(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071413
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂フィルム、これを用いた粘着シート
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240517BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240517BHJP
C09J 7/24 20180101ALI20240517BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240517BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L21/78 M
C09J7/38
C09J7/24
B32B27/32 E
B32B27/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037848
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2019235962の分割
【原出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林原 幹也
(57)【要約】
【課題】粘着剤層などの塗工工程における加熱処理に対応が可能で、異物などの発生が少なく、エキスパンド性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂粒子及び前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂を含み、前記ポリエチレン系樹脂粒子以外の有機系スリップ剤を実質的に含まない層を少なくとも一方の表面層とするポリオレフィン系樹脂フィルムであって、前記の少なくとも一方の表面層の最大突起高さが2μm以上、15μm以下であるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン系樹脂粒子及び前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂を含み、前記ポリエチレン系樹脂粒子以外の有機系スリップ剤を実質的に含まない層を少なくとも一方の表面層とするポリオレフィン系樹脂フィルムであって、前記の少なくとも一方の表面層の最大突起高さが2μm以上、15μm以下であり、
前記表面層の厚さは、前記ポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径の半分以上である、
半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項2】
前記ポリエチレン系樹脂粒子を形成するポリエチレン系樹脂の粘度平均分子量が150万以上であり、かつ、JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」による融点が150℃以下である請求項1に記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項3】
最大突起高さが2μm以上、15μm以下である表面層同士の静摩擦係数が0.9以下である請求項1、又は、請求項2に記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項4】
前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、エチレン単量体の単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレンを80質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとする共重合体、及び、これらを含む混合物である請求項1~3のいずれかに記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項5】
前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン70質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとする共重合体、及び、これらを含む混合物である請求項1~3のいずれかに記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項6】
前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、更に、エチレン-アクリル酸エステル共重合体を少なくとも5質量%以上含む請求項4、又は、請求項5に記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面層において、15μm以上の突起数が1個/0.2mm2以下である請求項1に記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項8】
前記ポリエチレン系樹脂粒子を含有した少なくとも一方の表面層の表面における静摩擦係数は0.10以上0.5以下である請求項1に記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の半導体製造工程に用いるポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有する半導体製造工程に用いる粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主には、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムに供するに好適であり、また、プラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などにおける導電、加飾などを施した表面状態を保護する表面保護フィルムの基材フィルムにも適用が可能なポリオレフィン系樹脂フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程にはシリコンやガリウム砒素などの半導体ウエハや半導体ウエハのチップをプラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などに積層するダイボンディング工程を得た基盤などを切断、分離するダイシング工程がある。そのダイシング工程で半導体ウエハや基盤などを固定し、ブレードなどによるダイシングでのズレ、チップなどの飛散を防止するために、樹脂フィルムを基材として、少なくとも片面に粘着剤層が設けてなる粘着シートをダイシングテープとして使用する。
【0003】
ダイシングテープは、更に、吸引治具などで個片化したチップなどをピックアップし易いように各々の間隔を広げるエキスパンド工程に対するエキスパンド(拡張)性、また、チップを採取するピックアップ工程を経るが、その際の負荷を低減するため、柔軟性が求められる。
【0004】
例えば、ビニル芳香族炭化水素、あるいは、共役ジエン炭化水素共重合体水素添加物とポリプロピレン系樹脂とからなる樹脂組成物を積層した多層フィルムが知られている(例えば、特許文献1など)。しかし、前記のような多層フィルムは一般的に前記多層はエキスパンド性は満足できるものの、ウエハの重量によるたわみなどの点で、必ずしも満足できるものではない。
【0005】
また、エチレン-エチルアクリレート(EEA)、エチレンビニルアルコール(EVA)などのエチレン系樹脂の基材にシリコンオイル、シリコン樹脂粉末や四フッ化エチレン樹脂粉末などの摩擦低減剤を含有する樹脂層を設ける基材用フィルムが知られている(例えば、特許文献2など)。前記のような基材用フィルムは一般的にエキスパンド性と柔軟性は満足できるが、シリコンオイルによるチップの汚染、四フッ化エチレン樹脂粉末による焼却時のフッ化水素ガスが発生による環境に対する影響が懸念される。
【0006】
更に、エチレン系樹脂のフィルムにおいて、粘着剤層などを付与する反対面にシリカ粒子を添加する層を設けることで摩擦を低減し、エキスパンド性を確保する基材用のフィルムが開示されている(例えば、特許文献3など)。しかし、一般的にシリカ粒子は、比重が重い上、凝集しやすい性質があり、フィッシュアイなどの異物管理の点に困難が生じることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-94418号公報
【特許文献2】特開平7-221052号公報
【特許文献3】特開平11-189755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、主には、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムとして好適であり、また、プラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などにおける導電、加飾などを施した表面状態を保護する表面保護フィルムの基材フィルムにも適用が可能なポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、粘着剤層などの塗工工程における加熱処理に対応が可能で、異物などの発生が少なく、エキスパンド性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレン系樹脂粒子を少なくとも片側の表面層に配し、特定の表面凹凸を形成することで、エキスパンド性を有し、ウエハなどの重量でたわみが低減し、粘着剤層などの塗工工程における加熱処理で基材フィルムに欠陥が生じることのないポリオレフィン系樹脂フィルムを得ることを見出し、本発明の完成に到った。
【0010】
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. ポリエチレン系樹脂粒子及び前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂を含み、前記ポリエチレン系樹脂粒子以外の有機系スリップ剤を実質的に含まない層を少なくとも一方の表面層とするポリオレフィン系樹脂フィルムであって、前記の少なくとも一方の表面層の最大突起高さが2μm以上、15μm以下であるポリオレフィン系樹脂フィルム。
2. 前記ポリエチレン系樹脂粒子を形成するポリエチレン系樹脂の粘度平均分子量が150万以上であり、かつ、JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」による融点が150℃以下である上記第1に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
3. 最大突起高さが2μm以上、15μm以下である表面層同士の静摩擦係数が0.9以下である上記第1、又は、第2に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
4. 前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、エチレン単量体の単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレンを80質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとする共重合体、及び、これらを含む混合物である上記第1~第3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
5. 前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン70質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとする共重合体、及び、これらを含む混合物である上記第1~第3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
6. 前記ポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂が、更に、エチレン-アクリル酸エステル共重合体を少なくとも5質量%以上含む上記第4、又は、第5に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
7. 上記第1~第6のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を適用しているため、適度なエキスパンド性を現出する柔軟性を備えており、ポリエチレン系樹脂粒子を少なくとも片側の表面層に配しているため、摩擦が低減し、より均一なエキスパンド性を得ることが可能となる。加えて、前記ポリエチレン系樹脂粒子以外は実質的に有機系のスリップ剤を含まないため、環境に対する影響、ならびに、異物などの管理も容易である。従って、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、主には、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムとして好適であり、また、粘着剤層などの塗工工程における加熱処理に対応が可能で、異物などの発生が少なく、エキスパンド性に優れるため、プラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などにおける導電、加飾などを施した表面状態を保護する表面保護フィルムの基材フィルムにも適用が可能なポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のポリオレフィン系樹フィルムとは、例えば、以下に説明する化合物、ならびに、構造などを有するものである。
【0013】
<表面性状>
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面層はポリエチレン系樹脂粒子を含有し、前記表面層の表面は、最大突起高さが2μm以上であることが好ましく、また、15μm以下であることが好ましい。最大突起高さが2μm以上であると、表面の摩擦を小さくできて好ましい。より好ましくは、前記表面の最大突起高さは3μm以上である。一方、最大突起高さが15μm以下であると、チラツキのない外観品位が得られて好ましい。より好ましくは、前記表面の最大突起高さは10μm以下である。そして、15μm以上の突起数は、は1個/0.2mm2以下であることが好ましく、0.5個/mm2以下であることがより好ましい。
【0014】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、ポリエチレン系樹脂粒子を含有した少なくとも一方の表面層の表面における静摩擦係数は0.10以上が好ましく、より好ましくは0.15以上である。また、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。前記静摩擦係数は、ポリエチレン系樹脂粒子を含有した少なくとも一方の表面層同士の静摩擦係数である。
【0015】
静摩擦係数が0.10以上であると、製膜工程や加工工程でロールでのまよい、巻きズレなどが発生するおそれがなく好ましい。静摩擦係数が0.7以下であると、シワなどの問題が発生するおそれがなく、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムとした場合、エキスパンド工程で均一なエキスパンド性が得られて好ましい。
【0016】
<ポリエチレン系樹脂粒子>
本発明において、少なくとも一方の表面層に含有されるポリエチレン系樹脂粒子の粘度平均分子量が150万以上あることが好ましく、かつ、JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」による融点は高いと溶融押出の際にフィルター詰まりなどを誘因することがあり、低いと溶融押出の際に扁平化し突起として機能しないことがあるのでピーク温度が130℃以上で150℃以下であることが好ましい。
【0017】
本発明において表面層に含有されるポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径は小さいと突起として機能しないことがあり、また、大きいと異物や溶融押出の際にフィルター詰まりなどを誘因することがあるので、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
【0018】
それに加えて、25μm以上の粗大粒子を1質量%以上含まないことが好ましい。更に好ましくは全く含まないことである。平均粒子径が15μm以下であっても、25μm以上の粒子(以下、粗大粒子)の含有量が1質量%未満であると、フィルム表面にこの粗大粒子に由来する大きな突起がなく、フィルム表面のいわゆる、チラツキが生じることがなく好ましい。
【0019】
なお、粒子径に関しては、JIS Z 8832:2010「粒子径分布測定方法 電気的検知帯法」に準拠し、粒子径の分布を求め、発生頻度が50%になるメディアン径を平均粒子径とした。また、該粒子径の分布から粗大粒子の量を求めた。
【0020】
また、フィルム中の粒子の平均粒子径は、以下のようにして測定して前記JIS Z 8832:2010に準拠した方法のデータを推定することもできる。 例えば、フィルムの断面の粒子を走査型電子顕微鏡で観察を行い、粒子50個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法で行うものである。粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。前記顕微鏡観察による測定方法においては、不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
【0021】
本発明におけるポリエチレン系樹脂粒子を構成するポリエチレン系は粘度平均分子量が150万以上であることが好ましく、160万以上であることがより好ましく、170万以上がさらに好ましい。また、250万以下が好ましく、220万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましい。
【0022】
理由は定かではないが、この範囲の粘度平均分子量であれば、ポリエチレン系樹脂粒子と基材フィルムを構成する他のポリオレフィン系樹脂との分子量の差が非常に大きいため、分子が混ざり合わず、溶融、混合した後、押出して得たフィルム中においてもポリエチレン系樹脂粒子の形状を維持することが可能で、更に、粒子同士の融着や接着などによる凝集も起こりにくいため、フィルム表面に無機の粒子と同様に粒径に見合った突起を形成することができると推定している。
【0023】
また、ポリエチレン系樹脂粒子の粘度平均分子量が150万以上であると、溶融、混合時に、熱や剪断によって分解しづらく、融着凝集やベース樹脂との部分的な相溶による粒子形状の変化が起こりづらいため、適度な突起形成が容易に起こり、アンチブロッキング剤としての機能が保持され、透明性などの外観、フィルムの力学的強度などが保持されて好ましい。
【0024】
一方、粘度平均分子量が250万以下であっても、溶融、混合した後、押出して得たフィルムを形成する時に粒子の形状は維持しやすく、フィルム表面の突起を効果的に形成することができる。
なお、粘度平均分子量に関しては、JIS K7252:2016「プラスチック-サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方-」に準拠し、固有粘度とマーク・ホーウィンク・桜田式より求めた値を適用することが可能である。
【0025】
本発明において、表面層中のポリエチレン系樹脂粒子の含有量は、平均粒子径と表面層の厚さにもよるが、概略で、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。また、3.0質量%以下が好ましい。ポリエチレン系樹脂粒子の添加量が、0.5質量%以上であると少なくとも片側の表面層の最大突起高さを2μm以上とすることが容易となり好ましい。一方、3.0質量%以下であると、押出時のリップ汚れのおそれがなく、外観不良のおそれがなく好ましい。
【0026】
<構造>
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、下記の樹脂によって、A:単層、A/B、A/C、A/B/A、A/B/Cなどの層構成が可能で、更に、層間に、別のポリオレフィン系樹脂などの層を設けることも可能である。
層A、C :ポリエチレン系樹脂粒子を含有する層
層B :ポリエチレン系樹脂粒子を含有しない層
【0027】
<厚さ>
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、全体の厚さは60μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましい。また、180μm以下であることが取り扱い性の観点から好ましい。
【0028】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの全体の厚さが60μm以上であると、腰感があり、更に、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムとした場合に、均一なエキスパンド性が得られて好ましい。
【0029】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面層としてポリエチレン系樹脂粒子を含有した層を配する場合、その表面層の厚さはポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径の半分以上であることが好ましい。一方、前記表面層の厚さはポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径と同一以下が好ましく、ポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径より1μm以上小さいことがより好ましい。
【0030】
前記のポリエチレン系樹脂粒子を含有した表面層の厚さがポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径の半分以上である場合、押出におけるリップ汚れを生じずm外観不良のおそれがなく好ましい。一方、前記のポリエチレン系樹脂粒子を含有した表面層の厚さがポリエチレン系樹脂粒子の平均粒子径と同一以下の場合、当該表面層に程度な最大突起高さが得られて好ましい。
【0031】
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面に位置する表面層は、上記のようなポリエチレン系樹脂粒子を含有するとともに、当該表面層を形成するポリオレフィン系樹脂として、エチレン単量体の単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレンが80質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとした共重合体、極性ゴムとの相溶性を向上したオレフィン系樹脂、及び、これらの少なくとも2種を含む混合物を含有することが好ましい。なお、ポリエチレンは、低分子量物のブリードアウトが少ないことから、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレンが望まれ、共重合物の場合、直鎖状低密度ポリエチレンが80質量%以上であると、粘着剤などの塗布工程において、乾燥のため加熱しても工程ロールへの粘着しづらく、シワの発生などが起きづらいので好ましい。
【0032】
また、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面に位置する表面層は、上記のようなポリエチレン系樹脂粒子を含有するとともに、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンが70質量%以上と1種以上のα-オレフィンをコモノマーとした共重合体、及び、これらを含む混合物を含有することも好ましい。本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムに適用するポリオレフィン系樹脂として用いられ、プロピレンが70質量%以上であると、粘着剤などの塗布工程において、乾燥のため加熱しても工程ロールへの粘着しづらく、シワの発生などが起きづらいので好ましい。
【0033】
なお、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの主に表面層に適用するポリオレフィン系樹脂におけるα-オレフィンはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-デセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ノネン、4-メチル-1-ヘキセンなどが例示され、耐破断性、エキスパンド性を改善する観点から、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましい。
【0034】
また、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面に位置する表面層は、含有されるポリオレフィン系樹脂が、上記のようなポリオレフィン樹脂に加えて、更に、エチレン-アクリル酸エステル共重合体を、表面層を形成するポリエチレン系樹脂粒子以外のポリオレフィン系樹脂に対して、少なくとも5質量%以上含むことがエキスパンド性の向上の観点から好ましく、低分子量物の析出などの観点から25質量%以下であることが好ましい。また、α-オレフィンのアルキル基が結合する位置に、アルキル基に替えて、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレートに例示されるアクリル酸エステルを導入することが好ましい。
【0035】
加えて、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムには、目的を損なわない範囲で、公知のシリカ、タルク、ゼオライトや硼酸アルミニウムなどの無機化合物粒子、ポリメタクリル酸メチル、メラミンホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリエステル樹脂などの有機化合物粒子などの添加が可能である。但し、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどの炭化水素系、ステアリン酸やステアリルアルコールなどの脂肪族・高級アルコール系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドの脂肪酸アミド系などに例示される有機系のスリップ剤はブリードによる汚染が懸念されるため、実質的に含まないことが好ましい。本発明において、実質的に有機系のスリップ剤を含まないとは、JIS K6229:2015「ゴム-溶剤抽出物の求め方(定量)」に準拠したクロロホルムによるソックスレー抽出による抽出量の合計量が1質量%以下であることを言い、各々の有機系のスリップ剤に対しては、0.5質量%以下が、更には、0.1質量%以下が望ましく、検出されないことが好ましい。
【0036】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂のJIS K6921:2010「プラスチック-ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料-第2部:試験片の作製方法及び特性の求め方」に準拠したメルトフローレート(MFR)は、目的とするシートの幅、厚さにもよるが、1~20g/10minが好ましく、2~8g/10minがより好ましい。MFRが1g/10min以上であると、押出が容易となり好ましい。MFRが20g/10min以下であると、シートの厚さ変動が小さくできるので好ましい。
【0037】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂原料は、石油由来、植物由来など、特に、限定されるものではないが、環境の面から植物由来であることが好ましい。
【0038】
<ポリオレフィン系樹脂のフィルム化>
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂フィルムは、押出成形、カレンダー成形などによって得られる。
【0039】
押出成形としては、単軸、又は二軸のスクリュー押出機を通してTダイからシート状に押出される。押出されたシートは、内部で冷却水や油が循環している金属ロール表面に、エアーナイフ、エアーチャンバー、硬質ゴムロール、スチールベルト、金属ロールなどで押さえつけ冷却固化する。また、シート両面をスチールベルトで挟んで冷却固化することもできる。本発明のポリオレフィン系樹脂シートのシート化に使用する押出機に加え、再生樹脂などの押出機とフィードブロックやマルチマニホールドを用いることで異種多層シートを得ることも可能である。
【0040】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは必要に応じて、単軸、又は二軸に延伸することが可能で、その全延伸倍率が高い場合はエキスパンド性が損なわれることがあり、低い場合は厚さ変動が大きくなることがあるので、縦横双方各々3~12倍が好ましい。
【0041】
<粘着剤>
半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シート、また、プラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などにおける導電、加飾などを施した表面状態を保護する表面保護フィルムに適用する場合、ポリオレフィン系樹脂フィルムに粘着剤層を設けることが好ましい。
【0042】
粘着剤層を構成する粘着剤は、(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、スチレン系粘着剤等が挙げられるが、これらの中でも、接着力の調整を容易にできる(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
【0043】
(メタ)アクリル系粘着剤に含まれる(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物とコモノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。また、(メタ)アクリル系共重合体を構成するコモノマーとしては、酢酸ビニル、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアマイド、スチレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアマイド、メチロール(メタ)アクリルアマイド、無水マレイン酸等が例示でき、これらのコモノマーは一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
【0044】
上述の粘着剤としては、放射線により粘着力を低下させる放射線架橋型粘着剤を用いることが可能で、これによる粘着剤層は、放射線照射による架橋で、粘着力が大幅に低下するため、チップをピックアップすることが容易になる。
【0045】
このような放射線架橋型粘着剤は、上記(メタ)アクリル系粘着剤等の粘着剤と、架橋性化合物と光重合開始剤などを含む樹脂が用いられる。
架橋性化合物としては、ラジカル重合により架橋が可能なモノマー、オリゴマー、または、ポリマーなどが挙げられ、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル;エステル(メタ)アクリレートオリゴマー;2-プロペニルジ-3-ブテニルシアヌレート、2-ヒドロキシエチルビス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物などを例示することが可能である。なお、これらの架橋性化合物の含有量は、選択する化合物によるが、塗工時の溶液の粘度の調整、ならびに、粘着力の調整などの観点から、粘着剤100質量部に対して5~100質量部が好ましく、10~50質量部がより好ましい。
【0046】
また、光重合開始剤は、放射線照射により開裂し、ラジカルを生成する化合物であればよく、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ならびに、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン類、ならびに、ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール類、ならびに、ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン類などが例示できる。
【0047】
上述の粘着剤による粘着剤層の厚さは特に制限されないが、粘着力、粘着剤層の厚さの均一性などの観点から、1~50μmであることが好ましく、3~30μmであることがより好ましい。
【実施例0048】
以下に実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されず、本発明の趣旨に適合する範囲で変更を加えて実施することが可能であり、これらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0049】
実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0050】
(1)製膜性(リップ汚れ)
製膜時間が5時間の段階で、ダイにおけるリップ状況、及び、製膜表面を観察し、下記の基準で評価を行なった。
◎: リップ汚れは認めず、製膜表面に異常がない
○: リップ汚れの兆候は認めるが、製膜表面に異常はない
△: リップ汚れが確認できるが、製膜表面に異常はない
×: リップ汚れが明確で、製膜表面に汚れが発生した近傍にスジ状を認める
【0051】
(2)最大突起高さ(Rz)
接触式表面粗さ計(小坂研究所製・型式ET4000A)を用い、3cm×3cm四方のフィルムから任意に測定面1mm×0.2mmの表面粗さを測定し、これを3ヶ所に対して行ない、その平均値を最大突起高さRzとした。
【0052】
(3)15μm以上の突起数(R15)(個/0.2mm2)
15μm以上の突起数は接触式表面粗さ(小坂研究所製・型式ET4000A)を用い、3cm×3cm四方のフィルムから任意に測定面1mm×0.2mmの個所の表面粗さを測定し、突起高さが15μm以上の突起個数の確認を、3ヶ所に対して行ない、その平均値を15μm以上の突起数R15した。
【0053】
(4)静摩擦係数μs
JIS P 8147:2010「紙及び板紙-静及び動摩擦係数の測定方法(傾斜法)」に準拠し、ポリエチレン系樹脂粒子を含有した面同士における滑り出し角度の正接を静摩擦係数μsとした。
【0054】
(5)厚さ
JIS K 7130:1999「プラスチックフィルム及びシートの厚さ測定方法(A法)」に準拠して得た値を厚さとした。
【0055】
(6)エキスパンド性
試料のオレフィン系樹脂フィルムを6インチのダイシングフレームに両面テープで固定し、中心点とこれに対して直径50mmと直径100mmの同心円を描いた上で、ダイシングフレームの内径に対して20%の伸度となるようにエキスパンダー(ステージ:温度30℃、上昇速度50mm/min、保持60sec)で拡張を行ない、同心円に対する45degピッチで測定した伸度から、下記の評価を行なった。
◎: 全方向で13%以上の伸度で、最大の差が2%未満である
○: 全方向で13%以上の伸度だが、最大2~5%の差がある
△: 一部の方向で10~13%の伸度で、最大2~5%の差がある
×: 一部の方向に10%未満の伸度ある、または、最大5%以上の差がある
【0056】
次に、実施例、及び、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0057】
実施例、及び、比較例にあたって、下記の原料を使用した。
(ポリオレフィン系樹脂)
【0058】
<樹脂1>
住友化学社製スミカセンE FV405(メタロセン触媒系LLDPE、密度:924kg/m3、MFR:3.8g/10min、融点:118℃、直鎖状低密度ポリエチレン:90質量%以上)を樹脂1とした。
【0059】
<樹脂2>
日本ポリエチレン社製レクスパールEEA A4250(エチレン-アクリル酸エチル コポリマー、アクリル酸エチル含有量25質量%、MFR:5g/10min、融点:92℃)を樹脂2とした。
【0060】
<樹脂3>
上記の樹脂1に、三井化学(株)社製ミペロン(登録商標)PM200(超高分子量ポリエチレン粒子、平均粒子径10μm、融点136℃、粘度平均分子量180万、25μmを超える粒径の割合が0%)を15質量%含有したペレット状の樹脂3を作製した。
【0061】
<樹脂4>
上記の樹脂1に、球状シリカ(平均粒子径12μm、25μmを超える粒径の割合が2%)を15質量%含有したペレット状の樹脂4を作製した。
【0062】
<実施例1~11、比較例1~3>
2層積層構成になるように2つの押出機を用いて、事前にペレット状物の混合物を混練し、Tダイから樹脂温度240℃で溶融押出を行ない、温度40℃の冷却ロール上にキャスティングし、実施例1~11、ならびに、比較例1~3のシートを得た。なお、実施例1~11、ならびに、比較例1~3における厚み、層構成、樹脂の配合比、および、評価結果を、表1に示す。
【0063】
【0064】
実施例1~11より、本発明のポリエチレン系樹脂粒子を含むポリオレフィン系樹脂フィルムは素材の構成、ならびに、配合比の範疇では、製膜性に異常がなく、表面の凹凸も所定の範疇で、異物感もなく、滑り性も良好であるため、エキスパンド性が得られ、特に、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材に供するに好適である。
【0065】
実施例1、2と比較例1、2との対比により、ポリオレフィン系樹脂フィルムはポリエチレン系樹脂よりなる粒子を使用しないと適切な突起高さが得られないなどの問題が発生し、エキスパンド性が得られないことが分かる。
【0066】
実施例1、4、8、10、ならびに実施例2,7、9、11により本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムにおけるポリエチレン系樹脂よりなる粒子を含む層の表面の最大突起高さが大きくなると、製膜性が低下し易い状態になる兆候が認められ、比較例3のようにポリエチレン系樹脂よりなる粒子を適用しないと問題が顕在化することが分かる。
【0067】
<樹脂5>
プライムポリマー社製エボリュー SP1071C(メタロセン触媒系LLDPE、密度:911kg/m3、MFR:10g/10min、融点:101℃、直鎖状低密度ポリエチレン:90質量%以上)を樹脂5とした。
【0068】
<樹脂6>
上記の樹脂5に、三井化学(株)社製ミペロン(登録商標)PM200(超高分子量ポリエチレン粒子、平均粒子径10μm、融点136℃、粘度平均分子量180万、25μmを超える粒径の割合が0%)を15質量%含有したペレット状の樹脂6を作製した。
【0069】
<樹脂7>
住友化学社製ノーブレン FW836DG3(homo-ポリプロピレン、密度:900kg/m3、MFR:7g/10min、融点:158℃)を樹脂5とした。
【0070】
<樹脂8>
上記の樹脂7に、三井化学(株)社製ミペロン(登録商標)PM200(超高分子量ポリエチレン粒子、平均粒子径10μm、融点136℃、粘度平均分子量180万、25μmを超える粒径の割合が0%)を15質量%含有したペレット状の樹脂6を作製した。
【0071】
<実施例12~15>
2層積層構成になるように2つの押出機を用いて、事前にペレット状物の混合物を混練し、Tダイから樹脂温度240℃で溶融押出を行ない、温度40℃の冷却ロール上にキャスティングし、実施例1~11、ならびに、比較例1~3と同様に、シートを得た。なお、実施例12~15における厚み、層構成、樹脂の配合比、および、評価結果を、表2に示す。
【0072】
【0073】
実施例12~15のフィルムは、実施例1~2のフィルムと同様に、表面層がポリオレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂粒子を含むため、製膜性が良好であり、表面の凹凸も適切に調節されており、滑り性も良好であるため、エキスパンド性が得られ、特に、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムとして好適である。
【0074】
実施例1~15、ならびに、比較例1~3について、約2gの試料を採取し、裁断後、クロロホルムでのソックスレー抽出(抽出4時間)を行ない、抽出物が0.6質量%以下であることを確認し、固体-NMRスペクトル分析より有機系のスリップ剤が検出されないことを確認した。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、少なくとも片面表面層にポリオレフィン系樹脂を使用しているため、適度なエキスパンド性を得る柔軟性を備えている。また、ポリエチレン系樹脂粒子を少なくとも片側の表面層に含有させているため、摩擦が低減し、より均一なエキスパンド性を得ることが可能となるため、半導体などを切断、分離してチップを得る際に、これらを固定する粘着シートの基材フィルムに供するに好適であり、また、プラスチック製品、ガラス製品、セラミック製品などにおける導電、加飾などを施した表面状態を保護する表面保護フィルムの基材フィルムにも適用が可能となる。本発明の産業上の利用可能性は極めて高い。