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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071435
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】統合駆動システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240517BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240517BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240517BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240517BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20240517BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240517BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 B
H02K9/19 Z
H02K7/116
F16H57/04 G
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
B60L3/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041165
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2020563741の分割
【原出願日】2019-05-14
(31)【優先権主張番号】102018111624.1
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518334554
【氏名又は名称】ヴァレオ ジーメンス エーアオトモーティヴェ ゲルマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Valeo Siemens eAutomotive Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フィンガー‐アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー フランク
(57)【要約】
【課題】インバータと、電気モータと、ギアボックスとが同じハウジング内に備えられた統合駆動システムの効率的な冷却システムを提供する。
【解決手段】ステータ(129)とロータとを有する電気モータ(120)と、電気モータ(120)を制御するインバータ(110)と、電気モータから供給されるトルクを伝達するギアボックス(130)と、冷却システムとを備える統合駆動システム(100)に関し、冷却システムは、インバータ(110)と、ロータと、ステータ(129)と、ギアボックス(130)とを冷却するための冷却路を流れる冷却液を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(129)とロータとを有する電気モータ(120)と、前記電気モータ(120)を制御するインバータ(110)と、前記電気モータ(120)から供給されるトルクを伝達するギアボックス(130)と、
前記インバータ(110)、前記ロータ、前記ステータ(129)及び前記ギアボックス(130)を冷却するための冷却路を流れる冷却液を備える冷却システムと、
を備える統合駆動システム(100)であって、
前記電気モータ(120)は、前記ロータと前記ステータ(129)とを収容するケース(120c)を備え、
前記ケース(120c)は、
前記ステータ(129)を収容するように前記電気モータ(120)の軸に沿って延びる円筒状の側部(121c)と、
前記側部(121c)の第1軸端を閉じる、いわゆるBシールド(122c)を形成する前記電気モータ(120)の第1軸端における第1端部と、
前記電気モータ(120)の前記第1軸端と反対の前記電気モータ(120)の第2軸端における第2端部であって、前記側部(121c)の第2軸端を閉じる、いわゆるAシールド(123c)を形成する前記第2端部と、を有し、
前記ロータが固定されるように取り付けられる中空のロータシャフト(126)を有し、前記ロータシャフト(126)の内部空間は前記ロータシャフトの軸に沿って延在して前記ロータを冷却するための前記冷却液を受け入れ、
前記Bシールド(122c)は、前記ロータシャフトに前記冷却液を送る第1流路(124)と、前記ロータから前記ステータ(129)の前記冷却路へ前記冷却液を送るように前記ステータ(129)の冷却流路と連通する第2流路(128)と、を備える統合駆動システム(100)。
【請求項2】
前記冷却液は、前記インバータ(110)と、前記ロータと、前記ステータ(129)と、前記ギアボックス(130)とを順次冷却する、
請求項1に記載の統合駆動システム(100)。
【請求項3】
前記冷却路は、前記インバータ(110)を冷却する第1部と、前記ロータを通過して冷却する第2部と、前記ステータ(129)を冷却する第3部と、前記ギアボックス(130)を冷却する第4部とを含む連続部を備える、
請求項2に記載の統合駆動システム(100)。
【請求項4】
前記Bシールド(122c)は、
前記ケース(120c)の前記側部(121c)と一体であり、前記ステータ(129)と軸方向に対向する周辺部(P)と、
前記周辺部(P)とは別体であり、前記ロータシャフト(126)と軸方向に対向し、前記周辺部(P)と密閉関係にある中心部(C)と
を備える請求項1に記載の統合駆動システム(100)であって、
前記第1流路(124)と前記第2流路(128)はそれぞれ、前記Bシールド(122c)の前記中心部(C)に形成された第1部(124C、128C)と、前記Bシールドの前記周辺部(P)に形成された第2部(124P、128P)とを有する請求項1~3のいずれかに記載の統合駆動システム(100)。
【請求項5】
前記電気モータ(120)の前記ケース(120c)は、前記電気モータ(120)の前記軸に対して交差する方向、特に垂直に、前記Bシールド(122c)に近い位置から前記Bシールド(122c)から遠い位置まで前記電気モータ(120)の前記ケース(120c)の前記側部(121c)から延在する、延長部(125c)と呼ばれる部分を備える、請求項1~4のいずれかに記載の統合駆動システム(100)。
【請求項6】
前記ギアボックス(130)は、前記電気モータ(120)の前記ロータシャフト(126)から前記ロータシャフト(126)の前記軸に対して前記電気モータ(120)から離れた位置にある出力位置へトルクを伝達し、
前記延長部(125c)は、前記ギアボックス(130)の前記出力位置と対向するように前記電気モータ(120)の前記ケース(120c)の前記側部(121c)から延在し、前記ギアボックス(130)の前記出力位置と接続される第2シャフト(134)を受け入れる穴を備える、請求項5に記載の統合駆動システム(100)。
【請求項7】
前記インバータ(110)は、前記インバータ(110)の部品を有するケース(110c)を備え、前記インバータ(110)のケース(110c)の外面(112c)が前記電気モータ(120)のケース(120c)の側部(121c)の外表面に対して正接する平面において延在するように、前記インバータ(110)のケース(110c)は前記電気モータ(120)の前記ケース(120c)に支持され、
前記インバータ(110)の前記ケース(110c)の前記外面(112c)と、前記電気モータ(120)の前記ケース(120c)の前記側部(121c)と、前記モータ(120)の前記ケース(120c)の前記延長部(125c)と、前記ギアボックス(130)とが、前記インバータ(110)と、前記電気モータ(120)と、前記ギアボックス(130)とを接続する前記冷却システムの接続ダクト(215、219、223)を受け入れる容積を定義する請求項6に記載の統合駆動システム(100)。
【請求項8】
前記ロータの冷却路の入口は前記延長部(125c)に位置し、第1ダクト(215)が前記インバータ(110)の冷却路の出口を前記ロータの前記冷却路の前記入口に接続する、請求項5~7のいずれかに記載の統合駆動システム(100)。
【請求項9】
第2ダクト(219)は、前記ステータ(129)の冷却路の境界部を前記ギアボックス(130)の冷却路の境界部に接続し、前記ステータ(129)の前記冷却路の前記境界部と前記ギアボックス(130)の前記冷却路の前記境界部とは前記容積に含まれる、請求項7に記載の統合駆動システム(100)。
【請求項10】
前記延長部(125c)は前記冷却システムの境界ポートを備え、第3ダクト(223)が前記ギアボックス(130)の前記冷却路の境界部を前記冷却システムの前記境界ポートに接続する、請求項4~9のいずれかに記載の統合駆動システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータ、インバータ、及びギアボックスを備える統合駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気を動力源とする車両である電気自動車やハイブリッド車に関する技術が急速に発展している。電気自動車やハイブリッド車は、回転力を生成する電気モータと、電気モータを制御するインバータと、インバータに電力を供給するバッテリーと、さらに電気モータから車両のホイールにトルクを伝達するギアボックスとを備え得る。車両内におけるこれらの部品のサイズを制限するために、これらの部品をどのように配置するかについてますます多くの研究がなされている。この目的のために、これらの部品を車両に搭載される一つのデバイスに統合した統合駆動システムを提供することが知られている。例えば、US9030063B2は、電気モータと、インバータと、ギアボックスとを一つのハウジングに統合することを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気自動車やハイブリッド車の主な問題点は、統合駆動システムの部品をいかに効率的に冷却するかという点になおある。US9030063B2は、冷却路が、モータのロータとギアボックスとを冷却する第1冷却路とモータのステータとインバータとを冷却する第2冷却路とに分岐する冷却システムを提案している。しかし、この並列冷却方式では、第1冷却路と第2冷却路とに冷却路が分岐する位置におけるマニホールドが必要となるとともに、各冷却路における冷却液の流量の制御も必要となる。これにより、この先行技術の統合駆動システムの実装が困難となる。
【0004】
したがって、その部品の効率的な冷却を実行しながらもより簡単に実装できる統合駆動システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ステータとロータとを有する電気モータと、電気モータを制御するインバータと、電気モータから供給されるトルクを伝達するギアボックスと、冷却液システムとを備える統合駆動システムに関する。冷却液システムは、インバータと、ロータと、ステータと、ギアボックスとを冷却するための一つの冷却路を流れる冷却液を備える。
【0006】
したがって、本発明による統合駆動システムは、インバータ、モータ、及びギアボックスの冷却を一つの冷却路によって実施する。したがって、本発明のシステムでは複雑な派生が必要とされず、その設計が簡略化される。
【0007】
統合駆動システムとは、インバータと、電気モータと、ギアボックスとが同じハウジング内に一緒に設けられ、このハウジングが例えば複数の部分によって形成されていることを指す。よって、統合駆動システムは、インバータと、電気モータと、ギアボックスとを一緒に同時に操作することを可能とする一つの物体を形成する。このような統合駆動システムは、これらのすべての部品を車両のドライブトレイン内に同時に統合することを可能とする。
【0008】
一つの実施形態によれば、冷却液はインバータと、ロータと、ステータと、ギアボックスとを順次冷却する。温度が大きい問題点となっている部品は、温度の影響が最も大きいものから小さいものへの順に、インバータ、ロータ、ステータ、及びギアボックスの順で並ぶ。温度の影響が最も大きい部品を最初に冷却することで、冷却液が出口における温度よりもまだ低い温度であるうちにこれらの部品を冷却し、これによって最も熱放散を必要とする部品により多くの熱放散を与える。
【0009】
有利には、冷却路は、インバータを冷却する第1部と、ロータを通過して冷却する第2部と、ステータを冷却する第3部と、ギアボックスを冷却する第4部分とを含む連続部を備える。冷却液はこの連続部を順番に流れる。特に、最も近くで各部品を冷却するように、統合駆動システムの各部品において冷却路が形成される。
【0010】
一つの実施形態によれば、ギアボックスは潤滑油を受け取る潤滑回路を備え、潤滑回路は、冷却システムとは流体的に独立しており、冷却システムと熱的に接続している。有利には、冷却液と潤滑油との間の熱交換を可能とする熱交換器を冷却液が通過する。したがって、ギアボックス内への冷却システムの侵入が制限される。ギアボックス内に長い冷却流路を設ける必要はない。潤滑油は冷却される。その後、潤滑油はギアボックスのホットスポットに噴射される。
【0011】
本発明の一態様によれば、電気モータは、ロータとステータとを収容するケースを備え、ケースは、ステータを収容するように電気モータの軸に沿って延びる円筒状の側部と、側部の第1軸端を閉じる、いわゆるBシールドを形成する電気モータの第1軸端における第1端部と、電気モータの第1軸端と反対の電気モータの第2軸端における第2端部であって、側部の第2軸端を閉じる、いわゆるAシールドを形成する第2端部とを有する。
【0012】
変形例によれば、Aシールドはギアボックスのケースの一部でもある。したがって、Aシールドは電気モータのケースとギアボックスのケースとの間で共有される。特に、電気モータのAシールドは、ギアボックスの部品を受け入れてギアボックスのケースを形成するように電気モータ側とは逆向きの凹形状を有する。したがって、ギアボックスは少なくとも部分的に電気モータのAシールド上に位置する。
【0013】
一つの実施形態によれば、電気モータはロータが固定されるように取り付けられる中空のロータシャフトを有する。ロータシャフトの内部空間は、ロータシャフトの軸に沿って延びて、ロータを冷却するための冷却液を受け入れる。Bシールドは、ロータシャフトに冷却液を伝達する第1流路と、ロータからステータの冷却流路へ冷却液を伝達するようにステータの冷却流路と連通する第2流路とを備える。第2流路によって、ステータを冷却するようにステータへ冷却液が送られる。Bシールドにこの第2流路を統合することで、統合駆動システムの部品への冷却システムの統合が改善される。
【0014】
有利には、Bシールドは、ケースの側部と一体であり、ステータと軸方向に対向する周辺部と、周辺部とは別体であり、ロータシャフトと軸方向に対向し、周辺部と密閉関係にある中心部と備え、第1流路と第2流路はそれぞれ、シールドの中心部に形成された第1部と、Bシールドの周辺部に形成された第2部とを有する。第1流路と第2流路とを周辺部と中心部の両方へ統合することで、第1流路と第2流路とが中心部に一体的に形成される場合と比較して電気モータの寸法が小さくなる。このような場合には、流路は周辺部の表面を越えながら周辺部を交差しなければならず、これによって電気モータの軸に沿った電気モータの寸法が大きくなる。さらに、中心部は取り外し可能であり得る。そして、中心部は、例えばシールのように、ロータまたはロータシャフト内の要素を交換するためのサービスカバーとして機能する。
【0015】
一つの実施形態によれば、電気モータのケースは、電気モータの軸に対して交差する方向、特に垂直に、Bシールドに近い位置からBシールドから遠い位置まで電気モータのケースの側部から延在する、延長部と呼ばれる部分を備える。特に、電気モータの軸は、電気モータのロータシャフトの軸に相当する。
【0016】
有利には、ギアボックスは電気モータのロータシャフトから出力位置にトルクを伝達する。出力位置は、ロータシャフトの軸に対して電気モータとは離れている。延長部は、ギアボックスの出力位置と対向するように電気モータのケースの側部から延在し、ギアボックスの出力位置と接続される第2シャフトを受け入れる穴を備える。したがって、このシステムはロータシャフトとは異なる第2シャフトを備える。特に、第2シャフトは、ギアボックスからトルクを受け取るようにギアボックスの出力位置において一端をギアボックスによって支持され、他端を延長部によって支持される。したがって、第2シャフトはギアボックスの出口である。特に、延長部によって支持される端においては、第2シャフトは車両のドライブトレインと接続され得る。これにより、統合駆動システムはギアボックスからトルクを統合駆動システムの両軸端に伝達可能となり、よって車両のドライブトレインへの統合駆動システムの統合を容易にする。車両のドライブトレインを統合駆動システムに接続する際、一方で延長部に位置する第2シャフトの端と、他方で特に延長部と対向していないギアボックスの側のギアボックスの出力位置とにそれぞれ接続するだけでよい。ギアボックスの出力位置において、車両の左右のホイールにトルクを伝達するための差動ギアが配置されてよい。この伝達は、一方では第2シャフトを通じて、他方では延長部とは対向していないギアボックスの側の出力位置を通じて行われる。
【0017】
有利には、インバータは、インバータの部品を有するケースを備え、インバータのケースの外面が電気モータのケースの側部の外表面に対して正接する平面において延在するように、インバータのケースは電気モータのケースに支持される。インバータのケースの外面と、電気モータのケースの側部と、モータのケースの延長部と、ギアボックスとが、インバータと、電気モータと、ギアボックスとを接続する冷却システムの接続ダクトを受け入れる容積を定義する。特に、これらの接続ダクトはこの容積の中にのみ延在する。したがって、ドライブトレインに取り付ける際にこれらの接続ダクトが破損する可能性は低い。実際に、インバータのケースと、延長部と、電気モータのケースの側部と、ギアボックスとは接続ダクトを少なくとも部分的に保護する。特に、接続ダクトは電気モータのケース、ギアボックスのケース、及びインバータのケースに含まれない。
【0018】
有利には、ロータの冷却路の入口は延長部に位置し、第1ダクトがインバータの冷却路の出口をロータの冷却路の入口に接続する。特に、これらの入口及び出口は、インバータのケースの外面と、電気モータのケースの側部と、電気モータのケースの延長部と、ギアボックスとによって定義される容積の中に位置する。したがって、冷却システムの保護が改善される。
【0019】
有利には、第2ダクトは、ステータの冷却路の境界部をギアボックスの冷却路の境界部に接続する。ステータの冷却路の境界とギアボックスの冷却路の境界部とは、インバータのケースの外面と、電気モータのケースの側部と、電気モータのケースの延長部と、ギアボックスとによって定義される容積の中に位置する。したがって、冷却システムの保護が改善される。
【0020】
有利には、延長部は冷却システムの境界ポートを備え、第3ダクトがギアボックスの冷却路の境界部を冷却システムの境界ポートに接続する。特に、第3ダクトは、インバータのケースの外面と、電気モータのケースの側部と、電気モータのケースの延長部と、ギアボックスとによって定義される容積の中に位置する。したがって、冷却システムの保護が改善される。
【0021】
一つの実施形態によれば、インバータは電気モータのケースの側部に搭載され、ギアボックスからBシールドまで延在する。特に、電気モータの軸に沿ったインバータの寸法はBシールドからギアボックスまでである。したがって、電気モータの軸に沿った統合駆動システムの寸法はギアボックス及び電気モータによって決定される。
【0022】
本発明は、ロータとステータとを収容するケースを備える電気モータにも関し、ケースはステータを収容するように電気モータの軸に沿って延びる円筒状の側部と、側部の第1軸端を閉じる、いわゆるBシールドを形成する電気モータの第1軸端における第1端部と、電気モータの第1軸端と反対の電気モータの第2軸端における第2端部であって、側部の第2軸端を閉じる、いわゆるAシールドを形成する第2端部とを有し、ギアボックスを受け入れる。
【0023】
電気モータは、上述の電気モータの特徴のいずれかを備え得る。
【0024】
本発明は、上述の統合駆動システムを備える電気自動車及びハイブリッド自動車にも関する。
【0025】
一つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。
添付の図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施例による統合駆動システムの斜視図である。
図2図2は、図1の統合駆動システムを軸方向において見た図である。
図3図3は、図1の統合駆動システムの電気モータの断面図である。
図4図4は、図1の実施例の部分側面図である。
図5図5は、図1の実施例の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は本発明の一つの実施形態による例示的な統合駆動システム100を示す。統合駆動システム100は、電気モータ120と、インバータ110と、ギアボックス130とを備える。インバータ110は、特にバッテリーによって電気モータ120を制御するように構成される。ギアボックス130は、電気機械110から供給されるトルクを伝達するように構成される。
【0028】
変形例として、統合駆動システム100は、インバータ110と、電気モータ120と、ギアボックス130とを冷却するために冷却液が一つの冷却路に沿って流れる冷却システムを備える。具体的には、冷却システムは、インバータ110と、電気モータ120と、ギアボックス130とを順番に冷却する。このため、冷却システムは次のように配置されてよい。冷却システムは、統合駆動システム100の外部から冷却液を受け入れる入口ポート210を備えてよい。入口ポート210は、インバータ110を通過する第1冷却路部と接続される。そして、第1接続ダクト215は、第1冷却路部の出口を電気モータ120のロータを通過する第2冷却路部の入口217と接続される。具体的には、第1接続ダクト215は電気モータ120のケース120cの内部の第1流路124と接続される。第1流路124は、電気モータ120のロータシャフト126に冷却液を供給する。電気モータ120のケース120cの内部の第2流路128は、電気モータ120のステータ129を冷却する第3冷却路部218に冷却液を供給する。そして、第2接続ダクト219は、第3冷却路部218の出口をギアボックス130を冷却する第4冷却路部の入口220に接続する。
【0029】
具体的には、ギアボックス130は、第4冷却路部とギアボックス130の潤滑回路との間の熱伝達によって冷却され得る。このような潤滑回路は、冷却された潤滑油であって、後にギアボックス130のホットスポットに噴射されてギアボックス130のケースの内部容積を流される潤滑油を受け取る。このような冷却液と潤滑油との間の熱交換は、熱交換器132によって実現され得る。
【0030】
第4冷却路部の出口222は、第3接続ダクト223によって冷却システムの出口ポート224と後ろで接続される。
【0031】
特に、電気モータ120のケース120cは、電気モータ120のロータとステータ129とを収容する。特に、ケース120cは、円筒形状の側部121cを有する。側部121cは、電気モータ120の軸Δに沿って延びて、ステータ129を収容する。電気モータ120の第1軸端に位置する第1端部122cは、側部121cの第1軸端を閉じるいわゆるBシールドを形成する。ケース120cの第2端部123cは、側部121cの第2軸端を閉じるいわゆるAシールドを形成する。ギアボックス130は、電気機械120のAシールド123c上に位置する。特に、Aシールド123cはギアボックス130のケース120cの一部でもある。特に、電気モータ120のAシールド123cは電気モータ120側とは逆向きの凹形状を有する。その凹形状において、Aシールド123cはギアボックス130の部品を受け入れる。
【0032】
変形例として、ロータシャフト126は冷却液を受け入れるための中空空間を内部に備える。冷却液をロータシャフト126の内部に導くように、この内部空間はロータシャフト126の軸Δ全体に亘って延びてよい。この内部空間は、冷却液を受け入れるように第1流路124と連通し、電気モータ120のケース120cの側部121cへ冷却液を出力するように第2流路128と連通する。
【0033】
ある変形例では、Bシールド122cは、ケース120cの側部121cと一体である周辺部Pと、周辺部Pとは別体である中心部Cとを備える。周辺部Pはステータ129と軸方向に対向し、中心部Cはロータシャフト126と軸方向に対向する。電気モータ120の内部空間を封止するように、少なくともシールが中心部Cと周辺部Pとの境界に配置され得る。このようなシールはOリングであってよい。第1流路124は、Bシールド122cの中心部C内に形成された第1部124Cと、Bシールド122cの周辺部Pに形成された第2部124Pとを有する。同様に、第2流路128は、Bシールド122cの中心部C内に形成された第1部128Cと、Bシールド122cの周辺部Pに形成された第2部128Pとを有する。この構成は電気モータ120をよりコンパクトにする。さらに、中心部Cは好ましくは取り外し可能であって、これによって例えば修理のために電気モータ120の内部にアクセスすることを可能とする。
【0034】
具体的には、ギアボックス130はロータシャフト126から出力位置132にトルクを伝達する。出力位置132は、ロータシャフト126の軸Δに対して電気モータ120とは離れている。
【0035】
変形例として、電気モータ120のケース120cは、電気モータ120のケース120cの側部121cから延びる延長部と呼ばれる部分125cを備える。延長部125cは、ロータシャフト126の軸Δに対して横断方向、特に垂直方向に沿って、Bシールド122cに近い位置からBシールド122cから遠い位置まで延在する。ある変形例では、延長部125cは、軸Δに対してギアボックス130の出力位置132と対向し、ギアボックス130の出力位置132と接続されている第2シャフト134を受け入れる穴126cを備える。
【0036】
具体的には、インバータ110はインバータ110の部品を有するケース110cを備えてよい。特に、インバータ110のケース110cの外面112cが電気モータ120のケース120cの側部121cの外表面に対して正接する平面において延在するように、インバータ110のケース110cは電気モータ120のケース120cに支持される。
【0037】
変形例として、インバータ110のケース110cの外面112cと、電気モータ120のケース120cの側部121cと、電気モータ120のケース120cの延長部125cと、ギアボックス130とが共に冷却システムの接続ダクト215、219、223が含まれる容積を定義する。特に、これらの接続ダクト215、219、223はこの定義された容積の内部に完全に含まれる。したがって、接続ダクト215、219、223は少なくとも部分的に保護されている。
【0038】
有利には、ロータ129を通過する第2冷却路部の入口217が延長部125cに位置する。特に、入口217と第1冷却路部の出口とがこの定義された容積の内部に位置する。同様に、有利には、第3冷却路部218の出口と第4冷却路部の入口220とがこの定義された容積の内部に位置する。特に、有利には、冷却システムの出口ポート224は延長部125cに位置する。
【0039】
本発明は上述した具体例に限定されるものではなく、本発明の範囲に含まれる統合駆動システムや電気モータは、本明細書に記載した実施形態や変形例の一つまたは複数の組み合わせから得ることができると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5