(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071436
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240517BHJP
G06V 20/00 20220101ALI20240517BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G06V20/00
H04N7/18 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041291
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2019210975の分割
【原出願日】2019-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】小林 義和
(57)【要約】
【課題】 画像から認識した対象に基づいて生じている事象を推定する仕組みを提供する。
【解決手段】 物体検出判定通知サーバ110は、クライアントPC104から送信される、ネットワークカメラ102で撮影することにより得られた画像データに映されている物体の検出結果に基づいて、検出されたそれぞれの物体に対して付されている点数を用いて、物体の種類の組み合わせに対して合計点を求め、この合計した点数が所定の点数を超えた場合は、物体が存在する領域において工事が行われていると推定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから撮影された対象を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した対象の組み合わせによって、所定の事象が、前記対象が存在する領域で生じているかを推定する推定手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記対象に対する重みを取得する推定要素取得手段を備え、
前記推定手段は、前記推定要素取得手段によって取得される、前記対象の組み合わせにおけるそれぞれの対象の重みに基づいて、前記所定の事象が、前記対象が存在する領域で生じているかを推定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記重みは、前記対象と前記事象との関連性に基づいて定めた重みであることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記対象の種類の組み合わせにおけるそれぞれの対象の重みに基づいて、前記事象を推定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定手段によって推定された所定の事象が生じている位置を、前記画像データを撮影した位置情報に基づいて表示する制御を行う表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置が、
画像データから撮影された対象を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した対象の組み合わせによって、所定の事象が、前記対象が存在する領域で生じているかを推定する推定ステップと、
を実行することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
画像データから撮影された対象を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した対象の組み合わせによって、所定の事象が、前記対象が存在する領域で生じているかを推定する推定手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から認識した対象によって所定の事象が生じているかを推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のコンピュータを搭載した物体検出装置では、畳み込みニューラルネットワークをベースとした物体検出モデルを用いている。
【0003】
検出したい物体のクラスと位置をラベリングした画像データを用いて学習データを作成し、物体検出モデルが、学習データの物体の位置とクラスを学習することで、物体検出モデルは、撮影された任意の画像内の物体を認識し検出できるようになる。
【0004】
物体の認識の精度を向上させるために、撮影した位置や時間帯等の撮影状況に応じて作成したモデルを用いて、物体の認識を行うこと(例えば、特許文献1参照)、背景差分による物体検出において、背景画像に対する入力画像の色変化傾向に基づいて、背景画像の物体が単なる照明条件により検出されたのか、新たに出現した物体を検出したのかを判定すること(例えば、特許文献2参照)、鳥の輪郭や飛行の仕方により、画像に含まれる物体の鳥の種類を推定すること(例えば、特許文献3参照)が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-59810号公報
【特許文献2】特開2010-211714号公報
【特許文献3】特許第6379343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各特許文献に記載の発明は、ある特定の物体を検出するための認識精度向上を図ることが可能であるが、その特定した物体により、物体が存在するエリアにおいて生じている事象を認識するまでには至っていない。
【0007】
例えば、通常、工事現場には、工事看板、注意看板、交通看板、ショベルカー、ゼブラフェンス、プラスティックフェンス、矢印、あるいはカラーコーン(登録商標)等の工事関連物体(クラス)が存在することから、このような物体を認識することで、その物体が存在するエリアは、工事現場であることを推定できる。
【0008】
ただし、このような物体には、類似する形状を備えた物体が撮影されることもあることから、物体の存在するエリアで生じている事象の認識精度が低下するという問題が生じうる。
【0009】
そこで、本発明では、画像から認識した対象に基づいて所定の事象が生じているかを推定する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、画像データから撮影された対象を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得した対象の組み合わせによって、所定の事象が、前記対象が存在する領域で生じているかを推定する推定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像から認識した対象に基づいて所定の事象が生じているかを推定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】情報処理システムの概略構成の一例を示す構成図である。
【
図2】クライアントPC、エッジコンピュータ、物体検出判定通知サーバ、及び監視用PCのハードウェアの概略構成の一例を示す構成図である。
【
図3】情報処理システムのプログラム構成の一例を示す機能構成図である。
【
図4】ネットワークカメラで撮影することにより得られた画像データをクライアントPCへ送信する処理を示すフローチャートである。
【
図5】クライアントPCがネットワークカメラより取得した画像データとGPS機能により求めた位置情報とを合わせてエッジコンピュータへ送信する処理を示すフローチャートである。
【
図6】エッジコンピュータにおいて画像データから物体を検出する処理を示すフローチャートである。
【
図7】クライアントPCにおいて所定の範囲内で撮影された画像データを送信する処理を示すフローチャートである。
【
図8】物体検出判定サーバにおいて工事現場であるか否かを推定する処理を示すフローチャートである。
【
図9】物体検出判定通知サーバにおける物体検出の判定結果を監視用PCに対して出力する処理を示すフローチャートである。
【
図11】学習対象とする画像データの一例を示す図である。
【
図14】クラスに対する点数の一例を示す図である。
【
図15】検出結果を記憶するデータベースの構成を示す構成図である。
【
図16】検出結果を記憶するメモリ上の構成を示す構成図である。
【
図17】工事現場の地図画像の一例を示す図である。
【
図18】検出した画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態における情報処理システム100の概略構成の一例を示す構成図である。
【0015】
工事監視用巡回車両は、ネットワークカメラ102、外部機器との画像データの送受信、及びGPS/GNSS機能を搭載したクライアントPC104(USB接続によりGPS信号を受信可能な機器を接続しても良い)、画像データから物体検出を行うGPU搭載のエッジコンピュータ106が、車載のローカルネットワーク108を介して接続される構成を備えたシステムを搭乗している。
【0016】
クラウド環境を提供するデータセンタに配置された物体検出判定通知サーバ110は、画像データから検出された物体から工事現場であることを推定する機能などを備え、クライアントPC104、及び、工事現場の監視を行う監視員が利用する監視用PC112とインターネット114を介して接続される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態における、クライアントPC104、エッジコンピュータ106、物体検出判定通知サーバ110、及び監視用PC112、それぞれの情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、情報処理装置は、システムバス204を介してCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、よび通信I/Fコントローラ208が接続される。
【0019】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0020】
ROM202あるいは外部メモリ211は、CPU201が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やOS(Operating System)や、本情報処理方法を実現するためのコンピュータ読み取り実行可能なプログラムおよび必要な各種データ(データテーブルを含む)を保持している。
【0021】
RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードし、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
【0022】
入力コントローラ205は、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイス等の入力装置からの入力を制御する。
【0023】
入力装置がタッチパネルの場合、ユーザがタッチパネルに表示されたアイコンやカーソルやボタンに合わせて押下(指等でタッチ)することにより、各種の指示を行うことができることとする。
【0024】
また、タッチパネルは、マルチタッチスクリーンなどの、複数の指でタッチされた位置を検出することが可能なタッチパネルであってもよい。
【0025】
ビデオコントローラ206は、ディスプレイ210などの外部出力装置への表示を制御する。ディスプレイは本体と一体になったノート型パソコンのディスプレイも含まれるものとする。
【0026】
なお、外部出力装置はディスプレイに限ったものははく、例えばプロジェクタであってもよい。また、前述のタッチ操作を受け付け可能な装置については、入力装置も提供する。
【0027】
なおビデオコントローラ206は、表示制御を行うためのビデオメモリ(VRAM)を制御することが可能で、ビデオメモリ領域としてRAM203の一部を利用することもできるし、別途専用のビデオメモリを設けることも可能である。
【0028】
メモリコントローラ207は、外部メモリ211へのアクセスを制御する。外部メモリとしては、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、および各種データ等を記憶する外部記憶装置(ハードディスク)、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等を利用可能である。
【0029】
通信I/Fコントローラ208は、ネットワークを介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。
【0030】
例えば、TCP/IPを用いた通信やISDNなどの電話回線、および携帯電話の3G回線を用いた通信が可能である。
【0031】
尚、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。
【0032】
また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0033】
尚、エッジコンピュータ106については、CPUではなく、リアルタイム画像処理を得意とするGPU(Graphics Processing Unit)とする構成としても良い。
【0034】
次に
図3を参照して、本発明の実施形態における各種装置の機能構成の一例について説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施形態における、情報処理システムのプログラム構成の一例を示す図である。尚、各機能についての詳細は、後述するフローチャートと合わせて説明を行う。
【0036】
ネットワークカメラ102は、カメラモジュール300、及び画像送受信プログラム301を備えており、カメラモジュール300は、撮影することにより得られた画像データの加工等を行って画像送受信プログラム301へ出力し、画像送受信プログラム301は、カメラモジュール300から入力された画像データをクライアントPC104へ送信する。
【0037】
クライアントPC104には、画像処理プログラム302、及び物体検出送受信プログラム303を備えており、画像処理プログラム302は、画像送受信プログラム301から画像データを取得してエッジコンピュータ106へ送信し、物体検出送受信プログラム303は、エッジコンピュータ106から受信した画像データから抽出した物体に関する情報と画像データを撮影した位置情報とをエッジコンピュータ106から受信して物体検出判定通知サーバ110へ送信する。
【0038】
エッジコンピュータ106は、物体検出プログラム304を備えており、クライアントPC104から送信された画像データに対して、検出対象とする大量の画像データを学習して生成したモデルを用いて物体の検出を行い、検出した結果を物体検出送受信プログラム303へ送信する。
【0039】
物体検出判定通知サーバ110は、物体検出判定プログラム305、検出データベース306、及び検出結果表示プログラム307を備えており、物体検出判定プログラム305は、物体検出送受信プログラム303により受信した物体に関する情報と位置情報とに基づいて工事現場であるか否かの判定を行い、判定に係る情報を検出データベース306へ記憶する。
【0040】
検出結果表示プログラム307は、検出データベース306から工事現場であるか否かの判定に係る情報を取得して監視用PC112へ送信する。
【0041】
監視用PC112は、表示プログラム308を備えており、表示プログラム308は、検出結果表示プログラム307から受信した判定に係る情報に基づいて、工事現場の場所がピン止めされた地図画像を表示し、地図画像のピン止からのリンクで工事現場画像を表示する。
【0042】
次に
図4乃至9に示すフローチャートを用いて、本発明の実施形態における情報処理システム100が実行する工事現場を推定する処理について説明する。
【0043】
図4に示すフローチャートは、ネットワークカメラ102で撮影することにより得られた画像データをクライアントPC104へ送信する処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS100では、画像送受信プログラム301は、画像処理プログラム302から画像データのリクエスト(ステップS200で送信されたリクエスト)を受付け、ステップS102では、画像送受信プログラム301は、ステップS100において画像データのリクエストを受付け、カメラモジュール300により撮影により得られた画像データを取得して、クライアントPC104へ送信する。
【0045】
図5に示すフローチャートは、クライアントPC104がネットワークカメラ102より取得した画像データとGPS機能により求めた位置情報とを合わせてエッジコンピュータ106へ送信する処理を示すフローチャートである。
【0046】
尚、本処理は、URL等を指定することでシステムへアクセスがあったタイミングで処理が開始されるが、起動タイミングは、このような態様に限らず、ユーザがシステムの利用を所望するタイミングで起動しても良い。
【0047】
ステップS200では、画像処理プログラム302は、ネットワークカメラ102に対して、画像データのリクエストを送信する。
【0048】
ステップS202では、画像処理プログラム302は、ステップS200におけるリクエストへのレスポンスとして、ネットワークカメラ102から送信された画像データ(ステップS302で送信された画像データ)を受信する。
【0049】
ステップS204では、画像処理プログラム302は、GPSモジュールにより、GPSライブラリを用いて、最新の位置情報(緯度と経度)を取得する。
【0050】
ステップS206では、画像処理プログラム302は、ステップS202において受信した画像データとステップS204において取得した最新の位置情報(緯度と経度)と現在の日時(年月日時分秒マイクロ秒)をエッジコンピュータ106へ送信する。
【0051】
ステップS208では、画像処理プログラム302は、エッジコンピュータ106において、物体検出処理にかかる処理時間の性能に合わせてスリープ(例:物体検出にかかる時間が0.5秒の場合は、0.5秒スリープ等)する。スリープ解除後、ステップS200から処理を進める。
【0052】
次に、
図6に示すフローチャートを用いて、エッジコンピュータ106において画像データから物体を検出する処理について説明を行う。
【0053】
ステップS300では、物体検出プログラム304は、クライアントPC104から送信された画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)(ステップS206で送信された画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒))を受信する(ステップS206で送信されたデータ)。
【0054】
ステップS302では、物体検出プログラム304は、ステップS300において受信した画像データから物体を検出する。
【0055】
物体を検出する方法としては、
図10に示す学習用クラス例のように、工事現場に置かれている物体の検出対象に関して、画像データから物体を検出する。
【0056】
学習用クラス例は、クラスを一意に識別するためのNo、物体が属する分類を示す大分類、物体を示す中分類、及びクラスの名称を示すクラス名を含んで構成されている。
【0057】
このクラスとは、
図11に示すように、それぞれの物体に関する画像データを大量に集めて機械的に学習して生成したモデルのことを示している。
【0058】
これらのモデルを用いて、画像データから物体を検出し、結果として、その物体であることを示す確信度が所定値以上(例えば、0.5以上)の検出結果を用いる。
【0059】
図12に示す検出した結果の例は、コーン2本、ショベルカー1台、注意看板1枚を検出した例である。
【0060】
位置Xと位置Yは、検出されたクラスの画像データ内での左上起点を指すためのピクセル値であり、横幅と縦幅はクラスの起点からの長さをピクセル値で表しており、確信度は、画像データで特定した物体の確からしさを示している。
【0061】
ステップS304では、物体検出プログラム304は、ステップS302において検出した結果として物体が1つ以上あると判定した場合は、ステップS306へ処理を進め、1つ以上あると判定しない場合は、ステップS308へ処理を進める。
【0062】
ステップS306では、物体検出プログラム304は、画像データに対し物体検出モデルの検出結果のアノテーションを付与する。
【0063】
アノテーションとは、画像データに対し、検出結果の各行の位置X、位置Y、横幅、縦幅をもとに矩形を画像に描画して付与し、矩形の上にクラス名と確信度を描画して付与することである。
【0064】
図13に示すように、画像データにアノテーションを付与した例として、検出されたショベルカーを囲む矩形とクラス名の識別する文字(Sh)と確信度をアノテーションしている例である。
【0065】
ステップS308では、物体検出プログラム304は、画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)と検出結果とをクライアントPC104へ送信する。
【0066】
次に、
図7に示すフローチャートを用いて、クライアントPC104において所定の範囲内で撮影された画像データを送信する処理について説明を行う。
【0067】
ステップS400では、物体検出送受信プログラム303は、画像と最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)と検出結果とをクライアントPC104から受信する(ステップS308で送信されたデータ)。
【0068】
ステップS402では、物体検出送受信プログラム303は、ステップS400において受信した最新の位置情報(緯度と経度)と基準となる位置情報(緯度と経度)から移動距離を計算する。
【0069】
基準となる位置情報(緯度と経度)とは、最初に受信したときの位置情報(緯度と経度)、および、ステップS404で、移動距離が閾値を超えたときの位置情報(緯度と経度)とをメモリに保管したものである。2点の位置情報(緯度と経度)からの移動距離計算は、以下に示すように球面三角法で計算する。
【0070】
D=R*math.acos(math.cos(math.radians(lat1)*math.cos(math.radians(lat2)*math.cos(math.radians(lng2)-math.radians(lng1))+math.sin(math.radians(lat1)*math.sin(math.radians(lat2))
D:2点間の距離(m)
R:地球半径=6378137.0
lat1:1点目の位置の緯度
lat2:2点目の位置の緯度
lng1:1点目の位置の経度
lng2:点目の位置の経度
math.acos:ラジアン単位の逆余弦関数
math.cos:ラジアン単位の余弦関数
math.sin:ラジアン単位の正弦関数
math.radians:ラジアン変換関数
【0071】
ステップS404では、物体検出送受信プログラム303は、ステップS402において計算した移動距離が閾値を超えるか否かを判定し、閾値を超えると判定した場合は、ステップS406へ処理を進め、超えると判定しない場合は、ステップS408へ処理を進める。
【0072】
閾値は、例えば、通常行われている工事エリアの大きさに応じて定めると好適である(例えば、1つの工事のエリアは、30メートル内に収まるような場合は、閾値を30メートルとする等)
【0073】
ステップS406では、物体検出送受信プログラム303は、物体検出判定通知サーバ110へ最新の位置情報(緯度と経度)を送信する。
【0074】
ステップS408では、物体検出送受信プログラム303は、検出結果が1レコード以上存在するか判定する。尚、1つの画像データに対して、物体の検出結果は複数存在するケースがあるため、本ステップでは、1レコード以上としている。
【0075】
ステップS410では、物体検出送受信プログラム303は、物体検出判定通知サーバ110に対して画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)と検出結果とを送信する。
【0076】
次に、
図8に示すフローチャートを用いて、物体検出判定通知サーバ110において工事現場であるか否かを推定する処理について説明を行う。
【0077】
ステップS500では、物体検出判定プログラム305は、クライアントPC104から送信視された画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)と検出結果とを受信する(ステップS406かステップS410で送信されたデータ))。
【0078】
ステップS502では、物体検出判定プログラム305は、ステップS500において受信したデータが、最新の位置情報(緯度と経度)のみか否かを判定し、受信データが最新の位置情報(緯度と経度)のみの場合は、ステップS512へ処理を進める。
【0079】
ステップS504では、物体検出判定プログラム305は、画像データを用いた工事判定処理計算を以下のロジックで行う。尚、分類、クラス、点数は、
図14に示す内容を基に計算を行う
【0080】
(1)検出結果に存在するすべての分類・クラスの点数を加算する。
(2)同じクラスが複数存在しても点数はクラスの点数のままとする。
(3)Notice、Caution、Trafiic_guideは混在しても看板の点数は加算しない。
(4)Zebla_fence、Plastic_fenceは混在してもフェンスの点数は加算しない。
【0081】
ステップS506では、物体検出判定プログラム305は、ステップS502で計算した点数計に基づいて工事判定処理を以下のロジックで行う。
【0082】
点数計が100点以上であれば、工事現場と判定する。
点数計が50点以上であれば、工事現場可能性ありと判定する。
点数計が50点未満であれば、工事現場ではないと判定する。
【0083】
本ステップにおいて、工事現場であると判定した場合は、ステップS508へ処理を進め、工事現場であると判定しない場合は、ステップS510へ処理を進める。
【0084】
ステップS508では、物体検出判定プログラム305は、工事判定処理の結果を検出データベース306に保存する。
【0085】
検出データベース306の所定の記憶領域へ画像データを追加し、画像データへアクセスするためのURLを取得する。
【0086】
図15に示すように、主キーの日時(年月日時分秒マイクロ秒)と位置情報(緯度、経度)と点数と合計点数(点数を登録)と画像データへアクセスするためのURLを追加する。
【0087】
ステップS510では、物体検出判定プログラム305は、画像データと最新の位置情報(緯度と経度)と日時(年月日時分秒マイクロ秒)とをメモリ上へ記憶する。
【0088】
図16に示すように、主キーの日時(年月日時分秒マイクロ秒)と位置情報(緯度、経度)と点数と画像データを保存する。
【0089】
ステップS512では、物体検出判定プログラム305は、ステップS510における保存先となるメモリにデータが2件以上存在するか確認し、存在すると判定した場合は、ステップS514へ処理を進め、存在すると判定しない場合は、ステップS520へ処理を進める。
【0090】
ステップS514では、物体検出判定プログラム305は、メモリに存在する複数の画像データに対する検出結果に基づいて工事判定処理計算を以下のロジックで行う。尚、分類、クラス、点数は、
図14に示す内容を基に計算を行う
【0091】
(1)メモリに存在する画像データをまたがるすべての検出結果に存在するすべての分類・クラスの点数を加算する。
(2)同じクラスが複数存在しても点数はクラスの点数のままとする。
(3)Notice、Caution、Trafiic_guideは混在しても看板の点数は加算しない
(4)Zebla_fence、Plastic_fenceは混在してもフェンスの点数は加算しない。
【0092】
ステップS516では、物体検出判定プログラム305は、ステップS514で計算した点数計に基づいて工事判定処理を以下のロジックで行う。
【0093】
点数計が100点以上であれば、工事現場と判定する。
点数計が50点以上であれば、工事現場可能性ありと判定する。
点数計が50点未満であれば、工事現場ではないと判定する。
【0094】
本ステップにおいて、工事現場であると判定した場合は、ステップS518へ処理を進め、工事現場であると判定しない場合は、ステップS520へ処理を進める。
【0095】
ステップS518では、物体検出判定プログラム305は、メモリに存在する工事判定結果全部を検出データベース306に保存する。
【0096】
検出データベース306の所定の記憶領域へ画像データを追加し、画像データへアクセスするためのURLを取得する。
【0097】
図15に示すように、主キーの日時(年月日時分秒マイクロ秒)と位置情報(緯度、経度)と点数と画像データをまたがる点数を集計した合計点数と画像データへアクセスするためのURLとを追加する。
【0098】
ステップS520では、物体検出判定プログラム305は、メモリに保存されたデータを消去する。
【0099】
次に、
図9に示すフローチャートを用いて。物体検出判定通知サーバ110における物体検出の判定結果を監視用PC112に対して出力する処理について説明する。
【0100】
ステップ600では、表示プログラム308は、検出結果表示プログラム307を呼び出すための初期表示用URLの入力を受付けて、監視画面を表示するためにリクエストを物体検出判定通知サーバ110へ送信する。
【0101】
ステップS602では、検出結果表示プログラム307は、監視用PC112から監視画面を表示するリクエストを受信する。
【0102】
ステップS604では、検出結果表示プログラム307は、監視画面の初期画面のHTMLとJavaScript(登録商標)の制御用プログラムを監視用PC112へ送信する。
【0103】
ステップS606では、表示プログラム308は、ステップS604において物体検出判定通知サーバ110から送信された監視画面の初期画面のHTMLとJavaScriptの制御用プログラムを受信する。
【0104】
ステップS608では、表示プログラム308は、監視画面の初期画面のHTMLを描画して、JavaScriptの監視制御用プログラムを開始する。
【0105】
ステップS610では、表示プログラム308は、検出結果表示プログラム307の検出結果問い合わせURLに対し、問い合わせリクエストを物体検出判定通知サーバ110へ送信する。
【0106】
ステップ612では、検出結果表示プログラム307は、ステップS610において監視用PC112から送信された問い合わせリクエストを受信する。
【0107】
ステップS614では、検出結果表示プログラム307は、検出データベース306の検出結果エンティティ(
図15参照)の日時(年月日時分秒マイクロ秒)に対し、現在の日時(年月日時分秒)の直近1時間以内のレコードが存在した場合、日時(年月日時分秒マイクロ秒)の最新順に全てのレコードを取得する。
【0108】
ステップS616では、検出結果表示プログラム307は、ステップS614において取得した全てのレコードを監視用PC112へ送信する。
【0109】
ステップS618では、表示プログラム308は、ステップS616において物体検出判定通知サーバ110から送信された検出結果に関するレコードを受信する。
【0110】
ステップS620では、表示プログラム308は、ステップS618において受信したレコードが1レコードでも存在する場合、工事が行われていると判定し、ステップS622へ処理を進め、1レコードも存在しない場合、工事は行われていないと判定し、ステップS624へ処理を進める。
【0111】
ステップS622では、表示プログラム308は、検出結果のレコードから工事現場がピン止めされた地図画像を表示する。
【0112】
例えば、
図17に示すように、工事現場の地図画像400には、レコードに対する画像データを検出画像402、検出画像404、検出画像406を日時で昇順にソートして表示し、検出画像402の合計点数を点数408、検出画像404の合計点数を点数410、検出画像406の合計点数を点数412として表示する。
【0113】
そして、それぞれの画像データを撮影した位置として、検出画像402を撮影した位置として撮影位置414、検出画像404を撮影した位置として撮影位置416、検出画像406を撮影した位置として撮影位置418を地図上にピン表示を行い、それぞれの撮影位置に対して合計点数を点数420、点数420、点数424を表示する。
【0114】
表示されているピンをクリック等により触れる操作を行うことにより、ピンに対応する撮影位置で撮影された画像データを表示する。
【0115】
例えば、
図17に示す工事現場の地図画像400において、撮影位置414に触れることで、撮影位置414で撮影することにより得られた画像データである検出画像402が、
図18に示すように、クローズアップされて拡大表示されることになる。
【0116】
ステップS624では、表示プログラム308は、所望の工事現場を検出する処理のタイミング(例えば、数秒)に合わせてスリープし、所定時間経過後、ステップS205へ処理を進める。
【0117】
尚、本実施形態では、工事現場を対象に、画像から認識した対象に基づいて生じている事象を推定しているが、このような対象に限らず、画像から認識される対象の組み合わせによって、画像の撮影方向で生じている事象を推定できるようなものであれば、どのようなものを対象にしても良い。
【0118】
本発明の実施形態においては、工事現場を推定する処理をネットワークカメラ102、クライアントPC104、エッジコンピュータ106、物体検出判定通知サーバ110において実行する構成として説明したが、クライアントPC104、エッジコンピュータ106、物体検出判定通知サーバ110を1つの装置で構成することも可能である。
【0119】
また、クライアントPC104とエッジコンピュータ106とを1つの装置で構成としても良く、また、これらの1つの装置にネットワークカメラ102の機能を備えても良い。
【0120】
さらに、ネットワークカメラ102でオンラインで撮影することにより得られた画像データを対象として処理を行っているが、クライアントPC104、エッジコンピュータ106、あるいは、物体検出判定通知サーバ110に蓄積した既に撮影済(オフライン状態で)の画像データを取得して、それぞれの処理を実行しても良い。
【0121】
以上、実施形態について示したが、本発明におけるプログラムは、
図4乃至9に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は
図4乃至9の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。
【0122】
なお、本発明におけるプログラムは
図4乃至9の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0123】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し、実行することによっても本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0124】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0125】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク等を用いることが出来る。
【0126】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0127】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0128】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、ひとつの機器から成る装置に適用しても良い。
【0129】
また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0130】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
100 情報処理システム
102 ネットワークカメラ
104 クライアントPC
106 エッジコンピュータ
108 ローカルネットワーク
110 物体検出判定通知サーバ
112 監視用PC
114 インターネット
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された画像のうち、所定の被写体に係る画像を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像と、当該所定の被写体に係る情報と、を対応付けた情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の被写体に係る情報は、被写体に係る画像が撮影された位置を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の被写体に係る情報は、被写体が撮影された日を示す情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像は、複数の画像であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像は、撮影位置を変えながら撮影された複数の画像であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定手段は、同一の前記被写体に係る画像を複数特定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
撮影された画像のうち、所定の被写体に係る画像を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像と、当該所定の被写体に係る情報と、を対応付けた情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
撮影された画像のうち、所定の被写体に係る画像を特定する特定ステップと、
前記特定手段により特定された画像と、当該所定の被写体に係る情報と、を対応付けた情報を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
撮影された画像のうち、所定の被写体に係る画像を特定する特定ステップと、
前記特定手段により特定された画像と、当該所定の被写体に係る情報と、を対応付けた情報を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の各手段として機能させるためのプログラム。