧に関連する高性能、低減したガーリー、平衡した物理的特性を伴う高細孔性、増強された耐久性、他の細孔性材料とのそのような膜の合成物、細孔性不織材とのそのような膜の合成物または積層物、被覆膜、共押出成形膜、積層膜、所望の湿気輸送(または湿蒸気輸送)、水頭性能、および物理的強さの特性を有する膜、望ましい膜特長の損失を伴わないより物理的に有害な環境内における有用性、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送(湿蒸気輸送)性能の組み合わせ、それらの組み合わせ、および/または同様のものを含むことがある。
【0090】
少なくとも選択されていることによると好適な実施形態に従い、本発明の細孔性膜は、ことによると好ましくは、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定しており、高い引張強さ、およびその組み合わせを有する、乾燥伸長工程の、細孔性の膜、薄膜、層、または合成物である。こうした特性は、それを以下の用途のために理想的な膜または薄膜にすると思われ、それらのそれぞれ(空気濾過を除く)は、選択的な湿蒸気(または他の気体)の通過および液体水(または他の液体)の遮断を伴うことがある:
1.HVAC:
a.液体乾燥剤(LD)空気調節(温度および湿度の制御):膜に基づくLDシステムでは、細孔性膜を通じて水蒸気を吸収または放出する塩溶液により、温度および湿度を制御することができる。熱がそのシステム内における原動力である(ほとんどの空気調節システムでのように、圧力ではない)。そのシステムを機能させるためには、水蒸気を容易に通す(液体を引き留めるための)疎水性膜を有することが必要であることがある。
b.水系空気調節(温度および湿度の制御):蒸発式の冷却システムまたは冷却水システムは、LDシステムとはいくらか異なる原理で動作するが、その膜の同じ本質的な特性を用いることになるだろう。
c.エネルギー回収換気(ERV):最も単純なHVAC用途は、補給空気および排気の間における熱および湿気の交換の主要な構成部としてその膜を用いる。
2.脱塩:蒸気脱塩用途は、HVACと同じ膜の特性を用いる。その膜が液体塩水を引き留めるが水蒸気を通すので、塩水および真水を膜により分離させるシステムを構築することができる。より高温圧での塩水をもって、真水はその塩水から放出し、その膜を通じて移動し、凝縮して真水流を形成する。
3.燃料電池:燃料電池では、陽子交換膜(PEM)が継続的に加湿されたままでなければならない。これを、膜に基づく加湿ユニットの使用をもって達成することができる。
4.液体および/または空気の濾過:これらの実施形態では、細孔性膜は単純な濾過器として作用することがある。液体、蒸気、気体、または空気がその膜を通過する際に、細孔を通過するには大きすぎる粒子が膜表面にて遮断される。
【0091】
液体および空気の濾過の場合には特に、本発明の少なくとも選択されている実施形態の独特の細孔構造は、耐久性、高効率、狭い細孔径分布、および均一の流速の恩恵等の、特定の明確な恩恵を有することがある。
【0092】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の単層ポリプロピレン(単層PP)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層PP膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている単層PPの膜または薄膜を、その片側または両側上の細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(単層PP/不織PP)または(不織PP/単層PP/不織PP)は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(単層PP/不織PP)または(不織PP/単層PP/不織PP)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(単層PP/不織PP)または(不織PP/単層PP/不織PP)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている単層PPの膜および合成製造物(単層PP、単層PP/不織PP、または、不織PP/単層PP/不織PP)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0093】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の多層ポリプロピレン(多層PP)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層PP膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている多層PPの膜または薄膜を、その片側または両側上の細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(多層PP/不織PP)または(不織PP/多層PP/不織PP)は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(多層PP/不織PP)または(不織PP/多層PP/不織PP)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(多層PP/不織PP)または(不織PP/多層PP/不織PP)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている多層PPの膜および合成製造物(多層PP、多層PP/不織PP、または、不織PP/多層PP/不織PP)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0094】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の単層ポリエチレン(単層PE)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層PE膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている単層PEの膜または薄膜を、その片側または両側上の細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(単層PE/不織PE)または(不織PE/単層PE/不織PE)は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(単層PE/不織PE)または(不織PE/単層PE/不織PE)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(単層PE/不織PE)または(不織PE/単層PE/不織PE)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている単層PEの膜および合成製造物(単層PE、単層PE/不織PE、または、不織PE/単層PE/不織PE)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0095】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の多層ポリエチレン(多層PE)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている多層PE膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている多層PEの膜または薄膜を、その片側または両側上の細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(多層PE/不織PE)または(不織PE/多層PE/不織PE)は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(多層PE/不織PE)または(不織PE/多層PE/不織PE)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(多層PE/不織PE)または(不織PE/多層PE/不織PE)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている多層PEの膜および合成製造物(多層PE、多層PE/不織PE、または、不織PE/多層PE/不織PE)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0096】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の単層重合体膜、例えば、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)の単層膜等の、単層(1つ以上の重ねを有することがある)ポリオレフィン(PO)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている単層PO膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている単層POの膜または薄膜を、不織重合体材料、例えば、その片側または両側上のPO不織材料(細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)および/または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)等)等の、細孔性不織材料と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(単層PO/不織PO)または(不織PO/単層PO/不織PO)は、好ましくは、優れた湿気輸送(または湿蒸気輸送)およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(単層PO/不織PO)または(不織PO/単層PO/不織PO)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(単層PO/不織PO)または(不織PO/単層PO/不織PO)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている単層POの膜および合成製造物(単層PO、単層PO/不織PO、または、不織PO/単層PO/不織PO)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、湿蒸気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0097】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、少なくとも選択されている細孔性の多層重合体膜、例えば、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)(PE、PP、またはPE+PPの混合物を含む)の多層膜等の、多層(2つ以上の層)ポリオレフィン(PO)膜は、MDおよびTDの物理的特性の優れた平衡を有する一方で、湿気輸送(または湿蒸気輸送)および水頭性能により測定されるとおりの高性能膜でもある。この選択されている多層PO膜は高細孔率(>60%)も有するが、より伝統的な膜と比較して平衡した物理的特性を依然として維持することができる。また、この選択されている多層POの膜または薄膜を、その片側または両側上の細孔性PO不織材料(細孔性ポリエチレン(PE)不織材料(不織PE)および/または細孔性ポリプロピレン(PP)不織材料(不織PP)等)と一体に製造するか、またはそれに積層することができる。結果として生じる合成物、膜、または製造物(多層PO/不織PO)または(不織PO/多層PO/不織PO)は、好ましくは、優れた湿気輸送およびさらにより改良された水頭性能を保持することができる。また、この結果として生じる合成製造物(多層PO/不織PO)または(不織PO/多層PO/不織PO)は、比較の膜を遥かに超える物理的強さ特性を有することがある。従って、この新たな結果として生じる合成製造物(多層PO/不織PO)または(不織PO/多層PO/不織PO)は、非常に望ましい膜特長の損失を伴わずに、より物理的に有害な環境内で有用であるという追加された利点を有することがある。こうした選択されている多層POの膜および合成製造物(多層PO、多層PO/不織PO、または、不織PO/多層PO/不織PO)は、それらの巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能のそれらの組み合わせにおいて独特であると考えられる。例えば、従前の膜は細孔性を有し得ているが、十分な水頭圧または水頭性能を有し得ておらず、他の膜は脆すぎであり、他の膜は強いが他の特性を欠いていた、または同様のことの一方で、本発明の少なくとも選択されている実施形態は、例えば、所望の細孔性、湿気輸送、水頭圧、強さ、および同様のものを有することがある。
【0098】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、選択されている膜または合成物、例えば、単層、二層、または三層の膜の表面、頂部、または前部(A側)のSEMにおいて、以下の細孔縦横比を有する(例えば、細孔のうち1つ以上(好ましくは、平均を確かめるために細孔のうちいくつか)を測定することによる、機械方向(MD)(長さ)、および横の機械方向(TD)(幅)における細孔開口部の物理的寸法に基づく):
典型:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
好適:
0.75乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
最好適:
0.85乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
【0099】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、MD/TD細孔縦横比が1.0であった場合に、その時三次元つまり3Dの細孔球形度の因数または比(MD/TD/ND)の範囲は、1.0乃至8.0以上、ことによると好適な1.0乃至2.5、および、最もことによると好適な1.0乃至2.0以下であり得た(機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法、例えば、表面、頂部、または前部(A側)、あるいは表面、底部、または後部(B側)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のMDおよびTDを測定すること、および、横断面、深さ、または高さ(C側)(長さまたは幅の横断面のどちらかまたは両方とも)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のNDを測定することに基づく(同じ細孔のND、MD、およびTDの寸法を測定することは困難であることがあるため、ND寸法はMDおよびTDの寸法とは異なる細孔を有することがある)。
【0100】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、三次元つまり3DのMD/TD/ND細孔球形度の因数または比の範囲は、0.25乃至8.0以上、ことによると好適な0.50乃至4.0、および、最もことによると好適な1.0乃至2.0以下であり得た。
【0101】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の細孔縦横比を有する(選択されている単層および三層の膜の頂部または前部(A側)のSEMにおいて細孔を測定することに基づく、機械方向(MD)(長さ)、および横の機械方向(TD)(幅)における細孔開口部の物理的寸法に基づく:
ここに、機械方向MD(長さ)および横方向TD(幅)の縦横比範囲に対する典型的な数がある:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
【0102】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の三次元つまり3Dの細孔球形度の因数または比を有する(機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法、例えば、選択されている膜、層、または合成物の、例えば、選択されている単層および三層の膜の、表面、頂部、または前部(A側)、表面、底部、または後部(B側)、および横断面、深さ、または高さ(C側)(長さまたは幅の横断面のどちらかまたは両方とも)のSEMにおいて、1つ以上の細孔(好ましくは、平均を確かめるためにいくつかの細孔)のMDおよびTDを測定することに基づく(同じ細孔のND、MD、およびTDの寸法を測定することは困難であることがあるため、ND寸法はMDおよびTDの寸法とは異なる細孔を有することがある):
例えば:
典型:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
0.50乃至7.50の範囲内のMD/ND寸法比
0.50乃至5.00の範囲内のTD/ND寸法比
好適:
0.75乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
1.0乃至2.5の範囲内のMD/ND寸法比
1.0乃至2.5の範囲内のTD/ND寸法比
最好適:
0.85乃至1.25の範囲内のMD/TD縦横比
1.0乃至2.0の範囲内のMD/ND寸法比
1.0乃至2.0の範囲内のTD/ND寸法比
【0103】
本発明の少なくとも選択されている細孔性材料または細孔性膜の実施形態に従い、細孔(開口部)は、以下の細孔球形度の因数または比を有する(選択されている単層および三層の膜の頂部または前部(A側)、ならびに長さおよび横断面(C側)のSEMにおいて細孔を測定することに基づく、機械方向(MD)(長さ)、横の機械方向(TD)(幅)、および厚さ方向つまり横断面(ND)(厚さ)における細孔開口部の物理的寸法に基づく:
ここに、機械方向MD(長さ)、横方向TD(幅)、および厚さ方向ND(垂直高さ)の球形度の因数または比の範囲に対する典型的な数がある:
0.75乃至1.50の範囲内のMD/TD縦横比
0.50乃至7.50の範囲内のMD/ND寸法比
0.50乃至5.00の範囲内のTD/ND寸法比
【0104】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、微細孔性膜が乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔と、0.5乃至6.0、好ましくは0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比と、を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む。
【0105】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、細孔性膜が修正された乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔、0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有し、かつ、従前の乾燥伸長膜と比較して低いガーリーを有し、従前の乾燥伸長膜と比較してより大きくかつより均一の平均流動細孔径、または、低いガーリーおよびより大きくかつより均一の平均流動細孔径の両方を有する。
【0106】
従来の乾燥伸長工程により作られる膜が優れた商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された、それらの少なくとも選択されている物理的特質が提供されている。
【0107】
少なくとも特定の空気濾過器が商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の濾過および分離の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された濾過媒体が提供されている。
【0108】
濾過または分離の工程用の特定のそのような平薄板細孔性材料が商業的成功を経験しているものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された細孔性材料が提供されている。
【0109】
選択的な気体または湿気(湿蒸気)の通過、および液体水または塩水の遮断用の細孔性材料が、Dow Chemicalにより販売されているRO膜、W.L.Gore,BHAにより販売されているePTFE膜、および他のもののように商業的成功を経験し得たものの、本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、より広い範囲の用途にて用いることができ、特定の目的のためにより良好に機能することができ、および/または同様のことのために、改良、修正、または増強された細孔性材料が提供されている。
【0110】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、空気濾過器は、微細孔性膜等の少なくとも1つの細孔性膜を含む。
【0111】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、微細孔性膜が乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔と、0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比と、を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む。
【0112】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、細孔性膜が修正された乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔、0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有し、かつ、従前の乾燥伸長膜と比較して低いガーリーを有し、従前の乾燥伸長膜と比較してより大きくかつより均一の平均流動細孔径、または、低いガーリーおよびより大きくかつより均一の平均流動細孔径の両方を有する。
【0113】
本発明による空気濾過器カートリッジは、少なくとも1つのひだ付けされた微細孔性膜、複数の微細孔性膜を含むことがあり、かつ、それは、端板、離間物、または同様のものをさらに含むことがある。
【0114】
空気濾過器カートリッジは、本明細書で用いられる際に、空気濾過器または空気浄化器のどちらにおいても用いることができるカートリッジを指す。本出願は、空気濾過器カートリッジに関して本発明を記載しているが、本発明はそのように限定されず、かつ、それは空気浄化器カートリッジを同じく含むことがある。または、その膜を、比較的小さい体積内に大きい濾過領域を提供するようにひだ付けしてよい。代替的には、その膜は、比較的小さい体積内に大きい濾過領域を提供する正弦波パターンを有することがある。
【0115】
さらに、その膜はいかなる構成を有してもよく、例えば、それは、ひだ付けされた円筒構成、ひだ付けされた平薄板構成、および渦巻き構成から成る群から選択される形状を有してよい。
【0116】
一例の製造工程では、少なくとも1つの平薄板微細孔性膜が構築され、その後、その膜は、ひだ付け形状またはアコーディオン折り形状に折られ、それにより濾過領域を増加させる。その後に、そのひだ付けされた膜を円筒に巻き、端板を介して封止し、それにより空気濾過器カートリッジを形成することができる。その空気濾過器カートリッジを筐体内に挿入し、端蓋を介して封止することができる。
【0117】
電池分離体として十分に適していることがある、少なくとも選択されている実施形態に従い、ことによると好適な膜は、好ましくは1つ以上のポリオレフィンで作られ、かつ、以下のパラメータのうち1つ以上をさらに特徴とすることがある:厚さ、細孔性、平均細孔径、穿刺強さ、JISガーリー数、および運転停止温度。
【0118】
その膜の厚さは、6.0ミル(150ミクロン)未満であり得る。別の実施形態では、その厚さは、10ミクロンから150ミクロンに及び得る。なお別の実施形態では、その厚さは、10ミクロンから50ミクロンに及び得る。
【0119】
その膜の細孔率は、40および90%の間にあり得る。1つの実施形態では、細孔率は60-90%に及ぶ。なお別の実施形態では、細孔率は65-80%に及ぶ。
【0120】
その膜の平均アクアポアサイズは、0.04-0.20ミクロンの間にあり得る。1つの実施形態では、その平均細孔径は0.04-0.120ミクロンに及ぶ。なお別の実施形態では、その平均細孔径は0.07-0.12ミクロンに及ぶ。
【0121】
穿刺強さは、300重量グラム/ミルよりも大きいかまたはそれに等しくあり得る。穿刺強さは、Midtech Stevens LFRAのテクスチャ分析器、ならびに1.65mmの直径および0.5mmの半径を有する針を用いて、最終製造物の幅の全域にわたる10の測定値を平均化することにより決定され、6mmという最大のたわみ量をもって2mm/秒の速度でデータを記録する。
【0122】
JISガーリー数(1ミルの厚さに正規化される)は、100秒/100cc/ミル未満の厚さであり得る。1つの実施形態では、そのJISガーリー数は12から80秒/10cc/ミルに及ぶ。
【0123】
特定の実施形態に従い、その膜の固有粘度(IV)は、1.0dl/gよりも大きいかまたはそれに等しくあり得る。別の実施形態では、そのIVは5.0dl/gよりも大きいかまたはそれに等しくあり得る。別の実施形態では、そのIVは、好ましくは、3.0dl/gよりも大きいかまたはそれに等しくあり得る。その薄膜のIVは、押出成形の最中にその重合体が鎖の切断を経て、その分子量がそれにより低下されるため、その膜を構成するあらかじめ押出成形された樹脂の加重平均ではない。固有粘度は、本明細書で用いられる際に、その溶液の粘度を増強する溶液中での重合体の性能の尺度を指す。固有粘度数は、零濃度における特定の粘度/濃度比の制限値と定義される。そのため、異なる濃度における粘度を見出し、その後零濃度に外挿することが必要になる。濃度を伴う粘度数の変動は、分子の種類ならびに溶媒に依存する。一般的に、直鎖状高分子物質の固有粘度は、重量平均分子量または重合度に関連する。直鎖状高分子があれば、粘度数測定は、粘度および分子量の間の関係が確立されているときに、分子量の迅速な決定のための方法を提供することができる。IVは、150℃にて1時間にわたり100mlのデカリン中に0.02gのその膜を最初に溶解させることにより測定され、その後、135℃にてUbbelohdの粘度計を介してその固有粘度を決定する。これは、ASTM D4020(RSV値は、本明細書で報告されている)による。
【0124】
運転停止温度は、260℃(摂氏またはセルシウス260度)未満であり得る。1つの実施形態では、運転停止温度は190℃未満であり得る。なお別の実施形態では、運転停止温度は140℃未満であり得る。さらに別の実施形態では、運転停止温度は130℃未満であり得る。なおさらに別の実施形態では、運転停止温度は120℃未満であり得る。
【0125】
本発明の膜を、単一の重合体または重合体の混合物で、あるいは同じかまたは異なる重合体の層で、あるいは共に結合、積層、または共押出成形された異なる材料の層で作ることができる。ことによると好適な重合体は、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)等のポリオレフィン類である。例えば、その膜を、PPおよび/またはPEの1つ以上の層で作ることができる。1つの特定の例では、その膜は細孔性PPの薄膜または薄板である。別の特定の例では、その膜は細孔性PEの薄膜または薄板である。なお別の特定の例では、その膜は、2つの外部PP層および中間または中心のPE層で作られる三層膜である。別の特定の例では、その膜は、2つのPP層、2つのPE層、あるいは共に結合され、共に積層され、または共に共押出成形された1つのPP層および1つのPE層で作られる二層膜である。さらになお別の特定の例では、その膜は、細孔性PPの薄膜または薄板、および不織のガラスまたはPPの材料等の細孔性材料の合成物である。さらに別の特定の例では、その膜は、異なる分子量を有するポリオレフィン類の混合物で作られる細孔性の薄膜または薄板である。
【0126】
少なくとも選択されている実施形態では、気体濾過媒体は微細孔性膜を備える。気体濾過媒体は、本明細書で用いられる際に、気体、例えば、空気からの粒子状物の除去用の濾過媒体を指す。
【0127】
本発明の気体濾過器媒体は、超高分子量ポリエチレンおよび無機材料を含むことがある。その気体濾過器媒体は、加工油(すなわち、抽出後のその媒体内における油の残余)をさらに含むことがある。その気体濾過器媒体は、熱可塑性ポリオレフィン、安定剤および抗酸化剤等の従来の添加物、および当該技術分野で周知であるような同様のものをさらに含むことがある。
【0128】
気体濾過器媒体を、任意の最終使用用途用の濾過器媒体として用いてよい。例えば、気体濾過器媒体を、気体からの粒子状物の除去、空気濾過用途、昇温用途、集塵器用途、食品および医薬品中の粒子状物の濾過、燃焼工程における粒子状物の濾過、金属中の粒子状物の濾過、およびセメント中の粒子状物の濾過から成る群から選択される最終使用用途用の濾過器媒体として用いてよい。気体からの粒子状物の除去は、HVAC、HEPA、およびULPAの清浄室、真空掃除、呼吸器、セメント、金属、食品、医薬品、被処理流体、および燃焼工程等の産業を含む。
【0129】
気体濾過器媒体は濾過器媒体として独立していることがあり、あるいは代替的には、それを支持材料、例えば、不織の材料または布と接合する(例えば、それに積層するかまたはそれに結合する)ことができる。例示的な積層技術または結合技術としては、接着剤、溶接(熱/超音波振動)、および同様のもの等の従来の方法が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、気体濾過器媒体は平坦であるか、あるいはひだまたは形状に形成されることがある。短絡が起こる場合に、セルの破裂がより大きいセル内に包含されるより大きい質量のリチウム材料のためにより著しくあり得るだろうから、より大きいセルのためにより寸法的に安定な(または、高温溶融完全性の)分離体を有する必要性がある。そのため、少なくとも特定の実施形態に従い、電池分離体が、高温溶融完全性を有する不織平薄板材料、低温運転停止特性を有する微細孔性膜、および不織平薄板を微細孔性膜に結合し、かつ電解質により接触されるときに膨潤するのに適している随意の接着剤から作られる。高温溶融完全性の分離体は、共に結合される微細孔性膜および不織平薄板を、それらの間に接着剤または重合体があるかないかにかかわらず備えることがある。不織平薄板は、様々な方法、例えば、繊維の熱融合、樹脂、溶媒結合、または力学的連動により、時としてそれらの押出成形と同時に、共に保持される複数の繊維を指すことがある。不織平薄板は、乾燥、湿潤、または空気の敷設、針穿孔、紡績結合、または溶融吹き込みの工程、および水纏綿等の工程により作られる繊維構造を含む。その繊維を、方向的または無作為に配向してよい。不織材は典型的に紙を含まないものの、この用途については、紙が含まれる。その繊維を、熱可塑性重合体、セルロース誘導体、および/または陶材で作ることができる。熱可塑性重合体としては、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリアクリル酸類、ポリアセタール類、ポリアミド類、ポリ炭酸塩類、ポリエステル類、ポリエーテルイミド類、ポリイミド類、ポリケトン類、ポリフェニレンエーテル類、硫化ポリフェニレン類、ポリスルホン類が挙げられるが、それらに限定されない。セルロース誘導体としては、セルロース(例えば、綿または他の自然発生する源)、再生セルロース(例えば、人絹)、および酢酸セルロース(例えば、酢酸セルロースおよび三酢酸セルロース)が挙げられるが、それらに限定されない。陶材としては、全ての種類のガラスおよびアルミナ、シリカ、およびジルコニアの化合物(例えば、ケイ酸アルミニウム)が挙げられるが、それらに限定されない。加えて、不織材または不織材の繊維を、不織材の機能性を改良するために被覆または表面処理してよい。例えば、その被覆または表面処理は、不織材またはその繊維の接着性を改良すること、不織材の高温溶融完全性を改良すること、および/または不織材の湿潤性を改良することであり得る。高温溶融完全性を改良することに関しては、不織材および/またはその繊維を陶器材料で被覆または表面処理してよい。そのような陶器材料としては、アルミナ、シリカ、およびジルコニアの化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0130】
少なくとも選択されている実施形態に従い、不織平薄板への微細孔性膜の結合は、陽極および陰極の間にてイオン種の自由移動度があることになることを必要とすることがある高放電率を維持するはずである。イオン種の移動度は、典型的に、電気抵抗(ER)またはマクマレン数(MacMullen number)(等価体積の電解質の電気抵抗に対する、電解質-飽和細孔性媒体の電気抵抗の比[参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,464,238号を参照されたい])として測定される。従って、分離体の全域にわたりイオン移動度を減少させない(つまり、電気抵抗を増加させない)材料を有する膜に薄板を接着させる必要性があり得る。
【0131】
その接着剤は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリウレタン、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリル酸塩(PMA)、ポリ(メチルメタクリル酸塩)(PMMA)、ポリアクリルアミド、酢酸ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ジアクリル酸ポリテトラエチレングリコール、先のものの何れかの共重合体、およびそれらの組み合わせから選択してよいが、それらに限定されない。共単量体選択のための1つの基準は、同種重合体の表面エネルギーを修正する共単量体の能力である。表面エネルギーは、少なくとも、共重合体の溶解度に影響し、それにより膜上に共重合体を被覆し、膜への共重合体の接着に影響し、それにより電池の製造および後続の性能に影響し、および被覆の湿潤性に影響し、それにより分離体への液体電解質の吸収に影響する。適切な共単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン、オクトフルオロ-1-ブテン、オクトフルオロイソブテン、およびテトラフルオロエチレンが挙げられるが、それらに限定されない。その共単量体含有率は、好ましくは3から20重量%に、最も好ましくは7乃至15%に及ぶ。好ましくは、その接着剤または膨潤性重合体は、フッ化ポリビニリデンの共重合体である。好ましくは、PVDF共重合体は、フッ化ポリビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレン(PVDF:HFP)の共重合体であり、そして、最も好ましくは、PVDF:HFP比は91:9である。PVDF共重合体は、Elf Atochem、米国、ペンシルベニア州、フィラデルフィア;Solvay SA、ベルギー、ブリュッセル;および呉羽化学工業株式会社(Kureha Chemical Industries, LTD)、日本、茨城県から商業的に入手可能である。好適なPVDF:HFP共重合体は、Elf AtochemからのKYNAR 2800である。
【0132】
その湿潤剤を、痕跡量(例えば、膨潤性重合体の10-20%)において、電池化学(スルホン類、硫酸塩類、および窒素を含有する湿潤剤等)に有害な影響を及ぼすことがなく、かつ、室温にて流体でありかつ<50℃のTg(ガラス転移温度)を有する膨潤性重合体と相溶性のある(すなわち、混和性があるかまたは相分離することがない)材料から選択してよい。その湿潤剤は、フタル酸塩系エステル類、環式炭酸塩類、重合炭酸塩類、およびそれらの混合物から選択してよいが、それらに限定されない。フタル酸塩系エステル類は、フタル酸ジブチル(DBP)から選択されるが、それに限定されない。環式炭酸塩類は、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)、およびそれらの混合物から選択される。重合炭酸塩類は、炭酸ポリビニレン、および直鎖状炭酸プロピレンから選択されるが、それらに限定されない。本発明の少なくとも選択されている実施形態は、共に結合された2つの部分を有する微細孔性電池分離体を提供することができる。各部分は、共押出成形層または非共押出成形層から成ることがあり、かつ、同じ材料または異なる材料で作られることがある。より大きい穿刺強さを得るために、特定の実施形態は、組み合わされるときに、分離体の所望の合計の厚さを有する大きさにされる2つの部分を共に結合することができる。選択されている実施形態を、好ましくは、崩壊泡技術、すなわち、単一の溶融重合体(または重合体の混合物)が環状鋳型を通じて押出成形される膨張薄膜技術により作ることができ、その鋳型から発する泡は、第1の部分および第2の部分を有し(各部分は泡の周囲の一半を大まかに表す)、その後、その泡はそれ自体の上で崩壊され、微細孔形成より前に(好ましくは、焼鈍および伸長することにより)結合される。泡が鋳型から発するときに、それは実質的に機械方向に配向される。そのため、泡がそれ自体の上で崩壊されて結合される時に、第1の部分および第2の部分を実質的に同じ方向に配向してよい(配向部分間の角度偏向は15°未満である)。崩壊および結合は、泡の溶融(または近溶融)重合体が共に接合することを可能にすることにより同じステップにおいて行われる。泡をそれ自体の上で崩壊させて同一物を結合することにより、他の分離体と同等であり得る厚さにて増加した穿刺強さが得られる。結合されるときに微細孔形成工程(例えば、焼鈍および伸長の操作)のために前駆体を提供する第1の部分および第2の部分は、ポリオレフィン類等の材料、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレン、それらの共重合体、およびそれらの混合物、最も好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンで作られることがある。
【0133】
三層で、運転停止の電池分離体は、電気化学セル、例えば、リチウム電池等の、電池、特に二次(つまり再充電可能)電池における使用のための細孔性薄膜を指すことがある。この三層分離体は、ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン構造を有することがある。その分離体は、3ミル(約75ミクロン)未満の厚さを有することがある。その分離体の厚さは、好ましくは、0.5ミル(約12ミクロン)および1.5ミル(約38ミクロン)の間に及ぶ。最も好ましくは、その分離体の厚さは約1ミル(約25ミクロン)である。好ましくは、その分離体は、JISガーリーにより測定される際に、300秒未満の透過性を有する。好ましくは、その分離体は少なくとも300グラムの穿刺強さを有する。好ましくは、その分離体は40%乃至70%の範囲内の細孔率を有する。三層で、運転停止の電池分離体を作る1つの方法は、概して、非細孔性ポリプロピレン前駆体を押出成形するステップと、非細孔性ポリエチレン前駆体を押出成形するステップと、前記ポリエチレン前駆体が前記ポリプロピレン前駆体の間に挟持されるところに非細孔性三層前駆体を形成するステップと、前記三層前駆体を結合するステップと、前記三層前駆体を焼鈍するステップと、結合および焼鈍された、非細孔性三層前駆体を伸長し、細孔性電池分離体を形成するステップと、を備える。
【0134】
少なくとも1つの実施形態では、その膜は、異なる分子量を有する少なくとも2つの超高分子量ポリオレフィンの混合物から作られる微細孔性薄板であり得る。1つの実施形態では、こうした超高分子量ポリオレフィンは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であり得る。別の実施形態では、その膜は、第1の分子量を有する第1の超高分子量ポリエチレンと、第2の分子量を有する第2の超高分子量ポリエチレンとであって、前記第1の分子量および前記第2の分子量は、100万よりも大きくかつ互いに異なる、超高分子量ポリエチレンの混合物である。別の実施形態では、その膜は、第1の分子量を有する第1の超高分子量ポリエチレンと、第2の分子量を有する第2の超高分子量ポリエチレンとであって、前記第1の分子量および前記第2の分子量は、100万よりも大きくかつ互いに異なる、超高分子量ポリエチレンと、第3の分子量を有する第3のポリオレフィンであって、前記第3の分子量は100万未満である、第3のポリオレフィンとの混合物である。なお別の実施形態では、その膜は、6.3dl/gよりも大きいかまたは等しいIVを有することがある。別の実施形態では、その膜は、7.7dl/gよりも大きいかまたは等しいIVを有することがある。少なくとも選択されている実施形態では、本発明は、二軸配向細孔性膜、二軸配向細孔性膜を含む合成物、二軸配向微細孔性膜、二軸配向大細孔性膜、電池分離体、濾過媒体、湿度制御媒体、平薄板膜、液体保持媒体、および同様のもの、関連する方法、製造方法、使用方法、および同様のものを対象にする。
【0135】
少なくとも選択されている実施形態に従い、積層された材料または布は本発明により作られる合成膜を組み込むことがあり、それは風または液体の貫入抵抗性があり、湿蒸気伝達性であり、かつ空気透過性がある。積層布は、任意の適切な工程により膜に積層される基布または殻布材料の1つ以上の層を含むこともある。殻布は、所与の用途のために確立された性能および他の基準を満たす任意の適切な材料から作られることがある。
【0136】
「湿蒸気伝達性」は、積層された布または合成膜等の物品を通じる水蒸気の通過を可能にする物品を記載するために用いられる。「液体貫入に抵抗性がある」という用語は、水等の忌避液体により「湿潤」であるかまたは「湿潤処理」されず、かつ比較的低圧の周囲条件下で膜を通じる液体の貫入を防止する物品を記載するために用いられる。「風貫入に抵抗性がある」という用語は、0.5インチ(1.27cm)の水の物品の全域にわたる圧力差において、1平方フィート(929cm)当たり約三(3)CFM超過を上回る空気貫入を防止する物品の能力を記載する。
【0137】
例として、積層布を組み込むジャケット、コート、または他の衣服もしくは完成した製品は、その衣服を通じる湿蒸気伝達を可能にすることができる。湿蒸気は、使用者の発汗に起因することがあり、衣服もしくは完成した製品は、好ましくは、典型的な状態における使用の最中に使用者が乾燥しかつ快適なままであるのに十分な速度にて湿蒸気伝達を可能にする。積層布も、好ましくは、液体または風の貫入に抵抗性がある一方で、空気透過性がある。
【0138】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、空気濾過器カートリッジは、少なくとも1つのひだ付けされた微細孔性膜を含む。
【0139】
少なくとも選択されている微細孔性膜は、乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔と、0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比と、を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む。
【0140】
本発明の少なくとも選択されている実施形態は、二軸配向細孔性膜、二軸配向細孔性膜を含む合成物、二軸配向微細孔性膜、二軸配向大細孔性膜、電池分離体、濾過媒体、湿度制御媒体、平薄板膜、液体保持媒体、および同様のもの、関連する方法、製造方法、使用方法、および同様のものを対象にすることがある。
【0141】
本発明の少なくとも選択されている実施形態に従い、下記のもののうち少なくとも1つが提供されている:
【0142】
膜であって、
重合体を少なくとも単一層の非細孔性前駆体に押出成形するステップと、
前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む乾燥伸長工程により作られ、
かつ、実質的に丸形状の細孔、約40%乃至90%の細孔率、約0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約100未満のガーリー、少なくとも約0.04ミクロンの平均流動細孔径、少なくとも約0.07ミクロンのアクアポアサイズ、および約140psiよりも大きい水頭圧を有する、細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層、
を備える、膜。
【0143】
前記二軸伸長の機械方向の伸長が、同時の機械方向の伸長を伴う横方向の伸長のステップを含み、かつ、前記二軸伸長が横方向の弛緩のステップをさらに含む、上記の膜。
【0144】
前記非細孔性前駆体の前記二軸伸長が、機械方向の伸長の追加的なステップをさらに含む、上記の膜。
【0145】
前記乾燥伸長工程が、
前記二軸伸長より前に細孔性中間体を形成するための機械方向の伸長のステップ、
をさらに含む、上記の膜。
【0146】
前記非細孔性前駆体の前記二軸伸長が、前記機械方向の伸長、同時の機械方向の伸長を伴う追加的な横方向の伸長、および横方向の弛緩を含む、上記の膜。
【0147】
前記乾燥伸長工程が、
同時制御される機械方向の弛緩を伴う前記横方向の伸長、同時の機械方向の伸長を伴う第2の横方向の伸長、その後の横方向の弛緩を含む、機械方向の伸長その後の前記二軸伸長のステップ、
を含む、上記の膜。
【0148】
前記細孔性重合体薄膜が、少なくとも約8ミクロンの厚さ、少なくとも約300kgf/cmの横方向の引張強さ、約0.025未満の平均流動細孔径の標準偏差、少なくとも約80psiの水侵入圧、および少なくとも約8,000g/m-日のWVTRをさらに有する、上記の膜。
【0149】
前記細孔性重合体薄膜が、90℃にて約1.0%未満の横方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0150】
前記細孔性重合体薄膜が、105℃にて約1.5%未満の横方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0151】
前記細孔性重合体薄膜が、120℃にて約3.0%未満の横方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0152】
前記細孔性重合体薄膜が、90℃にて約10%未満の機械方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0153】
前記細孔性重合体薄膜が、105℃にて約20%未満の機械方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0154】
前記細孔性重合体薄膜が、120℃にて約30%未満の機械方向の収縮率をさらに有する、上記の膜。
【0155】
前記細孔性重合体薄膜が、約8ミクロン乃至80ミクロンの範囲内の厚さをさらに有する、上記の膜。
【0156】
前記非細孔性前駆体が、膨張薄膜および溝穴鋳型薄膜のうち1つである、上記の膜。
【0157】
前記非細孔性前駆体が、単一層押出成形および多層押出成形のうち少なくとも1つにより形成される単一層前駆体である、上記の膜。
【0158】
前記非細孔性前駆体が、共押出成形および積層のうち少なくとも1つにより形成される多層前駆体である、上記の膜。
【0159】
前記細孔性重合体薄膜が、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらの混合物、およびそれらの組み合わせのうち1つを備える、上記の膜。
【0160】
前記細孔性重合体薄膜が、約0.01乃至10.0の溶融流動指数(MFI)および少なくとも約45%の重合体結晶度を有するポリオレフィン樹脂を用いる、上記の膜。
【0161】
前記前駆体が、単一層前駆体および多層前駆体のうち1つである、上記の膜。
【0162】
前記膜が、前記細孔性重合体薄膜の少なくとも片側に結合された少なくとも1つの不織層、織層、または接合層をさらに含む、上記の膜。
【0163】
前記膜が、複数の前記細孔性重合体薄膜で作り上げられる、上記の膜。
【0164】
前記細孔性重合体薄膜が、少なくとも2つの層で作り上げられる、上記の膜。
【0165】
前記膜が、実質的に丸形状の細孔、約40%乃至90%の細孔率、約0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約100未満のガーリー、少なくとも約0.04ミクロンの平均流動細孔径、少なくとも約0.07ミクロンのアクアポアサイズ、および約140psiよりも大きい水頭圧を有する、上記の膜。
【0166】
前記重合体が半結晶性重合体である、上記の膜。
【0167】
前記重合体が、ポリオレフィン類、フルオロ炭素類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリアセタール類(つまりポリオキシメチレン類)、ポリ硫化物類、硫化ポリフェニル、ポリビニルアルコール類、それらの共重合体、それらの混合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、上記の膜。
【0168】
前記細孔性重合体薄膜が、約65%乃至90%の細孔率、約1.0乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約20未満のガーリー、少なくとも約0.05ミクロンの平均流動細孔径、少なくとも約0.08ミクロンのアクアポアサイズ、および約145psiよりも大きい水頭圧をさらに有する、上記の膜。
【0169】
前記実質的に丸形状の細孔が、約0.75乃至1.25の範囲内の縦横比および約0.25乃至8.0の範囲内の球形度因数のうち少なくとも1つを有する、上記の膜。
【0170】
上記の膜を備える、濾過膜、湿度制御膜、気体および/または液体の分離膜、選択的な湿気の通過および液体水の遮断用の膜、および多層膜構造のうち少なくとも1つ。
【0171】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の複数の別個で重ね合わされた層または重ねの同時の二軸伸長を含み、前記重ねの何れも前記伸長工程の最中に共に結合されない、上記の膜。
【0172】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の少なくとも3つの別個で重ね合わされた層の同時の二軸伸長を含む、上記の膜。
【0173】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の少なくとも8つの別個で重ね合わされた層の同時の二軸伸長を含む、上記の膜。
【0174】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の少なくとも16の別個で重ね合わされた層の同時の二軸伸長を含む、上記の膜。
【0175】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の複数の結合されて重ね合わされた層または重ねの同時の二軸伸長を含み、前記重ねの全てが前記伸長工程の最中に共に結合される、上記の膜。
【0176】
前記乾燥伸長工程の前記二軸伸長のステップが、非細孔性前駆体の複数の別個で重ね合わされた層または重ね、および非細孔性前駆体の複数の結合されて重ね合わされた層または重ねの同時の二軸伸長を含み、前記重ねのいくつかが前記伸長工程の最中に共に結合される、上記の膜。
【0177】
前記押出成形ステップが、溝穴鋳型または環状鋳型のうち少なくとも1つを有する押出成形機を用いる乾燥押出成形工程である、上記の膜。
【0178】
電池分離体であって、
重合体を少なくとも単一層の非細孔性前駆体に押出成形するステップと、
前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む乾燥伸長工程により作られ、
かつ、実質的に丸形状の細孔、約40%乃至70%の細孔率、約0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約300未満のガーリー、少なくとも約0.01ミクロンの平均流動細孔径、および少なくとも約0.04ミクロンのアクアポアサイズを有する、細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層、
を備える、電池分離体。
【0179】
前記細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層が、少なくとも約8ミクロンの厚さ、少なくとも約300kgf/cmの横方向の引張強さ、約0.025未満の平均流動細孔径の標準偏差をさらに有する、上記の電池分離体。
【0180】
前記細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層が、90℃にて約2%未満の横方向の収縮率をさらに有する、上記の電池分離体。
【0181】
前記細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層が、90℃にて約6%未満の機械方向の収縮率をさらに有する、上記の電池。
【0182】
前記非細孔性前駆体が、単一層押出成形および多層押出成形のうち少なくとも1つにより形成される、上記の電池分離体。
【0183】
前記非細孔性前駆体が、共押出成形および積層のうち少なくとも1つにより形成される多層前駆体である、上記の電池分離体。
【0184】
前記分離体が、複数の前記細孔性重合体薄膜で作り上げられる、上記の電池分離体。
【0185】
前記重合体が、ポリオレフィン類、フルオロ炭素類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリアセタール類(つまりポリオキシメチレン類)、ポリ硫化物類、硫化ポリフェニル、ポリビニルアルコール類、それらの共重合体、それらの混合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、上記の電池分離体。
【0186】
前記実質的に丸形状の細孔が、約0.75乃至1.25の範囲内の縦横比および約0.25乃至8.0の範囲内の球形度因数のうち少なくとも1つを有する、上記の電池分離体。
【0187】
細孔性膜であって、
重合体を少なくとも単一層の非細孔性前駆体に押出成形するステップと、
前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向の伸長が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含む乾燥伸長工程により作られ、
かつ、実質的に丸形状の細孔、少なくとも約40%の細孔率、約0.5乃至5.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比、約300未満のガーリー、少なくとも約0.01ミクロンの平均流動細孔径、および少なくとも約0.04ミクロンのアクアポアサイズを有する、細孔性重合体薄膜の少なくとも1つの層、
を備える、膜。
【0188】
上記の膜を備える、電池分離体、濾過膜、湿度制御膜、気体および/または液体の分離膜、選択的な湿気の通過および液体水の遮断用の膜、および多層膜構造のうち少なくとも1つ。
【0189】
湿度制御を必要とする機器において、上記の膜を備える改良。
【0190】
濾過機器において、上記の膜を備える改良。
【0191】
温度に影響する機器において、上記の膜を備える改良。
【0192】
微細孔性膜を作る方法であって、
重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、
前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、
を備える、方法。
【0193】
前記重合体が、細孔を形成するための後続の除去用の任意の油、または細孔形成を容易にする任意の細孔形成材料を排除する、上記の方法。
【0194】
前記重合体が半結晶性重合体である、上記の方法。
【0195】
前記重合体が、ポリオレフィン類、フルオロ炭素類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリアセタール類(つまりポリオキシメチレン類)、ポリ硫化物類、ポリビニルアルコール類、それらの共重合体、それらの混合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、上記の電池分離体。
【0196】
押出成形の後にかつ二軸伸長の前に前記非細孔性前駆体を焼鈍するステップ、
をさらに備える、上記の方法。
【0197】
焼鈍が、T-80℃乃至T-10℃の範囲内の温度にて行われる、上記の方法。
【0198】
二軸伸長が、
機械方向の伸長のステップと、
その後、同時の機械方向の弛緩を含む横方向の伸長のステップと、
を備える、上記の方法。
【0199】
機械方向の伸長が、高温もしくは低温または両方のどちらかで行われる、上記の方法。
【0200】
低温の機械方向の伸長が、<T-50℃の温度にて行われる、上記の方法。
【0201】
高温の機械方向の伸長が、<T-10℃の温度にて行われる、上記の方法。
【0202】
合計の機械方向の伸長が、50-500%の範囲内にある、上記の方法。
【0203】
合計の横方向の伸長が、100-1200%の範囲内にある、上記の方法。
【0204】
前記機械方向の弛緩が、5-80%の範囲内にある、上記の方法。
【0205】
膜であって、
乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔および0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有する微細孔性重合体薄膜、
を備える、膜。
【0206】
前記微細孔性重合体薄膜の平均細孔径が、0.03乃至0.30ミクロンの範囲内にある、上記の膜。
【0207】
前記微細孔性重合体薄膜が、20-80%の範囲内の細孔率を有する、上記の膜。
【0208】
前記実質的に丸形状の細孔が、約0.75乃至1.25の範囲内の縦横比および約0.25乃至8.0の範囲内の球形度因数のうち少なくとも1つを有する、上記の膜。
【0209】
前記横の引張強さが≧250Kg/cmである、上記の膜。
【0210】
上記の膜を備える電池分離体。
【0211】
上記の膜を備える多層膜構造。
【0212】
上記の膜を備える空気濾過器カートリッジ。
【0213】
気体から粒子状物を濾過する方法において、上記の膜を備える改良。
【0214】
上記の膜を備える気体濾過媒体。
【0215】
高温溶融完全性を有する不織平薄板、および上記の膜を備える電池分離体。
【0216】
上記の分離体をもって作られる電池。
【0217】
細孔性膜において、スリット以外の細孔形状、丸形状の細孔、図6-8および13-54のうち1つに示されているもののような細孔、図13-50のうち1つに示されているもののような細孔、図6-8および13-50のうち1つに示されているもののような細孔、表I、II、またはIIIのうち1つに示されている特性、増加した横方向の引張強さ、MDおよびTDの物理的特性の平衡、湿気輸送および水頭圧に関連する高性能、低減したガーリー、平衡した物理的特性を伴う高細孔性、細孔径および細孔径分布を含む細孔構造の均一性、増強された耐久性、他の細孔性材料とのそのような膜の合成物、そのような膜の合成物または積層物、細孔性不織材を有する薄膜または層、被覆膜、共押出成形膜、積層膜、所望の湿気輸送または湿蒸気輸送、水頭性能、および物理的強さの特性を有する膜、望ましい膜特長の損失を伴わないより物理的に有害な環境内における有用性、巨視物理的特性と組み合わされる膜湿気輸送性能の組み合わせ、疎水性で、非常に透過性があり、化学的および力学的に安定していること、高い引張強さを有すること、およびそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを備える改良。
【0218】
少なくとも選択されている微細孔性膜は、乾燥伸長工程により作られ、かつ、実質的に丸形状の細孔および0.5乃至6.0の範囲内にある横方向の引張強さに対する機械方向の引張強さの比を有する。先の微細孔性膜を作る方法は、重合体を非細孔性前駆体に押出成形するステップと、前記非細孔性前駆体を二軸伸長するステップであって、前記二軸伸長が機械方向の伸長および横方向の伸長を含み、前記横方向が同時制御される機械方向の弛緩を含む、ステップと、を含むことがある。本発明の少なくとも選択されている実施形態は、二軸配向細孔性膜、二軸配向細孔性膜を含む合成物、二軸配向微細孔性膜、二軸配向大細孔性膜、電池分離体、濾過媒体、湿度制御媒体、平薄板膜、液体保持媒体、および同様のもの、関連する方法、製造方法、使用方法、および同様のものを対象にすることがある。
【0219】
本発明を、その精神およびその本質的な特質から逸脱することなく他の形態にて具現してよく、従って、本発明の範囲に示されているように、先の明細書にではなく、添付の請求の範囲に参照を行うべきである。さらに、本明細書に明記されている全ての数値範囲は、おおよその範囲として考慮されるべきであり、必ずしも絶対的な範囲として考慮されるべきではない。
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